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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1113912
審判番号 不服2004-17036  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-16 
確定日 2005-03-14 
事件の表示 平成 6年特許願第 87647号「デイジタル信号伝送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月20日出願公開、特開平 7-273740〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成6年4月1日の出願であって、平成16年8月16日付けで審判請求がなされ、特許法第17条の2第1項第5号の規定により、平成16年9月15日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成16年9月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について

[補正却下の決定の結論]
平成16年9月15日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正は、補正前特許請求の範囲の請求項1記載を、
【請求項1】
「離散的逆フーリエ変換された情報を周波数が互いに直交する多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置において、
入力される第1の入力シリアル伝送データを対応する第1の変調方式の第1のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換して出力する第1のシリアルパラレル変換器と、
入力される第2の入力シリアル伝送データを対応する第2の変調方式の第2のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換すると共に、上記第1のシリアルパラレル変換器と同じシンボルレートで当該IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを出力する第2のシリアルパラレル変換器と、
上記第1及び第2のシリアルパラレル変換器からのIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを入力して、上記第1及び第2の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータとQチヤンネルデータとに変換するマツピングROMと、
上記IチヤンネルデータとQチヤンネルデータとを離散的逆フーリエ変換する離散的逆フーリエ変換手段と
を具えることを特徴とするデイジタル信号伝送装置。」
と補正することを含むものである、
該補正は、補正前特許請求の範囲の請求項1の「シリアルアルパラレル変換器」に関し、「入力シリアル伝送データ」、「変調方式」、「ビット幅」、「シリアルアルパラレル変換器」を、各々、「第1の入力シリアル伝送データ」、「第1の変調方式」、「第1のビット幅」、「第1のシリアルアルパラレル変換器」と限定すると共に、補正前特許請求の範囲の請求項1に、「入力される第2の入力シリアル伝送データを対応する第2の変調方式の第2のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換すると共に、上記第1のシリアルパラレル変換器と同じシンボルレートで当該IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを出力する第2のシリアルパラレル変換器」の構成を追加し、さらに、補正前特許請求の範囲の請求項1の「マツピングROM」の「IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータ」の入力先を「上記第1及び第2のシリアルパラレル変換器から」と限定すると共に、補正前特許請求の範囲の請求項1の「マツピングROM」の「変調方式」について、「上記第1と第2の変調方式」と限定したものであり、該補正事項は、明らかに特許請求の範囲の減縮するものである。
本件補正が、特許法第17条の2第3項第2号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明が独立して特許を受けることができるのか否かについて以下、検討する。

2.特許法第29条第2項についての検討
(1)本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「補正後の発明」という。)は、前記1.【請求項1】に記載のとおりのものである。

