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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03G |
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管理番号 | 1114373 |
審判番号 | 不服2002-24699 |
総通号数 | 65 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-01-10 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-12-24 |
確定日 | 2005-03-29 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第168426号「信号を増幅するための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 1月10日出願公開、特開平 9- 8576〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、優先権主張を伴う平成8年6月6日(第一国:米国、優先日:平成7年6月7日、出願番号:08/482,158)の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年8月26日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「信号を増幅するための装置であって、 入力および出力を有する電力増幅器であって、該電力増幅器は入力信号を受けかつ該入力信号の増幅されたものである出力信号を発生するよう構成され、 前記電力増幅器の前記出力に結合された電圧可変容量、そして 前記電力増幅器の前記出力および前記電圧可変容量に結合され前記電圧可変容量の容量を制御する制御回路、 を具備することを特徴とする信号を増幅するための装置。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-272107号公報(昭和63年11月9日出願公開、以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 A.「本発明は出力または電力効率を高くするに好適な高周波電力増幅器に関する。」(第1頁左下欄第17〜18行) B.「第1図は本発明の概念図を示す。ここに1は増幅される高周波信号の入力端子であり、2は出力端子、3は直流電源端子である。11は増幅素子であり、電界効果型MOSトランジスタを示したが、この限りではない。5は可変同調出力回路、8は可変同調入力回路であり、それぞれに内蔵された可変同調素子を、6の同調制御装置により、電気的あるいは電気機械的に制御する。9は出力電力検出装置・・・(中略)・・・である。」(第2頁左下欄第11〜20行、及び第1図参照) C.「第3図は、本発明の第3の実施例である。6は制御装置であり、出力電力検出装置601を通して出力電力を検出し、これを直流信号に変換し、更に直流増幅装置604によって適当な制御信号に変換して、制御電圧印加装置603を通して、バラクタ・ダイオード502の逆印加電圧を制御する。バラクタ・ダイオード502は、本発明における可変同調素子の一例であり、圧電素子等、電気機械的に動作するものを使用することができる。キャパシタ503は直流を遮断し高周波信号を通すバイパス・キャパシタとして、あるいはバラクタ・ダイオード502のキャパシタンスの過不足を調整するようにも使用される。 本実施例において、バラクタ・ダイオード502に印加される制御電圧は、ダイオードが導通しないように印加される。従って直流電源端子3,直流電圧印加装置4およびストリップ線路504を通して印加される電圧より、制御電圧印加装置603を通して印加される制御電圧は小さいことが必要である。」(第3頁右下欄第1〜20行、及び第3図参照) 上記C及び第3図の記載において、「ストリップ線路504」と「出力電力検出装置601」の間にあるキャパシタに関しては説明がなされていないが、キャパシタ503と同様に、直流を遮断し高周波信号を通す直流遮断用キャパシタとして動作するものであると認められる。 そして、上記C及び第3図の記載において、上記「バラクタ・ダイオード502」に対して印加する逆印加電圧を制御する旨の記載がなされており、また、「バラクタ・ダイオード502のキャパシタンス」との記載も見られることから、上記「バラクタ・ダイオード502」は、その逆印加電圧を制御することにより、キャパシタンスが制御される構成要素であるものと認められる。 よって、上記A〜Cの記載、及び第1,3図を参照すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例記載の発明」という。) 「信号を増幅するための装置であって、 入力および出力を有する電力増幅器であって、該電力増幅器は入力信号を受けかつ該入力信号の増幅されたものである出力信号を発生するよう構成され、 前記電力増幅器の前記出力にストリップ線路504を介して結合されたバラクタ・ダイオード502、そして 前記電力増幅器の前記出力にストリップ線路504、直流遮断用キャパシタ、出力電力検出装置601を介して結合され、および前記バラクタ・ダイオード502に結合され前記バラクタ・ダイオード502のキャパシタンスを制御する制御装置6、 を具備する信号を増幅するための装置。」 3.対比 本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、上記したように、引用例記載の発明における「バラクタ・ダイオード502」は、その逆印加電圧を制御することにより、キャパシタンスが制御されるものと認められるから、本願発明における、容量が制御される「電圧可変容量」に相当し、また、引用例記載の発明における「制御装置6」は、本願発明における「制御回路」に相当する。 したがって、本願発明と引用例記載の発明とは、 「信号を増幅するための装置であって、 入力および出力を有する電力増幅器であって、該電力増幅器は入力信号を受けかつ該入力信号の増幅されたものである出力信号を発生するよう構成され、 前記電力増幅器の前記出力にストリップ線路を介すかあるいは介さずに結合された電圧可変容量、そして 前記電力増幅器の前記出力にストリップ線路、直流遮断用キャパシタ、出力電力検出装置を介すかあるいは介さずに結合され、および前記電圧可変容量に結合され前記電圧可変容量の容量を制御する制御回路、 を具備する信号を増幅するための装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点(1):「電圧可変容量」が、引用例記載の発明においては、「ストリップ線路」を介して電力増幅器の出力に結合されるのに対し、本願発明においては、「ストリップ線路」を介して電力増幅器の出力に結合されていない点。 相違点(2):「制御回路」が、引用例記載の発明においては、「ストリップ線路、直流遮断用キャパシタ、出力電力検出装置」を介して電力増幅器の出力に結合されるのに対し、本願発明においては、「ストリップ線路、直流遮断用キャパシタ、出力電力検出装置」を介して電力増幅器の出力に結合されていない点。 4.当審の判断 上記相違点(1)、(2)について検討する。 [相違点(1)について] 本願発明と、引用例記載の発明とは、「ストリップ線路」を介するか介さないかにかかわらず、「電圧可変容量」が電力増幅器の出力に結合されるものであることには変わりなく、この点において、本願発明と引用例記載の発明との間に格別な差異があるものとは認められない。 [相違点(2)について] 同様に、本願発明と、引用例記載の発明とは、「ストリップ線路、直流遮断用キャパシタ、出力電力検出装置」を介するか介さないかにかかわらず、「制御回路」が電力増幅器の出力に結合されるものであることには変わりなく、この点において、本願発明と引用例記載の発明との間に格別な差異があるものとは認められない。 そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例記載の発明から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用例記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-10-14 |
結審通知日 | 2004-10-19 |
審決日 | 2004-11-08 |
出願番号 | 特願平8-168426 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H03G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 畑中 博幸 |
特許庁審判長 |
佐藤 秀一 |
特許庁審判官 |
浜野 友茂 長島 孝志 |
発明の名称 | 信号を増幅するための方法および装置 |
代理人 | 池内 義明 |