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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  C08L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
管理番号 1109562
異議申立番号 異議2003-70173  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-01-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-01-22 
確定日 2004-11-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3304956号「硬化性組成物」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3304956号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続きの経緯
特許第3304956号の請求項1〜4に係る発明は、平成3年3月11日にした特許出願(特願平3-45249号)を原出願とする分割出願として平成12年6月12日に出願され、平成14年5月10日にその特許権の設定登録がなされ、その後、旭硝子株式会社より、特許異議の申立てがなされ、平成15年5月21日付けで取消の理由が通知され、その指定期間内である平成15年7月29日付けで特許異議意見書及び訂正請求書が特許権者から提出されたものである。
[2]訂正の可否
1.訂正の趣旨
特許権者が求める訂正事項は次の通りである。
(1)訂正事項A:特許請求の範囲の請求項1における「1.6以下」を「1.5以下」と訂正する。
(2)訂正事項B:特許請求の範囲の請求項1における「オキシプロピレン重合体、」を「末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるオキシプロピレン重合体、」と訂正する。
(3)訂正事項C:特許請求の範囲の請求項2を削除する訂正。
(4)訂正事項D:特許請求の範囲の請求項3及び4をそれぞれ請求項2及び3に繰上げ、請求項3において引用している「請求項1または2」を「請求項1」と訂正し、請求項4において引用している「請求項1〜3のいずれか1項」を「請求項1又は2」と訂正する。
(5)訂正事項E:段落【0004】における「1.6以下」を「1.5以下」と訂正し、「オキシプロピレン重合体、」を「末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるオキシプロピレン重合体、」と訂正する。
(6)訂正事項F:段落【0042】における「合成例1」を「合成例1(参考)」と訂正する。
(7)訂正事項G:段落【0052】における「実施例1」を「実施例1(参考)」と訂正する。
2.訂正の可否についての判断
(1)訂正事項A
訂正事項Aは、オキシプロピレン重合体のMw/Mnの値である「1.6以下」を「1.5以下」とするものであるが、Mw/Mnの値が好ましくは1.5以下であることは特許明細書の【請求項2】、段落【0016】及び原出願の出願当初の明細書に記載されていたことであり、「1.6以下」を「1.5以下」とする訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(B)訂正事項B
訂正事項Bは、オキシプロピレン重合体が、末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるものであるという限定を付すものであるが、このことは特許明細書の段落【0023】、【0046】(合成例2)及び原出願の出願当初の明細書に記載されていたことであり、また、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)訂正事項C
訂正事項Cは請求項2を削除するものであるから、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(4)訂正事項D
訂正事項Dは、特許請求の範囲の請求項2の削除に伴い請求項2以下の請求項の番号及びそこで引用されている請求項の番号を繰り上げ訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。
(5)訂正事項Eについて
訂正事項Eは、訂正事項A及びBにより請求項1が訂正されたのに伴い、請求項1に対応する発明の詳細な説明の【発明の概要】の記載段落【0004】を訂正後の請求項1に対応するように訂正するものであり、特許請求の範囲と整合するように対応する発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(6)訂正事項Fについて
訂正事項Fは、訂正事項Bによってオキシプロピレン重合体が、末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるものに限定された結果、段落【0042】の「合成例1」がそれに適合しなくなったので、段落【0042】における「合成例1」を「合成例1(参考)」と訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。
(7)訂正事項Gについて
訂正事項Gは、訂正事項Bによってオキシプロピレン重合体が、末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるものに限定された結果、「合成例1」を用いる段落【0052】の「実施例1」が本件発明の実施例ではなくなったので、段落【0052】における「実施例1」を「実施例1(参考)」と訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
そして、訂正事項A〜Gは、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内での訂正である。
(8)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
[3]本件発明
上記訂正の結果、訂正後の本件請求項1〜3に係る発明(以下単に「本件発明1」〜「本件発明3」と言う。)は訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により構成される次のとおりのものである。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】(A)重合体主鎖が
CH3

式 ―CH―CH2 ―O―
で示される繰返し単位からなり、水酸基又は加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、Mw/Mnが1.5以下で数平均分子量が6,000以上である末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるオキシプロピレン重合体、及び
(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびヒンダードアミン系酸化防止剤を含有する硬化性組成物。
【請求項2】(A)成分の重合体の数平均分子量が6,000〜30,000である請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】(A)成分の重合体においてケイ素原子含有基が分子鎖末端に存在する請求項1又は2に記載の硬化性組成物。」
[4]特許異議申立の理由
特許異議申立人、旭硝子株式会社は、甲第1〜12号証を提出し、概略次の理由により訂正前の本件請求項1〜4に係る発明は特許を受けることができないものであるから、これ等の発明に係る特許は取り消されるべきものであると主張する。
(1)訂正前の本件請求項1、3及び4に係る発明は、本件の原出願日前に頒布された甲第1号証の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。
(2)訂正前の本件請求項1〜4に係る発明は、本件の原出願日前に頒布された甲第1〜6号証の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(3)訂正前の本件請求項1〜4に係る発明は、本件の原出願の出願日前の他の出願であって本件特許出願後に出願公開されたものの出願時の明細書(甲第8号証)に記載された発明と同一であるから(発明者・出願人同一でない。)、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。

