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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1112941
異議申立番号 異議2003-73409  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-09-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-24 
確定日 2004-12-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3419828号「画像通信アダプター装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3419828号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3419828号の請求項1に係る発明についての出願は、平成5年3月1日に出願した特願平5-40178号の一部を平成5年7月6日に新たな特許出願としたものであって、平成15年4月18日に設定登録され、その後、特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年9月21日に訂正請求がなされたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正事項
(1) 請求項1における「外部の通信相手を特定し、回線を確立させるとともに、前記第1及び第2のインターフェイス手段を介して、前記特定された通信相手と前記カメラとの間の画像情報の通信を」の後に、「制御し、更に前記第1のインターフェイス手段を介して、前記カメラの撮影に関する設定を行い得る」を挿入する。

(2) 明細書の段落0008を「【課題を解決するための手段】本発明は、カメラとの間で画像情報の授受を行うための第1のインターフェイス手段と、通信用モデムを介して、外部と画像情報の授受を行うための第2のインターフェイス手段と、外部の通信相手を特定し、回線を確立させるとともに、第1及び第2のインターフェイス手段を介して、特定された通信相手とカメラとの間の画像情報の通信を制御し、更に前記第1のインターフェイス手段を介して、前記カメラの撮影に関する設定を行い得る操作手段とを備えた画像通信アダプター装置である。」と訂正する。

(3) 明細書の段落0009を「【作用】本発明では、操作手段を利用することによって、外部の通信相手を特定し回線を確立させ、それから、第1のインターフェイス手段を利用することによって、カメラとの間で画像情報の授受を行うとともに、更に前記カメラの撮影に関する設定を行い、第2のインターフェイス手段を利用することによって、通信用モデムを介して、外部と画像情報の授受を行うことによって、特定された通信相手とカメラとの間の画像情報の通信を実現する。」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、要旨変更の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(1)は、アダプター装置の操作手段を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、明細書中に記載されていた事項であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項(2)、(3)は、前記請求項の訂正と整合をとるもので、明瞭でない記載の釈明を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条1項ただし書及び2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 取消理由についての判断
1 本件発明
前記のように訂正請求が認められたので、本件請求項1に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】カメラとの間で画像情報の授受を行うための第1のインターフェイス手段と、通信用モデムを介して、外部と画像情報の授受を行うための第2のインターフェイス手段と、外部の通信相手を特定し、回線を確立させるとともに、前記第1及び第2のインターフェイス手段を介して、前記特定された通信相手と前記カメラとの間の画像情報の通信を制御し、更に前記第1のインターフェイス手段を介して、前記カメラの撮影に関する設定を行い得る操作手段と、を備えたことを特徴とする画像通信アダプター装置。」(以下、「本件発明」という。)

2 引用刊行物
当審が通知した取消理由通知に引用した刊行物1(特開平4-265086号公報)は、一体型テレビ電話に関するものであり、ビデオカメラを専用ケーブルによって接続し、ビデオカメラの映像を、ISDN網を介した通信相手に転送するものが、また、相手側端末との呼出、接続、解除等の通信制御は、図2の24bが行うことが記載され、その操作をキーパネル部で行うようにした一体型テレビ電話機が記載されている。

3 本件発明との対比
インターフェイスとは、機器が他の機器と信号の授受を行う接続部分のことであり、刊行物1では、図2の説明として段落【0038】に「27はISDNユーザ網インターフェイス回線接続部」と説明され、本件発明の外部と画像情報の授受を行うための第2のインターフェイス手段に相当することが分かる。
第1のインターフェイス手段に相当するものは、説明として明記されていないが、カメラが通常備えている機能である、カメラ、ディスプレイ部と画像CODEC部は、通信制御部と信号の授受を行っており、その接続部分を、インターフェイス部とみることができ、これは、本件発明の第1のインターフェイス手段に相当する。
通信において、通信用モデムを介して外部の通信相手を特定し、回線を確立させるとともに、特定された通信相手と通信を行うことは、刊行物1に明示的な説明がなくとも、当業者に自明の事項である。
