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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない A63F
管理番号 1110376
審判番号 無効2004-35099  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-08-08 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-02-18 
確定日 2004-11-08 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2916743号発明「パチンコ機の施錠装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第2916743号発明は、平成6年1月25日に特願平6-6501号として出願され、平成11年4月23日に設定登録がなされ、その後、平成14年12月3日に株式会社サクラより特許無効審判の請求がなされ、平成15年3月5日付けで被請求人より訂正請求書が提出され、平成15年11月4日付けで訂正が認容されるとともに特許維持の審決がなされ、さらに、平成16年2月18日に株式会社サクラより本件無効審判の請求がなされ、平成16年5月17日付けで被請求人より訂正請求書が提出されたものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容(下線部訂正個所)
平成16年5月17日付けの訂正請求の内容は、以下のとおりである。
i.訂正事項a
明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を、
「取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、該支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、該取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、該錠軸の先端にカム板(8)が固定され、前記連結杆(6)には該カム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、前記基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に前記鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、
前記支持板(3)の上部と下部の外側に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)がブラケット(11)を介して傾動可能に枢支され、該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、該連結杆(16)(17)は各々該支持板(3)の上部と下部に設けた開口部を通り、該各々の連結杆(16)(17)の一方の片は該支持板(3)の内側に沿い当該他方の片は該支持板(3)の外側に沿って配設され、両鉤部材(14)(15)が該連結杆(16)(17)により連結され、該連結杆(17)の前記カム板(8)に対向した位置に開口部が該カム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)(27)にガラス枠施錠用の該鉤部材(14)(15)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、前記シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回して該カム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成したパチンコ機の施錠装置。」
と訂正する。
ii.訂正事項b
明細書の段落【0006】の記載を、
「【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために、本発明の施錠装置は、取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、該支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、該取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、錠軸の先端にカム板(8)が固定され、連結杆(6)にはカム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に前記鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、支持板(3)の上部と下部の外側に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)がブラケット(11)を介して傾動可能に枢支され、基枠体(1)の内側には支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、連結杆(16)(17)は各々該支持板(3)の上部と下部に設けた開口部を通り、各々の連結杆(16)(17)の一方の片は支持板(3)の内側に沿い当該他方の片は支持板(3)の外側に沿って配設され、両鉤部材(14)(15)が連結杆(16)(17)により連結され、該連結杆(17)のカム板(8)に対向した位置に開口部がカム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)(27)にガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回してカム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成される。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
