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審決分類 審判 一部申し立て 1項2号公然実施  B24B
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B24B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  B24B
審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B24B
管理番号 1107901
異議申立番号 異議2003-72102  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-08-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-08-18 
確定日 2004-09-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3377892号「金属層用化学・機械研磨スラリー」の請求項1ないし23、25ないし27に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3377892号の請求項1ないし23、25ないし27に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3377892号の請求項1ないし28に係る発明についての出願は、平成7年10月5日(パリ条約による優先権主張1994年10月6日、米国)に出願され、平成14年12月6日にその特許権の設定登録がなされ、その後、請求項1ないし23、及び請求項25ないし27に対する特許に対して旭硝子株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年7月1日に訂正請求がなされたものである。
第2 訂正の適否
1.訂正の内容
訂正事項は、特許請求の範囲の請求項1、10及び17に、「高純度のアルミナ粒子を含み、」とあるのを、「高純度のアルミナ粒子を含み、該アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成り、」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否
上記訂正事項は、特許請求の範囲の請求項1、10及び17において、「アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成り、」として、高純度のアルミナ粒子を限定しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項は、特許明細書の段落【0008】の記載に基づくものであって、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
3.独立特許要件
上記請求項17を引用する請求項24及び28に係る訂正は、特許異議の申立てがされていない請求項についての訂正であって、特許請求の範囲の減縮を目的にしたものに該当するから、訂正明細書の請求項24及び28に係る発明の独立特許要件について検討する。
訂正明細書の請求項24及び28に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項24及び28に記載された事項により特定された下記第3の2.のとおりのものであって、同請求項17の構成要件を全て含むものである。
そして、当該請求項17に係る発明が、下記第3の3.(2)ア.のように、申立人が提出した甲第1号証に記載された発明でないばかりか、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものと認めることができないので、同様の理由により、訂正明細書の請求項24及び28に係る発明は、出願の際、独立して特許を受けることができるものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについての判断
1.申立ての理由の概要
特許異議申立人旭硝子株式会社は、甲第1号証として池野順一、外1名,“超微細砥粒の表面活性を利用した物質移送に関する一考察”,砥粒加工学会誌,第36巻,第3号,1992年7月,p.155-160、甲第2号証として特開平1-205973号公報、甲第3号証として化学大事典編集委員会編「化学大事典 3」,縮刷版第37刷,共立出版株式会社,2001年9月20日,p.892-893、甲第4号証として特開平4-193712号公報を、甲第5号証として「TECHNICAL BULLETIN AEROSIL」,日本エアロジル株式会社,200年8月,p.2,10,34-35を提出し、請求項1ないし23、及び25ないし27に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であり、又は同甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし23、及び25ないし27に係る特許は、特許法第29条第1項第3号、又は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものというものであり、また、請求項1ないし23、及び25ないし27に係る特許は、特許法第36条第4項及び第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるので、取り消されるべきものというものである。
2.本件発明
本件特許の請求項1ないし28に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明28」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし28に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】 基板の金属層を化学的機械的に研磨する方法において、
(a) 水性媒質中に均一に分散した、40m2/g〜430m2/gの範囲の表面積と、1.0μ未満の凝集体サイズ分布と、0.4μ未満の平均凝集体直径と、粒子間のファンデルワールス力に反発し、これを克服するために充分な力とを有する、高純度のアルミナ粒子を含み、該アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成り、安定である化学・機械研磨スラリーを与え、次いで
(b) 半導体基板上の金属層を前記スラリーによって化学的機械的に研磨する、諸工程を含む、上記方法。
