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審決分類 審判 全部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  H01R
審判 全部申し立て 特29条の2  H01R
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01R
管理番号 1109554
異議申立番号 異議2003-71936  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-02-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-07-28 
確定日 2004-10-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3372240号「球面形バンプに対するコンタクトの接触構造」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3372240号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.訂正の適否について
1-1 訂正の内容
平成16年8月5日付け訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正」という。)は、別紙「訂正の内容」に示すとおりである(別紙「訂正の内容」参照)。

1-2 訂正の適否
特許請求の範囲についての訂正事項1は、請求項1につき、訂正前の請求項3に記載された事項から、「上記第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有する」ことを、訂正後の請求項1に限定事項として加えることを、その主たる訂正内容とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項2についての訂正内容は、訂正前の請求項1を引用していたものを訂正後の請求項1を引用するものとし、訂正前の請求項2に記載された事項を、そのまま訂正後の請求項1に限定事項として加えるものであるから、同じく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1の訂正内容は、いずれも特許明細書に記載されていた事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないといえる。
以上のことから、訂正事項1は、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に該当し、並びに特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項ないし第3項の規定に適合するものであるので、本件訂正を認める。

2.異議申立てについての判断
2-1 本件発明
上記のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の発明(請求項1、請求項2)は、訂正された特許明細書に記載された次のとおりのものである。
請求項1;
「球面形バンプの対向する側面にコンタクトが具有せる第1,第2接触片を加圧接触せしめる球面形バンプとコンタクトの接触構造において、上記第1接触片は球面形バンプの直径線の一端を通る経線の両側方において同バンプの一側面に加圧接触する離間して配置された第1,第2突起を有し、上記第2接触片は球面形バンプの上記直径線の他端を通る経線の両側方において同バンプの他側面に加圧接触する離間して配置された第3,第4突起を有し、上記第1,第2,第3,第4突起が球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成され、上記第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有することを特徴とする球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。」(以下、本件発明1という。)
請求項2;
「上記第1,第2突起を形成する両突条が下方へ向け拡開せる傾斜角度を有し、同様に上記第3,第4突起を形成する両突条が下方へ向け拡開せる傾斜角度を有することを特徴とする請求項1記載の球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。」

2-2 取消理由通知で引用された刊行物に記載された発明
2-2-1 刊行物1
取消理由通知で引用された刊行物1である実願昭58-201011号(実開昭60-109272号)のマイクロフィルム[異議申立人・田島亮が提出した甲第3号証である。]には、その図面とともに、次の事項が記載されている。
(イ)「本考案はICソケット等に用いられる接触子に関し、殊にICリード等がピン端子である場合に好適に用いられる接触子に係る。」(明細書第2頁第1〜3行参照)
(ロ)「本考案に係る接触子は上記ピン端子との高信頼の挟圧接触を図ることを可能にした構造を有するもので…(中略)…第1図以降に示す如く細長条片から成る対向せる一対の接触片1,2を備える。」(同第3頁第1〜6行参照)
(ハ)「他方接触片2にはその対向面から一対の端子咬持片10をハの字形に切起す。該端子咬持片10は前記端子咬持溝6と対向して配置され、且つ該端子咬持溝6と同様、ピン端子挿入方向へ延在させ、両端子咬持片10端縁のエッジ11間にてピン端子8の直径よりも小巾の端子咬持間隙12を形成する。
上記によってピン端子8の他側を同端子咬持間隙12に充がいつつ、同間隙のエッジ、即ち間隙を形成する端子咬持片10端縁のエッジ11にて受け止め、一方の接触片1との間で、これを咬持する。接触片1は使用例により接触片2に対し開いた状態で待機し、ピン端子8の挿入後閉じてピン端子側面へ接触する。
上記によってピン端子8は端子咬持片10のエッジ11と端子咬持溝6のエッジ7とによって対向せる両側を挟持される。好ましくは各端子咬持片10及び同間隙12は第6図に示すように端子8の直径線Rの一端(直径線の一端と交わるピン端子母線)を境に左右対称となるように配置され、同様に端子咬持溝6は上記同じ直径線Rの他端(直径線の他端と交わるピン端子母線)を境に左右対称となるように配置され、互いに完全に逆方向の側圧をピン端子にかけるようバランス配置とする。」(明細書第4頁第1行〜第5頁第5行参照)
(ニ)「更に前記した一対の端子咬持片10を第9図に示すように一対の接触片1,2の各々に設け、四個所のエッジ11でピン端子8の左右側面を挟持する場合もある。」(同第5頁第19行〜第6頁第2行参照)
(ホ)「更に接触面の対向面からハの字形に切り起こされたピン端子8の挿入方向へ延びる上記一対の端子咬持片10は上記ピン端子8と接触片1,2との相対位置決効果を発揮しながら、両咬持片10のピン端子挿入方向へ延びる左右エッジにてピン端子の周方向の二個所において線接触し、同二線上においてピン端子表面へ集中して圧接する。従ってピン端子表面に対する良好な清掃効果、高信頼の電気的接触が期待できる。」(同第6頁第10〜18行参照)
(ヘ)図面の特に第9図を見ると、一対の接触子1,2の各々に設けられた一対の端子咬持片10,10の左右エッジ11,11間に、ピン端子8の側面を逃がすことができる空間を備えた端子咬持間隙12が示されている。
上記記載事項(イ)〜(ヘ)、並びに、図面の第1、4、6及び9図(特に、第9図)の図示内容を総合すると、上記刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「ピン端子8の対向せる両側面に接触子が具有せる接触片1,2を圧接せしめるピン端子8と接触子の接触構造において、上記接触片1はピン端子8の直径線Rの一端を通る経線の左右対称位置において同ピン端子8の一側面に圧接する間隙12を形成して配置された一対の端子咬持片10,10を有し、上記接触片2はピン端子8の上記直径線Rの他端を通る経線の左右対称位置において同ピン端子8の他側面に圧接する間隙12を形成して配置された一対の端子咬持片10,10を有し、上記両一対の端子咬持片10,10,10,10がピン端子8の挿入方向へ延びる左右エッジ11,11,11,11を有するものとして形成されているピン端子8に対する接触子の接触構造。」