i.訂正事項aについて
訂正事項aは、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が傾動可能に枢支される構成について、「支持板(3)の上部と下部の外側にブラケット(11)を介して枢支される」構成であることを限定付加するものであるとともに、連結杆(16)(17)が支持板(3)に配設される構成について、「連結杆(16)(17)は各々該支持板(3)の上部と下部に設けた開口部を通り、該各々の連結杆(16)(17)の一方の片は該支持板(3)の内側に沿い当該他方の片は該支持板(3)の外側に沿って配設され」る構成であることを限定付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、その訂正は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内において構成を特定するものであるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
ii.訂正事項bについて
訂正事項bは、本件特許明細書の特許請求の範囲の訂正に整合させて発明の詳細な説明を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、特許明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.むすび
よって、本件訂正は、平成6年改正法による改正前の特許法第134条第2項ただし書き、及び特許法第134条第5項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第2項の規定に適合する。

第3.本件発明
本件特許第2916743号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正が認められるから、本件の訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2.1.i.訂正事項a参照)により特定されるものである。

第4.当事者の求めた審判
1.請求人の主張
請求人は、審判請求書において、下記の甲第1号証乃至甲第5号証を提出して、特許第2916743号の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めることを請求の趣旨とし、本件発明の特許を無効とすべき理由として、本件発明は、甲第1号証乃至甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、特許法123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである旨主張する。
甲第1号証:実公平4-13032号公報
甲第2号証:実公平4-32150号公報
甲第3号証:実願平2-89090号(実開平4-47484号)
のマイクロフイルム
甲第4号証:実公昭62-29011号公報
甲第5号証:実願昭62-138395号(実開昭64-43981号)
のマイクロフイルム

2.被請求人の主張
被請求人は、答弁書において、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、無効審判の請求人が主張する、無効の理由について、本件発明は、請求人の提出した証拠刊行物に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項に該当しないから、無効とされるものではない旨反論している。

第4.当審の判断
1.刊行物に記載の発明
(1)甲第1号証に記載の発明
i.請求人が甲第1号証として提出した刊行物である実公平4-13032号公報には、以下の事項が記載されている。
「遊技盤を固定した基枠が機枠本体に開閉自在に支持され、前記基枠に前面枠が開閉自在に支持されたパチンコ機のロック装置において、前記基枠に固定されたベース板と、このベース板に固着した共通のガイドピンが挿通され、ベース板を挟む両側で移動自在に支持された同じ形状をした第1および第2作動部材と、これらの作動部材を互いに逆向きに付勢する一対の付勢部材と、前記基枠に回動自在に取付けられ、一方が機枠本体に設けた係止部に係合し、他方が前面枠に設けた係止部に係合する同じ形状をした第1および第2フック部材と、第1付勢部材と第1フック部材並びに第2作動部材と第2フック部材とをそれぞれ連結し、作動部材の各々が前記それぞれの付勢部材に抗して解除方向に移動したときに、対応するフック部材をそれぞれの係止部から離脱させる同じ形状をした第1および第2連結レバーと、基枠の前面から挿入されたキーの回転方向に応じ、前記第1および第2作動部材に設けた押圧部を選択的に押圧して作動部材の一方を解除方向に移動させる解除ピンとからなることを特徴とするパチンコ機のロック装置。」(第1頁第1欄第2〜24行)、