【請求項2】 金属層がタングステン、アルミニウム、銅、チタン及びこれらの合金から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】 アルミナ粒子が0.5重量%〜55重量%の範囲内で存在する請求項1記載の方法。
【請求項4】 アルミナ粒子が70m2/g未満の表面積を有し、7重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項1記載の方法。
【請求項5】 アルミナ粒子が70m2/g〜170m2/gの範囲の表面積を有し、12重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項1記載の方法。
【請求項6】 アルミナが沈降アルミナ又はヒュームドアルミナである請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】 アルミナ粒子が±10ミリボルトより大きい最大ζ電位を有する請求項1記載の方法。
【請求項8】 スラリーは酸化性成分を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】 スラリーは界面活性剤を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】 金属層を研磨するための化学・機械研磨スラリーにおいて、
水性媒質中に均一に分散した、40m2/g〜430m2/gの範囲の表面積と、1.0μ未満の凝集体サイズ分布と、0.4μ未満の平均凝集体直径と、粒子間のファンデルワールス力に反発し、これを克服するために充分な力とを有し、高純度のアルミナ粒子を含み、該アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成り、コロイド的に安定である、上記スラリー。
【請求項11】 アルミナ粒子が0.5重量%〜55重量%の範囲内で存在する請求項10記載のスラリー。
【請求項12】 アルミナ粒子が70m2/g未満の表面積を有し、7重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項10記載のスラリー。
【請求項13】 アルミナ粒子が70m2/g〜170m2/gの範囲の表面積を有し、12重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する、請求項10記載のスラリー。
【請求項14】 アルミナが沈降アルミナ又はヒュームドアルミナである、請求項12又は13に記載のスラリー。
【請求項15】 アルミナ粒子が±10ミリボルトより大きい最大ζ電位を有する請求項10記載のスラリー。
【請求項16】 界面活性剤を更に含む、請求項10記載のスラリー。
【請求項17】 金属層を研磨するための化学・機械研磨スラリーにおいて、
水性媒質中に均一に分散した、40m2/g〜430m2/gの範囲の表面積と、1.0μ未満の凝集体サイズ分布と、0.4μ未満の平均凝集体直径と、粒子と酸化性成分との間のファンデルワールス力に反発し、これを克服するために充分な力とを有する、高純度のアルミナ粒子を含み、該アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成り、コロイド的に安定である、上記スラリー。
【請求項18】 アルミナ粒子が0.5重量%〜55重量%の範囲内で存在する請求項17記載のスラリー。
【請求項19】 アルミナ粒子が70m2/g未満の表面積を有し、7重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項17記載のスラリー。
【請求項20】 アルミナ粒子が70m2/g〜170m2/gの範囲の表面積を有し、12重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項17記載のスラリー。
【請求項21】 アルミナが沈降アルミナ又はヒュームドアルミナである請求項19又は20に記載のスラリー。
【請求項22】 アルミナ粒子が±10ミリボルトより大きい最大ζ電位を有する請求項17記載のスラリー。
【請求項23】 酸化性成分が酸化性金属塩である、請求項17記載のスラリー。
【請求項24】 酸化性成分が酸化性金属錯体である、請求項17記載のスラリー。
【請求項25】 酸化性成分が鉄塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、過酸化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、過硫酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択される請求項17記載のスラリー。
【請求項26】 酸化性成分の分解を阻止し、スラリーのコロイド安定性を維持するために充分な量の添加剤を更に含む請求項17記載のスラリー。
【請求項27】 添加剤が界面活性剤である請求項26記載のスラリー。
【請求項28】 アルミナ粒子は、γ相を少なくとも50%含むヒュームドアルミナであり、酸化性成分は硝酸鉄である、請求項17記載のスラリー。」
3.特許法第29条違反について
(1)甲各号証記載の発明
甲1号証には、第155頁左欄第2〜13行、第156頁右欄第9〜22行、第158頁左欄第9〜同頁右欄第1行、第158頁右欄第4〜24行、第159頁左欄第1〜9行、第159頁左欄第20行〜同頁右欄第12行、及び第160頁左欄第27〜36行の記載からみて、
「粒径十nm程度の超微粒砥粒を用いた化学的機械的研磨について、平均粒径40nm及び0.5μmのアルミナ砥粒を用いて砥粒濃度3wt%の研磨液でアルミニウム、銅を研磨し、また、シリカ砥粒を用いた研磨液はファンデルワースル力が強まって凝集する現象は起こっておらず、よく分散していること」の発明が記載されていると認める。
甲第2号証には、第1頁左欄第4〜5行(特許請求の範囲)、第1頁左欄最下行〜同頁右欄第11行、第2頁左上欄最下行〜同頁右上欄第4行、第2頁右上欄第10〜15行、第2頁右下欄第16行〜第3頁右上欄第8行、第3頁左下欄第1行〜同頁右下欄第11行、第3頁右下欄第15行〜第4頁左上欄第10行、第4頁右上欄第1〜4行及び第4頁右上欄第12〜15行の記載からみて、
「半導体基板、金属、メモリーハードディスクを研磨するアルミナ砥粒を含む研磨剤組成物において、水、α-アルミナ、ベーマイト及び水溶性の金属塩(アルミニウムの金属と、硝酸の無機酸又は有機酸との塩)を含有し、α-アルミナは、平均粒径は0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μmであり、又最大粒径で30μm以下、好ましくは20μm以下、組成物全量に対して1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%、金属塩として硝酸塩やクエン酸塩、塩の金属イオンとしてアルミニウム等、添加剤として界面活性剤を添加してもよく、全体の分散系としてファンデルワース力に反発して電気的斥力による粒子相互間の分散効果が強まり、α-アルミナ粒子が単分散又は凝集状態で研磨パッドに保持され、ベーマイト及び水溶性金属塩が各粒子の分散又は凝集状態に影響し、研磨性能の向上をもたらすこと」の発明が記載されていると認める。
