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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C07D
審判 査定不服 判示事項別分類コード:320 特許、登録しない。 C07D
管理番号 1109030
審判番号 不服2001-19800  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-08-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-05 
確定日 2004-12-22 
事件の表示 平成 8年特許願第519326号「アリールチオキサンチン類」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 6月20日国際公開、WO96/18399、平成10年 8月 4日国内公表、特表平10-508032〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年12月12日に国際出願され(PCT/US95/16723、優先日1994年12月13日、米国)、拒絶査定の後、審判請求の際に補正をすることができる期間内である平成13年12月5日付で手続補正書が提出されたものである。

2.平成13年12月5日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成13年12月5日付の手続補正を却下する。
[理由]
平成13年12月5日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)の前の平成13年5月21日付手続補正は、平成13年8月7日付補正却下により却下されており、本件補正は、平成12年12月1月27日付の手続補正により補正された明細書(以下、「本件補正前の明細書」)の特許請求の範囲を次のように変更しようとするものである。
(なお、本審決においては、本願明細書および引用例に小さい文字で記載された文字についても、通常の大きさの文字で記載する。)

<本件補正>
「【請求項1】次式(I):
【式1】

[式中、
Q3は、単結合、C1-8アルキレン、C2-8アルケニレンおよびC2-8アルキニレンよりなる群から選ばれ、
Q8は、C1-8アルキレン、C2-8アルケニレンおよびC2-8アルキニレンよりなる群から選ばれ、
R3は、水素、アリール、ピリジル、ピリミジル、キノリルおよびイソキノリルよりなる群から選ばれ、ここで該アリール、ピリジル、ピリミジル、キノリルおよびイソキノリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびカルボキシよりなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、
R8は、水素、アリール、ピリミジル、キノリルおよびイソキノリルよりなる群から選ばれ、ここで該アリール、ピリミジル、キノリルおよびイソキノリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびカルボキシよりなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、
ただし、Q3R3は水素またはメチルではなく、且つR3およびR8の少なくとも一方は置換アリール、ピリジル、ピリミジル、キノリルまたはイソキノリルであり、且つQ3R3またはQ8R8がC1-8アルキルであるときには、該C1-8アルキルは1以上のハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシまたはシクロアルキル基で置換されていてもよい]で表される化合物、並びに医薬的に許容可能なその塩。
【請求項2】次式(II):
【式2】

[式中、
Q3、Q6a、Q6bおよびQ8は、それぞれ独立に単結合、C1-8アルキレン、C2-8アルケニレンまたはC2-8アルキニレンであり、
R3、R6a、R6bおよびR8は、それぞれ独立に水素、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで該アリールまたはヘテロアリールはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノまたはカルボキシで置換されていてもよく、
ただし、Q3R3は水素またはメチルではなく、Q8R8は水素ではない]
で表される化合物、および医薬的に許容可能なその塩。
【請求項3】3-(4-クロロベンジル)-N6-エチル-8-イソプロピル-イソグアニンである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】R3が、非置換または置換されたアリールである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】3-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシベンジル)-8-イソプロピル-6-チオキサンチン;
3-(4-クロロベンジル)-6-チオキサンチン;
3-(3-クロロベンジル)-8-イソプロピル-6-チオキサンチン;
3-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシベンジル)-6-チオキサンチン;
3-(4-クロロフェニル)-8-イソプロピル-6-チオキサンチン;
8-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシベンジル)-3-エチル-6-チオキサンチン
;および
8-(3,4-ジメトキシベンジル)-3-プロピル-6-チオキサンチン
よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物、並びに医薬的に許容可能なその塩。
【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の化合物並びに医薬的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。」

本件補正前の明細書に記載された特許請求の範囲は、次のとおりである。
<本件補正前>
「1.次式(I):

