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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03G
管理番号 1109111
審判番号 不服2002-2998  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-11-01 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-02-21 
確定日 2004-12-24 
事件の表示 平成7年特許願第92103号「音量コントロール回路」拒絶査定不服審判事件〔平成8年11月1日出願公開、特開平8-288767〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成7年4月18日の出願であって、平成14年1月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[結論]
平成14年2月21日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
上記手続補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を、
「音量制御用パルス発生器と、音量制御用パルスをそのデューティー比によって直流電圧に変換する積分回路と、前記直流電圧を音量コントロール電圧に変換する電圧補正回路と、前記音量コントロール電圧に従って音声出力を制御する電圧制御型音量可変回路とを備える音量コントロール回路において、前記音量コントロール電圧の可変範囲の0V以外の最小電圧と最大電圧の間で最適な音量出力特性に設定するとともに、前記のように設定された前記音量出力特性において前記可変範囲から除外された音量コントロール電圧の0Vに対して音量出力を0に設定し、前記可変範囲の音量コントロール電圧の最小電圧値と0Vとの間において前記音量出力特性曲線が不連続となるように前記音量出力特性曲線に特異点0を設定し、前記音量制御用パルスのデューティー比が0%であることを検出したとき、前記音量出力特性曲線に設定された特異点0になるように前記音量コントロール電圧が0Vとなり音残りを安定かつ完全に防止するようにしたことを特徴とする音量コントロール回路。」
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無、補正の目的要件
上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「最小電圧」という構成を「0V以外の最小電圧」という構成に減縮するとともに、「前記音量コントロール電圧の可変範囲の最小電圧値において前記音量出力特性曲線に特異点0を設定し」という構成を「前記のように設定された前記音量出力特性において前記可変範囲から除外された音量コントロール電圧の0Vに対して音量出力を0に設定し、前記可変範囲の音量コントロール電圧の最小電圧値と0Vとの間において前記音量出力特性曲線が不連続となるように前記音量出力特性曲線に特異点0を設定し」という構成に減縮するものであるから、特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定(新規事項)及び同法第17条の2第3項の規定(補正の目的)に適合している。

(2)独立特許要件
次に、上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて検討する。
[補正後の発明]
上記「1.補正後の本願発明」の項で認定したとおりである。

