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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C04B
管理番号 1105961
異議申立番号 異議2002-73012  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-09-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-12-16 
確定日 2004-08-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3293449号「NOX 浄化用混練物を適用する方法」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3293449号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3293449号の請求項1ないし7に係る発明についての出願は、平成8年2月26日に特許出願したものであって、平成14年4月5日にその発明について特許権の設定登録がなされ(公報発行平成14年6月17日)に渡辺邦代より特許異議の申立てがなされ、平成15年6月6日(発送日)に取消理由が通知され、その指定期間内である平成15年8月5日に訂正請求がなされ、平成16年7月12日に再度の取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年7月15日に先の訂正請求を取り下げるとともに、新たな訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
訂正事項a:本件特許明細書の特許請求の範囲の「【請求項1】セメント100重量部、酸化チタン粉末5重量部〜50重量部、水からなる混練物を舗装道路の表面に存在させることを特徴とするNOX浄化用混練物の適用方法。」を「【請求項1】セメント100重量部、酸化チタン粉末5重量部〜50重量部、少なくとも砂或いは珪砂から選択された細骨材及び水からなる混練物を舗装道路の表面に存在させることを特徴とするNOX浄化用混練物の適用方法。」と訂正する。
訂正事項b:本件特許明細書の特許請求の範囲の【請求項6】を削除する。
訂正事項c:本件特許明細書の特許請求の範囲の【請求項7】項数を「6」に繰り上げるとともに「請求項1乃至請求項6のいずれか」を「請求項1乃至請求項5のいずれか」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、本件特許明細書の段落【0006】(特許公報2頁4欄4〜6行)の記載に基づき、本件発明に係る「混練物」が、細骨材として少なくとも砂或いは珪砂を含むことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。
上記訂正事項bは、請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。
上記訂正事項cは、訂正事項bにより請求項6が削除された結果生じる、項数及び引用請求項の不整合を正すものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。
そして、上記訂正事項aないしcは、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
3-1.本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし6に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明6」という)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものである。

3-2.引用文献に記載された発明
当審が平成15年6月6日(発送日)に通知した引用文献1(甲第1号証)には、以下の事項が記載されている。
(1)「難分解性結着剤を介して光触媒粒子を基体上に接着させてなることを特徴とする光触媒体。」(【請求項1】)
(2)「難分解性結着剤がセメントであること」(【請求項9】、【請求項10】)
(3)「光触媒粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒体。」(【請求項11】)
(4)「難分解性結着剤としてセメントまたはセッコウを用いる場合には、光触媒粒子の含有量は5〜40%、特に5〜25%が好ましい。」(段落【0007】)
(5)「本発明において、基体としては、セラミックス、ガラスなどの無機材質の物品、プラスチック、ゴム、木、紙などの有機材質の物品、アルミニウムなどの金属、鋼などの合金などの金属材質の物品を用いることができる。基体の大きさや形には特に制限されない。また、塗装した物品でも用いることができる。」(段落【0009】)