[5]刊行物及び先願明細書の記載
異議申立人が提出した甲第1号証、甲第3〜6号証、甲第8号証の刊行物及び先願明細書には次のことが記載されている。
1.刊行物1:特開昭63-63767号公報(特許異議申立人の提出した 甲第1号証)
(1)「2.特許請求の範囲
1.顔料トーナーにおいて、硬化反応促進用触媒を添加したことを特徴とする顔料トーナー組成物。」(公報第1頁左下欄4〜7行)
(2)「実施例1
シーリング材ベース
アルコキシシラン基含有ポリエーテル(鐘淵化学工業(株)製、MSP-20A) ……37% 充填剤:炭酸カルシウム…… ……45% ……
老化防止剤(ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類とベンゾトリアゾール系との混合物) ……0.4% …… …… 上記シーリング材ベースと顔料ペーストを100/7(重量比)にてギヤポンプで圧送(スタティックミキサー)しながら混合する。得られるシーリング材の性状、性能は共に良好で、指触乾燥によりタックフリー(硬化速度)は20℃にて30分であった。」(公報第2頁右下欄13行〜第3頁左上欄末行)
2.「接着」32巻11号(1988年)31〜39頁(特許異議申立人の提出した甲第3号証)
該刊行物には「新しい反応性ポリマーを用いた反応性硬化型粘着剤」と題する新材料に関する紹介文が載せられており、該紹介文には次のことが記載されている。
(1)「最近、日本において反応性シリル官能基を分子鎖末端に有する、一連の新しいタイプの液状ゴム〔メチルジメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシド、商品名「カネカMSポリマー」、「カネカサイリル」、鐘淵化学工業(株)〕が開発された。「MSポリマー」は1成分型および2成分型の高性能弾性シーリング材用のベースポリマーとして、近年使用量が急増している。」(第31頁左欄22行〜28行)
(2)「表1 シリル基末端ポリプロピレンオキシドの種類
ポリマーグレード 官能基 平均分子量 粘度
MSポリマー20A -SiCH3(OCH3 )2 8500 …
… … … …
(CH3O)2CH3Si-CH2CH2CH2O―(―OCH2O―)1-2―
―OCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2 CH3

―m-(―CHCH2O―)n―
MSポリマー:弾性シーリング材用
…」(第31頁右欄20行〜33行)
3.刊行物3:欧州特許出願公開第0397036号明細書(公開日、平成2年11月14日、特許異議申立人の提出した甲第4号証(1)、その記載事項に関しては、上記欧州特許出願公開明細書に対応する特開平3-72527号公報(同甲第4号証(2)を参照。)
該明細書及び公報には次のことが記載されている。
(1)「クレーム

3.複合金属シアン化物錯体触媒の存在下イニシエーターに炭素数3以上のモノエポキサイドを開環付加重合させ、つづいて分子末端の水酸基を不飽和基に変換し、さらに不飽和基に加水分解性基を有するヒドロシリコン化合物を反応させることを特徴とする、加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドの製造法。

10.請求項3項記載の方法で製造された加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドを硬化成分とする湿気硬化性樹脂組成物。」(特許請求の範囲、なお、日本国公報では請求項4と12)
(2)「[従来の技術]
末端に不飽和基を有するポリアルキレンオキシドはそれ単独で硬化反応をおこし、弾性材料として用いる事ができる。又末端不飽和基の反応を利用して加水分解性シリル基などの他の官能基を導入する事によって非常に柔軟な硬化性組成物を得ることもできる。
上記いずれの場合でも、硬化物に柔軟性を持たせるためには、ポリアルキレンオキシドとして高分子量体のものを用いる必要がある。」(公開明細書第2頁第1欄6〜16行、日本国公報では第2頁右上欄7行〜16行)
(3)「このポリアルキレンオキシドの末端基当たりの分子量は、2000以上、特に4000以上が好ましい。また、末端基の数は2〜8、特に2〜6が好ましい。分子量(末端基当たりの分子量×末端基の数)は1.5万〜8万、特に2万〜5万が好ましい。さらに、このポリアルキレンオキシドから誘導される後述の誘導体の硬化特性の面から、末端基の数は2を超えることがより好ましい。即ち、末端基数の2ポリアルキレンオキシドが高分子量となる程硬化物の架橋点間分子量が大きくなるため、硬化物の伸びは大きくなるが強度等の機械的物性が不十分となるおそれがある。従って、末端基数が2を超えるポリアルキレンオキシドを使用することによって架橋点を導入しておくことが好ましい。よって特に、ポリアルキレンオキシドとして2.3〜4の末端基を有するポリアルキレンオキシドが好ましい。」(公開明細書第3頁第4欄17行〜39行、日本国公報では第4頁左上欄最下行〜同頁右上欄17行)
(4)「硬化反応においては、硬化促進触媒を使用してもしなくてもよい。硬化促進触媒としては…オクチル酸錫…等のごときカルボン酸の金属塩:ジブチルアミン-2-エチルヘキソエート等の如きアミン塩:ならびに他の酸性触媒および塩基性触媒を使用しうる。より好ましくは、この触媒を加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドに対し、0.01〜5wt%配合する。」(公開明細書第4頁6欄35行〜45行、日本国公報では第5頁左下欄8行〜17行)
(5)「本発明における加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドには更に必要であれば補強剤、充填剤、可塑剤、タレ止め剤、架橋剤などを含ませてもよい。補強剤としてはカーボンブラック、微粉末シリカなどが、充填剤として炭酸カルシウム、タルク、クレイ、シリカなどが、可塑剤としてはジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルアジペート、塩素化パラフィン及び石油系可塑剤などが、顔料には酸化鉄、酸化クロム、酸化チタンなどの無機顔料及びフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機顔料が、タレ止め剤として有機酸処理炭酸カルシウム、水添ひまし油、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、微粉末シリカなどがあげられる。架橋剤としては、前記ヒドロシランの水素原子が加水分解性基あるいはアルキル基に変換された化合物、例えばメチルトリメトキシシランやテトラエトキシシランがある。」(公開明細書第4頁第6欄46行〜第5頁第7欄10行、日本国公報では第5頁左下欄18行〜右下欄16行)
(6)「本発明の加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドを含む湿気硬化性樹脂組成物は、建造物、航空機、自動車等の被覆組成物およびシーリング組成物またはこれ等の類似物として好適に使用する事ができる。」(公開明細書第5頁第7欄11行〜16行、日本国公報では第5頁右下欄17行〜第6頁左上欄1行)
(7)「(実施例1)
アリルアルコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、片末端不飽和基含有ポリプロピレンオキシドを得た。これにナトリウムメチラートのメタノール溶液を加え、メタノールを除去した後、アリルクロライドを加えて、末端の水酸基を不飽和基に変換した。
得られた不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの数平均分子量並びに分子量分布をGPCにて分析した結果、数平均分子量は11,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。
上記末端がアリル基である不飽和基末端ポリアルキレンオキシド1モルに塩化白金酸の存在下メチルジメトキシシラン2モル反応させ、1分子当たり平均2個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドを得た。得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドの数平均分子量並びに分子量分布をGPCにて分析した結果、数平均分子量は12,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシド100重量部に硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート1重量部を混合し、この組成物を大気に暴露し大気中の水分により硬化させた。硬化物の50%モジュラスは3.5Kg/cm2 、引張り強度は9.0Kg/cm2 、破断伸度は180%であった。
(実施例2)
分子量1,000のジエチレングリコール-プロピレンオキシド付加物を開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリプロピレンジオールを得た。これにナトリウムメチラートのメタノール溶液を加え、メタノールを除去した後、アリルクロリドを加えて両末端の水酸基を不飽和基に変換した。
得られた不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの数平均分子量並びに分子量分布をGPCにて分析した結果、数平均分子量は14,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。
上記末端がアリル基である不飽和基末端ポリアルキレンオキシド1モルに塩化白金酸の存在下メチルジメトキシシラン2モル反応させて、1分子当たり平均2個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドを得た。得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドの数平均分子量並びに分子量分布をGPCにて分析した結果、数平均分子量は15,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。
得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシド100重量部に硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート1重量部を混合し、この組成物を大気に暴露し大気中の水分により硬化させた。硬化物の50%モジュラスは2.8Kg/cm2、引張り強度は8.5Kg/cm2、破断伸度は260%であった。
(実施例3)
分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として……得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドの数平均分子量並びに分子量分布をGPCにて分析した結果、数平均分子量は25000、分子量分布(Mw/Mn)は1.20であった。
得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシド100重量部に硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート1重量部を混合し、この組成物を大気に暴露し大気中の水分により硬化させた。硬化物の50%モジュラスは1.3Kg/cm2、引張り強度は9.2Kg/cm2、破断伸度は240%であった。
(実施例4)
分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として … 得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドの数平均分子量並びに分子量分布をGPCにて分析した結果、数平均分子量は25,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.20であった。
得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシド100重量部に硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート1重量部を混合し、この組成物を大気に暴露し大気中の水分により硬化させた。硬化物の50%モジュラスは2.1Kg/cm2、引張り強度は10.3Kg/cm2、破断伸度は210%であった。
(実施例5)
分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として … 得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドの数平均分子量並びに分子量分布をGPCにて分析した結果、数平均分子量は35,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.23であった。
得られた加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシド100重量部に硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート1重量部を混合し、この組成物を大気に暴露し大気中の水分により硬化させた。硬化物の50%モジュラスは0.8Kg/cm2、引張り強度は7.8Kg/cm2、破断伸度は280%であった。」(公開明細書第5頁7欄24行〜第7頁11欄5行、日本国公報では第6頁左上欄6行〜第7頁右下欄16行)
(8)「[発明の効果]
以上示した様に、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて重合したポリアルキレンオキシドを用いることによって末端不飽和基を有する高分子量で分子量分布の狭いポリアルキレンオキシドを簡便で実用的な方法で得られることが本発明によって明らかとなった。また、この不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの不飽和基を加水分解性基シリル基に変換することにより、水分の存在下に硬化しうる硬化性樹脂が得られる。この硬化性樹脂の硬化物は優れた物性を有し、シーリング剤等として有用である」(公開明細書第7頁11欄6行〜11行、日本国公報では第7頁右下欄17行〜第8頁左上欄8行)。
4.刊行物4:特開平1-146959号公報(特許異議申立人の提出した甲第5号証)
(1)「2.特許請求の範囲
1.分子中に少なくとも1個の活性珪素官能基を有する化合物(a)と空気硬化性化合物(b)と硬化触媒(C)からなることを特徴とする硬化性組成物。
2.(b)が乾性油または乾性油の誘導体である特許請求の範囲第1項記載の組成物。」(第1頁左下欄4行〜9行)
(2)「分子中に少なくとも1個の活性珪素官能基を有する化合物(a)において活性珪素官能基としては珪素原子に結合したアルコキシ基(…)…などの湿分存在下で架橋可能な基があげられる。具体的な化合物としては、…例えば、末端にシリルエーテル基として
CH3