甲第3号証には、第893頁下欄の表「酸化アルミニウムの変態」の記載から、
「各酸化アルミニウムの比重は2.4〜4.0である」という事項が記載されていると認める。
甲第4号証には、第1頁左欄第18〜20行、第1頁右欄第2〜3行、及び第1頁右欄第9〜19行の記載から、
「研磨剤用途に使用可能な遷移アルミナであって、塩化アルミニウムの気相分解により得られる遷移アルミナ、即ち、ヒュームドアルミナは、主としてγ-アルミナ又はδ-アルミナからなり、BETが約100m2/gで平均粒径が約20nmである。」という事項が記載されていると認める。
甲第5号証には、第10頁図8「Aluminium Oxide C、Titanium Dioxide P25および酸化ジルコニウムのゼータ電位」の記載からみて、
「酸化アルミニウムのゼータ電位であって、酸化アルミニウムの等電位点はpH9のあたりであり、ゼータ電位が±10mVより絶対値が小さい範囲はpH8.5〜9.4の範囲という等電位点のごく近傍のみである」という事項が記載されていると認める。
(2)対比・判断
ア.本件発明1、本件発明10及び本件発明17について
本件発明1、本件発明10及び本件発明17と甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明とを対比すると、少なくとも本件発明1、本件発明10及び本件発明17の特定事項である「金属層を研磨するための化学・機械研磨スラリーにおいて、アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成る」事項が前記甲第1号証ないし甲第5号証のいずれにも記載されておらず、且つ、示唆もされていない。
なお、甲第2号証(当審が通知した取消しの理由に引用した刊行物1)の第3頁左下欄第11〜14行に記載された「α-アルミナ粒子が単分散又は凝集状態で研磨パッドに保持されること」は、粒子相互間の電気的斥力による反発作用力又はファンデルワールス引力による凝集力とによるものである(第3頁左下欄第1〜11行参照。)ことから、甲第2号証に記載された発明の「α-アルミナ粒子」は、本件発明1、本件発明10及び本件発明17の「より小径の一次粒子の凝集体」とは異なることは明かであり、また、被請求人の提出した乙第2号証(「KIRK-OTHMER、ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY FOURTH EDITION」、John Wiley&Sons,Inc.(1992),Vol.2,p.302-303)の第302頁下から第2行〜第303頁第1行には、「α-アルミナ粒子の表面積が20m2/g未満である」ことが記載され、本件発明1、10及び17のアルミナ粒子の凝集体の表面積40m2/g〜430m2/gより著しく小さいことからも、甲第2号証に記載された発明の「α-アルミナ粒子」は、本件発明1、本件発明10及び本件発明17の「より小径の一次粒子の凝集体」とは異なるものと解される。
また、甲第4号証(当審が通知した取消しの理由に引用した刊行物2)には、遷移アルミナ従来の技術として製造されたヒュームドアルミナのBET(比表面積)や平均粒径についての値は一次粒子のものであって(第1頁右欄第16〜19行、及び第2頁右上欄第17〜19行の記載参照。)、本件発明1、10及び17の「(二次粒子である)凝集体」のものとは認められない。
そして、本件発明1、本件発明10及び本件発明17は、前記特定事項を備えることにより、表面欠陥及び欠損を最小にしながら、所望の研磨速度で金属層を効果的に研磨することに有用であるという効果を奏することができるものである。
したがって、本件発明1、本件発明10及び本件発明17との他の相違点についての検討・判断を示すまでもなく、本件発明1、本件発明10及び本件発明17は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできないばかりか、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
イ.本件発明2ないし9、11ないし16、並びに18ないし23、及び25ないし27について
本件発明2ないし9は本件発明1の、本件発明11ないし16は本件発明10の、本件発明18ないし23、及び25ないし27は、本件発明17の、それぞれ、発明特定事項を全て含み、更に他の発明特定事項を付加したものに相当するから、上記ア.で示したと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできないばかりか、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
4.特許法第36条違反について
異議申立人は、本件特許請求の範囲に記載の「凝集体直径」及び「凝集体サイズ分布」は不明瞭であり、また、「塊」と「凝集体」の違いが不明瞭であり、分散させる程度が不明である旨主張している。
しかしながら、上記訂正請求による訂正により当該記載不備は解消した。
第4 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜23、25〜27に係る特許を取り消すことはできない、
また、他に請求項1〜23、25〜27に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
金属層用化学・機械研磨スラリー
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板の金属層を化学的機械的に研磨する方法において、
(a)水性媒質中に均一に分散した、40m2/g〜430m2/gの範囲の表面積と、1.0μ未満の凝集体サイズ分布と、0.4μ未満の平均凝集体直径と、粒子間のファンデルワールス力に反発し、これを克服するために充分な力とを有する、高純度のアルミナ粒子を含み、該アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成り、安定である化学・機械研磨スラリーを与え、次いで
(b)半導体基板上の金属層を前記スラリーによって化学的機械的に研磨する、諸工程を含む、上記方法。
【請求項2】 金属層がタングステン、アルミニウム、銅、チタン及びこれらの合金から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】 アルミナ粒子が0.5重量%〜55重量%の範囲内で存在する請求項1記載の方法。
