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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消さない。原査定の理由により拒絶すべきものである。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 補正却下を取り消さない。原査定の理由により拒絶すべきものである。 A63F
管理番号 1109089
審判番号 不服2000-13679  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-03-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-30 
確定日 2004-12-08 
事件の表示 平成9年特許願第246010号「景品引渡システム」拒絶査定に対する審判事件[平成11年3月2日出願公開、特開平11-57178号]について、次のとおり審決する。  
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成9年8月28日の出願であって、平成12年4月27日付拒絶理由に対応して平成12年6月27日付で手続補正がなされ、平成12年7月19日付で拒絶査定がなされた。これに対して、同年8月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月31日付で手続補正がなされたものである。


第二.平成12年8月31日付手続補正についての補正却下の決定
[1].補正却下の決定の結論
平成12年8月31日付の手続補正を却下する。

[2].理由
<1>.補正後の本願発明
本願発明は、平成12年8月31日付手続補正(以下「本件補正」という)により補正された、特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に記載された発明は以下のとおりである。
「遊技場において客の遊戯チップを点数に換算する手段と、
点数に対応した景品を表示する手段と、表示された景品の中から希望する景品を選択する手段と、
景品引渡しに関する情報をセンターに送信する手段と、
商店において会員カードまたは運転免許証を利用して個人認証を行なう手段と、
商店において会員カードまたは運転免許証を読み取って自動的にセンターのメールボックスから景品引渡情報を受信する手段
とを具備することを特徴とする景品引渡システム。」