(2)引用例
ア.原審拒絶理由で引用された特開平5-218978号公報(以下、「引用例1」という。)には、下記(ア)〜(エ)の事項が記載されている。

(ア)「【0012】
【実施例】本発明の原理に従って、HDTV伝送における前述の三つの問題領域の全てが取り扱われる。HDTV信号が複数個のクラスの情報に分割され、各々のクラスの情報が相異なったレベルのエラープロテクションにエンコードされる。その後、各々のクラスの情報は、そのHDTV信号に対して割り当てられたチャンネルのサブチャンネルに変調される。
【0013】図1において、ビデオ信号源101は画像情報を表わすHDTVアナログビデオ信号を生成する。このHDTVアナログビデオ信号はソースエンコーダ105に渡され、少なくとも一つのクラスの情報がより重要な、すなわち、その他の「より重要ではない」クラスの情報よりも「より重要なデータ」を含むような、「複数個のクラスの情報」からなるデジタル信号を生成する。例えば、より重要なデータは、情報信号の受容に関してより重要な情報を表わすものである。HDTV信号においては、そのようなデータは、適切に受信された場合に大まかなピクチャー、例えば音声情報、フレーム情報等、を形成する情報であり、より重要ではないデータは元のHDTV信号の残りの部分を形成している情報である。図に示されているように、ソースエンコーダ105はk=12個のクラスに情報を分割し、リード18上のクラスの情報がその他のリード、すなわちリード11、13及び22上の「より重要ではない」クラスの情報よりも「より重要」である。具体的には、各々のクラスの情報は、T秒の継続時間を有する各々の信号間隔に対して各々のリード上に生成された複数個のデータビットよりなり、その平均はmiビット(1≦i≦12)である。
【0014】図1より、miビットによって表わされる各々のクラスの情報が、チャンネルエンコーダ、コンステレーションマッパー(配置装置)及びベースバンド変調器によって処理されることが理解される。簡単のため、ここでは送信機100の動作がリード18上に現われるより重要な情報に関して記述される。同様の記述がその他のクラスの情報の各々に対して適用される。リード18上のm8ビットによって表わされるより重要な情報は、チャンネルエンコーダ128に入力される。チャンネルエンコーダ18は、トレリス(trellis)エンコーディング等の公知のエンコード技法に従って動作し、出力としてm8+r8のデータビットを生成する。ここで、r8は各々の信号間隔においてチャンネルエンコーダ128によって導入された冗長ビットの平均の個数を表わしている。(ここで、リード・ソロモン(Reed-Solomon)コード等のエラー修正コードもコード変調技法にかんして用いられ得ることに留意されたい。)チャンネルエンコーダ128のエンコードされた出力は、コンステレーションマッパー148によって、各々の信号間隔において信号ポイント配置から取られた信号ポイントにマッピングされる。ここでは、この信号ポイント配置が、図5から図8においてそれぞれ4、8、12及び16信号ポイント配置としてしめされているような公知の一様間隔QAM配置を表わしているものと仮定される。
【0015】チャンネルエンコーダ128及びコンステレーションマッパー148は、その双方が一組となって、より重要なクラスの情報に対してエラープロテクションを与える特定のコード変調技法を実現している。複数個のチャンネルエンコーダ、すなわち121、123、128、132等、及び対応するコンステレーションマッパー、すなわち141、143、148、152等、によって実現される種々のコード変調技法は、複数個のクラスの情報に対して同一ではないエラープロテクションを与えるように選択されており、より重要な情報に対してはより厳密なエラープロテクションが与えられる。同一ではないエラープロテクションは、相異なったチャンネルエンコーダ、相異なった配置サイズ及び/あるいは種々のチャンネルエンコーダ及びコンステレーションマッパーに対する相異なったシンボルレート等の種々の方法により実現され得る。例えば、図1においてはチャンネルエンコーダはすべて同一である。しかしながら、コンステレーションマッパー148による信号配置は、他のコンステレーションマッパーによるものと比較して最小のサイズを有している。例えば、コンステレーションマッパー148によって用いられる配置は図5に示された4-QAMであるが、他のコンステレーションマッパーによって用いられるのは図6-8に示された8-QAM、12-QAM及び16-QAMである。このことは、各々のサブキャリアによって送信される電力は同一であることを仮定しており、その結果、図5の4-QAM配置による信号ポイント間の間隔が図6-8の配置によるものよりも大きくなる。結果として、より重要なデータに対してはより強力なエラープロテクションがなされることになる、すなわち、HDTV信号に対して同一ではないエラープロテクションが実現され、グレースフルデグラデーションが起こり得ることになる。(4頁、段落【0012】〜【0015】)、
(イ)「【0016】図3は、6MHzの帯域を有するNTSCアナログTVベースバンド伝送信号の一例に対する周波数スペクトルを示した図である。(ここではベースバンド信号が示されているが、実際に送信される信号は割り当てられた特定のチャンネルに対する周波数スペクトル内に収まるように変調されている。例えば、米国における3チャンネルは60から66MHzの周波数スペクトル内で送信される。)本発明に従って、この6MHzのNTSC帯域が複数個のサブチャンネルに分割され、各々のサブチャンネルがHDTV信号を表わす複数個のクラスの情報の内の一つ一つに割り当てられている。ここでは、説明のために、NTSC帯域が図4に示されているように、各々500kHzの帯域を有する12のサブチャンネルに分割されている、すなわちNTSC帯域がサブチャンネルの個数によって分割されている、と仮定する。図1に戻って、HDTV信号も同様に12個のクラスの情報に分割されている。141、143、148、152等のコンステレーションマッパーの各々の出力は、対応するベースバンド変調器161、163、168及び172等に与えられる。ベースバンド変調器はエンコードされた複数個のクラスの情報を対応するサブキャリアfi(1≦i≦12)に対して周波数変調し、各々のクラスの情報が対応するサブチャンネル内に現われることになる。ベースバンド変調器161、163、168及び172等の出力は、加算器175によって加算される、すなわち周波数分割多重化される。加算器175の出力は単一側波帯(SSB)変調器195によって送信される。SSB変調器195は、発信器、アンテナ等からなる従来技術に係るSSB変調回路であり、放送HDTV信号を放送チャンネル200に供給する。
【0017】図3から、NTSC送信信号のエネルギーは、概して、それぞれ1.25MHz、4.83MHz及び5.75MHzにおける映像、クロマ及び音声キャリアを含む周波数領域に集中していることが理解される。その結果、これらの周波数領域に共存しているHDTV信号は実質的な干渉を受け易くなる。それ故、本発明の原理に従って、NTSC同一チャンネル干渉の効果が、より重要な情報を、NTSC映像、クロマ及び音声キャリアによる実質的な干渉を受け易いサブチャンネルとは相異なったサブチャンネルに割り当てることにより低減され得る。図1においては、より重要な情報がサブキャリアf8によって伝送され、そのことによってNTSC伝送信号の映像、クロマ及び音声キャリアからの実質的な干渉を受け易いサブチャンネル、例えばサブキャリアf3、f10、f12等、に係るサブチャンネル、が回避されている。NTSC伝送信号周波数スペクトルのうちの実質的な干渉が起こり得ると予想される部分を回避することによって、より重要な情報に対しては、NTSC伝送信号の映像、クロマ及び音声キャリアとオーバーラップするサブチャンネルに対して割り当てられたその他のクラスの情報よりもより強力なエラープロテクションが実現される。この付加的なエラープロテクションは、全てのクラスの情報が同一のエンコード方法を有している場合にも機能する。加えて、より重要ではないクラスの情報が割り当てられているサブチャンネルにおいてエラーが発生した場合には、そのような情報はHDTV受像機によって単に無視され得る。例えば、図1においては、より重要ではない情報がサブキャリアf3に割り当てられており、これはNTSC伝送信号の映像キャリアによる干渉を強く受ける。結果として、このサブチャンネルにエラーが発生した場合には、このより重要ではない情報は受像機によって無視される。NTSC伝送信号の映像、クロマ及び音声キャリアによる実質的な干渉を受けるサブチャンネルは意図的に使用されずにおかれることにも留意されたい。
【0018】本発明の他の特徴に従って、複数個のサブキャリアの使用によりシンボル間隔がより長くなり、各々のサブチャンネルにおけるより平坦な周波数応答が実現される。結果として、ゴーストの影響を緩和するためにより簡単なイコライザがHDTV受像機において用いられ得る。さらに、より長いシンボル間隔のために持続時間の短いスパイク状のノイズに対してより強力なエラープロテクションが実現される。なぜなら、より少ない数のシンボルのみがノイズの影響を受けることになるからである。」(4頁、5頁、段落【0016】〜【0018】)、

