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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1112052
審判番号 不服2000-8451  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-06-08 
確定日 2005-02-10 
事件の表示 平成 8年特許願第 32316号「ゲーム機」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 3月31日出願公開、特開平 9- 84955〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成8年2月20日(優先日、平成7年2月21日、平成7年4月21日、平成7年7月17日)の出願であって、平成12年4月28日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月10日付で手続補正がなされたものである。

第2.平成12年7月10日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成12年7月10日付の手続補正を却下する。

1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 払出し予定の複数種の景品を表示する景品表示部と、所定のゲームが行われるゲームプレーエリアと、前記景品表示部に表示された複数種の景品の中から、ゲーム開始前にゲームプレーヤの操作によって少なくともいずれか一つの意中の景品を選択するための操作手段とを備え、前記ゲームプレーエリアにて行われたゲームが、予め設定された条件をクリアした際には、前記操作手段にて選択された意中の景品が払い出されることを特徴とするゲーム機。」
(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。
上記補正は、
a.補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「一つの景品」及び「選択された景品」を、「一つの意中の景品」及び「選択された意中の景品」とそれぞれ限定し、
b.同じく「景品を選択可能な操作手段」を、「景品を選択するための操作手段」と限定するもの
であって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.刊行物記載の発明
刊行物1:実願昭58-198130号(実開昭60-104186号)のマイクロフィルム
刊行物2:登録実用新案第3006611号公報

(1)刊行物1:実願昭58-198130号(実開昭60-104186号)のマイクロフィルム
原査定の拒絶の理由に引用例1として引用された、本願の優先日前である昭和60年7月16日に頒布された刊行物である実願昭58-198130号(実開昭60-104186号)のマイクロフィルムには、図面と共に以下の事項が記載されている。
(1-1)「この考案は、福引用マシンに関するもので、・・・景品名をプリントアウトするようにしたものである。」(第1ページ第12〜15行)
(1-2)「第1図はこの考案装置の外観図を示したもので、スロットマシーン状としてある。1は景品の表示部で、透過形ディスプレイによって複数の景品が夫々の絵によって表示してある。この表示部1は買物の金額に応じて提供されるコインやカード等の数によってランク付けされている。この実施例では三段階にランク付けしたものが示してあり、1aは下位ランクの景品が示され、そして1bは中位、1cは上位として夫々の景品を示している。」(第2ページ第10〜18行)
(1-3)「2は入力用としてのコインやカード等の投入口、3はランクの選択スイッチである。これは、たとえば下位ランクはコイン1枚、中位ランクではコイン2枚、上位ランクではコイン3枚に設定したとすると、コイン6枚を投入した場合では、選択スイッチ3により上位ランクが選択されると二回のゲームが、また中位ランクの選択では三回のゲームができることになる。」(第3ページ第9〜16行)
(1-4)「4はゲーム結果をプリントアウトする出力口で、これは内蔵されたプリンターよりゲーム結果をプリントし、プリンクアウトされた紙片等を景品の引換券とする。5はゲームのスタートボタン、6はスタートボタン5の投入で三つに分割された絵が変化するスロットマシーン状の抽選部の表示部である。7は抽選部の表示部6の変化を停止させるストップボタンである。」(第3ページ第17行〜第4ペ-ジ第4行)
(1-5)「まず、コイン投入口2よりコインを投入し、選択スイッチ3を押してランクを選択する。そして、スタートボタン5を押し、その後ストップボタン7を押して抽選部の表示部6の絵表示を停止させる。この結果が合せて出力口4より送出され、表示部1に表示された景品がゲーム結果に応じて提供される。」(第4ページ第5〜11行)