(CH3O)2―Si―CH2―CH2―CH2―O―
……
などのシリルエーテル基を有するオキシプロピレン重合体及び…などがあげられる。」(第1頁右下欄18行〜第2頁右上欄11行)
(3)「本発明の組成物は、その成分として必要に応じて可塑剤、顔料、溶剤、増量剤、老化防止剤などが配合される。」(第2頁左下欄3〜5行)
(4)「老化防止剤としては、ヒンダードアミン系[4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(三共製サノールLS-744)など]、ヒンダードフェノール系、[オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(日本チバガイギー製イルガノックス1076)など]、ベンゾフェノン系(…)…などがあげられる。」(第2頁右下欄5〜14行)
(5)「[実施例]
………
1.分子中に少なくとも1個の活性珪素官能基を有する化合物(a)
……
MS-3:製造法3による化合物
……
(製造法-3)
充分乾燥された反応缶に、PP-3000 100部、HDI 3.7部およびDTD 0.01部を仕込み、反応温度100℃にて約6時間反応し、末端水酸基を有するウレタンプレポリマーを得た。次いでγ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン 5.5部を仕込み、反応温度80℃にて1時間反応し、活性珪素官能基を有する化合物を得た。
2.空気硬化性化合物(b)

S-2:アマニ油

3.成分(A)
表-1に示す(a)および(b)を使用し製造法-4に従って(A)(A-1〜A-6)を得た。
表1(抜粋)
成分(A) (a) (b)
… … …
A-6 MS-3 S-2
……
(製造法-4)