「本考案を用いたパチンコ機の外観を示す第2図において、基枠1は開口部2に遊技盤(図示省略)が固定された後、機枠本体3に周知の手段により開閉自在に取り付けられる。また、基枠1には前面ガラス4を保持した前面枠5が開閉自在に取り付けられている。この前面枠5は、前面ガラスが嵌め込まれた従来のガラス枠と、景品球を貯留してパチンコ球を一個づつ発射装置まで送る上皿が取り付けられた従来の前板とが一体化されたものとして構成されている。前記基枠1の一側面にはベース板8が固定され、このベース板8にはロック装置10が取り付けられている。ロック装置10は、後述するように、機枠本体3に固着された係止金具11に係合する第1フック12と、前面枠5に固着された係止金具14に係合する第2フック15とを含んでいる。これらの第1、第2フックは、それぞれ一対づつ設けられている。基枠1の前面側に露呈して設けられたキー挿入部16にキー18(第1図参照)を挿入し、これを右方向に回動させると(第1図で反時計万向となる)、第2フック15のそれぞれの先端部が下がり、係止金具14から係合解除される。これにより、前面枠5が基枠1から開放されるようになる。また、キー18を左方向に回動させると(第1図では時計方向となる)、第1フック12のそれぞれの先端部が上がり、係止金具11から係合解除される。これにより、基枠1が機枠本体3から開放されるようになる。基枠1を閉じるときには、基枠1を機枠本体3に向かって押し込めば、係止金具11が第1フック12の下側に形成されたテーパ面を介して第1フック12を押し上げるので、基枠1を一定量押し込んだ時点で、第1フック12が係止金具11と係合する。同様に、前面枠5を基枠1に一定量押し込むことによって、第2フック15が係止金具14に係合するので、前面枠5が閉じられることになる。前記ロック装置10を示す第1図において、基枠1に固着されたベース板8は、前面枠5の開閉方向に沿った立ち上がり面9を備えている。この立ち上がり面9には、裏面側まで貫通して突設された一対のガイドピン20が設けられている。そして、前記立ち上がり面9の両側には、前記ガイドピン20が挿通されるスロット23,24がそれぞれ形成された作動レバー25,26がスライド自在に支持されている。作動レバー25の両端には連結レバー28が軸着されている。また、連結レバー28には、ピン30によってベース板8に回動自在に軸着された第1フック12の一端が軸止めされている。同様に、作動レバー26の両端には連結レバー32が軸着されている。また、ピン33によりベース坂8に軸着された第2フック15の一端は、前記連結レバー32に軸止めされている。作動レバー25および作動レバー26は、それぞれベース板8との間に掛けられたばね35,36によって、一方は上方へと付勢され、他方は下方へと付勢されている。作動レバー25,26のそれぞれが前記ばね35,36によって初期位置にあるときには、図示のように、第1フック12、第2フック15のそれぞれはロック位置にあり、係止金具11,14と係合している。作動レバー25には解除片38、作動レバー26には解除片39がそれぞれカシメなどにより固着されている。作動レバー26の解除片39の端部は、ベース板8のスリット40を貫通して、解除片38の上に位置している。そして、これらの解除片38,39の間には、キー18の操作によって回動される回動板42に植設された、解除ピン43が突出している。なお、作動レバー26には手動解除レバー45が固着されている。また、符号46は基枠1に固着された開放ばねを示しており、基枠1に対して前面枠5を閉じたときに蓄勢されて、前面枠5を開き方向に付勢する。」(第2頁第3欄第33行〜第3頁第5欄第19行)。

ii.甲第1号証における前記摘示の記載及び図面第1及び2図によれば、該甲第1号証には、以下の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。
「基枠1に対する固着面部と立ち上がり面部とからなるベース板8の内側に連結レバー28及び作動レバー25が摺動可能に配設され、該ベース板8の立ち上がり面部の上部と下部に第1フック12が連結レバー28に連結されて傾動可能に枢支され、該ベース板8の固着面部の中間部にキー挿入部16がそのキー受け入れ軸をベース板8の固着面部に設けた孔から内側に差込むように固定され、該キー受け入れ軸の先端に解除ピン43を植設した回動板42が固定され、前記連結レバー28には該回動板42に植設した解除ピン43と係合する解除片38が固着された作動レバー25が設けられ、前記ベース板8の固着面部がパチンコ機の基枠1に縦に取付けられ、機枠本体3側に取付けられた係止金具11に前記第1フック12が係止されて基枠1を施錠するパチンコ機のロック装置において、
前記立ち上がり面部の上部と下部の外側に、前面枠施錠用の第2フック15が傾動可能に枢支され、該ベース板8の外側には該立ち上がり面部に沿って前面枠施錠用の作動レバー26および連結レバー32が摺動可能に配設され、前記両第2フック15が前面枠施錠用の作動レバー26および連結レバー32により連結され、該作動レバー26に固着された解除片39が前記回動板42に植設された解除ピン43と係合可能に形成され、前面枠5の一部に設けた係止金具14に前面枠施錠用の該第2フック15が係止されて前面枠5が施錠され、前記キー挿入部16を基枠1の解錠時と反対方向に回して該解除ピン43を植設した回動板42を同方向に回動させ、前面枠施錠用の第2フック15を傾動させて前面枠5を解錠するように構成したパチンコ機のロック装置。」

(2)甲第2号証に記載の発明
請求人が甲第2号証として提出した刊行物である実公平4-32150号公報には、以下の事項が記載されている。
