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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1112440
審判番号 不服2003-1261  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-06-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-21 
確定日 2005-02-24 
事件の表示 平成 5年特許願第292005号「携帯電話装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 6月 6日出願公開、特開平 7-147601〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成5年11月22日の出願であって、平成13年9月27日付けで拒絶理由が通知され、その指定された期間内である平成13年12月3日付けで手続補正がなされ、この平成13年12月3日付けの手続補正は平成14年6月24日付けで補正の却下がなされ、平成14年12月19日付けで拒絶の査定がなされたところ、拒絶査定に対する不服の審判請求がなされるとともに、本願明細書について、平成15年1月21日付けで手続補正がなされ、平成16年7月28日付けで拒絶理由が通知され、その指定された期間内である平成16年9月10日付けで手続補正がなされものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年1月21日付けの手続補正、及び平成16年9月10日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】 自己の電話呼出の待ち受け中に、放送受信用操作釦が操作されると、受信した放送波を放送波信号処理回路により信号処理し、処理された信号をスピーカまたはイヤホン端子から出力するとともに、前記待ち受け状態を維持することが可能な携帯電話装置において、
電話装置用の信号をダイバシティ受信を行うことができる第1アンテナ及び第2アンテナと、
前記放送波を受信するための第3アンテナと、
前記第1アンテナが受信した電話装置用の信号を処理する電話信号処理回路と、
前記第2アンテナが受信した電話装置用の信号を処理するか又前記第3アンテナが受信した放送波を処理する信号処理回路と、
前記信号処理回路において電話装置用の信号を処理するための電話ローカル信号を発振させる電話用ローカル信号発信器と、
前記信号処理回路において受信された放送波を処理するための受信用ローカル信号を発振させる受信用ローカル信号発信器と、
前記携帯電話装置全体を制御する制御回路を具備し、
前記信号処理回路において、前記電話ローカル信号と前記受信用ローカル信号を切り替える第1のスイッチと、前記第2アンテナからの信号と前記第3アンテナからの信号を切り替える第2スイッチと、第1スイッチにより選択されたローカル信号を用いて第2スイッチにより選択された受信信号をダウンコンバートするダウンコンバータを具備し、前記制御回路は、前記第3アンテナによって放送を受信し、前記放送信号処理回路により処理された信号がスピーカまたはイヤホン端子から出力され、前記第1アンテナを用いて待ち受け動作時において、接続されている前記第1アンテナが受信した信号により前記電話信号処理回路が自己の電話呼出を検出したとき、着信を報知すること、を特徴とする携帯電話装置。」

