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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1110986
審判番号 不服2003-20226  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-12-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-16 
確定日 2005-02-03 
事件の表示 平成10年特許願第140871号「文書画像補正装置および文書画像補正方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年12月10日出願公開、特開平11-338973〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成10年5月22日の出願であって,平成15年9月9日付で拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同年11月14日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年11月14日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年11月14日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,
「入力する文書画像から,予め設定された条件を満たす文字画像を選択的に切りだす文字画像切出部と,
前記文字画像切出部で切り出された文字画像に対して,所定の回転角度で回転処理を施すとともに,当該文字画像を鏡像判定させて前記回転処理を施し,回転・鏡像反転処理された文字画像を出力する文字画像変換部と,
前記文字画像変換部から出力された文字画像の各方向のそれぞれについて文字認識処理を行うとともに,該文字画像のそれぞれの方向について,文字認識処理の確からしさを示す確信度情報を出力する文字認識処理を行う文字認識部と,
前記文字認識部による文字画像の確信度情報に基づいて,入力文書画像の方向を判別する文書方向決定部と,を備えたことを特徴とする,文書画像補正装置。」
(なお,「当該文字画像を鏡像判定させて」は「当該文字画像を鏡像反転させて」の誤りであると認められるので,以後そのように認定して判断する。)
と補正された。
上記補正は,補正前の請求項1〜6,8,16,18を削除するとともに,補正前の請求項7に記載した発明を特定するために必要な事項である「文字認識部」について「該文字画像のそれぞれの方向について,文字認識処理の確からしさを示す確信度情報を出力する文字認識処理を行う」との限定を付加するものであって,平成15年改正前の特許法第17条の2第4項第1,2号の請求項の削除,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-28945号公報(以下,引用例1という。)には,図面とともに,
(a)「【請求項1】 画像データを読み取るための画像読み取り部と,前記画像読み取り部から入力された1ページの画像データを格納するページ画像記憶部と,前記ページ画像記憶部に格納された1ページの画像データから1文字の画像データを切り出す文字画像切り出し部と,前記文字画像切り出し部から得られた1文字の画像データを格納する文字画像記憶部と,前記ページ画像記憶部に格納された1ページの画像データおよび前記文字画像記憶部に格納された1文字の画像データを上下180度回転する画像データ上下回転部と,前記ページ画像記憶部に格納された1ページの画像データおよび前記文字画像記憶部に格納された1文字の画像データの表裏を裏返す画像データ表裏回転部と,文字の特徴情報を格納した認識辞書と,前記認識辞書に格納された文字の特徴情報を参照して前記文字画像記憶部に格納された画像データの候補文字と類似度を求める文字認識部と,前記文字認識部が求めた候補文字と類似度から原稿の上下表裏方向を判断する原稿上下表裏判断部とを備えた文字認識装置。」(引用例1の2頁1欄2〜19行)
(b)「【実施例】以下,本発明の一実施例について,図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施例における文字認識装置の機能ブロック図である。図1において,1は画像データを読み取るための画像読み取り部,2は画像読み取り部1から入力された1ページの画像データを格納するページ画像記憶部,3はページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データから1文字の画像データを切り出す文字画像切り出し部,4は文字画像切り出し部3から得られた1文字の画像データを格納する文字画像記憶部,5はページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データおよび文字画像記憶部4に格納された1文字の画像データを上下180度回転する画像データ上下回転部,6はページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データおよび文字画像記憶部4に格納された1文字の画像データの表裏を裏返す画像データ表裏回転部,7は文字の特徴情報を格納した認識辞書,8は認識辞書7に格納された文字の特徴情報を参照して文字画像記憶部4に格納された画像データの候補文字と類似度を求める文字認識部,9は文字認識部8が求めた候補文字と類似度から原稿の上下表裏方向を判断する原稿上下表裏判断部である。」(引用例1の2頁2欄7〜27行)
