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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1112612 |
審判番号 | 不服2004-11754 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-06-10 |
確定日 | 2005-03-03 |
事件の表示 | 平成10年特許願第322129号「無人契約システム」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 5月30日出願公開、特開2000-148838〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成10年11月12日の出願であって、平成16年4月27日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月12日付で手続補正がなされたものである。 2.平成16年7月12日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年7月12日付の手続補正を却下する。 [理由] 2-1.補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 タッチパネル式の表示入力部及び書類や身分証明書のイメージを読み取るスキャナーを備えた顧客側の受付端末と、表示部及び入力手段を備えたオペレータ側の処理端末とより成り、前記受付端末にセットされた書類や身分証明書のイメージを該スキャナーが読み取り、そのイメージデータが前記処理端末に送信されると、前記処理端末は表示部に書類や身分証明書のイメージを表示し、これをオペレータに確認させて契約処理を行う無人契約システムにおいて、 前記処理端末に、オペレータが確認した書類や身分証明書のイメージデータを契約処理が終了するまで記憶する記憶部と、契約処理中に前記表示部に表示される画面内にイメージ表示ボタンを表示させる手段と、このイメージ表示ボタンが前記入力手段により操作されたとき前記書類や身分証明書のイメージを指定する複数のボタンを前記表示部に表示された画面内に表示させる手段と、このイメージを指定するボタンが前記入力手段で選択的に操作されたとき、操作されたボタンにより指定される現在契約処理中の顧客に関わる書類や身分証明書のイメージデータを前記記憶部から読み出して前記表示部に表示する手段を備えたことを特徴とする無人契約システム。」 と補正された。 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「書類や身分証明書のイメージデータ」について「現在契約処理中の顧客に関わる」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2-2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-254949号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、 (a)「【請求項1】 金融機関等の店舗に設置され、契約に際して重要な個人情報を記載する申込書や契約の際に必要な各種身分証明書等の媒体に記載された個人情報をイメージデータとして取得する画像入力装置及びそのイメージデータを送信する通信制御手段を有し、顧客自身の操作により逐次稼働する無人契約機と、この無人契約機とは隔離して設置され、前記イメージデータを受信する通信制御手段及びそのイメージデータを出力する出力装置を有するセンター端末とを接続してネットワークを構築し、前記無人契約機側では、前記画像入力装置が申込書のイメージデータを取得して、通信制御手段の制御によってセンター端末に送信し、前記センター端末側では、通信制御手段の制御により受信した申込書のイメージデータを出力装置から出力して、オペレータに個人情報を開示して審査を開始させた後に、前記無人契約機では、前記画像入力装置が申込書以外の各種証明書等の媒体のイメージデータを順に取得して、通信制御手段の制御によって順にセンター端末に送信し、前記センター端末では申込書以外の各種証明書等の媒体のイメージデータを順に受信して出力し、オペレータが申込書以外の個人情報を順に追加しながら審査処理を進めていくようにしたことを特徴とする無人自動契約受付システム。」(引用例1の2頁1欄2〜25行) (b)「【0009】前記無人契約機1は、主に、契約に際して重要な個人情報を記載する申込書や契約の際に必要な各種身分証明書等の媒体に記載された個人情報をイメージデータとして取得する画像入力装置3及び顧客の顔等をカメラで撮影して得る動画、音声を通信制御し、前記センター端末2から送信されるオペレータの顔等をカメラで撮影して得る動画や音声を通信制御するマルチメディア通信制御装置4を有している。また、無人契約機1には、前記画像入力装置3が取得した申込書や各種証明書等媒体のイメージデータを、前記センター端末2に送信する通信制御機能を有しており、まず、申込書のイメージデータを送信した後に、前記画像入力装置3が申込書以外の各種証明書等の媒体のイメージデータを順に取得して、順に前記センター端末2に送信することができるようにした。なお、かかる機能の実現手段は、プログラムを記憶した記憶部5と、この記憶部5からプログラムを読み出して実行する制御部6とにより実現するものとする。また、無人契約機1は、タッチセンサ機能を有する操作表示部7を備えている。 【0010】また、図2に示すように、前記画像入力装置3は、スキャナー8の上にガラス等の図示しない透過性媒体を配置し、その透過性媒体上に媒体の裏面を上側に向けて載せてイメージデータを取得するようにしてある。」(引用例1の3頁3欄36行〜同頁4欄9行) (c)「【0012】図1に戻って、前記センター端末2は、主に、前記無人契約機1から送信される動画、音声を通信制御したり、オペレータの顔等をカメラで撮影して得る動画や音声を通信制御するマルチメディア通信制御装置12、前記申込書等の媒体のイメージデータを受信する通信制御機能及びそのイメージデータを出力する出力装置13を有している。