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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N |
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管理番号 | 1112924 |
異議申立番号 | 異議2003-71453 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-01-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-06-03 |
確定日 | 2004-12-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3353394号「画像表示装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3353394号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第3353394号の請求項1、2に係る発明についての出願は、平成5年7月6日に出願され、平成14年9月27日に設定登録され、その後、特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年6月28日に訂正請求がなされたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正事項 (1) 請求項1における「前記キャビネットと前記枠体とで、前記画像表示素子を挟み込んで構成したことを特徴とする画像表示装置。」を「前記枠体に設けられた穴を前記キャビネットの前記ボスに取り付けて、前記キャビネットと前記枠体とで、前記画像表示素子及び前記金属板とを挟み込んで構成したことを特徴とする画像表示装置。」と訂正する。 (2) 請求項2における「前記画像表示素子を挟み込んでから前記キャビネットを取付け固定した構成にしたことを特徴とする画像表示装置。」を「前記画像表示素子及び前記金属板とを挟み込んでから前記枠体に設けられた穴を前記キャビネットの前記ボスに取付けて固定した構成にしたことを特徴とする画像表示装置。」と訂正する。 (3) 請求項1、2における「その前方に配置した複数のボスを備えたキャビネット」を「前記画像表示素子の前方に配置した複数のボスを備えたキャビネット」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項(1)、(2)は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また上記訂正事項(3)は、明りょうでない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法120条の4第2項の規定、及び3項で準用する特許法126条2項及び3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3 取消理由についての判断 1 引用刊行物 (1) 当審が通知した取消理由通知に引用した特開昭62-10977号公報(以下「刊行物1」という。)には次の事項が記載されている。 ア ドツトマトリツクス液晶表示パネルを用いてテレビジヨン画像を表示する液晶テレビジヨン受像機に関して、「第3図及び第4図において、図中10aは受像機ケ-ス10の表側ケ-ス、10bは中間ケ-ス、10cは裏側ケ-スであり」(5頁右下欄15〜17行) イ 「第4図において、58は中間ケ-ス10bと一体に形成されたシャーシであり、このシャーシ58には、前記つまみ基板110と、スピ-カ170と、チューニングつまみ61およびボリューム調節つまみ62が取付けられてシャーシユニットEとしてまとめられている。」(6頁右上欄11〜16行) ウ 「表示ユニットAはシャーシユニットEの表側に配置されている。 前記表示ユニットAは、第1図及び第9図〜第11図に示すように、フレーム70上に液晶表示パネル181を配置してこの液晶表示パネル181の両側部を両面接着テープ71によりフレ-ム70に接着固定すると共に、液晶表示パネル181とフレーム70との間にエレクトロルミネセンス照光パネル182を挿入し、さらにフレーム70の下側に4個の信号側電極駆動用LSI 72a、72b、72c、72dを表面に備えた表示駆動回路基板150を配置し、その裏面に、1個の走査側電極駆動用LSI 72eを裏面に備えた表示駆動制御回路基板140を積層配置したもので、上記表示駆動制御回路基板140の側部に熱圧着されてこの回路基板140から導出されたフレキシブル基板201は、液晶表示パネル181の走査側電極の端子に熱圧着によつて接続されている。 