そして、操作を行うキーパネル部は、本件発明の「通信を制御する操作手段」に相当し、通信制御部は本件発明のアダプターに相当するとみることができる。

以上を踏まえ、本件発明と刊行物1の発明を対比すると、次の一致点、相違点が認められる。
【一致点】カメラとの間で画像情報の授受を行うための第1のインターフェイス手段と、通信用モデムを介して、外部と画像情報の授受を行うための第2のインターフェイス手段と、外部の通信相手を特定し、回線を確立させるとともに、前記第1及び第2のインターフェイス手段を介して、前記特定された通信相手と前記カメラとの間の画像情報の通信を制御する操作手段と、を備えたことを特徴とする画像通信アダプター装置。

【相違点】本件発明が操作手段として、第1のインターフェイス手段を介して、カメラの撮影に関する設定を行い得るのに対し、刊行物1には、この点について記載がない点。

4 当審の判断
「カメラの撮影に関する設定」の意味するところは、カメラが撮影をする機器であることは明らかであるから、「カメラに関する設定」と理解することができ、設定には、電源のオン・オフや、動画と静止画の切り替えもカメラに関する設定とみることができる。
特許請求の範囲の記載は、「カメラの撮影に関する設定」であり、カメラ部自身の撮影条件を設定するものに限定されるものではないから、前記電源や切り替えの設定を排除するものでもない。
刊行物1の段落【0032】には、画面静止、子画面表示・・・および画像送出ができる、と記載されており、図3の通信手順においてカメラキーONで画像転送が行われ、フリーズキーONで静止画転送が行われていることが示されている。
(詳細な動作は、段落0051ないし0062に記載されている。)
そして、これらの操作がキーパネル部で行われることは、図9の例からも明らかであるから、操作手段がカメラの撮影に関する設定を行い得ることは示されているといえる。

ところで、本件発明では、「第1のインターフェイスを介して」と特定されているのに対し、刊行物1の図2の実施例においてキーパネル部23がカメラ部21aを直接制御することは記載されていないが、刊行物1の段落【0047】には、「24cはメモリ上にマイクロプログラムを持つマイクロプロセッサであり、24aを介して22の機能制御、23の入出力制御、24aによる音声、画像データの3信号の多重分離制御の設定及び確認、等ハードウエア制御を行なうとともに画面上へのメッセージ出力等、マンマシンインタフェース制御を行なう。」と記載されており、マイクロプロセッサの機能により、キーパネル部が、カメラ、ディスプレイ部及びCODEC部を含めた通常カメラが備えている機能全体を制御していると判断できる。
そうするとキーパネル部は、通信制御部を介してカメラを制御していることから、通信制御部とカメラとがインターフェイスを介して接続されていることとなる。

したがって、操作手段が第1のインターフェイス手段を介して、カメラの撮影に関する設定を行い得ることは、刊行物1に記載された事項と格別な相違は認められず、刊行物1の発明がテレビ電話であることも、進歩性の判断に格別影響する事項ではない。
また、発明の効果についても、当業者が予測し得ない格別なものは認められない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明についての特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像通信アダプター装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】カメラとの間で画像情報の授受を行うための第1のインターフェイス手段と、
通信用モデムを介して、外部と画像情報の授受を行うための第2のインターフェイス手段と、
外部の通信相手を特定し、回線を確立させるとともに、前記第1及び第2のインターフェイス手段を介して、前記特定された通信相手と前記カメラとの間の画像情報の通信を制御し、更に前記第1のインターフェイス手段を介して、前記カメラの撮影に関する設定を行い得る操作手段と、
を備えたことを特徴とする画像通信アダプター装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像通信アダプター装置、特に、カメラと外部回線との間の画像情報の通信を可能とする画像通信アダプター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ICメモリカード,磁気記録媒体,光磁気記録媒体等を記録媒体とするデジタルスチルビデオカメラ(以下、DSCと記載する)においては、多機能化のための提案が数多くなされている。その1つとして、通信回線を利用して、外部と画像情報をやり取りできる技術が提案されている。
【0003】その外部通信の方法としては、例えば、従来のDSCにおいては、電話回線を使ったデータ転送について、直接行うことはできず、PC(パーソナルコンピュータ)からの設定によって転送を行っていた。また、記録媒体をカメラより抜き出し、別の専用転送機に装着し、そこからデータの転送を行っていた。更に、特願平2-309875号に開示の電子スチルカメラにおいては、アダプターをカメラに装着し、そのアダプターを介してPCとのデータの転送を行うものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来のようなDSCの転送態様であると、データを転送するためのPCへのデータ吸い上げや転送専用機の準備等煩雑な手続が必要であるという課題がある。
【0005】また、DSC内に転送処理部を設けることは、ソフトの複雑化、および、表示、操作の繁雑化を招き、実現性を欠いている。
【0006】また、特願平2-309875号に開示の電子スチルカメラにおいて、電話回線を使って外部機器と通信を行おうとすると、前記アダプターとは別に電話器を接続し、該電話器を用いて相手先を呼び出す必要があり、非常に面倒な状態になっていた。
