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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する F01K
管理番号 1113871
審判番号 訂正2004-39269  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1986-11-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-11-25 
確定日 2005-01-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第1791056号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第1791056号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
(1)特許出願:昭和60年5月20日
(2)出願公告:平成4年12月7日
(3)特許査定:平成5年5月21日
(4)特許権設定の登録:平成5年9月29日(特許第1791056号)
(5)本件訂正審判の請求:平成16年11月25日

2.審判請求の要旨
本件訂正審判請求の要旨は、本件特許第1791056号に係る明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)〜(13)のとおり訂正することを求めるものである。
(1)訂正事項1
本件特許明細書中、特許請求の範囲第1項の、
「並設した複数台の海水汲上げポンプと、これらの海水汲上げポンプによって汲上げられた海水を並設した複数台の海水熱交換器に導くポンプ吐出配管、海水入口母管および海水入口配管と、前記各海水熱交換器から排出される海水を放水口に導く海水出口配管および海水出口母管と、前記各海水熱交換器に冷却水を導入する冷却水入口母管および冷却水入口配管と、これらの海水熱交換器によって冷却された冷却水を送出す冷却水出口配管および冷却水出口母管とからなる冷却水供給装置において、前記ポンプ吐出配管と海水入口配管の間に取出弁および注入弁を備えた分岐管を接続すると共に、前記冷却水出口配管と放水口の間に取出弁を備えた放水管を接続したことを特徴とする蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置。」
との記載を、
「並設した複数台の海水汲上げポンプと、これらの海水汲上げポンプによって汲上げられた海水を並設した複数台の海水熱交換器に導くポンプ吐出配管、海水入口母管および海水入口配管と、前記各海水熱交換器から排出される海水を放水口に導く海水出口配管および海水出口母管と、前記各海水熱交換器に冷却水を導入する冷却水入口母管および冷却水入口配管と、これらの海水熱交換器によって冷却された冷却水を送出す冷却水出口配管および冷却水出口母管とからなる冷却水供給装置において、前記ポンプ吐出配管と海水入口配管の間に取出弁および注入弁を備えた分岐管を接続すると共に、前記海水出口配管と放水口の間に取出弁を備えた放水管を接続したことを特徴とする蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置。」
と訂正する。すなわち、すなわち、特許請求の範囲第1項の第13行(特公平4-77127号公報の第1欄第14行)において「冷却水出口配管」とあるのを、「海水出口配管」と訂正する。(なお、下線は、訂正箇所を明示するために当審において付したものである。)
(2)訂正事項2
本件特許明細書第2頁第12行(上記公告公報の第1欄第27行)の「である。。」を、「である。」と訂正する。
(3)訂正事項3
本件特許明細書の第3頁第7行〜第8行、及び第8頁第12行、並びに第10頁第1行(上記公告公報の第2欄第15行及び第5欄第6行並びに同第35行)の「出口弁」を、「ポンプ吐出弁」と訂正する。
(4)訂正事項4
本件特許明細書第6頁第15行〜第16行(上記公告公報の第4欄第12行〜第13行)の「供給し、、」を、「供給し、」と訂正する。
(5)訂正事項5
本件特許明細書の第6頁第17行〜第18行(上記公告公報の第4欄第14行〜第15行)の「提供する目的とする。」を、「提供することを目的とする。」と訂正する。
(6)訂正事項6
本件特許明細書の第8頁第3行(上記公告公報の第4欄第40行)の「冷却水出口配管」を、特許請求の範囲の訂正に応じて、「海水出口配管」と訂正する。