また、上記表示駆動回路基板150はフレキシブルなフイルム基板の裏面に補強板150aを接着したもので、この前記フイルム基板の両側部は補強板150aで補強された表示駆動回路150部分から適当長さ導出されて表示パネル接続用フレキシブル基板200とされている。そして、このフレキシブル基板200は、前記表示駆動制御回路基板140側のフレキシブル基板201とは直交する方向から液晶表示パネル181の信号側電極の端子に重合され、止めネジ74によつてフレーム70に取付けられる押え板73により信号側電極の端子と接触接続されている。なお、第1図において75は前記押え板73のフレキシブル基板当接面に接されるゴム材である。」(6頁右下欄16〜7頁右上欄8行) エ 「表示駆動回路基板150と表示駆動制御回路基板140とを、それぞれその基板から導出されたフレキシブル基板200、201を介して液晶表示パネル181の走査側電極および信号側電極に互いに直交する方向から接続している」(8頁右上欄17〜左下欄1行) (2) 同じく特開昭63-121884号公報(以下「刊行物2」という。)には次の事項が記載されている。 オ 「蛍光表示管と、車両ボディに固着されるフレーム部材と、下面に取付片を垂設した放熱板と、回路基板とを備え、前記蛍光表示管を前記フレーム部材と放熱板により挟持すると共に前記取付片に前記回路基板を装着したことを特徴とする車両用蛍光表示管装置。」(1頁の特許請求の範囲) カ 「第1図は本発明の第1実施例を示す側面図、第2図は同じく背面図である。1は蛍光体を塗布したいくつかの陽極片の発光を切り換えることにより、文字、数字などを選択的に表示する蛍光表示管であり、該蛍光表示管1を合成樹脂製のフレ-ム部材2と鉄板あるいはアルミ板製の放熱板3で挟持する。そしてねじ4により放熱板3をフレ-ム部材2に固着することにより両者の間に蛍光表示管1を固定する。」(2頁左下欄1〜9行) キ 「前記放熱板3の下面にはプレス成型により取付片8が垂設形成され、ここに蛍光表示管1の表示制御回路を構成する各種素子9、10を実装した回路基板11、12がねじ13により取り付けられている。そして蛍光表示管1と回路基板12はフレキシブルプリント基板14により電気的に接続されている。特に蛍光表示管1とフレキシブルプリント基板14は第3図に示すように、蛍光表示管1のガラス端面を5mm程度延ばしたうえ、メッキを施して端子15を形成し、該端子15とフレキシブルプリント基板14を導電性接着剤または半田付けして接続する。あるいは第4図に示すように、蛍光表示管の端面から5mm程度リ-ド端子16を延ばし、該リ-ド端子とフレキシブルプリント基板14を半田付けして接続する。」(2頁左下欄最下行〜右下欄15行) ク 「次に本発明の第2実施例を第5図に示す。前記第1実施例のフレ-ム部材2は一体成型により作られているが、本実施例ではこれに代えて、2個のL字形状フレ-ム部材20、21により蛍光表示管1を固定している。」(3頁3〜7行) (3) 同じく実願平1-2926号の公開されたマイクロフィルム(以下「刊行物3」という。)には図面と共に次の事項が記載されている。 ケ 「駆動回路(1)及び放熱板(5)が搭載された回路基盤(2)と、該回路基板に、前記放熱板(5)に密着又は接着され、かつ該放熱板を介して取付けられると共に、表示電極に突設されたリード端子(6)を有する蛍光表示管(4)と、前記リード端子(6)と前記駆動回路(1)とを接続する電気的接続手段(7)、(9)を備えたことを特徴とする表示装置。」(2頁の実用新案登録請求の範囲) コ 「第1図において、裏面に駆動回路1を設けてなる回路基板2の表面には放熱板5を接着し、該放熱板5の表面(上面)に従来例で述べたこと[と]同様の大型蛍光表示管4を当接保持せしめている。」(5頁最下行〜6頁4行) サ 第2図は上記蛍光表示管4、放熱板5、回路基板2よりなる装置を、ケース10に取り付けた状態を示す。」(6頁11〜13行) シ 第5図(ロ)では、第2図と同じくケース10よりボス13aを突出させヒートシンクとなる金属製ケース13とネジ留めした構造を示している。」(10頁12〜14行) (4) 同じく特開平5-103284号公報(以下「刊行物4」という。)には図面と共に次の事項が記載されている。 ス フロントキャビネットとリアキャビネットとの間に主基板、反射板、螢光灯及び液晶パネルを積層配設する液晶テレビの組立構造に関して、「図1乃至図3に本発明の一実施例の構成を示す。図1及び図2において、矩形容器状のリアキャビネット1の底面の四隅近傍には、それぞれ第1の係合手段であるボス2が突出して設けられている。」