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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02M
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H02M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02M
管理番号 1113949
審判番号 不服2003-6514  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-17 
確定日 2005-03-17 
事件の表示 平成 8年特許願第122970号「スイッチング電源回路」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月28日出願公開、特開平 9-308226〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年5月17日の出願であって、平成15年3月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月17日に審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年4月17日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成15年4月17日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1) 補正後の請求項1に記載された発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。

「テレビジョン受信機などに用いられるスイッチング電源回路において、スイッチング電源回路の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、前記スイッチング電源回路のスイッチング素子を駆動する制御回路と、前記検出電圧を前記制御回路に帰還して出力電圧を安定化する検出電圧帰還手段と、スイッチング素子を駆動するために前記制御回路から出力されるドライブパルス変動電圧と所定電圧とを比較して監視するドライブパルス監視手段とを備え、前記ドライブパルス変動電圧が前記所定電圧より低い通常動作時には前記検出電圧帰還手段からの帰還信号により前記制御回路が出力電圧を安定に制御するとともに、前記ドライブパルス変動電圧が前記所定電圧以上の異常時には前記ドライブパルス監視手段からの出力信号により、前記制御回路の動作を停止して、異常時に前記スイッチング素子の保護動作を行うようにしたことを特徴とするスイッチング電源回路。」

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「スイッチング素子を駆動するために前記制御回路から出力されるドライブパルスを監視するドライブパルス監視手段」を「スイッチング素子を駆動するために前記制御回路から出力されるドライブパルス変動電圧と所定電圧とを比較して監視するドライブパルス監視手段」と限定をし(以下、「補正事項1」という。)、「通常動作時に前記検出電圧帰還手段からの帰還信号により前記制御回路が出力電圧を安定に制御する」を「前記ドライブパルス変動電圧が前記所定電圧より低い通常動作時には前記検出電圧帰還手段からの帰還信号により前記制御回路が出力電圧を安定に制御する」に限定する(以下、「補正事項2」という。)とともに、「異常時に前記ドライブパルス監視手段からの出力信号により、前記制御回路の動作を停止して、」を「前記ドライブパルス変動電圧が前記所定電圧以上の異常時には前記ドライブパルス監視手段からの出力信号により、前記制御回路の動作を停止して、」と限定する(以下、「補正事項3」という。)ものであって、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の追加
請求人は、審判請求書の補正の根拠において、上記補正事項1の「前記制御回路から出力されるドライブパルス変動電圧と所定電圧とを比較して」の記載は、願書に最初に添付した明細書、図面(以下、「当初明細書等」という。)の発明の詳細な説明の【0010】に記載された「この出力電圧VDIFはコンパレータ14により常に基準電圧15との比較がされている。」の記載に基づいていると述べている。ところで、上記補正事項1の「ドライブパルス変動電圧」がどのようなものか明細書において定義がなされていないが、補正後の請求項1の記載自体からみて、「ドライブパルス変動電圧」は制御回路から出力されるものと認められる。しかしながら、審判請求書で上記補正事項1の補正の根拠とされている当初明細書等の【0010】には、「制御回路から出力されるドライブパルスは積分回路10により電圧VINTに変換される。積分回路10の出力電圧VINTは微分回路13で微分され、この出力電圧VDIFはコンパレータ14により常に基準電圧15との比較がされている。」と記載されているように、制御回路から出力されているのは「ドライブパルス」であって、「ドライブパルス変動電圧」ではない。また、当初明細書等には、微分回路で微分された出力電圧VDIFと基準電圧とを比較することは記載されているが、上記補正事項1のように制御回路から出力されるドライブパルス変動電圧と所定電圧とを比較することも記載されておらず、当初明細書等に記載された事項から自明のこととも認められない。
同様に、補正事項2の「前記ドライブパルス変動電圧が前記所定電圧より低い通常動作時には」及び補正事項3の「前記ドライブパルス変動電圧が前記所定電圧以上の異常時には」の記載も、当初明細書等に記載されておらず、また、当初明細書等に記載された事項から自明のこととも認められない。
したがって、上記補正事項1、2及び3は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとすることができない。

(3) 請求項1に係る発明の独立特許要件の欠如
本件補正は、減縮を目的とする補正であるから、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下検討する。

補正事項1、2及び3が当初明細書等に記載されていないことは、(2)で述べたとおりであるが、補正後の明細書においても、【0004】に補正事項1及び3と同趣旨の補正がされているだけであり、実施例において、補正後の請求項1に係る発明の裏付けとなる記載はない。したがって、本件補正後の請求項1に係る発明が発明の詳細な説明に記載したものであるということはできない。
したがって、明細書の記載が特許法第36条第6項に規定する要件を満たさないため、請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1) 本願発明
平成15年4月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年3月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「テレビジョン受信機などに用いられるスイッチング電源回路において、スイッチング電源回路の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、前記スイッチング電源回路のスイッチング素子を駆動する制御回路と、前記検出電圧を前記制御回路に帰還して出力電圧を安定化する検出電圧帰還手段と、スイッチング素子を駆動するために前記制御回路から出力されるドライブパルスを監視するドライブパルス監視手段とを備え、通常動作時に前記検出電圧帰還手段からの帰還信号により前記制御回路が出力電圧を安定に制御するとともに、異常時に前記ドライブパルス監視手段からの出力信号により、前記制御回路の動作を停止して、異常時に前記スイッチング素子の保護動作を行うようにしたことを特徴とするスイッチング電源回路。」

