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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A47L
管理番号 1109552
異議申立番号 異議2003-71568  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-02-03 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-06-16 
確定日 2004-10-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3356630号「洗浄機」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3356630号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3356630号の請求項1に係る発明は、平成8年7月17日に特許出願され、平成14年10月4日にその特許の設定登録がなされ、その後、三菱電機株式会社(以下、「申立人」という。)より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年8月3日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許第3356630号発明の特許請求の範囲の請求項1の記載について、「【請求項1】天板に取付口を有するキッチンキャビネットと、洗浄槽と、この洗浄槽を前記天板の取付口下方の位置から押し上げて取付口に取付ける取付機構と、前記洗浄槽内で被洗浄物を洗浄する洗浄機構と、前記取付口を開閉する蓋とを具備して成ることを特徴とする洗浄機。」とあるのを、
「【請求項1】天板に取付口を有するキッチンキャビネットと、洗浄槽と、
この洗浄槽を前記天板の取付口下方の位置から押し上げて取付口に取付ける取付機構と、前記洗浄槽内で被洗浄物を洗浄する洗浄機構と、前記取付口を開閉する蓋とを具備し、前記取付機構は、前記キッチンキャビネット内に設けられた支持台と、前記洗浄槽を前記天板と密接させるように押し上げるねじと、から構成されることを特徴とする洗浄機。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許第3356630号発明の特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ.訂正事項c
特許第3356630号公報中の第2頁第3欄第5行目乃至第6行目の「・・・具備して成ることを特徴とする」とあるのを特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「・・・具備し、前記取付機構は、前記キッチンキャビネット内に設けられた支持台と、前記洗浄槽を前記天板と密接させるように押し上げるねじと、から構成されることを特徴とする」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許第3356630号公報中の第4頁第8欄第16行目乃至第19行目の「請求項2に洗浄機によれば、洗浄槽内に隣接のシンクや作業台部から水が侵入することを防止できて、洗浄後や更に乾燥後の被洗浄物を汚したり蒸らしたりしてしまうことのないようにできる。」とあるのを削除する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、訂正前の請求項1に「取付機構は、キッチンキャビネット内に設けられた支持台と、洗浄槽を天板と密接させるように押し上げるねじと、から構成されること」との限定事項を付すものであり、かかる限定事項は、願書に添付された明細書の段落【0011】【0012】【0013】に記載されている事項であって、取付機構を支持台とねじとを用いたものと特定することにより下位概念に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
また、上記訂正事項bは請求項2を削除するものであり、上記訂正事項c、dは請求項1を限定したことや請求項2の削除に合わせて発明の詳細な説明における記載の整合を図るものであるから、いずれも明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第3項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.異議申立ての概要
