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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23F
管理番号 1109606
異議申立番号 異議2003-73327  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-25 
確定日 2004-12-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第3453621号「製茶揉機」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3453621号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 1.本件発明
特許第3453621号の請求項1ないし2に係る発明(以下、「本件発明1及び2」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】機枠に対し固定状態に設けられる半円筒状の揉胴と、その上方に連接される上部が開口した攪散胴とから成る固定胴を具え、この固定胴内に揉手とさらい手とのいずれか一方または双方を取り付けた回転軸を設けた製茶装置において、
前記機枠または固定胴のいずれか一方または双方には、前記拡散胴上端の開口から揉胴内部を目視できる高さにまで目の位置を届かせることのできる複数段の点検用ステップが、前記機枠または固定胴に具えられていることを特徴とする製茶揉機。
【請求項2】前記点検用ステップは、折り畳み自在であることを特徴とする請求項1記載の製茶揉機。」

2.引用刊行物記載の発明
先の取消理由通知において引用した刊行物2(特公平2ー17141号公報)には、製茶揉装置に関し「第1図に示すものは一例としてこのものを中揉機1に適用した場合を示すものである。この中揉機1は適宜の機枠Fに支持された揉胴2内で加工を行うものであって、揉胴2の底部寄りの円胴状部内側に竹ダクを敷き並べて揉盤3を形成するとともに揉胴2の内部を揉室4とするものである。そしてその上方寄り側部等に扉5を具えた開口6を適宜の個所に設け、点検及び茶葉Tの投入口等として利用する。・・・・・〔中略〕・・・・・この実施例では揉胴2は固定されたタイプのものである。このような揉胴2の揉室4の内部において、揉手A、A′が旋回するものであって、これを含む諸部材について説明する。前記揉室4の中央にはその長手方向に沿って回転軸10が設けられ、適宜のモータによって駆動されて毎分数10回程度の速度で回転する。そしてこの回転軸10に対して何本かまとまった揉手A、A′が複数群取り付けられるものであって、・・・・・」(2頁4欄10行〜34行)、「尚、符号25はこれら各群の揉手が設けられる位置に更に位相を異ならせて設けたさらい手である。」(3頁6欄13行〜15行)、及び「例えば第1図に示した中揉機1を例にとると、加工途中の茶葉Tが投入され、常法に従い揉手Aの旋回が揉室4内で行われると茶葉Tは揉手Aと揉盤3との間に挟み込まれるようになって揉み込みがなされ、茶葉T内部の水分が揉み出されるとともに、ヒータ7から供給される熱風によって表面に揉み出された水分が逐次乾燥蒸発させられるようになり、乾燥作用がなされていく。そしてこのとき本発明にあっては従来型の揉手A´の組が一次揉込をした後、その直後に再び揉手Aの組が二次揉込するものであり、回転軸10の一回転当たり(一サイクル当たり)二次にわたる揉み込みがなされる。」(3頁6欄18行〜30行)と記載され、さらに、第1ないし3図には、揉胴2が半円筒状の形状を有し、該揉胴2の上方に上部が開口した箱状スペースの胴(攪散胴)が連接され、かつさらい手25が回転軸10に取り付けられて成る中揉機が示されている。
また、先の取消理由通知において引用した刊行物3(第11回全国製茶機械見本市出品者名簿、昭和61年10月18・19日/浜松市総合産業展示館、昭和61年10月18日発行)の製品カタログには、HKシステム粗揉機を撮した写真が掲載され、そこには3段のステップ(踏段)を有する梯子を機枠に取り付けてなるHKシステム粗揉機が示されている。
さらに、先の取消理由通知において引用した刊行物4(第13回全国製茶機械見本市出品者名簿、平成2年10月10・11日/浜松市総合産業展示館、平成2年10月10日発行)の製品カタログには、カロセット TLK‐120型粗揉機を撮した写真が掲載され、そこには3段のステップ(踏段)を有する梯子を機枠に取り付けてなるカロセット TLK‐120型粗揉機が示されている。
さらにまた、先の取消理由通知において引用した刊行物5(第10回全国製茶機械見本市出品者名簿、昭和59年10月2・3日/浜松市総合産業展示館、昭和59年10月2日発行)の製品カタログには、カロパックKS-120、KS-90、及びKS-60なる粗揉機を撮した写真が掲載され、
これら装置の下方側の手前の機枠に折り畳み自在のステップ(踏段)が取り付けられていることが示されている。

3.対比・判断
(請求項1に係る発明について)
本件発明1と上記刊行物2に記載の発明を対比すると、両者は、機枠に対し固定状態に設けられる半円筒状の揉胴と、その上方に連接される上部が開口した攪散胴とからなる固定胴を具え、この固定胴内に揉手とさらい手の双方を取り付けた回転軸を設けた製茶装置である点で一致し、前者は、前記拡散胴上端の開口から揉胴内部を目視できる高さにまで目の位置を届かせることのできる複数段の点検用ステップが、前記機枠または固定胴に具えられているのに対して、後者には、かかる構成が記載されていない点、で両者は相違する。
上記相違点について検討する。
本件明細書にも従来技術として記載されているように、製茶揉機による茶葉の加工工程において、加工途中の茶葉の揉み込み具合を点検窓から目視により点検することは、本件特許の出願前当業者が極く普通に行っていたことを踏まえると、刊行物2に記載の中揉機において、揉胴の上方に連接した攪散胴の上端開口部から揉胴内部を目視できる高さにまで目の位置を届かせるようにすれば、揉胴内での茶葉の揉み込み具合を観察できることは、当業者ならば直ちに気付くことである。
そして、攪散胴前面に設けられる点検窓から揉胴内部を覗くために、粗揉機の機枠に3段のステップ(踏段)を有する梯子を取り付けることが刊行物3及び4に記載されていることからすれば、刊行物2に記載の中揉機の機枠
に、攪散胴上端の開口から揉胴内部を目視できる高さにまで目の位置を届かせることのできる複数段の点検用ステップを設けて、本件発明1のような構成にすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、本件発明1は、拡散胴上端の開口から揉胴内部を目視できる高さにまで目の位置を届かせることのできる複数段の点検用ステップを製茶揉機の機枠に設けることにより、当業者の予測を超える格別の効果を奏するものではない。

(請求項2に係る発明について)
本件発明2は、本件発明1を更に「前記点検用ステップは、折り畳み自在である」と限定するものであるが、刊行物5にも記載されているように、一般に装置の機枠に取り付けられるステップ(踏段)を折り畳み可能にして、不用時に折り畳んで邪魔にならないようにすることは、当業者の慣用手段であることから、点検用ステップを折り畳み自在とすることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、本件発明2は、格別の効果を奏するものではない。

4.むすび
以上のとおり、本件請求項1及び2に係る発明は、上記刊行物2ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって。結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-10-27 
出願番号 特願平6-15754
審決分類 P 1 651・ 121- Z (A23F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 内田 淳子  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 柿沢 恵子
鵜飼 健
登録日 2003-07-25 
登録番号 特許第3453621号(P3453621)
権利者 カワサキ機工株式会社
発明の名称 製茶揉機  
代理人 岩堀 邦男  
代理人 東山 喬彦  

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