【請求項4】 アルミナ粒子が70m2/g未満の表面積を有し、7重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項1記載の方法。
【請求項5】 アルミナ粒子が70m2/g〜170m2/gの範囲の表面積を有し、12重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項1記載の方法。
【請求項6】 アルミナが沈降アルミナ又はヒュームドアルミナである請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】 アルミナ粒子が±10ミリボルトより大きい最大ζ電位を有する請求項1記載の方法。
【請求項8】 スラリーは酸化性成分を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】 スラリーは界面活性剤を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】 金属層を研磨するための化学・機械研磨スラリーにおいて、
水性媒質中に均一に分散した、40m2/g〜430m2/gの範囲の表面積と、1.0μ未満の凝集体サイズ分布と、0.4μ未満の平均凝集体直径と、粒子間のファンデルワールス力に反発し、これを克服するために充分な力とを有し、高純度アルミナ粒子を含み、該アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成り、コロイド的に安定である、上記スラリー。
【請求項11】 アルミナ粒子が0.5重量%〜55重量%の範囲内で存在する請求項10記載のスラリー。
【請求項12】 アルミナ粒子が70m2/g未満の表面積を有し、7重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項10記載のスラリー。
【請求項13】 アルミナ粒子が70m2/g〜170m2/gの範囲の表面積を有し、12重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する、請求項10記載のスラリー。
【請求項14】 アルミナが沈降アルミナ又はヒュームドアルミナである、請求項12又は13に記載のスラリー。
【請求項15】 アルミナ粒子が±10ミリボルトより大きい最大ζ電位を有する請求項10記載のスラリー。
【請求項16】 界面活性剤を更に含む、請求項10記載のスラリー。
【請求項17】 金属層を研磨するための化学・機械研磨スラリーにおいて、
水性媒質中に均一に分散した、40m2/g〜430m2/gの範囲の表面積と、1.0μ未満の凝集体サイズ分布と、0.4μ未満の平均凝集体直径と、粒子と酸化性成分との間のファンデルワールス力に反発し、これを克服するために充分な力とを有する、高純度のアルミナ粒子を含み、該アルミナ粒子はより小径の一次粒子の凝集体から成り、コロイド的に安定である、上記スラリー。
【請求項18】 アルミナ粒子が0.5重量%〜55重量%の範囲内で存在する請求項17記載のスラリー。
【請求項19】 アルミナ粒子が70m2/g未満の表面積を有し、7重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項17記載のスラリー。
【請求項20】 アルミナ粒子が70m2/g〜170m2/gの範囲の表面積を有し、12重量%未満の範囲内でスラリー中に存在する請求項17記載のスラリー。
【請求項21】 アルミナが沈降アルミナ又はヒュームドアルミナである請求項19又は20に記載のスラリー。
【請求項22】 アルミナ粒子が±10ミリボルトより大きい最大ζ電位を有する請求項17記載のスラリー。
【請求項23】 酸化性成分が酸化性金属塩である、請求項17記載のスラリー。
【請求項24】 酸化性成分が酸化性金属錯体である、請求項17記載のスラリー。
【請求項25】 酸化性成分が鉄塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、過酸化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、過硫酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択される請求項17記載のスラリー。
【請求項26】 酸化性成分の分解を阻止し、スラリーのコロイド安定性を維持するために充分な量の添加剤を更に含む請求項17記載のスラリー。
【請求項27】 添加剤が界面活性剤である請求項26記載のスラリー。
【請求項28】 アルミナ粒子は、γ相を少なくとも50%含むヒュームドアルミナであり、酸化性成分は硝酸鉄である、請求項17記載のスラリー。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は半導体素子のプレーナ化(planarization)のための化学・機械研磨スラリーに関し、特に詳しくは、金属層の研磨に用いるための化学・機械研磨スラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェーハは典型的に、例えばシリコン又はヒ化ガリウムウェーハのような基板を含み、基板上には複数の集積回路が形成されている。集積回路は基板内の領域と基板上の層とをパターン化することによって基板中に化学的及び物理的に集積される。層は導電性、絶縁性及び半導性のいずれかを有する、種々な物質から一般に形成される。高い歩留まり(yield)を有する素子のためには、平坦な半導体ウェーハによって開始することが非常に重要であり、その結果、半導体ウェーハの面又は部分を研磨することがしばしば必要である。素子製造のプロセス工程を均一ではないウェーハ表面で実施する場合には、多数の作動不能な素子を生ずる、種々な問題が起こりうる。例えば、近代的な半導体集積回路の製造では、既製構造体の上に導電性ライン又は同様な構造を形成することが必要である。しかし、先行技術の表面形成はしばしばウェーハの上面のトポグラフィー(topography,微細構成)を、隆起、不均一な高さの領域、トラフ、溝(trench)及び他の同様な種類の表面不規則性を有する、非常に不規則なままに残す。その結果、フォトリトグラフィー(photolithography,写真平版)中に充分な焦点深さを確保し、製造プロセスの種々な段階中に不規則性と表面欠陥を除去するために、このような表面の全体的なプレーナ化が必要である。ウェーハ表面のプレーナリティ(planarity,平坦状態の品質)を確保するために、幾つかの研磨方法が存在するが、歩留まり、性能及び信頼性を改良するための、素子製造の種々な段階中のウェーハ表面のプレーナ化に、化学・機械プレーナ化又は研磨を用いる方法が広範囲に用いられている。一般に、化学・機械研磨(“CMP”)は通常の研磨スラリーで飽和された研磨パッドと共に制御された下向き圧力下でウェーハを円運動させることを含む。化学・機械研磨についてのより詳細な説明に関しては、米国特許第4,671,851号、第4,910,155号及び第4,944,836号明細書を参照のこと。これらの明細書は言及することにより本明細書に組み入れられる。
