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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1112218 |
審判番号 | 不服2002-7246 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-03-05 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-04-25 |
確定日 | 2005-02-17 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第192477号「中栓」拒絶査定不服審判事件〔平成8年3月5日出願公開、特開平8-58824〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成6年8月16日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年2月25日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。) 「天板に上部先端が嘴状の注出筒を立設し、該注出筒の内側に、引張リングが連結する支柱をもち、薄肉脆弱線が周設する切取部を設け、注出筒の外側に係合突起をもつキャップ装着筒を立設し、該キャップ装着筒の下端周縁に薄肉脆弱線を介して、取外用つまみと、縦の薄肉脆弱線と、ボトル口頸部に嵌合する嵌合突部とをもつ把持筒を垂設し、天板下面にインナーリングを設けた中栓において、前記インナーリングのボトル口頸部の内面を圧接する垂直方向の長さ(h)が、前記ボトル口頸部の口部上面から垂直方向の嵌合突部下の谷の最上点(q)までの長さ(i)とほぼ同じで、4mm以上であり、かつ、前記キャップ装着筒の下端周縁と前記把持筒とを接続する前記薄肉脆弱線の厚さが、0.2〜0.3mmで、前記把持筒に設けた縦の薄肉脆弱線の厚さが、0.35〜0.5mmであることを特徴とする中栓。」 2.引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前である平成6年5月17日に頒布された特開平6-135451号公報(以下、「引用文献」という)には、以下の事項が記載されている。 記載事項a: 【請求項1】頂板部及び頂板部から垂下したスカート部から成り、頂板部に注出用開口となる中央部を有し、スカート部内面には容器口部と嵌合する係合用突起が設けられているキャップ本体と、頂板部及び頂板部から垂下したスカート部から成り、キャップ本体頂板部を覆うようにキャップ本体と嵌合する上蓋とから成るキャップにおいて、 キャップ本体スカート部には、外面下端部にタブが設けられ、このタブの付根部分から連続してスカート部下端から上方に延びて周方向に続くスコアが設けられ、該周方向スコアがキャップ本体の係合用突起よりも上方に位置しており、上蓋スカート部下端がキャップ本体スカート部の周方向スコアよりも下方に位置して固定されることを特徴とするキャップ。 【請求項2】前記タブの付根部分のスカート部下端に、スコアに連なる切欠が形成されている請求項1記載のキャップ。 【請求項3】前記注出用開口が、キャップ本体頂板部にスコアによって区画され、スコア内部に設けられたタブを引き上げてスコアを切断することにより形成される請求項1記載のキャップ。(特許請求の範囲、図1〜4) 記載事項b:本発明は内容物注出用開口を有するキャップ本体及びこれを覆う上蓋の組合せから成る容器蓋に関し、より詳細には使用後に容器本体から容易に離脱でき、廃棄処分に際して素材ごとの分別回収に対応可能な容器蓋に関する。(段落【0001】) 記載事項c:キャップ本体3は、頂板部5及びスカート部6から成っており、該頂板部5の中央部には注出用開口となるべき部分を区画するように、注出用側壁7の内側にはスコア8が設けられている。図3から明らかなように、スコア8で区画される部分には引上げ用のタブ9が設けられている。キャップ本体3のスカート部6の内方には頂板部から垂下し、スカート部と共に容器口部2を嵌合する環状側壁10が設けられ、またスカート部内側には、容器口部2の外側に設けられたビード11と係合する係合用突起12が設けられている。またキャップ上蓋4の頂板部内面には、注出用側壁7と密着してキャップの密封性を保持する環状突起13がそれぞれ設けられている。(段落【0009】) 記載事項d:キャップ本体3のスカート部6の内面にはスカート部下端から延びるスコア14が設けられている。このスコアは、スカート部下端に設けられた切欠15から連なって形成され、係合用突起11の位置よりも上方まで上方向に延びている立上がりスコア14aと、これに続いて周方向につながってスカート部をほぼ一周してスカート部下端の切欠15の上方の付近まで延びている周方向スコアbからなっている。切欠15の近傍にはタブ16が設けられ、このタブ16を引っ張ることにより切欠部分からスコアが破断してキャップ本体破壊の手掛かりになっている。