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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
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管理番号 | 1109057 |
審判番号 | 不服2001-2004 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-03-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-02-14 |
確定日 | 2004-12-20 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第242629号「読み取り結果表示方法、およびデータ読み取り装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 3月11日出願公開、特開平 6- 68299〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成4年8月19日の出願であって、平成11年6月22日付け、平成12年12月18日付け、平成13年3月16日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)。 「文字記入位置を示す文字記入枠を含むプレプリント部分を有し前記文字記入枠内に文字が記入された帳票の画像データから、前記帳票の読み取り対象となる前記文字記入枠の位置が指定されたフォーマット情報に基づいて、前記文字記入枠の部分を切り出す切り出しステップと、切り出した前記文字記入枠の画像データを文字認識して文字データに変換する変換ステップと、前記帳票を読み取った画像データにおける前記文字データの表示位置を算出する算出ステップと、前記画像データと前記文字データとを重ね合わせて、前記文字データを前記算出位置に表示する表示ステップとを備えたことを特徴とする読み取り結果表示方法。」 2.引用例 原審の拒絶理由に引用された、特開昭62-138981号公報(公開日昭和62年6月22日)(以下引用例1という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「第6図は光学的な情報認識装置の一般的な従来の構成を示す図である。帳票10上に書かれた文字パターンは、11の光電変換器上に結像され、電気信号に変換された後、これをデジタル信号に変換するA-D変換器12、文字の切り出し、2値化、正規化等を行なう前処理回路13、ストローク抽出、輪郭追跡等の周知の方法により文字の特徴抽出、識別を行なう認識回路14を通り、認識結果が順次出力される。 本実施例では認識結果を入力帳票画像と合成し、例えばレーザビームプリンタの如きプリンタにより出力する。 第1図はその構成例を示すブロツク図である。10〜14は第6図と略同じであるが、A-D変換器12の出力は前処理回路13の他に帳票10の画像一枚分を記憶する画像メモリ15へ送られ格納される。また認識回路14の出力である認識結果は認識結果記憶メモリ16へ送られると共に、キヤラクタジエネレータ17へ出力され、所定フォントを持つ文字または記号等の画像に変換される。次に、画像メモリ15とキヤラクタジェネレータ17の画像パターンは画像合成回路18で適宜合成され、合成された画像がプリンタ19により紙面上へプリントアウトされる。ここで、認識結果記憶メモリ16は、情報認識装置内部に設けられたものでもよいし、また、オフイスコンピユータ等の外部記憶装置であってもよい。また100は前述した各回路を制御する制御部であつて、101は後述する第3図のフローチャートの動作プログラムが格納されているROMである。 また第5図に本実施例の基本構成の一例を示す。 図中、51は画像読取り用CCDスキャナ、52はレーザビームプリンタ、53は文字認識回路、54はホストコンピユータ、55は原稿自動送り装置、56は入力する複数の帳票、57は出力画像である。 以上の様な構成により得られる出力画像の一例を第2図に示す。 図中、20は出力画像で、21A、21Bは入力帳票l0上に記入してある文字情報そのものである。出力画像20には入力帳票10の画像と、その認識結果パターン22A 、22Bが所定の位置に合成されることになる。認識結果パターン22A、22Bを出力画像20上のどこに配置するかは全く任意であるが、ここでは認識対象文字の記入されている文字の真下に配置されるような例を示しである。 