サノールLS-744 1部およびイルガノックス1076 1部を仕込み、混練りし、A-1〜A-6を得た。
4.硬化剤(B)
……
実施例 1〜8
表-2に示す(A)、(B)及びその配合比(重量比)に従って本発明の硬化性組成物(実施例1〜8)を得た。その硬化性組成物を規定配合比に従って配合し20℃で硬化させシート状硬化物を得、表面残存タックを評価した。その結果を表-4に示す。
……
表2
実施例 成分(A) 硬化剤(B) 配合比(A):(B)
… … … …
実施例6 A-6 B-1 100:1
… … … …
……
表-4
実施例および比較例 表面残存タック
… …
6 0.05
…」(第3頁右上欄6行〜第5頁左上欄)
(6)「[発明の効果]
本発明の硬化性組成物は防汚染性が優れたものである。…。
上記効果を奏することから本発明の硬化性組成物は、シーラント、…などの用途として有用である。」(第5頁右上欄1〜8行)
5.刊行物5:特開平2-142850号公報(特許異議申立人の提出した甲第6号証)
(1)「特許請求の範囲
1.(A)分子鎖末端に加水分解性シリコン官能基を有する分子量が約1000〜約30000のポリアルキレンエーテル100重量部、
(B)分子量が約500〜約5000のポリオキシアルキレンモノエーテル10〜100重量部、
(C)充填剤5〜300重量部、
(D)硬化触媒0.1〜10重量部
からなることを特徴とする室温硬化性組成物。」(公報第1頁左下欄3〜11行)
(2)「実施例1〜4
分子鎖末端にメトキシシリル基及び基
CH3

(CH3O)2―Si―(―CH2―)2―を有する平均分子量約8000のポリプロピレンエーテル100部に、下記第1表に示す部数の、…及びヒンダードアミン系光安定剤を加え……実施例1〜4の組成物(硬化物)を調整した。
第1表中の充填剤、揺変剤及び安定剤は、具体的には以下の通りである。

サノールLS-770:ヒンダードアミン系光安定剤、三共株式会社製
」(公報第5頁左上欄6行〜同頁右上欄12行)
(3)「実施例5〜8
分子鎖末端にメトキシシリル基及び基
CH3

(CH3O)2―Si―(―CH2―)2―を有する平均分子量約10000のポリプロピレンエーテル100部に、第2表に示す部数の、…及びヒンダードアミン系光安定剤を加え…第2表に示す部数の…を硬化触媒として加え…実施例5〜8の組成物(硬化物)を調整した。
実施例5〜8の組成物を用いて実施例1〜4の組成物と同様の試験を行い、その結果を第2表に示す。
第2表中の充填剤、揺変剤及び安定剤は、具体的には以下の通りである。……
チヌビン327:ヒンダードフェノール系紫外線吸収剤、日本チバガイギー株式会社製
比較例3〜4
実施例5〜8で使用したものと同じ、加水分解性シリコン官能基を有するポリプロピレンエーテル100部に対し、第2表に示す部数の…、ヒンダードアミン系光安定剤及びヒンダードフェノール系紫外線吸収剤を加え、…比較例3〜4の組成物(硬化物)を調製した。
比較例3〜4の組成物を用いて実施例1〜4の組成物と同様の試験を行い、その結果を第2表に併せて示す。
第2表(抜粋)
実施例5………実施例8 比較例3 比較例4 … … … … …
安定剤
サノールLS-770 1 1 1 1
チヌビン327 1 1 1 1
… … … … …
」(公報第6頁左下欄1行〜第7頁右上欄)
6.先願明細書:特願平2-110588号(特開平4-8728号公報参照)(特許異議申立人の提出した甲第8号証)
(1)「比較例2
水酸基価11.2mgKOH/g、総不飽和度0.020meq/gであるポリオキシプロピレンジオールについて、比較例1に記載の方法で末端オレフィン基を導入し、さらに末端にシリル基を導入し、加水分解性シリル基末端重合体5を得た。以上の加水分解性シリル基末端重合体1〜5について硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート1wt%および安定剤c)2wt%を加えて約0.5mm厚のシートを作成し、その物性および耐久性を測定した。結果を表1にまとめる。
表1(省略)

