ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B |
---|---|
管理番号 | 1108797 |
審判番号 | 不服2002-22751 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-02-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-11-25 |
確定日 | 2004-12-09 |
事件の表示 | 平成11年特許願第216783号「ディスクドライブ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月16日出願公開、特開2001- 43608〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯の概要 本願は、平成11年7月30日の出願であって、平成14年7月23日付け拒絶理由通知に対して、平成14年9月18日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成14年10月31日付けで拒絶の査定がされ、これに対し、平成14年11月25日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに明細書について手続補正が提出されたものである。 2.平成14年11月25日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成14年11月25日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)を却下する。 〔理 由〕 (1)本件手続補正前及び本件手続補正による本願発明 本件手続補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、請求項1及び2を、本件手続補正前には、 「【請求項1】大径、小径のディスクをディスクの径方向に水平に搬送する搬送手段と、搬送される前記大径のディスクにより回動し、搬送される前記小径のディスクでは回動しない回動部と、該回動部の前記回動/非回動動作により前記大径のディスクと前記小径のディスクを同心位置に停止させるストッパ部と、該回動部の前記回動/非回動動作によりディスクの大径、小径を判別するディスク判別信号を出力するスイッチ部を備えたことを特徴とするディスクドライブ装置。 【請求項2】 前記スイッチ部のディスクの大径、小径を判別するディスク判別信号は、前記大径、小径のディスクが前記同心位置に停止されたことを検出する検出信号を兼ねることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。」 とあったものを、 「【請求項1】大径、小径のディスクをディスクの径方向に水平に搬送する搬送手段と、搬送される前記大径のディスクにより回動し、搬送される前記小径のディスクでは回動しない回動部と、該回動部の前記回動/非回動動作により前記大径のディスクと前記小径のディスクを同心位置に停止させるストッパ部と、前記搬送手段で搬送されたディスクを回転させるモータと、前記回動部の前記回動/非回動動作により前記大径、小径のディスクを判別するディスク判別信号を出力するスイッチ部と、該スイッチ部の出力に基づいて前記モータのゲインを切り替える切り替え手段とを備えたことを特徴とするディスクドライブ装置。 【請求項2】 前記スイッチ部のディスクの大径、小径を判断するディスク判別信号は、前記大径、小径のディスクが前記同心位置に停止されたことを検出する検出信号とを兼ねることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。」 と補正しようとするものである。 (2)補正の目的の適否の検討 すると、本件手続補正による請求項1及び2は、それぞれ本件手続補正前の請求項1及び2に対応するものとすることができ、本件手続補正は、軽微な表現上の修正を除き、概略本件手続補正前の請求項1に、 「前記搬送手段で搬送されたディスクを回転させるモータ」及び 「該スイッチ部の出力に基づいて前記モータのゲインを切り替える切り替え手段」 の各技術事項を加えることで減縮したものとすることができる。 しかしながら、本件手続補正前の請求項1には、「モータ」に対応する技術事項は含まれておらず、したがって当該モータの「ゲインを切り替える切り替え手段」に対応する技術事項も含まれていない。 すなわち、前記加えられた各技術事項は、いずれも、本件手続補正前の請求項1に記載された技術事項のいずれかを限定したものとすることができない。 したがって、本件手続補正は、発明を特定するために必要な事項を限定することで特許請求の範囲を減縮することを目的とするものとすることができない。 また、本件手続補正が、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明のいずれにも当たらないことは明らかである。 (3)本件手続補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであって、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成14年11月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成14年9月18日付け手続補正書により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、上記2.〔理由〕(1)に本件手続補正前の請求項1として掲げたとおりのもの(以下、「本願発明」という)である。 (2)引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平10-3723号公報(以下、「引用例」という)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (a) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は新規な円盤状記録媒体再生及び/又は記録装置における円盤状記録媒体の位置決め装置及び円盤状記録媒体の位置決め方法に関する。詳しくは、円盤状記録媒体再生及び/又は記録装置を横置きのみならず縦置きでも使用することができるようにするための技術に関する。」 (b)直径8cmCD46aをローディングする場合について、初期状態が図1、図2であるとして次のように記載されている。 「【0042】8cmCD46aを図示しない筐体の前面開口部から筐体内に挿入して行くと、図示しないセンサによって円盤状記録媒体が筐体内に挿入されたことが検知されて、それによって引込みローラ5が引込み方向に、即ち、図6における時計回り方向に回転を始め、そして、8cmCD46aはディスクガイド4と引込みローラ5との間に引き込まれる。そして、該8cmCD46aはディスクガイド4と引込みローラ5との間に挟持された状態で引込みローラ5によって奥の方へと送られて行く。この時、引込みローラ5はその中央部が細径で両端に行くに従って徐々に径が太くなるように形成されているので、8cmCD46aの信号読取面、即ち、図において下方を向いた面はその周縁部のみが引込みローラ5に触れ、信号読取面が直に引込みローラ5に触れることはない。 【0043】8cmCD46aが奥へ引き込まれて行くと、やがてその外周縁がセンタリングレバー14、14′のガイドピン19、19′に当接し、その位置が規定、即ち、センタリングされる。即ち、センタリングレバー14、14′はそれに支持されたロックレバー20、20′のロックピン21、21′が係合切欠25、25′と係合してロックされていることにより、その位置が移動されないようにされており、従って、8cmCD46aの外周縁がガイドピン19、19′のどちらか一方のものに当接した場合でも、該8cmCD46aが引込みローラ5によって奥へ送られるに従って他方のガイドピンの側へ変位されて行き、ついには、両方のガイドピン19、19′と当接し、センタリングが為される。 【0044】このセンタリングが為される過程において、8cmCD46aの外周縁がセンサレバー26のセンサピン26aを後方へ押圧し、これによって、該センサレバー26は上方から見て時計回り方向へ回動し、その連結ピン26bがセンサスライダー27の連結切欠27aの前縁を前方へ押圧するので、センサスライダー27が前方へ移動されることになる。そして、8cmCD46aがその外周縁が2つのガイドピン19、19′に完全に接触した状態、即ち、8cmCD46aが左右方向において位置決めされた状態になる前に、センサスライダー27のホトインタラプタ29に対する相対的位置関係が図3に2点鎖線で示した状態となり、この時点から8cmCD46aの外周縁が2つのガイドピン19、19′に完全に当接するのに十分な時間引込みローラ5を回転させた後、引込みローラ5を逆転させる。これによって、8cmCD46aは戻されるが、再びセンサスライダー27のホトインタラプタ29に対する相対的位置関係が図3に2点鎖線で示した状態になった時に引込みローラ5の回転を停止する。この時の8cmCD46aの位置が図3に2点鎖線で示す位置であり、その中心が上記チャッキング部材30の中心と一致した状態となっている。なお、センサスライダー27のホトインタラプタ29に対する相対的位置関係が最初に図3に2点鎖線で示した状態となった時に引込みローラ5を停止させないのは、この時点では8cmCD46aが左右何れかに偏っていることがあり得、それでは、8cmCD46aの中心がチャッキング部材30の中心とずれていることが有り得るからである。」 (c)同様に、直径12cmCD46bをローディングする場合について次のように記載されている。 「【0057】12cmCD46bを図示しない筐体の前面開口部から筐体内に挿入して行くと、図示しないセンサによって円盤状記録媒体が筐体内に挿入されたことが検知されて、それによって引込みローラ5が引込み方向に、即ち、図6における時計回り方向に回転を始め、そして、12cmCD46bはディスクガイド4と引込みローラ5との間に引き込まれる。