(c)「【0010】以下,本発明の一実施例における文字認識装置について,その動作を図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0011】まずステップAにおいて,ユーザは,画像読み取り部1を用いて画像データを読み取る。入力された1ページの画像データはページ画像記憶部2に格納される。
【0012】ステップBにおいて,文字画像切り出し部3は,ページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データから1文字の画像データを切り出す。得られた1文字のデータは文字画像記憶部4に格納される。
【0013】ステップCにおいて,画像データ上下回転部5は,文字画像記憶部4に記憶された原文画像データから上下回転文字画像データを作る。画像データ表裏回転部6は,文字画像記憶部4に記憶された原文画像データから表裏回転文字画像データを作り,この上下回転文字画像データから上下・表裏回転文字画像データを作る。
【0014】ステップDにおいて,文字認識部8は,原文画像データと上下回転文字画像データと表裏回転文字画像データと上下・表裏回転文字画像データとから各候補文字と類似度を求める。
【0015】ステップEにおいて,原稿上下表裏判断部9は,ステップDで求めた類似度が一番大きな各候補文字が不適文字かどうか判断する。不適文字の場合ステップBに戻る。不適文字でない場合ステップFに進む。
【0016】ステップFにおいて,原稿上下表裏判断部9は,ステップDで求めた類似度が一番大きな画像データを判断する。原文画像データの場合ステップKに進む。上下回転文字画像データの場合ステップGに進む。表裏回転文字画像データの場合ステップIに進む。上下・表裏回転文字画像データの場合ステップH,Jに進む。」(引用例1の2頁2欄45行〜3頁3欄27行)
(d)「【0020】以下,本発明の一実施例における文字を認識する際の様子を図4,図6,図7,図8,図9,図11を用いてさらに詳しく説明する。図4は原稿を上下180度回転する様子を示す。図5は透明な原稿の表裏を裏返す様子を示す。図6は透明な原稿を上下180度回転した後に表裏を裏返す様子を示す。図7はスキャナ13から読み取られたページ画像データを文字画像切り出しして得られた文字画像の例を示す。図8は,図7に示した原文画像を上下180度回転して得られた上下回転文字画像を示す,図9は図7に示した原文画像の表裏を裏返して得られた表裏回転文字画像を示す。図10は図8に示した上下回転文字画像の表裏を裏返して得られた上下・表裏回転文字画像を示す。そして図7,図8,図9,図10に示した各画像データの文字認識の結果を図11に示す。
【0021】図11から文字認識の結果,類似度が一番高い候補文字は「B」である。ここで得られた候補文字が,
「A」,「M」のような左右がほぼ対象な文字の場合
「C」,「E」のような上下がほぼ対象な文字の場合
「Z」,「N」のようなほぼ点対象な文字の場合
「n」,「u」のようなほぼ点対象な文字がある場合
「b〕と「d」と「p」と「q」のようにほぼ対象な文字がある場合これらの場合は,原稿の向きを判断するには不適切な文字なので,もう一度ページ画像データから文字を切り出す処理に戻る。
【0022】図11から文字認識の結果類似度が一番高い画像データは「上下・表裏回転文字画像」である。このため,スキャナ13にセットされた原稿は上下と表裏が共に反対にセットされていたと判断する。そして,このままページ画像データの文字認識を実行すると正常な結果が得られないので,ページ画像データを上下180度回転した後に表裏を裏返して文字認識を実行する。」(引用例1の3頁3欄38行〜同頁4欄21行)

との記載が認められ,これらの記載によれば,引用例1には,
「画像データを読み取るための画像読み取り部1と,画像読み取り部1から入力された1ページの画像データを格納するページ画像記憶部2と,ページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データから1文字の画像データを切り出す文字画像切り出し部3と,文字画像切り出し部3から得られた1文字の画像データを格納する文字画像記憶部4と,ページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データ及び文字画像記憶部4に格納された1文字の画像データを上下180度回転する画像データ上下回転部5と,ページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データ及び文字画像記憶部4に格納された1文字の画像データの表裏を裏返す画像データ表裏回転部6と,文字の特徴情報を格納した認識辞書7と,認識辞書7に格納された文字の特徴情報を参照して文字画像記憶部4に格納された画像データの候補文字と類似度を求める文字認識部8と,文字認識部8が求めた候補文字と類似度から原稿の上下表裏方向を判断する原稿上下表裏判断部9とを備えた文字認識装置において,
