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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03C
管理番号 1109509
審判番号 不服2002-2483  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-04-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-02-14 
確定日 2005-01-07 
事件の表示 平成4年特許願第254950号「ハロゲン化銀カラー感光材料」拒絶査定不服審判事件〔平成6年4月15日出願公開、特開平6-102623〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年9月24日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年3月14日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のとおりのものと認める。
「透明支持体上の一方の側に、それぞれ少なくとも一層の赤感性、緑感性、青感性感光性層および非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀カラー感光材料において、該透明支持体が平衡含水量の異なるポリエステル層を積層してなり、かつ、共重合ポリエステル、ポリエステル、共重合ポリエステルを順次積層してなるか、または、共重合ポリエステル、共重合ポリエステル、ポリエステルを順次積層してなるものであり、さらに感光性層の少なくとも一層が、含有されるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、沃化銀含有率の相対標準偏差が20%以下の、直径/厚さ比が2以上の平板状粒子であることを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料。」(以下「本願発明」という。)

2.引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、刊行物2、刊行物3及び刊行物4には下記の事項がそれぞれ記載されている。
(刊行物2:特開平4-93937号公報の記載事項)
(1)「複数のポリエステル樹脂フィルムからなる支持体上に少なくとも一層のハロゲン化銀写真乳剤を塗設したロール状のハロゲン化銀写真感光材料であって、該複数のポリエステル樹脂フィルムが含水率の異なる少なくとも2層のポリエステル樹脂フィルムを積層したものであることを特徴とするロール状ハロゲン化銀写真感光材料。」(特許請求の範囲第1項)
(2)「前記複数のポリエステル樹脂フィルムが三層以上の積層構造からなり・・・表面を形成する層のポリエステル樹脂フィルムの含水率が表面に出ない層を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂の含水率より大きいことを特徴とする特許請求の範囲第2項記載のロール状ハロゲン化銀写真感光材料。」(特許請求の範囲第3項)
(3)「PET層よりも表面に近い層は金属スルホネートを有する芳香族ジカルボン酸を共重合成分とするコポリエステルを含有するのが好ましく、この層の含水率は1.0%以上が好ましい。・・・中心層がPETから構成される層である三層の積層構造をもつものが好ましい。・・・巻きぐせがつきにくく、またついた巻きぐせが現像処理時の吸水によって緩和され・・・支持体となる。」(第5頁左下欄第17行目〜右下欄第9行目)
(4)「本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤が沃化銀を含有する場合、ハロゲン化銀粒子は粒子内部に沃化銀を局在させたものであることが好ましい。・・・晶癖(正常晶 双晶」(第6頁右下欄第1行目〜第12行目)
(5)「実施例1・・・この共重合ポリエステルと・・・PET樹脂を・・・PETが中央、共重合ポリエステルが外層になるように溶融押出し、・・・シートを形成した。」(第8頁左上欄第8行目〜右上欄第2行目)
(6)「写真層の塗設 バック層を設けた本発明のポリエステル樹脂フィルム・・・のバック層とは反対側に以下の如き写真層を設けた。第1層:赤感光性ハロゲン化銀低感度層・・・第5層:緑感光性ハロゲン化銀低感度層・・・第9層:青感光性低感度層・・・第12層:表面保護層・・・」(第9頁左下欄第1行目〜第11頁右下欄第20行目)

(刊行物2記載の発明)
上記の記載事項から刊行物2には、以下の発明(以下、「刊行物2記載の発明」という。)が記載されている。
「複数のポリエステル樹脂フィルムからなる支持体上の一方の側に、それぞれ少なくとも一層の赤感性、緑感性、青感性感光性層および非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀カラー感光材料において、支持体が含水量の異なるポリエステル層を積層してなり、かつ、共重合ポリエステル、ポリエステル、共重合ポリエステルを順次積層してなるものであり、さらに感光性層の少なくとも一層が、含有されるハロゲン化銀粒子が、沃化銀を含有するハロゲン化銀カラー感光材料。」

(刊行物3:特開平3-196137号公報の記載事項)
(1)「・・・全ハロゲン化銀粒子の全投影面積の少なくとも50%が平板状ハロゲン化銀粒子によって占められ、該50%を占める平板状ハロゲン化銀粒子の平均アスペクト比が3.0以上である・・・ハロゲン化銀写真感光材料。」(特許請求の範囲第1項)
(2)「該50%を占める平板状ハロゲン化銀粒子が平均3.0%以上の沃化銀を含有する・・・個々の粒子の沃化銀含有率の相対標準偏差が30%以下であることを特徴とする、請求項(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。」(特許請求の範囲第2項)
(3)「粒子間の沃化銀含有率分布を狭くすることにより乳剤のコントラストが改善されることは、例えば・・・特開昭62-209445において開示されているが、これらの特許は沃化銀含有率分布に関する技術を開示しているもので」(第8頁左下欄第11行目〜第15行目)