またキャップ本体3のスカート部6下部及び容器口部2には、容器口部2に嵌合されたキャップ本体が回転しないように、ラチェット17a及び17bがそれぞれ設けられている。(段落【0010】) 3.対比 引用文献の「頂板部」、「注出用側壁」、「引上げ用のタブ」、「スコア」、「タブ」、「キャップ本体」は、本願発明の「天板」、「注出筒」、「引張リング」、「薄肉脆弱線」、「取外用つまみ」、「中栓」に対応しており、引用文献における「スカート部」及び「環状側壁」は容器口部に嵌合するものであり、スカート部の内側には容器口部の外側に設けられたビードと係合する係合用突起が設けられているから(記載事項c及び図1)、引用文献における「スカート部」及び「環状側壁」は、本願発明の「ボトル口頸部に嵌合する嵌合突部をもつ把持筒」と「インナーリング」に対応するものである。 また、引用文献の「注出用側壁」(本願発明の「注出筒」に対応)は図1を参照すると上部先端は嘴状になっている。 さらに、引用文献の「スコア」(本願発明の「薄肉脆弱線」に対応)は、スカート部下端に設けられた切欠から連なって形成され、係合用突起の位置よりも上方まで上方向に延びている立上がりスコアと、これに続いて周方向につながってスカート部をほぼ一周してスカート部下端の切欠の上方の付近まで延びている周方向スコアからなっている(記載事項d及び図2)から、本願発明における「キャップ装着筒の下端周縁に薄肉脆弱線」と「縦の薄肉脆弱線」が設けられていることに対応するものである。 これらの点を考慮して、本願発明と引用文献に記載されたものとを対比すると、 両者は、「天板に上部先端が嘴状の注出筒を立設し、該注出筒の内側に、引張リングが連結する支柱をもち、薄肉脆弱線が周設する切取部を設け、注出筒の外側に係合突起をもつキャップ装着筒を立設し、該キャップ装着筒の下端周縁に薄肉脆弱線を介して、取外用つまみと、縦の薄肉脆弱線と、ボトル口頸部に嵌合する嵌合突部とをもつ把持筒を垂設し、天板下面にインナーリングを設けた中栓」で一致し、 本願発明では、インナーリングのボトル口頸部の内面を圧接する垂直方向の長さ(h)がボトル口頸部の口部上面から垂直方向の嵌合突部下の谷の最上点(q)までの長さ(i)とほぼ同じで、4mm以上であるが、引用文献にはこれらについて文言上の記載がない点(相違点1) 本願発明では、キャップ装着筒の下端周縁と把持筒とを接続する薄肉脆弱線の厚さが、0.2〜0.3mmで、把持筒に設けた縦の薄肉脆弱線の厚さが、0.35〜0.5mmであるが、引用文献には、薄肉脆弱線の厚さについて記載がない点(相違点2) で相違している。 4.当審の判断 相違点1について 引用文献には、インナーリングのボトル口頸部の内面を圧接する垂直方向の長さ(h)とボトル口頸部の口部上面から垂直方向の嵌合突部下の谷の最上点(q)までの長さの関係について、文言上の記載はないが、図1を参照すれば、容器口部2を嵌合する環状側壁10(本願発明のインナーリングに対応)の長さは、容器口部の上面からスカート部の係合用突起の最上点まで(本願発明のボトル口頸部の口部上面から垂直方向の嵌合突部下の谷の最上点までに対応)の長さとほぼ同じであるものと認められる。そして、その長さ自体の具体的数値は不明であるが、ボトル口頸部に嵌合圧接して強固に嵌着するという機能が果たされるための適切な長さがあればよいのであるから、その長さは瓶の大きさ等によって変更され得るものであって、4mm以上という数値範囲に格別の技術的意義があるものとは認められず、具体的な数値範囲は当業者が適宜容易に定め得る設計事項にすぎない。 相違点2について 本願発明では、キャップ装着筒の下端周縁と把持筒とを接続する薄肉脆弱線の厚さが、0.2〜0.3mmで、把持筒に設けた縦の薄肉脆弱線の厚さが、0.35〜0.5mmと数値で限定されているが、薄肉脆弱線の厚さをどの程度とするかは、ボトル口頸部への嵌着時の強度を確保し、且つ、切り離し時の強度を適当なものとすると共に、用いられている材料の強度や成形方法等を考慮して定めるものであり、本願発明で限定されている厚さの数値範囲に格別の技術的意義があるものとは認められず、その厚さを数値で限定することは当業者が適宜容易に定め得る設計事項にすぎない。 また、本願発明では、縦の薄肉脆弱線を比較的厚くすることにより、成形時の離型による把持筒の広がりによる縦の薄肉脆弱線の切れが防止されるという効果(段落【0004】、第3頁第4欄第2〜5行)が主張されているが、成形時の離型により力がかかる部分での切れを防止するために厚みを厚くすることも当業者が容易になし得る程度のことにすぎない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-12-07 |
結審通知日 | 2004-12-14 |
審決日 | 2005-01-04 |
出願番号 | 特願平6-192477 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大町 真義 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
渡邊 豊英 溝渕 良一 |
発明の名称 | 中栓 |