(ウ)「【0020】以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので,この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例が考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0021】例えば、以上に記述されているように、全ての符号化変調方式は同一で有り得る。相異なったシンボルレート、あるいは相異なった周波数幅を有するサブチャンネルなども、種々のクラスの情報に対して用いられ得る。より重要な情報に対してより小さなシンボルレートを用いることにより、ゴーストの影響をより緩和することが可能になり、より重要なデータに対してより強力なエラープロテクションを実現する。」(5頁、6頁、段落【0020】、【0021】)、

(エ)「【0024】サブキャリアの数は12に限定されているわけではなく、2以上のあらゆる数であり得ることに留意されたい。さらに、周波数分割多重化方法の実現する際に、相異なったサブキャリアのスペクトルのオーバーラップ及び/あるいは相異なった変調方法を含むことが可能である。さらに、バースト状のノイズに対する保護を行なうためのインターリーバー等の他の通信システム素子も用いられ得る。加えて、本明細書においては本発明が個別の機能ブロック、すなわちトレリスエンコーダ、コンステレーションマッパー等、によって実現されているが、一つあるいは複数個のブロックの機能が一つあるいは複数個の適切にプログラムされたプロセッサ、デジタル信号処理(DSP)チップ等によって実現され得る。」(6頁、段落【0024】)。