(段落0010) セ 「図2に示すように、リアキャビネット1のボス2の中心に下面から形成された座ぐり孔2bにネジ10を挿入し、細径部2a及び反射板4側の受座7の中心を貫通して、フロントキャビネット8側のボス9の中心に形成されたネジ孔9aに螺合させる。 ・・・中略・・・ このようにして、4本のネジ10によりフロントキャビネット8、液晶パネル11、反射板4及びリアキャビネット2を一体に位置決め固定することができる。」(段落0012) 2 訂正明細書の請求項1に係る発明 (1) 訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下「訂正発明1」という。) 「【請求項1】表容器と裏容器とを有する真空外囲器から構成される画像表示素子と、前記画像表示素子の前方に配置した複数のボスを備えたキャビネットと、前記画像表示素子の裏面に配置されて、前記画像表示素子に接続されている複数の端子プリント配線板と、前記画像表示素子を駆動する駆動回路プリント配線板と、前記複数の端子プリント配線板と前記駆動回路プリント配線板を取付け固定する枠体と、前記画像表示素子の後面と前記枠体との間に挿入配設された金属板とを備え、前記枠体に設けられた穴を前記キャビネットの前記ボスに取り付けて、前記キャビネットと前記枠体とで、前記画像表示素子及び前記金属板とを挟み込んで構成したことを特徴とする画像表示装置。」 (2) 対比 表容器と裏容器とを有する真空外囲器から構成される画像表示素子は、当業者に周知な画像表示素子である。 すなわち、本願発明の明細書にも従来の技術として、「近年、ブラウン管のように映像を映し出す画像表示素子で、表容器と裏容器という2個のガラス製の容器とその間から複数の金属線が出ている画像表示素子が開発されている。」(段落0004)と開示され、この容器が真空外囲器から構成されることも段落0014に記載されている。 さらに、本願発明の特許公報の参考文献に揚げられた特開昭61-180148号公報にも開示されている。また、刊行物の2、3の蛍光表示管が真空容器であることは、自明の事項である。 キャビネットが係合手段としてボスを備えることは格別な構成ではなく、刊行物3には、前記1(3)シで揚げたようにケースよりボスを突出させてネジ留めした構造が明記されている。 刊行物1には、画像表示素子である液晶表示パネルの裏面に照光パネルを配置してフレームに固定し、フレームの裏面に表示駆動回路基板と表示駆動制御回路基板を積層して配置し、両回路基板から導出されたフレキシブル基板を液晶表示パネルの走査電極、信号側電極にそれぞれ接続して、表示ユニットとして一体化してケース内に収納した構成が開示されている。そして、表側ケース10aは、訂正発明1のキャビネットに、中間ケース10b、裏側ケース10cは合わせて枠体に相当するといえる。 そして、この枠体は、液晶パネルを挟み込む構成であるとともに、両回路基板及びフレキシブル基板を挟み込みにより取付固定する構成である。 本件の金属板は、放熱効果を高めるために設けたものであるが、刊行物2、3にも表容器と裏容器とを有する真空外囲器から構成される表示素子の後面に放熱板を備えた表示装置が開示されている。 (3) 相違点 以上を踏まえ、刊行物1の画像表示装置と訂正発明1を対比すると、「表容器と裏容器とから構成される画像表示素子と、前記画像表示素子の前方に配置したキャビネットと、前記画像表示素子の裏面に配置されて、前記画像表示素子に接続されている複数の端子プリント配線板と、前記画像表示素子を駆動する駆動回路プリント配線板と、前記複数の端子プリント配線板と前記駆動回路プリント配線板を取付け固定する枠体と、前記キャビネットと前記枠体とで、前記画像表示素子を挟み込んで構成したことを特徴とする画像表示装置。」の点で一致し、次の点で相違する。 相違点1:訂正発明1では、画像表示素子が真空外囲器を備え、画像表示素子の後面に金属板を配置し、キャビネットと枠体とで、画像表示素子と金属板を挟み込んでいるのに対し、刊行物1ではこの構成が示されていない点。 相違点2:訂正発明1では、キャビネットが複数のボスを備え、枠体の穴を取り付けているのに対し、刊行物1ではボス等の取付手段が明確に示されていない点。 (4) 相違点の検討 相違点1について 画像表示素子として、真空外囲器を備えたものは前記したように平面型表示装置として当業者に周知であり、刊行物2には、真空外囲器を備えた蛍光表示管を表示素子とし、その表示側後部に金属製の放熱板が設けられており、刊行物1の表示装置においても必要ならば放熱を期して金属板を設けることは当業者であれば容易に推考できたものと認められる。 