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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1112668
審判番号 不服2000-13360  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-09-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-24 
確定日 2005-03-03 
事件の表示 平成 9年特許願第 59833号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月 8日出願公開、特開平10-234937〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年2月26日の出願であって、平成12年7月14日付で拒絶査定がなされ、これに対し同年8月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年9月5日付で手続補正がなされたものである。

2.平成12年9月5日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成12年9月5日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 遊技機本体(4) の前枠(3) の裏側に裏機構板(20)を備え、前枠(3) の裏側の電源供給部(26)にコード(40)を介して接続された電源プラグ(41)を備え、外部から電源プラグ(41)、電源供給部(26)を介して各部に電源を供給するようにした遊技機において、裏機構板(20)に、電源プラグ(41)を左右方向に向けた状態で着脱自在に固定するためのプラグ固定具(31)を設けたことを特徴とする遊技機。」
と補正された。
上記補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する平成15年改正前の特許法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開平1-254185号公報(以下「引用例1」という)には、図面とともに以下の記載がある。
(a)「本例では第1図に略示される通常のパチンコ機Pの裏機構盤Mの右上隅部にビス着された電源ターミナルボックス1内の電源制御基盤2に実施された例について示す。」(3頁左上欄4行〜7行)
(b)「電源制御基盤2側を要約説明すると、同基盤2では、上記ターミナルボックス1内に収容されてビス着されており、そして必要なパターンの通電回路を構成した回路盤3において、遊技店内等の低圧電源部(AC24V)に接続されるべき低圧電源接続部つまり第2図の電源コンセント4以降に、ヒューズF1〜F3、ダイオードD1〜D5、直流整流器DS、リレーコイルRY1〜RY3及びその接点ry1〜ry3、LEDランプL1,L2、電解コンデンサーC及びリセットスイッチRSそしてパチンコ機Pにおける各種の電動装置及び電気部品にかかる複数のコネクターC1〜C7等が配置されており、これら各回路部品が第3図に示す電気回路中の所定位置に接続されている。」(3頁左上欄8行〜右上欄1行)
そして、第1図及び第2図を参照すると、電源ターミナルボックス1内の電源制御基盤2にコードを介して電源コンセント4が接続されていることは、当業者にとって明らかである。
また、上記(b)、第2図及び第3図の記載より、外部から電源コンセント4、電源制御基盤2を介して各部に電源を供給するように構成されていることは、当業者にとって明らかである。
これらの記載によれば、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる。
「裏機構盤Mを備え、電源制御基盤2にコードを介して接続された電源コンセント4を備え、外部から電源コンセント4、電源制御基盤2を介して各部に電源を供給するようにしたパチンコ機。」

(2-2)引用例2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭57-93466号(実開昭58-195982号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という)には、図面とともに以下の記載がある。
(a)「八字形の停止片とこの停止片に直角に形成した押圧片とを電気機器裏面の凹部内に形成し、電源プラグを該停止片と押圧片により電気機器に対し直角に固定してなる電源プラグの固定装置。」(1頁5行〜9行)
(b)「本考案は電気機器の電源コードを、電気機器本体に保持するための電源プラグの固定装置に関するものである。従来より電気機器の包装時などに、電源コードが邪魔になることのないように、第1図に示すように電気機器1の裏面に凹部1aを設け、この内部に電源コード2を束ねたものを収容していた。ところが、このように電源コード2を収容していたのではこの電気機器の検査、調整の作業工程の際に電気機器に交流電圧を加えるためいちいち電源プラグを手作業で電源プラグに差し込まなければならなず、能率の悪いものであった。本考案は上記欠点を除去するものであり、上記作業の自動化を容易にする電源プラグの固定装置を提供するものである。」(1頁11行〜2頁5行)
(c)「したがって、この電源プラグの固定装置を備えた電気機器では、検査,調整の作業工程の際電源コンセントを電源プラグまで近接させて嵌め込むもので、電気機器の位置を明確にしておくと、この電気機器に固定される電源プラグの位置がわかるので電源コンセントを差し込む作業を容易に自動化することができるものである。」(3頁4行〜10行)

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1に記載された発明とを比較すると、本願補正発明の「電源プラグ(41)」、及び、「遊技機」は、それぞれ、引用例1に記載された発明の「電源コンセント4」、及び、「パチンコ機P」に相当し、本願明細書の段落0014には「電源供給基盤26は電源供給部を構成するもので、」との記載があることから、本願補正発明における「電源供給部(26)」は、引用例1に記載された発明の「電源制御基盤2」に相当すると認められる。
また、遊技機が、裏機構板を有するのであれば、遊技機本体の前枠に相当する部材を有し、前枠の裏側に裏機構板が設けられていることは、当業者にとって明らかであるから、引用例1に記載された発明も、当然に、遊技機本体の前枠を有し、前枠の裏側に裏機構板が設けられた構成となっているとともに、前枠の裏側に電源制御基盤2が配置されているものと認められる。
よって、両者は、
「遊技機本体の前枠の裏側に裏機構板を備え、前記前枠の裏側の電源供給部にコードを介して接続された電源プラグを備え、外部から電源プラグ、電源供給部を介して各部に電源を供給するようにした遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
本願補正発明では、裏機構板に、電源プラグを左右方向に向けた状態で着脱自在に固定するためのプラグ固定具を設けたのに対して、引用例1に記載された発明では、そのような構成になっていない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
引用例2には、電気機器における検査、調整の作業工程に際して必要となる、電気機器具備の電源プラグと電源コンセントとの結合手段として、当該電源プラグを電気機器に着脱自在に固定する固定手段が示されているから、電源プラグを介して電気的に作動される電気機器である引用例1に記載された発明においても、その検査、調整の為に前記固定手段を採用することは、当業者ならば容易に為し得るものである。
また、前記固定手段を設けるにあたって、電源プラグをどの方向に向けた状態で固定するかは、当業者が適宜選択しうる設計的事項にすぎず、それに伴う作用効果も、当業者が普通に予測しうる程度のものである。

さらに、本願補正発明の作用効果も、引用例1に記載された発明、及び、引用例2に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものである。

よって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、及び、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する平成15年改正前の特許法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成12年9月5日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成12年6月15日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「遊技機本体(4) の前枠(3) の裏側に裏機構板(20)を備え、前枠(3) の裏側の電源供給部(26)にコード(40)を介して接続された電源プラグ(41)を備え、外部から電源プラグ(41)、電源供給部(26)を介して各部に電源を供給するようにした遊技機において、裏機構板(20)に、電源プラグ(41)を着脱自在に固定するためのプラグ固定具(31)を設けたことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「電源プラグを着脱自在に固定するためのプラグ固定具」の限定事項である「左右方向に向けた状態で」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1に記載された発明、及び、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明、及び、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、及び、引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-12-28 
結審通知日 2005-01-05 
審決日 2005-01-19 
出願番号 特願平9-59833
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 白樫 泰子
高橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 谷藤 孝司  

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