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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1109094 |
審判番号 | 不服2002-12483 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-09-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-07-04 |
確定日 | 2004-12-24 |
事件の表示 | 平成10年特許願第 45325号「適応進化型画像圧縮符号化装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月 7日出願公開、特開平11-243491〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成10年2月26日の出願であって、「適応進化型画像圧縮符号化装置」に関するものと認められる。 2.原査定の理由 一方、原査定の引用する拒絶理由通知書には以下の記載がある。 「この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1に記載された『遺伝的アルゴリズム』が具体的にどのようなものを包含し、どのように作用効果が得られるのか不明である。」 また、同査定には備考として、「【発明の詳細な説明】(特に図3、【0037】〜【0042】)を参照しても『遺伝的アルゴリズム』が具体的にどのようなものか依然として不明であり、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められない。 また、『遺伝的アルゴリズム』を構成要素とする請求項1に係る発明が明確であるとは認められない。」と記載されている。 してみると、原査定の拒絶の理由の一つは、「遺伝的アルゴリズム」が具体的にどのようなものか不明であり、発明の詳細な説明は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められない(特許法36条4項)というものである。 この点は、審判請求人も、審判請求書において「すなわち遺伝的アルゴリズムは、一般に公知の技術であり、本願の記載により当業者がその実施をすることができるものである。」と主張していることから、正解しているものと認められる。 3.当審の判断 そこで、発明の詳細な説明が、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に記載されているか否かを、以下検討する。 発明の詳細な説明(段落【0037】〜【0042】)には、「1ブロック当たりの適応進化処理の回数をL(L≧1),染色体の個体数をNとおく。」、「参照画素位置の座標を染色体に割当て遺伝的アルゴリズムにより適応進化処理を行う。」、「遺伝子操作としては、選択、淘汰、交叉、突然変異などが考えられる。」との記載はあるが、参照画素位置の座標を染色体にどのように割当てどのように表現するか(いわゆるコーディング)、適応進化処理の回数、突然変異率や交叉率等の遺伝子操作のための各パラメータについて、具体的な実施例はおろかそれらを設定するにあたっての手法すらいっさい記載されていない。 一方、審判請求人の主張するとおり、「遺伝的アルゴリズム」そのものは公知の技術と認められるが、それをどのように応用するか(すなわち、本願発明の場合においてはどのように画像圧縮符号化装置に適用するか)については、本願出願当時、当業者においても確立した知見は無かったものと認められる。すなわち、「しかし、GA(注:遺伝的アルゴリズム)の研究が活発化してきたのは80年代後半から90年代に入ってからであり、その応用は、まだ模索中というのが正しい表現であろう。」(北野編「遺伝的アルゴリズム」第3刷(1994年)産業図書、30頁)、「GAが成果を上げていない例も多くあ」り、なおかつ「GAの性能は、候補解のコード化、オペレータやパラメータの設定、終了条件などに大きく依存する。」(M.ミッチェル著、伊庭監訳「情報科学セミナー 遺伝的アルゴリズムの方法」(1997年)東京電機大学出版局、188〜189頁)との記載からみて上記のように認定するのが相当である。 してみると、当業者は、本願発明の画像圧縮符号化装置に適したコーディングやパラメータについて具体的な開示がなければ、本願発明を実施することができないものと認められ、これらの開示を欠く本願の発明の詳細な説明は、当業者が実施できる程度に記載されているとは認められない。 4.むすび したがって、本願は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-10-19 |
結審通知日 | 2004-10-26 |
審決日 | 2004-11-08 |
出願番号 | 特願平10-45325 |
審決分類 |
P
1
8・
536-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松永 稔 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
深沢 正志 江頭 信彦 |
発明の名称 | 適応進化型画像圧縮符号化装置 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 村松 貞男 |