また、キャビネットと枠体とで、画像表示素子と金属板を挟み込んで支持することは、刊行物2においてもフレーム部材と取付片で画像表示素子と金属片を挟み込んでおり、支持手段としての構造は異なるが、機能的な観点からは格別顕著なものとは認められず、当業者が適宜実施しうる構成にすぎず進歩性は認められない。 相違点2について 二つの部材を係合固定する手段は、種々のものが慣用されており、刊行物4にも、フロントキャビネットとリアキャビネットを備えた液晶テレビが示され、係合手段としてボスと受座が明確に示されている。 訂正発明1の係合手段は、他の構成と密接な関連も特徴的な限定もないことから、当業者が適宜採用しうる設計事項にすぎない。 以上、各相違点に何ら進歩性は認められず、相違点全体としても格別進歩性是認の判断に寄与する事項は認められない。また、効果についても格別顕著な事項は認められない。 したがって、訂正発明1は、前記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 訂正明細書の請求項2に係る発明 (1) 訂正明細書の請求項2に係る発明は、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下「訂正発明2」という。) 「【請求項2】 表容器と裏容器とを有する真空外囲器から構成される画像表示素子と、前記画像表示素子の前方に配置した複数の固定台と、複数のボスを備えたキャビネットと、前記画像表示素子の裏面に配置されて、前記画像表示素子に接続されている複数の端子プリント配線板と、前記画像表示素子を駆動する駆動回路プリント配線板と、前記複数の端子プリント配線板と前記駆動回路プリント配線板を取付け固定する枠体と、前記画像表示素子の後面と前記枠体との間に挿入配設された金属板とを備え、前記固定台と前記枠体とで前記画像表示素子及び前記金属板とを挟み込んでから前記枠体に設けられた穴を前記キャビネットの前記ボスに取付けて固定した構成にしたことを特徴とする画像表示装置。」 (2) 訂正発明2の特徴的な要件及び判断 訂正発明2の特徴は、訂正発明1に加え、「複数の固定台を画像表示素子の前方に配置し、固定台と枠体とで画像表示素子と金属板を挟み込んでからキャビネットを取付け固定した」構成を、更に要件としている点である。 そこで検討するに、刊行物1には、液晶表示パネルとフレームと回路基板を一体化して、第3図に示されるようにケース内に設置しており、画像表示素子をキャビネットに取り付ける前に予め固定しておくことは、機器製作上当業者が適宜実施しうる事項であり、当業者が格別発明力を要したとは認められない。 なお、外部ケースとは別に、あらかじめ表示素子を固定する枠を備えた表示装置は、実願昭58-127292号(実開昭60-36629号公報)の従来技術としても例示されているように当業者に周知な事項である。 したがって、訂正発明2は、他の構成要件について訂正発明1の項で検討した事項を含め、前記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正発明1、2は、前記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、2についての特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明1、2についての特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 画像表示装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】表容器と裏容器とを有する真空外囲器から構成される画像表示素子と、前記画像表示素子の前方に配置した複数のボスを備えたキャビネットと、前記画像表示素子の裏面に配置されて、前記画像表示素子に接続されている複数の端子プリント配線板と、前記画像表示素子を駆動する駆動回路プリント配線板と、前記複数の端子プリント配線板と前記駆動回路プリント配線板を取付け固定する枠体と、前記画像表示素子の後面と前記枠体との間に挿入配設された金属板とを備え、前記枠体に設けられた穴を前記キャビネットの前記ボスに取付けて、前記キャビネットと前記枠体とで、前記画像表示素子及び前記金属板とを挟み込んで構成したことを特徴とする画像表示装置。 