a.前記(ア)の段落【0013】には「各々のクラスの情報は、T秒の継続時間を有する各々の信号間隔に対して各々のリード上に生成された複数個のデータビットよりなり」の記載が成されており、各クラスの情報がT秒ごと、即ち、リード上に同じシンボルレートで出力されることは自明のことである。
なお、段落【0015】の「複数個のチャンネルエンコーダ、すなわち121、123、128、132等、及び対応するコンステレーションマッパー、すなわち141、143、148、152等、によって実現される種々のコード変調技法は、複数個のクラスの情報に対して同一ではないエラープロテクションを与えるように選択されており、より重要な情報に対してはより厳密なエラープロテクションが与えられる。同一ではないエラープロテクションは、相異なったチャンネルエンコーダ、相異なった配置サイズ及び/あるいは種々のチャンネルエンコーダ及びコンステレーションマッパーに対する相異なったシンボルレート等の種々の方法により実現され得る。」の「あるいは」の場合は、重要度が同一ではないクラスのエラープロテクションは、相異なったチャンネルエンコーダ、相異なった配置サイズの方法によることが記載されており、相異なったチャンネルエンコーダ、相異なった配置サイズに同一シンボルレートを用いることを妨げるものではない。
また、前記(ウ)には「【0020】以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので,この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例が考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0021】例えば、以上に記述されているように、全ての符号化変調方式は同一で有り得る。相異なったシンボルレート、あるいは相異なった周波数幅を有するサブチャンネルなども、種々のクラスの情報に対して用いられ得る。」と記載が成され、「相異なったシンボルレート」の場合は変形例として記載されており、引用例1では、段落【0019】以前の実施例で、シンボルレートが相異なっていない、即ち、全ての符号化変調方式でシンボルレートが同一であること、が自明ないし示唆されている。

前記記載事項、図面の記載並びに技術常識からみて、
引用例1には、
「情報を多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置において、
入力されるHDTVアナログビデオ信号から16-QAMのmi+riビットに関係するmiビットの情報を出力するソースエンコーダの第1部分と共に、
入力されるHDTVアナログビデオ信号から4-QAMのm8+r8ビットに関係するm8ビットの情報を出力すると共に、上記ソースエンコーダの第1部分と同じシンボルレートで該情報を出力するソースエンコーダの第2部分と、
ソースエンコーダの第1部分及びソースエンコーダの第2部分から入力された情報を上記16-QAM及び4-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力に変換する2組のチャネルエンコーダ及びコンステレーションマッパーと、
上記16-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力で変調する第1ベースバンド変調器と上記4-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力で変調する第2ベースバンド変調器と
を具えるデイジタル信号伝送装置。」を構成とする発明(以下、「引用例1に記載された発明」という。)が記載されている。

イ.例えば、周知例として示す特開昭60-64554号公報(以下、「周知例1」という。)の4頁右下欄18行〜5頁右上欄19行、5頁左下欄18行〜右下欄1行、11頁右上欄7行〜左下欄18行、14頁右上欄17行〜左下欄15行の記載事項、図面の記載並び技術常識を勘案すると、
周知例1には、「入力される入力シリアル伝送データを32値QAM変調方式の5ビットに関係する4ビット幅のパラレルデータに変換して出力する直列入力/並列出力レジスタと、前記直列入力/並列出力レジスタからのパラレルデータを符号器で符号化して4+1ビット幅のパラレルデータとして入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つた基準位相のデータUn及び直角位相のデータVnに変換するマッピングROMとを有する伝送装置。」(以下、「周知例1の記載事項」という。)が記載されている。
そして、周知例1記載事項の「直列入力/並列出力レジスタ」、「基準位相のデータUn」、「直角位相のデータVn」は、各々、「シリアルパラレル変換器」、「Iチヤンネルデータ」、「Qチヤンネルデータ」といえるものであるから、
前記周知例1の記載事項は、
「入力される入力シリアル伝送データを32値QAM変調方式の5ビットに関係する4ビット幅のパラレルデータに変換して出力するシリアルパラレル変換器と、前記シリアルパラレル変換器からのパラレルデータを符号器で符号化して4+1ビット幅のパラレルデータとして入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピングROMとを有する伝送装置。」というものであり、 かかる技術において、32値QAM変調方式を16値QAM変調方式とし、符号器をなくした場合も、16値QAM変調方式を用いた通常の伝送技術として成り立つことは当業者が自明に了解しえるところである。
そうすると、「入力される入力シリアル伝送データを対応する16値QAM変調方式の4ビット幅でなるパラレルデータに変換して出力するシリアルパラレル変換器と、前記シリアルパラレル変換器からのパラレルデータを入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピングROMとを有する伝送装置。」、
即ち、「入力される入力シリアル伝送データを対応する所定の変調方式のビット幅でなるパラレルデータに変換して出力するシリアルパラレル変換器と、前記シリアルパラレル変換器からのパラレルデータを入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピングROMとを有する伝送装置。」は周知例1に記載されているに等しい事項である。