【0007】本発明の画像通信アダプターは、従来のカメラのそのような課題を考慮し、転送に関する操作を本アダプター上で行え、カメラの操作性が複雑にならないようにすることを可能とする画像通信アダプターを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、カメラとの間で画像情報の授受を行うための第1のインターフェイス手段と、通信用モデムを介して、外部と画像情報の授受を行うための第2のインターフェイス手段と、外部の通信相手を特定し、回線を確立させるとともに、第1及び第2のインターフェイス手段を介して、特定された通信相手とカメラとの間の画像情報の通信を制御し、更に前記第1のインターフェイス手段を介して、前記カメラの撮影に関する設定を行い得る操作手段とを備えた画像通信アダプター装置である。
【0009】
【作用】本発明では、操作手段を利用することによって、外部の通信相手を特定し回線を確立させ、それから、第1のインターフェイス手段を利用することによって、カメラとの間で画像情報の授受を行うとともに、更に前記カメラの撮影に関する設定を行い、第2のインターフェイス手段を利用することによって、通信用モデムを介して、外部と画像情報の授受を行うことによって、特定された通信相手とカメラとの間の画像情報の通信を実現する。
【0010】
【実施例】図1は、画像記録装置の一例であるDSC(デジタルスチルカメラ)20の外観図である。該DSC20は、その画像情報の記録媒体としてICメモリカード17を用いるものとする。本DSC20においては、上記図1に示すようにカメラ外装体18の前面部に被写体像を取り込む撮影レンズ1が配設されている。そして、外装体18の上面には制御動作指示用の操作スイッチ群14a〜14eと、LCD表示部13と、撮影動作の指示をするレリーズスイッチ釦19が配設されている。更に、側面部にはビデオ信号出力端子7と、PC、および、モデム等の外部機器との信号授受のための接続部であってミニDINコネクタ等で構成されるコネクタ15aと記録媒体であるメモリカード17の挿入口18aが配設されている。
【0011】図2は、前記操作スイッチ群14a〜14eの拡大図であり、該スイッチ群のうち、14aは、カメラの電源(POWER)スイッチであり、14bは、記録、または、再生指示を行う記録/再生(REC/PLAY)スイッチである。また、14cは、再生、消去コマ指定番号を1コマアップさせるアップ(UP)スイッチであり、14dは、再生、消去コマ指定番号を1コマダウンさせるダウン(DOWN)スイッチである。更に、14eは、接続されたモデムに対応するようにI/Fを機能させる指示を与えるモデム切り換え(MODEM)スイッチである。
【0012】図3は、前記表示部13の詳細を示す図であり、該表示部13は、撮影画面データの再生時に点灯するセグメント「PLAY」と、通信機器としてモデムが選択された時に点灯するセグメント「MODEM」と、接続されたモデムが通信可能状態になった時に点灯するセグメント「CONNECT」と、2種類の7セグメント表示部で構成される。上記2種類の7セグメント表示部のうち1つはコマ番号、ファイル処理状態等を表示するものであり、他の1つは残り撮影可能コマ数を表示するものである。
【0013】図4は、上記DSC20の制御部の主要ブロック構成図であり、本DSCは、レリーズスイッチ釦19(図1参照)の押圧に応動して、装着されているメモリカード17に被記録信号である撮像信号の記録を行い、また、操作スイッチ群14a〜14eのスイッチ釦の操作により該メモリカード17上の指定されたコマ番号の画像ファイルの撮像記録信号を再生し、そのビデオ信号をビデオ信号出力端子7より出力する。更に、被記録信号供給手段の1つである通信用外部インターフェース回路のRS232C I/F15により、モデムを介して画像情報の通信が可能である。
【0014】以下その構成について詳細に説明すると、まず、撮影時においては、被写体像が撮影レンズ1を介して被記録信号供給手段の1つである撮像回路2に内蔵されるCCD等の撮像素子上に結像され、画像信号として被記録信号供給手段の1つであるA/Dコンバータ3に出力される。A/Dコンバータ3でデジタル変換された画像データは、被記録信号供給手段の1つであって画像メモリのフレームメモリ4に一時的に記憶される。そして、フレームメモリ4の画像データは、D/Aコンバータ5で再度アナログ変換され、ビデオエンコーダ6を介してビデオ信号としてビデオ出力端子7より出力される。
【0015】メモリカード17に画像データを記録する場合は、フレームメモリ4から画像データをブロック単位で読み出し、圧縮/伸張回路9でJPEG(JOINT PHOTOGRAFIC EXPERT GROUP)方式等によりデータ圧縮して、バスを介して被記録信号供給手段の1つであるカードI/F16に入力する。そこで、メモリカード17上の指定された領域に上記圧縮データが書き込まれる。
【0016】一方、再生時には、まず、UPスイッチ14c,DOWNスイッチ14dを操作してコマ番号等を指定する。そのコマ番号、または、ファイル番号等は、LCD表示部13に表示される。その指定に基づいて、メモリカード17のメモリ領域が選択され、対応する画像データがカードI/F16、バスを介して圧縮/伸長回路9に入力される。そこで、画像データの伸長処理がなされ、フレームメモリ4に記憶される。その画像データは、再度、フレームメモリ4から読み出されて、前述したようにD/Aコンバータ5でアナログ信号に変換され、ビデオエンコーダ6に入力する。そして、ビデオエンコーダ6でエンコードされ、ビデオ信号としてビデオ信号出力端子7より出力される。
【0017】なお、DSC20の各制御要素はシステムコントローラ10によりコントロールされるものとする。そして、操作スイッチ14a〜14eからの入力信号は、給電制御手段を兼ねる表示・スイッチ制御回路12を介して、システムコントローラ10に入力され、各制御処理が行われる。また、LCD表示部13の表示は、システムコントローラ10の指示に基づいて表示・スイッチ制御回路12を介して行われる。
