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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1112586
審判番号 不服2003-12377  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-07-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-02 
確定日 2005-02-28 
事件の表示 平成11年特許願第 1487号「分散型ネットワークノード」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 7月18日出願公開、特開2000-201163〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年1月6日の出願であって、平成15年5月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年7月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに平成15年7月31日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年7月31日付けの手続補正についての検討
[結論]
平成15年7月31日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願請求項1に記載された発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】子局を遠隔配置するネットワークの分散型ネットワークノードにおいて、
個別のインタフェース処理を行うインタフェース部と、
主信号とノードを管理する管理制御信号とを処理する共通部と、
を有する第1の筐体に格納された拡張ノードと、
前記拡張ノードを管理し管理制御信号を生成する管理制御部と、
前記拡張ノードとの間で主信号と前記管理制御信号の送受信処理を行う共通部と、
を有する第2の筐体に格納されたコアノードと、
前記拡張ノードと前記コアノードとを接続し、前記主信号と管理制御信号を交換する伝送路と、
からなる分散型ネットワークノードが単一のノードを構成し、
前記拡張ノードのインタフェース部と共通部とは、それぞれ独立して構成され、前記主信号と管理制御信号を交換する信号線のみで接続されてなることを特徴とする分散型ネットワークノード。」と補正された。
本件補正は、「分散型ネットワークノード」を、「分散ネットワークノードが単一のノードを構成し」との限定を含むが、このような限定は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内になされたものであるから、特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-4425号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

イ.「【請求項1】 広域に散在する加入者を交換局に収容する遠隔多重方式において,交換局と遠隔多重装置との間を,物理的には交換局から一つの遠隔多重装置,該遠隔多重装置から順次他の遠隔多重装置を介して最後に交換局と接続する双方向の伝送路でリング状に接続し,各遠隔多重装置は,それぞれ前記伝送路を介して論理的に交換局との間に個別の双方向の二重化されたコネクションを備え,各遠隔多重装置は,前記伝送路上の各遠隔多重装置に割り当てられた制御信号用の制御チャネルと通信信号用の通信チャネルから自装置用に割付けられた各チャネルに送信信号を付加し,受信信号を引出すと共に他装置用に割付けられたチャネル信号をバイパスする付加・引出バイパス部と,前記付加・引出バイパス部と複数の加入者線との間に設けられた加入者線多重部とを備えることを特徴とする遠隔多重方式。」(第2頁第1欄第2行〜第16行)

ロ.「【請求項3】 請求項1において,前記各遠隔多重装置は,隣接する遠隔多重装置との間の伝送路状態を検出して障害を検出すると前記伝送路を介して交換局に設けられた遠隔多重装置インタフェース部に通知する機能を備え,遠隔多重装置インタフェース部に伝送路監視・制御部を備え,該伝送路監視・制御部は前記各遠隔多重装置からの前記通知を受け取ると,通知ルートに応じて障害発生区間を認識し,認識した障害発生区間に対応して障害区間を除いた伝送路により各遠隔多重装置が交換局とコネクションを形成させるための選択系コネクションを識別して,系選択指示を前記制御チャネルを介して各遠隔多重装置に送信することにより系の切替えを行うことを特徴とする遠隔多重方式。」(第2頁第1欄第25行〜第37行)

ハ.「【0014】【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理構成図である。図1において,1は交換局,2は遠隔多重装置インタフェース部,3は伝送路終端部,4はエリア#1のアナログ端末(A端末)やISDN端末(I端末)等の加入者線を収容する加入者線多重部(図示せず)を備えた遠隔多重装置#1,5は遠隔多重装置4の伝送路終端部,6はエリア#2の加入者線を収容する加入者線多重部(図示せず)を備えた遠隔多重装置#2,7は遠隔多重装置6の伝送路終端部,8aと8b,9aと9b,10aと10bはそれぞれ交換局1と遠隔多重装置#1,遠隔多重装置#1と遠隔多重装置#2,及び遠隔多重装置#2と交換局1のそれぞれを接続する双方向の伝送路である。
【0015】本発明は,交換局と遠隔多重装置の間及び遠隔多重装置の間を接続する伝送路としてそれぞれ一方向に1本で双方向の伝送のための2本だけ設け,リング型に接続して同一の伝送路を共有する構成とする。しかし,リング接続形態であるが,遠隔多重装置と交換局の遠隔多重装置インタフェース部の間は,論理的に1対1のスター型のコネクション(通信チャネル,制御チャネル)を構成し,各遠隔多重装置と交換局との間には論理的に伝送路は0系と1系に二重化される。各遠隔多重装置では,一方向用の伝送路を0系,他方向用の伝送路を1系として各遠隔多重装置の終端部で自装置用の信号を付加(送信)または抽出(受信)し,他装置用の信号をバイパスする。」(第4頁第5欄第20行〜第46行)