申立人 三菱電機株式会社は、甲第1号証(クッキングウォッシャー 形名KW-B45A-YHのサービスハンドブック 平成7年8月発行)、甲第2号証(実願昭59-34825号(実開昭60-146438号)のマイクロフイルム」)、甲第3号証(特開平5-237053号公報)、甲第4号証(実願平3-97399号(実開平5-46337号)のCD-ROM )、甲第5号証(米国特許第3709236号明細書)を提出し、請求項1、2に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、請求項1,2に係る発明の特許は取り消すべき旨主張している。

4.特許異議の申立てについての判断
(1)本件の請求項1に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記2.(1)ア.訂正事項a参照)
「【請求項1】天板に取付口を有するキッチンキャビネットと、洗浄槽と、
この洗浄槽を前記天板の取付口下方の位置から押し上げて取付口に取付ける取付機構と、前記洗浄槽内で被洗浄物を洗浄する洗浄機構と、前記取付口を開閉する蓋とを具備し、前記取付機構は、前記キッチンキャビネット内に設けられた支持台と、前記洗浄槽を前記天板と密接させるように押し上げるねじと、から構成されることを特徴とする洗浄機。」

(2)当審で通知した取消しの理由の概要
本件発明に対し、平成16年5月25日付け取消し理由の概要は次のとおりである。
「本件発明は、下記刊行物1〜4に記載された発明、あるいは記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号あるいは特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
刊行物1:クッキングウォッシャー 形名KW-B45A-YHのサービ スハンドブック 平成7年8月発行(特許異議申立人三菱電機 株式会社の提出した甲第1号証)
刊行物2:特開平5-237053号公報(同甲第3号証)
刊行物3:実願平3-97399号(実開平5-46337号)のCD- ROM(同甲第4号証)
刊行物4:米国特許第3709236号明細書(同甲第5号証)」

(3)引用刊行物に記載された発明
刊行物1〜4には以下のような事項ア〜オが記載されている。
(3-1)刊行物1:このサービスハンドブックの表紙に平成7年8月に発行 されていたことを示す日付が記載されていることから、こ の刊行物1は本願発明の出願前に頒布された刊行物である と推認できる。
ア.その第20頁の「各部のなまえ」の図に、「外シンクと内シンク」、「ジェット水流ノズルとツイン水流ノズル」、「(シンクの開口部を開閉する)ふた」、「本体(クッキングウォッシャー)をキャビネット内に設置すること」が図示されており、クッキングウォッシャーは食器類を洗浄する洗浄機であることが理解できる。
イ.パーツカタログを示す第30頁及びその対応図を示す第31頁には、No.40のシンク上昇機構(上)、No.41のばね、No.42のシンク上昇機構(下)がキャビネット内のシンク(No.53)下部に設置されることが示されている。
これらの記載事項によれば、刊行物1には以下のとおりの発明が記載されていると認められる。
「取付口を有するキッチンキャビネットと、『外シンクと内シンク』と、この『外シンクと内シンク』を取付口下方の位置から押し上げて取付口に取付ける取付機構と、前記『外シンクと内シンク』内で被洗浄物を洗浄する『ジェット水流ノズルとツイン水流ノズル』と、『(シンクの開口部を開閉する)ふた』とを具備し、前記取付機構は、前記キッチンキャビネット内に設けられ、前記『外シンクと内シンク』を取付口と密接させるように押し上げるばねと該ばねを支持するシンク上昇機構(上、下)から構成されることを特徴とするクッキングウォッシャー」(以下、「引用発明」という。)

(3-2)刊行物2:
ウ.「食器洗い機本体5の前面に開閉自在な扉が設けられ、食器洗い機本 体5の下部を構成する台枠14の下面の4隅にはネジ穴部14aを設け ている。このネジ穴部14aは食器洗い機本体5の高さを微調整する4 本の微調整脚7のネジ部7aを螺合し、4本の微調整脚7を食器洗い機 本体5にとりつけている。この微調整脚7は、図2に示すようにその下 部7bに凹部8を設けている。この微調整脚7の凹部8は図3に示す大 調整脚10の上部に形成した六角柱状の凸部11が嵌合し、大調整脚1 0の高さ11より下方を約50mmに設定している。また、12は本食 記洗い機を組み込む流し台の天板である。」(図1〜図3及び第2頁右 欄第6行目〜第37行目)
