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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01M
管理番号 1107164
審判番号 不服2001-347  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-11-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-11 
確定日 2004-11-11 
事件の表示 平成 7年特許願第104285号「光ファイバー用コア母材の屈折率分布測定方法と屈折率分布測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年11月12日出願公開、特開平 8-297071〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 経緯・本願発明

本願は、平成7年4月27日の出願であって、その請求項1ないし6に係る発明は、平成16年7月16日付けの手続補正書により補正された明細書又は図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項3の記載は次のとおりである。(以下「本願発明3」という。)

「単一のレーザーと、レーザーを出射したレーザー光を2光路に分離させる光学系と、その2光路を通って干渉像を合焦させる光学系とを有する干渉計の、2光路のうちの一方の光路を横切って光ファイバー用コア母材を軸方向にのみ移動させる駆動装置が設置されていることを特徴とする光ファイバー用コア母材の軸方向における屈折率分布測定装置。」

2. 刊行物に記載された事項

これに対して、当審における拒絶の理由で引用された刊行物1:特開昭53-074477号公報、刊行物2:特表昭57-500263号公報、および刊行物3:特開平06-123672号公報には、以下の事項が記載されている。

(1) 刊行物1
(1a)「3.発明の詳細な説明 本発明は例えば光ファイバに使用される材料等の複素群屈折率を直接的に測定する方法に関するものである。」(第2頁左上欄第9から12行目)

(1b)「…変調信号発生器1を出た変調信号2は半導体レーザ等の半導体光源3を直接変調(または、通常のレーザを外部変調器で変調)し、ここから変調光4を導出せしめる。この変調光4は適当なピンホール5によってビーム径を所定の値にセットし、ハーフミラー6で基準光7と測定光8に分割される。…」(第2頁左下欄第19行目から右上欄第5行目)

(1c)「第3図は本発明による測定方法を適用するための測定装置の他の実施例の概略構成を示すもので、基本的にはマッハツェンダー干渉計を利用している。この場合電気系については第1図の実施例と同じなので光学系についてのみ説明すると、変調光4は絞り5で適当なビーム径にセットされてハーフミラー6に至り、ここで基準光7と測定光8に分割される。このうち測定光8は試料9を通過した後、全ミラー16とハーフミラー17で反射されて光検出器11に入射する。一方、基準光7は全ミラー18で反射された後、光減衰器12とハーフミラー17を通過して光検出器11に入る。…」(第5頁左上欄第8から20行目)

(1d)「…具体的な応用例としては光ファイバの線引に使用されるプリホームロッドの屈折率分布の測定…」(第5頁右下欄第20行目から第6頁左上欄第2行目)

(2) 刊行物2
(2a)「第1図は本発明の実施例の1つを上から見た図であり、第2図は本発明の参考例を側面から見た図である。各々の図では、アーク灯10からの光はコリメータ12により平行化されており、物体としての光フアイバプレフォーム14は直径全体に渡り平行化された光束16で照射されている。プレフォーム14は、透明で側面が平行な屈折率整合液体用の容器18の中に支持されている。容器18は、プレフォーム14の長さに沿った様々な位置がテストされ得るようにプレフォーム14の垂直位置を変え得るO(オー)リング19により密封されている。容器18は、ブレフォーム14が入射光束によって走査されることを許容するステッピングテープル17により任意に支持されている。」(第3頁右下欄第11から23行目)

(3) 刊行物3
(3a)「【請求項6】請求項4または請求項5に記載の光ファイバ母材の検査方法であって、光ファイバ母材の長手方向に沿って移動させながらその側面から光を透過させて投影した像により光ファイバ母材の長手方向に渡り前記検査をすることを特徴とする光ファイバ母材の検査方法。」
3. 対比・判断

本願発明3と刊行物1に記載された発明(以下「引用発明1」という)とを比較すると、刊行物1の第3図はマッハツェンダー干渉計を利用しており、同図における、試料9を通過した後、全ミラー18’とハーフミラー17で反射されて光検出器11に入射する測定光と、全ミラー18で反射された後、光減衰器12とハーフミラー17を通過して光検出器11に入る基準光は、光検出器上で干渉像を合焦していることは明らかである。(尚、刊行物1には、「全ミラー16とハーフミラー17で反射されて…」と記載されているが、「全ミラー16」は、「全ミラー18’」の明らかな誤記であると認められる。)また、刊行物1に記載された「プリホームロッド」は、本願発明の「母材」に相当するから、両者は、

「単一のレーザーと、レーザーを出射したレーザー光を2光路に分離させる光学系と、その2光路を通って干渉像を合焦させる光学系とを有する干渉計の、2光路のうちの一方の光路を横切って光ファイバー用母材が設置されていることを特徴とする光ファイバー用母材の屈折率分布測定装置」
である点で一致し以下の点で相違している。

(相違点1)
本願発明3は、屈折率分布を測定する対象を光ファイバー用コア母材に限定しているのに対し、引用発明1の屈折率分布を測定する対象は、光ファイバに使用される材料等であり、その具体的な応用例として、光ファイバの線引に使用されるプリホームロッド(母材)の測定が記載されているが、光ファイバー用コア母材に限定する旨の記載は無い点。

(相違点2)
本願発明3は、軸方向における屈折率分布測定するために母材を軸方向にのみ移動させる駆動装置が設置されているのに対し、引用発明1は、どの方向の屈折率分布をどのように測定したのか記載されていない点。

上記(相違点1)について検討する。
光ファイバ用コア母材は光ファイバ用母材の1形態であって、屈折率分布を測定する上で、測定対象がコア母材であるか、母材であるかによる測定装置としての格別の差異はないから、屈折率分布を測定する対象を光ファイバ用コア母材に限定した点に格別の意味は認められない。

上記(相違点2)について検討する。
刊行物2には、「…プレフォーム14の長さに沿った様々な位置がテストされ得るようにプレフォーム14の垂直位置を変え得る…」と記載され、刊行物3には、測定装置と光ファイバ用母材とを母材の軸方向に相対的に移動させる駆動装置と光ファイバ用母材を回転させる駆動装置とが記載されており、光ファイバ用母材の軸方向の屈折率分布は一定でなければならないことは周知であって、軸方向における屈折率分布を測定するために、光ファイバ用母材を軸方向に移動させる駆動装置のみを引用発明1に適用することは、刊行物2及び3の記載から当業者であれば容易に想到できたことである。

そして、出願人が主張する本願発明の効果についても、刊行物1、2及び3に記載された発明に基いて、当業者が当然に予測できる範囲内のものと認められる。

4.まとめ

したがって、本願発明は、刊行物1、2及び3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。そうである以上、本願請求項1、2、4、5および6に係る発明についての検討にかかわらず、本件出願は拒絶されるべきものである。

よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2004-09-01 
結審通知日 2004-09-07 
審決日 2004-09-22 
出願番号 特願平7-104285
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 居島 一仁  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 橋場 健治
福島 浩司
発明の名称 光ファイバー用コア母材の屈折率分布測定方法と屈折率分布測定装置  
代理人 小宮 良雄  

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