ニ.「【0024】遠隔多重装置#1では,アナログ端末,ISDN端末,専用線からのディジタル信号(アナログ端末からの信号は図示省略されたアダプタによりA・D変換され,アナログ端末への信号はD・A変換される)はセレクタ&加入者線多重部4bにおいて多重化され,更に付加・引出バイパス部4aにおいて0系及び1系の伝送路のハイウェイフォーマット上の予め遠隔多重装置#1に割当られた通信チャネルに付加される。また,伝送路上のハイウェイフォーマット上の予め遠隔多重装置#1に割当てられた通信チャネルの信号が引出されて,セレクタ&加入者線多重部4bへ入力され,端末,専用線へ選択的に出力される。」(第5頁第7欄第13行〜第24行)

ホ.「【0030】図4に示すようにリング接続(論理スター型コネクション)された遠隔多重装置と遠隔多重装置インタフェース部(交換局)の間の伝送路状態の監視・通知は次のように行われる。すなわち,各遠隔多重装置#1,#2は隣接する伝送路状態を黒丸で示す検出機能と,白丸で示す通知機能により行う。具体的には,遠隔多重装置#1の0系伝送路終端部5aは,0系伝送路終端部3aとの間で区間Aの0系のコネクション(1)(図2の伝送路8a,8bを介する)の検出,通知を行い,1系のコネクション(2)(図2の伝送路9a,9b及び10a,10bを介する)の検出,通知が行われ,障害が検出されると遠隔多重装置インタフェース部2の伝送路監視・制御部20に通知される。遠隔多重装置#2の各コネクションについても状態検出と通知も同様に0系,1系の各伝送路終端部7a,7bと交換局の各伝送路終端部3a,3bの間で行われる。
【0031】図4に示す遠隔多重装置#1の0系と1系の各伝送路終端部5a,5bとそれぞれに対向する遠隔多重装置インタフェース部2の各0系と1系の伝送路終端部3a,3bの構成及び,監視される対象であるコネクション(1)(2)は上記図16及び図17に示す従来例の各構成及び機能が同じであり,従来の物理的にスター型の遠隔多重装置の伝送路終端部のインタフェースと整合を取ることができ,互換性を備えている。」(第5頁第8欄第16行〜第40行)

ヘ.「【0063】各遠隔多重装置は,隣接する伝送路の状態を遠隔多重装置インタフェース部に通知することにより遠隔多重装置インタフェース部はリング状に接続された遠隔多重装置の数と位置に依存せず伝送路状態を通知することができ,遠隔多重装置インタフェース部は通知内容を識別して,障害伝送路区間を識別して,各遠隔多重装置に0系,1系のコネクションの何れかを指定して障害発生に対しても正常に運用することが可能となる。」(第9頁第15欄第11行〜第18行)

ト.図1及び図2には、交換局と遠隔多重装置が、別体の筐体に設けられ、分散して配置され、図2からは、遠隔多重装置のセレクタ&加入者線多重部と付加・引出バイパス部が、それぞれ独立して構成されるることが読み取れる。

以上の記載を総合すると、引用例には、
「遠隔多重装置を遠隔配置する遠隔多重方式において、
アナログ端末やISDN端末を収容するセレクタ&加入者線多重部と、
通信信号用の通信チャネルで信号を、制御信号用の制御チャネルで系選択指示信号、伝送路状態信号を送受信する付加・引出バイパス部と、
を有する第1の筐体に格納された遠隔多重装置と、
前記遠隔多重装置と接続され、伝送路監視と制御を行う伝送路監視・制御部と、
前記遠隔多重装置との間で通信チャネルで信号を、制御チャネルで系選択指示信号、伝送路状態信号を送受信する遠隔多重装置インタフェース部と、
を有する第2の筐体に格納された交換局と、
前記交換局と前記遠隔多重装置とを接続し、前記通信チャネルで信号を制御チャネルで系選択指示信号、伝送路状態信号を交換する伝送路と、
からなる遠隔多重方式を構成し、
前記遠隔多重装置のセレクタ&加入者線多重部と付加・引出バイパス部とは、それぞれ独立して構成される遠隔多重方式」の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例に記載された発明」という。)

