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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1107125
審判番号 不服2004-9215  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-02-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-06 
確定日 2004-11-11 
事件の表示 平成 9年特許願第185614号「投影露光装置及び投影露光方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月 2日出願公開、特開平11- 31647〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、出願日が平成9年7月11日である特願平9-185614号であって、平成16年3月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成16年5月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成16年5月27日付けで手続補正がなされた。

2.平成16年5月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年5月27日付けの手続補正を却下する。
[理由]独立特許要件違反
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成15年11月26日付け手続補正書の請求項11の、「光源によりレチクルテーブルに載せられたレチクルに光を照射し、上記レチクルを透過した上記光源からの光を縮小投影レンズを用いてウェーハ上に投影させる工程において、
第1の温調手段を用いて設定温度の±0.1℃の範囲内に温度調節された気体を、上記レチクルの光源側斜め上方から上記レチクルの光源側の表面に向けて吹き付けることによって上記レチクルの温度を調節することを特徴とする投影露光方法。」から
「ペリクルが備えられたレチクルを、上記レチクルにおける上記ペリクルが備えられた側の面を下にし、上記レチクルにおける上記ペリクルが備えられていない側の面を上にしてレチクルテーブル上に配置し、光源により上記レチクルテーブルに載せられた上記レチクルに光を照射し、上記レチクルを透過した上記光源からの光を縮小投影レンズを用いてウェーハ上に投影させる工程を有し、
第1の温調手段を用いて設定温度の±0.1℃の範囲内に温度調節された気体を、上記第1の温調手段の第1の送風部によって上記レチクルの光源側斜め上方から上記レチクルの上記ペリクルが備えられていない側の面に向けて吹き付け、上記レチクルの上記ペリクルが備えられていない側の面に沿って、上記レチクルの一端から他端に流すことによって上記レチクルの温度を調節することを特徴とする投影露光方法。」と補正された。

この補正は、「レチクル」に「ペリクルが備えられた」ことを限定し、「ペリクルが備えられたレチクル」がレチクルテーブルに載せられた態様を、「上記レチクルにおける上記ペリクルが備えられた側の面を下にし、上記レチクルにおける上記ペリクルが備えられていない側の面を上にしてレチクルテーブル上に配置し」と限定し、「温度調節された気体を、レチクルの光源側の表面に向けて吹き付ける」手段を「第1の温調手段の第1の送風部によって」と限定し、吹き付ける場所を「上記レチクルの上記ペリクルが備えられていない側の面に向けて」と限定し、レチクルの温度を調節する気体の動きを「上記レチクルの上記ペリクルが備えられていない側の面に沿って、上記レチクルの一端から他端に流すことによって」と限定したものである。

これらの補正は、特許法第17条の2第4項第2号の限定的減縮に該当するものである。そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-102450号公報(以下、引用例1という。)には、以下の点が記載されている。

ア.【0001】【発明の属する技術分野】
本発明は露光装置、特に半導体集積回路製造装置における縮小投影露光装置のパターン寸法精度を要求される露光装置(露光システム)に適用して有効な技術に関する。

イ.【0013】【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
・・・
【0015】
図1は本発明の一実施形態である縮小投影露光装置の概略構成図である。
【0016】
本実施形態の露光装置は、たとえば縮小投影露光装置であり、図1に示すように、水平XY方向に移動制御されるステージ1を有している。このステージ1上には、被露光物である半導体基板(ウエハ)2が真空吸着等によって固定される。図示はしないが、前記半導体基板2の主面(上面)には、露光によって感光するホトレジスト膜が形成されている。
【0017】
前記ステージ1の上方には露光パターンを形成したレチクル3が取り付けられるレチクルステージ4が配設されている。
【0018】
前記レチクルステージ4の上方には露光光源5と、この露光光源5から発光された光(露光光)6を下方のレチクル3に案内する凹面鏡7が配設されている。前記露光光源5は、たとえば、水銀ランプからなっている。また、前記ステージ1とレチクル3間には、縮小レンズ8が配設されている。
【0019】
レチクル3のパターンをウエハ2の表面に結像させる光学系は、実際には前記凹面鏡7,縮小レンズ8以外にも多くの光学部品が使用されている。

ウ.【0020】
一方、これが本発明の特徴の一つであるが、前記レチクルステージ4の周囲には、レチクルステージ4を囲むように上下が開口した箱状のハウジング10が配設されている。上下の開口は、露光光6に支障を来さないためのものである。したがって、上下部分を透明なガラス板で塞ぎ、ハウジング10を密閉構造とすることもできる。
【0021】
また、前記ハウジング10の一側には空気供給管11が取り付けられ、他側には空気排気管12が取り付けられている。空気供給管11からは所定の温度の空気13がハウジング10内に送り込まれる。また、前記所定の温度の空気13は、層状の空気流14となって前記レチクル3の上下面に沿って流れ、反対側に取り付けられた空気排気管12からハウジング10外に運び出される。
【0022】
前記空気供給管11および空気排気管12は、温度調節装置15に接続されている。前記空気13は温度調節装置15からハウジング10に向かって送り出されるとともに、ハウジング10から温度調節装置15に戻り、順次循環するようになっている。この間、温度調節装置15では送り出される空気13は所定の温度に調整される。温度調整は、前記レチクルステージ4に取り付けられた温度センサ16による温度検出情報に基づいて行われる。前記温度センサ16は、ハウジング10内の温度を検出するようになっている。前記温度センサ14の温度検出情報は前記温度調節装置13に送られる。温度調節装置13では、前記温度検出情報に基づき、空気13を所定の温度に調整する。

