• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1112592
審判番号 不服2002-13721  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-08-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-22 
確定日 2005-02-28 
事件の表示 平成 5年特許願第259042号「チョークコイルを有する3相アーク炉」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 8月12日出願公開、特開平 6-223964〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年9月22日(パリ条約による優先権主張1992年9月23日、ドイツ連邦共和国)の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年8月20日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
【請求項1】 商用配電網(41,51)と炉の変圧器(43,53)との間に直列に接続されたチョークコイル(42,52)を具備し、バイパススイッチ(20)が前記チョークコイル(42,52)に対して並列に接続され、前記バイパススイッチ(20)が開ループ制御回路(31)に接続された3相サイリスタブリッジ(21)である、チョークコイルを有する3相アーク炉において、
前記開ループ制御回路(31)が、電流,電圧,高調波含有量,及びフリッカの変動、並びに、単一若しくは複数の炉操作についてのプロセス情報を、スクラップの装入データ又は原料鉄の装入データのようなプロセスデータと一緒に独立に又は協働して考慮する測定素子(32)及び閉ループ制御回路(33)に接続され、
前記測定素子(32)によってエネルギー供給装置及び炉からそれぞれ取出された測定データに基づいた制御信号が前記開ループ制御回路(31)に供給されて、前記チョークコイル(42,52)が無段階で制御されるように構成され、
前記測定素子(32)及び閉ループ制御回路(33)が、測定された実際のデータ及び自由に選択可能な目標データを評価して、それらのデータを前記開ループ制御回路(31)に供給する電子データ処理装置(35)に接続されていること、
を特徴とするチョークコイルを有する3相アーク炉。