(7)訂正事項7
本件特許明細書の第9頁第1行〜第2行(上記公告公報の第5欄第15行〜第16行)の「入口配管42〜25」を、「入口配管42〜45」と訂正する。
(8)訂正事項8
本件特許明細書の第9頁第2行〜第3行(上記公告公報の第5欄第16行〜第17行)の「海水熱交換器22〜25のに分配され、」を、「海水熱交換器22〜25に分配され、」と訂正する。
(9)訂正事項9
本件特許明細書の第9頁第5行〜第6行(上記公告公報の第5欄第19行〜第20行)の「冷却水出口母管」を、「冷却水出口母管54」と訂正する。
(10)訂正事項10
本件特許明細書の第9頁第9行及び第10行(上記公告公報の第5欄第23行及び第24行)の「分岐管35」を、それぞれ「分岐管55」と訂正する。
(11)訂正事項11
本件特許明細書の第10頁第9行(上記公告公報の第5欄第43行)の「ポンプ吐出弁9〜12に、」を、「ポンプ吐出弁10〜12、」と訂正する。
(12)訂正事項12
本件特許明細書の第11頁第14行〜第15行(上記公告公報の第6欄第24〜25行)の「放水側分岐管58」を、「放水管58」と訂正する。
(13)訂正事項13
本件特許明細書の第14頁第2行(上記公告公報の第8欄第12〜13行)の 「55,58…分岐管」を、「55…分岐管、58…放水管」と訂正する。

3.当審の判断
(1)訂正事項1について
本件特許明細書の特許請求の範囲第1項の第13行〜第15行(上記公告公報第1欄第14行〜第16行)には「前記冷却水出口配管と放水口の間に取出弁を備えた放水管を接続したことを特徴とする」と記載されている。
しかしながら、本件特許明細書の発明の詳細な説明の第9頁第12〜15行には、「また、海水熱交換器25の海水出口配管29の出口弁33の上流側と放水口35の間をバイパスして放水管58を設ける。この放水管58の入口端近傍には取出弁59を設けてある。」(上記公告公報第5欄第26行〜第29行)と記載されており、また、第10頁第7〜13行には「一方、定期検査でプラントを停止した場合は、取出弁56、注入弁57、取出弁59を開とし、逆にポンプ吐出弁9〜12に、入口弁14〜17、出口弁30〜33を閉することによって海水汲上げポンプ3から分岐管55を経由して海水熱交換器25に海水を供給し、熱交換後は放水管58により放水口35に排出する。」(上記公告公報第5欄第41行〜第6欄第3行)と記載され、さらに、第1図には海水熱交換器25の海水出口配管29から取出弁59を有する放水管58が分岐されたものが図示されている。しかも、冷却水出口配管46〜49には放水管58は接続されていない。
よって、本件特許明細書の特許請求の範囲の記載では「放水管」を接続したのは「冷却水出口配管と放水口の間」となっているのに対し、本件特許の明細書の発明の詳細な説明、及び図面の記載では、「放水管」を接続したのは「海水出口配管と放水口の間」となっている点で食違うのは明白である。
そして、この食違いは、「放水管」を、一方が「冷却水出口配管と放水口の間」に接続したのに対し、他方が「海水出口配管と放水口の間」に接続したという単純なものであるから、本件特許明細書及び図面に接した当業者であれば、たやすく認識できたものと認められる。
進んで、上記のような食違いが存在することを認識した当業者において、上記食違いが、特許請求の範囲の記載と、明細書の発明の詳細な説明及び図面のいずれの誤りにより生じたものと理解するかについて検討するに、当業者であれば、以下のとおり、特許請求の範囲の記載が誤りであって、特許請求の範囲に誤記があるものと理解することが明らかである。
本件特許明細書の発明の詳細な説明及び図面には「放水管」を「冷却水出口配管と放水口の間」に接続したという旨の記載が全くないばかりでなく、そのことによる作用や効果について触れた記載も全く存在しない。
このような本件特許明細書及び図面の記載に接した当業者が、本件特許明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載が一貫して誤りであり、特許請求の範囲の記載が正しいと考えることは、特段の事情がない限りあり得ないというべきところ、他に本件特許の明細書の発明の詳細な説明及び図面において、その記載が一貫して誤りであると認めるべき事情の存在も認められない。