刊行物2には、食器類の洗浄を行う流し台組み込みの食器洗い機であって、ネジ穴部14aが設けられた台枠14を有する食器洗い機5に天板の下方の位置から食器洗い機本体の高さと組み込む流し台の高さを調整する前記ネジ穴部14aに螺合する微調整脚7及びこれに嵌合する大調整脚10を用いて、食器洗い機本体を天板下方位置から押し上げて取り付ける構成からなる食器洗い機本体の取付機構が記載されていると認められる。

(3-3)刊行物3:
エ.シンクを備えた流し台を有する厨房装置が記載されており、「シンク 部近傍の流し台の上・・・に、切欠き部・・・を有し、前記切欠き部の 周囲には流し台表面より一段高い隆起部を設けた厨房装置」(実用新案 登録請求の範囲)が記載されている。

(3-4)刊行物4:
オ.シンク部を有するキャビネットに設けた食器洗浄機において、「流 しおよび食器洗い機の上部の部分は、これらの縁を垂直で直立の部分2 0と側面の部分22を含む周辺縁部で囲んで終了する。」(図1及び第 1頁第58行目〜第61行目)が記載されている。

(4)対比及び判断
ところで、刊行物1には、天板は明記されていないがキッチンキャビネットであれば天板を具備することは明らかであるから、上記ア、の図に「天板に取付口を有するキッチンキャビネット」に相当するものが記載されているものと認められる。また、「外シンクと内シンク」は洗浄槽であり、「ジェット水流ノズルとツイン水流ノズル」は洗浄槽内で被洗浄物を洗浄する洗浄機構、「(シンクの開口部を開閉する)ふた」は取付口を開閉する蓋であるといえる。
さらに、上記イ、から、No.40のシンク上昇機構(上)、No.42のシンク上昇機構(下)及びNo.41のばねは、キッチンキャビネット内に設けられてシンク(洗浄槽)を天板の取付口下方の位置から取付口に取付ける取付機構であり、No.41のばねはシンク(洗浄槽)を天板と密接させるよう押し上げるものであり、シンク上昇機構(上)(下)は上記ばねの上下両端を支持する台であるといえる。
そこで、本件発明と上記引用発明とを対比すると、引用発明の「クッキングウォッシャー」、「外シンクと内シンク」、「ジェット水流ノズルとツイン水流ノズル」、「(シンクの開口部を開閉する)ふた」、「ばねを支持するシンク上昇機構(上)(下)」は、それぞれ本件発明の「洗浄機」、「洗浄槽」、「洗浄機構」、「取付口を開閉する蓋」、「ねじを支持する支持台」に相当するから、両者は、「天板に取付口を有するキッチンキャビネットと、洗浄槽と、この洗浄槽を前記天板の取付口下方の位置から押し上げて取付口に取付ける取付機構と、前記洗浄槽内で被洗浄物を洗浄する洗浄機構と、前記取付口を開閉する蓋とを具備し、前記取付機構は、前記キッチンキャビネット内に設けられた支持台と、前記洗浄槽を前記天板と密接させるように押し上げる機構から構成されることを特徴とする洗浄機」で一致し、次の点で相違する。
相違点:洗浄槽を天板と密接させるように押し上げる機構として、本件発明が「支持台」と「ねじ」とを用いた機構を採用しているのに対し、引用発明が「支持台」と「ばね」とを用いた機構を採用している点で相違する。
そこで、相違点について検討する。
ところで、上記4.(3)ウ.に示したように、刊行物2の微調整脚7のネジ部7aは大調整脚10を支持台として上下高さをの調整を行うものであるから、支持台で支持されたねじを用いて食器洗い機本体5の高さを微調整する機構は、上記刊行物2により、本件特許の出願日前に公知の技術であったといえる。
そして、引用発明及び刊行物2に記載された事項は、ともに本件発明と同じくキッチン用洗浄機に関するものであるから、引用例2に記載された高さ調整機構を引用発明における洗浄槽を天板と密接させるように押し上げる機構として単に転用することは、当業者であれば容易に推考し得たことである。
また、本件発明が奏する作用効果も、引用発明及び刊行物2から当業者が予測可能なものであって何ら格別なものということができない。

(5)むすび
以上のとおり、本件発明は、上記引用発明及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明についての特許は特許法第29第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明についての特許は特許法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
洗浄機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 天板に取付口を有するキッチンキャビネットと、洗浄槽と、この洗浄槽を前記天板の取付口下方の位置から押し上げて取付口に取付ける取付機構と、前記洗浄槽内で被洗浄物を洗浄する洗浄機構と、前記取付口を開閉する蓋とを具備し、