2-2-2 刊行物2
おなじく、取消理由通知で引用された刊行物2である特開平8-273777号公報[異議申立人・田島亮が提出した甲第2号証である。]には、その図面とともに、次の事項が記載されている。
(イ)「【従来の技術】IC部品の中には接続端子がIC本体の側方に位置せず、IC本体の下方(底部)に向けて格子状に配列されたものがある。それらのIC部品としては、現在の所、ピン状の接続端子を下方に向けて格子状に配列したピン・グリッド・アレー(以下、PGAという)〕と称されるものと、少なくとも周面近傍が半田で略球面状に形成されたボール・グリッド・アレー(以下、BGAという)と称されるものとが知られている。」(公報第2頁第1欄第47行〜第2欄第4行参照)
(ロ)「【0042】また、上記の実施例においては、被検物をBGAの場合で説明したが、PGAなどIC本体の下面に接続端子を突出配列するIC部品の全てに適用できることは言うまでもない。」(同第6頁第10欄第29〜32行参照)
(ハ)「【0044】先ず、図28によって本実施例に用いられるコンタクトピンの形状を説明する。図28(a)はコンタクトピンの正面図であり、図28(b)は斜視図である。コンタクトピン15はベリリウム銅の板材をプレス機械によって打ち抜き且つ曲げ加工をしたものであり、接続端子15aを図示していない本体に圧入し、その先端を下方へ突き出させるようにしている。接点部は二股状をしており、第1接点部15bと第2接点部15cとは共に可撓性を有しており、図28(a)において左右方向に、且つ紙面の表裏方向に撓むようになっている。」(同第6頁第10欄第50行〜第7頁第11欄第10行参照)
(ニ)「接点部15b,15cが自己の弾性力によって図29において左方向へ復帰作動を行い、且つ両者間の間隔を狭めていく。そして、図28に示す原位置に復帰する前にBGAの接続端子である半田ボールを挟持する。」(同第7頁第11欄第41〜45行参照)
(ホ)「被検物をBGAの場合で説明したが、PGAなどIC本体の下面に接続端子を配列するIC部品の全てに適用できることは勿論のことである。」(同第7頁第12欄第13〜15行参照)