以上によれば、「放水管」を「冷却水出口配管と放水口の間」に接続するとする本件特許明細書の特許請求の範囲の記載が誤記であること、正しくは、「放水管」を「海水出口配管と放水口の間」に接続するべきであることは、本件特許明細書及び図面の記載全体から明白であり、当業者はたやすくこのことを認識し得たものと認められるから、訂正事項1は、上記のような誤記の存在する特許請求の範囲の記載を訂正する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)訂正事項2、4について
「である。。」及び「供給し、、」は明らかに「である。」及び「供給し、」の誤記であるから、訂正事項2、4は誤記の訂正を目的とするものである。
(3)訂正事項3について
符号10〜12の名称としては、本件特許明細書第10頁第17行(前記公報第6欄第7行)等では「ポンプ吐出弁」と記載されており、符号の説明においても符号10〜12は「ポンプ吐出弁」と記載されている。そして、「出口弁」を「ポンプ吐出弁」と訂正することは、名称を正しく統一するものであるから、訂正事項3は誤記の訂正を目的とするものである。
(4)訂正事項5について
「提供する目的とする。」は、文脈から「提供することを目的とする。」の誤記であることは明らかであるから、訂正事項5は誤記の訂正を目的とするものである。
(5)訂正事項6について
この訂正は、訂正事項1における特許請求の範囲の訂正に対応するものであるから、訂正事項6は誤記の訂正を目的とするものである。
(6)訂正事項7について
符号「25」は図1及び符号の説明に記載されているように海水熱交換器であり、冷却水の入口配管としては図1等には42、43、44、45が記載されている。 よって、上記「入口配管25」は「入口配管45」の誤記であるから、訂正事項7は、誤記の訂正を目的とするものである。
(7)訂正事項8について
「海水熱交換器22〜25のに分配され、」における「のに」はその意味が不明であり、明らかに「海水熱交換器22〜25に分配され、」の誤記である。よって、訂正事項8は誤記の訂正を目的とするものである。
(8)訂正事項9について
本件特許明細書第4頁第2行乃至第3行には「冷却水出口母管54」と記載され、符号の説明においても「54」は冷却水出口母管と記載されている。よって、「冷却水出口母管」は「冷却水出口母管54」の誤記であり、訂正事項9は誤記の訂正を目的とするものである。
(9)訂正事項10について
符号「35」は、本件特許明細書の第10頁第13行(前記公告公報第6欄第3行)や第1図に記載されているように放水口を示すものであり、分岐管には同頁第11行或いは符号の説明に記載のように「55」が付されている。したがって、「分岐管35」は「分岐管55」の誤記であり、訂正事項10は誤記の訂正を目的とするものである。
(10)訂正事項11について
本件特許図面の第1図及び符号の説明に記載されているように、符号9は逆止弁であり、符号10〜12がポンプ吐出弁である。したがって、「ポンプ吐出弁9〜12」は「ポンプ吐出弁10〜12」の誤記であり、また、「ポンプ吐出弁10〜12」の次の「に」は前後の文脈から不要である。よって、訂正事項11は誤記の訂正を目的とするものである。
(11)訂正事項12について
本件特許明細書第9頁第14行或いは第10頁第12行(特公平4-77127号公報の第5欄第28行、或いは第6欄第2行)には「放水管58」と記載されており、「放水側分岐管58」を「放水管58」と訂正することは、名称を正しく統一するものであり、訂正事項12は誤記の訂正を目的とするものである。
(12)訂正事項13について
この訂正は、訂正事項12と同様に、「分岐管」と記載されていた58を「放水管」とするものであるから、訂正事項13は誤記の訂正を目的とするものである。
そして、上記訂正事項1〜13は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

4.むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、平成6年改正前特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定にに適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置
(57)【特許請求の範囲】