前記取付機構は、前記キッチンキャビネット内に設けられた支持台と、前記洗浄槽を前記天板と密接させるように押し上げるねじと、から構成されることを特徴とする洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はキッチン用として適する洗浄機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の洗浄機においては、キッチンキャビネットの天板に上面が開口する洗浄槽が取付けられた構造であり、その洗浄槽に対しては、使用者が立ち姿勢のまま上方から被洗浄物を出し入れできることから、使い勝手が良い利点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記キッチンキャビネットの天板に対する洗浄槽の取付けは、天板に形成した取付口に作業者が洗浄槽の上面の開口部を合わせながら取付けるというものであって、面倒なものであった。本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、天板に対する洗浄槽の取付けが容易且つ確実にできる洗浄機を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の洗浄機においては、天板に取付口を有するキッチンキャビネットに対し、洗浄槽を上記天板の取付口下方の位置から押し上げて取付口に取付ける取付機構を具え、そのほか、上記洗浄槽内で被洗浄物を洗浄する洗浄機構、及び上記取付口を開閉する蓋を具備し、前記取付機構は、前記キッチンキャビネット内に設けられた支持台と、前記洗浄槽を前記天板と密接させるように押し上げるねじと、から構成されることを特徴とする。このものによれば、天板に対する洗浄槽の取付けは取付機構を操作することによってなされ、作業者が洗浄槽の上面の開口部を天板の取付口に合わせながら取付けるというような手間を要しない。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例につき、図1ないし図4を参照して説明する。まず図3にはキッチンキャビネット1を示しており、上面部に天板2を有している。天板2には作業台部3を設けると共に、シンク4を設けており、且つそれらと並べてその中間部に洗浄槽5を設けている。
【0006】
洗浄槽5の内部には、図4にも示すように、被洗浄物例えば食器6を配列するかご7を収容すると共に、その被洗浄物を洗浄する洗浄機構8を構成する噴水アーム9とヒータ10とを配設している。又、洗浄槽5外の下方部には、洗浄槽5内の水を洗浄槽5底部の貯水部11から吸入して噴水アーム9に供給する、上記洗浄機構8の洗浄ポンプ12と、洗浄槽5内の水を同じく洗浄槽5底部の貯水部11から吸入して機外に排出する排水ポンプ13とを配設している。このほか、洗浄槽5外には、洗浄槽5内に給水する給水弁14と、洗浄槽5内に外気を導入する送風機15とを配設している。
【0007】
この構成で、食器(被洗浄物)6の洗浄は、給水弁14により洗浄槽5内へ給水して後に、洗浄ポンプ12により噴水アーム9に給水して噴水させることにより行なう。このとき、水温は約60[℃]が適しており、その温度にまでヒータ10によって水温を上げる。又、食器6の乾燥は、排水ポンプ12により洗浄槽5内から排水して後に、ヒータ10で洗浄槽5内の温度を上げ、この状態で送風機15により外気を導入することで行なう。
【0008】
そして、洗浄槽5上には蓋16を設けており、この蓋16は上述の噴水洗浄時及び乾燥時に洗浄槽5の上面の開口部5aをシール17を介して密に閉塞するもので、内面部に噴水洗浄時の水の当たりを和らげるためのドーム部18を有しており、シンク4側の側部(図3参照)に乾燥時の湿気を帯びた空気を排出するための排気口19を形成している。
【0009】
又、この蓋16は洗浄槽5上とシンク4上との間をスライドして行き来することにより洗浄槽5の上面の開口部5aを開閉するようになっており、その上面部16aは堅牢で、洗浄槽5上及びシンク4上のいずれにあっても作業台として使用し得るようになっている。
【0010】以上に対して、図1は前記天板2に対する洗浄槽5の取付けの様子を示している。この図1で明らかなように、天板2の洗浄槽5を取付ける部分には取付口20を形成している。これに対して、洗浄槽5の上面の開口部5aの周縁部の端部にはシール21を装着しており、又、洗浄槽5の全体は支持板22に載置固定されていて、その支持板22下に前記洗浄ポンプ12と排水ポンプ13を取付け、洗浄槽5に噴水アーム9、ヒータ10、給水弁14、及び送風機15を取付けている。
【0011】
更に、キッチンキャビネット1の洗浄槽5を取付ける部分の両側壁23,24の各内面の下部にはそれぞれ支持台25を取付けており、この支持台25には図2に詳細に示す蝶ねじ26を図4にも示すように2個ずつ計4個それぞれ下方より螺挿している。又、上記両側壁23,24の各内面の上部にはガイド27を取付けており、このガイド27は上記天板2の取付口20を前後左右の四方から囲み、上方へ行くに従ってすぼんでいる。
