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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A23G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23G
管理番号 1112133
審判番号 不服2002-5446  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-09-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-29 
確定日 2005-02-16 
事件の表示 平成11年特許願第 65938号「煎餅生地乾燥システム」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 9月19日出願公開、特開2000-253824〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年3月12日の出願であって、平成14年2月28日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月29日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年7月3日付の手続補正書により補正された平成14年3月29日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年7月3日付の手続補正書により補正された平成14年3月29日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
上記補正により、特許請求の範囲の請求項1は、「上面の矩形網面と、該矩形網面の互いに対向する側縁に角棒を介して固定された脚兼用側縁板とからなるパレットにおいて、該側縁板の長手方向に沿って設けられた長尺段差上に、1又は2以上の上向き突起を設け、さらに該側縁板の下面に上記1又は2以上の上向き突起に対応する位置に重ねるべき他のパレットの該突起の形状が嵌合する1又は2以上の凹所を設け、さらに該側縁板の長尺段差より下方の脚部分に開口を設けてなることを特徴とする煎餅生地乾燥用パレット。」と補正された。
上記補正は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「該矩形網面の互いに対向する側縁に設けられる脚兼用側縁版」を、「該矩形網面の互いに対向する側縁に角棒を介して固定された脚兼用側縁版」とし、同「1又は2以上の上向き突起」は、「設けられた長尺段差上に」設けるように限定を付加し、同「該突起」について「重ねるべき他のパレットの」との限定を付加し、同「開口」について「長尺段差より下方の脚部分」に設けるように限定を付加するものであって、補正前と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2、5項において準用する同法126条4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した特開平9-121775号公報(以下、「引用例」という。)には、生煎餅製造システムにおいて使用されるパレットに関し「平面形状が方形状のパレットPは、相対する一対の長辺枠p1、相対する一対の短辺枠p2及び長辺枠p1と短辺枠p2により囲まれた空間部に配設され、リブp3が縦横に交差して形成された生煎餅が載置される載置部p4とを有しており、長辺枠p1の上面p1’、短辺枠p2の上面p2’及び載置部p4が、同一平面を形成するように構成されている。なお、パレットPの材質は、木、金属等が考えられるが、合成樹脂で一体に形成されることが好ましい。長辺枠p1の長手方向に沿った上部角部には、長辺枠p1の中央部及び両端部を除いて、長辺枠p1の上面p1’から一段下がった段部p5が設けられており、段部p5の中央部には、上面が、長辺枠p1の上面p1’と略面一な嵌合凸部p6が設けられている。また、長辺枠p1の側壁には凹部p7が設けられており、凹部p7には、長辺枠p1の上板p8と下板p9とを連結する垂直リブp10が、所定の間隔を置いて配設されている。そして、上記嵌合凸部p6の下方に位置する下板p9の中央部には、嵌合凹部p11が設けられている。更に、長辺枠p1と短辺枠p2により形成されるパレットPの隅部の下部には、凹部p12が形成されており、従って、パレットPの隅部の下部に設けられた凹部p12と、長辺枠p1の下板p9の中央部に設けられた嵌合凹部p11との間に位置する長辺枠p1の下板p9には、長辺枠p1の長手方向に凸条p13が形成されることになる。なお、p14は、長辺枠p1の垂直壁に設けられた透孔である。」(段落【0009】〜【0010】)及び「パレットPの短辺枠p2は、垂直な板状に形成されており、短辺枠p2の両端部に形成された脚部p15と水平部p16との角部には、段差部p17が形成されている。また、図3に示されているように、パレットPを積み重ねた際には、下に位置するパレットPの上面角部に、上に位置するパレットPの脚部p15が載置され、上に位置するパレットPと下に位置するパレットPとの間に、所定の幅の間隙p18ができるように構成されている。」(段落【0012】)と記載され、「図1」には、載置部p4が網面で構成されていることが示されている。
上記した記載からみて、引用例には、「上面の方形状網面と、該方形状網面の互いに対向する側縁に固定して設けられる一対の短辺枠p2及び長辺枠p1とからなるパレットにおいて、該長辺枠の上板p8の長手方向に沿った上部角部には、長辺枠の中央部及び両端部を除いて、長辺枠の上面から一段下がった段部p5が設けられており、該段部p5の中央部には嵌合凸部p6が設けられ、該嵌合凸部p6の下方に位置する下板p9の中央部には、嵌合凹部p11が設けられ、更に、長辺枠p1と短辺枠p2により形成されるパレットの隅部の下部には、凹部p12が形成され、該凹部p12と長辺枠p1の下板p9の中央部に設けられた嵌合凹部p11との間に位置する長辺枠p1の下板p9には、長辺枠p1の長手方向に凸条p13が形成され、該凸条p13には上記段部p5よりも下方に透孔p14が設けられてなることを特徴とする煎餅生地乾燥用パレット」が記載されているものと認める。