そして、該12cmCD46bはディスクガイド4と引込みローラ5との間に挟持された状態で引込みローラ5によって奥の方へと送られて行く。この時、引込みローラ5はその中央部が細径で両端に行くに従って徐々に径が太くなるように形成されているので、12cmCD46bの信号読取面、即ち、図において下方を向いた面はその周縁部のみが引込みローラ5に触れ、信号読取面が直に引込みローラ5に触れることがないことは上記8cmCD46aの場合と同様である。 【0058】12cmCD46bが奥へ引き込まれて行くと、やがてその外周縁がセンタリングレバー14、14′のガイドピン19、19′に当接し、その位置が規定、即ち、センタリングされる。 【0059】即ち、12cmCD46bが奥へ引き込まれて行くと、先ず、その外周縁がロックレバー20、20′の解除ピン22、22′に当接し、且つ、これを後方へ押圧するので、該ロックレバー20、20′はそれぞれ、そのロックピン21、21′が支持された部分が後方へ移動するように回動され、ロックピン21、21′が天板15の係合切欠25、25′との係合から外れ、これによりセンタリングレバー14、14′がその外端が後方へ移動する方向に回動することが出来るようになる。 【0060】尚、12cmCD46bが左右どちらかに偏った状態で引き込まれてきた場合、例えば、右側に偏った状態で引き込まれてきた場合は、その外周縁が、先ず、右側のロックレバー20の解除ピン22を押圧して右側のセンタリングレバー14のロックを解除し、それから右側のガイドピン19に当接される。この状態で、まだ左側のセンタリングレバー14′はロックされていて右側のセンタリングレバー14も後方へは回動することが出来ないため、12cmCD46bはその外周縁が右側のガイドピン19に当接した状態で奥へ送られると、左方へと変位していき、やがてその外周縁が左側のロックレバー20′の解除ピン22′をも後方へ押圧して左側のセンタリングレバー14′のロックを解除し、また、左側のガイドピン19′にも当接することになる。 【0061】このように、12cmCD46bはその外周縁が2つのガイドピン19、19′に当接することにより左右方向においてセンタリングされる。そこから更に12cmCD46bがガイドピン19、19′を奥へと押し込みながら奥へと送られると、やがてその外周縁がセンサレバー26のセンサピン26aに当接してこれを後方へ向けて押圧し、これによって、該センサレバー26は上方から見て時計回り方向へ回動し、その連結ピン26bがセンサスライダー27の連結切欠27aの前縁を前方へ押圧するので、センサスライダー27が前方へ移動されることになる。そして、やがてセンサスライダー27のホトインタラプタ29に対する相対的位置関係が図4に示した状態となり、この時点から一定の時間引込みローラ5を回転させた後、引込みローラ5を逆転させる。これによって、12cmCD46bは戻されるが、再びセンサスライダー27のホトインタラプタ29に対する相対的位置関係が図4に示した状態になった時に引込みローラ5の回転を停止する。この時の12cmCD46bの位置が図4及び図5に示す位置であり、その中心が上記チャッキング部材30の中心と一致した状態となっている。なお、センサスライダー27のホトインタラプタ29に対する相対的位置関係が最初に図4に示した状態となった時に引込みローラ5を停止させないのは、上記8cmCD46aについて説明したのと同様に、12cmCD46bが確実にセンタリングされるようにするためである。」 摘記した引用例記載事項及び図面の記載事項を総合勘案すると、引用例には、結局、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という)。 「8cmCD46a、12cmCD46bを筐体の前面開口部から筐体内に挿入して行くと、引込みローラ5が引込み方向に回転を始め、そして、8cmCD46a、12cmCD46bはディスクガイド4と引込みローラ5との間に引き込まれ、該8cmCD46a、12cmCD46bはディスクガイド4と引込みローラ5との間に挟持された状態で引込みローラ5によって奥の方へと送られて行き、 8cmCD46aが引き込まれた際には、その位置が移動されないようにされており、12cmCD46bが引き込まれた際には、その外端が後方へ移動するように回動するセンタリングレバー14,14’と、 8cmCD46a、12cmCD46bの外周端が当接し、その位置を規定、即ち、センタリングするセンタリングレバー14,14’のガイドピン19,19’と、 を備えた円盤状記録媒体再生及び/又は記録装置」 (3)対比 本願発明を、引用発明と比較すると、引用発明における「円盤状記録媒体再生及び/又は記録装置」は、本願発明における「ディスクドライブ装置」に相当する。 引用発明の「ディスクガイド4と引込みローラ5」は、本願発明における「搬送手段」に相当する。 引用発明の「センタリングレバー14,14’」は、本願発明における「回動部」に相当する。 引用発明の「ガイドピン19,19’」は、本願発明における「ストッパ部」に相当する。 