【0003】
CMP酸化物プロセスのために利用可能な、典型的な研磨スラリーは、酸性又は塩基性溶液中に例えばシリカ又はアルミナのような研磨粒子を含む。例えば、ジャービック(Jerbic)への米国特許第5,245,790号明細書は超音波エネルギーと、KOH溶液中のシリカに基づくスラリーとを用いる、半導体ウェーハの化学・機械研磨方法を開示する。ユー(Yu)等への米国特許第5,244,534号明細書は絶縁層中の導電性プラグ(conductive plug)の形成方法を開示する。この方法は、例えばタングステンのような、物質のプラグを生じ、このプラグは通常の方法によって得られるよりも、絶縁層表面とより高度に同一平面(more even)である。第1CMP工程においては、絶縁材を殆ど除去せずに、予測可能な速度でタングステンを除去するために例えばAl2O3のような研磨粒子と、例えばH2O2のようなエッチング剤と、KOH又はNH4OHのいずれかとのスラリーが用いられる。第2CMP工程は例えば酸化アルミニウムのような研磨材と、過酸化水素の酸化性成分と、水とから成るスラリーを用いる。同様に、ユー等への米国特許第5,209,816号明細書はH3PO4、H2O2、H2O及び個体研磨材を含むCMPスラリーを開示し、他方では、メデリン(Medellin)への米国特許第5,157,876号及び第5,137,544号明細書は水、コロイドシリカ及び次亜塩素酸ナトリウム含有漂白剤の混合物を含む、半導体ウェーハ研磨用の無応力CMP剤(stress free CMP agent)を開示する。コーテ(Cote)等への米国特許第4,956,313号はAl2O3粒子、脱イオン水、塩基及び酸化剤から成るスラリーを開示する。
【0004】
CMPは酸化物表面を研磨するために数年間にわたって上首尾に用いられてきたので、半導体工業の最近の傾向は金属層の研磨にCMP方法とスラリーを用いることである。しかし、幾つかのスラリーと研磨方法とが、例えばタングステン、アルミニウム及び銅のような、金属層、フィルム及びプラグに適用されてきたとしても、素子製造のためのこれらの金属の化学・機械研磨は充分に理解されている又は開発されているとは言えない。その結果、金属層への通常のシリカ又はアルミナスラリーの使用は許容されない研磨性能を生じ、不良な品質の素子を生成している。したがって、好ましくない汚染物及び表面欠陥のない、均質な金属層を生成する、改良された化学・機械研磨方法と同方法のためのスラリーとが依然として切望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安定な水性媒質中に均一に分散した、高純度の金属酸化物微粒子を含む、半導体素子の金属層を研磨するための化学・機械研磨スラリーに関する。この粒子は約40m2/g〜約430m2/gの範囲の表面積と、約1.0μ未満の凝集体サイズ分布と、約0.4μ未満の平均凝集体直径と、粒子間のファンデルワールス力に反発し、これを克服するために充分な力とを有する。好ましい実施態様では、金属酸化物粒子は約±10ミリボルトより大きい最大ζ電位を有する。本発明の研磨スラリーによってタングステン層を研磨する方法も開示する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水性媒質中に均一に分散した、高純度の金属酸化物微粒子を含む、半導体素子の金属層を研磨するための化学・機械研磨スラリーに関する。本発明の粒子は、約40m2/g〜約430m2/gの範囲の表面積と、約1.0μ未満の凝集体サイズ分布と、約0.4μ未満の平均凝集体直径と、粒子間のファンデルワールス力に反発し、これを克服するために充分な力とを有することによって、先行技術の“研磨粒子”とは異なる。説明のために、図1は本発明のスラリー中のヒュームド(fumed)アルミナの金属酸化物粒子のTEM(透過電子顕微鏡写真)である。
【0007】
一般にBETと呼ばれる、ブルナウエル(S.Brunauer)、エメット(P.H.Emmet)及びテーラー(I.Teller),J.Am.Chemical Society,60巻,309頁(1938)の窒素吸着方法によって測定される、粒子の表面積は典型的に約40m2/g〜約430m2/gの範囲である。粒子は必要な研磨度に依存して、スラリーの0.5%〜55%を占める。次に、金属酸化物粒子の研磨は、粒子組成、結晶化度及び結晶相(例えば、アルミナではγ又はα)の関数である。望ましい選択性と研磨速度とを得るために、最適の表面積と負荷レベル(loading level)が、特定の研磨スラリーのために如何なる金属酸化物粒子が選択されたかと、結晶化度及び結晶相とに依存して変化することが判明している。1実施態様では、高度の選択性が望ましい場合に、約70m2/g〜約170m2/gの範囲の表面積を有するアルミナ粒子の12重量%未満の固体負荷量(solid loading)が好ましい。これより低い表面積、すなわち70m2/g未満では、アルミナ粒子に関して7%未満の固体負荷量が好ましい。同様に、低い選択性が望ましい場合には、金属酸化物微粒子がヒュームドシリカであるときに、40m2/g〜250m2/gの表面積が約0.5〜約20重量%の範囲内に存在すべきであることが発見されている。
【0008】
本発明の金属酸化物粒子は高純度であり、研磨中の引っ掻き傷、へこみ痕跡(pit mark)、くぼみ(divot)及び他の表面欠陥を避けるために、約1.0μ未満の凝集体サイズ分布を有する。例示のために、図2と3は、それぞれヒュームドアルミナとシリカに関して、本発明の金属酸化物の凝集体サイズ分布を説明する。高純度とは、総不純物含量が典型的に1%未満、好ましくは0.01%(すなわち、100ppm)未満であることを意味する。不純物の源(source)は典型的に原料物質不純物と痕跡の(trace)加工汚染物とを含む。粒子の凝集体サイズとは、融合した一次粒子の三次元分枝鎖の寸法(measurement)を意味する。“粒子”、“一次粒子”及び“凝集体粒子”なる用語は一般に互換的に指示されるが、このような指示は不正確であり、誤解を生じることに注意すべきである。例えば、“粒度”なる用語が典型的に意味することは、実際には、“凝集体粒子又は凝集体”の平均最大サイズであり、“一次粒子”のサイズではない。それ故、凝集体と一次粒子とを注意深く認識して、区別することが当業者にとって重要である。
【0009】
