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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D03J
管理番号 1109394
審判番号 不服2002-11057  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-19 
確定日 2005-01-05 
事件の表示 平成 5年特許願第275973号「エアージェットルームの風綿除去装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 4月25日出願公開、特開平 7-109643〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明の特定
本願は、平成5年10月8日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成13年10月24日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という)は、次のとおりである。

「緯入れ用の圧力空気源に連通された風綿除去手段であって前記圧力空気源からの圧力空気を風綿堆積箇所に向けて作用させる風綿除去手段と、該風綿除去手段を停止信号による織機の運転停止中にのみ作動させる制御手段とを含む、エアージェットルームの風綿除去装置。」

II.引用例の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭53-45454号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
記載1(1頁左下欄13〜16行)
「本発明は織機、特に空気噴射式織機の風綿除去装置に係り、ことに風綿を除去するための圧力空気の量をきわめて少量に抑えることのできる風綿除去装置に関する。」

記載2(2頁左上欄5〜7行)
「20はエアコンプレッサで、これは緯糸21を飛走するための圧力空気を供給するもので」
記載3(2頁右上欄11〜15行)
「そして40は所定の一時期のみエアコンプレッサ20から供給された圧力空気を風綿発生個所に自動的に噴射する手段として設けた第4の開閉弁、すなわちバルブである。」
記載4(2頁右下欄6〜9行)
「風綿発生個所に圧力空気を噴射するにあたり、諸々の噴射時期が想定されるが、・・・一例として織機の稼働開始時に噴射するようにした場合について述べる。」
記載5(3頁右上欄5〜9行)
「前記耳組装置10などでは空気のあと吹きは何等支障がないから・・・織機の停止時にも圧力空気を風綿発生箇所に噴射するようにしても良い。」

そこで、引用例には、空気噴射式織機の風綿除去装置が記載されており(記載1)、この風綿除去装置は、緯糸を飛走させるための圧力空気供給源であるエアコンプレッサ20から供給された圧力空気を、バルブ40により風綿発生箇所に自動的に噴射するものであることが記載されている(記載2,3)。
また、引用例には、圧力空気噴射時期として、織機の稼働開始時と、織機の停止時とが例示されている(記載4,5)。

III.対比
そこで、本願発明と、上記引用例に記載されたものとを対比すると、引用例記載の「エアコンプレッサ20」は、緯糸を飛走させるための圧力空気供給源であるので、本願発明の、緯入れ用の「圧力空気源」に相当し、「空気噴射式織機」は「エアージェットルーム」に相当し、「風綿除去装置」は、「風綿除去装置」に相当する。
また、引用例記載の「バルブ40」を含む構成は、緯糸を飛走させるための圧力空気供給源であるエアコンプレッサから供給された圧力空気を、風綿発生個所に自動的に噴射する手段(記載3)であるから、本願発明の緯入れ用の圧力供給源に連通された「風綿除去手段」に相当する。
さらに、引用例記載のバルブ40は、所定の一時期のみエアコンプレッサ20から供給された圧力空気を風綿発生個所に自動的に噴射する(記載3)ことから、引用例記載の風綿除去装置には、かかる自動噴射を行うための制御手段が備えられていることは明かであり、該制御手段は、本願発明の「制御手段」に対応する。

そこで、本願発明の用語を用いて対比すると、両者は次の点で一致する。
(一致点)「緯入れ用の圧力空気源に連通された風綿除去手段であって前記圧力空気源からの圧力空気を風綿堆積箇所に向けて作用させる風綿除去手段と、該風綿除去手段を織機の運転の所定期間に作動させる制御手段とを含む、エアージェットルームの風綿除去装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点)本願発明の制御手段は、風綿除去手段を、停止信号による織機の運転停止中にのみ作動させるものであるのに対し、引用例の制御手段は、風綿除去手段(バルブ40)を、織機の稼働開始時及び、織機の停止時に作動させるものである点。

IV.判断
上記相違点について検討する。
引用例には、他の時期に加え、織機の停止時にも風綿除去装置を作動させることが記載されているが、もっぱら織機の停止中にのみ風綿除去装置を作動させることも、例えば、特開平3-161551号公報にも示すように、周知の技術事項である。
そして、いつ風綿除去手段を作動させるかは、風綿の堆積程度、除去の困難性、緯入れへの影響等を勘案して当業者が適宜決定し得た、設計的事項であるので、上記周知の技術事項に倣って、相違点に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

V.むすび
したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載されたもの及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであると認められるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、本願出願は、他の発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-10-28 
結審通知日 2004-11-02 
審決日 2004-11-15 
出願番号 特願平5-275973
審決分類 P 1 8・ 121- Z (D03J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 真二  
特許庁審判長 鈴木 公子
特許庁審判官 中西 一友
山崎 豊
発明の名称 エアージェットルームの風綿除去装置  
代理人 松永 宣行  

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