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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04L |
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管理番号 | 1109322 |
審判番号 | 不服2002-4367 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-03-14 |
確定日 | 2005-01-04 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第 30627号「伝送装置並びに伝送装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 8月26日出願公開、特開平 9-224056〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、平成8年2月19日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」」という。)は、平成16年10月12日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載した事項により特定される次のものである。 【請求項1】 「回線に接続され、 情報の送信あるいは受信の少なくとも一方を行う送受信手段と、 前記送受信手段にクロック信号を供給するクロック供給手段と、を備えた伝送装置において、 前記回線に瞬断が生じたことを検出する瞬断検出手段と、 前記瞬断検出手段により瞬断発生が検出された場合、前記送受信手段に対するクロック供給を停止するクロック供給制御手段と、 前記クロック供給制御手段によりクロック供給が停止された場合、クロック供給を停止する直前の値が保存される設定手段と、 を備えたことを特徴とする、伝送装置。」 2.引用例 (1)当審拒絶理由において引用された特開昭62-204641号公報(以下、「引用例1」という。)には、下記(ア)、(イ)の事項が記載されている。 (ア)「〔従来の技術〕 通信用周辺装置の中でもCMOS 製造技術により作られたものは低消費電力で動作することを特徴としている。また、CMOS 製造技術により作られたものではより消費電力を低く押さえるために動作を停止している期間は、外部から供給されるクロック信号を内部で止めており、この状態はスタンバイ・モードと呼ばれている。」(1頁右下欄3行〜10行)、 (イ)「〔問題点を解決するための手段〕 本発明の通信用周辺装置は、ホストプロセッサと外部通信回路網との間に置かれ、外部から供給されるクロック信号の内部への供給を一時的に抑制し内部動作を停止させるモードを備える通信用周辺装置において、前記外部通信回路網からの制御信号を検知する回路と、前記制御信号の状態に応じて一時的に外部からの前記クロック信号の内部供給を抑制し内部回路を停止させる回路とを有している。 〔実施例〕 以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。 第1図は制御回路部8を詳細に示した図で、1は2入力AND回路、2,3は2入力NOR回路、4はスタンバイ・モード設定期間には不活性となり、スタンバイ・モードの解除時にはシステムクロック信号がのるシステムクロック供給信号線、5はシステムクロック発生器10からのシステムクロック信号線、6はNOT回路、16はCMOS通信コントローラ9の受信動作を制御するRS232Cインタフェース回路12からのデータ受信キャリア検出信号線、7はホストプロセッサ11からの指令によりスタンバイ・モード解除時のみ活性となるスタンバイ・モード解除信号線、8はホストプロセッサ11からの指令によりCMOS通信用コントローラ9内へのシステムクロック信号を供給させるスタンバイ・モードの解除及び設定の制御動作をCMOS通信用コントローラ9内で行なう制御回路部である。 第2図は本発明を用いたデータ通信における一般的なシステム構成例で、9はCMOS通信用コントローラ、10はクロック発生器、11はホストプロセッサ、12は周知のRS232Cインタフェース回路、13はホストプロセッサ11とCMOS通信用コントローラ9間でのインタフエース・バス、14はRS232Cインタフェース回路12からの受信データ線、15はRS232Cインタフェース回路12への送信データ線である。第3図は第1図の動作を示すタイムチャートである。 第2図において、CMOS通信用コントローラ9では、RS232Cインタフェース回路12からの指令をデータ受信キャリア検出信号線6により受け取りスタンバイ・モードが設定される。また、スタンバイ・モードの解除はホストプロセッサ11からの指令をインタフェース13により受け取り、行なわれる。 以上の動作を第1図により詳細に述べる。 CMOS通信用コントローラ9の受信動作を制御するRS232Cインタフェース回路12からのデータ受信キャリア検出信号線16が不活性になるとNOT回路6の出力は活性、2入力NOR回路2の出力は不活性となり、2入力AND回路1の出力であるシステム・クロック供給信号線4は不活性となる。したがって、CMOS通信用コントローラ9内にシステムクロック信号は供給されずスタンバイモードは設定されたことになる。 一方、スタンバイ・モードの解除はホストプロセッサ11からの指令でスタンバイ・モード解除信号線7が活性となり、2入力NOR回路3の出力が不活性、2入力NOR回路2の出力が活性になることによシステムクロック信号が供給され、行なわれたことになる。」(2頁左上欄12行〜右下欄14行)。 前記記載事項及び図面並びに技術常識を勘案すると、 引用例1には、 「回線に接続され、 情報の送信及び受信を行う制御回路部を除くCMOS通信コントローラ、インターフェース回路と、 前記CMOS通信コントローラにシステムクロック信号を供給するシステムクロック発生器と、を備えたシステムにおいて、 前記インターフェース回路から入力された前記回線のデータ受信キャリア検出信号から受信キャリア断を検出する前記制御回路部のNOT回路6と、 前記NOT回路6により受信キャリア断が検出された場合、前記CMOS通信コントローラに対するクロック供給を停止する前記制御回路部のNOR回路2、3及びAND回路1と、を備えたシステム。」、 を構成とする発明(以下、「引用例1に記載された発明」という。)が記載されている。 (2)周知例1として示す、特開平4-153714号公報には下記(ア)の事項が記載されている。 (ア)「動作クロック信号の供給が停止されたときには内部の状態を保持して処理を停止し、かつ動作クロック信号の供給が再開されたときには該内部の状態から処理再開することが可能であるプロセッサからなり、処理装置の各部の制御を実行する中央処理装置と」(2頁左上欄9行〜14行)。 (3)周知例2として示す、特開平4-153718号公報には下記(イ)の事項が記載されている。 (イ)「クロック発生部16からのクロックの出力が停止されると、プロセッサ8は内部に動作時のデータを保持した状態で動作が停止する状態となる。ここで、プロセッサ8,ROM9,RAM10等はフルスタテイック型のもので電圧が印加されていればクロックが供給されなくてもその内部データは保持されるものが用いられている。さらに、再びスイッチ15をオフにすると入出力ポート12を介してクロック発生部16が制御され、クロックがプロセッサ8,ROM9,RAM10及び表示制御回路11に供給され、プロセッサ8の動作が開始する。 また、クロック停止時にはRAM10は格納されたデータを保持したまま、動作が停止し、クロックは表示制御回路11に供給されなくなる。」(3頁左下欄6行〜20行)。 (4)周知例3として示す、特開平4-4417号公報には下記(ウ)、(エ)の事項が記載されている。 (ウ)「動作クロックを停止した状況で動作状態が保存できるようにデジタルスタティック回路で構成した情報処理装置」(1頁左下欄5行〜7行、特許請求の範囲)、 (エ)「情報処理装置の動作状況保存制御回路は、動作クロックを停止した状況で動作状態が保存できるようにデジタルスタティック回路で構成する」(2頁左上欄14行〜17行)。 (5)前記(2)、(3)、(4)の記載からみて、例えば、周知例1、2、3にみられるように 「クロック供給手段からのクロック供給が停止された場合、クロック供給を停止する直前の値を保存する手段」は本願出願前より周知の事項(以下、「周知事項1」という。)である。 3.対比・判断 本願発明1と引用例1に記載された発明とを対比すると、 (1)引用例1に記載された発明の「情報の送信及び受信を行う制御回路部を除くCMOSコントローラ、インターフェース回路」は、送信と受信機能を行う手段であるから、情報の送信あるいは受信の少なくとも一方を行う手段であり、本願発明の「情報の送信あるいは受信の少なくとも一方を行う送受信手段」である。 (2)引用例1に記載された発明の「システムクロック信号」、「システムクロック発生器」は、各々、本願発明の「クロック信号」、「クロック供給手段」に相当する。 (3)引用例1に記載された発明の「システム」は、伝送装置であり、本願発明の「伝送装置」に相当する。 (4)本願発明の「前記回線に瞬断が生じたことを検出する瞬断検出手段」と引用例1に記載された発明の「前記インターフェース回路から入力された前記回線のデータ受信キャリア検出信号から受信キャリア断を検出する前記制御回路部のNOT回路6」とは、引用例1に記載された発明の「受信キャリア断」が「回線断が生じたこと」を意味することは当業者の技術常識 とであり、NOT回路6が、前記回線に回線断が生じたことを検出するものであることは記載されているに等しい事項であるから、「前記回線に回線断が生じたことを検出する回線断検出手段」で一致する。 (5)本願発明の「前記瞬断検出手段により瞬断発生が検出された場合」と引用例1に記載された発明の「前記NOT回路6により受信キャリア断が検出された場合」とは、前記(3)を考慮して、「前記回線断検出手段で回線断発生が検出された場合」で一致する。 (6)引用例1に記載された発明の「前記制御回路部のNOR回路2、3及びAND回路1」は、クロックの供給を制御するものであり、「クロック供給制御手段」である。 そうしてみると、本願発明と引用例1に記載された発明とは、 「回線に接続され、 情報の送信あるいは受信の少なくとも一方を行う送受信手段と、 前記送受信手段にクロック信号を供給するクロック供給手段と、を備えた伝送装置において、 前記回線に回線断が生じたことを検出する回線断検出手段と、 前記回線断検出手段により回線断発生が検出された場合、前記送受信手段に対するクロック供給を停止するクロック供給制御手段と、を備えた伝送装置。」、 である点において一致し、 (1)「回線断検出手段」について、本願発明が、「前記回線に瞬断が生じたことを検出する瞬断検出手段」であるのに対し、引用例1に記載された発明では、このような「瞬断」に関する記載がない点、 (2)本願発明が「前記クロック供給制御手段によりクロック供給が停止された場合、クロック供給を停止する直前の値が保存される設定手段」を有するのに対し、引用例1に記載された発明では、このようなクロック供給が停止された場合の処理の記載がない点、 で相違している。 次に前記相違点(1)、(2)について検討する。 相違点(1)について、 回線断の一つとして瞬断があることは周知であり、引用例1に記載された発明において、回線断検出手段(NOT回路)について、「前記回線に瞬断が生じたことを検出する瞬断検出手段」とすることは、当業者が容易に成し得る程度の事項である。 相違点(2)について、 前記2.(5)において、周知事項1として示したように「クロック供給手段からのクロック供給が停止された場合、クロック供給を停止する直前の値を保存する手段」は本願出願前より周知の事項であり、引用例1に記載された発明において、伝送装置(システム)に、「前記クロック供給制御手段によりクロック供給が停止された場合、クロック供給を停止する直前の値が保存される設定手段」を設けることは、当業者が容易に成し得る程度の事項である。 また、本願発明の効果も、前記引用例1に記載された発明及び周知事項1から当業者が予想できる程度のものであり、格別なものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、前記引用例1に記載された発明及び周知事項1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-11-01 |
結審通知日 | 2004-11-02 |
審決日 | 2004-11-15 |
出願番号 | 特願平8-30627 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高野 洋 |
特許庁審判長 |
武井 袈裟彦 |
特許庁審判官 |
野元 久道 望月 章俊 |
発明の名称 | 伝送装置並びに伝送装置の制御方法 |
代理人 | 横山 淳一 |