ウ.例えば、周知例として示す特開昭60-150359号公報(以下、「周知例2」という。)の2頁左下欄8行〜3頁左下欄9行の記載事項、図面の記載並び技術常識を勘案すると、
周知例2には、「入力される入力シリアル伝送データを対応する64値QAM変調方式の6ビット幅のパラレルデータに変換して出力するレジスタと、前記レジスタからのパラレルデータを入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つた同相成分データと直交成分データに変換するロジック回路とを有する伝送装置。」(以下、「周知例2の記載事項」という。)が記載されている。
そして、周知例2の記載事項の「レジスタ」、「同相成分データ」、「直交成分データ」、「ロジック回路」は、各々、「シリアルパラレル変換器」、「Iチヤンネルデータ」「Qチヤンネルデータ」、「マッピング手段」といえるものであるから、
前記周知例2の記載事項は、
「入力される入力シリアル伝送データを対応する所定の変調方式のビット幅でなるパラレルデータに変換して出力するシリアルパラレル変換器と、前記シリアルパラレル変換器からのパラレルデータを入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピング手段とを有する伝送装置。」というものである。

エ.例えば、周知例として示す特開昭62-217753号公報(以下、「周知例3」という。)の1頁左下欄13行〜右下欄12行の記載事項、図面の記載並び技術常識を勘案すると、
周知例3には、「入力される入力シリアル伝送データを対応する32値QAM変調方式の5ビット幅のデータXとデータYとに変換して出力する符号化器と、前記符号化器からのデータXとデータYを入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたX成分データとY成分データに変換するROMテーブル2、3とを有する伝送装置。」(以下、「周知例3の記載事項」という。)が記載されている。
そして、ROMテーブルの入力にはアドレス信号としてパラレルデータが与えられることは当業者の技術常識であり、周知例3の記載事項の「符号化器」、「データXとデータY」、「X成分データ」、「Y成分データ」、「ROMテーブル2、3」は、各々、「シリアルパラレル変換器」、「パラレルデータ」、「Iチヤンネルデータ」、「Qチヤンネルデータ」、「マッピングROM」といえるものであるから、
前記周知例3の記載事項は、
「入力される第1の入力シリアル伝送データを対応する所定の変調方式のビット幅でなるパラレルデータに変換して出力するシリアルパラレル変換器と、前記シリアルパラレル変換器からのパラレルデータを入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピングROMとを有する伝送装置。」というものである。

また、周知例3の記載事項の「データX」、「データY」は、各々、「Iチヤンネルパラレルデータ」、「Qチヤンネルパラレルデータ」であるから、
周知例3の記載事項は、
「入力される第1の入力シリアル伝送データを対応する所定の変調方式のビット幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータに変換して出力するシリアルパラレル変換器と、前記シリアルパラレル変換器からのIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルを入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピングROMとを有する伝送装置。」というものであり、
該記載の「マッピングROM」は「マッピング手段」といえるものであるから、
周知例3の記載事項は「IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータを入力して変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピング手段」というものである。

