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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01M
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 A01M
管理番号 1112842
審判番号 不服2000-2089  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-12-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-02-18 
確定日 2005-03-10 
事件の表示 平成10年特許願第157444号「ゴキブリ駆除器」拒絶査定不服審判事件〔平成11年12月21日出願公開、特開平11-346624〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年6月5日の出願であって、平成11年6月25日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成12年2月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月13日付で手続補正がなされたものである。

2.平成12年3月13日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成12年3月13日付の手続補正を却下する。

[理由]
本件補正により、特許請求の範囲は、
【請求項1】 本体を有し、該本体には少なくとも外側から内側へ向かって
上り坂となる傾斜面部と前記傾斜面部の頂点近傍から陥没する凹陥部を形成し、該凹陥部の底部には開口を形成し、前記本体は粘着面を有する着脱可能な粘着シートを備え、前記粘着面は前記粘着シートが前記本体に収容された際前記開口に臨ませてあり、且つ、前記本体の内部にはヒータを備え、該ヒータへの給電用のコネクターと他のゴキブリ駆除器への電源供給用のコネクターとを設けてあることを特徴とするゴキブリ駆除器。
【請求項2】 本体を有し、該本体には少なくとも外側から内側へ向かって上り坂となる傾斜面部と前記傾斜面部の頂点近傍から陥没する凹陥部を形成し、該凹陥部の底部には開口を形成し、前記本体は粘着面を有する着脱可能な粘着シートを備え、前記粘着面は前記粘着シートが前記本体に収容された際前記開口に臨ませてあり、且つ、前記本体の内部にはヒータを備え、該ヒータとしてバイメタルの作用を利用した点滅ランプを使用していることを特徴とするゴキブリ駆除器。
【請求項3】 本体を有し、該本体には少なくとも外側から内側へ向かって上り坂となる傾斜面部と前記傾斜面部の頂点近傍から陥没する凹陥部を形成し、該凹陥部の底部には開口を形成し、前記本体は粘着面を有する着脱可能な粘着シートを備え、前記粘着面は前記粘着シートが前記本体に収容された際前記開口に臨ませてあり、且つ、前記本体の内部にはヒータを備え、該ヒータによる加温は外気が5℃〜10℃のときに略30℃程度になるよう選定してあることを特徴とするゴキブリ駆除器。
と請求項1〜3に補正されたが、この補正は、請求項を増加しており、請求項の削除を目的とするものでなく、特許法第17条の2第4項各号に規定する特許請求の範囲についてする補正のいずれにも該当しないので、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成12年3月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成10年6月5日提出の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 本体を有し、該本体には少なくとも外側から内側へ向かって上り坂となる傾斜面部と前記傾斜面部の頂点近傍から陥没する凹陥部を形成し、該凹陥部の底部には開口を形成し、前記本体は粘着面を有する着脱可能な粘着シートを備え、前記粘着面は前記粘着シートが前記本体に収容された際前記開口に臨ませてあり、且つ、前記本体の内部にはヒータを備えることを特徴とするゴキブリ駆除器。」
(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭49-65565号(実開昭50-153175号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、
「天井に開口部を有する台形・・・の容器の内側面・・・に粘着物質を設けた・・・害虫捕獲器」(実用新案登録請求の範囲)
「1は・・・傾斜側面11を有する台形容器であり、天井壁12には開口部2が設けられ・・・。この天井壁12は、・・・開口部2に向かって下方に傾斜されている・・・。」(第2頁第10行〜同頁第15行)、
「3は・・・粘着物質であり、・・・底面13の周辺部に塗布することができる。」(第2頁第17行〜第3頁第2行)、
「開口部より底面に落下したごきぶりは、・・・粘着物質で確実に粘着捕獲される。」(第3頁第14行〜同頁第17行)、
「粘着物質層を無駄なく使い」(第4頁第1行)、
「傾斜側面11が外側から内側へ向かって上り坂となっている。」(第1図A、第1図B)、
「天井壁12は、傾斜側面11の頂点近傍から下方に傾斜されている。」第1図A、第1図B)
との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例1には、
「台形容器1を有し、該台形容器1には外側から内側へ向かって上り坂となる傾斜側面11と前記傾斜側面11の頂点近傍から下方に傾斜されている天井壁12を形成し、該天井壁12の底部には開口部2を形成し、前記台形容器は粘着物質層を底面13の周辺部に備える害虫捕獲器。」
との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

