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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B66F |
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管理番号 | 1110398 |
審判番号 | 不服2002-9828 |
総通号数 | 63 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-10-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-05-31 |
確定日 | 2005-01-11 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第 99430号「フォークリフトの揚高検出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月 7日出願公開、特開平 9-263396〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯及び本願発明 本件出願は、平成8年3月27日の出願であって、その請求項1に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認められる。(以下、「本願発明」という。) 「【請求項1】車体と、車体前方にマスト装置を立設し、該マスト装置に沿って上下動する荷役装置を備えてなるフォークリフトにおいて、 該マスト装置は左右一対で少なくとも外側マストおよび内側マストの二組にて形成され 前記マスト一方にはフォークレバーロック型リミットスイッチを配し、他方には該フォークレバーロック型リミットスイッチを作動させるドッグが配され、 該ドッグは上下に移動可能としたフォークリフトの揚高検出装置。」 2.引用文献記載の発明 (1)原査定の拒絶の理由に引用された実願平1-53835号(実開平2-145299号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 ア.「左右一対の固定マストと、該固定マストに沿って昇降する可動マストを備えたフォークリフトトラックであって、前記可動マストが所定の高さに到達した事を検知して上昇を停止させる上昇停止手段と、前記可動マストの上昇停止状態を解除する上昇停止解除手段とを備えた昇降制御回路において、前記上昇停止解除手段をモーメンタリ式上昇停止解除手段とすると共に、前記上昇停止手段が可動マストが所定高さに到達した事を検知している状態である事を記憶するリレーを備えてなるフォークリフトトラックの昇降制御回路。」(実用新案登録請求の範囲) イ.「本考案の一実施例及び作用を、以下図面に基づいて詳述する。 第1図は本考案に係る制御回路図で、バッテリB、可動マスト2bに取り付けられたリミットスイッチ9、リフトレバー3に取り付けたリフトスイッチ4及び油圧モータ駆動用リレー5を直列に接続している荷役用主回路に、一端が上記リミットスイッチ9のB接点側と接続され、他端がアースされた補助回路にモーメンタリ式上昇停止解除スイッチ10(以下、単に上昇停止解除スイッチ10という)及びリレーコイルX1を接続している。また、上記上昇停止解除スイッチ10及びリミットスイッチ9にそれぞれ並列に接点X1A、X1Bを接続している。 上記上昇停止解除スイッチ10は、スイッチから手を離すと元に戻るタイプのいわゆるモーメンタリ式のスイッチを使用しており、押しボタン式、或いは可倒式といったように種々変形することができる。 第2図に示すフォークリフトトラック1は、左右一対のリフトシリンダ2dを固定マスト2aの後部に固設し、そのロッドの先端は固定マスト2aの内側に昇降可能に装着された可動マスト2bの後面上部に固定されている。可動マスト2bの内面には、リフトブラケット(図示せず)が昇降可能に装着され、このリフトブラケットにフォーク2cが装着されている周知のリーチ式フォークリフトトラックを示している。 本実施例において、上昇停止手段としてのリミットスイッチ9は第3図に示す如く、可動マスト2bに固定され、固定マスト2aに取り付けた接触片11によって開閉されるものを示しているが、勿論固定マスト2aにリミットスイッチ9を、可動マスト2bに接触片11を設けても良い。また、リミットスイッチ以外にも各種センサ、例えばホトセンサ、近接センサを用いることもできる。 ここで、本考案の作用を説明すると、フォーク2cを上昇させるべくリフトレバー3を操作すると、バツテリB→リミットスイッチ9→リフトスイッチ4→油圧モータ駆動用リレー5→バッテリBと電流が流れ、油圧モータ(図示せず)が回転し、圧油をリフトシリング2dへと供給してフォーク2c及び可動マスト2bは上昇することができる。 その後、可動マスト2bの揚高が所定高さになり、可動マスト2bに取付けられたリミットスイッチ9が接触片11から離れ、その接点がB接点側へ移行し、荷役用主回路を遮断してフォーク2c及び可動マスト2bの上昇を停止させる。」(明細書5頁9行から7頁16行) ウ.図面の簡単な説明には、1はフォークトラック、2はマスト装置、2aは固定マスト、2bは可動マスト、2cはフォーク、3はリフトレバー、8は操作パネルと記載されている。第2図において、1と表示されたフォークリフトトラックが左右2台示されている。その右側の1と表示されたフォークリフトトラックには、3と8と表示された長方形上部の右手に、棒状の2a、2bが表示され、そのさらに右手に2cと表示された部分が表示されているのが看てとれる。