【0018】更に、各制御要素の駆動電源部となる電源手段の電源回路11が配設されており、該電源回路11の動作は、後述するように操作スイッチのうちのPOWERスイッチ14aの操作信号に基づいて、または、外部通信回線接続完了に伴う被呼信号であるCI信号に基づいて、上記表示・スイッチ制御回路12により、その給電動作がコントロールされるものとする。
【0019】図5は、本例のDSC20に、電話回線を介して外部機器と通信するためにモデム22等を接続したときの系統とブロック構成を示す図である。そして、本図に示すようにモデム22には、電話回線23が接続され、更に、モデム24を介して相手側カメラ25、または、PC(パーソナルコンピュータ)26と接続されている。
【0020】なお、DSC20については、その電源供給、および、通信制御に関する回路部、即ち、システムコントローラ10と表示・スイッチ制御回路12およびRS232C I/F15の回りのみ図示している。該回路部において、表示・スイッチ制御回路12、および、電圧変換回路21は、POWERスイッチ14a、または、モデム等の接続に関わらず、常時、動作状態に保持されるために専用の電源部12aを有している。そして、表示・スイッチ制御回路12によりコントロールされる電源回路11は、システムコントローラ10、および、RS232C I/F15への給電を、表示・スイッチ制御回路12の指示により実行する。
【0021】また、相手側カメラ25が電話回線23、モデム24,22を介して通信可能状態に接続されたとき、モデム22を介して被呼信号CIが入力される。該被呼信号CIは、電圧変換回路21を介して表示・スイッチ制御回路12に入力される。このように電圧変換回路21を介して入力する理由は、モデムの出力電圧レンジが±15Vであり、DSC20側が0〜5Vで動作するため電圧変換を必要とするからである。なお、上記表示・スイッチ制御回路12、および、電圧変換回路21のみは、上述のように内部に電源部12aを有しており、常時、作動状態にある。
【0022】以上のように構成された図5のDSC20の回路部のパワーオン動作について説明する。まず、POWERスイッチ14aが操作された場合、表示・スイッチ制御回路12の指示により電源回路11が動作状態になり、システムコントローラ10,RS232C I/F15、および、他の制御要素に給電され、カメラモードによる記録、または、再生可能の動作状態になる。
【0023】一方、上記POWERスイッチ14aがオフの状態において、外部機器がモデムを介して接続され、通信が可能状態となると、上記外部機器から被呼信号CIが入力される。そのCI信号が電圧変換回路21を介して表示・スイッチ制御回路12に入力される。その入力に基づいて表示・スイッチ制御回路12は、電源回路11を給電状態にし、システムコントローラ10等の制御要素に給電がなされる。そして、メモリカード17に相手側カメラからの被記録信号が書き込み可能な状態になる。
【0024】なお、図5に示すように電話回線によってPC26とも通信は可能であって、該PC26によって、DSC20と画像データの授受やPC26による遠隔操作も可能となる。また、DSC20の通信開始時の上述した被呼信号CIによるパワーオン処理も勿論可能となる。
【0025】上記パワーオン動作について、図6のフローチャートにより説明する。被呼信号CIが入力されると、「CI割り込み」処理が起動する。まず、システム全体が電源オンの状態となる(ステップS1)。このとき、表示部13はオスの状態を保つ。この表示はDSCが通信可能状態になった時点でオン状態になる。続いて、CI入力フラグを1にセットする(ステップS2)。
【0026】一方、上記システム電源オンに伴い、システムコントローラ10側のサブルーチンの「パワーオン処理」もコールされ、上記ステップS1における電源オンに対応した一部のパワーオン処理がなされる(ステップS3)。この一部のパワーオン処理は表示部13の表示は行わず、他の制御要素の作動準備を行うものである。続いて、前記CIフラグの読み出しを行う(ステップS4)。
【0027】ステップS5でCIフラグをチェックして、被呼信号CIの入力があったかどうかをチェックする。信号CIの入力があった場合、ステップS7に進み、「通信処理」ルーチンが実行される。信号CIの入力がなかった場合にはパワースイッチ14aが操作されたことになるので、DSC20自体による撮影、または、画像再生を実行するためのカメラモードに対応する作動準備のためのパワーオン処理がなされる。
【0028】上記「通信処理」ルーチンによる処理は、図7のフローチャートに示すように、まず、ステップS11において、モデム通信モードに対するパワーオン処理を実行する。この処理により表示部13に表示がなされ、パワーオン状態になったことを知らせる。ステップS12において、ATコマンドを送ってモデムの設定を行う。ステップS13で相手側カメラからの通信メッセージの受信を持つ。ステップS14で上記通信メッセージに基づいてファイルの送信を行うかどうかを判定する。DSC20から相手側カメラ25に画像ファイルデータを送信する場合、ステップS15に進み、相手側カメラ25から画像ファイルデータをDSC20に受信する場合、ステップS21に進む。
【0029】上記ステップS15に進んだ場合、ディレクトリデータの送信を行い、更に、ステップS16にて、画素数の少ない目次画像の制御ファイルの送信を行う。続いて、画像ファイルデータを送信して(ステップS17)、ステップS18に進む。一方、上記ステップS21に進んだ場合、DSC20の受信可能なメモリ容量データの送信を実行する。そして、画像ファイルデータを受信して(ステップS22)、ステップS18に進む。
【0030】ステップS18では、回線23の切断処理を実施し、更に、ステップS19、20においてパワーオフ処理、また、システムコントローラ10から表示・スイッチ制御回路12にパワーオフ命令を出し、システムコントローラ10自身、および、表示・スイッチ制御回路12以外の他の制御要素の電源をオフ状態にして、本ルーチンを終了する。