これらの記載によれば、刊行物1には、
「複数の景品が夫々の絵によって表示してある表示部1と、三つに分割された絵が変化するスロットマシーン状の抽選部の表示部6と、景品のランクを選択する選択スイッチ3とを備え、コイン投入口2よりコインを投入し、選択スイッチ3を押してランクを選択し、スタートボタン5を押し、その後ストップボタン7を押して抽選部の表示部6の絵表示を停止させ、この結果が合せて出力口4より送出され、表示部1に表示された景品がゲーム結果に応じて提供される福引用マシン。」
の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

(2)刊行物2:登録実用新案第3006611号公報
原査定の拒絶の理由に引用例3として引用された、本願の優先日前である平成6年11月2日に頒布された刊行物である登録実用新案第3006611号公報には、図面と共に以下の事項が記載されている。

(2-1)「本考案は、ゲームセンタ(遊戯場)などにおいて景品を自動的に排出する景品自動排出装置に関し、とくにゲーム感覚で選択した景品を、自動的に排出して利用者に提供することができる選択ゲーム機能付き景品自動排出装置に関する。」(第5ページ第4〜6行)
(2-2)「本考案の景品自動排出装置は、操作者が操作した結果に基づき景品を排出する景品自動排出装置において、横に複数個の景品を並べた列を縦に複数段並べた景品展示部1と、前記景品のそれぞれに対応して景品選択位置を表示する選択表示手段6a,6b〜6lと、前記複数段のうちのいずれかの段を選ぶ段選択手段72と、前記横並びの景品のうちのいずれかの位置を選ぶ横並び位置選択手段74と、前記段選択手段72と横並び位置選択手段74により選択された景品を自動的に景品排出口7に排出する景品自動排出手段と、前記操作に基づき前記段選択手段、横並び位置選択手段、選択表示手段、および景品自動排出手段を制御する制御部とを備えた構成とする。」(第6ページ第3〜13行)

これらの記載によれば、刊行物2には、
「横に複数個の景品を並べた列を縦に複数段並べた景品展示部1と、前記複数段のうちのいずれかの段を選ぶ段選択手段72と、前記横に並べた景品のうちのいずれかの位置を選ぶ横並び位置選択手段74と、前記段選択手段72と横並び位置選択手段74により選択された景品を自動的に景品排出口7に排出する景品自動排出手段とを備え、操作者が操作した結果に基づき景品を排出する景品自動排出装置。」
の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

3.対比
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1における、「表示部1」、「抽選部の表示部6」、「福引用マシン」は、本願補正発明における、「景品表示部」、「ゲームプレーエリア」、「ゲーム機」にそれぞれ対応する。
引用発明1における「景品のランクを選択する選択スイッチ3」は、スタートボタン5を押す前に押されるものであるから、ゲーム開始前にゲームプレーヤに操作されるものであり、ランクの選択は意中の景品を選択するためのものといえるので、本願補正発明における「ゲーム開始前にゲームプレーヤの操作によって少なくともいずれか一つの意中の景品を選択するための操作手段」という構成と対比して、両者は「ゲーム開始前にゲームプレーヤの操作によって意中の景品を選択するための操作手段」という構成において共通する。
そして、引用発明1における「景品がゲーム結果に応じて提供される」ことは、「ゲームが、予め設定された条件をクリアした際に」景品が提供されるということができる。
そうすると、本願補正発明と引用発明1とは、以下の点でそれぞれ、一致ならびに相違(以下、「相違点a及びb」という。)すると認められる。

一致点:払出し予定の複数種の景品を表示する景品表示部と、所定のゲームが行われるゲームプレーエリアと、前記景品表示部に表示された複数種の景品の中から、ゲーム開始前にゲームプレーヤの操作によって意中の景品を選択するための操作手段とを備え、前記ゲームプレーエリアにて行われたゲームが、予め設定された条件をクリアした際には、前記操作手段にて選択された意中の景品が提供されるゲーム機。