ユーザは,画像読み取り部1を用いて画像データを読み取り,入力された1ページの画像データはページ画像記憶部2に格納され,文字画像切り出し部3は,ページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データから1文字の画像データを切り出し,得られた1文字のデータは文字画像記憶部4に格納され,画像データ上下回転部5は,文字画像記憶部4に記憶された原文画像データから上下回転文字画像データを作り,画像データ表裏回転部6は,文字画像記憶部4に記憶された原文画像データから表裏回転文字画像データを作り,この上下回転文字画像データから上下・表裏回転文字画像データを作り,文字認識部8は,原文画像データと上下回転文字画像データと表裏回転文字画像データと上下・表裏回転文字画像データとから各候補文字と類似度を求め,原稿上下表裏判断部9は,ステップDで求めた類似度が一番大きな各候補文字が不適文字かどうか判断し,不適文字の場合ステップBに戻り,不適文字でない場合ステップFに進む,原稿上下表裏判断部9は,ステップDで求めた類似度が一番大きな画像データを判断し,原文画像データの場合ステップKに進み,上下回転文字画像データの場合ステップGに進み,表裏回転文字画像データの場合ステップIに進み,上下・表裏回転文字画像データの場合ステップH,Jに進むものであり,
不適切な文字については,ページ画像記憶部2に格納された1ページの画像データから1文字の画像データを切り出し,得られた1文字のデータを文字認識して得られた候補文字が,「A」,「M」のような左右がほぼ対称な文字の場合,「C」,「E」のような上下がほぼ対称な文字の場合,「Z」,「N」のようなほぼ点対称な文字の場合,「n」,「u」のようなほぼ点対称な文字がある場合「b〕と「d」と「p」と「q」のようにほぼ対称な文字がある場合,これらの場合は,原稿の向きを判断するには不適切な文字なので,もう一度ページ画像データから文字を切り出す処理に戻ることを特徴とする文字認識装置。」
との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで,本願補正発明と引用例1発明とを比較すると,
引用例1発明の「文字画像切り出し部3」は,以下の相違点を除いて本願補正発明の「文字画像切出部」に相当し,
上下回転処理も所定の回転角度で回転処理に含まれるから,引用例1発明の「画像データ上下回転部5,画像データ表裏回転部6」は,本願補正発明の「文字画像変換部」に相当し,
引用例1発明の「文字認識部8」は,本願補正発明の「文字認識部」に相当し,
引用例1発明の「類似度」は,本願補正発明の「確信度情報」に相当し,
引用例1発明の原稿上下表裏判断部9は入力文書画像の方向を判別するとは明記されていないが,類似度が一番大きな画像データを判断し,それぞれに対応したステップに進むのであるから,結果的に方向を判別しているから,引用例1発明の「原稿上下表裏判断部9」は,本願補正発明の「文書方向決定部」に相当し,
引用例1発明の「文字認識装置」は,適切な文字方向を判断してそれに応じてページ画像データを回転あるいは裏返しを行って文字認識をしているから,本願補正発明の「文書画像補正装置」に相当するから,
両者は,
「入力する文書画像から,文字画像を切りだす文字画像切出部と,
前記文字画像切出部で切り出された文字画像に対して,所定の回転角度で回転処理を施すとともに,当該文字画像を鏡像反転させて前記回転処理を施し,回転・鏡像反転処理された文字画像を出力する文字画像変換部と,
前記文字画像変換部から出力された文字画像の各方向のそれぞれについて文字認識処理を行うとともに,該文字画像のそれぞれの方向について,文字認識処理の確からしさを示す確信度情報を出力する文字認識処理を行う文字認識部と,
前記文字認識部による文字画像の確信度情報に基づいて,入力文書画像の方向を判別する文書方向決定部と,を備えたことを特徴とする,文書画像補正装置。」
の点で一致し,以下の点で相違している。
[相違点]
文字画像切出部が,本願補正発明では,入力する文書画像から,予め設定された条件を満たす文字画像を選択的に切りだすのに対して,引用例1発明では,文字画像切り出し部は,ページ画像記録部2に格納された1ページの画像データから1文字の画像データを切り出しており,文字認識部で類似度を求め,類似度が一番大きな候補が不適文字である場合には,再度ページ画像データから文字を切り出しているだけで,選択的に切り出しを行っていない点。

(4)判断
[相違点]について
まず,「入力する文書画像から,予め設定された条件を満たす文字画像を選択的に切りだす」の記載について検討する。
請求人は,審判請求書で「本願発明のように文字画像を切り出す段階で方向検出に適した文字画像を選択的に切り出すことで,画像の回転・鏡像反転処理や文字認識処理を行う前に方向検出適否が判断でき,これら回転・鏡像反転や文字認識の処理を行わずに済む分の処理時間を短縮することができる。
したがって,本願発明では,入力画像から文字画像を切り出す段階で方向を検出するために適した画像を選択的に切り出し(相違点1),さらに切り出そうとしている文字画像が画像として対称性(左右対称,上下対称,上下左右対 称,回転対称)が高い場合には切り出しを行わないようにすること(相違点2)は,文書方向を検出する処理の最も早い段階で不適切な文字を排除すること可能になり,文書方向の検出に要する処理時間を短くできるという効果がある。」と主張し,また,当審の審尋に対する回答書でも,「本願発明のように文字画像を切り出す段階で方向検出に適した文字画像を選択的に切り出すことで,画像の回転・鏡像反転処理や文字認識処理を行う前に方向検出適否が判断でき,これら回転・鏡像反転や文字認識の処理を行わずに済む分の処理時間を短縮することができるというものではない。」と主張してる。
このように,請求人は,文字画像切出部がこのような構成であることにより,本願補正発明が,文字画像を切り出す段階で方向検出に適した文字画像を選択的に切り出すことに特徴があることを主張しているものと認められる。
