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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q
管理番号 1111007
審判番号 不服2002-22363  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-20 
確定日 2005-02-04 
事件の表示 平成 6年特許願第145275号「音声報知装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年12月22日出願公開、特開平 7-336782〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は平成6年6月3日の出願であって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年10月22日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「ガスや石油を燃料とする報知対象器具の制御装置に接続されたリモコンの操作部で入力される操作指令の受け付けと、報知対象器具の動作状態の動作報知とをリモコンの発声器から発声する音声報知装置において、前記受け付けの発声要求と動作報知の発声要求とを判別する発声要求判別部と、この動作要求判別部の判別結果に基づき受け付けの発声音量を動作報知の発声音量よりも小さい音量に制御する音量区別制御部と、前記報知対象器具の複数種の各動作状態を区別して報知する手段とを備えた音声報知装置。」

2.引用刊行物に記載された発明
これに対して、当審の拒絶理由に引用され、本願の出願の日前である特開昭64年3月16日に頒布された特開昭64-70623号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。
a.「調理器たとえば電子レンジは、本体前面の操作パネルに調理条件設定用などの操作キーを備えており、その操作ごとに発音器を駆動し、『ピッ』という操作音を発するようにしている。これにより、使用者は自分の操作入力が受け入れられたことを確認することができ、確実な操作が可能である。
また、調理終了時、上記発音器を駆動してたとえば『ピッピッピッ・・・ ・・・』という報知音を発するようにしている。これにより、使用者は調理の終了を察知することができる。」(1頁左下欄末行ないし右下欄9行)
b.「すなわち、キー操作時の操作音を基準に音量を合わせると、調理終了時の報知音としては音量不足であり、電子レンジ本体から離れた場所の使用者まで報知音が届かないことがある。
逆に、調理終了時の報知音を基準に音量を合わせると、キー操作時の操作音としては音量過剰となり、使用者に不愉快を与えることがある。
この発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、キー操作に際して最適な音量の操作音を発することができ、しかも調理終了に際して最適な音量の報知音を発することができる製品性および信頼性にすぐれた調理器を提供することにある。」(1頁右下欄15行ないし2頁左上欄7行)
c.「操作パネル3には、表示器4,調理条件設定用の操作キー5、調理時間用設定用つまみ6、ドア開放釦7が設けられている。」(2頁右上欄8行ないし10行)
d.「制御回路の要部を第1図に示す。
10はマイクロコンピュータで、電子レンジ全般にわたる制御を行なうものである。このマイクロコンピュータ10の出力ポートaに対し、インバータ回路11を介してPNP形トランジスタ12のベースが接続される。さらに、出力ポートaに対し、PNP形トランジスタ13のベースが接続される。
また、マイクロコンピュータ10の出力ポートbに対し、NPN形トランジスタ14のベースが接続される。
そして、15は発音器であるところのブザーで、そのブザー15に上記トランジスタ13のエミッタ・コレクタ間およびトランジスタ14のコレクタ・エミッタ間を直列に介して駆動電圧Vdd1が印加される。さらに、ブザー15に対し、トランジスタ12のエミッタ・コレクタ間およびトランジスタ14のコレクタ・エミッタ間を直列に介して駆動電圧Vdd2が印加される。
駆動電圧Vdd1、Vdd2のレベルには、
Vdd1<Vdd2の関係がある。」(2頁右上欄11行ないし左下欄11行)
e.「つぎに、上記のような構成において第3図を参照しながら動作を説明する。
いま、操作キー5が操作されると、マイクロコンピュータ10は、出力ポートaから論理“0”信号を出力するとともに、出力ポートbからブザー駆動信号(2KHz程度)を瞬時的に出力する。
すると、トランジスタ13がオンするとともに、ブザー駆動信号に応じてトランジスタ14がオン、オフし、ブザー15に駆動電流が流れる。これにより、ブザー15が鳴動し、たとえば、『ピッ』という操作音が発せられる。
この場合、駆動電圧Vdd1はレベルがそれはど高くないので、キー操作に最適な音量の操作音が発せられる。すなわち、使用者に不快感を与えることがない。
一方、調理終了時、マイクロコンピュータ10は、出力ポートaから論理“1”信号を出力するとともに、出力ポートbからブザー駆動信号(2KHz程度)を数秒間連続して出力する。
すると、トランジスタ12がオンするとともに、ブザー駆動信号に応じてトランジスタ14がオン、オフし、ブザー15に駆動電流が流れる。これにより、ブザー15が鳴動し、たとえば『ピッピッピッ・・・ ・・・』という報知音が発せられる。
この場合、駆動電圧Vdd1はレベルは高いので、調理終了後に最適な音量の報知音が発せられる。すなわち、使用者が本体1から離れた場所にいても、その使用者に報知音が確実に届くことになる。」(2頁左下欄12行ないし右下欄19行)
上記の記載、およびこの分野の技術常識を考慮すれば、引用刊行物には、
「調理器の操作部で入力されるキー操作の受け付けと、調理器の調理終了の報知とを発音器から発音する音声報知装置において、
前記キー操作による発音要求と調理終了による発音要求とを判別する手段と、この判別する手段の判別結果に基づき受け付けの発音音量を報知の発音音量よりも小さい音量に制御する音量を制御する手段とを備えた音声報知装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