3.引用刊行物
(1)引用刊行物
これに対して、当審の拒絶理由に引用され、本願の出願の日前である平成5年10月15日に頒布された特開平5-268151号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。
a)「従来、放送や通信メディアとしてよく戸外で利用されるものとして、携帯ラジオと携帯電話機(無線電話装置)があった。それぞれの機能ブロックを図3,図4に示す。図3の携帯ラジオでは、アンテナ21から入力された微弱電波を受信波増幅部の作用を行う受信フロントエンド22で増幅し、さらに、シンセサイザ部23の局部発振器からの信号をミキシングして希望の放送局の中間周波を作り、検波部24で元の音声信号を取り出す。この信号をベースバンド処理部5で増幅してスピーカ6を鳴らすことによりラジオを聞くことができる。ラジオ全体の制御は制御部7で行われる。8は表示部で、選局周波数などを表示する。9は操作部で、選局,音量調整等を行う。」(2頁左欄16行ないし28行)
b)「図4の無線電話装置では、受信側は図3の携帯ラジオとほぼ同じ要領でスピーカ6に音声が出力される。1,2,3,4は図3に示した携帯ラジオの21,22,23,24にそれぞれ対応するアンテナ,受信フロントエンド,シンセサイザ部,検波部である。送信側は、まず、マイク10からの入力音声が電気信号に変換され、ベースバンド処理部5で増幅されて変調部11へ入力される。ここで、シンセサイザ部3から搬送波をもらってミキシング・変調し、送信波増幅部の作用を行う送信フロントエンド12で規定の出力まで増幅され、送受信の信号を周波数で分けるバンドパスフィルタ13を通ってアンテナ1より電波として送信される。また、7は制御部、8は表示部で、電話番号の表示や装置の状態等を示す。9は操作部で、発呼,電話番号の入力等を行う。無線電話装置の場合、送受信の周波数選択は基地局と当該無線電話装置の間で自動的に行われるのが通常である。以上各部の説明において、ベースバンド処理部5,スピーカ6,およびマイク10は合わせて音声処理部、検波部4または24および変調部11からアンテナ1または21に至るブロックは、高周波処理部としてまとめて呼ぶことができる。」(2頁左欄29行ないし49行)
c)「本発明は、複合携帯機に係り、特に、無線電話装置にラジオを一体化させたラジオ付き無線電話装置に関するものである。」(2頁左欄12行ないし14行)
d)「本発明に係るラジオ付き無線電話装置は、無線電話装置および携帯ラジオのそれぞれ制御部,音声処理部,表示部,および操作部が少なくとも共通化して構成され、変調・検波部以上の高周波処理部が無線電話装置および携帯ラジオのそれぞれに設けられ、共通化した制御部に装置全体を制御せしめるマイコンが具備されるとともに、無線電話装置と携帯ラジオが同一筐体内に一体構成されているものである。」(2頁右欄12行ないし19行)
e)「図1はラジオ付き無線電話装置の機能ブロック図の一実施例を示している。図1において、図3,図4と同一符号は同一構成部分を示しており、ベースバンド処理部5,スピーカ6,制御部7,表示部8,および操作部9は、ラジオと電話機で共通部品を使用している。図示していないが、もちろん筐体は共通化し1つとなっている。31,32はラジオと電話機の切替えを行う切替スイッチで、連動して行う。つまり、切替スイッチ31をラジオ側にしたとき(図1に示す状態)、切替スイッチ32は図1に示すようにオフでよく、切替スイッチ32を電話機側にしたとき、切替スイッチ31も電話機側に接続されるように制御される。また、切替スイッチ31は電話機側の接点31aとラジオ側の接点31bとを有する。これら全体を制御するのに制御部7にマイコン7aを使用することにより、各種の自動制御等を行わせると同時に、使用者が使い易いように各種の設定ができるようにもしてある。また、電話機として受信の有無確認や位置登録のため、切替スイッチ31,32はマイコン7aで自動コントロールされる電子型のもので、ラジオを使用中(図1の状態)は電話部は間欠的に受信の有無のみを、例えば、検波部4の出力信号でマイコン7aによりチェックされ、受信があったときには、自動的に切替スイッチ31,32を電話機側に接続することにより、ラジオが切られ電話機が使用されるようになる。このような構成により、ラジオを使用している場合でも、電話機が受信状態になると即時に知ることができ、ラジオを切って電話機を使用することができる。以下に、この動作を図2のフローチャートを参照して説明する。」(2頁右欄26行ないし3頁左欄3行)
上記の記載、およびこの分野の技術常識を考慮すれば、引用刊行物には、
「電話機の受信待ち受け状態において、切替スイッチ31がラジオ側に切替えられると、受信した放送波をベースバンド処理部5等の処理回路により信号処理し、処理された信号をスピーカ6から出力するとともに、前記電話機の受信待ち受け状態を維持することが可能なラジオ付き無線電話装置において、
電話機用の信号を受信するアンテナ1と、
放送波を受信するためのアンテナ21と、
前記アンテナ1が受信した電話機用の信号を処理するバンドパスフィルタ13、受信フロントエンド2、シンセサイザ部3、検波部4、ベースバンド処理部5及びマイコン7aと、
前記アンテナ21で受信した放送波を処理する受信フロントエンド22、シンセサイザ部23、検波部24、ベースバンド処理部5と、
(電話用のローカル信号を発振させる)シンセサイザ部3の局部発振器と、
(放送波用のローカル信号を発振させる)シンセサイザ部23の局部発振器と、
前記ラジオ付き無線電話装置全体を制御する制御部7を具備し、
前記アンテナ1からの受信信号と前記シンセサイザ部3からのローカル信号とをミキシングして受信信号をダウンコンバートする前記受信フロントエンド2と、
前記アンテナ21からの受信信号と前記シンセサイザ部23からのローカル信号とをミキシングして受信信号をダウンコンバートする前記受信フロントエンド22とを具備し、
前記制御部7は、前記アンテナ21によって放送を受信し、前記ベースバンド処理部5等により処理された信号がスピーカから出力され、前記アンテナ1を用いて待ち受け動作時において、接続されている前記アンテナ1が受信した信号によりマイコン7aが自己の電話呼出を検出したとき、着信を報知するラジオ付き無線電話装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