「取付板と支持板により断面L字形に一体成形された基枠体の内側に連結杆が摺動可能に該支持板に沿つて配設され、該連結杆の両端は前記支持板の両端に枢支した鉤部材に連結され、該取付板の中間部に取付けたシリンダ錠の作動により該連結杆を摺動させて解錠を行なうパチンコ機の施錠装置において、前記シリンダ錠には取付基板が設けられ、該シリンダ錠は、前記取付板に設けた孔に基枠体内側から挿入され、その錠軸を該基枠体内に突出させた状態で、該取付基板を介して該取付板にねじ止めされ、該シリンダ錠の錠軸には突部を有するカム板が軸着され、前記連結杆における該カム板の該突部の対向位置には該突部が回動時に係合する係合孔が穿設され、該カム板の突部は該シリンダ錠の非作動時に、該係合孔の外側に位置し、前記カム板の上方が開放された構造であることを特徴とするパチンコ機の施錠装置。」(第1頁第1欄第2〜18行)、
「第1図はパチンコ機の施錠装置の平面図を、第2図は同正面図を、第3図は同背面図を示し、1は取付板1aと支持板1bを断面L字形に曲折して一体成形された基枠体である。基枠体1の支持板1bの両端部にはパチンコ機の前面枠を本体枠に係止し施錠する鉤部材2が軸3によつて、第2図矢印方向へ摺動可能に枢支されている。両側の鉤部材2の下部は連結杆4により連結され、後述するシリンダ錠15の作動により回動するカム板17によつて連結杆4が摺動し、両側の鉤部材2を第2図矢印方向に摺動させる構造である。」(第2頁第3欄第42行〜第4欄第8行)、
「両端の鉤部材2間に連結される連結杆4は、支持板1bにほぼ沿つて配設され、連結杆4のほぼ中央、つまり、後述するカム板17の第一突部17aとの対向位置に係合孔4aが穿設される。この係合孔4aには、カム板17の回動時、その第一突部17aが係合し、このカム板17を第1図反時計回りに回転することにより連結杆4は左方向に摺動する。」(第2頁第4欄第17〜24行)、
「後方に突出した支持板1bの略中央部とこれに沿つて配設された連結杆4との間にはガラス枠用作動杆9が配設される。ガラス枠用作動杆9の端部付近上部には、図示しないガラス枠施錠装置の作動片に係合してこれを開錠させる係合片10が外方に突出して設けられ、この係合片10は支持板1bに設けた長孔11を貫通して後方に突出する。ガラス枠用作動杆9は、取付板1aとの間に掛けられたコイルばね20によつて第1図、第2図の左方向に付勢されるが、このコイルばね20のばね力に抗して一定の範囲で右方向に摺動することができ、ガラス枠用作動杆9の中央に穿設された係合孔9aにシリンダ錠15のカム板17の第二突部17bが係合し、このカム板17を時計回りに回転することによりガラス枠用作動杆9は右方向に摺動する。」(第2頁第4欄第40行〜第3頁第5欄第11行)、
「このように構成された施錠装置は、パチンコ機の前面枠の縦桟に第2図左側を上にして立てた状態でその取付板1aをねじ止めして取付けられ、本体枠側には鉤部材2の受け具が固定される。一方、ガラス枠施錠装置は図示しない前面枠の内面部に取付けられ、ガラス枠に取付けた係止片を施錠装置の溝内に係止して施錠を行ない、ガラス枠用作動杆9の係合片10の動作により施錠装置の作動片を動かしてその解錠を行なう構造である。」(第3頁第6欄第1〜9行)。

3.本件発明と引用発明との対比検討
(1)本件発明と引用発明との対比
i.本件発明と引用発明とを対比すると、引用発明における、「機枠本体3」、「基枠1」、「基枠1に対する固着面部と立ち上がり面部とからなるベース板8」、「ベース板8の固着面部」、「ベース板8の立ち上がり面部」、「連結レバー28及び作動レバー25」、「係止金具11」、「第1フック12」、「キー挿入部16」、「キー受け入れ軸」、「第2フック15」、「係止金具14」、「ロック装置10」は、それぞれ、本件発明における、「本体枠(20)」、「前面枠(21)」、「基枠体(1)」、「取付板(2)」、「支持板(3)」、「連結杆(6)」、「受け金具(24)(25)」、「鉤部材(4)(5)」、「シリンダ錠(7)」、「錠軸」、「鉤部材(14)」、「係止ピン(26)」、「施錠装置」に相当する。
また、引用発明における「前面枠5」は「ガラス枠」と「前板」とからなるところ、それぞれが、本件発明における「ガラス枠」と「前パネル」に一致するから、引用発明における「立ち上がり面部の上部と下部に、前面枠施錠用の第2フック15が傾動可能に枢支され」る構成及び「該ベース板8には該立ち上がり面部に沿って前面枠施錠用の作動レバー26および連結レバー32が摺動可能に配設され、前記両第2フック15が前面枠施錠用の作動レバー26および連結レバー32により連結され」る構成は、本件発明における「支持板(3)の上部と下部の外側に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)がブラケット(11)を介して傾動可能に枢支され」る構成及び「該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、該連結杆(16)(17)は各々該支持板(3)の上部と下部に設けた開口部を通り、該各々の連結杆(16)(17)の一方の片は該支持板(3)の内側に沿い当該他方の片は該支持板(3)の外側に沿って配設され、両鉤部材(14)(15)が該連結杆(16)(17)により連結され」る構成と対比して、「支持板(3)の上部に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)が傾動可能に枢支され」る構成及び「該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、鉤部材(14)が該連結杆(16)により連結され」る構成において一致する。
さらに、引用発明における「キー受け入れ軸の先端に固定される回動板42に植設される解除ピン43」は、本件発明における「錠軸の先端に固定されるカム板」と対比して、「錠軸の先端に固定される錠軸側係合手段」において一致する。
ii.そうすると、本件発明と引用発明の両者は、以下の点で一致及び相違するものと認められる。
一致点.