【請求項2】表容器と裏容器とを有する真空外囲器から構成される画像表示素子と、前記画像表示素子の前方に配置した複数の固定台と、複数のボスを備えたキャビネットと、前記画像表示素子の裏面に配置されて、前記画像表示素子に接続されている複数の端子プリント配線板と、前記画像表示素子を駆動する駆動回路プリント配線板と、前記複数の端子プリント配線板と前記駆動回路プリント配線板を取付け固定する枠体と、前記画像表示素子の後面と前記枠体との間に挿入配設された金属板とを備え、前記固定台と前記枠体とで前記画像表示素子及び前記金属板とを挟み込んでから前記枠体に設けられた穴を前記キャビネットの前記ボスに取付けて固定した構成にしたことを特徴とする画像表示装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、表容器と裏容器とを有する真空外囲器によって構成される画像表示素子と画像表示素子から出ている金属製の端子と溶接する端子プリント配線板および、画像表示素子を駆動するための電気回路を搭載した駆動回路プリント配線板などのプリント配線板を画像表示素子に取り付ける構造、および画像表示素子と端子プリント配線板、駆動回路プリント配線板を一体化してキャビネットに取り付ける構造に関するものである。 【0002】 また、本発明は、画像表示素子自身から発生する熱と駆動回路プリント配線板から発生する熱による画像表示素子の温度上昇を抑えることおよび、画像表示素子裏面と駆動回路プリント配線板の間の空間の温度を均一化する構造に関するものである。また、本発明は、画像表示素子を構成する表容器、裏容器の寸法が大きくばらついた場合に対しても画像表示素子をキャビネットに取り付けることができるように、それに、衝撃を受けたときにある程度の衝撃を吸収できるようにした構造に関するものである。 【0003】 また、本発明は画像表示装置単体を移載できるようにした構造に関するものである 【0004】 【従来の技術】 近年、ブラウン管のように映像を映し出す画像表示素子で、表容器と裏容器という2個のガラス製の容器とその間から複数の金属線が出ている画像表示素子が開発されている。 【0005】 以下に従来の画像表示装置の構造について説明する。 図14〜図15は従来の画像表示素子と端子プリント配線板、画像表示素子を駆動する駆動回路プリント配線板の構成図を示すものである。図14〜図15において、1は画像表示素子で、ガラス製の表容器1a、裏容器1bから構成された、ブラウン管のように映像を映し出す画像表示素子である。2は金属製の端子で画像表示素子1の表容器1aと裏容器1bの間から上下、左右に出てくる複数の金属線である。3は端子プリント配線板で、複数の金属製の端子3aが取付けられており、画像表示素子1から出ている端子2に溶接して端子2と端子プリント配線板3の金属製の端子3aを接続している。4は駆動回路プリント配線板で、画像表示素子1を駆動するための電気回路が搭載されている。5はカプラで駆動回路プリント配線板4の上下、左右で4枚の端子プリント配線板3と駆動回路プリント配線板4を接続している。 【0006】 以上のように構成された画像表示装置について、以下に説明する。まず、画像表示素子1からは複数の金属製の端子2が出ており、端子プリント配線板3にある複数の金属製の端子3aと溶接によって接続する。その後、4枚の端子プリント配線板3を画像表示素子1の裏面の方向に端子2の部分で折り曲げる。4枚の端子プリント配線板3が周囲を囲むような形になったところに駆動回路プリント配線板4を配置して、4枚の端子プリント配線板3と複数のカプラ5によって接続している。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら上記の従来の画像表示素子と複数の端子プリント配線板、駆動回路プリント配線板の構成では、画像表示素子自身に端子プリント配線板を取り付ける構造がないので、端子プリント配線板をどこかに固定しなければ、端子プリント配線板を画像表示素子から出ている端子に溶接した後、画像表示装置を移載するときに端子プリント配線板が前後左右に自由に動くために、端子が画像表示素子から出てくる部分や、端子の折り曲げ部分などが破損する可能性がある。 【0008】 それに、画像表示素子を駆動するための電気回路を搭載した駆動回路プリント配線板は端子プリント配線板にカプラで接続されるが、この駆動回路プリント配線板も画像表示装置に固定する構造がない。また、画像表示素子単体にはキャビネットなどの外装部品に取り付けるための構造を有していないという第1の問題点があった。 【0009】 また、画像表示素子が駆動されているときパネル自身からは大きな熱を発生するが、駆動回路プリント配線板も大きな熱を発生するために、画像表示素子の裏面および画像表示素子と駆動回路プリント配線板の間の空間では局所的に温度の極めて高い部分が存在し、性能に悪影響をおよぼす可能性があるという第2の問題点があった。 【0010】 また、画像表示素子はガラス製の表容器、裏容器と呼ばれる部分を組み合わせて構成されるために、全体の寸法が大きくばらつき、位置決めが困難であることそれに、全体がガラス製であるため衝撃にも弱いという第3の問題点があった。 【0011】 また、画像表示素子には移載の際に持つことができる部分がないので、簡単に持ち運ぶことが困難であるという第4の問題点があった。 