2-3 対比・判断
2-3-1 一致点・相違点
本件発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「対向せる両側面」、「接触子」、「接触片1,2」、「圧接」、「直径線Rの一端」、「左右対称位置」、「間隙12を形成」、「一対の端子咬持片10,10,10,10」、「直径線Rの他端」、「挿入方向へ延びる左右エッジ11,11,11,11を有するもの」は、その作用ないし機能からみて、本件発明1の「対向する側面」、「コンタクト」、「第1,第2接触片」、「加圧接触」、「直径線の一端」、「両側方」、「離間」、「第1,第2,第3,第4突起」、「直径線の他端」、「上下方向へ延在する突条」に、それぞれ相当し、また、引用発明1の「ピン端子8」と本件発明1の「球面形バンプ」とは共に「接触端子」である点で共通するといえるから、両者は、「接触端子の対向する側面にコンタクトが具有する第1,第2接触片を加圧接触せしめる接触端子とコンタクトの接触構造において、上記第1接触片は接触端子の直径線の一端を通る経線の両側方において同接触端子の一側面に加圧接触する離間して配置された第1,第2突起を有し、上記第2接触片は接触端子の上記直径線の他端を通る経線の両側方において同接触端子の他側面に加圧接触する離間して配置された第3,第4突起を有し、上記第1,第2,第3,第4突起が接触端子の上下方向へ延在する突条によって形成されている接触端子に対するコンタクトの接触構造」である点で一致するといえるものの、次の点で相違する。

(相違点1)コンタクトが具有する第1,第2接触片を加圧接触せしめる接触端子に関して、本件発明1が球面形バンプであるのに対して、引用発明1はピン端子である点。
(相違点2)第1,第2,第3,第4突起を形成する突条に関して、本件発明1は、第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有するように構成しているのに対して、引用発明1がこのような構成を備えていない点。

2-3-2 相違点の判断
(相違点1について)
ところで、刊行物2(上記「2-2-2」の(イ)参照)にも示されるように、接続端子の対向する側面にコンタクト(刊行物2における「コンタクトピン」)を具有せる第1,第2接触片(同上「第1接点部15b」と「第2接点部15c」)を加圧接触(同上「自己の弾性力によって挟持」する点)せしめる接続端子とコンタクトの接触構造において、その接触構造を適用しうるIC部品として、ピン状の接続端子を下方に向けて格子状に配列したピン・グリッド・アレー(以下、「PGA」という。)と称されるものと、少なくとも周面近傍が半田で略球面状に形成されたボール・グリッド・アレー(以下、「BGA」という。)と称されるものは、従来より周知であったといえる。
そして、上記接続端子として、球面形バンプ(BGAの接続端子である半田ボール)とPGAなどIC本体の下面に突出配列するピン状の接続端子とが、共に適用できること、すなわち、コンタクトが具有せる第1,第2接触片を加圧接触せしめる接続端子として、ピン状の接続端子に代えて球面形バンプを適用し得ることは、上記刊行物2(上記「2-2-2」の(ホ)参照)にも説示されるように、従来より周知の事項であったといえる。
してみると、相違点1は、引用発明におけるピン端子を、球面形バンプに変更することにより、当業者が容易に想到し得た設計上の変更であるといわざるを得ない。
なお、接触片に用いられる突条の形態として、引用発明における左右エッジ11,11を用いたものの他に、特開平8-78123号公報(異議申立人が提出した甲第4号証)の図2に5e’、5f’として示される態様のものも従来より知られているといえる。

(相違点2について)
本件発明1の「第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間」に、「球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有する」ように構成した点は、刊行物1及び2ないし特許異議申立書で提示された甲第4号証(特開平8-78123号公報)のいずれにも開示ないし示唆されているということができない。
また、上記のように構成することが、本件特許出願日前に、本件発明の属する技術分野において、周知ないし公知の技術であったといえる証拠も他に見出すことができない。
そして、本件発明1は、上記の構成を備えることにより、特許明細書の段落【0025】、【0026】に記載の「突起11,12の球面形バンプ2に対する喰い込み量を設定する」ことができ、「球面形バンプ2がバーンインテストにより軟化した時に、上記突起11,12,13,14は第1,第2接触片4,5の弾力により、球面形バンプ2の表面に喰い込む。この時上記受圧面16,17は球面形バンプ2の球面を受け止め、突起11,12,13,14の最大喰い込み量を設定する手段となる。」という作用・効果を奏するものといえる。
してみると、相違点2に係る本件発明1の構成は、刊行物1及び2、並びに甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得たことということができない。

したがって、本件発明1は、刊行物1及び2、並びに甲第4号証のいずれかに記載された発明であるということができないばかりでなく、刊行物1及び2、並びに甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということができない。