「取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、該支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、該取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、該錠軸の先端に錠軸側係合手段が固定され、前記連結杆(6)には該錠軸側係合手段と係合する係合手段が設けられ、前記基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に前記鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、
前記支持板(3)の上部に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)が傾動可能に枢支され、該基枠体(1)には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、鉤部材(14)が該連結杆(16)により連結され、該連結杆(17)の前記錠軸側係合手段に対向した位置に係合手段が該錠軸側係合手段と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)にガラス枠施錠用の該鉤部材(14)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、前記シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回して該カム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成したパチンコ機の施錠装置。」

相違点A.錠軸の先端に固定される錠軸側係合手段と、該錠軸側係合手段と係合する連結杆(6)(17)側係合手段が、本件発明では、それぞれ、カム板(8)及びその係合部(8a)(8b)と、前面枠施錠用の連結杆(6)及びガラス枠施錠用の連結杆(17)に形成された開口部からなる構成であるのに対して、引用発明では、解除ピン43を植設した回動板42と、前面枠施錠用の連結杆(6)に固着された解除片38及びガラス枠施錠用の連結杆(17)に固着された解除片39からなる構成である点。
相違点B.ガラス枠用の施錠装置として、本件発明では、専用のガラス枠施錠用の鉤部材と連結杆とが支持板に配設される構成であるのに対して、引用発明では、ガラス枠と前パネルとを一体化した前面枠5が施錠されるように共用の鉤部材と連結杆とが支持板に配設される構成である点。
相違点C.ガラス枠施錠用の鉤部材と、ガラス枠施錠用の連結杆とが支持板に配設される構成において、本件発明では、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が支持板(3)の外側にブラケット(11)を介して枢支されるとともに、基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、該連結杆(16)(17)は各々該支持板(3)の上部と下部に設けた開口部を通り、該各々の連結杆(16)(17)の一方の片は該支持板(3)の内側に沿い当該他方の片は該支持板(3)の外側に沿って配設される構成であるのに対して、引用発明では、ガラス枠と前パネルとを一体化した前面枠5が施錠されるようにした施錠装置であって、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)が支持板(3)の外側に枢支されるとともに、ガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が支持板(3)の外側に沿って摺動可能に配設される構成である点。

(2)相違点の検討
i.相違点Aについて
パチンコ機の施錠装置の技術分野において、錠軸側係合手段と、該錠軸側係合手段と係合する前面枠施錠用の連結杆側係合手段及びガラス枠施錠用のガラス枠用作動杆側係合手段とを、それぞれ、カム板及びその係合部と、前面枠施錠用の連結杆に形成された開口部及びガラス枠施錠用のガラス枠用作動杆に形成された開口部とで構成することは、周知技術(例えば、甲第2号証〔実公平4-32150号公報〕、甲第3号証〔実願平2-89090号(実開平4-47484号)のマイクロフイルム〕)であるから、引用発明に示される前記係合構成に代えて、前記周知技術を採用して、前記相違点Aに係る本件発明のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

ii.相違点Bについて
ガラス枠と前パネルとが分離独立して施錠されるように構成したパチンコ機の施錠装置は、周知の形態(例えば、実公昭62-7354号公報、実公昭49-24303号公報、実公昭51-6232号公報)であるから、引用発明に示される、ガラス枠と前パネルとを一体化した前面枠5について、これを前記周知の形態に倣って分離独立させる構成を採用して、前記相違点Bに係る本件発明のように構成することは、当業者の単なる設計的事項にすぎないものである。

iii.相違点Cについて