【0012】 本発明は上記従来の課題を解決するもので、画像表示素子から上下、左右4方向に出ている複数の端子と溶接されている4枚の端子プリント配線板と端子プリント配線板に接続した駆動回路プリント配線板を画像表示素子の裏面に固定するとともに、画像表示素子と端子プリント配線板を一体として、キャビネットに取付けることができる画像表示装置を提供することを第1の目的とする。 【0013】 また、本発明は上記従来の課題を解決するもので、画像表示素子裏面の温度上昇を抑えるとともに、画像表示素子と駆動回路プリント配線板の間の空間の温度を均一化し、全体の温度を下げることができる画像表示装置を提供することを第2の目的とする。 【0014】 また、本発明は、上記従来の課題を解決するもので、表容器、裏容器、また、組み合わせた真空外囲器の寸法のばらつきを吸収し、画像表示素子を衝撃から保護することができる画像表示装置を提供することを第3の目的とする。 【0015】 また、本発明は、上記従来の課題を解決するもので画像表示素子と端子プリント配線板、駆動回路プリント配線板を一体で、移載することが容易にできる画像表示装置を提供することを第4の目的とする。 【0016】 【課題を解決するための手段】 上記第1の目的を達するために本発明の画像表示装置は、画像表示素子の裏面から、枠体をはめこんで、枠体に設けられた複数のボスに複数の端子プリント配線板と、駆動回路プリント配線板をビスやツメで取り付けることができる、また、枠体の4箇所のコーナーにある複数の穴を利用して枠体ごとキャビネットに画像表示素子と端子プリント配線板、駆動回路プリント配線板を一体で取り付けることができる構成を有している。 【0017】 また、上記第1の目的を達するために本発明の画像表示装置は、画像表示素子の前方周囲、あるいは左右、あるいは4個のコーナーに配置された固定台に対して、画像表示素子の裏面から、枠体をはめこんで、固定台とビス止めして画像表示素子を囲み固定し、枠体に設けられた複数のボスに複数の端子プリント配線板と、駆動回路プリント配線板をビスやツメで取り付けることができる、また、枠体の4箇所のコーナーにある複数の穴を利用して枠体ごとキャビネットに画像表示素子と端子プリント配線板、駆動回路プリント配線板を一体で取り付けることができる構成を有している。 【0018】 上記第2の目的を達成するために本発明の画像表示装置は、画像表示素子の裏面からはめこむ枠体の裏面、即ち、画像表示素子と枠体の間に金属板の放熱板を取り付け、その放熱板が画像表示素子裏面に接触するという構成を有している。 【0019】 上記第3の目的を達成するために本発明の画像表示装置は、画像表示素子の前方周囲、あるいは左右、あるいは4個のコーナーに配置した固定台で、画像表示素子の4箇所のコーナー部で、固定台と画像表示素子の間、画像表示素子と枠体の間に複数のクッションをはめこみ、複数のクッションで画像表示素子を囲んで画像表示素子の寸法のばらつきを吸収し、衝撃から保護する構成を有している。 【0020】 上記第4の目的を達成するために本発明の画像表示装置は枠体の複数のボスに複数の把手をビス止めすることで、画像表示装置の移載ができる構造を有している。 【0021】 【作用】 上記の技術手段によって、画像表示素子から上下、左右4方向に出ている複数の端子と溶接されている4枚の端子プリント配線板と端子プリント配線板に接続した駆動回路プリント配線板を画像表示素子の裏面に固定するとともに、画像表示素子と端子プリント配線板を一体として、キャビネットに取付けることができる。 【0022】 また、上記の技術手段によって、画像表示素子裏面の温度上昇を抑えるとともに、画像表示素子と駆動回路プリント配線板の間の空間の温度を均一化し、全体の温度を下げることができる。また、上記の技術手段によって、画像表示素子の寸法のばらつきを吸収し、画像表示素子を衝撃から保護することができる。 【0023】 また、上記の技術手段によって、画像表示素子と端子プリント配線板、駆動回路プリント配線板を一体で、移載することができる。 【0024】 【実施例】 (実施例1) 以下、本発明の一実施例について、図1〜図2を参照しながら説明する。 図1〜図2において、6は画像表示素子で、ブラウン管のように映像を映し出す画像表示素子で、ガラス製の表容器6aと裏容器6bから構成されている。7は端子で画像表示素子6の表容器6aと裏容器6bの間から上下、左右方向に出ている複数の金属線である。8は端子プリント配線板で、複数の金属製の端子8aが取り付けられており、画像表示素子6から出ている端子7に溶接して端子7と端子プリント配線板8の金属製の端子8aを接続している。