例えば、伊藤久泰他2名 ”通信網のディジタル化により大きくなるPBXの役割” NTT技術ジャーナルVol.2 No.12 第14頁〜第17頁 1990年12月1日(以下、「周知例1」という。)には、次のような記載がある。

イ.「EP32-Gは,複数の分散交換ノードを光ループに結合できる大容量のPBXで,広い工場や高層ビル等に適用できる特徴があります.今回,更に遠隔ノード及び遠隔シェルフ機能により,事業所の敷地が分散している場合でも,同一のPBXに収容できる広域内線システムの構築が可能となりました.

広域分散化に適したEP32-Gシステム
INSネットサービス,高速ディジタル専用線(SD回線)サービス等の通信網のディジタル化により,プライベートネットワークの中核を成すディジタルPBXの役割はますます大きくなり,企業ごとの条件に適合した柔軟かつ多様なシステムが要望されています.
その一例として,分散したビル群に配置された支店,営業所等を同一のPBXに収容して,多様なサービスを均一に提供する広域内線システムが挙げられます.
EP32-Gは,1,000内線まで収容できる分散交換ノード(DSN)を,光ループネットワークで規模に応じて必要な数だけステーション(STN)を介して連結することにより,最大で16,000内線まで収容可能な大容量のディジタルPBXです.各ノードには協調型分散交換制御方式が採用されており,規模によらず均一なサービスの提供が可能です.したがって,光ループにより,数十kmにわたる広大な敷地に分散した工場等も同一のPBXに収容できるという特徴を持っています.
しかしながら事業所の敷地が分散している場合には,敷地間に私設線の光ループを布設することは難しく,これまでは,各敷地内にPBXを設置し互いに専用線で結ぶ方式を採っていました.この場合,各PBXは独立しており,均一のサービスが提供できない.また内線規模に適した装置構成が採れないなどの問題点がありました.
このためEP32-Gでは,以下の新しいサービス機能を追加し,従来にない大容量の広域内線システムを構築できるようにしました.
(1)拠点となる敷地に布設した光ループから,ディジタル回線を介してDSNを遠隔に設置できる遠隔ノード(RN).
(2)DSNに実装する回線/端末用のパッケージの一部を,ディジタル回線を介して遠隔に設置できる遠隔シェルフ(RS).
RN,RSを用いたEP32-G広域内線システムの適用例を図1に示します.

遠隔ノードで分散ビルを統合
遠隔ノードとは
EP32-Gは,図1のように伝送速度が100Mb/s,又は400Mb/sの光ループにSTNを介してDSNを接続し,分散交換ネットワークを形成しています.従来,DSN-STN間はメタリック回線で,距離制限がありました.遠隔ノードは,STN-DSN間をアダプタ及びSD回線で延長接続することを可能とし,DSN単位で広域内線化を実現するサービス機能です.
すなわち,構外に分散して設置されているDSNを,SD回線により同一ループ内に統合し,同一のPBXサービスを提供することを可能としました.

ノード間トラヒック見合いでSD回線を選択
遠隔ノードでは,図2のブロック構成図に示すように,STN-DSN間をSD回線を用いて延長するため,従来のSTN-DSNインタフェースを遠隔ノードアダプタ(RNA)により,SDのユーザ網インタフェース(DSUインタフェース)に変換しています.すなわち,STN及びDSNは従来のままのインタフェースで接続でき,新たにDSNにサービス機能を追加しても遠隔ノードとしての変更を必要としない方式を採用しています.
一方,遠隔ノード接続用のSD回線は,ノード間トラヒック見合いで,最小で1.5Mb/s回線を1本(24ch)から,最大で6Mb/s回線を4本(384ch)まで柔軟に選択することができます.
ところで,EP32-Gの特長である協調分散交換方式は、遠隔ノードにもそのまま適用できるため,SD回線故障時には遠隔ノードが独立のPBXとして動作するようになっています.」

