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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1110479
審判番号 不服2003-3590  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-07-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-06 
確定日 2005-01-13 
事件の表示 平成9年特許願第350964号「パワートランジスタを有する半導体集積回路」拒絶査定不服審判事件〔平成11年7月9日出願公開、特開平11-186488〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年12月19日の出願であって、平成15年2月4日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年3月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、さらに、当審において、平成16年8月5日付で拒絶理由が通知され、同年10月7日付で意見書が提出されたものである。

その請求項1〜3に係る発明は、平成14年10月7日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。

「パワートランジスタを有する半導体集積回路において、前記パワートランジスタのコレクタ領域とパッドを接続する金属配線の一部に配線欠落部を形成することにより狭幅領域を設け、前記コレクタ領域と前記パッドの間を流れる電流を前記狭幅領域を介して流すことにより、この狭幅領域にヒューズ機能を付与することを特徴とするパワートランジスタを有する半導体集積回路」

2.当審の拒絶理由
一方、当審において平成16年8月5日付けで通知した拒絶の理由の概要は、本願発明1は、本願の出願前に頒布された下記の刊行物1〜2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


(1)刊行物1:特開昭61-73357号公報
(2)刊行物2:実願昭63-103064号(実開平2-24559号)のマイクロフィルム

3.刊行物の記載事項
(3-1)刊行物1:特開昭61-73357号公報
(3-1a)「特許請求の範囲
1.半導体素子自体の導電経路の一部にフューズ素子を組み込んでなることを特徴とする半導体装置。
2.フューズ素子が半導体素子製造プロセスにより形成されることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の半導体装置」(特許請求の範囲)
(3-1b)「[技術分野]
本発明は、半導体技術、特に半導体素子およびその周辺機器を過電流から保護するのに適用して効果のある技術に関する。」(第1頁左下欄第11〜14行)
(3-1c)「第1図(a)と(b)はそれぞれ本発明の一実施例である半導体素子の平面図と断面図である。この実施例における半導体素子はいわゆるダブルヒートシンク型ダイオード(DHD型ダイオード)の構造よりなるものである。・・・さらに基板1の上面部には、外側のN領域とP領域とを接続する導電路としての配線4がたとえばアルミニウム(Al)の蒸着により絶縁層2上に形成されている。
この配線4の途中の部分には、フューズ素子としての働きをするフューズ部5が所定値以上の過電流により溶断可能に形成されている。
前記配線4およびフューズ部5は半導体素子製造プロセスを利用することによりいずれもAl蒸着等で容易に形成することができるものである。
すなわち、本実施例のフューズ部5は配線4と同時に形成されているが、他の部分よりも第1図(a)の如く細い線巾で形成されている。
したがって、配線4に所定値以上の過電流が流れた場合、フューズ部5は他の部分よりも電流容量が小さいので、他の部分よりも該フューズ部5が早く溶断されることになり、該フューズ部5は他の周辺電子部品や周辺電子機器に対する保護を確実に図ることのできるフューズ機能を果たすことが可能である。」(第2頁左上欄第15行〜左下欄第9行)
(3-1d)「第2図(a)と(b)はそれぞれ本発明の他の実施例における半導体素子の平面図と断面図である。本実施例の半導体素子Sはたとえばレンジモールド型のダイオードに使用されるものであり、その基板1の中央上部にP領域と接続された配線4の一部には、他の部分よりも細巾のフューズ部5がAl蒸着等の半導体素子製造プロセス技術を用いて形成されている。」(第2頁左下欄第17行〜右下欄第4行)という記載があり、第2図には、素子内部の配線において、P領域と接続された配線の一部に他の部分より細巾のフューズ部が設けられることが図示されている。
(3-1e)「第3図(a)と(b)はそれぞれ本発明の他の実施例における半導体素子の平面図と断面図である。本実施例の半導体素子Sはたとえばバイポーラ型のトランジスタの如き半導体装置に用いられるものである。この半導体素子Sにおいても、基板1上に配線4が形成され、この配線4の途中には、他の部分よりも細巾のフューズ部5が設けられ、フューズ機能を果たすようになっている。」(第2頁右下欄第11〜19行)という記載があり、第3図には、素子内部の配線において、N領域と接続された配線の一部に他の部分より細巾のフューズ部が設けられることが図示されている。
(3-1f)「第4図本発明の他の実施例である半導体素子の部分断面図である。本実施例の半導体素子SはたとえばTTL回路用のものであり、基板1のN領域にN+領域として形成された導電領域8に接続された配線4の一部に細巾のフューズ部5が形成されている。このフューズ部5も過電流で溶断されてフューズ機能を果たすものである。」(第3頁左上欄第1〜8行)という記載があり、第4図には、素子内部の配線において、N+領域と接続された配線の一部に他の部分より細巾のフューズ部が設けられることが図示されている。
(3-1g)「[利用分野]
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるDHD型ダイオード等に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、たとえば、バイポーラまたはMOS型のIC等に広く適用できる。」(第3頁右上欄第9〜14行)

