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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25D |
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管理番号 | 1109464 |
審判番号 | 不服2003-4492 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-08-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-03-19 |
確定日 | 2005-01-06 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 22112号「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月 4日出願公開、特開平10-205995〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年1月20日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年10月18日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次の事項により特定されるとおりのものと認める。 「【請求項1】 外箱と内箱間に真空断熱材を備えた断熱箱体から成り、この断熱箱体内の最下部に冷凍室を構成して成る冷蔵庫において、 前記真空断熱材を前記冷凍室の両側方及び背方に対応して配設し、前記冷凍室の前記背方に対応する前記外箱内面に設けられた前記真空断熱材の上方に位置する前記外箱内面には、冷却装置の高温冷媒配管を交熱的に添設したことを特徴とする冷蔵庫。」 (以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。) 2.引用刊行物 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物は、次のものである。 引用文献1:特開平7-269779号公報 3.引用された刊行物に記載された事項 引用文献1には、例えば冷蔵庫に用いられる断熱筐体に関して、図面とともに、次の事項の記載が認められる。 ・「第1実施例につき、図1ないし図10を参照して説明する。まず、図1において、断熱筐体1の外殻を構成する外殻体2は、プラスチック製の内箱3と、鋼板製の外箱4とを組み合わせて構成されている。」(段落【0023】)、 ・「断熱筐体1において、外殻体2の天井部、背部、及び左右両側部には、それぞれ内箱3と外箱4との間にこれらに挟持されるように真空断熱パネル5が設けられている(図6参照)。各部に配設された真空断熱パネル5は、大きさは異なるが、基本的な構成は同じである。」(段落【0024】)、 ・「なお、断熱筐体1を冷蔵庫として使用する場合には、内箱3の内部には、上記したファンモータ16、冷却器12、棚レール取付具27の他、図1に示されるように、中間仕切壁32、ダンパ33、カバー34等が取り付けられる。」(段落【0038】)、 ・「以下この第7実施例について説明する。まず図17において、断熱材51は冷蔵庫に用いられるもので、その外殻体52は、プラスチック製の内箱53と、鋼板製の外箱54とを組み合わせて構成されている。冷蔵庫として使用される場合には、内箱53内は、上から冷蔵庫55、冷凍室56、及び野菜室57の3室に区画されるようになっている。」(段落【0058】) ・「外殻体52の左右両側部において、内箱53と外箱54とで形成される空間部の厚さは、冷凍室56に対応する部分を他の冷蔵室55及び野菜室57に対応する部分に比べて大きくなるように設定している。そして、その外殻体52の左右両側部にはそれぞれ1個の真空断熱パネル58が配設されている。これら各真空断熱パネル58は、その外殻体52の空間部に沿った形状をなしており、したがって冷凍室56に対応する中間部58aの厚さ寸法はと他の部分58bに比べて大きくなるように設定されている。なお、外殻体52の天井部や背部に配設される真空断熱パネル59は、第1実施例と同様に厚さ寸法は一様のものを用いている(図1には背部の真空断熱パネルは示されていない)。」(段落【0059】) ・「図20は本発明の第8実施例を示したものであり、この第8実施例は第1実施例とは次の点が異なっている。……。この場合、外殻体2の底部にも真空断熱パネル5は配設している。」(段落【0070】) 4.対比・判断 引用文献1には、上記摘示した事項と図面に示されたものからみて、次の発明が記載されているものと認められる。 