<2>.先ず、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下検討する。
(1).引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-231989号公報、特開平3-68385号公報(周知例として)、さらに、本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-105680号公報、特開平9-10414号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(A).特開平4-231989号公報(以下「刊行物A」という)
(A-1).「パチンコ機2による遊技の結果付与される付与有価価値の一例の持点が記録された持点カードが持点カード処理装置13から利用者に払出される。この持点カードには、前記持点を直接記憶してもよいが、その代わりに、この持点カードにはカード番号を記録させておき、ホール用管理コンピュータ6のそのカード番号に対応させて前記持点を記憶させておき、持点カードに記録されているカード番号を手掛かりホール用管理コンピュータ6の方で該当する持点を割出して特定できるようにしてもよい。この持点カード19(図3参照)により、遊技者が前記遊技機により遊技を行なった結果その遊技者に付与される付与有価価値を特定可能な情報を記録する遊技者用記録媒体が構成されている。遊技者は、前記入手した持点カードを遊技場100に設置されているカウンタ114の持点カード読取装置5に挿入することにより、その持点が読取られてその持点の範囲内で煙草やチョコレート等の一般景品や特殊景品138(図6参照)との交換が可能となる。」(第5欄第9〜27行)
(A-2).「なお、利用者が未だに景品カード136を所持していない場合には、新規発行する必要があり、その場合には、カウンタ115により利用者の住所,氏名,電話番号等の必要事項を記載してもらい、挿入された持点カード19の持点の範囲内で金額を景品カード136に記録してその景品カード136を利用者に新規発行する。」(第6欄第21〜26行)
(A-3).「【0023】一方、景品交換所102のカウンタ115には、景品カード発行会社104に加盟している各加盟店105,106,107が販売している商品やサービス等の種々の売買対象からなる景品が掲載されたカタログが用意されており、利用者はそのカタログを見て自己の欲する商品やサービス等の景品を選択する。そして、自己の欲する景品を景品カード136を用いて景品交換したい場合には、利用者は自己の景品カード136を景品処理装置(景品カード処理機)9に挿入し、カタログで選んだ自己の欲する景品を特定するコード(景品番号)やその個数等を入力する。するとその景品番号がターミナルボックス113を介して景品カード発行会社104の集中管理コンピュータ112に伝送され、集中管理コンピュータ112では利用者の住所に近い加盟店を捜し出してその加盟店(たとえば105)に伝送されてきた景品番号,景品個数と利用者の住所,氏名,電話番号等を伝送する。すると、送信されてきた景品番号に対応する商品やサービス等の景品が加盟店105から利用者に直送される。」(第6欄第31〜49行)
(A-4).「【0024】また、景品処理装置(景品カード処理機)9に、特殊景品を払出す機能を設けてもよい。その場合には、利用者が景品カード136を挿入し、その景品カード136に記録されている残額の範囲内で特殊景品138(第3D図参照)が利用者に払出される。景品交換所102には特殊景品交換装置8が設けられており、利用者が前記特殊景品をこの特殊景品交換装置8に挿入することによりその挿入された特殊景品138に相当する金額の現金が利用者に払出される。なお、現金の払出しの代わりに利用者の景品カード136の残額を増額更新するようにしてもよい。この特殊景品交換装置8はターミナルボックス113を介して景品カード発行会社104の集中管理コンピュータ112に接続されており、特殊景品138の出庫額が集中管理コンピュータ112に伝送されるように構成されている。」
(A-5).「【0025】一方、カタログによる景品交換ではなく実際にその景品を目で見て確かめて購入したいという利用者は、景品カード136を持参して加盟店106に行き、その景品カード136を加盟店106に設置されている景品処理装置9に挿入し、加盟店106で販売されている商品やサービス等の売買対象からなる景品で自己の欲するものの種類や個数を景品処理装置9に入力する。」(第7欄第23〜30行)
(A-6).「【0026】特殊景品を現金に交換する特殊景品交換装置8は銀行108にも設置されており、利用者は自己の所有する特殊景品を銀行108に持参しその特殊景品を銀行108に設置されている特殊景品交換装置8に挿入して現金に変換することも可能である。」(第7欄第43〜47行)
(A-7).「なお、景品処理装置(景品カード処理機)9と特殊景品交換装置(特殊景品精算機)8とを遊技場100,101内に設けて、前述した景品交換所102の機能を遊技場100,101に持たせてもよい。」(第14欄第16〜20行)
(A-8).「【0041】図6は、特殊景品を示す正面図である。特殊景品138はプレート状の樹脂の一部に磁気ストライプ139が形成された磁気カードで構成されている。この磁気ストライプ139には、この特殊景品138が発行された番号である発行番号,この特殊景品138のセキュリティを向上させるためのセキュリティコード等が記録されている」(第14欄第48行〜第15欄第4行)
(A-9).「【0051】図13は、特殊景品の入出庫データを表わす図である。特殊景品138は2,000円と500円と100円の3種類があり、景品入庫数とは各景品交換所102や銀行108から景品カード発行会社104に返却されてきた特殊景品138の数を特殊景品138の種類ごとに示したものである。」(第17欄第39〜44行)
(A-10).してみると、刊行物Aには以下の事項が記載されていることとなる。
景品の交換手段として、パチンコ遊技の結果付与される有価価値である持点の範囲内で金額が記録された景品カードを、景品交換所に設置された景品処理装置に挿入し、加盟各店が販売している商品、サービス等が掲載されたカタログから選んだ景品、及びその個数等、景品取得に関するデータを遊技者が入力すると、当該データは景品カード発行会社の集中管理コンピュータに伝送され、集中管理コンピュータでは当該データ、及び遊技者の住所、氏名等を加盟店に伝送して当該景品の遊技者への配達を依頼することによる、景品交換手段。
また、前記景品交換所の機能を遊技場が備えてもよいこと、及び前記遊技者への景品の配達に代わり、遊技者が直接加盟点に出向いて景品を取得する店頭景品交換手段、同様に銀行等に出向いて、特殊景品を、現金に交換する店頭現金交換手段等が記載され、当該特殊景品はプレート状の樹脂の一部に発行番号が記録された磁気カードで構成され、当該カードは発行元に返却されるものであること。