エ.【0034】
(1)レチクルは常に所定の温度の空気流内に置かれるため、熱容量の小さいレチクルは露光光の照射によって温度が上がっても前記空気流によって冷やされ、極めて短時間の間に所定の温度となるため、レチクルの温度が常に所定の状態で露光が行え、合わせ精度は均一となる。この結果、感光歩留りが向上する。

上記記載事項、及び図1,図2も参照すれば、引用例1には、「レチクル3をレチクルステージ4に取り付け、露光光源5から発光された光(露光光)6を下方のレチクル3に案内し、ステージ1とレチクル3間に配設された縮小レンズ8を介して、ステージ1上に固定されたウエハ2の表面にレチクル3のパターンを結像させ、温度調節装置15で所定の温度に調整された空気13を空気供給管11からレチクル3に吹き付け、空気13は、層状の空気流14となって前記レチクル3の上下面に沿って流れ、反対側に取り付けられた空気排気管12からハウジング10外に運び出されることによってレチクルの温度を所定の温度に調整する縮小投影露光方法。」(以下「引用発明」という。)が記載されている。

また、同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-63485号公報(以下、引用例2という。)には、以下の点が記載されている。
オ.±0.01℃程度の精度で複数の温度制御対象の温度を管理する(公報第2頁左上欄下から5〜4行)

また、同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-45827号公報(以下、引用例3という。)には、以下の点が記載されている。
カ.気体の温度制御の精度は例えば±3/100℃である。(公報第4頁左欄36、37行)

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「レチクルステージ4」、「露光光源5」、「光(露光光)6を下方のレチクル3に案内し」、「縮小レンズ8」、「ウエハ2の表面にレチクル3のパターンを結像させ」、「温度調節装置15」、「所定の温度に調整された空気13」、「空気供給管11」、「層状の空気流14となって前記レチクル3の上下面に沿って流れ、反対側に取り付けられた空気排気管12からハウジング10外に運び出されることによってレチクルの温度を所定の温度に調整する」、及び「縮小投影露光方法」が、本願補正発明の「レチクルテーブル」、「光源」、「レチクルに光を照射し」、「縮小投影レンズ」、「ウェーハ上に投影させる工程を有し」、「第1の温調手段」、「設定温度の範囲内に温度調節された気体」、「第1の送風部」、「レチクルの面に沿って、上記レチクルの一端から他端に流すことによって上記レチクルの温度を調節する」、及び「投影露光方法」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、「レチクルを、レチクルテーブル上に配置し、光源により上記レチクルテーブルに載せられた上記レチクルに光を照射し、上記レチクルを透過した上記光源からの光を縮小投影レンズを用いてウェーハ上に投影させる工程を有し、
第1の温調手段を用いて設定温度に温度調節された気体を、上記第1の温調手段の第1の送風部によって上記レチクルに向けて吹き付け、上記レチクルの面に沿って、上記レチクルの一端から他端に流すことによって上記レチクルの温度を調節することを特徴とする投影露光方法。」の点で一致し、以下の各点で相違している。

相違点1;
本願補正発明は、レチクルにペリクルが備えられ、ペリクルが備えられたレチクルを、ペリクルが備えられた側の面を下にし、ペリクルが備えられていない側の面を上にしてレチクルテーブル上に配置しているのに対し、引用発明は、そのような限定がない点。

相違点2;
本願補正発明は、温度調節の範囲を±0.1℃の範囲内としているのに対し、引用発明は、そのような限定がない点。

相違点3;
本願補正発明は、気体を吹き付ける向きを、光源側斜め上方から上記レチクルの上記ペリクルが備えられていない側の面に向け、とし、上記ペリクルが備えられていない側の面に沿って流す、としているのに対し、引用発明は、そのような限定がない点。

(4)判断
相違点1ついて
レチクルにペリクルを備え、ペリクルが備えられたレチクルを、ペリクルが備えられた側の面を下にし、ペリクルが備えられていない側の面を上にしてレチクルテーブル上に配置することは、従来周知(例えば、特開平8-124822号公報、実願昭59-170405号(実開昭61-85850号)のマイクロフィルム(レチクルテーブルに相当するものは図示されていないが、その点は自明。)等参照。)であり、引用発明のレチクルについても、そのような構成のものを適用し、相違点1の構成とすることは、当業者にとって容易である。

