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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1112843
審判番号 不服2000-10564  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-06-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-07-12 
確定日 2005-03-10 
事件の表示 平成10年特許願第329363号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 6月 6日出願公開、特開2000-153020〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年11月19日の出願であって、平成12年6月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12年7月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月10日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成12年8月10日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成12年8月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。
「【請求項1】内部が透視可能な基板ケース(35)内に、遊技動作等を制御するROM等の電子部品が装着された制御基板(36)〜(39)を収納した弾球遊技機において、前記基板ケース(35)内に、異なる機種に共通の共通制御基板(36)(38)と、特定の遊技盤(6)の遊技動作に固有の固有制御基板(37)(39)とを収納し、前記共通制御基板(36)(38)は単機能又は複数機能別に複数個あり、前記固有制御基板(37)(39)は単機能又は複数機能別に複数個あり、これらの制御基板(36)〜(39)を前記基板ケース(35)内でコネクタ(76)〜(79)(81)(85)及びフラットケーブル(86)〜(88)を介して相互に接続したことを特徴とする弾球遊技機。」
上記補正は、「制御基板(36)〜(39)を基板ケース(35)内で相互に接続」する際に、「コネクタ(76)〜(79)(81)(85)及びフラットケーブル(86)〜(88)を介して」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、本願補正発明という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下検討する。

(2)刊行物の記載内容
刊行物1:特開昭62-183779号公報
刊行物2:特開平10-33793号公報

原査定の拒絶の理由に引用され本願出願前に頒布された刊行物1(特開昭62-183779号公報)には、図面とともに、次のことが記載されている。
「[産業上の利用分野]この発明は、遊技機の制御基板に関し、特に、遊技盤が取替え可能な弾球遊技機に最適な制御基板に関するものである。」(1頁右下欄8ないし11行)、
「この発明は、制御基板を主制御部と副制御部とで構成し、遊技盤の変更によるゲーム内容の変更に対し、副制御部だけを交換することにより対処可能にした制御基板を提供することを主たる目的としている。」(2頁右上欄12ないし16行)、
「第1図は、この発明の第1の実施例を示す斜視図である。第1の実施例の制御基板10は、共通回路基板12と種類別回路基板14とに分割され、両者はコネクタ部16と18とによって着脱自在にされている。そして、共通回路基板12と種類別回路基板14とからなる制御基板10は、共通の基板ボックス20,22に収納されている。」(2頁右下欄8ないし15行)、
「共通回路基板12には、・・・(CPU)および・・・(RAM)を含む集積回路チップ24、・・・(ROM)を含む集積回路チップ26、電源回路集積回路チップ28、音声発生回路集積回路チップ30を含んでいる。」(2頁右下欄16行ないし3頁左上欄1行)、
「種類別回路基板14には、・・・入出力インターフェイス集積回路チップ36をはじめとして、特定種類のパチンコ遊技機に固有に必要な制御回路が含まれている。」(3頁左上欄16ないし20行)、
「コネクタ部16,18は、図示のものに限定されるわけではなく、他の電気的な接続コネクタであっても構わない。」(3頁右上欄11ないし14行)、
「種類別回路基板14は、この制御基板10が取付けられるパチンコ遊技機の種類に応じて交換されるもので、所定の種類別回路基板14が選ばれ、図示のように共通回路基板12と電気的に結合される。」(3頁右上欄15ないし19行)、
「第3図は、この発明の第3の実施例を示す図である。第3の実施例の特徴は、制御基板10を3つの部分に分けたことである。すなわち、制御基板10を、電源回路基板48と、共通回路基板50と、種類別回路基板52との3つに分割したことである。」(4頁左上欄5ないし10行)。
上記記載及び技術常識から、刊行物1には、第1実施例として、「基板ボックス20,22内に、遊技動作等を制御するROM等の電子部品が装着された制御基板10を収納した弾球遊技機において、前記基板ボックス20,22内に、異なる機種に共通の共通回路基板12と、特定の遊技盤の遊技動作に固有の種類別回路基板14とを収納し、これらの制御基板12,14を前記基板ボックス20,22内でコネクタ16,18を介して相互に接続した弾球遊技機。」の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