【0031】上述のように、本例のDSC20により外部との通信を実行しようとする場合、使用者がわざわざ受信側であるカメラの電源スイッチを操作することなく、通信開始と同時に、電源オンの状態にすることが可能になる。更に、通常の待ち状態では表示・スイッチ制御回路12と電圧変換回路21のみが動作状態で他の回路には給電されない状態であることから、効果的な節電が実施可能になる。
【0032】なお、本例においては、画像記録装置としてDSCを適用したが、これに限らず、その機器自体に撮像手段を持たない録再機にも、本例の思想は適用できることは勿論である。
【0033】次に、DSCに外部通信機器としてPC(パーソナルコンピュータ)が適用された場合の変形例について説明する。図8は、本変形例のDSC30に、PC31を接続したときの系統とブロック構成を示す図である。そして、上記変形例のDSC30については、電源供給,通信制御に関する回路部、即ち、システムコントローラ10と表示・スイッチ制御回路12およびRS232C I/F15の回りのみを図示する。但し、前記例のものと同様の構成要素については同一の符号を付す。更に、本図に図示しない構成は前記例のものと同一である。
【0034】なお、該回路部において、PC31が通信可能状態に接続されたとき、送信信号SDが入力されるが、その信号を被呼信号として利用する。即ち、該送信信号SDは、RS232C I/F15に入力されると同時に、電圧変換回路21を介して表示・スイッチ制御回路12にも入力し、後述するようにパワーオン処理を行って、DSC30を通信可能状態にする。なお、このように電圧変換回路21を介して入力する理由は、前記例の場合と同様にPCの出力電圧レンジが±15Vであり、DSC30側が0〜5Vで動作するため電圧変換を必要とするからである。また、DSC30がPC31へデータを送信する場合、DSC30は、RS232C I/F15を介してPC31の送信データRDを出力する。そして、DSC30とPC31との通信状態のコネクタのリード線本数はアース線も含めて3本となる。
【0035】図9は、上記送受信信号SD,RDのタイムチャートであって、該信号には転送スタート時に-15Vから+15Vに立ち上がり所定のパルス幅のスタートビット信号と、転送終了時に+15Vから-15Vに立ち上がりの所定パルス幅のストップビット信号が含まれる。
【0036】以上のように構成された図5のDSC20の回路部のパワーオン動作について、図10のフローチャートにより説明する。PC31側から送信信号SDが入力されると、「SD割り込み」処理が起動する。まず、システム全体が電源オンの状態となる(ステップS31)。このとき、表示部13はオフの状態を保つ。なお、表示部13は、この後、DSCが通信可能状態になった時点でオン状態になる。続いて、SD入力フラグを1にセットする(ステップS32)。
【0037】一方、上記システム電源オンに伴い、システムコントローラ10側のサブルーチンのパワーオン処理もコールされ、上記ステップS31における電源オンに対応した一部のパワーオン処理がなされる(ステップS33)。この一部のパワーオン処理でも表示部13の表示は行わない。続いて、前記SDフラグの読み出しを行う(ステップS34)。ステップS35でSDフラグをチェックして、SD入力があったかどうかをチェックする。
【0038】SD入力がない場合には、DSC30のパワースイッチの操作が行われたことになり、DSC30自体による撮影、または、画像再生を実行するためのカメラモードに対応するパワーオン処理がなされる。
【0039】SD入力があった場合、ステップS36に進み、RS232Cによる通信処理が開始される。しかし、一定時間、例えば、0.5秒内に通信が成立しなかった場合、正常なデータが入力されていないと判断し(ステップS37)。ステップS38,39に進み、パワーオフ処理を行い、パワーオフ命令を出力する。そして、本ルーチンを終了する。なお、上記パワーオフ命令が出力された場合、「受信処理」ルーチンが立ち上がり、表示・スイッチ制御回路12によるシステム電源オフ処理が行われる。
【0040】以上説明したように本変形例のDSC30によれば、送信、受信の2本の信号線(コモンラインを含めると信号線3本)のみで、カメラをパワーオフからパワーオンさせることがとなり、PCからカメラの遠隔操作の操作性を向上させることができる。勿論、前記例のDSCの有している前述の効果も有している。
【0041】次に、本発明の画像通信アダプターの一実施例に付いて説明する。すなわち、前記例のDSC20、または、30の関連機器であって、外部通信回線を通じてモデムの制御,データの送受信、カメラのコントロール等を集中して操作でき、カメラ本体へのキー操作、および、表示の煩雑さが改良された外部接続機器である画像通信アダプターについて説明する。
【0042】図11は、本アダプター50のブロック構成と、該アダプター50に接続されるカメラであるDSC53,モデム54,電話器55の接続を示した図である。また、図12は、上記アダプター50と各接続機器の接続状態を示した斜視図である。
【0043】上記アダプター50は、CPU41により各制御要素がコントロールされる。モデム54との通信は、第2のインターフェースであるRS232Cドライバ44を介して行い、DSC53との通信は第1のインターフェースであるRS232Cドライバ45を介して行われる。そして、通信電話回線の電話番号の指定やDSC53への動作指示を与えるためのテンキーとコマ指定用キー、あるいは、電話番号を記憶させるメモリキー等で構成される操作手段であるキーマトリックス42(CPU41と共働する)が配設され、その出力がCPU41に入力される。また、電話番号やコマ数、通信先等の表示や現在カメラ側を操作しているか、モデム側を操作しているか、また、送信中であるか、受信中であるか等の表示をするLCD表示43が配設されている。更には、上記RS232Cドライバ44,45,CPU41等の駆動用電源を供給する電源回路46も内蔵される。