(2) 引用例
原査定の拒絶の理由に引用した特開平6-188082号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。
ア.「【産業上の利用分野】
この発明は、昇圧または降圧チョッパ回路を含みスイッチングを行う電源装置に関するもので、例えばインバータ回路により放電ランプを高周波点灯させる放電灯点灯回路に直流電力を供給するものに係る。」(【0001】)

イ.「〔第2の実施例〕
図3にこの発明の第2の実施例の電源装置のブロック図を示し、図4にその各部のタイムチャートを示す。この電源装置は、図3に示すように、直流電源V2 の電源電圧をチョッパ回路CP2 に加えて昇圧(降圧の場合もある)して変動する負荷LD2 に供給している。負荷LD2 としては、何でもよいが、例えば図7と同様に高周波変換用のインバータとこのインバータから高周波電力が供給されるメタルハライドランプやHIDランプ等の放電ランプが一例としてあげられる。
また、チョッパ回路CP2 の出力電圧を電圧分割型の出力電圧検出回路DK2で検出し、この出力電圧検出回路DK2 の出力信号に基づいて制御回路CR2 によりチョッパ回路CP2 の出力電圧が負荷変動にかかわらず略一定となるようにチョッパ回路CP2 をフィードバック制御(パルス幅変調制御)している。チョッパ回路CP2 は、スイッチング素子Q1 ,コンデンサC1 ,C2 .コイルL1 ,ダイオードD1 からなり、スイッチング素子Q1 をオンオフさせることでコンデンサC2 の両端間に昇圧された直流電圧を生じさせるものである。出力電圧検出回路DK2 は、抵抗R3 ,R4 の直列回路からなり、チョッパ回路CP2 の出力電圧を分割して検出する。
また、制御回路CR2 は、具体的には、三角波電圧(もしくは鋸歯状波電圧)を発生するCR発振器OS1 と、このCR発振器OS1 から発生する三角波電圧と出力電圧検出回路DK2 の出力電圧(抵抗R4 の分担電圧)とを比較するコンパレータCM1 とからなる。そして、三角波電圧と出力電圧検出回路DK2 の出力電圧とを比較することにより作成したスイッチング信号(パルス幅変調信号)でチョッパ回路CP2 のスイッチング素子Q1 をオンオフ制御(フィードバック制御)することで、チョッパ回路CP2 の出力電圧を略一定に維持する。」(【0023】〜【0025】)

ウ.「【0026】
以上の基本的構成は従来例と同様であり、以下に示すチョッパ回路CP2 の重負荷状態が所定時間以上継続したときにチョッパ回路CP2 の動作を停止する保護回路HG2 が従来例とは異なる。
保護回路HG2 は、具体的には、電源投入後所定時間Ta を繰り返し計測するタイマTM2 と、制御回路CR2 からチョッパ回路CP2 へ供給されるスイッチング信号のデューティ比を検出するデューティ比検出回路DT2 と、デューティ比検出回路DT2 のトリガ出力回数をカウントするカウンタCT1 と、反転回路NT1 と、AND回路AN1 と、DフリップフロップFF1 と、NOR回路NO1 とからなる。
デューティ比検出回路DT2 は、反転回路NT2 とスイッチング素子Q2 とコンデンサC3 と抵抗R5 ?R8 とコンパレータCM2 とからなる。そして、スイッチング信号のオン時間(ハイレベル)をコンデンサC3 に蓄積することによって、コンデンサC3 の電位でスイッチング信号のデューティ比を検出し、その電位と抵抗R6 ,R7 で作られる基準電位VR1とを比較することにより、スイッチング信号がある一定以上のデューティ比となった場合にトリガ信号を発生する。このトリガ信号をカウンタCT1 が計数する。
また、DフリップフロップFF1 は、カウンタCT1 の出力とタイマTM2 の出力との論理積が一瞬でもハイレベルとなると、ハイレベルを出力し続けることになり、DフリップフロップFF1 の出力がハイレベルとなると、NOR回路NO1 が制御回路CR2 からチョッパ回路CP2 へのスイッチング信号の供給を遮断し、チョッパ回路CP2 の動作を停止させる。
この電源装置によれば、保護回路HG2 は、負荷LD2 の立ち上がり時等の一時的な重負荷状態のときには動作せず、チョッパ回路CP2 の動作を停止することがなく、ストレス軽減を行わない。また、負荷LD2 の異常による継続的な重負荷状態のときには、保護回路HG2 が動作してチョッパ回路CP2 の動作を停止し、これによってチョッパ回路CP2 に加わるストレスを軽減する。
具体的には、保護回路HG2 では、電源投入後タイマTM2 によって所定時間の計測を繰り返すとともに、負荷状態を判断するのにスイッチング素子Q1 のデューティ比の検出を行い、デューティ比が所定値を超えた状態が所定時間以上継続したときにチョッパ回路CP2 の動作を停止することになる。時間Ta の設定は第1の実施例と同様である。」(【0026】〜【0030】