以上より、「同一の分散交換ノード(DSN)により、遠隔ノード、遠隔シェルフ傘下の端末を、収容して、多様なサービスを均一に提供する広域内線システム」は、周知である。

(3)対比
本願補正発明と引用例に記載された発明を対比する。
a.引用例に記載された発明の「遠隔多重装置」は、交換局の傘下にあるいわば拡張ノードであるから、本願補正発明の「拡張ノード」に相当する。また、引用例の「遠隔多重装置」は、交換局の子局としても動作している。
b.引用例に記載された発明の「交換局」は、遠隔多重装置のコアノードであるから、本願補正発明の「コアノード」に相当する。
c.引用例に記載された発明の「遠隔多重方式」は、交換局と遠隔多重装置が分散して配置され、交換局と遠隔多重装置が合わせて、ネットワークを構成し、分散型ネットワークとなっているから、本願補正発明の「ネットワークの分散型ネットワーク」に相当している。
d.引用例に記載された発明の「遠隔多重装置」の「アナログ端末やISDN端末を収容するセレクタ&加入者線多重部」は、アナログ端末や、ISDN端末の個別のインタフェース処理を行うインターフェース部として、機能しており、本願補正発明の「拡張ノード」の「個別のインタフェース処理を行うインタフェース部」に相当する。
e.引用例の「通信チャネルの信号」が、本願補正発明の「主信号」に相当し、引用例の「系選択指示信号、伝送路状態信号」と本願補正発明の「ノードを管理する管理制御信号」は、「制御信号」の点で、一致し、引用例の「遠隔多重装置」の「付加・引出バイパス部」は、通信チャネルの信号と、制御信号を処理しており、本願補正発明の「拡張ノード」の「共通部」に相当するので、引用例に記載された発明の「遠隔多重装置」の「通信信号用の通信チャネルで信号を、制御信号用の制御チャネルで系選択指示信号、伝送路状態信号を送受信する付加・引出バイパス部」と本願補正発明の「拡張ノード」の「主信号とノードを確認する管理制御信号とを処理する共通部」は、「拡張ノード」の「主信号と制御信号とを処理する共通部」の点で、一致する。
f.引用例に記載された発明の「交換局」の「前記遠隔多重装置との間で通信チャネルで信号を、制御チャネルで系選択指示信号、伝送路状態信号を送受信する遠隔多重装置インタフェース部」と本願補正発明の「コアノード」の「拡張ノードとの間で主信号と前記管理制御信号の送受信処理を行う共通部」は、引用例の「交換局」の「遠隔多重装置インタフェース部」は、通信チャネルの信号と、制御信号の送受信処理しており、本願補正発明の「コアノード」の「共通部」に相当するので、a.、e.を考慮すると、「コアノード」の「拡張ノードとの間で主信号と前記制御信号の送受信処理を行う共通部」の点で、一致する。
g.引用例に記載された発明の「前記交換局と前記遠隔多重装置とを接続し、前記通信チャネルで信号を、制御チャネルで系選択指示信号、伝送路状態信号を交換する伝送路」と本願補正発明の「前記拡張ノードと前記コアノードとを接続し、前記主信号と管理制御信号を交換する伝送路」は、a.、b.、e.を考慮すると、「前記拡張ノードと前記コアノードとを接続し、前記主信号と前記制御信号を交換する伝送路」の点で、一致する。
h.引用例に記載された発明の「前記遠隔多重装置のセレクタ&加入者線多重部と付加・引出バイパス部とは、それぞれ独立して構成される遠隔多重方式」と本願補正発明の「前記拡張ノードのインタフェース部と共通部とは、それぞれ独立して構成される分散型ネットワークノード」は、引用例の「セレクタ&加入者多重部」と「付加・引出バイパス部」は、それぞれ独立して構成されており、a.〜c.を考慮すると、「前記拡張ノードのインタフェース部と共通部とは、それぞれ独立して構成される分散型ネットワーク」の点で、一致している。