相違点a:意中の景品の選択に関して、本願補正発明においては、少なくともいずれか一つの景品を選択するのに対し、引用発明1においては、景品のランクを選択する点。

相違点b:景品の提供に関して、本願補正発明においては、ゲーム機から払い出されるのに対し、引用発明1においては、そのような構成になってはいない点。

4.判断
(1)相違点aの検討
引用発明2は、段選択手段72と横並び位置選択手段74とにより操作者が獲得を希望する一つの景品を選択するものといえるので、ゲームプレーヤが一つの意中の景品を選択することは、引用発明2に開示されている。
よって、引用発明1において、景品をランクとして選択する構成に代えて、引用発明2における一つの景品を選択する構成を採用し、前記相違点aに係る本願補正発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。

(2)相違点bの検討
ゲームにより獲得した景品をゲーム機から払い出すようにすることは、例を挙げるまでもなく周知な事項であるので、引用発明1において、景品をゲーム機から払い出すようにして、前記相違点bに係る本願補正発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。

(3)作用効果の検討
本願補正発明の奏する作用効果は、刊行物1及び2から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成12年7月10日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、本願の請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、平成11年3月29日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項1】 払出し予定の複数種の景品を表示する景品表示部と、所定のゲームが行われるゲームプレーエリアと、前記景品表示部に表示された複数種の景品の中から、ゲーム開始前にゲームプレーヤの操作によって少なくともいずれか一つの景品を選択可能な操作手段とを備え、前記ゲームプレーエリアにて行われたゲームが、予め設定された条件をクリアした際には、前記操作手段にて選択された景品が払い出されることを特徴とするゲーム機。
【請求項2】 前記景品表示部の各景品には、前記操作手段の操作に基づいて選択可能な景品ナンバーがそれぞれ付与され、前記ゲームプレーエリアには不規則にボールが転動する遊戯盤及び同遊戯盤上で転動するボールを収容する複数のボール収容部が設けられ、前記各ボール収容部には前記景品ナンバーに応じたナンバーを包含する入賞ナンバーが付与され、前記操作手段により選択されたナンバーと、前記ボールが収容されたボール収容部の入賞ナンバーとが一致した際には、そのナンバーに対応する景品が払い出される請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】 前記遊技盤は、ボールを収容可能な多数のボール収容部が設けられ、前記各ボール収容部には前記景品ナンバーに応じたナンバーを包含する入賞ナンバーが付与された回転体である請求項2に記載のゲーム機。
【請求項4】 前記各ボール収容部のうち、一部のボール収容部には前記景品ナンバーに応じたナンバー以外の入賞ナンバーが付与されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のゲーム機。
【請求項5】 前記操作手段により選択可能な景品ナンバーの数は、景品表示部の数と同数以下であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のゲーム機。
【請求項6】 払出し予定の複数種の景品を表示する景品表示部と、所定のゲームが行われるゲームプレーエリアと、ゲーム開始前にゲームプレーヤの操作によって予想される入賞ナンバーを選択可能な入賞ナンバー選択スイッチとを備え、前記ゲームプレーエリアにて行われたゲームによって得られた実際の入賞ナンバーが、前記入賞ナンバー選択スイッチで予め設定された入賞ナンバーと一致した際には、ゲームプレーヤの操作による操作手段によって選択された景品が払い出されることを特徴とするゲーム機。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された上記刊行物1及び2の記載事項については、前記「第2.2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.」で検討した本願補正発明と、上記「第2.1.」で示したとおりの関係を有するものであり、本願補正発明から、選択される景品が意中のものである旨の限定を省き、操作手段について景品を選択するためのものから景品を選択可能なものへ上位概念化したものである。
そうすると、本願発明を特定する事項にさらに限定を加えたものに相当する本願補正発明が、前記「第2.4.」に記載したとおり、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が特許を受けることができないものであるから、本願の請求項2ないし6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-11-24 
結審通知日 2004-11-30 
審決日 2004-12-13 
出願番号 特願平8-32316
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光澤田 真治  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 白樫 泰子
渡戸 正義
発明の名称 ゲーム機  
代理人 恩田 博宣  

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