(2)周知の技術
ア) 当審の拒絶理由中において周知の技術として示した特開平4-207233号公報(以下「周知例1」という。)には、第4図とともに以下の記載がある。
a)「本発明は、移動体通信に特有なフェージングを克服する手段であるダイバーシチ受信回路に関するものである。」(1頁右下欄16行ないし18行)
b)「以下、第4図を参照して、従来のダイバーシチ受信回路について説明する。
第4図において、1は高周波入力端子、2は低雑音増幅器、3は第1混合器、4が第1局部発振器、5は第1IFBPF、6は第1IF増幅器、7は第2混合器、8は第2局部発振器、9は第2IFBPF、10は第2IF増幅器、11はリミッタ、12はディスクリミネータ、13は切替制御器、14は復調出力端子である。」(2頁左上欄5行ないし13行)
なお、周知例1にはアンテナが明示されていないが、当業者の技術常識を考慮すれば、アンテナはダイバーシチ受信回路の高周波入力端子1側に接続されるから、アンテナを備えていることは明らかである。

イ) 同じく、当審の拒絶理由中において周知の技術として示した特開平5-252094号公報(以下「周知例2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
c)「図1は、本発明の1実施例を示す図である。待ち受け動作以外の場合(待ち受けモード信号14が有効でない状態)では、受信機1用電源投入/切断回路9、受信機2用電源投入/切断回路10、ダイバシティ部用電源投入/切断回路11はそれぞれ投入状態になっており、アンテナ3が接続された受信機1およびアンテナ4が接続された受信機2の出力信号を、受信機1及び受信機2からそれぞれ出力される電界強度測定用信号をもとにダイバシティ部5から待ち受け制御部を経てより信号強度の強い受信機出力に切換える、ダイバシティ動作を行う。このとき、待ち受け制御部13はダイバシティ出力に従って両受信機の出力を切換える作業を行なう。一方、待ち受け状態になり、待ち受けモード信号14を検出すると、待ち受け制御部13は、受信機2用電源投入/切断回路10、ダイバシティ部用電源投入/切断回路11をそれぞれ切断状態、受信機1用電源投入/切断回路9を投入状態にし、出力選択回路12は受信機1の出力を選択した状態でホールドされる。したがって、待ち受け動作は、ダイバシティ動作を停止し、受信出力15には常に受信機1の出力のみが表れる。本実施例では、待ち受け動作時ダイバシティ動作を停止し、またどちらかの受信機は停止していることから、消費電力は常にダイバシティ動作を行なっている場合に比較して1/2にすることができる。」(2頁右欄4行ないし27行)