「外箱4、54と内箱3、53間に真空断熱パネル5、58,59を備えた断熱筐体1、51から成り、この断熱箱体1、51内に冷凍室56を構成して成る冷蔵庫において、 前記真空断熱パネル5,58,59を前記冷凍室56の左右両側部及び背部に対応して配設した冷蔵庫。」 そこで、本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比し、検討する。 引用文献1に示された冷蔵庫の、「外箱4,54」、「内箱3,53」、「真空断熱パネル5,58,59」、「断熱筐体1,51」、「冷凍室56」、「冷凍室56の左右両側部及び背部」は、それぞれ本願発明の「外箱」、「内箱」、「真空断熱材」、「断熱箱体」、「冷凍室」、「冷凍室の両側方及び背方」に相当しているものと認められるから、両者は、次の点で一致しているものと認められる。 〈一致点〉 「外箱と内箱間に真空断熱材を備えた断熱箱体から成り、この断熱箱体内に冷凍庫を構成して成る冷蔵庫において、 前記真空断熱材を前記冷凍室の両側方及び背方に対応して配設した冷蔵庫。」 しかし、次の点で相違している。 〈相違点〉 ・相違点1 冷凍室を、本願発明は、「断熱箱体内の最下部」に構成してあるのに対し、引用文献1に記載された発明は、図1に示された実施例1には明示がなく、図17に示された実施例8においては、冷蔵室55と野菜室57の間に冷凍室56を設けている点。 ・相違点2 冷凍装置の高温冷媒配管について、本願発明は、「前記冷凍室の前記背方に対応する前記外箱内面に設けられた前記真空断熱材の上方に位置する前記外箱内面には、冷却装置の高温冷媒配管を交熱的に添設したこと」を構成要件としているのに対し、引用文献1に記載された発明には、この構成については何も明示されていない点。 そこで、この相違点を検討する。 ・相違点1について 引用文献1の図1に図示された、冷却器12、ファンモータ16、カバー34の開口の位置からみると、この図1に示されたものにおいても、冷凍室が最下部に構成されているものと解されるところ、例えば、特開平7-270028号公報に示された冷蔵庫において、冷却器6、ファン装置7、カバー8が、引用文献1に示されたものと同様に配置されており、この冷蔵庫の冷凍室2が、断熱箱体内の最下部に構成されていること、さらに、例えば特開平6-194021号公報、特開平5-141840号公報にも、冷凍室を冷蔵庫の最下部に配置したものが示されていることから、冷凍室を断熱箱体内の最下部に配置することは、周知な構成というべきである。 そうすると、本願発明の相違点1の構成は、周知な構成から当業者が適宜採用し得たものであって、格別のものとはいえない。 ・相違点2について 冷凍室からの熱漏洩量を最小に抑えるようにすることは、例えば、特開昭62-200178号公報の第5図に、冷凍室の周囲のみを真空断熱材6を用いて断熱する構成が示されていること、また、例えば、実願平4-3158号(実開平5-64683号)のマイクロフィルムには、冷蔵庫の放熱パイプ13を断熱箱体1の外箱側板2の内面に配設する際に、冷凍室15への熱干渉を減少させるために冷凍室15が形成される部位に配置しないようにすることが示されていること、さらに、例えば、実願昭55-59008号(実開昭56-161279号)のマイクロフィルムには、冷凍室4から離れた冷蔵室5の壁側に凝縮器6”のパイプを配置するものが示されていることからみて、冷凍室からの熱漏洩量を小さくし、冷凍室と高温冷媒配管(放熱パイプ、凝縮器のパイプ)との熱干渉を避けるようにすることは、設計上当然の事項であって、周知事項というべきものである。 そうすると、冷凍室の背方の外箱内面に真空断熱材を設け、その上方の冷凍室から離れた位置の外箱内面に、冷却装置の高温冷媒配管を交熱的に添設することは、前記周知事項から当業者が容易に想到し得たものと認められ、相違点2の構成も格別のものといえない。 そして、本願発明の効果も、引用文献1に記載された発明及び周知事項から当業者が予測し得たものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知事項から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-11-04 |
結審通知日 | 2004-11-09 |
審決日 | 2004-11-25 |
出願番号 | 特願平9-22112 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F25D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 長崎 洋一 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
櫻井 康平 長浜 義憲 |
発明の名称 | 冷蔵庫 |
代理人 | 芝野 正雅 |