【0044】一方、モデム54にはスイッチ54aが内蔵されており、電話器55、または、他のDSC,PCに接続を切り換えることができる。上記電話器55は必ずしも必要な要素ではないが、この電話器55を介して通信先を呼び出すことも可能である。更に、上記モデム54には、後述する手動発着信スイッチ54bも配設されている。なお、このモデム54の基本的な仕様は、一般的に利用されているモデムの仕様が適用可能である。
【0045】このように、電話回線を使って外部機器と通信を行おうとする場合、従来は、アダプターとは別に電話器を接続し、該電話器を用いて相手先を呼び出す必要があり、非常に面倒な状態になっていたが、本実施例においてはスイッチの切り替えで容易に電話を利用可能と出来る。
【0046】以上のように構成された本アダプター50を利用したDSC53の通信時の動作について説明すると、まず、モデム54からの被呼信号を本アダプター50のRS232Cドライバ44が受けるとCPU41を介して、RS232Cドライバ45よりDSC53に該被呼信号を出力することによって、外部機器との通信開始のためのパワーオン処理が実行される。この処理は、前記本発明の実施例のもので説明したパワーオン処理と同一の処理である。また、モデムのパワーオン処理も行うことが可能である。その後、上記ドライバ,CPUを介して画像情報等の送信、または、受信を行うことができる。
【0047】なお、本アダプターを用い、通信に先立ち、図12に示すキーマトリックス42のテンキーを操作して入力し、通信先を選択すること、また、カメラ53側のコマ数の指定や管理、撮影条件の設定等も行うことができる。そして、モデム54における電話回線とカメラの通信切り換えは、図12の手動発着信スイッチ54bのツマミを操作して行うことが可能である。この手動発着信スイッチ54bの機能は、スイッチツマミ位置ANS,AA,ORGにより次の(表1)に示される機能が選択可能である。
【0048】
【表1】

なお、本アダプター50は、上記モデム54と一体構造とするように構成してもよいことは勿論である。
【0049】次に、前記実施例のDSC20における画像データのファイル管理システムであって、前記図16等で説明したDOSによってサポートされるFATシステム、または、類似のメモリ管理システムを用いた使い勝手のよい画像データ管理システムについて説明する。
【0050】前記DSCでは、撮影、または、通信により画像データが記録媒体であるメモリカードにデータファイルとして記録されるが、図16は、記録媒体であるメモリカードのメモリ領域の配置を示す図である。該メモリ領域は、JEIDA(日本電子工業振興協会)にて提案されているように、まず、ブートセクタ領域には、DSCのI/FのOS(オペレーティング システム)がDOSを用いることから後述するFAT(FILE ALLOCATION TABLE),ルートディレクトリ(階層構造)の管理領域情報が記録される。
【0051】(表2)は、そのブートセクタのフォーマットを示す。このフォーマットも前記JEIDAで提案されている「ICメモリカードガイドラインVer.4.1」によるものである。上記ブートセクタにおいては、最初の部分にブートコードへのジャンプ命令,メーカ名等に続いて、BPBとして示す範囲にはDOSの管理情報、即ち、上述したようにFAT,ディレクトリに対する管理情報が格納されている。このデータを読み出すことによりFAT,ディレクトリの解釈が可能となる。なお、このデータにはある程度の自由度が持たされている。
【0052】
【表2】

【0053】更に、上記FAT領域にはデータの記録領域情報がチェーン形式で記録され、ルートディレクトリ領域には後述するデータ記録領域にデータがどのように記録されているかの情報が記録される。
【0054】図17は、上記ブートセクタに続いて記録されるFATの構成を示した図である。FATデータの記録領域は各エントリがクラスタに対応して分割される。例えば、各エントリがそれぞれ2クラスタ,3クラスタ,………,最終クラスタに対応している。各エントリは12ビット構成とする。なお、最初の2つのエントリ0と1は、システム予約になっている。そして、FATのデータ構成としては、ディレクトリにより指定されたエントリに始まり、使用したクラスタを順次指定してゆくチェーン構造とする。チェーンの最後は0FFFH(Hは16進数であることを示す)で終了する。なお、エントリデータ0は、未使用状態を示す。
【0055】FATに続いてルートディレクトリ情報が格納されている。
【0056】図18は、上記ルートディレクトリを構成するエントリを示す。これらのエントリ0,1,2,3……は、それぞれコマNO.のデータ領域の画像ファイルに対応することになる。但し、サブディレクトリが作成された場合、対応するエントリは、サブディレクトリのためのディレクトリエントリとなる。そして、該サブディレクトリデータは、データ領域に格納される。但し、そのサブディレクトリのエントリ0にはファイル名「・」とし自身の位置情報が格納されエントリ1にはファイル名「・・」とし上位のディレクトリの位置情報が格納される。そして、エントリ2以降にディレクトリデータが格納される。
【0057】なお、図19は、32バイトで構成されるディレクトリエントリのフォーマットを示している。また、(表3)は、属性の値と属性の内容を示す表である。
【0058】
【表3】

【0059】ルートディレクトリ領域に続いて配設されるデータ記録領域は、各画像ファイルにより構成されている。該画像ファイルにはそれぞれ1コマ分の画像に関するデータが書き込まれている。前記図16に示すように該画像ファイルは、ヘッダ部と画像そのものを格納する画像データ部とで構成される。
【0060】該ヘッダには図20に示すように仕様タプル,データ形式タプル,撮影情報タプル,コメントタプル等が記録されている。上記仕様タプルは、仕様バージョン,ファイルの映像・音声・制御の別を示す種類,ヘッダの大きさを与える。データ形式タプルは、ファイル本体の形式、即ち、JPEG・非圧縮・PICT、その他画像データの保持形式の形式別を与える。撮影情報タプルにはシャッタ速度や絞り等の撮影情報が記録される。また、コメントタプルには、撮影の説明文等が記録される。