本発明の凝集体サイズ分布を測定する1方法は、透過電子顕微鏡検査(TEM)による方法であった。この方法では、金属酸化物粒子サンプルを液体媒質中に、塊(agglomerate)が凝集体に完全に変化するまで、分散させる。次に、分離した凝集体がTEMグリッド上に示されるまで、その濃度を調節する。次に、Kontron Instruments(マサチューセッツ州,エバーレット)によって製造された画像分析系を用いて、グリッド上の多重フィールドを映写して(imaged)、1000個より多い凝集体が映写され、記録されるまで、ビデオテープに記録した。記録された画像を次に、さらに処理するための、すなわち収差を解消し、バックグランドを調節し、画像を正常化するためのフレーム-グラバー(frame-grabber)ボードを備えた画像分析コンピュータに供給する。二元(binary)フィールドでの個々の凝集体を幾つかの粒子パラメータ(すなわち、凝集体サイズ)に関して、例えば、ASTM D3849-89に述べられているような、周知の方法を用いて測定する。測定値は個々に、又は統計的分布若しくはヒストグラム分布として再現することができる。
【0010】
本発明の研磨スラリーが通常のスラリーの効果的な代替え手段であるためには、金属酸化物粒子の凝集体が安定な水性媒質中に均一に分散することが重要である。均一に分散するとは、凝集体が単離して、媒質中に充分に分配されることを意味する。安定なとは、凝集体が再塊状化して、沈降する(例えば、硬質の緻密な沈降を形成する)ことがないことを典型的に意味する。好ましい実施態様では、凝集体は少なくとも3か月間安定であり続ける。スラリー安定性を得るために重要であることは、本発明の金属酸化物粒子が、1.0μ未満の凝集体サイズ分布を有することの他に、約0.4μ未満の平均(average or mean)凝集体直径を有し、本発明の粒子が粒子間のファンデルワールス引力に反発し、これを克服するために充分な力を有することであることがさらに判明している。平均凝集体直径は、TEM画像分析を用いた場合に、すなわち凝集体の横断面積に基づいた、平均等価球直径(average equivalent spherical diameter)を意味する。力とは、金属酸化物粒子の表面電位(surface potenntial)又は水和力が粒子間のファンデルワールス引力に反発し、これを克服するために充分でなければならないことを意味する。
【0011】
好ましい実施態様では、金属酸化物粒子は0.3μ未満の平均凝集体サイズ分布を有し、±10ミリボルトより大きい最大ζ電位をも有する。ζ電位は電気二重層の範囲を超えた、剪断面と液体の大部分(bulk)との間の液体中で測定された電位差である。ζ電位は、図4に示すように、水性媒質のpHに依存する。一定の金属酸化物粒子の組成に関して、等電点は、その点でζ電位が零であるpHとして定義される。pHが等電点から増加又は減少するにつれて、表面電荷はそれぞれ、陰性に又は陽性に増加する。pHが増加又は減少し続けるにつれて、表面電荷は漸近線(asymptote)に達する、この漸近線は最大ζ電位と呼ばれる。最大ζ電位と等電点とが金属酸化物組成の関数であり、最大ζ電位が水性媒質への塩の添加によって影響されうることは注目すべきである。ζ電位のさらに完全な考察に関しては、ハンター(R.J.Hunter),Zeta Potential in Colloid Science(Academic Press,1981)を参照のこと。
【0012】
ζ電位は直接測定することができるが、例えば電気泳動、動電学的音波振幅(electrokinetic sonic amplitude)、及び超音波振動電位を含む分析方法のような、多くの周知方法によって測定することもできる。本発明では、上記ζ電位をMatec MBS-8000機器(Matec Applied Sciences,Inc.,マサチューセッツ州,ホプキントン)を用いて、動電学的音波振幅の測定によって評価した。
【0013】
他の実施態様では、金属層をその対応酸化物に酸化するために、研磨スラリーに酸化性成分を加えることができる。例えば、本発明では、タングステンから酸化タングステンにのように、金属層をその対応酸化物に酸化するために酸化性成分を用いる。層を機械的に研磨して、層から酸化タングステンを除去する。広範囲な酸化性成分を用いることができるが、好ましい成分には、酸化性金属塩、酸化性金属錯体、例えば硝酸塩、硫酸塩、EDTA、クエン酸塩、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等のような鉄塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、過酸化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、過硫酸塩及びこれらの混合物がある。典型的に、酸化性成分は、スラリーの機械・化学研磨成分にバランスを保たせながら、金属層を確実に迅速に酸化するために充分な量でスラリー中に存在する。さらに、酸化性成分の濃度と研磨スラリーのコロイド安定性との間に重要な関係が存在することが判明している。酸化性成分は、このようなものとして、典型的に約0.5〜約15重量%、好ましくは1〜7重量%の範囲内でスラリー中に存在する。
【0014】
酸化性成分を含む研磨スラリーを酸化性成分の沈降、フロキュレーション(flocculation)及び分解に対してさらに安定化するために、例えば、界面活性剤、ポリマー安定剤又は他の界面活性分散剤のような、種々な添加剤を用いることができる。本発明に用いるために適切な界面活性剤の多くの例が、例えばキルク-オトマー(Kirk-Othmer),Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,22巻(John Wiley & Sons,1983);シスレットとウッド(Sislet & Wood),Encyclopedia of Surface Active Agents(Chemical Publishing Co.,Inc.,1964)並びに、例えばマククッチェオン(McCutcheon)のEmulsifiers & Detergents,North American and International Edition(McCutcheon Division,The MC Publishing Co.1991);アッシュ(Ash),The Condensed Encyclopedia of Surfactants,(Chemical Publishing Co.,Inc.1989);アッシュ,WhatEvery Chemical Technologists Wants to Know About・・・Emulsifiers and Wetting Agents,1巻(Chemical Publishing Co.,Inc.1988);タドロス(Tadros),Surfactants(Academic Press,1984);ナッパー(Napper),Polymeric Stabilization of Colloidal Dispersion(Academic Press,1983);及びローゼン(Rosen),Surfactants & Interfacial Phenomena,第2版(John Wiley & Sons,1989)を含めた、入手可能な製造に関する文献に開示されており、これらの全ては本明細書に援用される。1実施態様では、ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンエーテルとのコポリマーから成る界面活性剤が適切であると判明した。