2-3-3 他の請求項に係る発明
上記「1-2」において説示したように、本件請求項2に係る発明は、本件発明1を更に限定するものであるから、同様に、刊行物1及び2、並びに甲第4号証のいずれかに記載された発明であるとすることができないばかりでなく、刊行物1及び2、並びに甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3.他の特許異議申立ての理由(特許法第29条の2違反)について
3-1 甲第1号証に記載された発明
本件特許の出願日前に出願され、本件特許の出願日以後に出願公開された先願である甲第1号証(特願平9-195055号(特開平11-26126号公報参照))には、その願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)に、次の事項が記載されている。
(イ)「【0042】図6(b)に示すように、本実施の形態の場合は、コンタクト6のアーム6a、6b同士が対向するように構成されている。さらに、各アーム6a、6bの先端部の加圧接触部60には、その先端の角部を内側に左右対称に折り曲げることにより突起60aが形成されている。このような構成により、図6(c)に示すように、BGAパッケージ9のはんだボール11は、各アームの加圧接触部60の突起60aによって4点で左右対称に保持される。」(公報第5頁第8欄第34〜42行参照)
(ロ)「【0056】しかも、各コンタクト6の加圧接触部60には突起60aが設けられていることから、BGAパッケージ9のはんだボール11に酸化被膜が形成されている場合であっても、これらの突起60aによって酸化被膜が突き破られ、さらに良好な電気的な接続状態を得ることができる。」(同第6頁第10欄第29〜34行参照)
(ハ)その図面、特に第6図(c)には、アーム6aがはんだボール11の直径線の一端を通る経線の両側方において同はんだボール11の一側面に加圧接触する離間して配置された突起60a、60aを有し、アーム6bがはんだボール11の上記直径線の他端を通る経線の両側方において同はんだボール11の他側面に加圧接触する離間して配置された突起60a、60aを有していることが図示されている。
上記記載事項(イ)〜(ハ)、並びに図面の図示内容を総合すると、先願明細書には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
(先願発明)
「はんだボール11の対向する側面にコンタクト6が具有せるアーム6a、6bを加圧接触せしめるはんだボール11とコンタクト6の接触構造において、上記アーム6aははんだボール11の直径線の一端を通る経線の両側方において同はんだボール11の一側面に加圧接触する離間して配置された先端の角部によって酸化皮膜を突き破る突起60a、60aを有し、上記アーム6bははんだボール11の上記直径線の他端を通る経線の両側方において同はんだボール11の他側面に加圧接触する離間して配置された先端の角部によって酸化皮膜を突き破る突起60a、60aを有するはんだボール11とコンタクト6の接触構造」

3-2 対比・判断
3-2-1 一致点・相違点
本件発明1と先願発明とを対比すると、先願発明の「はんだボール11」、「コンタクト6」、「アーム6a」、「アーム6b」、「先端の角部によって酸化皮膜を突き破る突起60a、60a、60a、60a」は、その作用ないし機能からみて、本件発明1の「球面形バンプ」、「コンタクト」、「第1接触片」、「第2接触片」、「第1,第2、第3,第4突起」に、それぞれ相当するといえるから、両者は、「球面形バンプの対向する側面にコンタクトが具有せる第1,第2接触片を加圧接触せしめる球面形バンプとコンタクトの接触構造において、上記第1接触片は球面形バンプの直径線の一端を通る経線の両側方において同バンプの一側面に加圧接触する離間して配置された第1,第2突起を有し、上記第2接触片は球面形バンプの上記直径線の他端を通る経線の両側方において同バンプの他側面に加圧接触する離間して配置された第3,第4突起を有する球面形バンプに対するコンタクトの接触構造」である点で一致するといえるものの、次の点で相違する。
(相違点)本件発明1が、「第1,第2,第3,第4突起が球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成され、上記第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有」しているのに対して、先願発明がこのような構成を備えていない点。

3-2-2 相違点の判断
ところで、本件発明1は、第1,第2,第3,第4突起が球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成され、上記第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有していることにより、特許明細書の段落【0039】に記載の「上記第1,第2,第3,第4突起を球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成することにより、大径の球面形バンプと小径の球面形バンプの何れに対しても突条の延在線上において適正なる接触が得られる。」という作用・効果及び段落【0025】や【0026】に記載の「球面形バンプ2がバーンインテストにより軟化した時に、上記突起11,12,13,14は第1,第2接触片4,5の弾力により、球面形バンプ2の表面に喰い込む。この時上記受圧面16,17は球面形バンプ2の球面を受け止め、突起11,12,13,14の最大喰い込み量を設定する手段となる。」という作用・効果を奏するものといえる。
これに対して、先願発明が備えるアーム6a、6bがそれぞれ有するものは「突起60a、60a」であって、当該「突起60a、60a」は「はんだボール11の上記直径線の他端を通る経線の両側方において同はんだボール11の他側面に加圧接触する離間して配置された先端の角部によって酸化皮膜を突き破る」という作用を果たすために設けられたものであって、本件発明1の第1〜第4の突起として形成された「突条」とはその作用ないし効果を異にするものといわざるを得ない。
さらに、本件発明1の一対の突条による最大喰い込み量を設定するために、当該一対の突条間に「受圧面」を設けるという構成を採用することが、従来より周知ないし慣用技術であったといえる他の証拠も見出し得ない。
してみると、本件発明1は、先願発明と同一であるということができない。
また、本件請求項2に係る発明も、本件発明1を更に限定するものであるから、同様に先願発明と同一であるということができない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1及び本件請求項2に係る発明の特許を取り消すことができない。
また、本件発明1及び本件請求項2に係る発明の特許につき、他の取り消すべき理由も見出すことができない。
よって、結論のとおり決定する。
 