次に、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である実公昭51-19023号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、
「容器の上面に開口部が形成されると共に内部底面には・・・粘着層が形成され前記開口部は粘着層とは段違いにかつ高く配置されてなり」(実用新案登録請求の範囲)、
「ゴキブリが容器1の側壁3を登ってくると・・・前足から粘着層2の上に踏みおり粘着層2に・・・付着する。」(第1頁右欄第36行〜第2頁左欄第3行)、
「粘着層2は・・・粘着性物質を塗布したプレート・・・を容器本体1の内部に挿入するごとくしてもよい。」(第2頁左欄第34行〜第2頁右欄第4行)
との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例2には、
「容器の上面に開口部を形成し、前記容器は粘着層を有する着脱可能なプレートを備え、前記粘着層は前記プレートが前記容器に収容された際前記開口部に臨ませてある」
ようにした事項が開示されていると認めることができる。

さらに、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願平2-123397号(実開平4-80372号)のマイクロフィルム(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、
「発熱手段により捕獲容器が加熱されているため、温暖な捕獲容器は、ゴキブリの生息にとって良好な環境を提供することになり、ゴキブリを捕獲容器の空間部に積極的に侵入させる」(第9頁下から第1行〜第10頁第3行)
との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例3には、
「捕獲容器内に発熱手段が備えられている」
という事項が開示されていると認めることができる。
(3)対比
そこで、本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「台形容器1」、「傾斜側面11」、「頂点近傍から下方に傾斜されている天井壁12」、「開口部2」および「害虫捕獲器」は、本願発明における「本体」、「傾斜面部」、「頂点近傍から陥没する凹陥部」、「開口」および「ゴキブリ駆除器」に相当する。したがって、両者は、
「本体を有し、該本体には少なくとも外側から内側へ向かって上り坂となる傾斜面部と前記傾斜面部の頂点近傍から陥没する凹陥部を形成し、該凹陥部の底部には開口を形成し、前記本体は粘着部を備えるゴキブリ駆除器。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、本体に備える粘着部の構成が、本願発明は、「粘着部を有する着脱可能な粘着シートを備え、粘着面は前記粘着シートが本体に収容された際凹陥部底部の開口に臨ませてあ」るのに対し、引用例1発明では、粘着物質層を底部の周辺部に備えている点
相違点2、本体の内部に、本願発明では、「ヒータを備えている」のに対し、引用例1発明では、ヒータを備えていない点

(4)判断
上記相違点1について検討する。
ゴキブリ類捕虫器において、容器の上面に開口部を形成し、前記容器は粘着層を有する着脱可能なプレートを備え、前記粘着層は前記プレートが前記容器に収容された際前記開口部に臨ませることが、引用例2のように本件出願前に既に知られており、前記引用例1発明の害虫捕獲器に着脱可能な粘着シートを備え、粘着面は前記粘着シートが本体に収容された際凹陥部底部の開口に臨ませてあるようにした本願発明の前記相違点1に係る構成を採用することは、引用例1および2に記載された発明の単なる寄せ集めに過ぎず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。
次に、上記相違点2について検討する。
従来、ゴキブリを効果的に誘引するために捕獲容器内に発熱手段を設けることは本件出願前周知であり(例えば、引用例3、実願平2-83769号(実開平4-41277号)のマイクロフィルム、実願平3-110612号(実開平5-67264号)のCD-ROM参照)、前記引用例1発明のものにおいて、発熱手段としてヒータを備えるように構成することは、そのことに特に障害があるものとも、また、ヒータを備えるために格別の工夫を要するものとも認められない以上、このような周知技術に基づいて当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
そして、本願発明が上記構成を採ることによりもたらされる効果は、引用例1および2に記載された発明および周知技術から当業者が予測できる範囲のものであって格別のものとは認められない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、引用例1および2に記載の発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-07 
結審通知日 2005-01-11 
審決日 2005-01-24 
出願番号 特願平10-157444
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01M)
P 1 8・ 571- Z (A01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 建男篁 悟秋月 美紀子  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 鉄 豊郎
林 晴男
発明の名称 ゴキブリ駆除器  
代理人 大菅 義之  

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