9は駆動回路プリント配線板で、画像表示素子6を駆動するための電気回路が搭載されている。10はカプラで駆動回路プリント配線板9の上下、左右で4枚の端子プリント配線板7と駆動回路プリント配線板9を接続している。11はキャビネットで、画像表示素子6を取り付けるものである。11aはボスである。12は枠体である。12aは枠体に設けられたボスである。 【0025】 以上のように構成された画像表示装置において、まず、枠体12を画像表示素子6の後方から、裏容器6bを覆うようにはめ込み、4枚の端子プリント配線板8を端子7のところで、枠体12の方向に折り曲げ、枠体12が有する複数のボス12aにビス止めして、枠体に固定する。4枚の端子プリント配線板8の真ん中に駆動回路プリント配線板9を配置し、同様に枠体12のボス12aにビス止めして固定する。4枚の端子プリント配線板8と駆動回路プリント配線板9とはカプラ10によって接続している。この状態で、キャビネット11のボス11aに枠体12をビス止めして、画像表示素子6をキャビネット11と枠体12ではさみ込むため画像表示素子6をキャビネット11に固定することができるとともに、4枚の端子プリント配線板8と駆動回路プリント配線板9も固定することができ目的を達成することができる。 【0026】 (実施例2) また、本発明の他の実施例について、図3〜図6を参照しながら説明する。図3〜図6において、13は固定台で、画像表示素子6の前方で左右に配置して、画像表示素子6の表容器6aの前方の4箇所のコーナーを押さえられるようになっている。固定台13には複数のボス13aが設けられている。 【0027】 以上のように構成された画像表示装置において、まず、左右の固定台13を、画像表示素子6の表容器6aの前方4箇所のフランジ部分が当たるところに配置し、枠体12を画像表示素子6の後方から、裏容器6bを覆うようにはめ込み、4枚の端子プリント配線板8を端子7のところで、枠体12の方向に折り曲げ、枠体12が有する複数のボス12aにビス止めして、枠体に固定する。4枚の端子プリント配線板8の真ん中に駆動回路プリント配線板9を配置し、同様に枠体12のボス12aにビス止めして固定する。4枚の端子プリント配線板8と駆動回路プリント配線板9とはカプラ10によって接続している。この状態で、枠体12の4コーナーで固定台13のボス13aにビス止めして、枠体12と固定台13とで画像表示素子6をはさみ込むようにしている。これを、キャビネット11の中に入れ、キャビネット11のボス11aに枠体12をビス止めすると、画像表示素子6を枠体12と固定台13ではさみ込むため画像表示素子6をキャビネット11に固定することができるとともに、4枚の端子プリント配線板8と駆動回路プリント配線板9も固定することができ目的を達成することができる。 【0028】 (実施例3) また、本発明の他の実施例について、図7〜図8を参照しながら説明する。図7〜図8において、14は第1のクッションで固定台13と画像表示素子6の表容器6aの前、上下、左右の空間を満たすものであるが、ガラス製の画像表示素子6の外形寸法のばらつきを前後、上下、左右方向において吸収するとともに、画像表示素子6に衝撃が加わった場合に、衝撃から画像表示素子6を保護する役割を果たしている。15は第2のクッションで、枠体12と画像表示素子6の裏容器6bの間の4コーナーに挟み込まれている。 【0029】 以上のように構成された画像表示装置において、まず、固定台13の内側で画像表示素子6の表容器6aの前方4箇所のコーナーに第1のクッションを入れ、枠体12と裏容器6bの間に第2のクッションを4箇所に入れ、この状態で、枠体12と固定台13を固定台13aのボスを利用して、ビス止めして、画像表示素子6をはさみ込み画像表示素子6の4箇所のコーナーを第1のクッション、第2のクッションによって画像表示素子6のガラスの寸法のばらつきを吸収するとともに、衝撃から画像表示素子6を保護するようになっている。 【0030】 (実施例4) また、本発明の他の実施例について図9〜図10を参照しながら説明する。図9〜図10において、16は放熱板で、画像表示素子6の裏面の熱を放出するとともに、温度を均一化している。 【0031】 以上のように構成された画像表示装置において、まず、12は枠体で、画像表示素子6の裏面から画像表示素子6を押さえるように取り付けられるが、ボス12aに放熱板13を枠体12の裏側からビス止めしている。したがって、裏容器6bと枠体12の間に放熱板16をはさみ込んだ状態になっている。また、ボス12aには端子プリント配線板8、駆動回路プリント配線板9をビス止めしている。それを画像表示素子6の前方左右にある固定台13のボス13aにビス止めすることによって、画像表示素子6を挟み込むことができる。