2.引用刊行物
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-177085号公報(以下、これを「引用文献1」という。)には、3相アーク炉に関して、
「1.金属の溶解用で鉄基合金に有利であるが絶対的ではない、3相直接アーク電気炉に制御された電流を供給する方法であり、前記炉は、電極の高さの幾何学的調整をする手段(GI)を備え、前記炉の幹線電力源は、少なくとも1本の中圧回線と前記アーク炉のために働く変圧器、各相に中圧回線と変圧器を接続するセグメントで構成され、少なくとも一つのインダクタ(L1)及びアークによって吸収された電流の強度を測定する装置(S1)を含んだアーク電流調整要素を備え、制御装置(GC)が炉のアーク電流に直接に作用し、等価直列リアククンスの全値を変えることを特徴とする制卸された電流を供給する方法。
2.前記等価…(中略)…方法。(第2図)
3.前記等価直列リアクタンスの前記全値が第1のインダクタ(L1)をサイリスタ(T)によってバイパスすることによって変えられる請求項1に記載の方法。(第3a図)」(特許請求の範囲の請求項1ないし3)、
「7.前記制御装置(GC)が変圧器電圧、設定信号などの含まれる他の電気的量の少なくともいくつかを分析する請求項1ないし6のいずれか一つに記載の方法。」(特許請求の範囲の請求項7)、
「10.前記制御装置(GC)が電極の位置を制御する油圧調整装置(GI)の状態をも分析する請求項1ないし9のいずれか一つに記載の方法。」(特許請求の範囲の請求項10)、
「13.制御された電流を供給され、鉄基合金に都合よくではあるが絶対的ではなく意図された3相直接アーク電気炉であり、前記炉は、電極の高さに作用することによってアークの長さを調整する手段(GI)と、少なくとも一つの中圧回線とアーク炉のために働く変圧器を含む炉の幹線電力源と、各相に中圧回線と変圧器を接続し、第1のインダクタ(L1)とアークによって吸収される電流の強度を測定する装置(S1)を含むセグメントの形で構成されているアーク電流を調整する装置とを備え、少なくとも一つのサイリスタ制御バルブ(T)が前記第1のインダクタ(L1)の少なくとも一部と並列に構成されていることを特徴とする、3相直接アーク電気炉。」(特許請求の範囲の請求項13)、
「16.前記サイリスタ制御バルブ制御装置(GC)によって調整されている請求項13ないし15のいずれかの一つに記載の電気炉。」(特許請求の範囲の請求項16)、
「18.前記「制御装置(GC)が直列リアクタンス、変圧器電圧、設定信号などの電気的量の信号を処理をする請求項13ないし17のいずれか一つに記載の電気炉。」(特許請求の範囲の請求項18)、
「本発明によれば、制御機構は、動作点を定め、外乱を少なくするように炉のアーク電流に直接に作用する。これは、炉内の電流を自由に放散させ、アークの長さを調整する油圧装置によってだけ制御する従来技術と対照的であり、そのあとでフリッカ防止制御装置が状況を幹線電源側の方へ調整しようと努める。」(第3頁左下欄2〜8行)、
「装置S1はアークによって吸収される電流の強度を測定し、サイリスタTの制御装置を駆動する信号を送る。」(第4頁右下欄6〜8行)
「従来技術及びこゝに提案された技術においてサイリスタTを用いて制御されるインダクタンスは、モニタS1から来る信号に従って作動され、これらの信号は制御装置GCによって処理される。
こゝに提案された技術におけるこの制御装置GCはまた回路の種々の部分における他の電気的量の変動を反映する信号をうけることもできる。したがって制御装置GCは、たとえば、変圧器TVによって中圧回線から測定の信号を受けることができ、たとえば、制御装置を介して電極の位置の信号をうけることができるし、またたとえば変圧器の負荷時整流子の位置などの他の発生源からの信号及び他の設定信号を受けることもできる。」(第5頁右上欄11行〜同頁左下欄3行)ことが記載されている。
また、図面には、供給回路網に回路側インピーダンス及び回路網変圧器を介して中圧回線に接続され、この中圧回線と負荷時タップ切換器付き低圧変圧器(炉変圧器)、との間に直列に接続されたインダクタを具備し、前記インダクタに並列にサイリスタTが接続されているアーク炉が記載されている。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭60-101900号公報(以下、これを「引用文献2」という。)には、
「電極と炉底間に発生する交流アーク放電を加熱熱源とする電気炉の炉況判定方法において、前記電気炉の電極と炉底間に交流商用周波数の電源より電圧を印加して発生する高調波電圧を時々刻々測定し該高調波電圧の変化より炉況を判定することを特徴とする電気炉の炉況判定方法。」(特許請求の範囲の請求項1)ことが図面と共に記載されている。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-37896号公報(以下、これを「引用文献3」という。)には、製鋼用アーク炉に関して、
「アーク炉用変圧器(4)と可変炉用リアクトル(3)とを介して電力供給される製鋼用アーク炉(1)の無効電力補償制御装置において、上記アーク炉から発生する無効電力を無効電力補償装置(SVC)で補償した後のフリッカーを計測する手段(14)とこのフリッカーの値から最大無効電力(QMAX)を演算し、これを各炉期の制御レンジとして自動的に変更する手段(13)とを、備えたことを特徴とする製鋼用アーク炉の無効電力補償制御装置。」(特許請求の範囲の請求項2)、
「アーク炉(1)の電流は変流器CTで検出するとともに電圧を計器用変圧器PTで検出し、変圧器(8)を通して変換された信号を予測演算器(9)で無効電力QBFの発生量を半サイクルの間に予測計算し、点弧角制御装置(10)によりサイリスタ(6)の点弧角を制御し遅れ無効電力QLを制御している。また、アーク炉溶解制御装置(13)が設けられており、これは可変炉用リアクトル(3)のタップ、即ちリアクタンスを信号線(b)で、タップチェンジャー付炉用変圧器(4)のタップ電圧を信号線(c)でそれぞれ取込み、制御レンジ出力(D)を予測演算器(9)に入力している。加えて、電源(2)の電圧を計器用変圧器PT′で取出し、フリッカーメータ(14)を介して1分毎に電圧値ΔV10が信号線(a)で制御装置(13)に取込まれている。
このアーク炉溶解制御装置(13)により後述するように制御レンジが変更される。
更に、アーク炉溶解制御装置(13)では、アーク炉(1)の溶解工程を把握するため、各工程におけるフリッカーの発生度合を記憶する記憶装置(図示せず)が内蔵されている。それらのデータを基にして、フリッカーの発生量が比較的多い炉期では制御レンジを大きくし、又、発生量が少ない炉期では制御レンジを小さくするよう信号(D)を出力している。…(中略)…アーク炉(1)の操業は、まず、〈1〉(審決注、原文では○内に1、以下同様)アーク炉(1)内のスクラップに電極ELを近づけることによって点弧させ、しばらくアーク熱によって炉蓋に損耗を与えないよう、あるいは炉蓋から放熱する熱損失を抑えるように電圧、電流及び可変炉用リアクトルの値を決めて送電を行う点弧期、〈2〉スクラップをボーリングするように溶解し早く電極先端をスクラップの底に位置づけるように…(中略)…送電を行うボーリング期、〈3〉炉床に損耗を与えないようにかつアークを安定させるために炉床に溶鋼を作り、次の主溶解期のロングアーク操業へ移行させるための…(中略)…送電を行う湯溜まり形成期、〈4〉スクラップを高効率で迅速に溶解するための…(中略)…送電を行う主溶解期、〈5〉溶解が進行し、粉状原料を連続装入するとき熱効率よく迅速溶解する連装溶解期、〈6〉スクラップ及び連装原料が溶落し炉壁が現れ始める時炉壁への輻射熱を抑え溶解への熱効率を上げられるよう…(中略)…送電を行う溶解末期、及び、〈7〉溶落した鋼をスーパーヒートするためにスラグとメタルの攪拌及び添加材の溶解などに効果的な電圧、電流及び可変炉用リアクトルの値を決める昇熱期、に大別され、各炉期は更に装入状態、原料のカサ比重及び鋼種などによってそれぞれの電圧、電流及び可変炉用リアクトルの値を決めている。これらの値はアーク炉溶解制御装置(13)に予め記憶されている。又、これらの炉期の判定は別途炉況判定プログラムによって判断され、あらかじめ記憶している炉況別のタップ電圧、電流及び可変炉用リアクトルのタップに自動的に切替えられる。従って、各炉期のタップ電圧、電流及び可変炉用リアクトルの値は炉期によって変更されるため、アーク炉系統の各炉期毎に短絡容量は変化することになり、これらのリアクタンス値によって炉期毎の最大の無効電力量を計算し、この値をSVCの動作領域の制御レンジを変更しようとするものである。」(第4頁右下欄12行〜第5頁左下欄19行)、
「これは特に、複数炉に流れる無効電力を1台のSVCで制御する場合に効果的である。」(第6頁右上欄2〜3行)、
「アーク炉の操業はボーリング期の後半から湯溜まり期、主溶解期では、フリッカーの発生度合が高いことが経験的に知られている。又、スクラップが溶け落ちてフラットバスになった状態ではアークが安定しているため、フリッカーはあまり発生しないことも経験的にわかってる。これらの現象を各鋼種、スクラップのカサ比重、装入順、炉期のケース別にフリッカーを測定して求めた最大無効電力QSSiと、前述の式(1)で求める各ケース毎のQimaxの値との割合を次の式(12)で計算して、補正係数として記憶装置に記憶しておく。」(第6頁左下欄13行〜同頁右上欄4行)ことが図面と共に記載されている。