【0061】なお、図21は、上記タプル形式のデータ構造を示す図であり、該タプルは規定データを表すタプルID,次タプルのポインタ,タプルデータとで構成されている。
【0062】従来のDSCの画像ファイル管理方法としては、図22(A)で示したように1画像ファイル領域のサイズは、撮像された画像データの圧縮の度合いにより定められ、可変としていた。ところが、ある1画像データを消去し、そこに別の画像データを記録する場合、当該データエリアが小さいときは、はみ出した部分を別のクラスタに分けて記録する等の処理が必要であった。また、サイズが可変であることから、記録可能な残りコマ数も正確に示すことが不可能であった。
【0063】そこで、特開平4-167868号公報に開示の画像データの符号化装置、および、符号化方法が提案されており、この装置は、符号量を一定に制御する符号化装置に関するものであるが、本符号化装置を適用すれば、JPEG規格に従って量子化とエントロピ符号化手法を用いて圧縮を行うようなDSCでは、1画面当たりの符号量を一定にすることが可能になる。
【0064】しかしながら、エントロピ符号化による圧縮を行うために、結果としての符号量にはある程度の誤差が生じる。このため媒体内に記録可能な画像データファイルの数が正確に決定できないという不具合があった。
【0065】なお、特開平4-183066号公報に開示の画像処理装置は、入力画像サイズを識別して、圧縮率を設定する装置に関するものであるが、後述する本提案の画像データ管理システムによるものでは、上記入力画像サイズが予め固定されたサイズを持つものであって、その手法は異なっている。
【0066】そこで、上記不具合を解決するための画像データ管理システムを提案するが、本システムは、画像データ本体の大きさが正確に一定でない場合であってもファイルサイズを一定、または、固定にする手段を設けることによって、媒体に記録可能な画像データ数を確定することによって使い勝手をよくするものである。以下、上記画像データ処理システムについて詳細に説明する。
【0067】図13は、本提案の画像データ管理システムにおけるデータ管理領域に続いて配設される画像データ記録領域を示した図である。本図に示すように各画像ファイルB1,B2,B3はそれぞれヘッダ部と画像データ部、および、0データ部B1a,B2a,B3aで構成する。上記0データ部B1a,B2a,B3aには値0が書き込まれるが、図示するように画像データによって領域の大きさが変動する。更に、ヘッダ記録領域についても、必ずしも一定としなくてもよい。なお、図13の例は各画像ファイルサイズが一定に設定された場合を示しているが、このファイルサイズをスイッチ等により適宜変更して設定することも可能である。
【0068】次に本提案の画像データ管理システムを用いた画像データファイルの記録動作について図14,15のフローチャートを用いて説明する。なお、DSC自体は、前記図4等で説明したものと同一の構成とし、同じ符号を用いて説明する。
【0069】図14に示す「カード挿入時の処理」において、まず、ステップS51においてメモリカード17のブートセクタ等の管理領域のチェックを行う。ステップS52で現在記録モードであるかどうかのチェックを行い、記録モードでなかった場合は再生処理を行うためにステップS59にジャンプする。記録モードであった場合、ステップS53に進み、メモリカード17にプロテクトが掛かっているかをチェックする。プロテクトが掛かっていれば、ステップS60にジャンプし、その旨の警告を行う。プロテクトが掛かっていなければ、ステップS54に進み、FATから記録可能枚数を検索する。この場合、画像ファイルサイズが固定、または、設定されたサイズであることから正確な撮影可能枚数が求められる。
【0070】更に、ステップS55にて、ディレクトリを検査して記録コマを決定する。ステップS56にて、FATから画像データ書き込みに十分なエリアをもつメモリエリアを検索する。そして、判別の結果(ステップS57)、記録可能なエリアが存在しなかった場合、ステップS61にジャンプして警告を発する。記録可能と判別された場合、ステップS58に進み、記録開始アドレスを計算し、システムコントローラ10内のメモリに記憶する。そして、本ルーチンを終了する。
【0071】続いて、トリガスイッチ釦19が押圧されて撮影を実行する場合の動作を図15の「トリガ処理」のフローチャートによって説明する。記録モードに設定された状態にてトリガスイッチ釦19が押圧されると、上記トリガ処理が立ち上がり、ステップS71において記録可能かどうかのチェックを行う。メモリの空きがない場合、プロテクトが掛かっている場合等記録不可の状態であれば、ステップS90へジャンプして警告を発する。記録可能である場合、ステップS72に進み、画像記録開始アドレスを設定する。更に、ステップS73で、前記固定のファイルサイズからファイルの最終アドレスを設定する。また、そのアドレスを越えないような圧縮仕様、即ち、圧縮パラメータの設定を行う。そして、ステップS74で撮影を実行し、ステップS75で圧縮処理を行う。ステップS76で該圧縮データがオバーフローしたかを確認し、オバーフローしているときは、圧縮パラメータを変更して(ステップS91)、ステップS75に戻る。なお、このパラメータ変更処理は、すでに、ステップS73で適切な設定がなされておれば、実際にはあまり実行されない。
【0072】上記ステップS76でオバーフローのないことが確認されるとステップS77に進み、最終アドレスを読み出す。更に、ステップS78で上記最終アドレスの次のアドレスから当該画像データファイルの最終アドレスまで値0を書き込む。但し、このエリアのデータが値0でなく不定値データでもよければ、このステップS78の処理は不要となる。そして、ステップS79でファイルヘッダを書き込み、ステップS80に進む。