c)日本チバガイキー社製TINUVIN B-5353
… 」(公報第5頁左下欄8行〜第6頁6行)
[6]特許法第29条第1項第3号について
1.本件発明1について
本件発明1と刊行物1に記載された発明を対比する。
刊行物1に記載された発明は、アルコキシシラン基含有ポリエーテル(鐘淵化学工業(株)製、MSP-20A)にヒンダードフェノール類とヒンダードアミン類の混合物を含む老化防止剤を配合するものである(1.(2))。
しかし、該MSP-20Aは、特許異議申立人の提出した甲第2号証〔特開平4-114319号に対する拒絶理由通知に対して出願人により提出された平成11年2月15日付提出に係る意見書及び平成11年2月23日に提出された手続補足書〕によれば、Mw/Mn=1.7あるいは1.6であるから、この点で本件発明1のMw/Mnが1.5以下のものと相違するばかりでなく、刊行物2の表1によれば、MSポリマー20Aは官能基が-SiCH3(OCH3)2で数平均分子量が7,500であり(2.(2))、該表1のシリル基末端ポリプロピレンオキシドの一般式(2.(2))から、窒素原子を有していないので、本件発明1で規定する「末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるオキシプロピレン重合体」とは異なる化学構造の重合体であると認められる。
してみれば、これらの点で刊行物1記載の重合体は本件発明1と相違するから、本件発明1が刊行物1に記載された発明であるとは言えない。
2.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1に対し更に「(A)成分の重合体の数平均分子量が6,000〜30,000である」という要件を付加したものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2は刊行物1に記載された発明ではない。
3.本件発明3について
本件発明3は、同1又は2に対し更に「(A)成分の重合体においてケイ素原子含有基が分子鎖末端に存在する」という要件を付加したものであるから、本件発明1及び2と同様の理由により、本件発明3は刊行物1記載された発明ではない。
[7]特許法第29条第2項について
1.本件発明1について
刊行物1の実施例1には、アルコキシシラン基含有ポリエーテルにヒンダードフェノール類とヒンダードアミン類の混合物を含む老化防止剤配合の組成物が記載されており(1.(2))、その点では本件発明1と共通する。
しかし、[6]1.でも述べたように、刊行物1には、そこで使用される重合体成分が(イ)末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得たものであること及び(ロ)Mw/Mnが1.5以下であることの2点が記載されていない点で、本件発明1と相違する。
刊行物3には、加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドを重合体成分として含有する硬化性組成物が記載されており(3.(1))、その点では本件発明1と共通し、また、該重合体成分が具体的にはプロピレンオキシドを重合したもので分子量6,000以上で且つMw/Mnが1.5以下のものであることもその実施例(3.(7))に記載されており、この点でも本件発明1のものと異なるものではない。
しかし、刊行物3には、(イ)該重合体成分が末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得たものであること及び(ハ)安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸化防止剤を使用することが記載されていない〔刊行物3において添加剤について言及した(3.(5))には安定剤については何の記載もされていない。〕点で、本件発明1と相違している。
刊行物4の実施例6には、活性珪素基を有する化合物であるMS-3にヒンダードアミン系老化防止剤であるサノールLS-744とヒンダードフェノール系老化防止剤であるイルガノックスを混練りして組成物とすることが記載されており(4.(5)特に(製造法-4)の記載)、該組成物と本件発明1の組成物とは、活性珪素基を有する化合物とヒンダードアミン系の安定剤とヒンダードフェノール系安定剤を含有する組成物である点で共通していると言える。
しかし、刊行物4のMS-3は以下に述べるように本件発明1の(A)で規定するポリオキシプロピレン重合体とは相違するものである。
MS-3は、(製造法-3)によれば、PP(ポリプロピレンポリオール)にHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を反応させ、末端水酸基基を有するプレポリマーを得て、これにγーイソシアネートプロピルトリメトキシシランを反応させて製造するのであるから、末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる本件発明1の製造法とは製法的に異なるばかりでなく、得られたものの化学構造も異なるものである(刊行物4のものはヘキサメチレンジイソシアネートの残基を化学構造中に有する)。
そして、刊行物4には、活性珪素官能基含有ポリオキシプロピレンのMw/Mnについては何の記載もされていない。
してみれば、刊行物4記載には、そこで使用される重合体成分が(イ)末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得たものであること及び(ロ)Mw/Mnが1.5以下であることの2点が少なくとも記載されていない点で、本件発明1と相違している。
刊行物5には、加水分解性シリコン官能基を有するポリプロピレンエーテルにヒンダードアミン系光安定剤であるサノールLS-770とヒンダードフェノール系紫外線吸収剤であるチヌビン327を添加配合した組成物が記載されており(5.(2)(3))、その点では本件発明1と共通するところがある。
しかし、刊行物5には、そこで使用される重合体成分が(イ)末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得たものであること及び(ロ)Mw/Mnが1.5以下であることの2点が少なくとも記載されていない点で、本件発明1と相違している。
以上のことを纏めると、刊行物1、4及び5には、そこで使用される重合体成分が(イ)末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得たものであること及び(ロ)Mw/Mnが1.5以下であることの2点が少なくとも記載されていない点で、本件発明1と相違している。
一方刊行物3には、(イ)重合体成分が末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得たものであること及び(ハ)安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸化防止剤を使用することが記載されていない点で、本件発明1と相違している。
してみれば、これ等の刊行物1、3〜5には、重合体成分についての本件発明1の要件である(イ)重合体成分が末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得たものであることについては全く記載されていないし、また、これ等の刊行物1、2〜5には、本件発明1の目的とする耐候性については何の記載もされていない。
そうであれば、刊行物1、4及び5の記載と、刊行物3の記載を合わせて考えても、末端に水酸基を有するオキシプロピレンとイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得た重合体の耐候性を向上させようとすることが容易に想到し得たものと言うことはできない。
その他、刊行物2には、「カネカMSポリマーA」が数平均分子量が7,500で末端官能基が-SiCH3(OCH3)2であることが記載されており(2.(2))、また、特許異議申立人が提出した甲第2号証(これは特願平4-114319号に対する拒絶理由通知に対して出願人より提出された平成11年2月15日付け提出に係る意見書及び平成11年2月23日に提出された手続補足書である。)には、「カネカMSポリマー20A」の分子量が8500〜9000でMw/Mnが1.7であること、がそれぞれ記載されてはいる。
しかし、刊行物2及び甲第2号証は、カネカMSポリマーと言う商品名で記載された重合体についてその分子量、Mw/Mn、末端基の化学構造を単に示すに留まり〔このポリマーは本件発明1の(イ)末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させて得た重合体とは異なるものである。〕、本件発明1の進歩性を論ずる上で、先の刊行物1,3〜5記載のもの以上のものを何等提供するものではない。
してみれば、本件発明1の構成そのものが、刊行物1〜5及び甲第2号証などの記載を全て併せてもそれらに基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。
また、特許異議申立人の提出した甲第7号証は、本件明細書の実施例1、比較例1相当品(例2、例4)について耐候性試験の追試を行うと共に、同時に酸化防止剤を含まないそれらの相当品(例2、例4)についても耐候性試験を行った実験報告書であり、その結果に基づいてMw/Mnの違いによって、酸化防止剤の添加による耐候性の向上の効果には差が見られない旨、特許異議申立人は主張する。
しかし、この例1〜4の実験に供した重合体はポリオキシプロピレントリオールの末端をアリル化した後それにジメトキシメチルシランを付加反応させたものであり(本件明細書の合成例1相当品)、本件発明1の末端水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基及び反応性ケイ素基を含有する化合物を反応させて得たものとは異なるものである。
したがって、この追試実験の結果をもって、本件発明1がMw/Mnの違いによる効果を奏しないと結論付けることは適当であるとは言えない。
してみれば本件発明1は、異議申立人の提出した甲第1〜7号証の記載をすべて考慮しても、刊行物1〜5及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものではない。
2.本件発明2について
本件発明2は、同1に対し更に「(A)成分の重合体の数平均分子量が6,000〜30,000である」という要件を付加したものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2も刊行物1〜5及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものではない。
3.本件発明3について
本件発明3は、同1又は2に対し更に「(A)成分の重合体においてケイ素原子含有基が分子鎖末端に存在する」という要件を付加したものであるから、本件発明1及び2と同様の理由により、本件発明3も刊行物1〜5及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものではない。
[8]特許法第29条の2について
特許異議申立人は、先願明細書(甲第8号証)の比較例2記載の重合体は甲第9号証の追試実験によれば分子量Mn=13229、Mw/Mn=1.157であり、その重合体に添加される安定剤C(日本チバガイギー(株)TINUBINNB5353)は甲第10〜12号証によればヒンダードフェノールとヒンダードアミンの混合物である旨、主張する。
特許異議申立人の提出した甲第9号証は先願明細書の比較例2を追試した実験報告書であり、それによれば数平均分子量は13,229であり、Mw/Mnは1.157とのことである(6.(1))。
特許異議申立人の提出した甲第10号証はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のTINUVIN(R)B5353に関する報告書であるが、それには「TINUVIN(R)B5353」の組成はビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物(TINUVIN(R)765)とトリエチレングリコール-ビス{3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX(R)245)}を各40%と20%含むものであることが記載されている。
特許異議申立人の提出した甲第11号証はTINUVINB5353の製品安全データーシートであり、TINUVIN765がビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートであること、及び、IRGANOX245がトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であることが記載されている。
特許異議申立人の提出した甲第12号証は1990年1月に印刷されたチバ・ガイギー社の添加剤カタログであり、TINUVIN B 5353が紫外線吸収剤、ヒンダードアミン、酸化防止剤のミックスチャーであることが記載されている。
しかし、先願明細書(甲第8号証)の比較例2の重合体はポリオキシプロピレンジオールに比較例1記載の方法でオレフィン基を導入し、さらに末端にシリル基を導入したものであるから、本件発明1の末端水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基及び反応性ケイ素基を含有する化合物を反応させて得たものとは別異のものであり、甲第9〜12号証にかかわらず、先願明細書に記載された発明を本件発明1と同一発明とすることはできない。
2.本件発明2について
本件発明2は、同1に対し更に「(A)成分の重合体の数平均分子量が6,000〜30,000である」という要件を付加したものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2は先願明細書に記載された発明と同一ではない。
3.本件発明3について
本件発明3は、同1又は2に対し更に「(A)成分の重合体においてケイ素原子含有基が分子鎖末端に存在する」という要件を付加したものであるから、本件発明1及び2と同様の理由により、本件発明3は先願明細書に記載された発明と同一ではない。
[9].むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
硬化性組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)重合体主鎖が
【化1】