【0012】
この構成で、洗浄槽5を支持板22及びそれらに取付けた前記洗浄ポンプ12を初めとした各種部品と共にキッチンキャビネット1の例えば前面の点検口から取付口20の下方部分に挿入し、支持板22を支持台25に載置する。その上で、各蝶ねじ26を回して螺進させる。すると、支持板22が蝶ねじ26に押し上げられて洗浄槽5を上方に進め、洗浄槽5はシール21をガイド27に当接させて開口部5aが取付口20に正確に合うようにガイドされ、そして、図3及び図4に示すように開口部5aの周縁部を取付口20の周縁部に密接させ、シール21を天板2の裏面に密接させる。
【0013】
しかして、この後は密接した洗浄槽5の開口部5aの周縁部と天板2の取付口20の周縁部とを複数個のねじ28(図4参照)で締付けて天板2に洗浄槽5を取付けるものであり、従って、この場合、上記支持台25、蝶ねじ26、及びガイド27は天板2の取付口20に洗浄槽5を取付ける取付機構29として機能する。
【0014】
このように本構成のものでは、天板2に対する洗浄槽5の取付けは取付機構29を操作することによってなされるもので、作業者が洗浄槽5の上面の開口部5aを天板2の取付口20に合わせながら取付けるというような従来の手間を要さず、かくしてその取付けを容易且つ確実に行なうことができる。
【0015】
以上に対して、図5は本発明の第2実施例を示すもので、洗浄槽5の重心軸上の外下面部に突設したねじ軸31と、これに螺合したナット32、及びキッチンキャビネット1の洗浄槽5を取付ける部分の両側壁23,24の各内面の下部に取付けられて上記ナット32を下方より回転可能に支持した支持台33とで、上述の取付機構29に代わる取付機構34を構成したものを示している。このものの場合、ナット32を回転操作することにより、ねじ軸31が上方へ螺進移動して洗浄槽5を上昇させるものであり、上述同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
図6は本発明の第3実施例を示すもので、洗浄槽5の重心軸上の外下方部に、回転操作部41を有する横置きのねじ軸42と、これの回転操作部41側に螺合したナット43、及びそれとは逆ねじでねじ軸42の反回転操作部41側に螺合したナット44、これらナット43,44と洗浄槽5との間に設けたリンク機構45、ナット43,44と下方の支持台46との間に設けたリンク機構46とで、上述の取付機構34とも代わる取付機構47を構成したものを示している。
【0017】
このものの場合、回転操作部41を操作してねじ軸42を回転させることにより、ナット43,44が互いに近付くように螺進移動してリンク機構45,46を狭め、洗浄槽5を上昇させるものであり、従って、やはり前述同様の作用効果を得ることができる。
【0018】
図7は本発明の第4実施例を示すもので、洗浄槽5を上部槽5bと下部槽5cとに分けて形成し、これらを伸縮自在な弾性体51で連結することにより、洗浄槽5をその弾性体51の伸縮により深さ可変に構成したものを示している。このものによれば、洗浄槽5の深さを大にすることにより容量を大きくでき、反対に洗浄槽5の深さを小にすることにより上方から被洗浄物を出し入れすることの使い勝手を良くすることができるもので、双方の効果を選択して得ることができる。なお、この場合の洗浄槽5の深さ調節は前述の取付機構29,34,47をそのまま使用して行なうことができる。
【0019】
図8及び図9は本発明の第5実施例を示すもので、上記洗浄槽5の上部槽5bと下部槽5cとを蛇腹状部材61で連結することにより、洗浄槽5をその蛇腹状部材61の伸縮により深さ可変に構成したものを示している。このようにしても、上述同様の作用効果を得ることができる。又、この場合、洗浄槽5の深さを小にするときには、蛇腹状部材61を図9に示すごとく密接させることにより、該蛇腹状部材61に異物が挟み込まれることを防止することができる。
【0020】
図10は本発明の第6実施例を示すもので、洗浄槽5の外面部5dを腐食しにくい金属(例えばステンレス鋼)で構成し、内面部5eを非金属(例えば強化繊維入りポリプロピレン)で構成したものを示している。このものによれば、洗浄時には温水、乾燥時には温風がそれぞれ洗浄槽5に触れることによって温度降下するのを内面部5eの非金属によって防止できるもので、洗浄、乾燥を効率良く行なうことができる。又、洗浄時に噴射水が槽壁に衝突しても、内面部5eの非金属によって防音できるもので、騒音を低減することができる。
【0021】