相違点2ついて
引用発明においても、空気13を所定の温度に調整することが記載されており、その場合、温度の変動が少ない方がよいことは、当業者にとって自明であり、その範囲を「設定温度の±0.1℃の範囲内」とすることは、温度維持の目安に過ぎない。
また、上記記載事項オ.、カ.にあるように、引用例2に「±0.01℃程度の精度」、引用例3に「温度制御の精度は例えば±3/100℃」と記載され、また、周知例として引用された特開昭55-123131号公報第2頁右上欄にも「このようにマスクとウエハ領域の温度を各々独立に制御することは、夫々が分担すべき温度制御領域は小さくてすむので、その温度制御の精度は例えば0.01℃ときわめて高くとれるという効果がある。」と記載され、これらは相違点2の数値範囲に含まれるものである。
結局、相違点2のように限定することは、当業者が必要に応じて決定し得る設計事項である。

相違点3ついて
気体を吹き付けるのに、光源側斜め上方からレチクルの面に向けて吹き付けることは、従来周知(例えば、特開昭55-123131号公報、特開平4-115516号公報等参照。)であり、引用発明においても、そのような構成を適用し、相違点3の構成とすることは、当業者にとって容易である。
また、ペリクルが備えられていない側の面を上にしてレチクルテーブル上に配置することは、相違点1で検討したように当業者にとって容易であり、光源側斜め上方からレチクルの面に気体を吹き付ければ、気体は当然、ペリクルが備えられていない側の面に沿って流れることとなるので、この点は格別意義のある構成とはいえない。

請求人は、審判請求の理由の中で、「引用文献7(特開昭55-123131号公報)では、マスク保持体3に保持されたマスク4に不活性ガス10,11を噴射することを示すことからして、マスク4におけるマスク保持体3にて保持されて生ずる段差部分近傍におけるマスク4には不活性ガス10,11が効率的に吹き付けられることが妨げられ、レチクルの一端側から他端側へ気体が流れるように、気体を吹き付けると言ったことが実現できるものではありません。特に、引用文献7に図示された気体の流れの方向からして、マスク4の端部から気体を噴射することなど全く考慮されたものではないことは明らかです。」、「引用文献6(特開平4-115516号公報)では、第9図に示されるように、その目的(マスクの膨らむ部分に圧力をかける)からしてマスク1の中心部分に対して気体を噴射することを開示するに過ぎず、本願発明のように、レチクルの一端側から他端側へ気体が流れるように、気体を吹き付けるものではありません。なお、引用文献6では、ノズルから気体を噴射するものの、上記のように局部的に気体を吹き付けることを目的としていることから、ノズルを用いていることが示唆されるに過ぎず、本願発明のように、レチクルの一端側から他端側へ気体が流れるように、気体を吹き付けるものに対してノズル構成を適用することなど全く想到され得るものではありません。」と主張している。
しかし、特開昭55-123131号公報には、「所定温度に・・・冷却された窒素等の不活性ガス10,11をマスク表面及び裏面に噴射することによって制御され」(公報第2頁右下欄)、「その温度制御の精度は例えば0.01℃ときわめて高くとれる」(公報第2頁右上欄)と記載され、また、特開平4-115516号公報にも、「第9図のような噴射ノズル15を用いて、気体3を同時に冷却することが可能である。その場合は噴射される気体の温度を調節すればよい。」(マスク下の気体3を冷却すればマスクも冷却されることは自明。)(公報第5頁左上欄)と記載されるように、本願発明と同様の作用・効果を奏するものである。
そして、引用発明には、「空気13を空気供給管11からレチクル3に吹き付け、空気13は、層状の空気流14となって前記レチクル3の上下面に沿って流れ、反対側に取り付けられた空気排気管12からハウジング10外に運び出される」点、すなわち「レチクルの一端側から他端側へ気体が流れるように、気体を吹き付ける」点が開示されているのであるから、上記周知例に記載された「気体を光源側斜め上方からレチクルの面に向けて吹き付ける」構成を引用発明に適用し、相違点3の構成とすることは、当業者にとって容易であることは上述のとおりであり、請求人の主張は採用できない。

そして、本願補正発明の効果も、引用発明、及び従来周知の技術事項から予測される範囲のもので格別のものとは言えない。

したがって、本願補正発明は、引用例1〜3に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年5月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項11に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年11月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項11に記載された事項により特定されるものである。(上記、「2.(1)補正後の本願発明」参照。)

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1の記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、上記「2.(1)補正後の本願発明」で述べた構成の限定を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1〜3、及び従来周知の技術事項に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1〜3に記載された発明、及び従来周知の技術事項にに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1〜3に記載された発明、及び従来周知の技術事項にに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-09-02 
結審通知日 2004-09-07 
審決日 2004-09-29 
出願番号 特願平9-185614
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 勉  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 辻 徹二
鹿股 俊雄
発明の名称 投影露光装置及び投影露光方法  
代理人 山形 洋一  
代理人 前田 実  

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