(6)「前記塗料組成物には、架橋剤、分散剤、充填剤などを配合させることができる。」(段落【0012】)
(7)「実施例5・・・・酸化チタン0.2g、白色セメント(小野田セメント株式会社製)0.8g、水0.7gとを混合し、面積50cm2 のガラス板に全量塗布し、室温で乾燥して光触媒体(試料F)を得た。この試料Fの酸化チタン含有量は、該酸化チタンと難分解性結着剤との合量に対する容積基準で17%であった。」(段落【0024】)
(8)「実施例6 実施例5において、白色セメントに代えてデンカハイアルミナセメント(電気化学工業株式会社製、Hi)を0.8g用いること以外は、実施例5と同様にして本発明の光触媒体(試料G)を得た。この試料Gの酸化チタン含有量は、該酸化チタンと難分解性結着剤との合量に対する容積基準で17%であった。」(段落【0025】)
(9)「実施例5及び6の試料F、GはNOx ガスの濃度が大幅に減少しているのに対して、比較例2及び3の試料H、IではNOx ガスの濃度は殆ど変化していないことがわかる。このことから、本発明の光触媒体は一酸化窒素を酸化し、除去するのに有効であることが明らかとなった。」(段落【0028】)

3-3.対比判断
(1)本件発明1
上記の記載事項を総合すると、引用文献1には、セメントを結着剤とし、光触媒として酸化チタン粒子を5〜40%、特に5〜25%(容積比)の含有量で、種々の基体に接着する方法が記載されており、このようにようにして酸化チタンを接着した基体が、NOXを除去するのに有効であることも記載されているといえる。
ここで、セメントの比重を「3.1」、酸化チタンの比重を「3.8」として、上記容積比を重量比に変換すると、上記容量比の「5%」、「25%」、「40%」は、重量比で「6.1%」、「30.6%」、「49.0%」となるから、引用文献1には『セメント100重量部に対し、酸化チタンを6.1重量部〜49.0重量部、特に6.1重量部〜30.6重量部混ぜることが好ましい。』ことが記載されていることになる。
そこで、本件発明1と引用文献1記載の発明とを対比すると、両者は「セメント100重量部、酸化チタン粉末6.1重量部〜49.0重量部及び水からなる混練物を基材の表面に存在させることを特徴とするNOX浄化用混練物の適用方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本件発明1では、混練物中に、「少なくとも砂或いは珪砂から選択された細骨材」が含まれており、混練物が適用される基材が「舗装道路の表面」であるのに対し、引用文献1には、塗料中に充填材などが配合できるとの記載があるものの具体的に砂或いは珪砂を配合させることについては明示がなく、舗装道路の表面に塗布することについても明示がない点
以下、上記相違点に付き検討する。
引用文献2には、市販の水性塗料ないし油性塗料にチタニア微粉末を混合し、光触媒作用を持つ塗料とし(段落【0013】、【0014】)、横断歩道、センターライン、駐車場に塗布して使用すること(段落【0006】)により、大気中の窒素酸化物を光触媒作用により除去すること(【請求項1】)が記載されているが、チタニア、すなわち酸化チタン粉末の接着に、市販の塗料が用いられていることからみても、引用文献2記載のものは道路表面のライン状の標識用に適用することを意図していることは明らかであり、したがって、塗料中に砂或いは珪砂を配合させる必要性も認められない。
本件発明1は、細骨材の配合という、引用文献1ないし2に記載されていない構成を採用することにより、「これにより舗装道路の表面に直接適用することができ、在来の道路のブロックを新たに交換する必要がなく、効率的に適用できるという優れた効果を奏するものである。しかも細骨材を加えているので、舗装道路の表面にあっては耐すべり性並びに耐摩耗性を増すことができるという優れた効果を奏するものである。」(特許公報第2頁4欄21〜27行)という明細書記載の作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は引用文献1及び引用文献2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)本件発明2ないし6
本件発明2ないし6は、本件発明1を引用する発明であるから、本件発明1が、刊行物1ないし2を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものといえない以上、本件発明2ないし6も、刊行物1ないし2を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

また、その他の異議申立理由及び証拠は、本件発明1〜6の特許を取り消すべき理由として採用することができない。

4.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明1〜6についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