そして、センター端末2は、受信した申込書のイメージデータを出力装置13から出力する機能を有し、その申込書のイメージデータの出力により、オペレータに個人情報を開示して審査を開始させるようにしてある。また、この審査中に、順次申込書に記載された個人情報以外の審査に必要な個人情報を前記無人契約機1から受信して出力する機能を有し、随時出力される個人情報を追加しながら、審査処理を進めていけるようにしてある。かかる各機能の実現手段は、プログラムを記憶した記憶部14と、この記憶部14からプログラムを読み出して実行する制御部15とにより実現するものとする。また、センター端末2は、表示部16や図示しない入力部等を備えている。なお、前記記憶部6や前記記憶部14としては、例えば、CD-ROM等の記憶媒体を利用すればよい。」(引用例1の3頁4欄36行〜4頁5欄6行) (d)「【0015】次に、本実施の形態における無人自動契約受付システムの処理手順を説明する。図3は処理手順の説明図である。なお、図1及び図2を適宜参照するものとする。顧客は、申込書と免許証や保険証等の身分証明書を画像入力装置3の各エリア9a,9bにそれぞれセットする。すると、画像入力装置3は、図示しない読み取り部により各イメージデータを取得し、図示しない一時記憶部に記憶する(S1〜S3)。すると、制御部6は、申込書のイメージデータのみをセンター端末2側に送信し、センター端末2側では、受信したイメージデータを出力装置13からプリント出力し、オペレータに確認させる(S4)。この結果、オペレータは、審査の為に重要な個人情報が得られるため、各種審査を開始するとともに、個人情報をセンター端末2内に図示しない入力部を操作して入力等の処理を行う(S5)。 【0016】一方、無人契約機1側では申込書のイメージデータの送信に続き免許証や保険証の送信を行い、センター端末2ではそれらのイメージデータを順次プリント出力してオペレータに確認させる(S6,S7)。これにより、オペレータは、適宜審査に必要な身元に関する個人情報を入手することができる(S5)。また、無人契約機1側では、上記各イメージデータの送信とともに、顧客に申込書に記載しなかった個人情報としての属性を、操作表示部7から入力させる(S8)。ここで、属性データは、契約の成立/不成立には直接関係のないデータを指すものとする。そして、顧客が属性入力を終了すると、その属性データは無人契約機1側からセンター端末2側に送信され、センター端末2側で例えば表示部16に適宜表示し、オペレータに確認やプリント出力させる(S9)。これにより、オペレータは、適宜審査に必要な身元に関する個人情報を入手することができる(S5)。この結果、顧客が属性入力等を行っている間にオペレータが各種審査等の処理を並行して行うことになる。」(引用例1の4頁5欄24行〜同頁6欄7行) との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例1には、 「金融機関等の店舗に設置され、契約に際して重要な個人情報を記載する申込書や契約の際に必要な各種身分証明書等の媒体に記載された個人情報をイメージデータとして取得するスキャナーを有する画像入力装置及びそのイメージデータを送信する通信制御手段を有し、顧客自身の操作により逐次稼働する無人契約機と、この無人契約機とは隔離して設置され、前記イメージデータを受信する通信制御手段及びそのイメージデータを出力する出力装置を有するセンター端末とを接続してネットワークを構築し、 前記無人契約機側では、前記画像入力装置が申込書のイメージデータを取得して、通信制御手段の制御によってセンター端末に送信し、前記センター端末側では、通信制御手段の制御により受信した申込書のイメージデータを出力装置から出力して、オペレータに個人情報を開示して審査を開始させた後に、前記無人契約機では、前記画像入力装置が申込書以外の各種証明書等の媒体のイメージデータを順に取得して、通信制御手段の制御によって順にセンター端末に送信し、前記センター端末では申込書以外の各種証明書等の媒体のイメージデータを順に受信して出力し、オペレータが申込書以外の個人情報を順にセンター端末の入力部を操作して入力処理を行って追加しながら審査処理を進めていくようにしたこと、 また、無人契約機側では、各イメージデータの送信とともに、顧客に申込書に記載しなかった個人情報としての属性を、操作表示部から入力させ、そして、顧客が属性入力を終了すると、その属性データは無人契約機側からセンター端末側に送信され、センター端末側で例えば表示部に適宜表示し、オペレータに確認やプリント出力させることにより、オペレータは、適宜審査に必要な身元に関する個人情報を入手することができるようにしたこと を特徴とする無人自動契約受付システム。」 との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。 2-3.対比 そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「無人契約機」は、本願補正発明の「受付端末」に相当し、以下同様に、「センター端末」は「処理端末」に、「無人自動契約受付システム」は「無人契約システム」に、それぞれ相当するから、両者は、 「表示入力部及び書類や身分証明書のイメージを読み取るスキャナーを備えた顧客側の受付端末と、表示部及び入力手段を備えたオペレータ側の処理端末とより成り、前記受付端末にセットされた書類や身分証明書のイメージを該スキャナーが読み取り、そのイメージデータが前記処理端末に送信されると、前記処理端末は書類や身分証明書のイメージを出力し、これをオペレータに確認させて契約処理を行う無人契約システム。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]本願補正発明は、顧客側の受付端末がタッチパネル式の表示入力部を備えている点。 [相違点2]本願補正発明は、処理端末の表示部に書類や身分証明書のイメージを表示し、これをオペレータに確認させて契約処理を行うものであって、前記処理端末に、オペレータが確認した書類や身分証明書のイメージデータを契約処理が終了するまで記憶する記憶部と、契約処理中に前記表示部に表示される画面内にイメージ表示ボタンを表示させる手段と、このイメージ表示ボタンが前記入力手段により操作されたとき前記書類や身分証明書のイメージを指定する複数のボタンを前記表示部に表示された画面内に表示させる手段と、このイメージを指定するボタンが前記入力手段で選択的に操作されたとき、操作されたボタンにより指定される現在契約処理中の顧客に関わる書類や身分証明書のイメージデータを前記記憶部から読み出して前記表示部に表示する手段を備えているのに対して、引用例1発明のセンター端末では、申込書や各種証明書等をプリント出力してオペレータに確認させて契約処理を行っている点。 2-4.判断 [相違点1]について タッチパネル式の表示入力装置は周知のものであり、引用例1にも段落16には「顧客に申込書に記載しなかった個人情報としての属性を、操作表示部7から入力させる(S8)」と記載されているように、操作表示部7から入力させることが記載されているから、顧客側の受付端末にタッチパネル式の表示入力部を備えることは当業者が容易に考えられることである。 [相違点2]について ペーパレス化等で、従来プリント出力して処理していたものを画面上に表示して処理することは一般的に行われていることである。イメージデータを画面に表示して処理する場合に、イメージデータを記憶する記憶手段を設けることが必要なことは技術常識である。また、1つの画面に複数の異なるイメージ画面を表示すると共に、選択ボタンを設けて、適宜選択表示することは本願の出願以前から周知のことである。 引用例1発明には、申込書のイメージデータをプリント出力しオペレータに確認させること、免許証や保険証のイメージデータを順次プリント出力してオペレータに確認させること、顧客の申込書に記載しなかった個人情報としての属性データを表示部16に適宜表示し、オペレータに確認やプリント出力されることが記載されている。このように引用例1では、オペレータが確認のために、プリント出力ではあるが、申込書のイメージデータ、免許証や保険証のイメージデータを用いている。オペレータのこれらの確認動作を、プリント出力を用いずに、表示画面に表示させた状態で行わせるようにすること、また、画面を分割して必要な書類や身分証明書等のイメージデータを必要に応じて選択的に表示することも当業者が容易に考えられることである。さらに、引用例1でそうであるように、契約処理中にプリント出力される申込書、各種証明書等は現在契約処理中の顧客に関わるものであることは明白であるから、契約処理中の表示されるものは現在契約処理中の顧客に関わるものとなると認められる。 したがって、引用例1発明のものに、センター端末に、オペレータが確認した書類や身分証明書のイメージデータを契約処理が終了するまで記憶する記憶部と、契約処理中に前記表示部に表示される画面内にイメージ表示ボタンを表示させる手段と、このイメージ表示ボタンが前記入力手段により操作されたとき前記書類や身分証明書のイメージを指定する複数のボタンを前記表示部に表示された画面内に表示させる手段と、このイメージを指定するボタンが前記入力手段で選択的に操作されたとき、操作されたボタンにより指定される現在契約処理中の顧客に関わる書類や身分証明書のイメージデータを前記記憶部から読み出して前記表示部に表示する手段を設け、処理端末の表示部に書類や身分証明書のイメージを表示し、これをオペレータに確認させて契約処理を行うようにすることは当業者が容易に考えられることである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 2-5.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成16年7月12日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年3月5日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 タッチパネル式の表示入力部及び書類や身分証明書のイメージを読み取るスキャナーを備えた顧客側の受付端末と、表示部及び入力手段を備えたオペレータ側の処理端末とより成り、前記受付端末にセットされた書類や身分証明書のイメージを該スキャナーが読み取り、そのイメージデータが前記処理端末に送信されると、前記処理端末は表示部に書類や身分証明書のイメージを表示し、これをオペレータに確認させて契約処理を行う無人契約システムにおいて、 前記処理端末に、オペレータが確認した書類や身分証明書のイメージデータを契約処理が終了するまで記憶する記憶部と、契約処理中に前記表示部に表示される画面内にイメージ表示ボタンを表示させる手段と、このイメージ表示ボタンが前記入力手段により操作されたとき前記書類や身分証明書のイメージを指定する複数のボタンを前記表示部に表示された画面内に表示させる手段と、このイメージを指定するボタンが前記入力手段で選択的に操作されたとき、操作されたボタンにより指定される書類や身分証明書のイメージデータを前記記憶部から読み出して前記表示部に表示する手段を備えたことを特徴とする無人契約システム。」 3-1.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2-2.」に記載したとおりである。 3-2.対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「書類や身分証明書のイメージデータ」の限定事項である「現在契約処理中の顧客に関わる」との構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2-4.」に記載したとおり、引用例1、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3-3.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-12-21 |
結審通知日 | 2005-01-05 |
審決日 | 2005-01-18 |
出願番号 | 特願平10-322129 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 関 博文 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 深沢 正志 |
発明の名称 | 無人契約システム |
代理人 | 金倉 喬二 |