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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1110849
審判番号 不服2003-19278  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-12-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-02 
確定日 2005-01-27 
事件の表示 平成 8年特許願第132017号「貼り合せディスクのターンテーブル装置および貼り合せディスク」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年12月12日出願公開、特開平 9-320159〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯、本願発明
本願は、平成8年5月27日の出願であって、その請求項1及び請求項2に係る発明は、平成15年10月31日付けの手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その内請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
【請求項1】「スピンドルモータに圧入または接着固着され、貼り合わせ段差、センタホールのバリ、接着剤の垂れの少なくとも1つを有する貼り合せディスクをディスク載置面に案内するテーパ部を有し、上記スピンドルモータの駆動力により上記ディスクと一体となって回転するターンテーブル装置において、
上記貼り合せディスクのセンターホールとのはめ合い部が上記貼り合せディスクの貼り合せ面より低いスピンドルモータ側に設けられ、上記テーパ部の頂角範囲を下記の条件を満足するように設定したことを特徴とするターンテーブル装置。
条件1:上記センタホールと上記ターンテーブル装置の中心ずれd1を上記テーパ部の上記ディスク面側長さより小さくなるように上記テーパ部頂角2θの下限値を、下式を満足するように設定する。
tanθ>d1/(m1-m2)
条件2:上記ディスクの貼り合せ段差と上記テーパ部とが干渉しないように上記テーパ部頂角2θの下限値を、下式を満足するように設定する。
tanθ≧{(n1-n2)/n3}
条件3:上記テーパ部に沿って滑る力の成分がすべりを防ぐ摩擦成分よりも大きくなるように上記テーパ部頂角2θの上限値を、下式を満足するように設定する。
tanθ<1/μ
但し、 θ:上記テーパ部頂角の1/2、
m1:上記ディスク載置面から上記テーパ上面までの距離、
m2:上記ディスク載置面から上記はめ合せ部の上端までの距離、
n1:上記貼り合せディスクの貼り合せ段差、
n2:上記ディスクと上記はめ合せ部とのクリアランス、
n3:(テーパ段差)=(ディスク単板厚)-m2、
μ:上記貼り合せディスクと上記テーパ部との摩擦係数。」