本件発明は、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)及び連結杆(16)(17)を支持板(3)に配設する構成において、錠軸の先端に固定されたカム板(8)の係合部(8b)と支持板(3)の内側で係合するように前記連結杆(17)を該支持板(3)の内側に配設するとともに、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)がガラス枠と支持板(3)の外側でブラケット(11)を介して係合するように該各々の連結杆(16)(17)を形成する片自体が該支持板(3)の上部と下部に設けた開口部を通り、該支持板(3)の内側から外側に抜けるように配設される構成を採用することにより、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)がガラス枠と支持板(3)の外側で係止する作用構成、及び、ガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)がシリンダ錠(7)の先端に固定されたカム板(8)の係合部(8b)と支持板(3)の内側で係合する作用構成において、ガラス枠施錠用の鉤部材及び連結杆をそれぞれ適正箇所に配置できるものであって、ガラス枠施錠用の鉤部材及び連結杆について、引用発明に示される如きガラス枠施錠用の鉤部材及び連結杆を支持板の外側に配設する構成や、甲第2号証に示される如きガラス枠施錠用のガラス枠用作動杆を鉤部材とは別個に支持板の内側に配設する前記周知技術からは導き出し得ない構成と作用効果のものである。
したがって、本件発明は、前記相違点Cに係る、支持板に開口部を設けてガラス枠施錠用の連結杆及び鉤部材を該支持板の内外に配設する構成において、甲第1号証に記載された発明(引用発明)及び前記周知技術を含む甲第2乃至5号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということができない。

(3)まとめ
よって、本件発明は、前記相違点Cに係る構成において、甲第1号証乃至甲第5号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

第5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、請求人の主張及び証拠方法によっては、無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ機の施錠装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、該支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、該取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、該錠軸の先端にカム板(8)が固定され、前記連結杆(6)には該カム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、前記基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に前記鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、
前記支持板(3)の上部と下部の外側に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)がブラケット(11)を介して傾動可能に枢支され、該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、該連結杆(16)(17)は各々該支持板(3)の上部と下部に設けた開口部を通り、該各々の連結杆(16)(17)の一方の片は該支持板(3)の内側に沿い当該他方の片は該支持板(3)の外側に沿って配設され、両鉤部材(14)(15)が該連結杆(16)(17)により連結され、該連結杆(17)の前記カム板(8)に対向した位置に開口部が該カム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)(27)にガラス枠施錠用の該鉤部材(14)(15)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、前記シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回して該カム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成したパチンコ機の施錠装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、パチンコ機の前面枠を本体枠に対し施錠すると共に,前面枠内に開閉可能に取付けられたガラス枠を、前面枠に対し施錠するパチンコ機の施錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機の前面枠を本体枠に対し施錠する施錠装置として、断面L字状の取付板と支持板からなる基枠体の内側に、連結杆が摺動可能に配設され、支持板の上部と下部に鉤部材が連結杆に連結されて傾動可能に枢支され、取付板の中間部にシリンダ錠がその錠軸を取付板に設けた孔から内側に差込むように固定され、錠軸の先端に連結杆と係合するカム板が固定されてなる施錠装置が、一般に使用されている(例えば、実公昭57-8867号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、パチンコ機の前面枠内には、ガラス枠が開閉可能に取付けられているが、この種の施錠装置には、ガラス枠を施錠するガラス枠用施錠具は設けられてなく、単にガラス枠用施錠具を解錠するための作動片付き作動杆が、施錠装置の基枠体内に設けられ、シリンダ錠によるカム板の回動によりその作動杆を摺動させる機構が設けられているのみである。