(3)対比・判断
補正後の発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、
(a)引用例1に記載された発明の「16-QAM 」、「4-QAM」は 、各々、補正後の発明の「第1の変調方式」、「第2の変調方式」に相当する。
(b)補正後の発明の「入力される第1の入力シリアル伝送データを対応する第1の変調方式の第1のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換して出力する第1のシリアルパラレル変換器」と、引用例1に記載された発明の「入力されるHDTVアナログビデオ信号から16-QAMのmi+riビットに関係するmiビットの情報を出力するソースエンコーダの第1部分」とは、補正後の発明の「第1の変調方式の第1のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータ」と、引用例1に記載された発明の「16-QAMのmi+riビットに関係するmiビットの情報」とは、「第1の変調方式の第1のビット数に関係するビット数の情報」であるので、前記(a)を考慮して、「入力される情報から第1の変調方式の第1のビット数に関係するビット数の情報を出力する第1手段」の点で一致する。
(c)補正後の発明の「入力される第2の入力シリアル伝送データを対応する第2の変調方式の第2のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換する」と、引用例1に記載された発明の「入力されるHDTVアナログビデオ信号から4-QAMのm8+r8ビットに関係するm8ビットの情報を出力する」とは、補正後の発明の「第2の変調方式の第2のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータ」と、引用例1に記載された発明の「4-QAMのm8+r8ビットに関係するm8ビットの情報」が「第2の変調方式の第2のビット数に関係するビット数の情報」であるので、前記(a)を考慮して、「入力される情報から第2の変調方式の第2のビット数に関係するビット数の情報を出力する」点で一致する。
(d)補正後の発明の「上記第1のシリアルパラレル変換器と同じシンボルレートで当該IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを出力する第2のシリアルパラレル変換器」と、引用例1に記載された発明の「上記ソースエンコーダの第1部分と同じシンボルレートで該情報を出力するソースエンコーダの第2部分」とは、「第1手段と同じシンボルレートで当該情報を出力する第2手段」で一致する。
(e)補正後の発明の「上記第1及び第2のシリアルパラレル変換器からのIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを入力して、上記第1及び第2の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータとQチヤンネルデータとに変換するマツピングROM」と引用例1に記載された発明の「ソースエンコーダの第1部分及びソースエンコーダの第2部分から入力された情報を上記16-QAM及び4-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力に変換する2組のチャネルエンコーダ及びコンステレーションマッパー」とは、補正後の発明の「マツピングROM」と引用例1に記載された発明の「2組のチャネルエンコーダ及びコンステレーションマッパー」とが「マッピング機能を有する手段」で一致するので、前記(a)、(b)、(c)、(d)を考慮して、「上記第1及び第2手段からの情報を入力して、上記第1及び第2の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたデータに変換するマッピング機能を有する手段」の点で一致する。
(f)補正後の発明の「上記IチヤンネルデータとQチヤンネルデータとを離散的逆フーリエ変換する離散的逆フーリエ変換手段」と引用例1に記載された発明の「上記16-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力で変調する第1ベースバンド変調器と上記4-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力で変調する第2ベースバンド変調器」とは、前記(e)を考慮して、「上記データで変調した信号を周波数軸上に多重化する手段」で一致する。
そうしてみると、補正後の発明と引用例1に記載された発明とは、
「情報を多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置において、
入力される情報から第1の変調方式の第1のビット数に関係するビット数の情報を出力する第1手段と、
入力される情報から第2の変調方式の第2のビット数に関係するビット数の情報を出力すると共に、第1手段と同じシンボルレートで当該情報を出力する第2手段と、
上記第1及び第2手段からの情報を入力して、上記第1及び第2の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたデータに変換するマッピング機能を有する手段と、
上記データで変調した信号を周波数軸上に多重化する手段と
を具えるデイジタル信号伝送装置。」、
である点において一致し、