ここで、画像表示素子6の裏面には放熱板16が接触しているので、画像表示素子6の裏面の温度を下げるとともに均一化し、画像表示素子6と駆動回路プリント配線板9の間の空間の温度を均一化することができる。 【0032】 (実施例5) また、本発明の他の実施例について図11〜図13を参照しながら説明する。図11〜図13において、17は把手であり、手で持つことができる部分である。18はリード線、19はクランパー、20はバックカバーである。 【0033】 以上のように構成された画像表示装置において、まず、端子プリント配線板8の上から、左右に把手17を枠体12のボス12aにビス止めして取り付けると、把手17を持って画像表示素子6を移載することができる。また、把手17は狭い空間において、リード線18の処理を行う際のクランパー19を取り付ける部品としても用いることができ、バックカバー20の外郭強度を向上させる役割も担っている。 【0034】 なお、左右の固定台13と枠体12を4箇所のコーナー部で固定台13のボス13aにビス止めしているが、固定台13は左右の2個にする必要は特になく、画像表示素子6に対して、上下、左右で枠体12と挟むように4個にしてもよいし、また、左右の固定台13の上下をつないで、枠体のような形状にしても枠体12とで画像表示素子6を挟み込み、目的を達することができる。 【0035】 【発明の効果】 以上のように本発明の画像表示装置によって、画像表示素子から上下、左右4方向に出ている複数の端子と溶接されている4枚の端子プリント配線板と端子プリント配線板に接続した駆動回路プリント配線板を画像表示素子の裏面に固定するとともに、画像表示素子と端子プリント配線板を一体として、キャビネットに取付けることができる。また、画像表示素子裏面の温度上昇を抑えるとともに、画像表示素子と駆動回路プリント配線板の間の空間の温度を均一化し、全体の温度を下げることができる。また、画像表示素子の寸法のばらつきを吸収し、衝撃から保護するとともに、画像表示素子と端子プリント配線板、駆動回路プリント配線板を一体で、移載することができるので大いに有効なものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1の実施例を示す画像表示装置の分解斜視図 【図2】 本発明の第1の実施例を示す画像表示装置の分解斜視図 【図3】 本発明の第2の実施例を示す画像表示装置の分解斜視図 【図4】 本発明の第2の実施例を示す画像表示装置の分解斜視図 【図5】 本発明の第2の実施例を示す画像表示装置の組立図 【図6】 本発明の第2の実施例を示す画像表示装置の組立図 【図7】 本発明の第3の実施例を示す画像表示装置の分解斜視図 【図8】 本発明の第3の実施例を示す画像表示装置の分解斜視図 【図9】 本発明の第4の実施例を示す画像表示装置の分解斜視図 【図10】 本発明の第4の実施例を示す画像表示装置の分解斜視図 【図11】 本発明の第5の実施例を示す画像表示装置の組立図 【図12】 本発明の第5の実施例を示す画像表示装置の組立図 【図13】 本発明の第5の実施例を示す画像表示装置の側面図 【図14】 従来の画像表示装置の組立図 【図15】 従来の画像表示装置の組立図 【符号の説明】 6 画像表示素子 6a ガラス製の表容器 6b 裏容器 7 金属製の端子 8 端子プリント配線板 8a 金属製の端子 9 駆動回路プリント配線板 10 カプラ 11 キャビネット 11a ボス 12 枠体 12a ボス 13 固定台 13a ボス 14 第1のクッション 15 第2のクッション 16 放熱板 17 把手 18 リード線 19 クランパー 20 バックカバー |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-10-13 |
出願番号 | 特願平5-166854 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(H04N)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 伊東 和重 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
小松 正 新宮佳典 |
登録日 | 2002-09-27 |
登録番号 | 特許第3353394号(P3353394) |
権利者 | 松下電器産業株式会社 |
発明の名称 | 画像表示装置 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 山口 芳広 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 渡邉 敬介 |
代理人 | 内藤 浩樹 |