で示される繰返し単位からなり、水酸基又は加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、Mw/Mnが1.5以下で数平均分子量が6,000以上である末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるオキシプロピレン重合体、及び(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびヒンダードアミン系酸化防止剤を含有する硬化性組成物。
【請求項2】 (A)成分の重合体の数平均分子量が6,000〜30,000である請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】 (A)成分の重合体においてケイ素原子含有基が分子鎖末端に存在する請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応性ケイ素基を含有するオキシプロピレン重合体、及びヒンダードフェノール系および/またはヒンダードアミン系の酸化防止剤を含有する新規な硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
反応性ケイ素基(水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基であって、シロキサン結合を形成し得る基)を有するオキシプロピレン重合体は、液状の重合体となり得るもので湿分等により室温で硬化してゴム状硬化物を生じる。このため、この重合体は建築物の弾性シーラント等に用いられている。この重合体の使用に際しては、硬化物の耐候性や耐熱性などを改善するために酸化防止剤を添加した組成物として用いられることがある。
【0003】
本発明者らは、耐候性の優れた反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン重合体を含有する硬化性組成物の検討を行なった結果、オキシプロピレン重合体として分子量分布の狭いものを用いると、さらに耐候性や耐熱性が改善されることを見出だし本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明の硬化性組成物は、(A)重合体主鎖が
【化2】

で示される繰返し単位からなり、水酸基又は加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基(反応性ケイ素基)を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5以下で数平均分子量(Mn)が6,000以上である末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法で得られるオキシプロピレン重合体、及び(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびヒンダードアミン系酸化防止剤(以下、単に「酸化防止剤」ともいう)を含有してなる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明でいう反応性ケイ素基は特に限定されるものではないが、代表的なものを示すと、例えば、下記一般式、化3で表わされる基が挙げられる。
【0006】
【化3】

[式中、R1およびR2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)3SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。また、m個の
【化4】

におけるbは異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。但し、a+Σ b≧1を満足するものとする。]。
【0007】
上記Xで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメ-ト基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメ-ト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましいが、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からメトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
【0008】
この加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σ b)は1〜5であるのが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0009】
反応性ケイ素基中に、ケイ素原子は1個あってもよく、2個以上あってもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された反応性ケイ素基の場合には、20個程度あってもよい。
【0010】
なお、下記一般式、化5で表わされる反応性ケイ素基が、入手容易の点からは好ましい。
【0011】
【化5】

(式中、R2、X、aは前記と同じ。)。
【0012】
また、上記一般式、化3におけるR1およびR2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリ-ル基、ベンジル基などのアラルキル基、R´がメチル基やフェニル基などである(R´)3SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。R1、R2、R´としてはメチル基が特に好ましい。
【0013】
反応性ケイ素基はオキシプロピレン重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。重合体1分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。
【0014】
反応性ケイ素基はオキシプロピレン重合体分子鎖の末端に存在してもよく、内部に存在してもよい。反応性ケイ素基が分子鎖の末端に存在すると、最終的に形成される硬化物に含まれるオキシプロピレン重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
【0015】
本発明に使用される(A)成分における重合体主鎖を構成するオキシプロピレン重合体は、
【化6】