【0073】ステップS80において、ディレクトリの書き込みを行うが、この場合、ファイルサイズを固定の大きさとして書き込む。ステップS81でFATの書き込みを行うが、これは、使用したメモリエリアのFATを使用した状態に設定するものである。ここまでの処理でDOSの管理エリアの設定はすべて終了したことになる。
【0074】そして、ステップS82,83で、記録可能枚数のデクリメントを行い、また、ディレクトリを検索して次の記録コマを決定する。また、ステップS84では、FATから記録可能なメモリエリアの検索を行い、エリアの有無をチェックする(ステップS85)。記録可能なエリアがない場合、ステップS92にジャンプし、その旨の警告を発する。また、記録可能なエリアがあった場合、ステップS86に進み、記録開始アドレスを計算して、システムコントローラ10内のメモリに記憶し、本ルーチンを終了する。
【0075】以上説明したように、本システムを適用したカメラによれば、画像データの大きさが一定値以下であれば、ある程度のバラツキを許容するように制御することにより、圧縮処理の高速化を計ることもできる。更に、ファイルサイズを固定化することにより、1コマ消去モードで中間のメモリエリアが解放されたメモリエリアに入ることが保障されるため、メモリを有効に使うことができる。更に、カメラの連写速度を高速化でき、DOS管理が容易になるなどの効果もある。
【0076】なお、以上、メモリカードを記録媒体とするDSCについて説明したが、他の媒体、例えば、フィレキシブルディスクやハードディスクなど磁気記録媒体、光記録媒体等にも適用できる。
【0077】また、本発明の第1及び第2のインターフェイス手段は、上記実施例では、RS232Cドライバーであったが、これに限らず、他の方式のインターフェイス手段であってもかまわない。
【0078】また、本発明の操作手段は、上記実施例では、キーマトリックスとCPUであったが、これに限らず、アイコンとCPU等、他の手段でもかまわない。
【0079】また、本発明は、CPUを必ずしも用いず、そのCPUの果たす機能を有する専用のハード回路を利用してもかまわない。
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、本発明にかかる画像通信アダプターは、転送に関する操作を本アダプター上で行え、カメラの操作性が複雑にならないようにすることを可能とする長所を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像記録装置の一例であるDSC(デジタルスチルカメラ)の外観図。
【図2】上記図1のDSCの操作スイッチ群の配置図。
【図3】上記図1のDSCの表示部の詳細図。
【図4】上記図1のDSCの制御部の主要ブロック構成図。
【図5】上記図1のDSCに他のカメラをモデムを介して接続したときの接続系統とDSC内の電源供給,通信制御部回りのブロック構成を示す図。
【図6】上記図1のDSCの外部機器接続時に、発生する割り込み処理ルーチン「CI入力割り込み」と「パワーオン」処理ルーチンのフローチャート。
【図7】上記図6の「パワーオン」処理ルーチンでコールされるサブルーチン「通信処理」のフローチャート。
【図8】上記図1のDSCの変形例であって、該変形例のDSCにPCを接続したときの接続系統と該変形例のDSC内の電源供給,通信制御部回りのブロック構成を示す図。
【図9】上記図8の変形例のDSCに取り込まれる通信信号であるSD,RD信号のタイムチャート。
【図10】上記図8の変形例のDSCの外部機器接続時に、発生する割り込み処理ルーチン「SD入力割り込み」と「パワーオン」処理ルーチンのフローチャート。
【図11】本発明の一実施例であって、上記図1のDSCの関連装置であって、モデムを用いた通信に適用される画像通信アダプターのブロック構成と、DSC,モデム等を接続した状態とを示す図。
【図12】上記図11の画像通信アダプターを適用したアダプター,DSC,モデム等の接続状態での斜視図。
【図13】上記図1のDSCに適用可能な画像データ管理システムにおける画像ファイルのメモリ配置図。
【図14】上記図13の画像データ管理システムを適用したDSCの「メモリカード挿入時の処理」のフローチャート。
【図15】上記図13のDSCの「トリガ処理」のフローチャート。
【図16】従来のDSCに適用されるメモリカードのメモリのデータ配置図。
【図17】従来のDSCに適用されるメモリカードにおけるFATの構成図。
【図18】従来のDSCに適用されるメモリカードにおけるディレクトリの構成図。
【図19】従来のDSCに適用されるメモリカードにおけるディレクトリエントリのフォーマット。
【図20】従来のDSCに適用されるメモリカードにおける画像ファイルに記録されるタプル形式のヘッダ情報を示す図。
【図21】従来のDSCに適用されるメモリカードにおける管理情報のタプル形式のデータ構成図。
【図22】従来のDSCに適用されるメモリカードにおけるデータ領域の画像ファイル構成図。
【符号の説明】
41 CPU(操作手段)
42 キーマトリックス(操作手段)
43 LCD表示
44 RS232Cドライバー(第2インターフェイス手段)
45 RS232Cドライバー(第1インターフェイス手段)
46 電源回路
50 アダプター
53 DSC(カメラ本体)
54 モデム
55 電話器
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-10-20 
出願番号 特願平5-166544
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H04N)
最終処分 取消  
前審関与審査官 関谷 隆一  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 原 光明
橋本恵一
登録日 2003-04-18 
登録番号 特許第3419828号(P3419828)
権利者 オリンパス株式会社
発明の名称 画像通信アダプター装置  

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