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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B30B
管理番号 1111956
審判番号 不服2002-20958  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-11-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-29 
確定日 2005-02-10 
事件の表示 平成 8年特許願第331672号「機械プレス」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月 4日出願公開、特開平 9-285897〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年11月27日(パリ条約による優先権主張平成7年11月27日米国)の出願であって、平成14年7月4付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月29日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月28日付で明細書を補正対象書類とする手続補正がなされたものである。

2.本願の発明
本願の請求項1ないし17に係る発明は、平成14年11月28日付の手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「互いに対向する関係に配置された2つのスライドと、
前記スライドの各々が接続された単一のクランクシャフトであって、前記単一のクランクシャフトは、その回転により前記スライドの各々が他の該スライドに向かいまた離れるように作動させられるように構成される、単一のクランクシャフトと、
前記単一のクランクシャフトを回転させるための駆動機構と、
を有する機械プレス。」
3.刊行物記載の発明(事項)
原査定の拒絶の理由に引用され本願の優先権主張の日前に国内で頒布された刊行物である特開平5-192702号公報(以下、「刊行物1」という。)及び特開平4-111995号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されていると認められる。

3.1 刊行物1
(イ)(段落【0015】)「動床形複動プレス1は、その底部両端に回転主軸の大ギヤ2を有し、この大ギヤ2の外側にクランク軸3、内側にカム4が設けられている。クランク軸3は連結棒5により上部のスライド6の両端に連結され、スライド6の中央部には調整スクリュー7がある。スライド6はクランク軸3の回転運動を上下運動に変える働きをする」
(ロ)(段落【0016】)「前記調整スクリュー7の下端に上部金型8が固着されている。一方、カム4の上先端部にローラ9を介して下部金型10が置かれている。下部金型10の昇降はカム4の作動によってなされる。」
(ハ)(段落【0017】)「圧延材11の重ね合わせ部を圧接する場合は、まず調整スクリュー7で上部金型8の位置を調整しておき、重ね合わせ部がプレスの位置にきたら電動機12を起動し、中ギヤ14、小ギヤ13を介して回転主軸の大ギヤ1を回転させる。大ギヤ1が回転すると、カム4の作用で下部金型10が上昇し、これと同期して上部金型8が下降し、これらの金型の間で圧接が行われる。」
上記摘記事項(イ)、(ロ)、(ハ)からみて、刊行物1には、
「互いに対向する関係に配置された上部スライドと下部金型と、
前記上部スライド及び下部金型の各々が接続された単一の回転主軸であって、前記単一の回転主軸は、その回転により前記上部スライド及び下部金型の各々が他方に向かいまた離れるように作動させられるように構成される、単一の回転主軸と、
前記単一の回転主軸を回転させるための電動機、中ギヤ、小ギヤ及び大ギヤと、
を有する動床形複動プレス」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)
が記載されていると認められる。

3.2 刊行物2
(ニ)(明細書第4ページ右上欄第3〜6行)「ロアラム15は、リンクモーション機構によって上下動されその詳細が第4図に示されている。図中、20が前記クランク軸11に連接棒21を介して連接されたスライドであり、」
(ホ)(明細書第5ページ右上欄第8〜14行)「アッパーラム5及びロアラム15は、クランク軸11が回転することによって、アッパーラム5はクランク機構によって、(a)曲線で示すように全体としてサイン曲線形に変位し、ロアラム15はクランクとリンク機構の組合せによって、第7図の(b)曲線で示すように上死点近傍ではドウェルを有し、下死点ではサイン曲線形に変位する。」
上記摘記事項(ニ)、(ホ)及び第1ないし4図の記載からみて、刊行物2には、
「アッパーラム及びロアラムの各々が接続された単一のクランク軸であって、前記単一のクランク軸は、その回転により前記アッパーラム及びロアラムの各々が該ロアラム及びアッパーラムに向かいまた離れるように作動させられるように構成される、単一のクランク軸」(以下、「刊行物2記載の事項」という。)
が記載されていると認められる。

4.対比
そこで、本願発明と刊行物1記載の発明とを比較すると、後者の「電動機、中ギヤ、小ギヤ及び大ギヤ」、「動床形複動プレス」がそれぞれ前者の「駆動機構」、「機械プレス」に相当すること、及び後者の「回転主軸」と前者の「クランクシャフト」とがスライドを往復移動させる回転軸である点で共通することは明らかであり、また、後者の「下部金型」には、金型と、これを上下に移動可能に支持するスライドとが含まれることは明らかであるから、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
〈一致点〉互いに対向する関係に配置された2つのスライドと、
前記スライドの各々が接続された単一の回転軸であって、前記単一の回転軸は、その回転により前記スライドの各々が他の該スライドに向かいまた離れるように作動させられるように構成される、単一の回転軸と、
前記単一の回転軸を回転させるための駆動機構と、
を有する機械プレス。
〈相違点〉前者は、その回転により前記スライドの各々が他の該スライドに向かいまた離れるように作動させられるように構成される、単一の回転軸がクランクシャフトであるのに対し、後者はそうではない点。

5.当審の判断
〈相違点について〉
刊行物2記載の事項における「アッパーラム、ロアラム」、「クランク軸」が、それぞれ本願発明の「スライド」、「クランクシャフト」」に相当することは明らかであるから、刊行物2には、「スライドの各々が接続され、その回転により前記スライドの各々が他の該スライドに向かいまた離れるように作動させられるように構成される、単一の回転軸としてのクランクシャフト」が記載されている。
刊行物2記載の事項は刊行物1記載の発明と同様にプレスに関するものであるから、刊行物2記載の事項を刊行物1記載の発明に組み合わせて本願発明とすることは、当業者が容易に想到し得る。
よって、本願発明は、刊行物1記載の発明と刊行物2記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1にかかる発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、請求項2ないし17に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

(なお、本願の請求項1,2,7に係る発明は刊行物2に記載されており、また、本願の請求項9,10,11,13は刊行物2の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであることを付記する。)
 
審理終結日 2004-09-09 
結審通知日 2004-09-15 
審決日 2004-09-28 
出願番号 特願平8-331672
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B30B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 充鈴木 敏史  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 上原 徹
豊原 邦雄
発明の名称 機械プレス  
代理人 福森 久夫  

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