1. 並設した複数台の海水汲上げポンプと、これらの海水汲上げポンプによって汲上げられた海水を並設した複数台の海水熱交換器に導くポンプ吐出配管、海水入口母管および海水入口配管と、前記各海水熱交換器から排出される海水を放水口に導く海水出口配管および海水出口母管と、前記各海水熱交換器に冷却水を導入する冷却水入口母管および冷却水入口配管と、これらの海水熱交換器によって冷却された冷却水を送出す冷却水出口配管および冷却水出口母管とからなる冷却水供給装置において、前記ポンプ吐出配管と海水入口配管の間に取出弁および注入弁を備えた分岐管を接続すると共に、前記海水出口配管と放水口の間に取出弁を備えた放水管を接続したことを特徴とする蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置。
2. 入口母管と分岐管の間を止め弁を備えた連絡管で接続すると共に、海水出口母管と放水側分岐管の間を止め弁を備えた連絡管で接続したことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置。
【発明の詳細な説明】
〔発明の技術分野〕
本発明は蒸気タービンプラントにおいて補機冷却用海水系統の部分負荷運転を可能にした冷却水供給装置に関するものである。
〔発明の技術的背景とその問題点〕
蒸気タービンプラントを構成する各補機の冷却水として海水を使用する海水補機冷却系統においては、海水配管の内面に海生物が付着して詰りを生じるという問題がある。また、プラントを停止する法定定期検査中においても各補機類のうち、一部の補機は連続運転を行う必要があるため、冷却水としての海水系統の運転を続行しなければならず、海水系統を停止して海水配管内の海生物等を清掃することが不可能であった。
第3図は従来の蒸気タービンプラントの海水系統を例示するもので、海水汲上げポンプ1,2,3により昇圧された冷却海水はポンプ吐出配管4,5,6により導かれ、逆止弁7,8,9およびポンプ吐出弁10,11,12を通って海水入口母管13に集められた後、入口弁14,15,16,17を備えた入口配管18,19,20,21から海水熱交換器22,23,24,25に供給され、二次側冷却水との熱交換によって加熱された後、出口配管26,27,28,29と出口弁30,31,32,33を通り、出口母管34より放水口35へ排出される。
一方、蒸気タービンプラントでの熱交換によって昇温した二次側冷却水は冷却水入口母管37より入口弁38,39,40,41および入口配管42,43,44,45を通って海水熱交換器22〜25に導かれ一次側の海水によって冷却された後、出口配管46,47,48,49および出口弁50,51,52,53を経由し、冷却水出口母管54に集められ、蒸気タービンプラント内に設置された各種冷却器(図示せず)に再び戻される。
上述した冷却水側の系統には多数の機器の冷却器が接続されており、プラント運転中は二次側冷却水によって冷却され、その機能を維持している。
このため、蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置においては、法規上の定期検査時にプラント停止した場合でも、被冷却側には連続運転を行なわなければならない補機があるため、冷却水を停止することなく連続的に供給する必要がある。
一方、海水系統はプラント運転中、海水汲上げポンプ1〜3により海水を汲上げ、海水熱交換器22〜25に常時冷却用として海水を供給し、放水口に放出している。このため、海水中の貝等の海生物が配管や海水熱交換器に付着成長し、貝詰りを生じることがある。海水系統に貝詰りが生じると、配管の管路抵抗が増加し冷却海水の流量は減少する。
しかしながら、前述の如く、従来の蒸気タービンプラントにおいては海水系統を停止することができないため、海水配管中の貝等の異物除去ができず、運転時間の経過と共に徐々に冷却海水が減少し、所定の海水熱交換器の性能を維持できなくなり、被冷却水側に連なる各種の補機の機能を確保することができなくなるという欠点があった。
また、定期検査中に運転を必要とする補機は台数が少なく、必要冷却水量はプラント運転中に比べて相当小さいにも拘らず、被冷却水系統および海水配管を運転しなければならないという不都合があった。特に、定期検査時の停止が数ケ月にも及ぶ原子力プラントにおいては、停止中の必要冷却水量を確保するため最小限1台の海水汲上げポンプを運転するが、通常のプラント運転時に比べて海水入口母管13や出口母管34等に流れる海水流量は設計流量の半分以下となり、これに伴って配管内の海水流速が大幅に低下し、海生物が一段と付着成長しやすくなるという欠点があった。