II.引用例
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前の刊行物である、特開昭57-46364号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次のように記載されている。なお、下線は、当審が付与した。
(i)「中心孔を有し、かつ片面に情報を幾何学的変化の形で記録した2枚の円盤を貼り合わせることによって、両面再生可能としたディスクを再生する再生装置であって、上記ディスクの中心孔と嵌合する中心軸を、上記ディスクを形成する上記2枚の円盤のうち再生される側の円盤の中心孔と嵌合する部分の径を再生されない側の円盤の中心孔と嵌合する部分の径よりも大きくしたことを特徴とするディスク再生装置。」(特許請求の範囲参照)、
(ii)「この両面再生可能なディスクの再生装置におけるターンテーブルはその中心軸が円柱状のものである。ところで、ディスクの中心孔とターンテーブルの中心軸との嵌合精度は、トラックの偏心をできるだけ小さくする必要性から極めて重要な要素である。しかし、上述のような片面記録ディスクを貼り合わせて両面再生可能とするものの製法においては、ディスクの中心孔の打抜きはディスクを貼り合わせた後に片側の面のトラックの偏心が最小となる位置に中心位置を合わせて打抜く方法が採られており、この方法によれば、位置合せの基準に用いた面のトラックの偏心は小さくできるが、他の面のトラックの偏心が大きくなる可能性がある。そして、これはターンテーブルの中心軸のディスクとの嵌合部の形状が円柱状である限り避けがたい問題があった。」(第1頁右下欄14行〜第2頁左上欄9行参照)こと、
(iii)「本発明は、ターンテーブルの中心軸の形状を変え、それによってディスクの中心孔の打抜きをディスクの貼り合わせ以前に行うことを可能にし、もってディスクのいずれの面においても、トラックの偏心を最小にすることにある。」(第2頁左上欄9〜14行参照)こと、
(iv)「以下、本発明について実施例の図面と共に説明する。第1図、第2図は本発明のディスク再生装置の一実施例を示しており、モータ5の回転軸にターンテーブル6が結合され、このターンテーブル6に搭載したディスク7の下方よりレーザ光を上記ディスク7に照射して上記ディスク7に記録した情報信号をピックアップするようになっている。上記ターンテーブル6に搭載されたディスク7の中心孔に嵌合される中心軸8は根本部分の嵌合部9の径が大きく、先端部分の嵌合部10の径が小さく、上記ターンテーブル6に搭載したディスク7の中心位置合わせは主として嵌合部9によって行なわれる。上記ターンテーブル6に搭載されるディスク7は第3図に示すように透明アクリル基材1A,1Bの片面にそれぞれ情報トラック2A,2Bを形成し、この情報トラック2A,2Bはレーザ光を反射するようにたとえばアルミニウムの蒸着膜等の金属化処理を行ったのちに保護層3A,3Bを塗布して片面に情報トラックを記録して、2つの円盤A,Bとし、それぞれの円盤A,Bのトラックの偏心が最小となる位置に中心位置合わせして中心孔を打抜き、しかる後に上記2つの円盤を背合せにして接着剤を介して貼り合せ、両面再生可能に構成したものが使用される。」(第2頁左上欄15行〜同頁右上欄18行参照)こと、
(v)「ところで、上述した貼り合せ構造の両面再生可能なディスク7を上記ターンテーブル6に搭載し、その中心孔をその中心軸8に嵌合した場合、第2図に示すように下面の円盤Bの情報トラックが再生される。この時、ターンテーブルの中心軸8のうち、再生中の円盤B面の中心孔7Bと嵌合する部分9は、円盤A面の中心孔7Aと嵌合する部分10よりも径が大きく、ディスク7をターンテーブルに載置した際の中心位置合わせは主として嵌合部9のみで行われることになり、嵌合部10には大きな間隙があっても問題はない。一方、ディスク7を裏返した場合を考えると、今度は円盤A面の中心孔7Aが嵌合部9に嵌合することになり、常に再生される面を基準にして中心位置が合せられることになる。そして、ディスク7の中心孔7A,7Bは貼り合せ前に打抜いて形成したものであり、貼り合せの精度が多少悪くて中心孔7A,7Bにずれを生じようとも、嵌合部10との間隙に余裕があれば何ら問題なく嵌合し得て中心位置合せを行なうことができる。」(第2頁右上欄19行〜同頁左下欄18行参照)こと、
(vi)「中心軸8の形状は図示の実施例では段差状としたが、これ以外に円錐状(テーパ)としてもよく、また嵌合部10の周囲を弾性体で形成して見かけ上の間隙をなくす等の変更も可能である。」(第2頁右下欄7〜10行参照)こと、が記載され、
(vii)第2図として、下図が図示されている。


引用例には、これらの記載からみて、また第2図に中心軸8の大きい径の根本部分と小さい径の先端部分をテーパ部分で連接した段差状が図示されていることを勘案して、
「モータ5の回転軸に結合され、貼り合せの精度が多少悪くて中心孔7A,7Bにずれを生じていてもよい2枚の円盤を貼り合せた構造の両面再生可能なディスク7を搭載でき、該ディスク7の中心孔に嵌合される中心軸8を有し、該中心軸8は、根本部分の嵌合部9の径が大きく、先端部分の嵌合部10の径が小さく、その根本部分と先端部分をテーパ部分で連接した段差状を有する、ターンテーブル6において、嵌合部9はディスクの下側円盤B面の中心孔7Bの箇所で嵌合し、上記ターンテーブル6に搭載したディスク7の中心位置合わせは該嵌合部9のみによって主として行なわれることを特徴とするターンテーブル。」
の発明が記載されていると認められる。