(B).特開平3-68385号公報(以下「刊行物B」という)
(B-1).「メンバーズカード読取機14は、利用者が挿入したメンバーズカード5に記録されている口座番号を読取り、システムセンタ3に送る」(第3頁左上欄第5〜8行)
(B-2).「景品交換端末装置2は、パチンコ出玉と景品の交換を行うための景品交換所を有する複数の加盟店A、B、C・・・の各々に設置され、操作端末装置1と同様システムセンタ3と通信により接続されている。また、景品交換端末装置2を設置する加盟店A、B、C・・・としては、百貨店、商店等が考えられるし、パチンコ店であってもよい。この場合、パチンコ店以外の百貨店等に設置するようにすれば、パチンコ店における景品交換所としてのスペースが不要となり、かつ景品交換のための作業もなくなる。」(第3頁右上欄第2〜12行)
(B-3).「システムセンタ3は、利用者のメンバー登録、出玉の積立、景品交換後の精算、口座照会等の処理を行うものであり、ホストコンピュータ31と、記録手段としての情報ファイル32と、送信制御装置33と、受信制御装置34と、送信ユニット35及び受信ユニット36とで構成されている。ホストコンピュータ31は、受信ユニット36、受信制御装置34を介して操作端末装置1と景品交換端末装置2からの情報(暗証番号、店番号、出玉数等)を受信し、送信制御装置33と送信ユニット35を介して積立玉数、照会の回答等を操作端末装置1及び景品端末装置2に送信する。」(第3頁左下欄第行〜同頁右下欄第2行)

(C).特開平9-10414号公報(以下「刊行物C」という)
(C-1).「【0006】 (1)景品に相当するカードを発行する遊技場と、このカードに基づき景品を交換する景品交換所と、使用済カードを直接または間接に回収して再利用可能な形態で前記遊技場へ供給するカードを回収する回収業者とより成る遊技機の景品交換システムにおいて、遊技場で所定の情報を書き込んだカードを発行する発行手段と、発行されたカードの情報を読み取り、その情報が適正と判定したカードのみ景品交換可能とする景品交換所に設けられる景品交換手段とを備えた。」(第3欄第3〜11行)
(C-2).「【0043】 一方、上記パチンコホール3でのログ情報及び景品交換所4でのログ情報は、前述のようにそれぞれオンラインで管理コンピュータを有した照合機6に送られ、この照合機6で両者の記憶内容が照合される(S6)。この照合は、必要に応じて例えば一日一回行われる。」(第3欄第19〜24行)

(D).特開平4-105680号公報(以下「刊行物D」という)
(D-1).「(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、この発明は、パチンコ店にて遊技客が獲得したパチンコ玉数に応じて景品または特定景品を払出すように構成されたパチンコ店の管理システムにおいて、前記パチンコ玉の玉数を係数するとともに、該玉数に対応した情報を有する発券を発行する発券装置と、該発券を読取るとともに、特定景品を払出す特定景品払出装置と、該各装置に接続された汎用のコンピュータを備えた管理コンピュータ装置と、を有して、前記発券装置及び特定景品払出装置が管理コンピュータ装置により管理制御されることにより、該遊技客が獲得したパチンコ玉数に併せて、該発券を特定する特定情報を該発券に記録するとともに、同一の情報を前記管理コンピュータ装置に記憶して、該発券を特定景品払出装置により読取る際に、該情報を照会し、合致することを確認した上で、特定景品を払出すように構成したことにより、上記目的を達成するものである。」(第3頁左上欄第12行〜右上欄第11行)