なお、プラントの定期検査中には海水熱交換器22〜25の分解点検を行う必要があり、そのため、入口弁14〜17と出口弁30〜33を全閉して海水熱交換器22〜25を隔離し、海水を排出する必要があるが、一般に1年間にも亘って海水系統の運転を行うと入口弁や出口弁等に海生物が付着したり、腐蝕を受けたりして弁を閉めても海水漏洩があり、海水熱交換器22〜25を完全に隔離できないという問題も生じていた。
〔発明の目的〕
本発明は、上記の如き従来技術の欠点を除去し、定期検査等の停止期間中においても連続運転を必要とする蒸気タービンプラントの各種補機冷却器に、必要とされる所定の冷却水を安定して供給し、各補機の機能を確保できるようにした蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、プラント定期検査時における停止中に補機を冷却する海水系統を停止することなく、海生物等の詰った配管、弁、海水熱交換器を順次停止し、分解点検や清掃を容易にできるようにした蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置を提供することにある。
更に本発明の他の目的は、プラント停止中の海水系統に海生物が付着成長しにくい適正な海水流速を保持できるようにした蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置を提供することにある。
〔発明の概要〕
本発明の蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置は並設した複数台の海水汲上げポンプと、これらの海水汲上げポンプによって汲上げられた海水を並設した複数台の海水熱交換器に導くポンプ吐出配管、海水入口母管および海水入口配管と、前記各海水熱交換器から排出される海水を放水口に導く海水出口配管および海水出口母管と、前記各海水熱交換器に冷却水を導入する冷却水入口母管および冷却水入口配管と、これらの海水熱交換器によって冷却された冷却水を送出す冷却水出口配管および冷却水出口母管とからなる冷却水供給装置において、前記ポンプ吐出配管と海水入口配管の間に取出弁および注入弁を備えた分岐管を接続すると共に、前記海水出口配管と放水口の間に取出弁を備えた放水管を接続したことを特徴とする。
〔発明の実施例〕
以下、第1図および第2図を参照して本発明の実施例を説明する。なお、これらの図では第3図におけると同一部材には同一の符号を付してある。
第1図において、海水汲上げポンプ1〜3により汲上げられた海水は各ポンプ吐出配管4〜6に導かれ、逆止弁7〜9およびポンプ吐出弁10〜12を通って海水入口母管13に集められた後、入口配管18〜21を経て海水熱交換器22〜25に送水される。各海水熱交換器で二次側冷却水と熱交換し昇温した海水は出口配管26〜29を通り、出口弁30〜33を経て出口母管34に集められ放水口35に排出される。
一方、二次側即ち、被冷却水系統の冷却水は各補機冷却器(図示せず)を冷却して昇温し冷却水入口母管37から入口弁38〜41を通り、入口配管42〜45を経て海水熱交換器22〜25に分配され、前述の海水によって冷却される。規定温度迄冷却された二次側冷却水は出口配管46〜49を通り、出口弁50〜53を経て冷却水出口母管54に集められ、各補機に送水される。
更に、任意の海水汲上げポンプ3のポンプ吐出配管6の逆止弁9下流側と、入ロ配管21の入口弁17の下流側の間に分岐管55を設ける。この分岐管55の入口端と出口端の近傍には取出弁56と注入弁57を設けてある。
また、海水熱交換器25の海水出口配管29の出口弁33の上流側と放水口35の間をバイパスして放水管58を設ける。この放水管58の入口端近傍には取出弁59を設けてある。
このような構成の本発明の冷却水供給装置においては、プラントの通常運転中は分岐管55の取出弁56と、注入弁57を閉とし、更に熱交換器出口の取出弁59を閉とすることにより、従来技術と同様に運転される。即ち、海水汲上げポンプ1〜3で海水を汲上げ逆止弁7〜9、ポンプ吐出弁10〜12、海水入口母管13、入口弁14〜17、入口配管18〜21を通して海水熱交換器22〜25に送水する。熱交換後の海水は出口配管26〜29、出口弁30〜33、海水出口母管34を通り放水口35に排出される。
一方、定期検査でプラントを停止した場合は、取出弁56、注入弁57、取出弁59を開とし、逆にポンプ吐出弁10〜12、入口弁14〜17、出口弁30〜33を閉することによって海水汲上げポンプ3から分岐管55を経由して海水熱交換器25に海水を供給し、熱交換後は放水管58により放水口35に排出する。