で示される繰返し単位からなるものである。このオキシプロピレン重合体は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、あるいは、これらの混合物であってもよい。
【0016】
このオキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)としては6,000以上のものが有効に使用されうるが、好ましくは、6,000〜30,000の数平均分子量を有するものがよい。さらに、このオキシプロピレン重合体においては、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.6以下であり、極めて分子量分布が狭い(単分散性が大きい)。Mw/Mnの値は好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.4以下である。分子量分布は、各種の方法で測定可能であるが、通常ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法での測定が一般的である。このように数平均分子量が大きいにもかかわらず分子量分布が狭いので、本発明の組成物は、硬化前においては粘度が低く取扱いが容易であり、硬化後においては良好なゴム状弾性挙動を示す。
【0017】
本発明の(A)成分である反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン重合体は、官能基を有するオキシプロピレン重合体に反応性ケイ素基を導入することによって得るのが好ましい。
【0018】
高分子量で分子量分布が狭く、官能基を有するオキシプロピレン重合体は、オキシプロピレンの通常の重合法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)やこの重合体を原料とした鎖延長反応方法によって得ることはきわめて困難であるが、特殊な重合法である特開昭61-197631号、特開昭61-215622号、特開昭61-215623号、特開昭61-218632号、特公昭46-27250号および特公昭59-15336号などに記載された方法により得ることができる。なお、反応性ケイ素基を導入すると、分子量分布は導入前の重合体に比較し広がる傾向にあるので、導入前の重合体の分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。
【0019】
反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行なえばよい。すなわち、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0020】
(1)末端に水酸基等の官能基を有するオキシプロピレン重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
【0021】
(2)末端に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基(以下、Y官能基という)を有するオキシプロピレン重合体に、このY官能基に対して反応性を示す官能基(以下、Y´官能基という)及び反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
【0022】
このY´官能基を有するケイ素化合物としては、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのようなアミノ基含有シラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのようなメルカプト基含有シラン類;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのようなエポキシシラン類;ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどのようなビニル型不飽和基含有シラン類;γ-クロロプロピルトリメトキシシランなどのような塩素原子含有シラン類;γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランなどのようなイソシアネート含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシランなどのようなハイドロシラン類などが具体的に例示されうるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
以上の方法のなかで、(1)の方法、または(2)のうち末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法、が好ましい。
【0024】
(B)成分である酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系のものである。これらの具体例としては、大成社発行の『酸化防止剤ハンドブック』、シーエムシー(株)発行の『高分子材料の劣化と安定化』(第235〜242頁)等に記載されている種々のものが挙げられるが、これらによって限定されるものではない。
【0025】
すなわち、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(α-メチルベンジル)フェノール、2,2´-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2´-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4´-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4´-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N´-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾール、N,N´-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2´-ヒドロキシ-5´-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート-ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、アデカアーガス(株)製であるMark AO-30、Mark AO-80;Ciba Geigy(株)製であるIrganoxMD 1024、Irganox 1425、Irganox 245、
【化7】

S.F.O.S(株)製であるAntioxidant HPM-12;Schenectady(株)製であるIsonox 129;住友化学(株)製であるSamilizerGM、SumilizerGA-80、
【化8】

Uniroyal(株)製であるNaugardXL-1;その他、
【化9】

などが挙げられる。
【0026】
また、ヒンダードアミン系の酸化防止剤としては、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、N,N´-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリディニル)エステル、Ciba Geigy(株)製であるIrgafos 168;Sandoz(株)製であるSandstab P-EPQ;ACC(株)製であるCyanox 1790;Borg Warner(株)製であるUltranox 626;アデカアーガス(株)製であるMark PEP-36;住友化学(株)製である
【化10】