別掲 別紙「訂正の内容」

(3)訂正事項1:
訂正事項1は、特許請求の範囲が、「【請求項1】球面形バンプの対向する側面にコンタクトが具有せる第1,第2接触片を加圧接触せしめる球面形バンプとコンタクトの接触構造において、上記第1接触片は球面形バンプの直径線の一端を通る経線の両側方において同バンプの一側面に加圧接触する離間して配置された第1,第2突起を有し、上記第2接触片は球面形バンプの上記直径線の他端を通る経線の両側方において同バンプの他側面に加圧接触する離間して配置された第3,第4突起を有し、上記第1,第2,第3,第4突起が球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成されていることを特徴とする球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。
【請求項2】上記第1,第2突起を形成する両突条が下方へ向け拡開せる傾斜角度を有し、同様に上記第3,第4突起を形成する両突条が下方へ向け拡開せる傾斜角度を有することを特徴とする請求項1記載の球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。
【請求項3】上記第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有することを特徴とする請求項1又は2記載の球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。
【請求項4】上記第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプの球面を逃がす逃げ溝を有することを特徴とする請求項1又は2記載の球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。」であるところ、
これを、「【請求項1】球面形バンプの対向する側面にコンタクトが具有せる第1,第2接触片を加圧接触せしめる球面形バンプとコンタクトの接触構造において、上記第1接触片は球面形バンプの直径線の一端を通る経線の両側方において同バンプの一側面に加圧接触する離間して配置された第1,第2突起を有し、上記第2接触片は球面形バンプの上記直径線の他端を通る経線の両側方において同バンプの他側面に加圧接触する離間して配置された第3,第4突起を有し、上記第1,第2,第3,第4突起が球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成され、上記第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有することを特徴とする球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。
【請求項2】上記第1,第2突起を形成する両突条が下方へ向け拡開せる傾斜角度を有し、同様に上記第3,第4突起を形成する両突条が下方へ向け拡開せる傾斜角度を有することを特徴とする請求項1記載の球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。」と訂正する。
即ち原請求項3を請求項1に加入して新たな請求項1とし、同請求項3並びに請求項4を削除するものである。尚原請求項2は新たな請求項1に従属する請求項として残存した。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
球面形バンプに対するコンタクトの接触構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】球面形バンプの対向する側面にコンタクトが具有せる第1,第2接触片を加圧接触せしめる球面形バンプとコンタクトの接触構造において、上記第1接触片は球面形バンプの直径線の一端を通る経線の両側方において同バンプの一側面に加圧接触する離間して配置された第1,第2突起を有し、上記第2接触片は球面形バンプの上記直径線の他端を通る経線の両側方において同バンプの他側面に加圧接触する離間して配置された第3,第4突起を有し、上記第1,第2,第3,第4突起が球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成され、上記第1接触片の第1,第2突起を形成する両突条間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起を形成する両突条間に、球面形バンプに対する第1,第2突起を形成する両突条の喰い込み量を設定する受圧面を有することを特徴とする球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。