<3>.刊行物Aと本願補正発明との対比
(ア).用語の定義
(i).「景品引渡情報」について、
本願明細書段落【0015】に「パチンコホールで、・・・。図3に示すように、客は画面に表示された景品のカタログから景品を選択する。景品を選択すると、景品の種類と数量のデータが、遊戯場端末1から通信回線2を経由してセンターサーバ3に伝送される。センターサーバ3では、その景品を扱っている商店のメールボックスに、景品の種類と数量と取引識別符号などからなる景品引渡依頼を書き込む。それと同時に、遊戯場端末1に対して、景品の種類と数量と識別符号を送信する。遊戯場端末1では、景品を引き渡す商店と識別符号を書いた個人認証票を発行して客に渡す。個人認証票には、バーコードなどの機械読取り可能な符号を印刷する。また、センターサーバ3から銀行に対して、遊戯場の口座から商店の口座に商品代金を振り込むことを依頼する。」
段落【0016】に「客は、個人認証票を持って指定された商店に出向き、景品の引渡しを請求する。商店では、個人認証票のバーコードを読み取って確認し、商店端末5を使ってセンターサーバ3をアクセスし、景品引渡情報をメールボックス4で確認して、客に景品を引き渡す。」
段落【0022】に「図4は、本発明の第2の実施の形態の景品引渡システムの動作フローを示す図である。・・・。遊戯場端末1には、図3に示すように、点数に応じた景品と、その景品を引き渡せる商店の一覧が記載された景品カタログが表示される。客が景品と商店を選択すると、商店端末5からセンターサーバ3にその情報が送信される。また、図5に示すようなバーコードが印刷された個人認証票が発行される。センターサーバ3では、景品情報を受信すると、その商店のメールボックス4に景品引渡依頼を書き込む。遊戯場端末1に対して、景品引渡情報と取引識別符号を送る。遊戯場端末1では、商店と個人識別符号を印刷した、図5に示すような個人認証票(お客様用IDカード)を発行する。個人識別符号はバーコードでも印刷される。」
段落【0023】に「客は、個人認証票を持って商店に行き、景品を請求する。商店では、個人認証票を商店端末5で読み取り、自動的にセンターサーバ3をアクセスし、メールボックス4を読んで、景品の種類と数量を確認する。その景品を客に引き渡し、センターサーバ3に引渡し完了を通知する。センターサーバ3では、取引完了を記録し、メールボックス4の取引データを消去する。」
段落【0029】に「図6は、本発明の第3の実施の形態の景品引渡システムの動作フローを示す図である。・・・・。遊戯場端末1には、図7に示すような、景品を提供できる商店の一覧表が表示される。希望の景品がありそうな商店を選択すると、図8に示すような、その商店が提供できる景品の一覧表が表示される。客の点数の範囲内で景品をいくつか選択すると、商店端末5からセンターサーバ3にその情報が送信される。また、図5に示すようなバーコードが印刷された個人認証票が発行される。センターサーバ3では、景品情報を受信すると、その商店のメールボックス4に景品引渡依頼を書き込む。遊戯場端末1に対して、景品引渡情報と取引識別符号を送る。遊戯場端末1では、商店と個人識別符号を印刷した個人認証票を発行する。個人識別符号はバーコードでも印刷される。」
段落【0030】に「客は、個人認証票を持って商店に行き、景品を請求する。商店では、個人認証票を商店端末5で読み取り、自動的にセンターサーバ3をアクセスし、メールボックス4を読んで、景品の種類と数量を確認する。その景品を客に引き渡し、センターサーバ3に引渡し完了を通知する。センターサーバ3では、取引完了を記録し、メールボックス4の取引データを消去する。」
と記載されている。
してみると、
前記段落【0022】、【0030】等の記載から、景品引渡情報と取引識別符号とは相違すること、また、商店がセンターサーバーの自己のメールボックスにから得る情報は、前記段落【0015】【0030】【0023】等の記載から、景品の種類と数量であることから、メールボックスから受信する、「景品引渡情報」とは景品の種類と数量であると認める。
(ii).「景品引渡に関する情報」について、
段落【0009】、【0010】に「景品の種類と数量と商店などの景品引渡に関する情報」と記載されているから、「景品引渡に関する情報」とは、景品の種類と数量と商店などに関する情報であると認める。
(iii)「個人認証を行う手段」について、
本願明細書の段落【0008】に「【発明の実施の形態】 本発明の請求項1に記載の発明は、・・・・・・、商店において会員カードまたは運転免許証を利用して個人認証を行なう手段と、商店において会員カードまたは運転免許証を読み取って自動的にセンターのメールボックスから景品引渡情報を受信する手段とを具備する景品引渡システムであり、・・・・・。」、 段落【0018】に「なお、景品カタログは、遊戯場の店頭に冊子のカタログを置いてもよい。また、個人認証票を毎回発行するかわりに、会員カードのように一定期間にわたって有効な個人認証票を使用してもよいし、運転免許証のような一般的な証明書を利用してもよい。」と記載され、さらに、個人認証票については、段落【0015】に「遊戯場端末1では景品を引き渡す商店と識別符号を書いた個人認証票」、段落【0022】に「遊戯場端末1では、商店と個人識別符号を印刷した、図5に示すような個人認証票(お客様IDカード)を発行する。個人識別符号はバーコードでも印刷される。」と記載され、しかも、その機能は段落【0016】、【0023】に記載されているように、メールボックスの内容を読取るために、商店の端末において読取られて、センターサーバーへのアクセス機能である。
してみると、「個人認証を行う手段」とは、センターサーバに記憶されている景品引渡情報にアクセスする為の、例えばIDカード等を用いた端末からのアクセス手段であると認める。
(iv)「メールボックス」について、
本願明細書の段落【0013】には「図1は、本発明の第1の実施の形態の景品引渡システムの構成を示すブロック図である。・・・。通信回線2は、センターサーバ3と遊戯場端末1および商店端末5を結ぶインターネットなどの通信ネットワークである。・・・・。メールボックス4は、遊戯場端末1と商店端末5との間のデータ交換のための記憶装置である。・・・。」と記載されており、当該の記載から、「メールボックス」は、ネットワーク上のデータ用記憶装置であると認める。