III.対比、判断
そこで、本願発明と引用例記載の発明とを対比する。
(イ)引用例記載の発明の「ターンテーブル」は、本願発明の「ターンテーブル装置」に相当し、また、引用例記載の発明の「モータ5」は、第2図からみて明らかに「スピンドルモータ」に相当し、そして、引用例記載の発明のターンテーブルは、「スピンドルモータの駆動力により上記ディスクと一体となって回転する」ことは明示されていないけれども、ディスク再生装置に用いられることに鑑みれば、当然に「スピンドルモータの駆動力により上記ディスクと一体となって回転する」ものであると認められる。
(ロ)本願発明の「スピンドルモータに圧入または接着固着され、」は、その固着される対象が不明瞭(モータ自体にテーパ部乃至ターンテーブルを圧入乃至接着することはあり得ない。)であるところ、本願明細書段落【0017】の「本ターンテーブル装置は前述した従来のターンテーブルと同様にスピンドルモータ(図示せず)のモータシャフト4に圧入または接着固着され、」との図1を用いた説明からみて、また技術常識からみて、スピンドルモータのモーターシャフトにテーパ部を有するターンテーブル(装置)が固着、即ち結合されているものと解されるから、引用例記載の発明のターンテーブルが「モータ5の回転軸に結合され」ていることは、本願発明の「スピンドルモータに圧入または接着固着され、」に相当する。
(ハ)引用例記載の発明の「貼り合せの精度が多少悪くて中心孔7A,7Bにずれを生じていてもよい2枚の円盤を貼り合せた構造の両面再生可能なディスク7」は、本願発明の「貼り合わせ段差を有する貼り合せディスク」に相当し、
(ニ)引用例記載の発明の「中心軸8は、根本部分の嵌合部9の径が大きく、先端部分の嵌合部10の径が小さく、その根本部分と先端部分をテーパ部分で連接した段差状を有する」ことは、テーパが位置決め誘導のために適宜使用されていることに鑑みると、言及はなくとも該テーパ部分がディスクを載置面に案内する機能を有することは明らかであり、本願発明のターンテーブル装置が「ディスクをディスク載置面に案内するテーパ部を有し」ていることに相当する。
そうすると、
(A)引用例記載の発明の「モータ5の回転軸に結合され、貼り合せの精度が多少悪くて中心孔7A,7Bにずれを生じていてもよい2枚の円盤を貼り合せた構造の両面再生可能なディスク7を搭載でき、(該ディスク7の中心孔に嵌合される中心軸8を有し、)該中心軸8は、根本部分の嵌合部9の径が大きく、先端部分の嵌合部10の径が小さく、その根本部分と先端部分をテーパ部分で連接した段差状を有する、ターンテーブル6」は、本願発明の「スピンドルモータに圧入または接着固着され、貼り合わせ段差を有する貼り合せディスクをディスク載置面に案内するテーパ部を有し、上記スピンドルモータの駆動力により上記ディスクと一体となって回転するターンテーブル装置」に相当する。
次に、
(へ)引用例記載の発明の「ディスク7の中心孔」及び「下側円盤B面の中心孔7B」は、いずれも本願発明の「貼り合せディスクのセンターホール」に相当し、
(ト)引用例記載の発明の「嵌合部9はディスクの下側円盤B面の中心孔7Bの箇所で嵌合し、上記ターンテーブル6に搭載したディスク7の中心位置合わせは該嵌合部9のみによって主として行なわれること」は、下側円盤B面がディスクの貼り合せ面より低いモータ側にあることを勘案すると、本願発明の「はめ合い部が上記貼り合せディスクの貼り合せ面より低いスピンドルモータ側に設けられたこと」に相当する。
そうすると、
(B)引用例記載の発明の「嵌合部9はディスクの下側円盤B面の中心孔7Bの箇所で嵌合し、上記ターンテーブル6に搭載したディスク7の中心位置合わせは該嵌合部9によって主として行なわれる」は、本願発明の「上記貼り合せディスクのセンターホールとのはめ合い部が上記貼り合せディスクの貼り合せ面より低いスピンドルモータ側に設けられたこと」に相当する。
なお、上記対比では、引用例の中心軸8として第2図の図示の如きテーパ部分を有する段差状のものについて対比したが、摘示(vi)に記載されている如く中心軸8を円錐状(テーパ)としても同様な対比判断ができる。

