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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1109294 |
審判番号 | 不服2003-14770 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-07-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-07-31 |
確定日 | 2005-01-04 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第251814号「電子カメラ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 7月 4日出願公開、特開平 7-170345〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成5年7月20日に出願した特願平5-201107号の一部を平成6年10月18日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、平成12年7月21日付け、平成15年4月25日付け、及び平成15年8月29日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「被写体像を撮像する撮像手段と、 前記撮像手段で撮像された被写体像を信号処理する信号処理手段と、 前記信号処理手段で処理された画像データを記憶できる画像データ記憶手段と、 画像データを再生して表示させるための画像再生手段と、 画像データを伝送するためのインターフェース手段と、 前記インターフェース手段を介して画像データを伝送する伝送先を特定するための情報を入力設定する伝送先情報設定手段と、 前記伝送先情報設定手段によって予め設定された伝送先情報から所望の伝送先を選択する伝送先選択手段と、 複数の画像データの中から伝送対象とする所望の画像データを選択する画像データ選択手段と、 前記画像データの記憶の際には当該記憶される画像データを表示画面上に表示可能である一方、前記画像データ記憶手段に記憶された画像データを再生して前記表示画面上に表示する表示手段であって、当該表示手段の表示画面上には前記画像データに加えて記録または再生画像番号、記憶可能残り枚数、日付や時刻の少なくとも1つが表示可能であり、かつ、伝送先情報の選択あるいは入力設定の際には選択や入力の対象となる伝送先情報を表示可能な表示画面を有する表示手段と、 前記撮像手段によって被写体像を撮像して前記画像データ記憶手段に記憶するモードと画像の伝送を行うモードとを切替えるモード切替え手段と、 を有することを特徴とする電子カメラ装置。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願平1-108597号(実開平3-48945号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 A.「この考案は、自動車電話あるいは携帯型電話機にテレビカメラ機構(静止画)を付けた携帯テレビ電話機に関するものである。」(明細書第1頁第17〜19行) B.「第1図はこの考案の一実施例を示すブロック図である。この図において、10は静止画像部で、従来の静止画テレビに相当する部分であり、カメラ部11,モニタ部12,ビデオ制御部13、A/D,D/A変換回路14,画像メモリ回路15,画像制御回路16等からなる。20は電話部で、従来の自動車電話方式に基づいた携帯用電話機に相当する部分であり、主制御回路21,送受信回路/変復調回路22,増幅器23,抵抗器24,網制御回路25,平衡結線網26,受信部27,送信部28,送受話器29等からなる。30は無線部で、制御部31,空中線共用器32,アンテナ33等からなる。40は電池部である。 次に動作について説明する。 静止画像部10のカメラ部11で写した映像をモニタ部12で確認して、A/D,D/A変換回路14を通して映像を信号に変換し、電話部20へ送る。また、画像メモリ回路15にて映像の記憶を行う。 電話部20では静止画像部10より送られてきた信号を平衡結線網26等により2線式から4線式に変換し、送信部28と受信部27に分け無線部30に送る。また、送受話器29の送話器からの音声も無線部30に送られる。 無線部30では電話部20よりの信号をアンテナ33を通して電話基地局へ送信する。 電話基地局から送られてきた電波は、アンテナ33から無線部30に入り、受信部27から音声は送受話器29の受話器に送られ、静止画像は静止画像部10のモニタ部12に表示される。」(明細書第3頁第11行〜第4頁第20行、及び第1図参照) C.「第2図はこの考案の一実施例を示す全体の斜視図である。このように単一の筐体100に収納され、可搬式であり、モニタ部12を見ながら操作できるので、適切な送信を行うことができる。」(明細書第5頁第4〜7行、及び第2図参照) D.第2図を見ると、電話部20には、モニタ部12の右側に、縦4個、横3個の丸が記載されており、これは、電話番号等を入力するするために用いられるキースイッチ、すなわち、伝送先を特定するための情報を入力設定する伝送先情報設定手段であると解される。 上記Bの記載、及び第1図を参照すると、カメラ部11で撮像された被写体像は、ビデオ制御部13、A/D,D/A変換回路14のうちのA/D変換回路部分、画像制御回路16によって信号処理され、その信号処理された画像データが画像メモリ回路15に記憶され、また、電話基地局から送られてきた画像データは、画像制御回路16、A/D,D/A変換回路14のうちのD/A変換回路部分、ビデオ制御部13によって信号処理され、モニタ部12で再生表示されるものと解される。 よって、上記A〜Dの記載事項、及び第1,2図を参照すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例記載の発明」という。) 「被写体像を撮像するカメラ部11と、 前記カメラ部11で撮像された被写体像を信号処理するビデオ制御部13、A/D,D/A変換回路14のうちのA/D変換回路部分、画像制御回路16よりなる手段と、 前記ビデオ制御部13、A/D,D/A変換回路14のうちのA/D変換回路部分、画像制御回路16よりなる手段で処理された画像データを記憶できる画像メモリ回路15と、 画像データを再生して表示させるための画像制御回路16、A/D,D/A変換回路14のうちのD/A変換回路部分、ビデオ制御部13よりなる手段と、 画像データを伝送するための電話部20及び無線部30よりなる手段と、 前記電話部20及び無線部30よりなる手段を介して画像データを伝送する伝送先を特定するための情報を入力設定する伝送先情報設定手段と、 モニタ部12と、 を有する携帯テレビ電話機。」 3.