図11ないし図13は本発明の第7実施例を示すもので、洗浄槽5からの排水をする排水管路71中にあって下水からの臭気の侵入を阻止する排水トラップ72を、キッチンキャビネット1が有する点検口(図示せず)に向かって移動可能に設けたものを示している。
【0022】
この場合、詳細には、前記支持板22の一側面部に前後に延びるレール73を設け、これに排水トラップ72の前後両側にそれぞれシャフト74により支持して設けたローラ75を転動自在に組付けている。排水トラップ72を接続した排水管路71は一般にゴムなど弾性体で構成しており、従って、その排水管路71を弾性変形させつつ、排水トラップ72をローラ75によりレール73に沿って移動させることにより、キッチンキャビネット1の例えば前面部にある点検口近く(図12中右側)に排水トラップ72を移動させ、その点検口において、排水トラップ72のメンテナンスを行なうことができる。
【0023】
このものによれば、排水トラップ72のメンテナンスを、キッチンキャビネット1の奥深くに手を差し入れてその関係部分を取外して行なうというような面倒且つ困難な作業を要することなく、容易に行なうことができる。
【0024】
図14及び図15は本発明の第8実施例を示すもので、洗浄槽5の排水口81に位置して洗浄槽5内から排水口81を通じ排出される水より残滓を取除く残滓フィルタ82を、かご7に取付けたものを示している。この場合も、詳細には、残滓フィルタ82に取付爪83を複数対設け、これをかご7の複数の底線材7aに係合させて、残滓フィルタ82をかご7に着脱可能に取付けている。
【0025】
このものによれば、かご7を洗浄槽5内から取出すことで、残滓フィルタ82もそれと一体に取出すことができるもので、従来のもののようなかご7を取出してから残滓フィルタ82を取出すというような手順を経る必要がなく、残滓フィルタ82の取出しが容易にできる。しかも、残滓フィルタ82には従来のもののような取手を設ける必要もなく、コスト安にできる。
【0026】
更に、この場合、残滓フィルタ82は、これを洗浄槽5の排水口81にセットした状態で、その後に洗浄槽5内にかご7を収容すれば、底線材7aに取付爪83が自動的に係合して取付けられるようにしており、これによって、かご7に対する残滓フィルタ82の取付けを別作業で行なう必要がなく、一層扱いやすくできる。
【0027】
図16は本発明の第9実施例を示すもので、洗浄槽5に、先方部(この場合、先端部)に溢水口91を有する溢水口体92を連結するについて、その溢水口体92の洗浄槽5との連結部分である連結口93を溢水口91より下方の位置に設けたものを示している。
【0028】
このものによれば、洗浄時の噴射水が溢水口91に直接到達することが避けられるため、その噴射水が溢水口91から飛び出してしまうことのないようにできる。特に、この場合、溢水口体92の連結口93は洗浄槽5内の洗浄時における貯水水位H1以下の位置に設けており、これによって、噴射水の飛び出しを一層確実に防止できる。又、この溢水口体92は乾燥時には湿気を帯びた空気を洗浄槽5内から排出するものとしても機能する。
【0029】
更に、この場合、溢水口91に対して、洗浄槽5に給水するための給水口94はその溢水口92より上方の位置に設けている。このようにすることにより、洗浄槽5内の水位が異常上昇したとき、その水は給水口94に到達する前に確実に溢水口92から溢出されるもので、その給水口94から給水源(一般には水道)方向への逆流を防止することができる。
【0030】
併せて、図16は溢水口92から溢出した水を受ける水受器95、及びこの水受器95内の貯留水位を検知する、例えばフロート96、レバー97、及びレバー97で開閉されるスイッチ98から成る検知手段としての検知装置99を設けたものを示している。
【0031】
このものによれば、洗浄槽5内の水が溢水口92から溢出したとき、その溢出した水を水受器95で受け、そして、その受けた水の水位を検知装置99で検知することにより、水位が異常になったところで、給水を止めたり、あるいは使用者に報知したりすることができるもので、洗浄槽5から溢出した水でキッチンキャビネット1の内底部や更にそのほかの部分を水浸しにしてしまうことのないようにできる。
【0032】
図17は本発明の第10実施例を示すもので、洗浄槽5内に臨む天板2の被洗浄物出入口101の周囲部に、ねじ28部分を覆うシール102とカバー103とで更にその周囲部よりも高い堤部104を設けたものを示している。このものによれば、洗浄槽5内に隣接のシンク4や作業台部3から水が浸入することが堤部102によってせき止められ、よって、洗浄後や更に乾燥後の被洗浄物を汚したり、ぬらしてしまうことのないようにできる。
【0033】