(イ).構成の対応関係
(i).刊行物1の「付与有価価値」は、本願補正発明の「遊技チップ」に相当する。
(ii).刊行物1の「景品カードの金額」は、景品を選択できる範囲を示すものであるから、本願補正発明において同様の機能を奏する「点数」に相当する。
(iii).刊行物1の「集中管理コンピュータ112」は、カタログなどで選んだ景品及びその個数の情報を受信し、当該受信情報を処理するコンピュータであるから、本願補正発明において同様の機能を奏する「センター」に相当する。

(ウ).一致点、相違点
一致点
「遊技場において客の遊戯チップを点数に換算する手段と、点数に対応した景品を表示する手段と、表示された景品の中から希望する景品を選択する手段と、景品の種類、数量に関する情報をセンターに送信する手段
を具備することを特徴とする景品引渡システム。」

相違点
(i).景品引渡に関する情報として、前者は、景品の種類、数量であるのに対し、後者は、景品の種類、数量に加えて、商店名である点
(ii) 景品引渡手法として、前者は、景品を景品受取者に配達するのに対し、後者は、景品受取者が商店に出向く点、及び当該相違に基づく景品引渡の具体的手法、すなわち、商店において個人認証を行って、自動的にセンターのメールボックスから景品引渡情報を得る点

(エ).相違点の検討
相違点(ii)について、
商店に注文した、例えば酒などの注文商品の引渡しを受ける手段として、当該商店が受注品を配達する引渡手段、及び注文者が当該商店に出向いて引渡を受ける店頭引渡手段は、例えば前記刊行物C、Dに示されるように周知の引渡手段であり、しかも、店頭引渡手段においては、商品引渡時に注文商品、注文者を確認の上、商品が引き渡されることも周知の事項である。
してみると、刊行物Aにおける商品引渡手段として、前記周知の店頭引渡手段とすることは単なる設計的変更であり、前記した確認のための情報、すなわち、商品、注文者の住所氏名、引渡商店名に関する情報はネットワーク上の集中管理コンピュータに存在するのであるから当該情報を利用することは当業者ならば容易に想到することであり、そのようなネットワーク上に存在する情報の利用手段として、ネットワーク上のコンピュータと共に存在する記憶手段に情報を格納して、各端末からアクセスして当該情報を利用すること、及び端末からのアクセス手段として、メンバーズカード等のIDカードを用いて自動的にアクセスすることは、刊行物2に示されるように周知のネットワーク情報利用手段である。
したがって、前記した確認のためにの情報、すなわち、商品、注文者等に関する情報の利用手法として、前記刊行物2に示されるような周知のネットワーク情報利用手段とすることも、当業者が店頭引渡手段を採用したことに伴って適宜為し得る程度のことである。

相違点(i)について、
景品交換所が、例えば、景品の種類毎等のように複数存在する場合における店頭引渡手段においては、景品交換すべき景品交換所を特定する、例えば商店の名前等の情報が景品品引渡に関する情報として必要であることは、当業者が容易に想到することである。