すると、本願発明と、引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 大径、小径のディスクをディスクの径方向に水平に搬送する搬送手段と、搬送される前記大径のディスクにより回動し、搬送される前記小径のディスクでは回動しない回動部と、該回動部の前記回動/非回動動作により前記大径のディスクと前記小径のディスクを同心位置に停止させるストッパ部を備えたディスクドライブ装置。 一方で、以下の点で相違する。 <相違点> 本願発明では、「回動部の前記回動/非回動動作によりディスクの大径、小径を判別するディスク判別信号を出力するスイッチ部」を備えているのに対し、引用発明ではそのようなスイッチ部を備えていない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 大径、小径のディスクを使用するディスクドライブ装置においては、当該ディスクの径を判別することが技術課題として広く知られている。引用発明の、センタリングレバー14,14’は、挿入されたディスクの径によってその位置が異なるのであるから、逆に、その位置がディスク径を表すことは当業者にとって自明な技術事項である。 また、このような部材の位置によりディスクの径を判別する信号を出力するスイッチを設けることは周知であり、例えば、特開平1-279455号公報には、「また、上記実施例では、小径のディスク(S)が装填されているときと大径のディスク(L)が装填されているときとで、一対のアーム31,32およびレバー41,44の停止位置が相違している。よってこれらの部材がいずれか一方にあることをスイッチなどによって検知すれば、装填されているディスクの種別を認識することが可能である。このスイッチなどの認識によって種々の制御が可能となる。例えば、図1に示すディスプレイ13にディスクの種別を「シングル」,「SINGLE」 または「ノーマル」,「NORMAL」などと標示することができる。あるいはディスプレイ13に長い線あるいは短い線を表示し、この線の長さによってディスクの径を識別することもできる。またはLEDの点灯によってディスクの種別を表示することも可能である。」(7頁左下欄第18行〜同頁右下欄第13行)と記載され、一対のアーム31,32およびレバー41,44によりディスク判別するスイッチを備えることができることが示されている。 また、特開平10-162466号公報には、第40段落に「しかしてフレーム板11との間にディスクDを挟んだローラ23はローディングモータ21により正転駆動されており、このローラ23の回転に伴ってディスクDは徐々に装置本体の内側に向けて移動される。そしてディスクDが開口部3から所定量だけ内側に引き込まれると、引き込まれたディスクDの縁部に押されて作動レバー12が更に回動し、その回動によって第2のスイッチSW2がオン[L]となる。この第2のスイッチSW2のオン動作により、大径のディスクDが挿入されたことが確認される。ちなみに8cm径の、所謂小径ディスクが挿入された場合、そのディスクDの縁部に押されて回動する作動レバー12が最大回動位置まで回動することがないので、この場合には第2のスイッチSW2がオン動作することはない。従ってローディング動作時に第2のスイッチSW2がオン動作するか否かにより大径ディスクがローディングされたか否かの判定が行われることになる。」と記載され、作動レバーの回動位置により12cm、8cmのディスクの判別をするスイッチを設けることが示されている。 また、特開平11-16261号公報にも、「8cmのコンパクトディスクC1の外周が検出アーム123のピン123aに届かない(第43段落)」ように構成して、ロック解除ればー124,スライドアーム125を介してコンパクトディスクの径を検出する、大径のコンパクトディスク・検出スイッチ(12cmCDスイッチ)126,及びコンパクトディスク・検出スイッチ(MD/8cmCDスイッチ)134を設けることが示されている(特に第37段落〜第43段落参照)。 以上のことからすると、引用発明において、センタリングレバー14,14’により8cmCD46aと12cmCD46bを判別する信号を出力するスイッチを設けることで、相違点について本願発明のようにすることは、上記自明な技術事項から当業者が容易に想到しうるものであるか、または、周知事項を参酌することにより当業者が容易に想到しうるものである。 作用効果についても、当業者が予測しうる程度の事項にすぎない。 (4)本願発明についてのむすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-09-02 |
結審通知日 | 2004-09-07 |
審決日 | 2004-10-28 |
出願番号 | 特願平11-216783 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
P 1 8・ 572- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齊藤 健一 |
特許庁審判長 |
山田 洋一 |
特許庁審判官 |
小林 秀美 片岡 栄一 |
発明の名称 | ディスクドライブ装置 |
代理人 | 芝野 正雅 |
代理人 | 芝野 正雅 |