NOX浄化用混練物を適用する方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】セメント100重量部、酸化チタン粉末5重量部〜50重量部、少なくとも砂或いは珪砂から選択された細骨材及び水からなる混練物を舗装道路の表面に存在させることを特徴とするNOX浄化用混練物の適用方法。
【請求項2】前記混練物が細骨材50重量部〜400重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
【請求項3】混練物中に長さ10mm以下の繊維を0.1〜5.0重量部含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
【請求項4】混練物中に樹脂を2〜100重量部含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
【請求項5】混練物中に着色顔料を1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
【請求項6】適用した混練物の表面に凹凸を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、NOX浄化用混練物の適用方法に関し、更に詳しくは表面に十分付着し得ると共に大気中のNOXを捕捉し良好な環境を得ることができるNOX浄化用混練物の適用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、特にジーゼル自動車からでる排気ガス中に含まれているNOXによる大気環境の汚染は、自動車数の増加、それに伴う交通渋滞等で増加している。従来、このNOXの濃度を低下させる物質として金属酸化物が知られており、この中でも二酸化チタンが強い光触媒作用を有することも知られている。このような二酸化チタンの強い光触媒作用を利用してNOXを除去する研究は、近年ますます盛んになり二酸化チタンを混合してシートやパネルを形成し、建築物の外壁に用いてNOXを除去することが実用化されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述のごとき従来の建築材料(例えば外装した壁)を用いる場合には、外装された建築材料を取り外した後、新たにNOX除去シートを張り付けることにより交換する必要があり、手間暇を要する点で問題となっていた。そこで、本発明者は、この問題点を検討した結果、セメント、二酸化チタン粉末及び細骨材からなる混練物を建築物の外壁に直接適用することにより外壁を交換する必要がなく設備の手間暇が省けることを見出した。また同様に舗装道路においても、本願特許出願人は、先に道路に施設するための土木材料(道路舗装用ブロック)を出願したが、その実施態様の一つとして道路表面に直接適用することができ、かつ被覆効率を上げることができる方法ことを見出した。本発明者は、これらの知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0004】したがって、本発明が解決しようとする第1の課題は、NOX浄化用混練物を道路表面に直接適用することのできるNOX浄化用混練物の適用方法を提供することにある。また本発明が解決しようとする第2の課題は、美的外装に適したNOX浄化用混練物を表面に直接適用し得るNOX浄化用混練物の適用方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以下の各発明により達成される。
【0006】
(1)セメント100重量部、酸化チタン粉末5重量部〜50重量部、少なくとも砂或いは珪砂から選択された細骨材及び水からなる混練物を舗装道路の表面に存在させることを特徴とするNOX浄化用混練物の適用方法。
(2)前記混練物が細骨材50重量部〜400重量部を含むことを特徴とする前記第1項に記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
(3)混練物中に長さ10mm以下の繊維を0.1〜5.0重量部含有することを特徴とする前記第1項又は第2項に記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
(4)混練物中に樹脂を2〜100重量部含有することを特徴とする前記第1項乃至第3項のいずれかに記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
(5)混練物中に着色顔料を1〜20重量部含有することを特徴とする前記第1項乃至第4項のいずれかに記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