[引用発明]
原審の拒絶理由に引用された実願昭58-108601号の願書に添付された明細書と図面を撮影したマイクロフィルム(実開昭60-17019号参照、以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「パルス幅が音量最小に対応する第1状態から音量最大に対応する第n状態まで変化し得るパルス列信号をパルス幅・電圧変換回路に入力し、この回路の出力電圧に応じて音声信号の可変利得回路を制御することによつて音量制御を行なう回路に於いて、前記第1〜第n状態の各パルス幅に夫々対応する前記変換回路の各出力電圧が前記可変利得回路のミュートレベル以上の電圧になるようにすると共に、前記パルス列信号が前記第1状態であるときを識別検出する回路と、その検出出力によつて前記変換回路を制御する制御回路を設け、この制御回路によつて前記パルス列信号が第1状態のときのみ前記変換回路の出力電圧を前記ミュートレベル以下の電圧に低下させるようにした音量制御回路。」(実用新案登録請求の範囲(1))
ロ.「近年、テレビジヨン受像機の新しい音量制御方式として、音量制御スイッチを押圧した時或いは音量制御用のリモコン信号を受信した時に、一定の比率でパルス幅が変化して行くパルス列信号を発生させ、このパルス列信号をパルス幅・電圧変換回路で変換して得る電圧に応じて音声信号の利得を変化させて行なうものが採用されている。第1図はこのような音量制御に使用するパルス列信号を表わしており、このパルス列信号は周期をT、ハイ期間のパルス幅をWとすると、そのパルス幅Wが音量最小に対応するW=T(即ち、一定レベルの信号となる)の第1の状態から、W=0(即ち、0レベル信号となる)の第n状態まで、一定の比率で変化するものである。」(2頁7〜20行目)
ハ.「その範囲ではミュートレベル(L0)以下となつて、音声信号が全く聞えない状態になる。」(3頁7〜9行目、但し、表記の都合上、添字は通常文字を用いて引用している。以下同様。)
ニ.「第4図は本考案をテレビジヨン受像機に実施した一実施例の要部の概略構成を示している。同図に於いて、(1)は松下電子工業(株)製の選局用マイクロプロセツサMN14821SALであり、このマイクロプロセツサ(以下、MPUと称す)は23番ピン、25番ピン、26番ピン間に図示のように音量アツプ用の手動スイツチ(S1)と音量ダウン用の手動スイツチ(S2)が接続され、この各スイツチの閉成時に音量制御用のパルス列信号が22番ピンに導出されるようになつている。」(6頁3〜12行目)
ホ.「ここで、前記トランジスタ(Tr1)のベースに第1図の信号(P1)が入力された場合には、このトランジスタがオンになるので、今、他の回路の影響を考えないものとすると、この場合のP点の制御電圧は抵抗(R2)(R3)(R4)の分圧比で決まることになる。従つて、この制御電圧が前記IC(3)のミュートレベル(L0)に相当する0.8Vよりも若干高い1.0Vになるように上記各抵抗を設定している。また、第1図の信号(Pn)がトランジスタ(Tr1)に入力された場合は、このトランジスタがオフになつてP点の制御電圧は抵抗(R2)(R4)の分圧比で決まるから、この電圧が前述の6.0Vになるように設定している。このようにすると、第1図の信号(P1)〜(Pn)に対してP点には必ずミュートレベル(L0)相当の電圧よりも高い1.0〜6.0Vの制御電圧が現われることになり、斯る点を本実施例では一つの特徴としている。
なお、平滑回路(Sc)内のダイオード(D1)は、この平滑回路の充電時(R2-->D1-->C1)の時定数と放電時(C1-->R5-->R4)の時定数を略等しくなし、これによつてP点の制御電圧を1.0〜6.0Vの範囲で略リニアに変化させている。
一方、前記MPU(1)の22番ピンから前記信号(P1)が出力されたときは、6番ピンから前述の如くミュート信号(負極性)が出力され、このミュート信号が抵抗R6を通つて制御回路(4)内の常時オン状態のトランジスタ(Tr2)に入力される。従って、このトランジスタがオフとなつてトランジスタ(Tr3)がオンになる。それゆえ、このときのP点の制御電圧はQ点の電圧(1.0V)を抵抗(R5)(R9)で分圧した値になる。そこで、この電圧を前述の0.8Vよりも充分低く略0Vに近い値に設定しており、このようにした点を本実施例では他の一つの特徴としている。そして、第2状態以後の各信号(P2)〜(Pn)がMPU(1)から出力されたときは前述のミュート信号が発生しないので、制御回路(4)のトランジスタ(Tr2)がオンでトランジスタ(Tr3)がオフとなつているから、P点の制御電圧は前述の如く変化する。
したがつて、P点の制御電圧は、結局、第3図の曲線(ロ)のように変化することになり、この電圧によつて前記IC(3)内の可変利得回路が制御されるので、パルス列信号(第1図)の第1状態では確実にミュート状態にでき、且つ、上記パルス列信号の第2状態から直ちに音量を変化させることができ、また、逆に第n状態からパルス列信号を変化させた場合も同様に音量を制御できる訳である。
第5図は本考案の他の実施例を示しており、この実施例は音量制御用のパルス列信号が第1状態のときに発生する前述の如きミュート信号が得られない場合に好適な実施例である。即ち、第4図と対応する部分に同一図番を付して簡単に説明すると、この実施例では端子(T1)に入力されたパルス列信号が第1図のP1であるときを識別検出する検出回路(5)を別個に設け、この回路の前段トランジスタ(Tr4)が信号(P1)によつてパルス列の周期T以上の期間に亘つてオン状態に保持されたときのみ、後段トランジスタ(Tr5)をオフにし、これによつて制御回路(5)内の前段トランジスタ(Tr2)をオフで後段トランジスタ(Tr3)をオンとなして、パルス幅・電圧変換回路(2)の端子(T2)に得る制御電圧を先の実施例のように低下させているのである。」(8頁6行目〜11頁9行目)