<4>.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第三.本願発明について
平成12年8月31日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至3に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明1乃至3」という。)は、平成12年6月27日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に記載された発明は、以下のとおりのものである。
「 遊戯場において客の遊戯チップを点数に換算する手段と、
点数に対応した景品を表示する手段と、表示された景品の中から希望する景品を選択する手段と、景品引渡しに関する情報をセンターに送信する手段と、商店において会員カードまたは運転免許証を利用して個人認証を行なう手段と、商店においてセンターのメールボックスから景品引渡情報を受信する手段とを具備することを特徴とする景品引渡システム。」

<1>.刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、および、その記載事項は、前記「第二、[2]、<2>」に記載したとおりである。

<2>.対比・判断
本願発明は、前記「第二、[2]」で検討した本願補正発明の「商店において会員カードまたは運転免許証を読み取って自動的にセンターのメールボックスから景品引渡情報を受信する手段」から、限定事項である「会員カードまたは運転免許証を読み取って自動的に」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二、<3>」に記載したとおり、刊行物A及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物A、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、審判請求人は、平成15年6月20日付「早期審査に関する事情説明書」において、補正案を下記(A)のように提示しているので、当該補正案に対する当審の見解を下記(B)に簡潔に記載しておく。
(A).補正案
遊技場の店頭に設置された遊技場端末、該遊戯場外の商店に設置される商店端末及びこれら端末を管理するセンターサーバーからなり上記各端末及びセンターサーバーをネットワークで接続して遊技場の玉やチップを景品に交換する景品引渡し情報システムにおいて、
上記センターサーバーには上記景品を扱っている商店ごとにデータ交換のための記憶装置を有し、
上記遊技場端末において客の玉やチップを係数して得られる点数に対応した上記商店の景品を表示し、
該表示された景品の中から客が希望する景品を選択すると、該選択された景品の種類と数量データが前記センターサーバーに送信され、
該送信されたデータに基づきセンターサーバーは、該選択された景品の種類と数量データ及び取引識別符号を前記データ交換のための記憶装置に書き込むと共に、
前記遊技場端末は、上記商店と取引識別符号情報を有する個人認証票を発行し、上記商店の店頭において、商店端末が上記個人認識票に基づき上記景品引き渡し情報を前記データ交換のための記憶装置から取得することにより、
前記遊技場端末において客の選択した景品を上記遊技場外の商店で引き渡すことを特徴とする店外景品引渡し情報システム。
(B).当審の見解
遊戯場端末、遊技場外の商店に設置の端末、及びこれらの端末と情報交換する集中管理コンピュータ、すなわち、センターサーバー
をネットワークで結び、遊戯場でカタログなどに表示された景品の種類と数量を選択すると、当該製品の数量とデータがサーバーに送信されて保持され、店頭引渡の際に、引渡商品及び受取人の確認に際して当該データを用いることは、前記補正発明の検討において記載したように当業者が容易に想起できることである。
そして、前記店頭引渡に際して行う確認として、前記補正発明が会員カード、運転免許証等を利用した個人認証であるのに対し、補正案では商店名と取引識別符号が記載された個人認証票である点で相違する。
しかしながら、遊技場で景品交換カードを発行すると共に、当該カード記録事項と同内容の事項を管理コンピュータに送信し、景品交換所にて景品交換する際、当該景品交換カード記載事項の真偽を、景品交換所から前記管理コンピュータに問い合わせる景品交換システムは前記刊行物C、Dのように周知のシステムであり、前記記載事項には、その機能からして取引を特定するための情報が含まれることは当業者にとっては明らかなことである。
さらに、景品交換所が、例えば、景品の種類毎等のように複数存在する場合における店頭引渡手段においては、景品交換すべき景品交換所を特定する、例えば商店の名前等の情報が景品品引渡に関する情報として必要であることは、当業者が容易に想到することである。
したがって、前記相違点は、当業者が容易に為し得る程度の事項であるから、補正案によるも特許を受けることはできない。

<3>.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物Aに記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-08-08 
結審通知日 2003-08-11 
審決日 2003-09-02 
出願番号 特願平9-246010
審決分類 P 1 8・ 575- ZB (A63F)
P 1 8・ 121- ZB (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 渡部 葉子
塩崎 進
発明の名称 景品引渡システム  
代理人 野村 泰久  

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