(3)対比・判断
本願補正発明と引用例に記載された発明とを対比すると、後者の「長手方向に凸条p13が形成されている長辺枠p1」は、前者の「脚兼用側縁板」に該当し、また、後者の「透孔p14」は、前者の「開口」に該当するから、両者は、「上面の矩形網面と、該矩形網面の互いに対向する側縁に設けられる脚兼用側縁板とからなるパレットにおいて、該側縁板の長手方向に沿って設けられた長尺段差上に、1個の上向き突起を設け、さらに該側縁板の下面に上記の上向き突起に対応する位置に重ねるべき他のパレットの該突起の形状が嵌合する1個の凹所を設け、さらに該側縁板の長尺段差より下方の脚部分に開口を設けてなることを特徴とする煎餅生地乾燥用パレット」である点で一致し、前者は、矩形網面が互いに対向する脚兼用側縁板に角棒を介して固定されているのに対し、後者では、角棒を介して固定することについて記載されていない点で、両者は相違する。
この相違点について検討すると、網面を角棒を介して枠や側縁部に固定することは当業者の周知慣用の手段である(必要ならば、例えば実願平2-123905号(実開平4-82196号)のマイクロフィルムを参照のこと。)から、網面を角棒を介して脚兼用側縁板に固定することは、当業者にとって格別困難なことではない。
また、本願補正発明に係る効果も、引用例から予測されるところを超えて優れているとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知慣用の技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたといえる。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2、5項で準用する同法126条4項の規定に違反するものであり、特許法159条1項で準用する特許法53条1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年7月3日付の手続補正書により補正された同年3月29日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「上面の矩形網面と、該矩形網面の互いに対向する側縁に設けられる脚兼用側縁板とからなるパレットにおいて、両側縁板の長手方向に沿って、1又は2以上の上向き突起を設け、さらに該側縁板の下面の上記1又は2以上の上向き突起に対応する位置に該突起の形状が嵌合する1又は2以上の凹所を設け、さらに該側縁板に開口を設けてなることを特徴とする煎餅生地乾燥用パレット。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりであるから、引用例には、「上面の方形状網面と、該方形状網面の互いに対向する側縁に固定して設けられる一対の短辺枠p2及び長辺枠p1とからなるパレットにおいて、該長辺枠の上板p8の長手方向に沿った上部角部には、長辺枠の中央部及び両端部を除いて、長辺枠の上面から一段下がった段部p5が設けられており、該段部p5の中央部には嵌合凸部p6が設けられ、該嵌合凸部p6の下方に位置する下板p9の中央部には、嵌合凹部p11が設けられ、更に、長辺枠p1と短辺枠p2により形成されるパレットの隅部の下部には、凹部p12が形成され、該凹部p12と長辺枠p1の下板p9の中央部に設けられた嵌合凹部p11との間に位置する長辺枠p1の下板p9には、長辺枠p1の長手方向に凸条p13が形成され、該凸条p13には上記段部p5よりも下方に透孔p14が設けられてなることを特徴とする煎餅生地乾燥用パレット」が記載されていると認定できる。

(2)対比・判断
本願発明と引用例に記載された発明とを対比すると、両者は、「上面の矩形網面と、該矩形網面の互いに対向する側縁に設けられる脚兼用側縁板とからなるパレットにおいて、両側縁板の長手方向に沿って、1個の上向き突起を設け、さらに該側縁板の下面の上記1個の上向き突起に対応する位置に該突起の形状が嵌合する1個の凹所を設け、さらに該側縁板に開口を設けてなることを特徴とする煎餅生地乾燥用パレット。」の点で一致し、両者間に実質的な相違点はない。
そうすると、本願発明は、引用例に記載された発明である。

(3)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願出願に係る他の請求項2ないし5について検討するまでもなく、本願出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

(なお、出願人は、平成16年7月2日付の審尋に対する平成16年9月2日付回答書において、請求項2に関し補正する意志のある旨回答している。
しかし、上記回答書で、請求項2に関する具体的な補正案を提示しておらず、また、引用例の「パレットPの材質は、木、金属等が考えられるが・・」(段落【0009】)との記載に照らし、木枠製乾燥網にアルミニウム製脚兼用側縁板を組合わせることは、当業者が適宜実施し得る程度のことといえる。したがって、拒絶理由は通知しない。)
 
審理終結日 2004-12-15 
結審通知日 2004-12-16 
審決日 2005-01-06 
出願番号 特願平11-65938
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A23G)
P 1 8・ 113- Z (A23G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 左海 匡子鈴木 恵理子北村 弘樹  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 河野 直樹
柿沢 恵子
発明の名称 煎餅生地乾燥システム  
代理人 箕浦 清  

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