従って、本願発明と引用例記載の発明は、
「スピンドルモータに結合(圧入または接着固着)され、貼り合わせ段差を有する貼り合せディスクをディスク載置面に案内するテーパ部を有し、上記スピンドルモータの駆動力により上記ディスクと一体となって回転するターンテーブル装置において、
上記貼り合せディスクのセンターホールとのはめ合い部が上記貼り合せディスクの貼り合せ面より低いスピンドルモータ側に設けられたことを特徴とするターンテーブル装置。」の発明で一致する。
しかし、本願発明では、テーパ部の頂角範囲に関し次の点(<相違点>)で更に限定しているのに対して、引用例記載の発明ではそのような限定をしていない点で一応相違する。

<相違点>
「上記テーパ部の頂角範囲を下記の条件を満足するように設定
条件1:上記センタホールと上記ターンテーブル装置の中心ずれd1を上記テーパ部の上記ディスク面側長さより小さくなるように上記テーパ部頂角2θの下限値を、下式を満足するように設定する。
tanθ>d1/(m1-m2)
条件2:上記ディスクの貼り合せ段差と上記テーパ部とが干渉しないように上記テーパ部頂角2θの下限値を、下式を満足するように設定する。
tanθ≧{(n1-n2)/n3}
条件3:上記テーパ部に沿って滑る力の成分がすべりを防ぐ摩擦成分よりも大きくなるように上記テーパ部頂角2θの上限値を、下式を満足するように設定する。
tanθ<1/μ
但し、 θ:上記テーパ部頂角の1/2、
m1:上記ディスク載置面から上記テーパ上面までの距離、
m2:上記ディスク載置面から上記はめ合せ部の上端までの距離、
n1:上記貼り合せディスクの貼り合せ段差、
n2:上記ディスクと上記はめ合せ部とのクリアランス、
n3:(テーパ段差)=(ディスク単板厚)-m2、
μ:上記貼り合せディスクと上記テーパ部との摩擦係数。」

この相違点について、条件1〜3の順に検討する。
条件1について
条件1は、「上記センタホールと上記ターンテーブル装置の中心ずれd1を上記テーパ部の上記ディスク面側長さより小さくなるように上記テーパ部頂角2θの下限値を、下式を満足するように設定する。」ものであって、この条件を満たさない場合には、そのままではディスクがテーパ部に嵌合しないことを意味する。
ところが、引用例記載の発明において、既に貼り合せディスクがテーパ部に嵌合している状態が図示(第2図)されているし、そもそも嵌合しない状態を想定することは再生できないことを意味し埒外のことであって、そのような条件は当然の前提であり言わずもがなであるし、少なくとも当業者が当然に配慮すべき条件と認められる。
そして、本願発明ではその条件を単に数式で表現したにすぎない。
この条件に関し、審判請求理由において審判請求人は、「引用文献1(当審注:引用例のこと)においては、図2に示された寸法関係を見る限り、DVDディスクの単板厚は通常0.6mm(・・略・・)なので、(m1-m2)は0.4mmです、また、テーパ部の頂角(2θ)は、引用文献1の図2を見る限り、90度程度であることから、d2は以下のように計算できます。 d2=tan45°×(0.4mm)=0.4mm 一般的に、中心ずれd1は、上記明細書の段落0021に記載されているように、ディスクの外径公差とセンターホール6との同心度とから0.5mm程度生じるものです。 従って、引用文献1においては、貼り合わせディスク11のセンターホール6とターンテーブル装置10の中心ずれd1と、テーパ部15のディスク面側長さd2との関係は、 d2(0.4mm)<d1(0.5mm)となり、請求項1の条件1を満足せず、条件1とは逆の条件となってしまいます。」と主張している。
しかしながら、引用例の図2によって頂角2θを90度であると認定しているけれども、テーパ部分のように明白に図面から見て取れる場合はともかく数値(頂角2θ)を読み取ること自体無理であり、90度と解すべき他の根拠もなく、また(m1-m2)を0.4mmと断定する理由もないから、d2を0.4mmと推定すること自体誤りであるばかりか、更に、d1を0.5mmと断定する理由もないので、そもそも上記の如き請求人の解釈で大小関係を推定することはできない(なお、DVDは請求人が勝手に想定しているにすぎず、引用例の技術をそのような場合にのみ限定して解釈すべき理由もない。)ものであるから、更に、請求人の前記主張は引用例の図2の貼合せディスクが中心軸8に嵌合している状態とも矛盾しているから、請求人の前記主張は到底採用できない。
なお、摘示(vi)に記載の如く中心軸を円錐状(テーパ)とする場合には、d2はセンターホールの半径そのものであり、そのような場合にまで中心ずれが問題になるのは技術常識を逸している。