などが挙げられる。
【0027】
上記酸化防止剤の使用量としては特に限定はないが、(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100重量部(以下、単に「部」という)に対して、0.01〜10部であるのが好ましく、0.1〜5部であるのがさらに好ましい。酸化防止剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。特に、ヒンダードフェノール系のものとヒンダードアミン系のものとを混合して用いるのが好ましい。
【0028】
本発明の組成物を硬化させるにあたっては、硬化触媒を使用してもしなくてもよい。硬化触媒を使用する場合には、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル類;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどのスズカルボン酸塩類;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジブチルスズジアセチルアセトナート;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン-7(DBU)などのアミン系化合物、あるいはこれらアミン系化合物のカルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤;などのシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒などの公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0029】
これらの硬化触媒の使用量は、反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100部に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部程度が更に好ましい。反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体に対して硬化触媒の使用量が少なすぎると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなるので、好ましくない。一方、反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体に対して硬化触媒の使用量が多すぎると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなるので好ましくない。
【0030】
反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体は、種々の充填剤を混入する事により変性しうる。充填剤としては、フユームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、水添ヒマシ油およびシラスバルーンなどの如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤が例示される。
【0031】
これら充填剤で強度の高い硬化組成物を得たい場合には、主にフユームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華などから選ばれる充填剤を反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100部に対し、1〜100部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で伸びが大である硬化組成物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーンなどから選ばれる充填剤を反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100部に対し5〜200部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。もちろんこれら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
【0032】
本発明の硬化性組成物においては、可塑剤を充填剤と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填剤を混入できたりするのでより有効である。この可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどの如きフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの如き脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどの如きグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの如き脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどの如きリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどの如きエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体などのポリエーテル類;ポリ-α-メチルスチレン、ポリスチレンなどのポリスチレン類;ポリブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、塩素化パラフィン類などの可塑剤が単独又は2種類以上の混合物の形で任意に使用できる。可塑剤量は、反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100部に対し、0〜100部の範囲で使用すると好ましい結果が得られる。
【0033】
本発明の硬化性組成物の調整法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサーやロールやニーダーなどを用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法が採用されうる。また、これら成分を適当に組合わせることにより、1液型や2液型の配合物をつくり使用することもできる。
【0034】
本発明の硬化性組成物は、大気中に暴露されると水分の作用により、三次元的に網状組織を形成し、ゴム状弾性を有する固体へと硬化する。
【0035】
本発明の硬化性組成物を使用するに際しては、更に、必要に応じて、接着性改良剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、滑剤、顔料、発泡剤などの各種添加剤を適宜添加することが可能である。
【0036】
本発明の硬化性組成物は弾性シーラントとして特に有用であり、建造物、船舶、自動車、道路などの密封剤として使用しうる。更に、単独あるいはプライマーの助けをかりてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如き広範囲の基質に密着しうるので、種々のタイプの密封組成物および接着組成物としても使用可能である。更に、食品包装材料、注型ゴム材料、型取り用材料、塗料としても有用である。
【0037】
【発明の効果】
本発明の組成物は、(A)成分として分子量分布の広い重合体を用いた組成物に比較して、硬化物の耐候性や耐熱性が優れたものになる。
【0038】
なお、本発明の硬化性組成物において(A)成分として使用される反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体は、数平均分子量が大きいにもかかわらず分子量分布が狭い。従って、本発明の組成物は、硬化前においては、同一分子量で分子量分布の広い従来の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体を含有する組成物と比べて粘度が低く取扱いが容易である。
【0039】
このように硬化前の粘度が低いので、作業性が良いだけでなく、多量の充填剤を配合できて優れた室温硬化性組成物を得ることができる。
【0040】
さらに、耐酸性などの耐薬品性が予想外に大幅に改善され、耐水性も優れている。
【0041】
【実施例】
本発明をより一層明らかにするために、以下に実施例を掲げる。
【0042】
合成例1(参考)
1.5リットル耐圧ガラス製反応容器に分子量15,000のポリオキシプロピレントリオール(Mw/Mn=1.38、粘度89ポイズ)401g(0.081当量)を仕込み、窒素雰囲気下にした。
【0043】
137℃で、滴下漏斗からナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液19.1g(0.099当量)を滴下し、5時間反応させた後、減圧脱揮した。窒素雰囲気下にもどし塩化アリル9.0g(0.118当量)を滴下、1.5時間反応させた後、さらにナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液5.6g(0.029当量)と塩化アリル2.7g(0.035当量)を用いてアリル化をおこなった。
【0044】
この反応物をヘキサンに溶かしケイ酸アルミニウムで吸着処理した後、ヘキサンを減圧除去すると311gの黄色透明なポリマーが得られた(粘度68ポイズ)。
【0045】
このポリマー270g(0.065当量)を耐圧ガラス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下にした。塩化白金酸の触媒溶液(H2PtCl6・6H2O25gをイソプロピルアルコール500gに溶かした溶液)0.075mlを添加後、30分撹拌した。ジメトキシメチルシラン6.24g(0.059当量)を滴下漏斗より加え、90℃で4時間反応させた後、脱揮すると260gの黄色透明なポリマーが得られた。
【0046】
合成例2
撹拌機付きフラスコに数平均分子量15,000のポリオキシプロピレントリオール(Mw/Mn=1.38、粘度89ポイズ)220g(0.0447当量)とジラウリン酸ジブチルスズ0.02gを仕込み、窒素雰囲気下でγ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン8.45g(0.0447当量)を室温で滴下した。滴下終了後、75℃で1.5時間反応させた。IRスペクトルを測定し、2280cm-1付近のNCO吸収の消失と1730cm-1付近のC=O吸収の生成を確認した後、反応を終了させた。213gの無色透明のポリマーが得られた。
【0047】
比較合成例1
数平均分子量が3,000のポリオキシプロピレングリコール420gと数平均分子量が3,000のポリオキシプロピレントリオール80gとを、窒素置換された耐圧ガラス製反応容器に仕込んだ。水酸化ナトリウム40gを加え、60℃で13時間反応させた後、ブロモクロルメタン19gを60℃で10時間反応させた。(得られたポリマーのMw/Mnは2.1であり、粘度は385ポイズであった。)
続いて、塩化アリル15gを加え36時間反応をおこなった。反応終了後、減圧にして揮発物質を除去した。
【0048】
内容物をビーカーにとり出しヘキサンに溶かした。ケイ酸アルミニウムで吸着処理した後、ヘキサンを減圧除去した。
【0049】
このポリマー500gを窒素置換された反応容器に仕込み、塩化白金酸の触媒溶液(H2PtCl6・6H2O25gをイソプロピルアルコール500gに溶かした溶液)0.03gを添加した後、ジメトキシメチルシラン12gを加えて80℃で4時間反応させた。反応終了後、減圧にして揮発物質を除去すると淡黄色透明なポリマーが550g得られた。
【0050】
合成例1、2および比較合成例1で得られたポリマーの粘度をB型粘度計(BMタイプローターNo.4、12rpm)を用いて、23℃で測定した。また、各ポリマーの数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)をGPCにより分析した。GPCは、ポリスチレンゲル(東ソー株式会社製)を充填したカラムに留出溶媒としてテトラヒドロフランを用いて、オーブン温度40℃で分析した。その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例1(参考)および比較例1
合成例1あるいは比較合成例1で得られたポリマー100部に対し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として大内新興化学工業(株)製のNOCRAC SPを1部、CIBA-GEIGY(株)製のTINUVIN327を1部、及びヒンダードアミン系酸化防止剤として三共(株)製のサノールLS770を1部、硬化触媒としてオクチル酸スズ3部、ラウリルアミン0.5部を加え、均一に混練した。得られた組成物のうち、実施例1の組成物(合成例1のポリマーを用いたもの)は、比較例1の組成物(比較合成例1のポリマーを用いたもの)と比べて粘度が低く、取扱いが容易であった。
【0053】
これらの組成物を用いて、厚さ3mmのシートを作成した後、23℃で2日間、さらに50℃で3日間養生した。サンシャインWOMにより、この硬化組成物の評価を行なったところ、実施例1の組成物は、720時間後に表面が少し溶解した。一方、比較例1の組成物は480時間後に表面が少し溶解した。
【0054】
参考例
合成例1あるいは比較合成例1で得られたポリマー100部に対して、オクチル酸スズ3部、ラウリルアミン0.5部を加え、均一に混練した。
【0055】
これらの組成物を用いて、厚さ3mmのシートを作成した後、23℃で2日間、さらに50℃で3日間養生した。サンシャインWOMにより、この硬化組成物の評価を行なったところ、いずれも72時間後に表面が少し溶解した。
【0056】
実施例2
合成例1で得られたポリマーに代えて、合成例2で得られたポリマーを用い、実施例1と同様に硬化性組成物を得た。この組成物の硬化物は、実施例1のものと同様の優れた耐候性を有していた。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-10-13 
出願番号 特願2000-174700(P2000-174700)
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C08L)
P 1 651・ 121- YA (C08L)
P 1 651・ 161- YA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 ▲吉▼澤 英一  
特許庁審判長 松井 佳章
特許庁審判官 船岡 嘉彦
佐野 整博
登録日 2002-05-10 
登録番号 特許第3304956号(P3304956)
権利者 鐘淵化学工業株式会社
発明の名称 硬化性組成物  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 石川 祐子  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 橋本 良郎  
代理人 内田 明  
代理人 萩原 亮一  
代理人 橋本 良郎  
代理人 渡部 崇  
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