(1)「情報を多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置」が、補正後の発明では「離散的逆フーリエ変換された情報を周波数が互いに直交する多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置」であるのに対し、引用例1に記載された発明では、このような記載がない点、
(2)「入力される情報から第1の変調方式の第1のビット数に関係するビット数の情報を出力する第1手段」が、補正後の発明では「入力される第1の入力シリアル伝送データを対応する第1の変調方式の第1のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換して出力する第1のシリアルパラレル変換器」であるのに対し、引用例1に記載された発明では、「入力されるHDTVアナログビデオ信号から16-QAMのmi+riビットに関係するmiビットの情報を出力するソースエンコーダの第1部分」である点、
(3)「入力される情報から第2の変調方式の第2のビット数に関係するビット数の情報を出力すると共に、第1手段と同じシンボルレートで当該情報を出力する第2手段」が、補正後の発明が、「入力される第2の入力シリアル伝送データを対応する第2の変調方式の第2のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換すると共に、上記第1のシリアルパラレル変換器と同じシンボルレートで当該IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを出力する第2のシリアルパラレル変換して出力する第2のシリアルパラレル変換器」であるのに対し、引用例1に記載された発明では、「入力されるHDTVアナログビデオ信号から4-QAMのm8+r8ビットに関係するm8ビットの情報を出力する共に、上記ソースエンコーダの第1部分と同じシンボルレートで当該情報を出力するソースエンコーダの第2部分」である点、
(4)「上記第1及び第2手段からの情報を入力して、上記第1及び第2の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたデータに変換するマッピング機能を有する手段」が、補正後の発明では「上記第1及び第2のシリアルパラレル変換器からのIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを入力して、上記第1及び第2の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータとQチヤンネルデータとに変換するマツピングROM」であるのに対し、引用例1に記載された発明では、「ソースエンコーダの第1部分及びソースエンコーダの第2部分から入力された情報を上記16-QAM及び4-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力に変換する2組のチャネルエンコーダ及びコンステレーションマッパー」である点、
(5)「上記情報を周波数軸上に多重変調する手段」が、補正後の発明では「上記IチヤンネルデータとQチヤンネルデータとを離散的逆フーリエ変換する離散的逆フーリエ変換手段」であるのに対し、引用例1に記載された発明では、「上記16-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力変調する第1ベースバンド変調器と上記4-QAMに対応する振幅及び位相情報を持った出力を変調する第2ベースバンド変調器」である点、
で相違する。

次に前記相違点(1)〜(5)について検討する。 相違点(2)〜(4)について、
前記2.(2)イ.〜ウから、明かなように、入力される入力シリアル伝送データを対応する所定の変調方式のビツト幅でなるパラレルデータに変換して出力するシリアルパラレル変換器と、前記シリアルパラレル変換器からのパラレルデータを入力して、前記変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピングROMとを有する伝送装置は本願出願前より周知の技術(以下、「周知技術A」という。)であり、また、例えば、前記2.(2)エ.に周知例3の記載事項として示されているように、「IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータを入力して所定の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータ及びQチヤンネルデータに変換するマッピング手段」は本願出願前より周知の技術(以下、「周知技術B」という。)である。そして、これら周知技術A、Bを引用例1に記載された発明に適用することを阻害する要因はなく、該周知技術A、Bを引用例1に記載された発明の「第1手段」に適用するに当たっては、引用例1に記載された発明の「第1の変調方式」を周知技術A、Bの「所定の変調方式」として適用し、また、該周知技術A、Bを引用例1に記載された発明の「第2手段」に適用するに当たっては、引用例1に記載された発明の「第2の変調方式」を周知技術A、Bの「所定の変調方式」として適用することも当業者が適宜考慮することであって、引用例1に記載された発明において「入力される情報から第1の変調方式の第1のビット数に関係するビット数の情報を出力する第1手段」を「入力される第1の入力シリアル伝送データを対応する第1の変調方式の第1のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換して出力する第1のシリアルパラレル変換器」となし(相違点(2))、「入力される情報から第2の変調方式の第2のビット数に関係するビット数の情報を出力すると共に、第1手段と同じシンボルレートで当該情報を出力する第2手段」を「入力される第2の入力シリアル伝送データを対応する第2の変調方式の第2のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換すると共に、上記第1のシリアルパラレル変換器と同じシンボルレートで当該IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを出力する第2のシリアルパラレル変換して出力する第2のシリアルパラレル変換器」となし(相違点(3))、「上記第1及び第2手段からの情報を入力して、上記第1及び第2の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたデータに変換するマツピング機能を有する手段」を「上記第1及び第2のシリアルパラレル変換器からのIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを入力して、上記第1及び第2の変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータとQチヤンネルデータとに変換するマツピングROM」と構成すること(相違点(4))は当業者が容易に成し得たことである。