【0004】
このため、ガラス枠用施錠具を別個に前面枠の内側に取付ける必要があり、その際の取付け作業に多くの工数がかかると共に、施錠装置側の作動片をガラス枠用施錠具側の受け具に合せるように、位置調整を行なう必要があり、取付け時の調整作業にも多くの作業工数がかかる問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、前面枠用の施錠装置にガラス枠用の施錠具を内蔵させ、別個にガラス枠用施錠具を取付けたり、その調整作業を必要とせず、簡便に使用することができるパチンコ機の施錠装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の施錠装置は、取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、錠軸の先端にカム板(8)が固定され、連結杆(6)にはカム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、支持板(3)の上部と下部の外側に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)がラケット(11)を介して傾動可能に枢支され、基枠体(1)の内側には支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、連結杆(16)(17)は各々支持板(3)の上部と下部に設けた開口部を通り、各々の連結杆(16)(17)の一方の片は支持板(3)の内側に沿い当該他方の片は支持反(3)の外側に沿って配設され、両鉤部材(14)(15)が連結杆(16)(17)により連結され、連結杆(17)のカム板(8)に対向した位置に開口部がカム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)(27)にガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回してカム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成される。
【0007】
【作用・効果】
このような構成の施錠装置では、前面枠を本体枠に対し閉じると、施錠装置の上下の鉤部材が本体枠側の受け金具に当って下方に傾動しながら係止され、施錠状態となる。
【0008】
それを解錠する場合は、キーによってシリンダ錠を回し、カム板を回転させると、カム板の係合部が連結杆と係合してこれを摺動させ、上下の鉤部材が傾動する。この鉤部材の傾動によって、本体枠の受け金具との係合が外れ、前面枠は開放可能な状態となる。
【0009】
一方、前面枠内のガラス枠を前面枠に対し閉じると、ガラス枠内の係止ピンがガラス枠施錠用の鉤部材に当り、これを傾動させながら閉じられるため、鉤部材に係止ピンが係止され、ガラス枠は施錠状態となる。
【0010】
ガラス枠を解錠する場合は、シリンダ錠のキーを逆方向に回して、カム板を同方向に回動させると、カム板の係合部がガラス枠施錠用の連結杆と係合してこれを下方へ摺動させ、上下の鉤部材を傾動させる。このガラス枠施錠用の鉤部材の傾動によって、ガラス枠の係止ピンと鉤部材の係合が外れ、ガラス枠は解錠される。
【0011】
このように、前面枠用の施錠装置の基枠体内に、ガラス枠用の施錠具を内蔵しているため、基枠体の取付板を前面枠の内側に固定するだけで、別個にガラス枠用施錠具を取付ける必要がなく、簡単に取付け作業を行うことができる。また、別個にガラス枠用施錠具を取付ける場合のように、ガラス枠用施錠具との間の調整作業も必要としない。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は施錠装置の正面図を、図2はその左側面図を、図3はその右側面図を、図4はその背面図を各々示している。1は取付板2と支持板3を略直角に曲折して一体成形してなる縦長の基枠体で、基枠体1の支持板3の上部と下部に枢支部が形成される。取付板2には複数の取付孔2aが穿設される。
【0014】
枢支部には、鉤部材4、5が上方に傾動可能に枢支ピン4a,5aで枢支される。鉤部材4、5は三角形頭部を有しその中間部に係合凹部を有している。基枠体1の内側には、図3に示すように、支持板3に沿って連結杆6が摺動可能に配設され、連結杆6の上端は、立ち上がるように曲折して鉤部材4の中間部に連結ピン4bで連結され、その下端は同様に下部の鉤部材5の中間部に連結ピン5bで連結される。この鉤部材4、5及びそれを動かす連結杆6は、パチンコ機の前面枠用の施錠機構を構成する。
【0015】
取付板2の略中央の少しくぼんだ部分には、シリンダ錠7がその錠軸を孔から基枠体1の内側に挿入するように、ねじ又はかしめで固定される。シリンダ錠7の錠軸には2つの係合部8a,8bを持つカム板8が固定され、図4反時計方向にカム板8を回動させた場合、カム板の係合部8aが連結杆6中央部の開口部に係合し、連結杆6を上方に摺動させ、鉤部材4、5を傾動させる。なお、連結杆6はコイルばね9によって下方に付勢され、また、連結杆6の一部には手動で解錠するための把手部6aが取付板2から前方の突出するように突設されている(図3)。
【0016】