また、この様な出力画像を得るための処理動作の一例として第3図のフローチャートを参照として説明する。 帳票を入力する時には、まずステツプ31で帳票56をCCDスキャナ51の原稿自動送り装置55に載置し、続くステツプS2でキーボード等の読み取り開始キーを入力する。なお、ここで本実施例ではキーボード等よりの入力により読み取り処理を開始する構成としたが、CCDスキャナ51に処理開始スイツチ等を設け、該スイツチの入力により処理を開始して構わない。 読み取り処理が開始されると、まず原稿目動送り装置55はステツプS3で原稿を一枚、CCDスキャナ51の読み取り面に送る。CCDスキャナ51は続くステツプS4で読み取り面にセツトされた原稿上の画像データを読み取り、光電変換器11、A-D変換器12によりデジタル信号に変換して前処理部13に送出する。 またA-D変換器12は、デジタル信号を一旦画像メモリ15にも送り、ステツプS5で画像メモリ15に記憶する。 一方、前処理部13から出力される情報を認識回路14に送り、ステツプS6で認識処理を実行しキャラクタジエネレータ17に出力する。またこのときに認識結果を認識結果記憶メモリ16に記憶する。キャラクタジエネレータ17はステツプS7で、送られてきた認識キャラクタコードに対応するフォントパターンに変換して画像合成回路18に出力する。画像合成回路18ではステツプS8で、このフォントパターンと画像メモリ15よりの画像データとを合成し、レーザビームプリンタ19に出力する。ステツプS10では、この一連の処理を原禍目動送り装置55に載置された帳票56が全て処理し終えたかどうか判断し、処理が終了してないときにはステツプS3にもどる。 以上の様な処理により第2図に示す様な出力画像20が得られることになる。」 (2頁右下欄12行-4頁右上欄1行)、 と記載されているから、これらの記載より引用例1には次のことが記載されている。 「帳票10の文字パターンを電気信号に変換する光電変換器11と、これをデジタル信号に変換するA-D変換器12と、文字の切り出し、2値化、正規化等を行なう前処理回路13と、ストローク抽出、輪郭追跡等の周知の方法により文字の特徴抽出、識別を行なう認識回路14と、前記A-D変換器12に接続され、前記帳票の画像一枚分を記憶して格納する画像メモリ15と、前記認識回路の出力である認識結果から所定フォントを持つ文字または記号等の画像に変換するキヤラクタジエネレータ17と、前記画像メモリと前記キヤラクタジェネレータの画像パターンを認識対象文字の記入されている文字の真下に配置されるように適宜合成する画像合成回路18と、合成された画像を紙面上へプリントアウトするプリンタ19と、からなる情報認識装置。」 同じく、原審の拒絶理由に引用された、特開平2-268385号公報(公開日平成2年11月2日)(以下引用例2という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「一般に、光学的文字読取装置において処理対象とする帳票には、文字記入位置を示す文字記入枠や、文字記入枠内に記入される内容を示す項目名等がドロップアウトカラーによって予め印刷されている」(1頁右下欄20-2頁左上欄4行) 「表示部16は、修正画面として非文字読取対象パターンとFCシートに記入された各文字の認識結果を同時に表示する」(4頁左上欄15-18行) と記載されているから、これらの記載より引用例2には次のことが記載されている。 「文字記入位置を示す文字記入枠が予め印刷されている帳票」 「非文字読取対象パターンとFCシートに記入された各文字の認識結果を同時に表示する」 同じく、原審の拒絶理由に引用された、特開昭63-217489号公報(公開日昭和63年9月9日)(以下引用例3という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「制御手段6では、上記認識手段4で得られた読取フォーマット番号に対応する読取フォーマット情報を読取フォーマットテーブル5の中から検索して求め、得られた読取フォーマット情報に従って再度イメージ記憶手段3に格納されている文書イメージ中の読取領域から認識手段4で文字を切り出し認識して読み取っていた。」(2頁左上欄17-右上欄4行) と記載されているから、これらの記載より引用例3には次のことが記載されている。 「読取フォーマット情報に従ってイメージ記憶手段3に格納されている文書イメージ中の読取領域から認識手段4で文字を切り出す」 3.