(第2図、図面の簡単な説明) (2)ここで、上記記載事項ア.ないしウ.、及び第1ないし第4図から、次のことがわかる。 左右一対の固定マスト2aと、該固定マスト2aに沿って昇降する可動マスト2bを備えたフォークリフトトラック1であって、可動マスト2bの内面には、リフトブラケットが昇降可能に装着され、このリフトブラケットにフォーク2cが装着されており、前記可動マスト2bが所定の高さに到達した事を検知して上昇を停止させる上昇停止手段を備えている昇降検知装置である。上昇停止手段としてのリミットスイッチ9は第3図に示す如く、可動マスト2bに固定され、固定マスト2aに取り付けた接触片11によって開閉されるものを示しているが、勿論固定マスト2aにリミットスイッチ9を、可動マスト2bに接触片11を設けても良い。 そして、フォークリフトトラック1は当然車体を備えており、上記記載事項ウ.により、固定マスト2aと可動マスト2bは車体に対してフォーク2c側に立設されていることがわかる。 (3)引用文献記載の発明 上記記載事項(2)より、引用文献には次の発明が記載されていると認められる。 「車体と、車体のフォーク2c側に固定マスト2aと可動マスト2bを立設し、固定マスト2aと可動マスト2bに沿って上下動するリフトブラケットを備えてなるフォークリフト1において、 固定マスト2aと可動マスト2bは左右一対で少なくとも固定マスト2aおよび可動マスト2bの二組にて形成され 前記マスト一方にはリミットスイッチ9を配し、他方には該リミットスイッチ9を作動させる接触片11が配されたフォークリフトの昇降検出装置。」(以下、「引用文献記載の発明」という。) 3.対比 そこで、本願発明と引用文献記載の発明を対比するに、引用文献記載の発明における「車体のフォーク2c側に」、「リフトブラケット」、「固定マスト2aと可動マスト2b」、「固定マスト2a」、「可動マスト2b」、「接触片11」、「昇降検出装置」は、本願発明における「車体前方に」、「荷役装置」、「マスト装置」、「外側マスト」、「内側マスト」、「ドッグ」、「揚高検出装置」にそれぞれ相当する。 したがって、本願発明と、引用文献記載の発明は、 「車体と、車体前方にマスト装置を立設し、該マスト装置に沿って上下動する荷役装置を備えてなるフォークリフトにおいて、 該マスト装置は左右一対で少なくとも外側マストおよび内側マストの二組にて形成され 前記マスト一方にはリミットスイッチを配し、他方には該リミットスイッチを作動させるドッグが配されたフォークリフトの揚高検出装置。」である点で一致し、次の相違点で相違している。 (1)相違点1 本願発明においては、「フォークレバーロック型リミットスイッチ」であるのに対し、引用文献記載の発明では、「リミットスイッチ」である点。 (2)相違点2 本願発明では、「ドッグは上下に移動可能とした」のに対して、引用文献記載の発明では、そのような構成がない点。 4.判断 上記相違点について検討する。 (1)相違点1 フォークレバー型リミットスイッチでロック状態になるものは周知技術にすぎず(例、特開昭52-75757号公報のカム板18、実願昭56-23621号(実開昭57-136137号)のマイクロフィルム)、引用文献に通常のリミットスイッチ以外の検知手段を用いることが示唆されており(引用文献明細書7頁2ないし4行)、引用文献記載の発明において、上記周知技術のリミットスイッチを採用して上記相違点1に係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到しうる程度のものと認められる。 (2)相違点2 検出装置において検知部を上下に移動可能としたことは周知技術であり(例、特開平1-252500号公報の3頁右上欄13行から左下1行等、実願昭56-14724号(実開昭57-126438号)のマイクロフィルムの検出装置15、16、17)、また、検知部をドッグとリミットスイッチで構成することも周知技術にすぎない。(例、実願平3-109788号(実開平5-49793号)のCD-ROM、特開平1-146000号公報)そして、検出装置において、ドッグ側を上下に移動可能とすることは、当業者が容易に想到しうる程度のことにすぎない。 したがって、引用文献記載の発明に、上記周知技術を適用して、上記相違点2に係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到しうる程度のものと認められる。 以上のように、本願発明は、引用文献記載の発明、及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものと認められ、しかも、本願発明は、全体構成でみても、引用文献記載の発明、及び上記周知技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものとも認められない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用文献記載の発明、及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-11-17 |
結審通知日 | 2004-11-18 |
審決日 | 2004-12-01 |
出願番号 | 特願平8-99430 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B66F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鳥居 稔 |
特許庁審判長 |
大橋 康史 |
特許庁審判官 |
長谷川 一郎 清田 栄章 |
発明の名称 | フォークリフトの揚高検出装置 |