(6)適用した混練物の表面に凹凸を形成することを特徴とする前記第1項乃至第5項のいずれかに記載のNOX浄化用混練物の適用方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のNOX浄化用混練物の適用方法は、セメント100重量部及び酸化チタン粉末5重量部〜50重量部、及び少なくとも砂或いは珪砂から選択された細骨材を水で混練した混練物を舗装道路の表面に存在させることを特徴とするもので、これにより舗装道路の表面に直接適用することができ、在来の道路のブロックを新たに交換する必要がなく、効率的に適用できるという優れた効果を奏するものである。また本発明のNOX浄化用混練物の適用方法は、セメント100重量部、酸化チタン粉末5重量部〜50重量部、細骨材50重量部〜400重量部及び水からなる混練物を存在させることを特徴とするもので、これにより舗装道路の表面に直接適用することができ、在来の道路のブロックを新たに交換する必要がなく、効率的に適用できるという優れた効果を奏するものである。しかも細骨材を加えているので、舗装道路の表面にあっては耐すべり性並びに耐摩耗性を増すことができるという優れた効果を奏するものである。また本発明では、混練物中に長さ10mm以下の繊維を添加することにより付着強度を増加させることができる。また混練物中に樹脂を添加することにより得られた吹き付け物の強度が向上する。更に混練物中に着色顔料を0.5重量部〜20重量部含有することにより、道路表面を美的に形成することができる。細骨材として、砂或いは珪砂から選ばれる少なくとも1つを用いることにより耐すべり性及び耐久性に優れており、特に珪砂を有するときには、太陽光を多く吸収できるので、NOX除去効果が大きい。更にまた適用した混練物の表面に凹凸を形成することによりいっそうの光吸収性を増加させることができる。
【0008】本発明において存在させる又は適用するとは、道路の表面にNOX浄化用混練物を比較的厚く付着させることであり、また吹き付けの手段を用いて行うことであり、更にはスラリー状にして表面に掛けること、この他これに準ずる手段をも含む意味に用いている。本発明において適用された混練物の厚みは15mm〜2mmであり、好ましくは10mm〜2mmである。本発明において、混練物の厚みが15mmを越えると太陽光が浸透しにくくなりチタン層が無駄になる。またその厚みが2mm未満ではNOXの浄化効率が悪くなると共に耐久性が劣る。
【0009】
本発明において、細骨材としては、砂、ガラス、珪砂等が用いられるが、砂を用いた場合には、光透過性の高いガラス粒や珪砂を加えて用いることにより十分な光が奥深くまで浸透しNOXの浄化効率を良くする。更に適用された混練物の表面は、凹凸にすることにより光の吸収性と大気との接触面積を増し、また舗装用に用いるときには、凹凸により耐すべり性を向上させることもできる。この凹凸の形成は、適用時に混練物が硬化しないうちに押型で凹凸を付ける等により行うことができる。この凹凸形状としては、ジグザグ型、波型又は台形型等が挙げられるが、他の凹凸形状や適宜の模様でも前記効果を損なわない限り用いることができる。凹凸の深さは2mm〜7mmが好ましく、山と山との長さは4mm〜10mmが好ましい。
【0010】
本発明に用いられる混練物中の酸化チタンの割合は、酸化チタンの種類、粒度等によって異なるが、セメント100重量部に対して、酸化チタン粉末5重量部〜50重量部であり、好ましくは酸化チタン粉末10重量部〜50重量部が用いられる。更に好ましくは酸化チタン粉末20重量部〜50重量部である。本発明に用いられる混練物の成分割合がセメント100重量部に対して酸化チタン粉末は、5重量部より少ないとNOXの浄化効率が良くなく、50重量部を越えると耐すべり性が悪くなるばかりか耐摩耗性も劣る。またセメント100重量部に対して砂50重量部より少ないと耐すべり性並びに耐摩耗性が減少し、400重量部を越えると相対的に酸化チタン粉末が少なくなりNOXの浄化効率が劣る。本発明において好ましい混練物の成分割合は、セメント100重量部に対して酸化チタン粉末10重量部〜50重量部、更に好ましくは20重量部〜50重量部、及び砂50重量部〜300重量部である。
【0011】
本発明に用いられる混練物に添加される繊維としては、特に限定されるものではないが、繊維としては、ワラストナイト、石綿、Eガラス繊維、耐アルカリガラス繊維、ステンレス繊維、等の無機繊維;パルプ等の天然有機繊維又は合成繊維等が挙げられ、更に具体的には天然有機繊維として、NBKパルプ、LBKパルプ、木綿パルプ、麻パルプ等のパルプ、木粉、鋸屑、コルク粉、各種繊維等が挙げられ、合成繊維としては、塩化ビニル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ビニロン、ポリエチレン、アラミド繊維、炭素繊維等が挙げられる。これらの繊維は、10以下、好ましくは1mm〜10mmの長さのものがよく、更には2mm〜10mmの長さのものがよい。また繊維の直径は、0.001mm〜2mmが好ましい。本発明に用いられる繊維の添加量としては、0.1重量部〜5.0重量部であり、好ましくは1.0重量部〜4.0重量部である。繊維の添加量が0.1重量部未満では壁表面に対する付着性が弱く、また5.0重量部を越えると、空隙が多くなり強度が低下する。
【0012】