してみれば、本願補正発明と引用例に記載された発明を比較すると、両者は、「子局を遠隔配置するネットワークの分散型ネットワークにおいて、
個別のインタフェース処理を行うインタフェース部と、
主信号と制御信号とを処理する共通部と、
を有する第1の筐体に格納された拡張ノードと、
前記拡張ノードとの間で主信号と前記制御信号の送受信処理を行う共通部と、
を有する第2の筐体に格納されたコアノードと、
前記拡張ノードと前記コアノードとを接続し、前記主信号と前記制御信号を交換する伝送路と、
を構成し、
前記拡張ノードのインタフェース部と共通部とは、それぞれ独立して構成される分散型ネットワーク。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明では、拡張ノードとコアノードを合体したものが、単一のノードで、分散型ネットワークノードを構成しているのに対して、引用例には、それについての記載がない点。

[相違点2]
本願補正発明では、コアノードに、拡張ノードを管理し管理制御信号を生成する管理制御部を設けているのに対して、引用例には、それについての記載がない点。

[相違点3]
本願補正発明では、制御信号として、ノードを管理する管理制御信号を用いているのに対して、引用例に記載された発明では、系選択指示信号、伝送路状態信号を用いている点。

[相違点4]
本願補正発明では、拡張ノードのインタフェース部と共通部とが、主信号と管理制御信号を交換する信号線のみで接続されているのに対して、引用例には、それについての記載がない点。

(4)判断
上記相違点について、検討する。
[相違点1について]
どの単位で、ノードを構成するかは、どのぐらいの規模のノードを構成するかに応じて、当業者が適宜決めるものであり、引用例のものも、他の交換局からみれば、交換局と遠隔多重装置が、ひとつのまとまりを持っており、ひとつのノードと見ることができるから、引用例に記載された発明において、拡張ノードとコアノードを単一のノードの分散型ネットワークノードとすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。

[相違点2乃至4について]
「同一の分散交換ノード(DSN)により、遠隔ノード、遠隔シェルフ傘下の端末を、収容して、多様なサービスを均一に提供する広域内線システム」は周知例1で示されるように周知であり、分散交換ノードは、遠隔ノード、遠隔シェルフを管理下におき、ノードを管理するために、何らかの管理制御部を有し、ノードを管理する管理制御信号の送受信を行うことは自明のことであるから、引用例に記載された発明において、コアノードに、拡張ノードを管理する管理制御信号を生成する管理制御部を設け[相違点2]、制御信号として、拡張ノードを管理する管理制御信号を用いること[相違点3]は、当業者が容易になし得ることと認められる。その際、引用例の発明において、独立して構成されている「セレクタ&加入者線多重部」と「付加・引出バイパス部」を、いかなる手段で結ぶかは当業者の行う設計的事項であり、信号線のみで接続することは、普通のことであるから、引用例に記載された発明において、拡張ノードのインタフェース部と共通部間で、主信号と管理制御信号を交換するのに、信号線のみで接続すること[相違点4]は、当業者が適宜することに過ぎない。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例に記載された発明、及び、周知例1で示される周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明、及び、周知例1で示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に適合しないものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明

(1)本願発明について
平成15年7月31日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成13年4月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】子局を遠隔配置するネットワークの分散型ネットワークノードにおいて、
個別のインタフェース処理を行うインタフェース部と、
主信号とノードを管理する管理制御信号とを処理する共通部と、
を有する第1の筐体に格納された拡張ノードと、
前記拡張ノードを管理し管理制御信号を生成する管理制御部と、
前記拡張ノードとの間で主信号と前記管理制御信号の送受信処理を行う共通部と、
を有する第2の筐体に格納されたコアノードと、
前記拡張ノードと前記コアノードとを接続し、前記主信号と管理制御信号を交換する伝送路と、
から構成され、
前記拡張ノードのインタフェース部と共通部とは、それぞれ独立して構成され、前記主信号と管理制御信号を交換する信号線のみで接続されてなることを特徴とする分散型ネットワークノード。」(以下、「本願発明」という。)

(2)引用例に記載された発明
引用例に記載された発明は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「分散型ネットワークノード」の限定事項である「単一のノードを構成する」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加した構成を有する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知例1に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-12-27 
結審通知日 2004-12-28 
審決日 2005-01-11 
出願番号 特願平11-1487
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野元 久道  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 衣鳩 文彦
望月 章俊
発明の名称 分散型ネットワークノード  
代理人 開口 宗昭  

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