対比 本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明における「カメラ部11」、「ビデオ制御部13、A/D,D/A変換回路14のうちのA/D変換回路部分、画像制御回路16よりなる手段」、「画像メモリ回路15」、「画像制御回路16、A/D,D/A変換回路14のうちのD/A変換回路部分、ビデオ制御部13よりなる手段」、「電話部20及び無線部30よりなる手段」、「モニタ部12」は、それぞれ、本願発明における「撮像手段」、「信号処理手段」、「画像データ記憶手段」、「画像再生手段」、「インターフェース手段」、「表示手段」に相当し、引用例記載の発明の「携帯テレビ電話機」も、「電子カメラ」機能を有するものであり、「電子カメラ装置」であるということができるから、本願発明と引用例記載の発明とは、 「被写体像を撮像する撮像手段と、 前記撮像手段で撮像された被写体像を信号処理する信号処理手段と、 前記信号処理手段で処理された画像データを記憶できる画像データ記憶手段と、 画像データを再生して表示させるための画像再生手段と、 画像データを伝送するためのインターフェース手段と、 前記インターフェース手段を介して画像データを伝送する伝送先を特定するための情報を入力設定する伝送先情報設定手段と、 表示手段と、 を有する電子カメラ装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点(1):本願発明が、「伝送先情報設定手段によって予め設定された伝送先情報から所望の伝送先を選択する伝送先選択手段」を有するのに対し、引用例記載の発明は、該「伝送先選択手段」を有しない点。 相違点(2):本願発明が、「複数の画像データの中から伝送対象とする所望の画像データを選択する画像データ選択手段」を有するのに対し、引用例記載の発明は、該「画像データ選択手段」を有しない点。 相違点(3):本願発明における「表示手段」が、「画像データの記憶の際には当該記憶される画像データを表示画面上に表示可能である一方、画像データ記憶手段に記憶された画像データを再生して前記表示画面上に表示する表示手段であって、当該表示手段の表示画面上には前記画像データに加えて記録または再生画像番号、記憶可能残り枚数、日付や時刻の少なくとも1つが表示可能であり、かつ、伝送先情報の選択あるいは入力設定の際には選択や入力の対象となる伝送先情報を表示可能な表示画面を有する」ものであるのに対し、引用例記載の発明における「モニタ部12」は、そのようなものではない点。 相違点(4):本願発明が、「撮像手段によって被写体像を撮像して画像データ記憶手段に記憶するモードと画像の伝送を行うモードとを切替えるモード切替え手段」を有するのに対し、引用例記載の発明は、該「モード切替え手段」を有しない点。 4.当審の判断 上記相違点(1)〜(4)について検討する。 [相違点(1)について] 通信装置において、予め設定された通信の相手先情報から所望の相手先を選択するようにすることは、周知の技術(必要であれば、例えば、特開平4-150444号公報等を参照されたい。)にすぎないから、引用例記載の発明において、「伝送先情報設定手段によって予め設定された伝送先情報から所望の伝送先を選択する伝送先選択手段」を設けるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。 [相違点(2)について] 画像データを伝送する装置において、複数の画像データの中から伝送対象とする所望の画像データを選択するようにすることは、周知の技術(必要であれば、例えば、特開昭64-49492号公報の第3頁左下欄第12〜14行の「また送信したいときはデータ選択指示手段(14)によりひとつの映像データをICカードメモリ(8)より呼び出し」との記載等を参照されたい。)にすぎないから、引用例記載の発明において、「複数の画像データの中から伝送対象とする所望の画像データを選択する画像データ選択手段」を設けるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。 [相違点(3)について] 電子カメラにおける「画像データの記憶の際には当該記憶される画像データを表示画面上に表示可能である一方、画像データ記憶手段に記憶された画像データを再生して前記表示画面上に表示する表示手段」において、「当該表示手段の表示画面上には前記画像データに加えて記録または再生画像番号、記憶可能残り枚数、日付や時刻の少なくとも1つが表示可能」であるように構成することは、周知の技術(必要であれば、例えば、特開平4-156791号公報等を参照されたい。)にすぎない。 また、通信装置における「表示手段」において、通信の相手先情報の選択あるいは入力設定の際には選択や入力の対象となる通信の相手先情報を表示可能であるように構成することも、周知の技術(必要であれば、例えば、特開平4-150444号公報等を参照されたい。)にすぎない。 よって、引用例記載の発明における「モニタ部12」を、「画像データの記憶の際には当該記憶される画像データを表示画面上に表示可能である一方、画像データ記憶手段に記憶された画像データを再生して前記表示画面上に表示する表示手段であって、当該表示手段の表示画面上には前記画像データに加えて記録または再生画像番号、記憶可能残り枚数、日付や時刻の少なくとも1つが表示可能であり、かつ、伝送先情報の選択あるいは入力設定の際には選択や入力の対象となる伝送先情報を表示可能な表示画面を有する」ものとすることは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。 [相違点(4)について] 撮像手段によって撮像した画像データを伝送する装置において、被写体像を撮像して得た画像データを記憶手段に記憶する動作と、該画像データを伝送する動作とを分けて行うことは、周知の技術(必要であれば、例えば、特開昭64-49492号公報の第3頁左下欄第3〜18行の記載等を参照されたい。)にすぎないから、引用例記載の発明において、「撮像手段によって被写体像を撮像して画像データ記憶手段に記憶するモードと画像の伝送を行うモードとを切替えるモード切替え手段」を設けるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。 そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例記載の発明、及び上記周知の技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用例記載の発明、及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-11-02 |
結審通知日 | 2004-11-04 |
審決日 | 2004-11-19 |
出願番号 | 特願平6-251814 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉村 博之、戸次 一夫 |
特許庁審判長 |
武井 袈裟彦 |
特許庁審判官 |
望月 章俊 長島 孝志 |
発明の名称 | 電子カメラ装置 |
代理人 | 福山 正博 |