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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F28F
管理番号 1107637
審判番号 不服2003-12632  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-12-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-03 
確定日 2004-11-26 
事件の表示 特願2000-167844「ラジエータ」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月21日出願公開、特開2001-349684〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年6月5日の出願であって、その請求項1〜3に係る発明は、平成15年4月23日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、それぞれ特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりの次のものである。
【請求項1】一対のタンクと、このタンクを機械的に連結するサポートと、前記一対のタンク内の冷却液が流通するようにこの一対のタンクの間を連結するとともに多数並行して配列された偏平チューブと、この偏平チューブの間にそれぞれ配置されたコルゲートフィンとを備えたラジエータにおいて、両端部近傍に配置された偏平チューブの肉厚が中心部に配置された偏平チューブの肉厚より大きいことを特徴とするラジエータ。
【請求項2】最も両端に近いそれぞれ一つの偏平チューブの肉厚が他の偏平チューブの肉厚より厚い請求項1記載のラジエータ。
【請求項3】一対のタンクと、このタンクを機械的に連結するサポートと、前記一対のタンク内の冷却液が流通するようにこの一対のタンクの間を連結するとともに多数並行して配列された偏平チューブと、この偏平チューブの間にそれぞれ配置されたコルゲートフィンとを備えたラジエータにおいて、両端部近傍に配置されたコルゲートフィンのピッチが中心部に配置されたコルゲートフィンのピッチより大きく、かつ両端部近傍に配置された偏平チューブの肉厚が中心部に配置された偏平チューブの肉厚より大きいことを特徴とするラジエータ。

2. 引用例に記載された事項
原審における平成15年2月17日付けの拒絶理由通知書の中で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平6-201287号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の記載がある。

ア.「被加熱流体が流通するフィンプレート及び加熱流体が流通するフィンプレートとが隔離板を介して交互に多数積層されてなるコア部と、該コア部を挟むように一体に取付けた側板とを備えたプレートフィン型熱交換器であって、前記側板に隣接する側のコア部の板厚を該コア部の中心部側の板厚に比して厚肉に構成したことを特徴とするプレートフィン型熱交換器。」(【請求項1】)

イ.「【作用】請求項1に記載の発明によると、側板側のコア部の板厚を該コア部の中心部側の板厚に比して厚肉に構成しているので、側板側のフィンプレートと隔離板の熱容量が大きくなって側板の熱容量との差が小さくなるので、前記側板の近傍位置に発生する急激な温度傾斜が緩和され、該温度傾斜に伴う応力の集中が防止される。」(段落番号【0008】)

3. 対比・一致点・相違点
先ず、一対のタンクと、このタンクを機械的に連結するサポートと、前記一対のタンク内の冷却液が流通するようにこの一対のタンクの間を連結するとともに多数並行して配列された偏平チューブと、この偏平チューブの間にそれぞれ配置されたコルゲートフィンとを備えたラジエータは、本出願前当業者には周知の技術(例えば、特開平10-227592号公報、実開平7-41275号公報のCD-ROM及び実願昭55-136581号(実開昭57-61384号)のマイクロフィルム参照。)である。

そこで、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)と上記した周知のラジエータを対比すると、両者は、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
[一致点]
「一対のタンクと、このタンクを機械的に連結するサポートと、前記一対のタンク内の冷却液が流通するようにこの一対のタンクの間を連結するとともに多数並行して配列された偏平チューブと、この偏平チューブの間にそれぞれ配置されたコルゲートフィンとを備えたラジエータ。」
[相違点]
本願発明1のラジエ-タは、「両端部近傍に配置された偏平チューブの肉厚が中心部に配置された偏平チューブの肉厚より大きいこと」を構成とするものであるのに対し、周知のラジエータは、扁平チューブの肉厚について、かかる構成を備えていないものである点。

4. 相違点の検討
引用例1には、被加熱流体が流通するフィンプレート及び加熱流体が流通するフィンプレートとが隔離板を介して交互に多数積層されてなるコア部と、該コア部を挟むように一体に取付けた側板とを備えたプレートフィン型熱交換器において、前記側板に隣接する側のコア部の板厚を該コア部の中心部側の板厚に比して厚肉に構成すること(以上、2.アに摘示した記載参照。)により、側板側のフィンプレートと隔離板すなわち側板側のコア部の熱容量が大きくなって側板の熱容量との差が小さくなるので、前記側板の近傍位置に発生する急激な温度傾斜が緩和され、該温度傾斜に伴う応力の集中が防止されること(以上、同じくイに摘示した記載参照。)が記載されている。
そして、引用例1記載のプレートフィン型熱交換器と前記した周知のラジエータは、いずれも高温流体と低温流体との間接熱交換という熱交換原理において共通であり、かつ、引用例1に係る応力集中の防止法を周知のラジエータに適用することの阻害要因が見当たらない以上、かかる応力集中の防止法を、多数並行して配列された偏平チューブとこの偏平チューブの間にそれぞれ配置されたコルゲートフィンとでもってコア部を形成した周知のラジエータに適用し、両端部近傍(すなわちサポート近傍)のコア部の熱容量を増大させるために、該コア部を構成する両端部近傍に配置された扁平チューブの肉厚を中心部に配置された扁平チューブの肉厚より大きくすること、すなわち、相違点に係る本願発明1の構成を想到することは、当業者であれば容易であったことというべきである。

本願発明1の効果を検討しても、当業者であれば引用例1記載の発明及び周知技術から予測し得た程度のものであって、それを超えるような格別な効果を奏するものではない。

5. むすび
したがって、本願発明1は、引用例1記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本願の他の請求項に係る発明について判断するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-09-24 
結審通知日 2004-09-28 
審決日 2004-10-12 
出願番号 特願2000-167844(P2000-167844)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F28F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丸山 英行  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 櫻井 康平
長浜 義憲
発明の名称 ラジエータ  
代理人 下平 俊直  
代理人 井出 直孝  
代理人 井出 直孝  
代理人 下平 俊直  

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