上記引用例の記載及び添付図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「MPU(1)」は「音量制御用のパルス列信号」を導出するマイクロプロセツサであるから、いわゆる「音量制御用パルス列発生器」を構成しており、上記「パルス列信号」は「周期をT、ハイ期間のパルス幅をWとすると、そのパルス幅Wが音量最小に対応するW=T(即ち、一定レベルの信号となる)の第1の状態から、W=0(即ち、0レベル信号となる)の第n状態まで、一定の比率で変化する」ものであるから、当該信号は「音量最小から音量最大に対応する異なるデューティー比をもつ」信号であり、音量最小に対応する第1の状態のときのデューティー比は100%である。したがって、上記「パルス幅・電圧変換回路」は前記「音量最小から音量最大に対応する異なるデューティー比をもつ音量制御用パルス列信号を入力し、当該音量制御用パルス列信号を平滑回路(Sc)によりそのデューティー比に応じた直流電圧に変換すると共に、分圧抵抗(R2)(R3)(R4)により音量制御電圧に変換する回路」であり、上記「可変利得回路」は前記「音量制御電圧」により音量を制御するものである。
また、第3図(ロ)及び上記ホ.の記載によればパルス幅の状態数(即ち、音量最小から音量最大までのステップ数)が1のときは略0Vに近い値に設定し、2以降はミュートレベル(L0)相当の電圧よりも高い1.0V(最小電圧)〜6.0V(最大電圧)の範囲で略リニアに設定している。したがって、音量出力特性は音量制御電圧の可変範囲の略0Vに近い値以外の最小電圧と最大電圧の間で最適な音量出力特性に設定されており、且つ、音量制御電圧の最小電圧値と略0Vに近い値との間において不連続となっている。また、前記制御電圧が略0Vに近い値のときはミュート状態となり、「音声信号が全く聞えない状態」となるものである。
したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「音量制御用パルス列発生器と、音量制御用パルス列信号を平滑回路によりそのデューティー比に応じた直流電圧に変換すると共に分圧抵抗により音量制御電圧に変換するパルス幅・電圧変換回路と、前記音量制御電圧に従って音声出力を制御する可変利得回路とを備える音量制御回路において、
前記音量制御電圧の可変範囲の略0Vに近い値以外の最小電圧と最大電圧の間で最適な音量出力特性に設定するとともに、前記のように設定された前記音量出力特性において前記可変範囲から除外された音量制御電圧の略0Vに近い値に対して音量出力を音声信号が全く聞えない状態に設定し、前記可変範囲の音量制御電圧の最小電圧値と略0Vに近い値との間において前記音量出力特性曲線が不連続となるように設定し、前記音量制御用パルス列のデューティー比が100%であることを検出したとき、前記音量制御電圧が略0Vに近い値となり音声信号が全く聞えない状態となるようにした音量制御回路。」

[対比]
補正後の発明と引用発明とを対比すると、補正後の発明の「パルス」、「音量コントロール電圧」と引用発明の「パルス列」、「音量制御信号」はそれぞれ同じ意味であり、引用発明の「可変利得回路」は「制御電圧」により音量を制御する(即ち、音量可変の)回路であるから、補正後の発明の「電圧制御型音量可変回路」と引用発明の「可変利得回路」は同じ回路である。
また、補正後の発明の「音量制御用パルスをそのデューティー比によって直流電圧に変換する積分回路と、前記直流電圧を音量コントロール電圧に変換する電圧補正回路」と引用発明の「音量制御用パルス列信号を平滑回路によりそのデューティー比に応じた直流電圧に変換すると共に分圧抵抗により音量制御電圧に変換するパルス幅・電圧変換回路」はいずれも「音量コントロール電圧導出回路」であるという点で一致している。
また、補正後の発明の「0V」と引用発明の「略0Vに近い値」はいずれも「特定電位」であるという点で一致しており、補正後の発明の「音量出力を0に設定」すること及び「音残りを安定かつ完全に防止する」ことと、引用発明の「音量出力を音声信号が全く聞えない状態に設定」することは同じ意味である。
また、補正後の発明の「音量制御用パルスのデューティー比が0%であることを検出したとき」と引用発明の「音量制御用パルス列のデューティー比が100%であることを検出したとき」という構成はいずれも「音量制御用パルスのデューティー比が所定値であることを検出したとき」という点で一致している。
したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の<一致点>で一致し、また<相違点>で相違する。
<一致点>
「音量制御用パルス発生器と、音量コントロール電圧導出回路と、前記音量コントロール電圧に従って音声出力を制御する電圧制御型音量可変回路とを備える音量コントロール回路において、
前記音量コントロール電圧の可変範囲の特定電位以外の最小電圧と最大電圧の間で最適な音量出力特性に設定するとともに、前記のように設定された前記音量出力特性において前記可変範囲から除外された音量コントロール電圧の特定電位に対して音量出力を0に設定し、前記可変範囲の音量コントロール電圧の最小電圧値と特定電位との間において前記音量出力特性曲線が不連続となるように設定し、前記音量制御用パルスのデューティー比が所定値であることを検出したとき、前記音量コントロール電圧が特定電位となり音残りを安定かつ完全に防止するようにしたことを特徴とする音量コントロール回路。」