3.対比
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
a.引用発明の「調理器」と本願発明の「ガスや石油を燃料とする報知対象器具」とは、少なくとも「報知対象器具」である点では一致する。
b.引用発明の「調理器の操作部で入力されるキー操作の受け付け」、「調理器の調理終了の報知」は、それぞれ本願発明の「報知対象器具」の「操作部で入力される操作指令の受け付け」、「報知対象器具の動作状態の動作報知」に相当する。
c.本願発明の実施例には「発声器」として「電子ブザー」や「圧電ブザー」が開示され、引用刊行物には「発音器」として「ブザー」が開示されていることから、引用発明の「発音器」は本願発明の「発声器」に相当する。
d.引用発明の「キー操作による発音要求と調理終了による発音要求とを判別する手段」、「この判別する手段の判別結果に基づき受け付けの発音音量を報知の発音音量よりも小さい音量に制御する音量を制御する手段」は、本願発明の「前記受け付けの発声要求と動作報知の発声要求とを判別する発声要求判別部」、「この動作要求判別部の判別結果に基づき受け付けの発声音量を動作報知の発声音量よりも小さい音量に制御する音量区別制御部」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。

(2)一致点
「報知対象器具の操作部で入力される操作指令の受け付けと、報知対象器具の動作状態の動作報知とを発声器から発声する音声報知装置において、前記受け付けの発声要求と動作報知の発声要求とを判別する発声要求判別部と、この動作要求判別部の判別結果に基づき受け付けの発声音量を動作報知の発声音量よりも小さい音量に制御する音量区別制御部を備えた音声報知装置。」

(3)相違点
ア)報知対象器具に関して、本願発明は、ガスや石油を燃料とする報知対象器具であるのに対して、引用発明は、調理器である点。
イ)本願発明は、リモコンの操作部で入力される操作指令の受け付けと、報知対象器具の動作状態の動作報知とを、「報知対象器具の制御装置に接続されたリモコン」の「発声部」から発声するのに対して、引用発明は、調理器の操作部で入力されるキー操作の受け付けと、調理器の調理終了の報知とを、「報知対象器具」に設けられた「発声部」から発声する点。
ウ)本願発明は、報知対象器具の複数種の各動作状態を区別して報知する手段とを備えているのに対して、引用発明にはそのような手段を備えているか否か不明である点。

4.判断
(1)相違点ア)についての検討
調理器にはガスを燃料とする例えばガスレンジがあり、引用発明の「報知対象器具」にはガスや石油を燃料とする報知対象器具も含まれるものと考えられるから、「報知対象器具」に関して、本願発明と引用発明とは実質的に相違するものではない。
そこまでいえない場合であっても、引用発明をガスや石油を燃料とする報知対象器具に適用することを妨げる格別の理由もないことから、引用発明をガスや石油を燃料とする報知対象器具に適用することは当業者であれば適宜実施し得ることである。
(2)相違点イ)について
操作指令の受け付けと、リモコンの操作部で入力される操作指令の受け付けと、報知対象器具の動作状態の動作報知とを、「報知対象器具の制御装置に接続されたリモコン」の「発声部」から発声するようにすることは周知の技術(実願平2-38032号(実開平3-129854号)のマイクロフィルム)であり、この周知の技術を引用発明に適用することを妨げる格別の理由もないことから、上記周知の技術を引用発明に適用して「報知対象器具の制御装置に接続されたリモコンの操作部で入力される操作指令の受け付けと、報知対象器具の動作状態の動作報知とをリモコンの発声器から発声する」ようにすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。
(3)相違点ウ)について
報知対象器具において、複数種の各動作状態を区別して報知することは周知の技術(実願平2-38032号(実開平3-129854号)のマイクロフィルム)、実願平3-68740号(実開平5-19848号)のCD-ROM、特開平3-199923号)であり、この周知の技術を引用発明に適用することを妨げる格別の理由もないことから、上記周知の技術を引用発明に適用して「報知対象器具の複数種の各動作状態を区別して報知する手段」とを備えるようにすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。
(4)まとめ
したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知の技術にに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-12-01 
結審通知日 2004-12-07 
審決日 2004-12-20 
出願番号 特願平6-145275
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 萩原 義則  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 望月 章俊
野元 久道
発明の名称 音声報知装置  
代理人 五十嵐 清  

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