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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1107556
審判番号 不服2003-16847  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-12-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-01 
確定日 2004-11-24 
事件の表示 平成 5年特許願第131608号「画像処理装置およびその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年12月13日出願公開、特開平 6-343119〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年6月2日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「カラー原稿画像を読み取る読取手段、読み取られたカラー画像を編集処理する編集手段、および、編集処理されたカラー画像を記録媒体へカラー記録する記録手段を有する画像処理装置であって、さらに、
前記読取手段により読み取られたカラー画像または前記編集処理されたカラー画像をモニタに表示する表示手段と、
前記モニタに表示したカラー画像上で、複数の編集領域を設定するための設定手段と、
前記編集領域内または前記編集領域外を所望領域として指定するための指定手段とを有し、
前記表示手段は、前記編集領域を前記モニタに表示したカラー画像上に表示し、前記編集手段は、前記所望領域のカラー画像に所定の編集処理を施すことを特徴とする画像処理装置。」

2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-296463号公報には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「第1図は本発明に係る一実施例のカラー画像処理システムの概略内部構成の一例を示すシステム構成図であり、本実施例システムは第1図図示のように上部にデジタルカラー画像を読取るデジタルカラー画像読取り装置(以下、「カラーリーダ」と称する)1と、下位にデジタルカラー画像を印刷出力するデジタルカラー画像プリント装置(以下、「カラープリンタ」と称する)2、画像記憶装置3とSV録再生機31、モニタテレビ32、およびホストコンピユータ33、フイルムスキヤナ34より構成される。
本実施例のカラーリーダ1は、後述する色分解手段と、CCD等で構成される光電変換素子とにより、読取り原稿のカラー画像情報をカラー別に読取り、電気的なデジタル画像信号に変換する装置である。
また、カラープリンタ2は、出力すべきデジタル画像信号に応じてカラー画像をカラー別に制限し、被記録紙にデジタル的なドツト形態で複数回転写して記録する電子写真式のレーザビームカラープリンタである。」(2頁左下欄5行〜同右下欄5行)
イ 「第1図のカラーリーダ1において、999は原稿、4は原稿を載置するプラテンガラス、5はハロゲン露光ランプ10により露光走査された原稿からの反射光像を集光し、等倍型フルカラーセンサ6に画像入力するためのロツドアレイレンズである。ロツドアレイレンズ5、等倍型フルカラーセンサ6、センサ出力信号増巾回路7、ハロゲン露光ランプ10が一体となって原稿走査ユニツト11を構成し、原稿999を矢印(A1)方向に露光走査する。原稿999の読取るべき画像情報は、原稿走査ユニツト11を露光走査することにより1ライン毎に順次読取られる。読取られた色分解画像信号は、センサ出力信号増巾回路7により所定電圧に増巾されたのち、信号線501によりビデオ処理ユニツトに入力され、ここで信号処理される。」(3頁左上欄14行〜同右上欄8行)
ウ 「第13図は、領域発生回路69における領域信号発生(前述のMAREA566,UAREA572,KAREA573など)の説明のための図である。領域とは、例えば第13図(e)の斜線部のような部分を指し、これは副走査方向の区間に、毎ライン言いか変えれば、HSYNCごとに第13図(e)のタイミングチヤートAREAのような信号で他の領域と区別される。なお、かかる領域は例えばデジタイザ16等で指定される。
第13図(a)〜(d)は、この領域信号の発生位置,区間長,区間の数がCPU22によりプログラマブルに、しかも多数得られる構成を示している。本構成に於いては、1本の領域信号はCPUアクセス可能なRAMの1ビツトにより生成され、例えばn本の領域信号AREA0〜AREAnを得るために、nビツト構成のRAMを2つ有している(第13図(d)85A,85B)。
いま、第13図(b)のような領域信号AREA0,およびAREAnを得るとすると、RAMのアドレスx1,x3のビツト0に“1"を立て、残りのアドレスのビツト0は全て“0"にする。一方、RAMのアドレス1,x1,x2,x4に“1"をたてて、他のアドレスのビツトnは全て“0"にする。HSYNCを基準として一定クロツクに同期して、RAMのデータを順次シーケンシヤルに読み出していくと、例えば、第13図(c)のように、アドレスx1とx3の点でデータ“1"が読み出される。この読み出されたデータは、第13図(d)86-0〜86-nのJ-KフリツプフロツプのJ,K両端子に入っているので、出力はトグル動作、すなわち、RAMより“1"が読み出されCLKが入力されると、出力“0"→“1",“1"→“0"に変化して、AREA0のような区間信号、従って領域信号が発生される。また、全アドレスに亘ってデータ=“0"とすると、領域区間は発生せず領域の設定は行われない。
第13図(d)は本回路構成であり、85A,85Bは前述したRAMである。これは、領域区間を高速に切り換えるために例えば、RAMA85Aよりデータを毎ラインごとに読み出しを行っている間にRAMB85Bに対し、CPU22より異なった領域設定のためのメモリ書き込み動作を行うようにして、交互に区間発生と、CPUからのメモリ書き込みを切り換える。従って、第13図(f)の斜線領域を指定した場合、A→B→A→B→AのようにRAMAとRAMBが切り換えられ、これは第13図(d)において、(C3,C4,C5)=(0,1,0)とすれば、VCLKでカウントされるカウンタ出力がアドレスとして、セレクタ87Aを通してRAMA85Aに与えられ(Aa)、ゲート88A開、ゲート88B閉となってRAMA85Aから読み出され、全ビツト幅、nビツトがJ-Kフリツプフロツプ86-0〜86-nに入力され、設定された値に応じてAREA0〜AREAnの区間信号が発生される。
BへのCPUからの書込みは、この間アドレスバスA-Bus、データバスD-Bus、およびアクセス信号/により行う。逆にRAMB85Bに設定されたデータに基づいて区間信号を発生させる場合(C3,C4,C5)=(1,0,1)とすることで、同じように行え、CPUからのRAMA85Aへのデータ書き込みが行える。
従って、例えば、この領域信号に基づき、画像の切り出し(トリミング)、枠ぬき等の画像の加工を容易に行うことができる。すなわち、第2図で領域発生回路69より前述したごとく発生される領域信号590は、I/Oポート25より出力される領域切換え信号ECH591で、セレクター89において選択され、ANDゲート90の入力に入力される。これは、図から明らかなように、例えば第13図(b)、AREA0のごとく信号590を形成すれば、x1からx3までの間の画像の切り出しであり、AREAnのごとく形成すれば、x1からx2までの間が枠で抜け、1からx1,x2からx4までの区間でが画像の切り出しであることは容易に理解されるであろう。」(7頁左下欄17行〜8頁左下欄12行)
エ 「以上のようにビデオ処理ユニツト12で処理された画像情報はプリンタインターフエイス56を介しカラープリンタ2に出力される。」(14頁左下欄9〜11行)