<相違点1>「音量コントロール電圧導出回路」に関し、補正後の発明は「音量制御用パルスをそのデューティー比によって直流電圧に変換する積分回路と、前記直流電圧を音量コントロール電圧に変換する電圧補正回路」であるのに対し、引用発明は「音量制御用パルス列信号を平滑回路によりそのデューティー比に応じた直流電圧に変換すると共に分圧抵抗により音量制御電圧に変換するパルス幅・電圧変換回路」である点。
<相違点2>「特定電位」に関し、補正後の発明は「0V」であるのに対し、引用発明は「略0Vに近い値」である点。
<相違点3>「音量出力特性曲線」に関し、補正後の発明は「音量出力特性曲線に特異点0を設定し、音量制御用パルスのデューティー比が0%であることを検出したとき、前記音量出力特性曲線に設定された特異点0になるように」しているのに対し、引用発明は「特異点0」について記載されていない点。
<相違点4>「音量制御用パルスのデューティー比が所定値であることを検出したとき」に関し、補正後の発明は「音量制御用パルスのデューティー比が0%であることを検出したとき」であるのに対し、引用発明は「音量制御用パルス列のデューティー比が100%であることを検出したとき」である点。

[判断]
そこで、まず、上記相違点1の「音量コントロール電圧導出回路」について検討するに、引用発明の「音量コントロール電圧導出回路」は「音量制御用パルス列信号を平滑回路によりそのデューティー比に応じた直流電圧に変換すると共に分圧抵抗により音量制御電圧に変換するパルス幅・電圧変換回路」であるところ、当該「パルス幅・電圧変換回路」は「音量制御用パルス列信号を平滑回路によりそのデューティー比に応じた直流電圧に変換する」機能と「分圧抵抗により音量制御電圧に変換する」機能からなるものであり、それぞれの機能を独立の回路で構成することを妨げる格別の要因は何ら見あたらないから、これら2つの機能を補正後の発明のように「音量制御用パルスをそのデューティー比によって直流電圧に変換する積分回路と、前記直流電圧を音量コントロール電圧に変換する電圧補正回路」として構成する程度のことは当業者であれば容易なことである。
ついで、上記相違点2の「特定電位」と相違点3の「音量出力特性曲線」について検討するに、引用発明の「略0Vに近い値」を「0V」としてはならない理由はないから、引用発明の「略0Vに近い値」を補正後の発明のように「0V」とする程度のこともまた当業者であれば適宜成し得る事項であり、音量出力特性曲線中の当該特定電位部分を「特異点0」と定義することは単なる表現上の差異に過ぎないものである。
また、上記相違点4の「音量制御用パルスのデューティー比が所定値であることを検出したとき」について検討するに、補正後の発明にかかるデューティー比0%と、引用発明にかかるデューティー比100%はいずれも音量最小に対応するデューティー比であって、両者はともに音量最小時を検出している点で同じであるから、両者の間に実質的な差異はない。

以上のとおりであるから、補正後の発明は上記引用例に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.結語
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第4項の規定により準用する特許法第126条第3項の規定に違反している。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成14年2月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年12月20日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「音量制御用パルス発生器と、音量制御用パルスをそのデューティー比によって直流電圧に変換する積分回路と、前記直流電圧を音量コントロール電圧に変換する電圧補正回路と、前記音量コントロール電圧に従って音声出力を制御する電圧制御型音量可変回路とを備える音量コントロール回路において、前記音量コントロール電圧の可変範囲の最小電圧と最大電圧の間で最適な音量出力特性に設定するとともに、前記音量コントロール電圧の可変範囲の最小電圧値において前記音量出力特性曲線に特異点0を設定し、前記音量制御用パルスのデューティー比が0%であることを検出したとき、前記音量出力特性曲線に設定された特異点0になるように前記音量コントロール電圧が0Vとなり音残りを安定かつ完全に防止するようにしたことを特徴とする音量コントロール回路。」

2.引用発明
引用発明は、上記「第2.2.(2)独立特許要件」中の[引用発明]の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明にかかる「0V以外の最小電圧」という構成から「0V以外の」という限定を省き、「前記のように設定された前記音量出力特性において前記可変範囲から除外された音量コントロール電圧の0Vに対して音量出力を0に設定し、前記可変範囲の音量コントロール電圧の最小電圧値と0Vとの間において前記音量出力特性曲線が不連続となるように前記音量出力特性曲線に特異点0を設定し」という構成から「前記のように設定された前記音量出力特性において前記可変範囲から除外された音量コントロール電圧の0Vに対して音量出力を0に設定し」という限定及び「0Vとの間において前記音量出力特性曲線が不連続となるように前記音量出力特性曲線に特異点0を設定し」という限定を省き、それぞれ「最小電圧」、「前記音量コントロール電圧の可変範囲の最小電圧値において前記音量出力特性曲線に特異点0を設定し」としたものである。
そうすると、本願発明の構成に前記構成を付加した補正後の発明が上記「第2.2(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、上記引用例に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-10-15 
結審通知日 2004-10-19 
審決日 2004-11-08 
出願番号 特願平7-92103
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H03G)
P 1 8・ 575- Z (H03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 畑中 博幸  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 野元 久道
浜野 友茂
発明の名称 音量コントロール回路  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  

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