【請求項2】上記第1,第2突起を形成する両突条が下方へ向け拡開せる傾斜角度を有し、同様に上記第3,第4突起を形成する両突条が下方へ向け拡開せる傾斜角度を有することを特徴とする請求項1記載の球面形バンプに対するコンタクトの接触構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はBGA形ICパッケージ等の外部接点を形成する球面形バンプに対するコンタクトの接触構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許第2620525号公報(特開平8-78123号公報)は球面形バンプに対するコンタクトの接触構造を示しており、この接触構造は球面形バンプの対向する両側面に加圧接触する一対の接触片を有し、両接触片の接触部に突起を形成し、この突起を球面形バンプの表面に喰い込ませるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行例は球面形バンプの両側面に突起を喰い込ませる接触構造によって、接触の信頼性を大巾に向上せしめ、又球面形バンプの表面実装される下死点部を損傷しない利点を有している。
【0004】
本発明は上記先行例の利点を享受しつつ、第1接触片の突起と第2接触片の突起が球面形バンプの一側面と他側面に安定的に且つ健全に加圧接触せしめる機能を付与し、高信頼の接触を確保する球面形バンプとコンタクトの接触構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に応える手段として、上記第1接触片には球面形バンプの直径線の一端を通る経線の両側方において同バンプの一側面に加圧接触する第1,第2突起を離間して配置すると共に、上記第2接触片には球面形バンプの上記直径線の他端を通る経線の両側方において同バンプの他側面に加圧接触する第3,第4突起を離間して配置した。
【0006】
上記各接触構造により、球面形バンプとコンタクトとは、球面形バンプの相対する側面において四点接触し、これにより球面形バンプに対する各突起の相対位置を確保して安定且つ健全なる加圧接触を確保できる。
【0007】
上記第1,第2,第3,第4突起は球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成し、大径の球面形バンプと小径の球面形バンプの何れに対しても突条の延在線上において適正なる接触が得られるようにした。
【0008】
又第1接触片及び第2接触片に離間して配置した突起を設けているが、好ましくはこの離間配置した突起を上記のように上下方向に延在せる突条にて形成しつつ、両突条には下方へ向け拡開せる傾斜角度を具有せしめて、径の異なる球面形バンプの両側面にその径に応じた適正な位置において適正なる加圧力を以って接触できるようにした。
【0009】
又上記第1接触片の第1,第2突起間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起間には、球面形バンプに対する第1,第2突起の喰い込み量を設定する受圧面を形成する。
【0010】
又は上記第1接触片の第1,第2突起間又は/及び上記第2接触片の第3,第4突起間には、球面形バンプの球面を逃がす逃げ溝を形成する。
【0011】
上記受圧面又は逃げ溝は該受圧面と逃げ溝の両側に離間配置した両突起の最大喰い込み量を均一に設定する。
【0012】
又上記突起による四点接触によって、第1,第2接触片による接触の信頼性を著しく向上できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1A,B,Cに示すように、BGA形ICパッケージは、ICパッケージ本体1の下面に多数の球面形バンプ2を有している。この球面形バンプ2は図1Aに示すように、半球形か、図1Bに示すように略球形を呈し、何れも半田材等の低融点金属で形成され、該球面形バンプの下死点部を配線基板上の配線パターンに融着し、ソケットを介さずにBGA形ICパッケージを配線基板上へ直接実装する場合が多い。
【0014】
従ってこのようなBGA形ICパッケージのテスト用ソケットにおいては、上記球面形バンプの下死点部を損傷せずにテスト用ソケットのコンタクトと球面形バンプの加圧接触が行なえる接触構造であることが望まれる。
【0015】
このため本発明においては前記先行例と同様、球面形バンプの対向する左右側面に一対の接触片を加圧接触せしめることを基本構造として有している。そして球面形バンプの対向する両側面に対し、突起による四点接触構造を形成する。以下その図2乃至図11に基づきその実施形態例について詳述する。
【0016】
2はBGA形ICパッケージ等の電子部品の外部接点である球面形バンプであり、この球面形バンプ2の対向する側面にコンタクト3が具有せる弾性を有する第1,第2接触片4,5を加圧接触せしめる。
【0017】
図4乃至図6等に示すように、上記第1接触片4は球面形バンプ2の横直径線R1の一端を通る経線A1の両側方において同バンプの一側面に加圧接触する離間して配置された第1,第2突起11,12を有し、上記第2接触片5は球面形バンプ2の上記直径線R1の他端を通る経線A2の両側方において同バンプの他側面に加圧接触する離間して配置された第3突起13と第4突起14を有する。
【0018】