本発明に用いられる混練物に添加される樹脂は、エマルジョン、液体又は粉末等で添加されるが、特に限定されるものではなく、樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、SBR、EVA、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。本発明に用いられる樹脂の添加量としては、2重量部〜100重量部であり、好ましくは3重量部〜10重量部、更に好ましくは3重量部〜8重量部である。樹脂の添加量が2重量部未満では接着強度の増加効果がない。また100重量部を越えると、樹脂により通気性が低下し、NOX浄化効果が低下する。更に着色顔料としては、無機顔料が好ましく、例えば、ベンガラ、ニッケルチタンイエロー、群青、紺青、コバルトブルー、カーボンブラック、コバルト緑等が挙げられる。本発明に用いられる着色顔料の添加量としては、0.5重量部〜20重量部であり、この範囲で優れた着色効果を奏する。
【0013】(作用)本発明において、舗装道路に適用する場合には、砂、ガラス、珪砂を用いることにより耐すべり性や耐摩耗性が得られると共にガラス、珪砂を用いるときには、良好な光透過性が得られる。更に表面に凹凸を設けることにより全方向からの光の侵入を可能にする。また繊維や樹脂を添加した混練物では、外壁に対する付着が十分得られると共に強度が向上した。更に着色顔料を添加することにより美的に優れた道路表面を形成することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
〔実施例1〕ポルトランドセメント100重量部、酸化チタン30重量部、水100重量部を配合し混練してスラリーを形成した。このスラリーを吹き付け装置でアスファルト舗装の表面に吹き付け塗装した。厚さは5mmであった。吹き付け装置を用いて吹き付けるだけで簡単に効率よくアスファルト舗装の表面を塗装することができた。また付着強度及び混練物の硬化強度を測定し、表1に示した。
【0016】
〔実施例2〕ポルトランドセメント100重量部、酸化チタン30重量部、砂150重量部、水150重量部を配合し混練してスラリーを形成した。このスラリーを吹き付け装置でアスファルト舗装の表面に吹き付け塗装した。厚さは5mmであった。吹き付け装置を用いて吹き付けるだけで簡単に効率よくアスファルト舗装の表面を塗装することができた。また付着強度及び混練物の硬化強度を測定し、表1に示した。
【0017】
〔実施例3〕ポルトランドセメント100重量部、酸化チタン25重量部、砂100重量部、水200重量部、炭素繊維(ピッチ系、長さ6mm)2重量部を混練してスラリーを形成した。このスラリーを吹き付け装置で建物のコンクリート壁に吹き付けた。厚さは3mmであった。吹き付け装置を用いて吹き付けるだけで簡単に効率よく外壁の表面を塗装することができた。また付着強度及び混練物の硬化強度を測定し、表1に示した。
【0018】
〔実施例4〕ポルトランドセメント100重量部、酸化チタン25重量部、砂100重量部、水200重量部、ガラス繊維(ピッチ系、長さ6mm)2重量部、アクリル樹脂エマルジョン10重量部(カチオン系)を混合して混練しスラリーを形成した。このスラリーを吹き付け装置で建物のコンクリート壁に吹き付けた。厚さは3mmであった。吹き付け装置を用いて吹き付けるだけで簡単に効率よく外壁の表面を塗装することができた。また付着強度及び混練物の硬化強度を測定し、表1に示した。
【0019】
【0020】
【表1】

【0021】
【発明の効果】本発明は、セメント100重量部、酸化チタン粉末5重量部〜50重量部、及び少なくとも砂或いは珪砂から選択された細骨材を主成分とした混練物を舗装道路の表面に存在させることによりNOX浄化の設備を必要としないで効率よく表面に適用することができる。また本発明では、砂をセメント100重量部に対して50重量部〜400重量部加えることにより耐すべり性や耐摩耗性を改善することができる。また繊維や樹脂を添加した混練物では、付着が十分得られると共に強度が向上する。更に着色顔料を添加することにより美的に優れた道路表面を形成することができる。また本発明の方法で舗装道路に適用する場合には、舗装ブロックを交換する必要がなく適用効率がよい。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-08-12 
出願番号 特願平8-38137
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 武重 竜男  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 野田 直人
西村 和美
登録日 2002-04-05 
登録番号 特許第3293449号(P3293449)
権利者 三菱マテリアル株式会社
発明の名称 NOX 浄化用混練物を適用する方法  
代理人 中島 幹雄  
代理人 中島 幹雄  

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