[式中、
Q3は、単結合、C1-8アルキレン、C2-8アルケニレンおよびC2-8アルキニレンよりなる群から選ばれ、
Q8は、C1-8アルキレン、C2-8アルケニレンおよびC2-8アルキニレンよりなる群から選ばれ、
R3は、水素、アリール、ピリジル、ピリミジル、キノリルおよびイソキノリルよりなる群から選ばれ、ここで該アリール、ピリジル、ピリミジル、キノリルおよびイソキノリルは、非置換であるか、或いはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびカルボキシで置換されており、
R8は、水素、アリール、ピリミジル、キノリルおよびイソキノリルよりなる群から選ばれ、ここで該アリール、ピリミジル、キノリルおよびイソキノリルは非置換であるか、或いはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびカルボキシよりなる群から選ばれる置換基で置換されており、
ただし、Q3R3は水素またはメチルではなく、且つR3およびR8の少なくとも一方はアリール、ピリジル、ピリミジル、キノリルまたはイソキノリルであり、さらに
Q3R3またはQ8R8がC1-8アルキルであるときには、該C1-8アルキルは非置換であるか、或いは1以上のハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシまたはシクロアルキル基で置換されている]で表される化合物。
2.次の化合物:
3-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシベンジル)-8-イソプロピル-6-チオキサンチン;
8-イソプロピル-3-(4-ピリジルメチル)-6-チオキサンチン
3-(3-クロロベンジル)-8-イソプロピル-6-チオキサンチン;
3-(4-クロロフェニル)-8-イソプロピル-6-チオキサンチン;
8-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシベンジル)-3-エチル-6-チオキサンチン;
8-(3,4-ジメトキシベンジル)-3-プロピル-6-チオキサンチン;および
8-(2-ナフチルメチル)-3-プロピル-6-チオキサンチン
よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
3.次式(II):

[式中、
Q3、Q6a、Q6bおよびQ8は、それぞれ独立に単結合、C1-8アルキレン、C2-8アルケニレンまたはC2-8アルキニレンであり、
R3、R6a、R6bおよびR8は、それぞれ独立に水素、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで該アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、或いはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノまたはカルボキシで置換されており、
ただし、Q3R3は水素またはメチルではなく、Q8R8は水素ではない]
で表される化合物。
4.次の化合物
3-(4-クロロベンジル)-N6-エチル-8-イソプロピル-イソグアニン;
3-シクロプロピルメチル-8-(1-メチルエチル)-6-プロピルアミノ-イソグアニン塩酸塩;
8-シクロプロピル-3-エチル-6-エチルアミノ-イソグアニン塩酸塩;および
よりなる群から選ばれる、請求項3に記載の化合物。
5.R3が、非置換または置換されたアリールである、請求項1または3に記載の化合物。
6.請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
7.選択的PDEIV阻害を要する患者に該薬効を生じせしめるための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
8.喘息、アレルギー、炎症、うつ状態、痴呆、アトピー性患者、鼻炎および異常に高いレベルのサイトカインと関連した症状よりなる群から選ばれる病的状態にある哺乳動物を治療するための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。」

本件補正は、請求項1,2及び5に「医薬的に許容可能なその塩」を追加し、さらに、請求項5に「3-(4-クロロベンジル)-6-チオキサンチン」及び「3-(3-シクロベンチルオキシ-4-メトキシベンジル)-6-チオキサンチン」を追加しようとするものである。しかしながら「医薬的に許容可能なその塩」、「3-(4-クロロベンジル)-6-チオキサンチン」及び「3-(3-シクロベンチルオキシ-4-メトキシベンジル)-6-チオキサンチン」は、本件補正前の請求項のいずれにも記載されておらず、上記塩及び2つの化合物を追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、上記補正は、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものでもない。
このように、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号、第2号、第3号及び第4号に規定されたいずれにも該当せず、特許法第159条で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成13年12月5日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜8に係る発明(以下、各請求項に係る発明を、それぞれ「本願発明1〜8」という。)は、上記補正前の平成12年1月27日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定されるとおりのものである。

4.引用例の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物
である引用例1(特開平3-204880号公報)には、3-N-プロピル-8-スチリル-6-チオキサンチンを合成して得たことが記載されている。(23頁参考例12)

5.対比・判断
本願請求項1に記載の一般式が引用例1に記載された上記化合物を包含することは、上記化合物が請求項1に一般式において、次の置換基を持つものに相当することから明らかである。
R3:水素、Q3:C3アルキレン、R8:アリール、Q8:C2アルケニレン
したがって、本願発明1は、引用例1に記載の発明(化合物)と同一である。
また、本願発明7及び8は、人の病気の治療方法を含んでおり、産業上利用することができる発明に該当しない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29号第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができず、また、本願発明7及び8は、特許を受けることができる発明について規定した特許法第29条柱書にいう産業上利用することができる発明に該当しないから、これらの発明はいずれも特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-07-14 
結審通知日 2004-07-20 
審決日 2004-08-10 
出願番号 特願平8-519326
審決分類 P 1 8・ 320- Z (C07D)
P 1 8・ 113- Z (C07D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中木 亜希  
特許庁審判長 竹林 則幸
特許庁審判官 谷口 博
齋藤 恵
発明の名称 アリールチオキサンチン類  
代理人 平木 祐輔  

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