(3-2)刊行物2:実願昭63-103064号(実開平2-24559号)のマイクロフィルム
(3-2a)「1)下面にコレクタ電極、上面にエミッタおよびベース電極を有するトランジスタチップのコレクタ電極が金属支持板上に固着され、エミッタ電極はエミッタ出力端子と、ベース電極は、ベース出力端子と、金属支持板はコレクタ出力端子とそれぞれ複数の同一材料の導線によって接続され、その際金属支持板とコレクタ出力端子とを接続する導線の総断面積がエミッタ電極とエミッタ出力端子とを接続する導線の総断面積より小さいことを特徴とするパワートランジスタ。」(実用新案登録請求の範囲)
(3-2b)「[作用]トランジスタチップが破損して短絡状態になり、コレクタ・エミッタ間に過電流が流れた場合、エミッタ電極とエミッタ出力端子を接続する導線よりも、総断面積の小さい、チップ支持板とコレクタ出力端子とを接続する導線が先に溶断する。」([作用]第1〜5行)

4.対比・判断
刊行物1には、上記摘記事項(3-1c)に「配線4およびフューズ部5は半導体素子製造プロセスを利用することによりいずれもAl蒸着等で容易に形成することができるものである。すなわち、本実施例のフューズ部5は配線4と同時に形成されているが、他の部分よりも第1図(a)の如く細い線巾で形成されている」とあり、上記摘記事項(3-1d)(3-1e)(3-1f)には、バイポーラ型のトランジスタ等の半導体装置に半導体素子自体の、N領域又はP領域に接続されたAl配線の一部にヒューズ機能を持たせた細巾のヒューズ部を形成することが記載及び図示されている。 したがって、上記摘記事項(3-1a)(3-1b)(3-1c)(3-1d)(3-1e)(3-1f)を総合すると、半導体素子自体の、N領域又はP領域に接続されたAl配線の一部にヒューズ機能を持たせた他の部分より細巾の同時形成されたAlのフューズ部を組み込んだバイポーラ型のトランジスタ等の半導体装置が示されているといえる。
上記摘記事項(3-1g)から種々のIC等に広く適用できることも記載されており、トランジスタの場合NPN接合のN領域又はPNP接合のP領域がコレクタ又はエミッタ領域であることは技術常識であるので、刊行物1には、「トランジスタのコレクタ領域又はエミッタ領域と接続されたAl配線の一部にヒューズ機能を持たせた他の部分より細巾の同時形成されたAlのフューズ部を組み込んだトランジスタを有する半導体集積回路」(以下、刊行物1発明という。)が記載されていると認定できる。
本願発明1と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「Al配線」「配線の一部にヒューズ機能を持たせた」「他の部分より細巾の同時形成されたAlのフューズ部を組み込んだ」は、それぞれ、本願発明1の「金属配線」「電流を前記狭幅領域を介して流すことにより、この狭幅領域にヒューズ機能を付与した」「配線欠落部を形成することにより狭幅領域を設け」に相当するので、両者は、
「金属配線の一部に配線欠落部を形成することにより狭幅領域を設け、電流を前記狭幅領域を介して流すことにより、この狭幅領域にヒューズ機能を付与したトランジスタを有する半導体集積回路」という点で一致し、以下の点で相違している。

イ.本願発明1においては、トランジスタがパワートランジスタに特定されているのに対して、刊行物1発明では、そのような記載のない点。
ロ.金属配線内の一部にヒューズ機能を付与した箇所が、本願発明1においては、コレクター領域とパッドを接続する金属配線とされているのに対し、刊行物1発明では、コレクタ領域又はエミッタ領域と接続された金属配線である点。

上記相違点を検討する。
相違点イについて
刊行物2の上記摘記事項(3-2a)(3-2b)にあるように、パワートランジスタにおいても、配線にフューズ機能を持たせることは、周知技術であるので、刊行物1発明において、前記周知技術に基づき、トランジスタをパワートランジスタに特定することは、当業者であれば容易になし得る。

相違点ロについて
刊行物2の上記摘記事項(3-2a)(3-2b)にあるように、ヒューズ機能を付与する箇所として、コレクタ電極側とすることは普通に知られているので、刊行物1発明のコレクタ領域又はエミッタ領域と接続された金属配線とされたヒューズ機能付与箇所を、コレクタ領域とパッドを接続する金属配線とすることは、当業者であれば容易になし得る。

したがって、本願発明1は、刊行物1発明において、刊行物2に記載されるような周知技術を適用することにより、当業者であれば容易に想起できたものである。

また、本願発明1の効果については、本願明細書に「第1のヒューズ領域7の幅は、ICの通常動作範囲で流しうる最大の電流を超える電流が流れた場合、溶断する幅に設定されている」(【0010】第5〜7行)との記載があること、及び刊行物1に、「[技術分野]本発明は、半導体技術、特に半導体素子およびその周辺機器を過電流から保護するのに適用して効果のある技術に関する。」(上記摘記事項(3-1b))との記載、及び「[効果]半導体素子自体の導電経路の一部にフューズ部を組み込むことにより、過電流の発生時にはこのフューズ素子が溶断されるので、周辺電子部品や電子機器等を確実に保護することができる。」(第3頁左上欄第9〜13行)との記載があることを考慮すると、当業者が予測し得る程度のものであって、格別顕著なものとは認められない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、上記のとおり本願発明1が特許を受けることができないため、本願の他の請求項2,3に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-11-09 
結審通知日 2004-11-16 
審決日 2004-12-01 
出願番号 特願平9-350964
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北島 健次  
特許庁審判長 影山 秀一
特許庁審判官 川真田 秀男
瀬良 聡機
発明の名称 パワートランジスタを有する半導体集積回路  
代理人 竹花 喜久男  
代理人 竹花 喜久男  
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