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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E03F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E03F
管理番号 1110388
審判番号 不服2003-14424  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-25 
確定日 2005-01-11 
事件の表示 特願2000-199680「側溝ブロック」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月18日出願公開、特開2002- 13185〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年6月30日の出願であって、平成15年6月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月25日付けで審判請求がなされるとともに、同年8月25日付けで手続補正がなされたものである。
2.平成15年8月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年8月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、「中空構造を持ち、中空な部分が水路を構成するブロック本体を具備し、水路に排水を取り入れる開口部をブロック本体の上部に有する側溝ブロックであって、ブロック本体の幅よりも狭い幅を持ち、水路に沿ってブロック本体の上方へ突出した突端部分をブロック本体上部に設け、かつ本体内部の水路へ排水を導入するための開口部を水路に沿って突端部分に設け、開口部はブロック本体の全長に亘って連続状に設けた、長いスリット状に形成されており、当該開口部を、ブロック本体と組み合わせて、上部構造を取り付ける取り付け部としたことを特徴とする側溝ブロック。」と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「開口部」を、「ブロック本体の全長に亘って連続状に設けた、長いスリット状に形成されており」との限定を付加するものであって、特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について検討する。
(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された特開平11-140955号公報(以下「引用例」という。)には、次のような記載がある。
(ア)「【従来の技術】側溝ブロックの大部分が土中に埋設され、その一部のみを地表に露出させ、その露出部から雨水を側溝内に誘導するものとして、図6に示すような側溝ブロック12が存在した。この側溝ブロックは、いわゆるカルバ-トの上端の幅方向中央に一対の立ち上げ部をスリット状開口11を介して対向させ、そのスリット状開口11の上端が地表に露出するようにしたものである。そしてこのスリット状開口11から雨水を側溝ブロック12の内部に導くものである。また図7の例は、一対の立ち上げ部を側溝ブロック12の一方の側壁寄りに形成した例である。このような側溝ブロックは、雨水の浸入部が存在するにもかかわらず、側溝ブロック上端の露出する幅が小さく、その分だけ地表面を歩道や車道等に幅広く利用できると共に、体裁がいい特徴がある。」(段落【0002】、図6及び7参照)
この記載によれば、引用例には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「中空構造を持ち、中空な部分が水路を構成するカルバ-トを具備し、水路に排水を取り入れるスリット状開口をカルバ-トの上部に有する側溝ブロックであって、カルバ-トの幅よりも狭い幅を持ち、水路に沿ってカルバ-トの上方へ突出した一対の立ち上げ部をカルバ-ト上部に設け、かつカルバ-ト内部の水路へ排水を導入するためのスリット状開口を水路に沿って一対の立ち上げ部に設け、スリット状開口はカルバ-トの全長に亘って連続状に設けた、長いスリット状に形成されている側溝ブロック。」
(3)対比・判断
本願補正発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「カルバ-ト」、「一対の立ち上げ部」及び「スリット状開口」は、それぞれ本願補正発明の「ブロック本体」、「突端部分」及び「開口部」に相当するから、両者は、「中空構造を持ち、中空な部分が水路を構成するブロック本体を具備し、水路に排水を取り入れる開口部をブロック本体の上部に有する側溝ブロックであって、ブロック本体の幅より狭い幅を持ち、水路に沿ってブロック本体の上方へ突出した突端部分をブロック本体上部に設け、かつ本体内部の水路へ排水を導入するための開口部を水路に沿って突端部分に設け、開口部はブロック本体の全長に亘って連続状に設けた、長いスリット状に形成されている側溝ブロック。」の点において一致し、以下の点において相違している。
相違点:本願補正発明は、開口部を、ブロック本体と組み合わせて、上部構造を取り付ける取り付け部としたのに対し、引用例記載の発明はこのような構成を備えていない点。
そこで、前記相違点について検討する。
道路に沿って設置される排水溝の施工にあたって用いられる側溝ブロックの上部に設けられた開口部に、樋部材,L型部材等の上部構造を取り付けることは従来周知(実願平4-13983号(実開平6-18488号)のCD-ROM),特開平7-11701号公報,特開平8-209792号公報等参照)の技術であるから、上記相違点に係る本願補正発明の構成は、引用例記載の発明に周知の技術を適用することにより、当業者が容易になし得たものであり、その作用効果も予測し得る程度のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3.本願発明について
平成15年8月25日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成15年1月31日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「中空構造を持ち、中空な部分が水路を構成するブロック本体を具備し、水路に排水を取り入れる開口部をブロック本体の上部に有する側溝ブロックであって、ブロック本体の幅よりも狭い幅を持ち、水路に沿ってブロック本体の上方へ突出した突端部分をブロック本体上部に設け、かつ本体内部の水路へ排水を導入するための開口部を水路に沿って突端部分に設け、当該開口部を、ブロック本体と組み合わせて、上部構造を取り付ける取り付け部としたことを特徴とする側溝ブロック。」
(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。
(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「開口部」の限定事項である「開口部はブロック本体の全長に亘って連続状に設けた、長いスリット状に形成されており」の構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(3)」に記載したとおり、引用例記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明も同様の理由により引用例記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-10-26 
結審通知日 2004-11-02 
審決日 2004-11-17 
出願番号 特願2000-199680(P2000-199680)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (E03F)
P 1 8・ 121- Z (E03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 志摩 美裕貴山田 昭次河本 明彦  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 南澤 弘明
斎藤 利久
発明の名称 側溝ブロック  
代理人 井澤 洵  

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