上記コンタクト3の第1接触片4と第2接触片5は上下方向に延在し且つ左右に対向して配置されており、この第1,第2接触片4,5の下端は互いに連結され、この連結部9から下方へ延ばされた配線回路基板に接続するための雄端子10を有する。第1,第2接触片4,5と雄端子10とは金属板から一体に打抜き形成される。
【0019】
上記第1,第2接触片4,5は開閉弾性を有し、弾性に抗して外側へ拡開可能であり、又弾性に従い内側方へ復元可能である。この復元力によって球面形バンプ2の左右側面へ突起11,12,13,14を加圧接触せしめる。上記第1,第2接触片4,5は下端連結部9から上方へ向け対向して延ばされ、その上端(自由端)の内側面、即ち第1,第2接触片4,5の自由端部内側面に前記突起11,12,13,14を形成している。
【0020】
好ましくはこの突起11,12,13,14は球面形バンプ2の上下方向へ延在する突条によって形成する。上記第1,第2,第3,第4突起11,12,13,14を形成する突条は第1接触片4の上端縁から第1,第2接触片4,5の下端連結部9へ向って延在する。
【0021】
図5A,Bに示すように、上記突起11,12,13,14を形成する突条は球面形バンプ2の左右側面に対し、その延在方向の途中において加圧接触するが、図5A,図6Aに示す小径の球面形バンプ2aと、図5B,図6Bに示す大径の球面形バンプ2bに対しては夫々加圧接触位置が異なる。
【0022】
詳述すると、第1,第2接触片4,5の突起11,12,13,14を形成する突条は、図5A,図6Aに示す小径の球面形バンプ2aに対しては、突条の先端側で同バンプ2aの左右側面に加圧接触し、図5B,図6Bに示す大径の球面形バンプ2bに対しては、小径の球面形バンプより下位において加圧接触し、小径の球面形バンプ2aと大径の球面形バンプ2bの何れに対しても適正な加圧接触が期待できる。
【0023】
最も理想的な例として、上記第1接触片4の第1,第2突起11,12は球面形バンプ2の横直径線R1の一端を通る左半球上の経線A1上の側方に略対称に加圧接触せしめると共に、第2接触片5の突起13,14は上記横直径線R1の他端を通る右半球上の経線A2の両側方に略対称に配置して球面形バンプ2に加圧接触せしめる。即ち第1,第2突起11,12と第2,第3突起13,14とは平面視した時に略正四辺形の各頂点を形成する位置に配すると共に球面形バンプ2の略同一緯線B上において加圧接触するように配する。
【0024】
上記第1,第2突起11,12、即ちその例示である突条は第1接触片4の上下方向の中心線に対し略対称に配し、同様に第2,第3突起13,14、即ちその例示である突条は第2接触片5の上下方向の中心線に対し略左右対称に並置する。
【0025】
上記第1接触片4は突起11,12たる一対の突条の間に、突起11,12の球面形バンプ2に対する喰い込み量を設定する受圧面16を形成している。
【0026】
同様に、第2接触片5は離間して配した突起13,14の間、即ち一対の突条間に受圧面17を形成している。球面形バンプ2がバーンインテストにより軟化した時に、上記突起11,12,13,14は第1,第2接触片4,5の弾力により、球面形バンプ2の表面に喰い込む。この時上記受圧面16,17は球面形バンプ2の球面を受け止め、突起11,12,13,14の最大喰い込み量を設定する手段となる。
【0027】
上記突起11,12,13,14は点状突起にするか、上記突条にて形成し、一例として何れの場合も球面形バンプ2の同一緯線B上において加圧接触するように配置する。
【0028】
図7に示すように、上記第1接触片4に形成せる突起11,12たる一対の突条と、上記第2接触片5に形成せる突起13,14たる一対の突条とは上下方向に延在し且つ左右方向に略等間隔を以って並設する。
【0029】
又は図6A2,B2に示すように、上記第1接触片4の第1,第2突起11,12を形成する両突条は下方へ向け拡開せる傾斜角度を以って延在せしめる。同様に第2接触片5の第3,第4突起を形成する両突条も下方へ向け拡開せる傾斜角度を以って延在せしめる。
【0030】
上記第1,第2突起11,12を形成する両突条と、第3,第4突起13,14を形成する両突条を上記傾斜角度を以って設けることにより、図11,図12A,B,Cに示すように小径の球面形バンプ2aと大径の球面形バンプ2bに対する上記各対の突条の接触位置は自動的に変更される。
【0031】
即ち、図6A1,A2,Cに示すように、各対の突条は小径の球面形バンプ2aに対しては接触点P1,P2とP3,P4を以って接触し、接触点P1とP2の間隔t1と同P3とP4の間隔t1は小であり、他方各対の突条の大径の球面形バンプ2bに対しては接触点P1,P2とP3,P4を以って接触し、接触点P1,P2間と、P3,P4問の間隔t2は大となる。
【0032】
小径の球面形バンプ2aに対しては第1,第2接触片4,5による突起11,12,13,14の加圧接触力は小であり、第1,第2接触片4,5の各二つの突起11,12間と13,14間が近接していても球面形バンプ2aの局部に対するダメージは少ない。
【0033】