(刊行物4:特開平4-16838号公報の記載事項)
(1)「本発明の感光材料の乳剤としては・・・乳剤中の個々のハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率を相対標準偏差はそれぞれの乳剤において20%以下であることが好ましい・・・20%を越えるとカブリの上昇及び階調が劣化する傾向を示し好ましくない。個々の粒子の沃化銀含有率を測定するための具体的方法は特願昭63-325383および特願平01-045724に記載の方法によって行うことができる。」(【0054】【0055】)

3.対比・判断
本願発明と刊行物2記載の発明とを比較する。
(ア)刊行物2記載の発明の「複数のポリエステル樹脂フィルムからなる支持体」は、その材質およびハロゲン化銀写真フィルムの支持体であることから「透明支持体」といえる。
(イ)刊行物2記載の発明の「含水率」はその測定法が記載されていないが、測定試料の条件を平衡状態にして一定にすることは常套手段であるから、本願明細書に記載された温度、湿度、時間の条件とは異なるものであったとして、試料中の含水量を平衡状態で測定しているといえ、実質的に「平衡含水率」を意味しているといえる。
したがって、本願発明と刊行物2記載の発明との間には、下記のような一致点及び相違点がある。
(一致点)
透明支持体上の一方の側に、それぞれ少なくとも一層の赤感性、緑感性、青感性感光性層および非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀カラー感光材料において、該透明支持体が平衡含水量の異なるポリエステル層を積層してなり、かつ、共重合ポリエステル、ポリエステル、共重合ポリエステルを順次積層してなるか、または、共重合ポリエステル、共重合ポリエステル、ポリエステルを順次積層してなるものであり、さらに感光性層の少なくとも一層が、含有されるハロゲン化銀粒子が沃化銀を含有するハロゲン化銀カラー感光材料である点。
(相違点)
感光層に含有されるハロゲン化銀粒子が、本願発明では、含有されるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、沃化銀含有率の相対標準偏差が20%以下の、直径/厚さ比が2以上の平板状粒子であるのに対して、刊行物2には、沃化銀含有率の相対標準偏差及び平板状であることについて記載されていない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
刊行物3とその中で引用されている特開昭62-209445号公報、及び刊行物4とその中で引用された出願(特願平1-45724)の公開公報である特開平2-256043号公報に記載されるように、ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、沃化銀含有率の相対標準偏差が20%以下の、直径/厚さ比が2以上の平板状粒子は、高感度、高コントラスト、粒状性や鮮鋭性等に優れたハロゲン化銀乳剤を提供するものとして周知であったといえる。高感度、高コントラスト、優れた粒状性や鮮鋭性等の特性はハロゲン化銀写真フィルムにおいて当然求められるものであるから、これらを実現しようとすることは当業者であれば自然に考えることであり、刊行物2記載の発明において、ハロゲン化銀粒子として、これらの特性を有するものとして周知の上記ハロゲン化銀粒子を採用し本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものといえる。
次に、本願明細書記載のカール特性、耐圧力性および保存特性に優れたものであるという本願発明の効果について検討する。
本願発明のハロゲン化銀カラー感光材料も刊行物2記載のものも、明細書の記載からみて、ロール状に巻かれパトローネに装填されることを前提としたものである点で共通している。そして、カール特性については、刊行物2にはPET層よりも表面に近い層を含水率の高いコポリエステルとした三層の積層構造とすることで、巻きぐせがつきにくくなることが記載されているから(摘記事項(3))、カール特性が優れていることは、刊行物2の記載から予測できる程度のものである。
また、耐圧力性および保存特性については、パトローネ内での保存によりカブリを生じること、フィルムの引き出し等により圧力カブリが生じることは、ロール状に巻かれパトローネに装填されるハロゲン化銀写真フィルムにおいては周知の課題であったといえるから(例えば、特開平4-3050号公報、特開昭59-99433号公報参照。)、同様の使用形態を前提とした本願発明において、保存特性及び耐圧力性についても確認することは当業者であれば当然に行うことであり、これらの効果を発見することは困難ではない。さらに、効果の程度についてみても、明細書の【表5】から、比較例である内部高沃度型コアシェル構造の十四面体正常晶単分散乳剤に比べて、本願発明のハロゲン化銀粒子を用いたものが、耐圧力性及び保存特性に優れていることが示されているが、圧力による濃度ムラの発生及び保存によるカブリの発生の程度は、通常、ハロゲン化銀写真フィルムに求められる程度のものであり、格別に顕著であるという程のものではない。
そうしてみると、上記のとおり構成自体は何ら困難なく想到し得るものである本願発明に、上記効果を奏することをもって、特許性が認められるということはできない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物2、3及びに4記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-10-27 
結審通知日 2004-11-02 
審決日 2004-11-17 
出願番号 特願平4-254950
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿久津 弘藤井 勲  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 山口 由木
秋月 美紀子
発明の名称 ハロゲン化銀カラー感光材料  

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