【0015】
一般に、本発明における添加剤(例えば、界面活性剤)の使用量はスラリーの有効な立体的安定性(steric stabilization)を得るために充分であるべきであり、典型的に、選択された特定の界面活性剤と金属酸化物粒子の表面の性質とに依存して、変化する。例えば、選択された界面活性剤の充分でない量を用いる場合には、この界面活性剤は安定化に対して殆ど又は全く効果を有さない。他方では、あまりに多量の界面活性剤はスラリー中に好ましくない泡立ち及び/又はフロキュレーションを生じる恐れがある。その結果、界面活性剤のような添加剤は一般に、約0.001〜10重量%の範囲内で存在すべきである。さらに、添加剤はスラリーに直接加えるか、又は金属酸化物粒子の表面上に周知の方法を用いて塗布することができる。いずれの場合にも、添加剤の量は研磨スラリー中に望ましい濃度が得られるように調節される。
【0016】
本発明の金属酸化物粒子は典型的に、沈降アルミナ、ヒュームドシリカ又はヒュームドアルミナであり、好ましくはヒュームドシリカ又はヒュームドアルミナである。ヒュームドシリカとヒュームドアルミナとの製造は、水素又は酸素の火炎中で例えば四塩化ケイ素又は塩化アルミニウムのような、適当なフィードストック蒸気を加水分解することを含む、充分に知られた方法である。ほぼ球形の溶融粒子がこの燃焼プロセス中に形成され、溶融粒子の直径はプロセスパラメータによって変化する。典型的に一次粒子と呼ばれる、ヒュームドシリカ又はヒュームドアルミナの溶融球は、それらの接触点において衝突することによって、相互に融合して、三次元分枝鎖様の凝集体を形成する。凝集体を破壊するために必要な力は相当な力であり、しばしば不可逆的と考えられる。冷却及び回収中に、凝集体はさらに衝突して、幾らかの機械的もつれを生じて、塊を形成することがある。塊はファンデルワールス力によってゆるく結合していると考えられ、元に戻ることができる、すなわち、適切な媒質中に適当に分散させることによって、再び非塊状化する(de-agglomerate)ことができる。
【0017】
沈降金属酸化物粒子は通常の方法を用いて製造することができ、典型的には、高い塩濃度、酸又は他の凝固剤(coagulant)の影響下で、水性媒質から所望の粒子を凝固させることによって形成される。粒子を濾過し、洗浄し、乾燥させて、他の反応生成物の残渣から当業者に周知の通常の方法によって分離させる。
【0018】
金属酸化物は、ひと度製造されたならば、脱イオン水に迅速に加えて、コロイド分散液を形成する。この分散液を通常の条件を用いて高剪断混合にさらすことによってスラリーが完成する。コロイド安定性を最大にするために、スラリーのpHを等電点から離れるように調節する。本発明の研磨スラリーを1パッケージ系(安定な水性媒質中に金属酸化物粒子と、必要な場合の酸化性成分とを含む)として、又は2パッケージ系(第1パッケージは安定な水性媒質中の金属酸化物粒子から成り、第2パッケージは酸化性成分から成る)として、ウェーハの目的金属層上に用いるために適当な、任意の標準研磨装置によって用いることができる。酸化性成分がある種の金属酸化物粒子の存在下で時間が経つにつれて分解又は加水分解する場合には、2パッケージ系を用いる。2パッケージ系では、研磨の直前に酸化性成分をスラリーに加えることができる。
【0019】
本発明の研磨スラリーは、表面欠陥及び欠損(defect)を最小にしながら、所望の研磨速度で金属層を効果的に研磨することに有用であることが判明している。以下では、本発明の研磨スラリーを実施例によって、非限定的に説明する。
【0020】
【実施例】
実施例1
2種類の研磨スラリーを製造した。第1スラリーは3重量%のヒュームドアルミナと、5重量%の硝酸第二鉄と、残部の脱イオン水とから成るものであった。第2スラリーは3重量%のヒュームドシリカと、5重量%の硝酸第二鉄と、残部の脱イオン水とから成るものであった。両スラリーの他の性質を表Iに要約する。両スラリーを用いて、約7500Åの厚さを有するタングステン層を化学・機械研磨した。研磨条件と性能結果とを表IIに示す。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
表IIから知ることができ、図5でさらに説明されるように、本発明の両研磨スラリーは許容される研磨速度と高品質のウェーハ表面とを得るために効果的であった。さらに、金属酸化物粒子の組成とその相(phase)とはタングステン層の研磨速度と、選択性(すなわち、タングステンと熱酸化物(thermal oxide)との研磨速度比)とに影響を与えることを見ることができる。この結果、タングステン層の研磨のための特定の金属酸化物の選択は所望の選択性と研磨速度とに依存する。
【0024】
実施例2
比較のために、8重量%の市販アルミナと、5重量%の硝酸第二鉄と、残部の脱イオン水とから成る通常のスラリーを製造した。このスラリーを用いて、約7500Åの厚さを有するタングステン層を化学・機械研磨した。実施例1で用いた条件と同様な研磨条件下で、市販アルミナのスラリーは750Å/分を除去し、不充分な品質のウェーハを生成した。市販アルミナのスラリーによって得られた研磨速度は大抵の研磨用途のために許容されなかった。
【0025】
実施例3
粒子の形状と固体含量とがヒュームドアルミナスラリーの研磨性能に及ぼす影響を調べるために、5種類の研磨スラリーを製造した。8重量%のヒュームドアルミナと、5重量%の硝酸第二鉄と、残部の脱イオン水とから成る、第1、第2及び第3のスラリーは攻撃的な(aggressive)研磨条件(すなわち、高圧、高い研磨盤速度(table speed)、高い固体負荷量(solid loading))下での粒子形状と結晶化度との影響を試験するために製造した。3重量%のヒュームドアルミナと、5重量%の硝酸第二鉄と、残部の脱イオン水とから成る、第4及び第5のスラリーは攻撃的でない(less aggressive)研磨条件(すなわち、低圧、低い研磨盤速度、及び低い固体負荷量)下での粒子形状と結晶化度との影響を試験するために製造した。スラリーの他の性質を表IIIに要約する。5スラリーを用いて、約7500Åの厚さを有するタングステン層を化学・機械研磨した。研磨条件と性能結果とを表IVに示す。