このような運転方法により、プラント停止中でも海水熱交換器に冷却水としての海水を連続的に供給することができる。しかもこの間、海水汲上げポンプ1,2のほか、ポンプ吐出弁10〜12から入口弁14〜17および出口弁30〜33から放水口35迄の主系統を停止することができ、海水を排水して各配管、弁、海水熱交換器を分解点検し、あるいは配管内の海生物を除去することができ、管路抵抗の減少と系統の機能回復を図ることができる。
プラント停止中に運転を要する各種補機類は限られた小数のものであるため、必要な冷却水はプラント運転中に比べて相当少なくて済む。そのため、分岐管55は海生物が付着しにくい適正な海水流速となるように配管口径を選択して設けることにより長期間のプラント停止においても安定して海水熱交換器に海水を供給できる。
第2図は本発明の他の実施例を示す。
同図において第1図と異なるのは海水入口母管13と分岐管55とを止め弁61を介して連絡管60により接続し、同様に海水出口母管34と放水管58とを止め弁63を介して連絡管62にて接続した点である。このような構成とすることにより、海生物の付着等によりプラント運転中に主系統の管路抵抗が増し流量が低下した場合、分岐ラインの弁56,61,57,59,63を開とすることによって海水の流路を更に加え、管路抵抗の増加を減少させ、系統の流量確保と同時に系統の機能確保の役割を果すことができる。
〔発明の効果〕
上述のように本発明によれば、プラントの定期検査等の停止中においても常に連続運転を必要とする各種補機冷却器に必要とする冷却水を安定して供給することができる。また、プラント停止中に運転する海水系統は部分的であるため、残りの大部分は停止することが可能となる。従って、海水を排水し海水配管、弁、海水熱交換器等を分解し、点検、清掃等を計画的に余裕をもって行うことが可能となり、系統および機器の健全性、機能の維持および回復を図ることができる。
しかもプラント停止中に運転を必要とする補機の必要冷却水量を的確に把握し、所要海水量を求め、一般に海生物が付着成長しにくいと言われる適性流速を維持するよう分岐管の配管口径を選定することによって海生物の付着を長期間に亘って防止でき、プラント停止期間も安定して海水系の運転を行うことができる。更にプラント運転申の主海水系統が海生物付着等により管路抵抗を増し、流量が減少してきた場合には、分岐ラインを使用することによって流路を広げ、流量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置の実施例を示す系統図、第2図は本発明の他の実施例を示す系統図、第3図は従来の蒸気タービンプラントにおける冷却水供給装置を例示する系統図である。
1〜3…海水汲上げポンプ、4〜6…ポンプ吐出配管、7〜9…逆止弁、10〜12…ポンプ吐出弁、13…海水入口母管、14〜17…入口弁、18〜21海水熱交換器入口配管、22〜25…海水熱交換器、26〜29…海水熱交換器出口配管、30〜33…海水熱交換器出口弁、34…海水出口母管、35…放水口、37…冷却水出口母管、38〜41…冷却水入口弁、42〜45…冷却水入口配管、46〜49…冷却水出口配管、50〜53…冷却水出口弁、54…冷却水出口母管、55…分岐管、56,59…取出弁、57…注入弁、58…放水管、60,62…連絡管、61,63…止め弁。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2005-01-06 
出願番号 特願昭60-107945
審決分類 P 1 41・ 852- Y (F01K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 達之遠藤 謙一  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 亀井 孝志
平城 俊雅
登録日 1993-09-29 
登録番号 特許第1791056号(P1791056)
発明の名称 蒸気タ-ビンプラントにおける冷却水供給装置  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 岡田 淳平  
代理人 森 秀行  
代理人 永井 浩之  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 吉武 賢次  
代理人 森 秀行  
代理人 岡田 淳平  
代理人 吉武 賢次  
代理人 永井 浩之  

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