3.対比・判断
引用文献1に記載されたものにおいて、「電極位置の信号、変圧器電圧、他の設定信号等の回路の種々の部分における電気的量の信号を受ける」ために、装置S1や変圧器TVのように、各電気的量を測定する測定素子を設け制御装置に接続することは自明のことである。また、これらの測定信号が、エネルギー供給装置及び炉から取り出されたものであることも自明のことである。
そうすると、上記2.で摘示した事項からみて、刊行物1には、次の発明が記載されているものと認められる。
供給回路網の中圧回線と炉変圧器との間に直列に接続されたインダクタ(L1)を具備し、制御装置(GC)により調整されるサイリスタ(T)(サイリスタ制御バルブ(T))は前記インダクタ(L1)に対して並列に接続され、前記インダクタ(L1)をバイパスする3相直接アーク電気炉において、
前記測定素子(32)によってエネルギー供給装置及び炉からそれぞれ取出された測定信号に基づいた制御信号が前記開ループ制御回路(31)に供給されて
前記制御装置(GC)が、装置S1で測定するアークによって吸収される電流の強度、変圧器TVによって中圧回線から測定の信号、電極位置の信号、変圧器電圧、他の設定信号等の回路の種々の部分における電気的量の信号を測定する測定素子からの信号、すなわち前記測定素子(32)によってエネルギー供給装置及び炉からそれぞれ取出された測定信号を処理し、それに基づいてサイリスタの制御装置を駆動する信号を送り、サイリスタを制御することで前記インダクタ(L1)が制御されるように構成された3相直接アーク電気炉。

そこで、本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、引用文献1に記載された「供給回路網の中圧回線」、「炉変圧器」、「インダクタ(L1)」、「3相直接アーク電気炉」、「サイリスタの制御装置を駆動する信号」は、それぞれ本願発明の「商用配電網」、「炉の変圧器」、「チョークコイル」、「3相アーク炉」、「制御信号」に相当する。また、その機能からみて引用文献1に記載された「サイリスタ(T)、サイリスタ制御バルブ(T)」は本願発明の「バイパススイッチ、3相サイリスタブリッジ」、に相当する。また、引用文献1に記載された「制御装置(GC)」は、「制御回路」である点で本願発明の「閉ループ制御回路(33)」に相当する。
よって、両発明は、
「商用配電網と炉の変圧器との間に直列に接続されたチョークコイルを具備し、バイパススイッチが前記チョークコイルに対して並列に接続され、前記バイパススイッチが3相サイリスタブリッジである、チョークコイルを有する3相アーク炉において、
電流,電圧等を考慮する測定素子及び制御回路に接続され、
前記測定素子によってエネルギー供給装置及び炉からそれぞれ取出された測定データに基づいた制御信号が供給されて、前記チョークコイルが制御されるように構成されたチョークコイルを有する3相アーク炉。」
である点で一致し、以下イ、ロ、ハ、ニの点で相違する。