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
(1)対比
a.引用発明の「電話機」、「電話機の受信待ち受け状態において」、「切替スイッチ31がラジオ側に切替えられると」、「受信した放送波をベースバンド処理部5等の処理回路により信号処理し」、「ラジオ付き無線電話装置」、「制御部7」は、それぞれ、本願発明の「電話装置」、「自己の電話呼出の待ち受け中に」、「放送受信用操作釦が操作されると」、「受信した放送波を放送波信号処理回路により信号処理し」、「携帯電話装置」、「制御回路」に相当することは明らかである。
b.引用発明の「電話機用の信号を受信するアンテナ1」と本願発明の「電話装置用の信号をダイバシティ受信を行うことができる第1アンテナ及び第2アンテナ」は、共に「電話機用の信号を受信する第1のアンテナ」である点で一致する。
c.引用発明の「放送波を受信するためのアンテナ21」と本願発明の「放送波を受信するための第3アンテナ」は、共に「放送波を受信する第2のアンテナ」である点で一致する。
d.引用発明の「アンテナ1が受信した電話機用の信号を処理するバンドパスフィルタ13・・・ベースバンド処理部5及びマイコン7a」は、本願発明の「第1アンテナが受信した電話装置用の信号を処理する電話信号処理回路」に相当する。
e.引用発明の「シンセサイザ部3の局部発振器」、「シンセサイザ部23の局部発振器」は、それぞれ、本願発明の「電話装置用の信号を処理するための電話ローカル信号を発振させる電話用ローカル信号発信器」、「受信された放送波を処理するための受信用ローカル信号を発振させる受信用ローカル信号発信器」に相当する。
f.引用発明の「ラジオ付き無線電話装置全体を制御する制御部7」は、本願発明の「携帯電話装置全体を制御する制御回路」に相当する。
g.引用発明の「アンテナ1からの受信信号とシンセサイザ部3からのローカル信号とをミキシングして受信信号をダウンコンバートする受信フロントエンド2と、アンテナ21からの受信信号とシンセサイザ部23からのローカル信号とをミキシングして受信信号をダウンコンバートする受信フロントエンド22とを具備し」と、本願発明の「第1スイッチにより選択されたローカル信号を用いて第2スイッチにより選択された受信信号をダウンコンバートするダウンコンバータを具備し、」とは、共に「ローカル信号を用いて受信信号をダウンコンバートするダウンコンバータを具備する」点で共通する。
g.引用発明の「前記制御部7は、前記アンテナ21によって放送を受信し、前記ベースバンド処理部5により処理された信号がスピーカから出力され、前記アンテナ1を用いて待ち受け動作時において、接続されている前記アンテナ1が受信した信号によりマイコン7aが自己の電話呼出を検出したとき、着信を報知するラジオ付き無線電話装置」と本願発明の「前記制御回路は、前記第3アンテナによって放送を受信し、前記放送信号処理回路により処理された信号がスピーカまたはイヤホン端子から出力され、前記第1アンテナを用いて待ち受け動作時において、接続されている前記第1アンテナが受信した信号により前記電話信号処理回路が自己の電話呼出を検出したとき、着信を報知すること、を特徴とする携帯電話装置。」とは、「前記制御回路は、前記第2のアンテナによって放送を受信し、前記放送信号処理回路により処理された信号がスピーカから出力され、前記第1のアンテナを用いて待ち受け動作時において、接続されている前記第1アンテナが受信した信号により前記電話信号処理回路が自己の電話呼出を検出したとき、着信を報知する携帯電話装置」である点で一致する。
したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。

(2)一致点
「自己の電話呼出の待ち受け中に、放送受信用操作釦が操作されると、受信した放送波を放送波信号処理回路により信号処理し、処理された信号をスピーカから出力するとともに、前記待ち受け状態を維持することが可能な携帯電話装置において、
電話装置用の信号を受信する第1のアンテナと、
前記放送波を受信するための第2のアンテナと、
前記第1のアンテナが受信した電話装置用の信号を処理する電話信号処理回路と、
前記電話装置用の信号を処理するための電話ローカル信号を発振させる電話用ローカル信号発信器と、
受信された放送波を処理するための受信用ローカル信号を発振させる受信用ローカル信号発信器と、
前記携帯電話装置全体を制御する制御回路を具備し、
ローカル信号を用いて受信信号をダウンコンバートするダウンコンバータを具備し、
前記制御回路は、前記第2のアンテナによって放送を受信し、前記放送信号処理回路により処理された信号がスピーカから出力され、前記第1のアンテナを用いて待ち受け動作時において、接続されている前記第1アンテナが受信した信号により前記電話信号処理回路が自己の電話呼出を検出したとき、着信を報知する携帯電話装置。」