図18は本発明の第11実施例を示すもので、洗剤を、被洗浄物の全部もしくは一部を水没させて洗浄する行程である「つけ置き行程」の水面H2より上方で、その後に水を噴射させて洗浄する行程での噴水高さより下方の位置に保持する洗剤保持手段として機能する洗剤かご111を具えたものを示している。
【0034】
このものによれば、「つけ置き行程」では洗剤かご111に保持された洗剤部分に水が至らず、その後の水を噴射させて洗浄する行程で水が至り、洗剤をその水で溶かして投入することになるもので、洗剤の投入に従来のもののような複雑で信頼性の高い機構を必要としないから、それだけコスト安にできる。
【0035】
図19は本発明の第12実施例を示すもので、前述の蓋16に代わって洗浄槽5の上面の開口部5aを開閉するように設けた蓋121より更に上方に、天板2上をスライドすることが可能な作業台122を具えたものを示している。このものによれば、蓋121が折畳みタイプなどでその上面で作業するに必要な強度が確保されていなくても、その必要な強度を作業台122で確保することにより、該作業台122の上面で作業が所望にできるようになる。なお、被洗浄物としては全体に食器に限られず、野菜や果物その他のものであっても良い。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上説明したとおりのもので、下記の効果を奏する。請求項1の洗浄機によれば、天板に対する洗浄槽の取付けが取付機構を操作することによってでき、作業者が洗浄槽の上面の開口部を天板の取付口に合わせながら取付けるというような手間を要さずして、その取付けを容易且つ確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す主要部分の組立途中状態の縦断正面図
【図2】取付機構の部分拡大縦断正面図
【図3】組立完了状態の全体的縦断正面図
【図4】組立完了状態の主要部分の縦断側面図
【図5】本発明の第2実施例を示す取付機構部分の縦断正面図
【図6】本発明の第3実施例を示す図5相当図
【図7】本発明の第4実施例を示す洗浄槽単体の縦断面図
【図8】本発明の第5実施例を示す図7相当図
【図9】蛇腹状部材部分の収縮状態での縦断面図
【図10】本発明の第6実施例を示す図7相当図
【図11】本発明の第7実施例を示す図1部分相当図
【図12】洗浄槽から排水トラップにかけた部分の側面図
【図13】排水トラップガイド部分の拡大縦断正面図
【図14】本発明の第8実施例を示す残滓フィルタ取付部分の縦断面図
【図15】残滓フィルタ取付部分の分解斜視図
【図16】本発明の第9実施例を示す洗浄槽から水受器にかけた部分の縦断面図
【図17】本発明の第10実施例を示す洗浄槽上部の拡大縦断面図
【図18】本発明の第11実施例を示す洗浄槽部分の縦断面図
【図19】本発明の第12実施例を示す図17相当図
【符号の説明】
1はキッチンキャビネット、2は天板、5は洗浄槽、5aは開口部、5bは上部槽、5cは下部槽、5dは外面部、5eは内面部、6は食器(被洗浄物)、7はかご、8は洗浄機構、16は蓋、20は取付口、22は支持板、25は支持台、26は蝶ねじ、27はガイド、29は取付機構、31はねじ軸、32はナット、33は支持台、34は取付機構、41は回転操作部、42はねじ軸、43,44はナット、45,46はリンク機構、47は取付機構、51は弾性体、61は蛇腹状部材、71は排水管路、72は排水トラップ、73はレール、75はローラ、81は排水口、82は残滓フィルタ、83は取付爪、91は溢水口、92は溢水口体、93は連結口(洗浄槽との連結部分)、94は給水口、95は水受器、96はフロート、97はレバー、98はスイッチ、99は検知装置(検知手段)、101は被洗浄物出入口、104は堤部、111は洗剤かご(洗剤保持手段)、H2は被洗浄物の全部もしくは一部を水没させて洗浄する行程での水面、121は蓋、122は作業台を示す。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-08-27 
出願番号 特願平8-187697
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A47L)
最終処分 取消  
特許庁審判長 川向 和実
特許庁審判官 大元 修二
和泉 等
登録日 2002-10-04 
登録番号 特許第3356630号(P3356630)
権利者 株式会社東芝
発明の名称 洗浄機  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 外川 英明  
代理人 外川 英明  
代理人 宮田 金雄  

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