他方図6B1,B2,Cに示すように、大径の球面形バンプ2bに対しては第1,第2接触片4,5の突起11,12,13,14の加圧接触力が加乗的に大になる。従って第1,第2接触片4,5の各二つの突起、11,12と13,14、即ち各二つの突条が小径の球面形バンプ2aと同じ間隔で大径の球面形バンプ2bに加圧接触すると、バンプ局部に対するダメージが過大となり、球面形バンプの過度の変形を招来し、表面実装に支障を来す。
【0034】
この問題は上記のように第1接触片4の両突起11,12の間隔と、第2接触片5の両突起13,14の間隔、即ち各対の突条間の間隔を下方へ向け漸次拡大することによって有効に解消できる。即ち、大径の球面形バンプ2bに対する両突起11,12間と13,14間の接触間隔t2を小径の球面形バンプ2aに対する場合よりも拡大することによって大径の球面形バンプ2bの局部に対するダメージをより少なくすることができる。
【0035】
図8乃至図11に示すように、前記受圧面16,17に代えて、上記第1接触片4の第1,第2突起11,12たる一対の突条間、並びに第2接触片5の第3,第4突起13,14たる一対の突条間に球面形バンプ2の球面を逃す逃げ溝15を形成することができる。
【0036】
この逃げ溝15は両突条間に沿って延びその上端は第1,第2接触片4,5の先端において開放している。上記各突条はこの逃げ溝の上下方向の開口縁から内方へ突出する。上記逃げ溝15は第1,第2接触片4,5の双方又は一方に設けるか、一方には前記受圧面16又は17を設けることができる。
【0037】
球面形バンブ2がバーンインテストにより軟化した時に、突起11,12,13,14は球面形バンプ2の表面に喰い込み、この時上記逃げ溝15はバンプ球面を逃がして上記喰込みを適正に行なわせる。
【0038】
【発明の効果】
上記接触構造により、球面形バンプとコンタクトとは、球面形バンプの相対する側面において四点接触し、これにより球面形バンプに対する各突起の相対位置を確保して安定且つ健全なる加圧接触を確保できる。
【0039】
上記第1,第2,第3,第4突起を球面形バンプの上下方向へ延在する突条によって形成することにより、大径の球面形バンプと小径の球面形バンプの何れに対しても突条の延在線上において適正なる接触が得られる。
【0040】
又上記突起を上記のように上下方向に延在せる突条にて形成しつつ、両突条には下方へ向け拡開せる傾斜角度を具有せしめることにより、径の異なる球面形バンプの両側面にその径に応じた適正な位置において適正なる加圧力を以って接触できる。
【0041】
又上記突起による四点接触によって、第1,第2接触片による接触の信頼性を著しく向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
A,BはBGA形ICパッケージの各例を示す側面図、Cは同底面図。
【図2】
本発明の四点接触構造例を示すコンタクトの要部斜視図。
【図3】
同コンタクト平面図。
【図4】
上記コンタクトの球面形バンプに対する加圧接触状態を示す横断面図。
【図5】
Aは小径の球面形バンプに対するコンタクトの加圧接触状態を示す側面図、Bは大径の球面形バンプに対する同加圧接触状態を示す側面図。
【図6】
A1は小径の球面形バンプに対するコンタクトの加圧接触状態を示す横断面図、A2は同正面図、B1は大径の球面形バンプに対するコンタクトの加圧接触状態を示横断面図、B2は同正面図、Cは同コンタクトの小径と大径の球面形バンプに対する接触点を説明する平面図。
【図7】
上記コンタクトにおける突起を平行に設けた例を示す要部背面図。
【図8】
上記四点接触構造例の変形例を示すコンタクトの要部斜視図。
【図9】
上記コンタクトの球面形バンプに対する加圧接触状態を示す横断面図。
【図10】
同縦断面図。
【図11】
同背面図。
【符号の説明】
1 BGA形ICパッケージ本体
2 球面形バンプ
3 コンタクト
4 第1接触片
5 第2接触片
11 第1突起
12 第2突起
13 第3突起
14 第4突起
15 逃げ溝
16,17 受圧面
P1乃至P4 接触点
R1 横直径線
A1,A2 経線
B 緯線
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-09-21 
出願番号 特願2000-171057(P2000-171057)
審決分類 P 1 651・ 16- YA (H01R)
P 1 651・ 121- YA (H01R)
P 1 651・ 832- YA (H01R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅澤 洋二松縄 正登中塚 直樹  
特許庁審判長 大元 修二
特許庁審判官 岡田 孝博
西村 泰英
登録日 2002-11-22 
登録番号 特許第3372240号(P3372240)
権利者 山一電機株式会社
発明の名称 球面形バンプに対するコンタクトの接触構造  
代理人 中畑 孝  
代理人 中畑 孝  

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