【0026】
【表3】

【0027】
【表4】

【0028】
表IVに示され、図6でさらに説明されるように、スラリー1〜3の攻撃的な研磨条件下では、ヒュームドアルミナ粒子の相と形状(すなわち、表面積)とは、選択性(すなわち、タングステンと熱酸化物との研磨速度比)と表面品質とに有意な影響を与え、研磨速度にはあまり明白でない(less dramatic)影響を与えることが判明した。スラリー4と5の攻撃的でない研磨条件下では、相と形状とは、研磨速度と表面品質とに有意な影響を有する。例えば、スラリー3(8%負荷量)、4(3%負荷量)及び5(3%負荷量)によって研磨することによって、高品質ウェーハが製造された。しかし、適当な研磨速度を得るためにも、高表面積アルミナに関しては、高い固体負荷量レベルが必要であった。他方では、スラリー1(8%負荷量)とスラリー2(8%負荷量)とは、非常に高い研磨速度を得るにも拘わらず、低い表面品質のウェーハを生成した。完全に理解された訳ではないが、本明細書で実証されたように、スラリーの組成と、金属酸化物微粒子の形状(すなわち、表面積、凝集体サイズと直径、結晶化度、結晶相)との間の相互関係が効果的な研磨スラリーを得るために決定的であることを認識することが重要である。
【0029】
実施例4
8重量%のヒュームドシリカと、5重量%の硝酸第二鉄と、残部の脱イオン水とから成る研磨スラリーを製造した。このスラリーの他の性質を表Vに要約する。このスラリーを用いて、約7500Åの厚さを有するアルミニウム層を化学・機械研磨した。研磨条件と性能結果とを表VIに示す。
【0030】
【表5】

【0031】
【表6】

【0032】
表VIに示し、さらに図7で説明するように、本発明の研磨スラリーはアルミニウム層の許容される研磨速度と、高い表面品質を有するウェーハとを得るために効果的である。
【0033】
コロイド安定性に対する凝集体サイズ分布と最大ζ電位との影響を説明するために、2スラリーを製造した。第1スラリーは8重量%の、本発明で述べるようなヒュームドアルミナと、5重量%の硝酸第二鉄と、残部の脱イオン水とから成るものであった。第2スラリーはUltralox M100の名称で商業的に入手可能な沈降アルミナ固体 8重量%から成るものであった。これらのスラリーの他の性質は表VIIに記載する。
【0034】
【表7】

【0035】
図8は、24時間にわたって沈殿した、各スラリーの金属酸化物粒子量を示す。粒子をByk Gardner Inc.によって製造されたDynometer機器を用いて測定した。認められるように、本発明のスラリー1では沈殿が検出されなかった。他方では、市販アルミナのスラリー2は24時間にわたって沈殿の連続的な増加を示した。この期間の終了時に、アルミナの大部分が沈殿して、緻密な硬質のケーキを形成した。このときに、ケーキを再分散させて、スラリーを安定化させる追加工程なしに用いた場合に、スラリー2は低い研磨速度を示し、ウェーハ表面に顕著な引っ掻きを生じて、不良な品質のウェーハを生成した。
【0036】
本明細書に述べたように、本発明の研磨スラリーは不均一なトポグラフィーと、物質の層と、引っ掻き傷、ざらつき又は例えばごみ若しくはダストのような汚染物粒子を含めた表面欠陥とを除去するための化学・機械的プレーナ化のために特に有用であることが判明した。この結果、このスラリーを用いる半導体プロセスは表面品質、素子信頼性及び歩留まりを、通常のエッチングバック(etch back)方法に比べて、改良する。金属酸化物微粒子はアルミナとシリカとを指定したが、本明細書の開示が他の金属酸化物微粒子、例えば、ゲルマニア、セリア、チタニア等に適用可能であることは理解される。さらに、金属酸化物粒子を用いて、例えば銅及びチタンのような、他の金属並びに例えばチタン、窒化チタン及びチタンタングステンのような基層(underlayer)を研磨することができる。
【0037】
本発明が本明細書に示し、説明した特定の実施態様に限定されず、種々な変更及び改良が本発明の範囲及び要旨から逸脱せずになされうることが、さらに理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のヒュームドアルミナの金属酸化物の粒子構造を倍率50,000倍で示す透過電子顕微鏡写真。
【図2】
本発明の研磨スラリーに用いるためのヒュームドアルミナの金属酸化物粒子の凝集体サイズ分布のグラフ。
【図3】
本発明の研磨スラリーに用いるためのヒュームドシリカの金属酸化物粒子の凝集体サイズ分布のグラフ。
【図4】
X軸のpH対Y軸のζ電位(ミリボルト)の理論的プロットのグラフ。
【図5】
本発明の研磨スラリーを用いた場合の、一連のウェーハに関するタングステン研磨速度と熱酸化物選択性とに対する粒子組成の影響を示すグラフ。X軸はウェーハ番号を示し、Y軸はタングステン研磨速度(Å/分)を示す。
【図6】
本発明の研磨スラリーを用いた場合の、一連のウェーハに関するタングステン研磨速度に対する粒子形状、相及び固体含量の影響を示すグラフ。X軸はウェーハ番号を示し、Y軸はタングステン研磨速度(Å/分)を示す。
【図7】
本発明の研磨スラリーを用いた場合の、一連のウェーハに関するアルミナの研磨速度と熱酸化物選択性とを示すグラフ。
【図8】
時間の関数として沈降量をプロットすることによって、凝集体サイズ分布とζ電位とがコロイド安定性に及ぼす影響を説明するグラフ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-09-01 
出願番号 特願平7-258875
審決分類 P 1 652・ 536- YA (B24B)
P 1 652・ 112- YA (B24B)
P 1 652・ 113- YA (B24B)
P 1 652・ 537- YA (B24B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 和田 雄二  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 上原 徹
鈴木 孝幸
登録日 2002-12-06 
登録番号 特許第3377892号(P3377892)
権利者 キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイション
発明の名称 金属層用化学・機械研磨スラリー  
代理人 浅村 肇  
代理人 小堀 貞文  
代理人 池田 幸弘  
代理人 浅村 肇  
代理人 浅村 皓  
代理人 小堀 貞文  
代理人 池田 幸弘  
代理人 浅村 皓  

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