イ.本願発明が、電流,電圧,高調波含有量,及びフリッカの変動、並びに、単一若しくは複数の炉操作についてのプロセス情報を、スクラップの装入データ又は原料鉄の装入データのようなプロセスデータと一緒に独立に又は協働して考慮する測定素子であるのに対して、上記引用文献1には電流、電圧、電極位置の信号、他の設定信号等の回路の種々の部分における電気的量の信号を測定する測定素子が記載されているものの、電流、電圧以外の、高調波含有量,及びフリッカの変動、並びに、単一若しくは複数の炉操作についてのプロセス情報を、スクラップの装入データ又は原料鉄の装入データのようなプロセスデータと一緒に独立に又は協働して考慮する測定素子は明記されていない点。

ロ.本願発明が、チョークコイルを無段階で制御されるのに対し、引用文献1には、無段階で制御することの明記はない点。

ハ.本願発明が、制御回路が閉ループ制御回路であり、3相サイリスタブリッジから成るバイパススイッチに開ループ制御回路を接続してさらにこの開ループ制御回路に閉ループ制御回路を接続したのに対し、引用文献1には、制御装置GC(制御回路)が閉ループ制御回路であることの明記はなく、また、サイリスタ(T)から成るバイパススイッチに制御装置GCを接続したことは記載されているものの、開ループ制御回路をその間に接続したことは明記されていない点。

ニ.本願発明が、測定素子及び閉ループ制御回路が、測定された実際のデータ及び自由に選択可能な目標データを評価して、それらのデータを前記開ループ制御回路に供給する電子データ処理装置に接続されているのに対し、引用文献1には、この構成が明記されていない点。

以下、これらの相違点について検討する。

・相違点イについて
引用文献1には、他の設定信号等の回路の種々の部分における電気的量の信号を測定することが記載されている。そして、引用文献2には、高調波データを検出してアーク炉の制御に用いる点、引用文献3には、フリッカを検出してアーク炉の制御に用いる点が記載されている。さらに、引用文献3には、点弧期、ボーリング期、湯溜まり形成期、主溶解期、連装溶解期、溶解末期、昇熱期等の炉期に応じて装入状態、鋼やスクラップの原料のカサ比重及び鋼種などにより決まる電圧、電流等のデータがアーク溶解制御装置(13)に記憶され、炉況判定プログラムにより炉期の判定を行うことが記載されている。さらに複数炉の場合も記載されている。
また、アーク炉制御にあたって、プロセス情報、プロセスデータ等は当業者が当然考慮する事項である。
これらを総合的にみれば、引用文献1ないし3はいずれもアーク電気炉の制御装置に係る発明であり、引用文献1に記載されたものに引用文献2、3に記載されたものを適用して、種々のデータを取り入れて本願発明の相違点イに係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

・相違点ロについて
引用文献1に記載された発明も、サイリスタ(T)でインダクタ(L1)を制御するものであるから、無段階で制御するようにすることは当業者が適宜行う設計的事項である。

・相違点ハについて
引用文献1に記載されたものも制御装置GCは電流強度を一定に保つ制御をしているのであり、このような制御系に閉ループ制御であるフィードバック制御を用いることは、本願出願時すでに例示するまでもなく周知、慣用の手段であったと認められるので、制御装置GCを閉ループ制御回路とすることは当業者が容易になし得たことである。
また、閉ループ制御回路からの信号を制御対象駆動のための信号に変換する単なる信号変換回路を、フィードバック制御を行う制御回路と制御対象の間に挿入することは、本願出願時すでに周知、慣用の手段であり、このような信号変換回路は本願発明における「開ループ制御回路」に相当するといえる。したがって、引用文献1に記載された発明において、3相サイリスタブリッジから成るバイパススイッチに開ループ制御回路を接続してさらにこの開ループ制御回路に閉ループ制御回路を接続するような構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

・相違点ニについて
実際値を目標値と比較して制御回路を自動的に調整することは、フィードバック制御においてごく基本的な技術思想であり、実際値データと目標値データを評価してそれらのデータを供給する電子データ処理装置を設けることも、制御技術における周知、慣用の手段であり、当業者が適宜採用する設計的事項である。

そして、本願発明が奏する効果は引用文献1ないし3に記載された発明及び周知、慣用手段から予測できることである。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用文献1ないし3に記載された発明及び周知、慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-10-05 
結審通知日 2004-10-08 
審決日 2004-10-19 
出願番号 特願平5-259042
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 結城 健太郎豊島 唯杉浦 貴之  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 佐野 遵
長浜 義憲
発明の名称 チョークコイルを有する3相アーク炉  
代理人 奥山 尚男  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