エ.図3の記載から、出力電圧検出回路DK2の出力電圧は、制御回路CR2に入力されることにより、CR発振器OS1から発生する三角波電圧と比較されて、スイッチング素子Q1をフィードバック制御するためのスイッチング信号を発生させるものであるから、引用例の電源装置は、「検出電圧を制御回路CR2に帰還して出力電圧を安定化する検出電圧帰還手段」を備えているといえる。

これらの記載及び図面を参照すると、引用例には次の発明が記載されている。(以下、「引用発明」という。)

「電源装置の出力電圧を検出する出力電圧検出回路DK2と、前記電源装置のスイッチング素子Q1を駆動する制御回路CR2と、前記検出電圧を前記制御回路CR2に帰還して出力電圧を安定化する検出電圧帰還手段と、スイッチング素子Q1を駆動するために前記制御回路CR2から出力されるスイッチング信号を監視する保護回路HG2とを備え、通常動作時に前記検出電圧帰還手段からの帰還信号により前記制御回路CR2が出力電圧を安定に制御するとともに、異常時に前記保護回路HG2からの出力信号により、制御回路CR2からスイッチング素子Q1へのスイッチング信号の供給を遮断して、異常時に前記スイッチング素子Q1の保護動作を行うようにした電源装置。」

(3) 対比
本願発明と上記引用発明とを比較する。

引用発明の「電源装置」、「出力電圧検出回路」、「スイッチング信号」、「保護回路」は、本願発明の「スイッチング電源回路」、「出力電圧検出手段」、「ドライブパルス」、「ドライブパルス監視手段」に相当し、引用発明と本願発明とは、異常時にスイッチング素子に対してドライブパルスを出力しないようにした点で共通している。

したがって、両者は、

「スイッチング電源回路の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、前記スイッチング電源回路のスイッチング素子を駆動する制御回路と、前記検出電圧を前記制御回路に帰還して出力電圧を安定化する検出電圧帰還手段と、スイッチング素子を駆動するために前記制御回路から出力されるドライブパルスを監視するドライブパルス監視手段を備え、通常動作時に前記検出電圧帰還手段からの帰還信号により前記制御回路が出力電圧を安定に制御するとともに、異常時に前記ドライブパルス監視手段からの出力信号により、スイッチング素子にドライブパルスを出力しないようにして、異常時に前記スイッチング素子Q1の保護動作を行うようにした電源装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明のスイッチング電源回路は、テレビジョン受信機などに用いられるものであるのに対し、引用例には、引用発明がテレビジョン受信機などに用いられる旨の明記がない点。

[相違点2]
本願発明は、異常時に制御回路の動作を停止するものであるのに対し、引用発明は異常時に制御回路CR2からスイッチング素子Q1へのスイッチング信号の供給を遮断するものである点。

(4) 判断
(4)-1
[相違点1]について
スイッチング電源回路がテレビジョン受信機などに用いられることは例を挙げるまでもなく周知であり、引用発明の電源装置をテレビジョン受信機に用いることによる格別の効果も認められない。

(4)-2
[相違点2]について
本願発明と引用発明とはいずれも、異常時にスイッチング素子の保護動作を行うために、スイッチング素子へのドライブパルス(スイッチング信号)の供給を行わないようにするものである。そして、スイッチング素子へのドライブパルスの供給を行わないようにするための具体的な手段の1つとして、制御回路の動作を停止して、制御回路からドライブパルスを出力しないようにすることは、技術常識からすれば当業者が普通に想到し得ることであり、引用発明において、制御回路から出力されたスイッチング信号のスイッチング素子への供給を遮断する代わりに、本願発明のように、ドライブパルスを発生する制御回路の動作を停止させて、ドライブパルスのスイッチング素子への供給を遮断することは、当業者が容易になし得たことである。

(5) むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-12 
結審通知日 2005-01-18 
審決日 2005-01-31 
出願番号 特願平8-122970
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H02M)
P 1 8・ 121- Z (H02M)
P 1 8・ 575- Z (H02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米山 毅  
特許庁審判長 三友 英二
特許庁審判官 佐々木 芳枝
岩本 正義
発明の名称 スイッチング電源回路  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  

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