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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1111024
審判番号 不服2003-10623  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-11-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-11 
確定日 2005-02-04 
事件の表示 平成 6年特許願第 85063号「文字認識方法及び文字認識装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年11月10日出願公開、特開平 7-296108〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年4月22日の出願であって、平成15年5月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月10日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年7月10日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成15年7月10日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項2は、
「入力されたイメージデータの特定の枠内に記入されている文字または、記号を認識する認識装置において、
該イメージデータを走査して、黒画素が所定の連続量を有する所定パターンの繰り返しである部分を該特定の枠を構成している部分として認識する枠認識手段と、
該枠認識手段で認識した特定の枠内の画素を該特定の枠内に記入された文字または、記号として認識する文字認識手段と、を有することを特徴とする文字認識装置。」
と補正された。(この記載の事項により特定される発明を以下、「本願補正発明」という。)

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-157584号公報(以下、引用例という。)には、以下の記載がなされている。

「従来の技術
現在、本出願人が実用化したOCR(Optical Character Reader)中の枠線識別装置では、対象画像中に上下左右に相当するY方向とX方向とを設定し、これらの方向に各々略平行な二辺からなる略矩形の枠線を画素の連続などに従って対象画像から識別するようになっている。このようにすることで、対象画像から実線で形成された枠線を識別して所定の文字列や画像などを抽出することができる。
発明が解決しようとする課題
上述のような枠線識別装置では、実線で形成された枠線を識別して所定の文字列や画像の抽出に寄与することができる。ここで、上述の枠線識別装置は、実線からなる枠線の識別を目的としているが、印刷不良や読取不良に対応するために枠線の線分に途切れが存したり線分の交点に非交差が存するなどしても、これらが予め設定した許容値以内ならば連続するものとして認識するようになっている。
しかし、これでは線分の途切れや交点の非交差などが大きい枠線や、破線や一点鎖線等の非連続線からなる枠線は識別が困難である。このような課題を解決する手段としては、上述のような線分の非連続を補正する許容値を拡大することが考えられるが、これでは誤検出が増加することになって実用的でない。」
(第2頁左下欄第10行-第3頁左上欄第1行)
したがって、引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「枠線を画素の連続などに従って対象画像から識別するようになっており、印刷不良や読取不良に対応するために枠線の線分に途切れが存したり線分の交点に非交差が存するなどしても、これらが予め設定した許容値以内ならば連続するものとして認識する枠線識別装置を備え、所定の文字列や画像などを抽出するOCR(Optical Character Reader)において、
破線や一点鎖線等の非連続線からなる枠線を識別するために、前記枠線識別装置は上述のような線分の非連続を補正する許容値を拡大することを特徴とするOCR(Optical Character Reader)。」

(3)対比
引用発明の「枠線識別装置」は、枠認識手段ということができるから、本願補正発明と引用発明とを対比すると、次の点で一致する。

「枠認識手段を有する装置。」

また次の点で相違する。

相違点1
本願補正発明は「入力されたイメージデータの特定の枠内に記入されている文字または、記号を認識する認識装置」であり、「該枠認識手段で認識した特定の枠内の画素を該特定の枠内に記入された文字または、記号として認識する文字認識手段」を有するのに対して、引用発明は所定の文字列や画像などを抽出するOCR(Optical Character Reader)であるが、文字認識を行うことについては明らかでない点。

相違点2
本願補正発明の「枠認識手段」は、「該イメージデータを走査して、黒画素が所定の連続量を有する所定パターンの繰り返しである部分を該特定の枠を構成している部分として認識する枠認識手段」であるのに対して、引用発明のものは、「枠線を画素の連続などに従って対象画像から識別するようになっており、印刷不良や読取不良に対応するために枠線の線分に途切れが存したり線分の交点に非交差が存するなどしても、これらが予め設定した許容値以内ならば連続するものとして認識する」もので、「破線や一点鎖線等の非連続線からなる枠線を識別するために、前記枠線識別装置は上述のような線分の非連続を補正する許容値を拡大すること」としている点。

(4)相違点に対する判断

相違点1について
OCR(Optical Character Reader)において、文字認識を行うことは周知のことであり、引用発明も枠線を対象画像から識別し、所定の文字列や画像などを抽出するのであるから、抽出した文字を認識する文字認識手段を備え、本願補正発明と同様の構成とすることに困難な点はない。

相違点2について
引用発明も画素の連続などに従った処理を行うのであるから、対象画像をイメージデータとして走査する処理を行っているはずである。
また、本願補正発明の「黒画素が所定の連続量を有する所定パターンの繰り返しである部分を該特定の枠を構成している部分として認識する」処理は、「黒画素が所定の連続量を有する所定パターンの繰り返しである部分」をどのようにして「枠を構成している部分として認識する」するのか、何ら具体的な特定がなされておらず、「黒画素が所定の連続量を有する所定パターンの繰り返しである部分」は破線や一点鎖線等の非連続線を表現する以上のものとはいえないから、この点に実質的な相違はない。
なお、引用例には、破線や一点鎖線等の非連続線からなる枠線の識別について、「これでは誤検出が増加することになって実用的でない。」と記載されているが、破線や一点鎖線等の非連続線からなる枠線を識別する機能を有していることにかわりはないし、破線や一点鎖線等の非連続線を認識することは周知技術にすぎない(例えば、特開平4-291478号公報、特開平4-291479号公報、特開平3-250278号公報、特開平5-40847号公報等。)。いずれにしても、本願補正発明は上記のとおり、破線や一点鎖線等の非連続線である「黒画素が所定の連続量を有する所定パターンの繰り返しである部分」をどのようにして認識するのかは特定されていないので、この点に実質的な相違があるとすることはできない。

したがって、本願補正発明は引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年7月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年8月6日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「入力されたイメージデータの特定の枠内に記入されている文字または、記号を認識する認識装置において、
該イメージデータを走査して、黒画素が所定の連続量を有する所定パターンの繰り返しである部分を該特定の枠を構成している部分として認識する枠認識手段と、
該枠認識手段で認識した特定の枠内の画素を該特定の枠内に記入された文字または、記号として認識する文字認識手段と、を有することを特徴とする文字認識装置。」

したがって、本願補正発明と同様、本願発明は引用例に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-11-24 
結審通知日 2004-11-30 
審決日 2004-12-13 
出願番号 特願平6-85063
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06K)
P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 文雄  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 加藤 恵一
大野 弘
発明の名称 文字認識方法及び文字認識装置  
代理人 伊東 忠彦  

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