しかし,本願明細書の段落【0024】には,「図4は,ある文章の一部について,切り出しされた文字毎の黒画素率,長辺対短辺比,画素サイズの値と,文字選択のための条件を示した図面である。文字選択の条件は,いずれも誤差を見込んで,黒画素率を25%以上60%以下,長辺対短辺比を1.10以下としている。また,切りだされた領域の画素サイズを30×30画素以上と定めている。ここで,文書に用いられる文字種が明朝体,読取解像度が400dpi,文字サイズは6ポイントとする。なお,図示された各種の数値は一例に過ぎない。」と記載されている。
この記載からすると,本願補正発明のものにおいて,文字の選択は,文字を切り出し,切り出した文字の中から,文字選択の条件,例えば,黒画素率25%以上60%以下,長辺対短辺比1.10以下,また,切りだされた領域の画素サイズを30×30画素以上により,文字認識の認識率の高い文字種(漢字等)を選択し,これに基づき文字方向を判別するのであり,切り出す前に文字を選択するものではない。
したがって,「入力する文書画像から,予め設定された条件を満たす文字画像を選択的に切り出す」とは,「入力する文書画像から,文字画像を切り出し,その中から予め設定された条件を満たす文字画像を選択する」ものであると理解するのが妥当であると認められる。
そこで,引用例1には,原稿の向きを判断するには不適切な文字として,「A」,「M」のような左右がほぼ対称な文字,「C」,「E」のような上下がほぼ対称な文字,「Z」,「N」のようなほぼ点対称な文字,「n」,「u」のようなほぼ点対称な文字,「b」と「d」と「p」と「q」のようにほぼ対称な文字がその例として示されるとともに,不適切な文字を原稿の向きを判断するのに用いないために,ページ画像記録部2に格納された1ページの画像データから1文字の画像データを切り出し,文字認識部で類似度を求め,類似度が一番大きな候補が不適文字である場合には,再度ページ画像データから文字を切り出すことが記載されている。
しかし,一般的に,不適切なものを排除するとには,早い方が良いことは自明のことであり,不適切な文字を入力段階で排除することは当業者ならば当然考えることであるから,引用例1に例示されている不適切な文字について,予め回転文字,鏡像文字,回転鏡像文字等を予め作っておき,文字を切り出した後で,文字認識する前に,切り出した文字と,それらの不適切な文字との相関をとるなどして,不適切な文字を早い段階で排除すること,すなわち,適切な文字を選択するようにすることは当業者が容易に考えられることである。

そして,本願補正発明の作用効果も,引用例1から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって,本願補正発明は,引用例1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり,本件補正は,平成15年改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり,特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年11月14日付の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項7に係る発明(以下,同項記載の発明を「本願発明」という。)は,出願当初の特許請求の範囲の請求項7に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「【請求項7】 入力する文書画像から,予め設定された条件を満たす文字画像を選択的に切りだす文字画像切出部と,
前記文字画像切出部で切り出された文字画像に対して,所定の回転角度で回転処理を施すとともに,当該文字画像を鏡像判定させて前記回転処理を施し,回転・鏡像反転処理された文字画像を出力する文字画像変換部と,
前記文字画像変換部から出力される文字画像の各方向のそれぞれについて文字認識処理を行う文字認識部と,
前記文字認識部による文字認識結果に基づいて,入力文書画像の方向を判別する文書方向決定部と,を備えたことを特徴とする,文書画像補正装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例,および,その記載事項は,前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は,前記2.で検討した本願補正発明から「文字認識部」の限定事項である「該文字画像のそれぞれの方向について,文字認識処理の確からしさを示す確信度情報を出力する文字認識処理を行う」との構成を省いたものである。
そうすると,本願発明の特定事項を全て含み,さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が,前記「2.(4)」に記載したとおり,引用例1に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用例1に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-12-07 
結審通知日 2004-12-07 
審決日 2004-12-20 
出願番号 特願平10-140871
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06K)
P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 文雄松浦 功  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 深沢 正志
加藤 恵一
発明の名称 文書画像補正装置および文書画像補正方法  
代理人 横山 淳一  

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