条件2について
条件2は、「上記ディスクの貼り合せ段差と上記テーパ部とが干渉しないように上記テーパ部頂角2θの下限値を、下式を満足するように設定する。」ものである。
引用例記載の発明においては、「・・・、ディスク7をターンテーブルに載置した際の中心位置合わせは主として嵌合部9のみで行われることになり、・・・略・・・。 そして、ディスク7の中心孔7中心,7Bは貼り合わせ前に打抜いて形成したものであり、貼り合せの精度が多少悪くて中心孔7A,7Bにずれを生じようとも、嵌合部10との間隙に余裕があれば何ら問題なく嵌合し得て中心位置合せを行なうことができる。」(摘示(v)参照)との記載があり、中心孔のずれ(即ち段差)があっても嵌合部10との間隙に余裕があることを前提に嵌合部9でのみで中心位置合わせが行なわれているのであり、中心軸8の嵌合部9(大径部分)が上側円盤A面の段差(即ちディスクの貼り合せ段差)と干渉(即ち衝突)するのであれば、嵌合部9でのみで位置合わせが出来ないこととなり該記載と矛盾することになる。 更に、引用例の第2図には、明らかにテーパ部分と段差部は接触していない状態が示されている。
そして、本願発明ではその条件を単に数式で表現したにすぎない。
よって、条件2は引用例に実質的な開示があるか、少なくとも当業者が容易に想い至る程度の条件というべきである。

条件3について
条件3は、「上記テーパ部に沿って滑る力の成分がすべりを防ぐ摩擦成分よりも大きくなるように上記テーパ部頂角2θの上限値を、下式を満足するように設定する。」ものであり、「貼り合わせディスク11がテーパ部15に沿ってスムーズに滑りながら案内される条件」(本願明細書段落【0023】参照)である。
引用例には、この点に関しての言及はないけれども、ディスク(貼り合わせディスク)を上方からターンテーブルの中心軸に嵌合させるに際し、そのまま嵌合させることができる方が良いことは明らかで、及び摩擦抵抗がその阻止要因になることは当業者が容易に想い至ることであり、また、斜面(即ちテーパ面)の傾斜角度によってその滑り易さ(換言すれば摩擦抵抗にうち勝つ角度)が決まることも周知の事項である。
してみると、条件3は、当業者が容易に想い至る程度の条件というべきであって、本願発明ではその条件を単に数式で表現したにすぎない。

以上のとおりであるから、上記条件1〜3は、当業者が容易に想到し得る程度の条件であって、その条件を単に数式で表現したにすぎないものと認められ、かつその条件の採用によって格別予想外の作用効果を奏しているとも認められない。
よって、本願発明は、引用例記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できる。

IV.むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願の拒絶はまぬがれない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-11-24 
結審通知日 2004-11-30 
審決日 2004-12-14 
出願番号 特願平8-132017
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 船越 亮岩井 健二齊藤 健一  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 相馬 多美子
川上 美秀
発明の名称 貼り合せディスクのターンテーブル装置および貼り合せディスク  
代理人 山形 洋一  
代理人 前田 実  

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