対比 そこで、本願発明と引用例1の発明とを比較すると、 引用例1の「デジタル信号」は、本願発明の「文字が記入された帳票の画像データ」に相当し、 引用例1の「前処理回路13」は、文字の切り出し、2値化、正規化等を行なっているから、下記の相違点を除いて、本願発明の切り出しを行っており、 引用例1の「認識回路14」、「キャラクタジェネレータ17」は、下記の相違点を除いて、本願発明の、文字認識して文字データに変換することを行っており、 引用例1の「画像合成回路18」は、下記の相違点を除いて、本願発明の、画像データと文字データとの重ね合わせを行っており、 また引用例1に記載された発明は装置として表現されているが、これを方法としても表現しうることは自明であって、単なる表現上の問題にすぎないから、 両者は 「文字が記入された帳票の画像データから、前記文字の部分を切り出す切り出しステップと、切り出した画像データを文字認識して文字データに変換する変換ステップと、前記画像データと前記文字データとを重ね合わせて、出力するステップとを備えたことを特徴とする読み取り結果出力方法。」 で一致し、以下の点において相違する。 (相違点) (相違点1) 画像データが、本願発明では、文字記入位置を示す文字記入枠を含むプレプリント部分を有し前記文字記入枠内に文字が記入された帳票であるのに対し、引用例1では帳票であり、帳票は文字記入位置を示す文字記入枠を含むプレプリント部分を有するのか不明である点。 (相違点2) 切り出しについて、本願発明では、帳票の読み取り対象となる文字記入枠の位置が指定されたフォーマット情報に基づいて、前記文字記入枠の部分を切り出すのに対し、引用例1では、文字が切り出され、その文字の切り出しも、どのような情報に基づいて行われているかも明記されていない点。 (相違点3) 文字データの変換について、本願発明では、切り出した文字記入枠の画像データを文字認識して文字データに変換する変換ステップであるのに対して、引用例1では、文字の切り出しを行い、文字の特徴点の抽出、識別を行って認識する点。 (相違点4) 本願発明は、帳票を読み取った画像データにおける文字データの表示位置を算出する算出ステップを有するのに対し、引用例1にはそのような算出ステップについては記載されていない点 (相違点5) 出力方法について、本願発明は、画像データと文字データとを重ね合わせて、前記文字データを前記算出位置に表示する表示ステップを備えた読み取り結果表示方法であるのに対して、引用例1のものは画像データと文字データとを合成した画像を紙面上へプリントアウトするものである点。 4.当審の判断 (1)上記相違点1について 引用例2には、文字記入位置を示す文字記入枠が予め印刷されている帳票が示されており、引用例1の帳票として引用例2の帳票を用いることは当業者が容易に実施し得るものと認められる。 (2)上記相違点2、3について 引用例3には、読取フォーマット情報に従ってイメージ記憶手段に格納されている文書イメージ中の読取領域から認識手段で文字を切り出すことが示されており、引用例1の文字パターンの切り出しの情報として引用例3の読取フォーマット情報を用いることは当業者が容易に実施し得るものと認められる。また、読取フォーマット情報の文字の読取領域を文字記入枠内の領域と一致させ、文字記入枠内の画像データを文字認識することは当業者にとって必要に応じて適宜実施し得る設計事項にすぎないと認められる。 (3)上記相違点4について 文字データの表示位置を算出により求めることは普通に知られており(例えば、特開平1-155484号公報等)、引用例1の画像データの認識対象文字の記入されている文字の真下とするフォントパターンの配置位置を算出により求めて定めることは当業者が容易に実施し得るものと認められる。 (4)上記相違点5について 引用例2には、非文字読取対象パターンとFCシートに記入された各文字の認識結果を同時に表示することが示されており、引用例1において画像データと文字データと紙に出力する代わりに引用例2のように表示することは当業者が容易に実施し得るものと認められる。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明、引用例3に記載された発明、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-10-26 |
結審通知日 | 2004-10-26 |
審決日 | 2004-11-08 |
出願番号 | 特願平4-242629 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 月野 洋一郎 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
大野 弘 加藤 恵一 |
発明の名称 | 読み取り結果表示方法、およびデータ読み取り装置 |
代理人 | 矢島 保夫 |