さらに、支持板3の左側面の上部と下部には、ガラス枠用施錠機構の鉤部材14、15がブラケットを11介して下方に傾動可能に枢支ピン14a,15aで枢支される。鉤部材14、15は三角形頭部とその中間部に係合凹部を有し、先端が正面側に突出して配設される。
【0017】
基枠体1の内側には、図2に示すように、支持板3に沿って連結杆16、17が摺動可能に配設され、連結杆6の上端は鉤部材14の中間部に連結ピン14bで連結され、連結杆17の下端は下部の鉤部材15の中間部に連結ピン15bで連結される。
【0018】
連結杆16は、支持板3に設けられた開口部を図1の左上から右下に通過し、連結杆17は上記連結杆6と支持板3の間を通り、支持板3に設けた開口部を図1の右上から左下に通過するように配設される。また、連結杆16と17は、図3のように、支持板3の右側で連結ピン16aにより連結され、連結杆16はコイルばね19により上方に付勢される。
【0019】
さらに、連結杆17のカム板8に対向した位置に開口部が設けられ、図4時計方向にカム板8を回動させたとき、カム板の係合部8bがその連結杆17の開口部に係合し、連結杆17、16を下方に摺動させ、鉤部材14、15を下側に傾動させる。また、連結杆17には手動で解錠するための把手部17aが背面側に突出するように突設されている(図3)。これらの鉤部材14、15、連結杆16、17、コイルばね19等によってガラス枠用の施錠機構が構成される。
【0020】
このように構成された施錠装置は、パチンコ機の前面枠21の内側に、シリンダ錠7の先端を前面に露出させ、鉤部材4、5を本体枠2側に向けた状態で、取付板2を用いて縦に取付けられる。また、本体枠20の内側には、鉤部材4、5に対応した上下位置に受け金具24、25が固定される。
【0021】
このような装着状態で、ガラス枠施錠用の鉤部材14、15は、前面枠21の内側に開口されガラス枠が収納される部分の側部に位置することになる。また、ガラス枠22の内側には、鉤部材14、15に対応した位置に、受け金具としての係止ピン26、27が水平に設けられる。
【0022】
このような構成の施錠装置では、パチンコ機における前面枠21を本体枠20に対し閉じると、図5に示すように、施錠装置の上下の鉤部材4、5が本体枠20側の受け金具24、25に当って下方に傾動しながら係止され、施錠状態となる。
【0023】
それを解錠する場合は、キーによってシリンダ錠7を回し、カム板8を図1反時計方向に回転させると、カム板8の係合部8aが連結杆6と係合してこれを上方へ摺動させ、上下の鉤部材4、5が上方へ傾動する。この鉤部材4、5の傾動によって、本体枠の受け金具24、25との係合が外れ、前面枠21は開放可能な状態となる。
【0024】
一方、前面枠21内のガラス枠22を前面枠21に対し閉じると、図6に示すように、ガラス枠22内の係止ピン26、27がガラス枠施錠用の鉤部材14、15に当り、これを下方に傾動させながら閉じられるため、鉤部材14、15に係止ピン26、27が係止され、ガラス枠22は施錠状態となる。
【0025】
ガラス枠を解錠する場合は、シリンダ錠7のキーを逆方向に回して、カム板8を図1時計方向へ回動させると、カム板8の係合部8bが連結杆17と係合してこれを下方へ摺動させ、上下の鉤部材14、15を下方へ傾動させる。この鉤部材14、15の傾動によって、ガラス枠22の係止ピン26、27と鉤部材14、15との係合が外れ、ガラス枠22はばね等の付勢力で開放される。
【0026】
このように、前面枠用の施錠装置の基枠体1内に、ガラス枠用の施錠具を内蔵しているため、基枠体1の取付板2を前面枠21の内側に固定するだけで、別個にガラス枠用施錠具を取付ける必要がなく、簡単に取付け作業を行うことができる。また、別個にガラス枠用施錠具を取付ける場合のように、ガラス枠用施錠具との間の調整作業も必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例を示す施錠装置の正面図である。
【図2】
その左側面図である。
【図3】
その右側面図である。
【図4】
その背面図である。
【図5】
使用状態を示す右側面図である。
【図6】
使用状態を示す左側面図である。
【符号の説明】
1-基枠体、
2-取付板、
3-支持板、
4,5-鉤部材、
6-連結杆、
7-シリンダ錠、
8-カム板、
14、15-鉤部材、
16、17-連結杆。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2004-09-09 
結審通知日 2004-09-14 
審決日 2004-09-27 
出願番号 特願平6-6501
審決分類 P 1 112・ 121- YA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 哲  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 藤井 靖子
渡部 葉子
登録日 1999-04-23 
登録番号 特許第2916743号(P2916743)
発明の名称 パチンコ機の施錠装置  
代理人 飯田 堅太郎  
代理人 神戸 典和  
代理人 佐藤 光俊  
代理人 江間 路子  
代理人 小林 保  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 江間 路子  
代理人 小林 保  
代理人 飯田 堅太郎  
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