同じく、刊行物2(特開平10-33793号公報)には、図面とともに、次のことが記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ遊技機、パチスロ遊技機、雀球遊技機、アレンジボールといった遊技制御を伴う遊技機に使用される・・・遊技制御基板及び遊技制御装置に関する。」、
「【0021】【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。・・・図1はパチンコ遊技機1の裏機構を示す背面図、図2は役物制御装置を示す分解斜視図、図3は役物制御基板の構成を説明する正面図、・・・である。・・・【0023】・・・裏機構盤10は、・・・パチンコ遊技機1の背面側に取り付けられる各種機構の取付ベースとなるものである。・・・【0025】・・・役物制御装置6は、裏機構盤10に対して止着部材9により取り付けられている。・・・【0029】・・・この役物制御装置6は、図2に示すように、表面側筐体11と、この表面側筐体11の背面側開口部を塞ぎ、役物制御装置6における筐体を形成する背面側筐体15と、表面側筐体11と背面側筐体15とにより形成された筐体に内包される役物制御基板18とから概略構成されている。」、
「【0030】表面側筐体11は、・・・表面側の壁部となっている透明な表板13とから構成されている。要するに、外部から内部を透視できる透視部を備えている。・・・【0032】一方、背面側筐体15は、方形状の枠で構成された背面枠16と、この背面枠16の背面側開口部を表面側(即ち筐体の内部側に相当)から塞ぐように配設され、背面側の壁部となっている透明な背面板17とから構成されている。要するに、外部から内部を透視できる透視部を備えている。」。

(3)対比
そこで、本願補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「基板ボックス20,22」、「共通回路基板12」、「種類別回路基板14」は、本願補正発明の「基板ケース」、「共通制御基板」、「固有制御基板」に相当するから、両者は、「基板ケース内に、遊技動作等を制御するROM等の電子部品が装着された制御基板を収納した弾球遊技機において、前記基板ケース内に、異なる機種に共通の共通制御基板と、特定の遊技盤の遊技動作に固有の固有制御基板とを収納し、これらの制御基板を前記基板ケース内で相互に接続した弾球遊技機。」である点で一致し、次の各点で相違する。
(相違点1)
基盤ケースは、本願補正発明が「内部が透視可能な」ものであるのに対し、刊行物1記載の発明には、このような限定のない点。
(相違点2)
本願補正発明が「前記共通制御基板は単機能又は複数機能別に複数個あり、前記固有制御基板は単機能又は複数機能別に複数個あり、」としたものであるのに対し、刊行物1記載の発明には、このような限定のない点。
(相違点3)
これらの制御基板を前記基板ケース内で相互に接続するのに、本願補正発明が「コネクタ及びフラットケーブルを介して」接続したのに対し、刊行物1記載の発明は、「コネクタを介して」接続した点。

(4)判断
(相違点1)について
基板ケース内に制御基板を収納した弾球遊技機において、該基板ケース(表面側筺体17、背面側筺体18)を内部が透視可能なものにすることは、上記刊行物2に記載されているように公知であるから、刊行物1記載の発明において、相違点1の本願補正発明に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。
(相違点2)について
刊行物1には、電源回路28とその他の共通回路からなる共通回路基板12(第1実施例)を、電源回路基板48と共通回路基板50とに分割(第3実施例)することが事実上記載されており、また、回路基板を適宜分割することは、当業者であれば、必要に応じてなし得る設計的事項であると認められるから、刊行物1記載の発明において、相違点2の本願補正発明に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。
(相違点3)について
刊行物1には、「コネクタ16,18は、図示のものに限定されるわけではなく、他の電気的な接続コネクタであってもかまわない。」(3頁右上欄11ないし14行)と記載され、また、基板を、コネクタ及びフラットケーブルを介して相互に接続することは、例えば、特開平10-261856号公報、特開平9-116282号公報、及び、実願平5-43568号(実開平7-14572号)のCD-ROM(従来の技術)等に記載されているように周知であるから、刊行物1記載の発明において、相違点3の本願補正発明に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。
そして、本願補正発明の構成による格別の作用効果も認められない。

よって、本願補正発明は、刊行物1及び2記載の発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成12年8月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明のうち、本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成11年12月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】内部が透視可能な基板ケース(35)内に、遊技動作等を制御するROM等の電子部品が装着された制御基板(36)〜(39)を収納した弾球遊技機において、前記基板ケース(35)内に、異なる機種に共通の共通制御基板(36)(38)と、特定の遊技盤(6)の遊技動作に固有の固有制御基板(37)(39)とを収納し、前記共通制御基板(36)(38)は単機能又は複数機能別に複数個あり、前記固有制御基板(37)(39)は単機能又は複数機能別に複数個あり、これらの各制御基板(36)〜(39)を前記基板ケース35内で相互に接続したことを特徴とする弾球遊技機。」

(1)刊行物の記載内容
原査定に引用され本願出願前に頒布された刊行物1及び2の記載内容は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)」記載の本願補正発明から「コネクタ(76)〜(79)(81)(85)及びフラットケーブル(86)〜(88)を介して」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、刊行物1及び2記載の発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1及び2記載の発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1及び2記載の発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-07 
結審通知日 2005-01-11 
審決日 2005-01-26 
出願番号 特願平10-329363
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 塩崎 進
林 晴男
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 谷藤 孝司  

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