(3)相違点
ア)本願発明は、電話装置用の信号をダイバシティ受信を行うことができる第1アンテナ及び第2アンテナで受信し、放送波を第3アンテナによって受信するのに対して、引用発明は、電話装置用の信号を第1のアンテナで受信し、放送波を第2のアンテナで受信するものの、電話装置用の信号をダイバシティ受信で行うものではない点。
イ)本願発明は、前記第2アンテナが受信した電話装置用の信号を処理するか又前記第3アンテナが受信した放送波を処理する信号処理回路を備えているのに対して、引用発明は、そのような信号処理回路を備えていない点。
ウ)本願発明は、「電話用ローカル信号発信器」と「受信用ローカル信号発信器」を信号処理回路に備えているのに対して、引用発明は、(電話用のローカル信号を発振させる)局部発振器と(放送波用のローカル信号を発振させる)局部発振器はシンセサイザ部3、23に備えている点。
エ)本願発明には、「信号処理回路において、前記電話ローカル信号と前記受信用ローカル信号を切り替える第1のスイッチと、第2アンテナからの信号と第3アンテナからの信号を切り替える第2スイッチと、第1スイッチにより選択されたローカル信号を用いて第2スイッチにより選択された受信信号をダウンコンバートするダウンコンバータ」を具備しているのに対して、引用発明には、そのような構成のものはない点。

4.判断
(1)相違点ア)について
携帯電話装置において、第1のアンテナ及び第2のアンテナを備え、電話装置用の信号をダイバシティ受信することは上記周知例1、2に開示されているように周知の技術であり、この周知の技術を引用発明に適用することを阻害する格別の理由はないから、引用発明において、電話装置用の信号をダイバシティ受信を行うことができる第1アンテナ及び第2アンテナで受信するようにし、また、第3アンテナによって放送波を受信するようにすることは当業者であれば適宜実施し得ることである。

(2)相違点イないしエ)について
通信の技術分野において、通信機器に、第1のアンテナが受信した放送波等を処理するか又第2のアンテナが受信した放送波等を処理する信号処理回路を備え、
この信号処理回路において第1のアンテナで受信した放送波等を処理するためのローカル信号を発振させる放送波等用の局部発振回路(ローカル信号発信器)と、
この信号処理回路において第2のアンテナで受信した放送波等を処理するためのローカル信号を発振させる放送波等用の局部発振回路(ローカル信号発信器)と、
前記信号処理回路において、第1のアンテナで受信した放送波等を処理するためのローカル信号と、第2のアンテナで受信した放送波等を処理するためのローカル信号を切り替える第1切替回路(スイッチ)と、
第1のアンテナで受信した放送波等と第2のアンテナで受信した放送波等を切り替える第2の切替回路(スイッチ)と、
前記第1の切替回路(スイッチ)により選択されたローカル信号を用いて前記第2の切替回路(スイッチ)により選択された放送波等の受信信号を周波数変換(ダウンコンバート)する周波数変換回路(ダウンコンバータ)を備えることは周知の技術(例えば、特開平5-167940号、特開平3-6194号公報、特開昭63-67030号公報)であり、この周知の技術を、通信機器の一種であるラジオ付き無線電話装置に適用することに格別の創意工夫を要しないと考えられるから、引用発明において、第2アンテナが受信した電話装置用の信号を処理するか又第3アンテナが受信した放送波を処理する信号処理回路と、前記信号処理回路において電話装置用の信号を処理するための電話ローカル信号を発振させる電話用ローカル信号発信器と、前記信号処理回路において受信された放送波を処理するための受信用ローカル信号を発振させる受信用ローカル信号発信器とを具備し、
前記信号処理回路において、前記電話ローカル信号と前記受信用ローカル信号を切り替える第1のスイッチと、前記第2アンテナからの信号と前記第3アンテナからの信号を切り替える第2スイッチと、第1スイッチにより選択されたローカル信号を用いて第2スイッチにより選択された受信信号をダウンコンバートするダウンコンバータを具備するようにすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。

(3)まとめ
したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する
 
審理終結日 2004-12-20 
結審通知日 2004-12-21 
審決日 2005-01-11 
出願番号 特願平5-292005
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 洋一岩井 健二  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 野元 久道
有泉 良三
発明の名称 携帯電話装置  
代理人 芝野 正雅  

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