相違点(1)、(5)について、
離散的逆フーリエ変換された情報を周波数が互いに直交する多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置は本願出願前より周知の技術(例えば、原審拒絶理由で引用された特開平5-167633号公報段落【0001】、【0020】〜【0022】参照、以下、「周知技術C」という。)であり、また、上記データで変調した信号を周波数軸上に多重化する手段として、IチヤンネルデータとQチヤンネルデータとを離散的に逆フーリエ変換する離散的逆フーリエ変換手段を用いるものは本願出願前より周知の技術(例えば、原審拒絶理由で引用された特開平5-167633号公報段落【0020】〜【0022】、特表昭62-502932号公報7頁右上欄10行〜左下欄11行、米国特許5,197,061号明細書FIG.3および第6欄の記載参照、以下、「周知技術D」という。)であるので、引用例1に記載された発明において、「情報を多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置」を「離散的逆フーリエ変換された情報を周波数が互いに直交する多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置」とし(相違点(1))、「上記データで変調した信号を周波数軸上に多重化する手段」として、「IチヤンネルデータとQチヤンネルデータとを離散的逆フーリエ変換する離散的逆フーリエ変換手段」を用いること(相違点(5))は当業者が容易に成し得たことである。

そして、補正後の発明の効果も、前記引用例1に記載された発明、周知技術A〜Dから当業者が予想できる範囲のものであり、格別なものではない。

(4) よって、本件補正後の発明は、前記引用例1に記載された発明及び周知技術A〜Dに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項で準用する同法第126条第3項の規定に違反するので、同法159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下する。

第3.本願発明について

1.本願発明
平成16年9月15日付けの手続補正は前記第2.の記載のとおり却下されたので、
平成16年2月24日付けで補正された明細書および図面の記載からみて、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
【請求項1】
「離散的逆フーリエ変換された情報を周波数が互いに直交する多数の搬送波を用いて多重伝送するデイジタル信号伝送装置において、
入力される入力シリアル伝送データを対応する変調方式のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換するシリアルパラレル変換器と、
上記Iチヤンネルパラレルデータと上記Qチヤンネルパラレルデータとを入力して、変調方式に対応する振幅情報及び位相情報を持つたIチヤンネルデータとQチヤンネルデータとに変換するマツピングROMと、
上記Iチヤンネルデータと上記Qチヤンネルデータとを離散的逆フーリエ変換する離散的逆フーリエ変換手段と
を具えることを特徴とするデイジタル信号伝送装置。」

2.引用例
(1)原審拒絶査定で引用された引用例1、その記載事項及び「引用例1に記載された発明」は、前記「第2.2.(2)ア.」に記載したとおりである。

(2)周知例に記載された事項は、「第2.2.(2)イ.」、「第2.2.(2)ウ.」、「第2.2.(2)エ.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、
本願発明は、前記第2.で検討した補正後の発明の「第1の入力シリアル伝送データ」、「第1の変調方式」、「第1のビット幅」、「第1のシリアルアルパラレル変換器」を、各々、「入力シリアル伝送データ」、「変調方式」、「ビット幅」、「シリアルアルパラレル変換器」と限定を削除し、さらに、補正後の発明の「入力される第2の入力シリアル伝送データを対応する第2の変調方式の第2のビツト幅でなるIチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとに変換すると共に、上記第1のシリアルパラレル変換器と同じシンボルレートで当該IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータとを出力する第2のシリアルパラレル変換器」との限定を削除し、補正後の発明の「マツピングROM」に関する「IチヤンネルパラレルデータとQチヤンネルパラレルデータ」の入力先について「上記第1及び第2のシリアルパラレル変換器から」の限定を削除すると共に「変調方式」について「上記第1と第2の」限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を限定したものに相当する本件補正後の発明が、前記「第2.2.(3)」に記載したとおり、前記引用例1に記載された発明及び周知技術A〜Dに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、前記引用例1に記載された発明及び周知技術A〜Dに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4. むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、前記引用例1に記載された発明及び周知技術A〜Dに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-17 
結審通知日 2005-01-21 
審決日 2005-02-01 
出願番号 特願平6-87647
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04J)
P 1 8・ 575- Z (H04J)
P 1 8・ 572- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高野 洋  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 望月 章俊
野元 久道
発明の名称 デイジタル信号伝送装置  
代理人 田辺 恵基  

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