これら記載事項及び第1,2図、第13図(a)〜(f)によると、引用刊行物には、「カラーリーダにおいて原稿走査ユニットからの色分解信号をビデオ信号ユニットで信号処理し、処理された画像情報をカラープリンタに出力するカラー画像処理システムであって、ビデオ信号ユニットではデジタイザ等で指定された複数の領域について領域信号を発生し、この領域信号に基づき画像の切り出し、枠抜き等の画像の加工を行うカラー画像処理システム」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「原稿走査ユニット」、「ビデオ信号ユニット」、「カラープリンタ」、「デジタイザ」、「画像の切り出し、枠抜き等の画像の加工」及び「カラー画像処理システム」は、本願発明の「カラー原稿画像を読み取る読取手段」、「読み取られたカラー画像を編集処理する編集手段」、「編集処理されたカラー画像を記録媒体へカラー記録する記録手段」、「複数の編集領域を設定するための設定手段」、「所定の編集処理」及び「画像処理装置」に、それぞれ相当し、さらに、引用発明における「画像の切り出し」は「編集領域内を所望領域とすること」に、「画像の枠抜き」は、「編集領域外を所望領域とすること」に相当しそれらを指定する手段を引用発明も有することは自明であるから、
両者は、
「カラー原稿画像を読み取る読取手段、読み取られたカラー画像を編集処理する編集手段、および、編集処理されたカラー画像を記録媒体へカラー記録する記録手段を有する画像処理装置であって、さらに、
複数の編集領域を設定するための設定手段と、
前記編集領域内または前記編集領域外を所望領域として指定するための指定手段とを有し、
前記編集手段は、前記所望領域のカラー画像に所定の編集処理を施すことを特徴とする画像処理装置。」
である点で一致しているが、下記の点で相違する。

(相違点)本願発明が、前記読取手段により読み取られたカラー画像または前記編集処理されたカラー画像をモニタに表示する表示手段を有し、前記モニタに表示したカラー画像上で領域を設定し、前記表示手段は、前記編集領域を前記モニタに表示したカラー画像上に表示するものであるのに対し、引用発明はデジタイザで領域指定を行うもので本願発明のような表示手段を有さない点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討すると、画像編集をする際に画像をモニタに表示し画面上で矩形領域等の編集領域を設定しこれを表示することは、例えば特開平5-94270号公報に記載されているように当業者の周知技術であって、引用発明におけるデジタイザに代えて、編集領域設定のために上記周知技術を採用することは、当業者が容易になし得ることである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-09-28 
結審通知日 2004-10-01 
審決日 2004-10-13 
出願番号 特願平5-131608
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 手島 聖治  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 江頭 信彦
深沢 正志
発明の名称 画像処理装置およびその方法  
代理人 大塚 康徳  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  

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