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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L 審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 H04L |
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管理番号 | 1114435 |
審判番号 | 不服2002-19949 |
総通号数 | 65 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-10-11 |
確定日 | 2005-03-30 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第326247号「多重化する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月30日出願公開、特開平10-178436〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年11月27日(パリ条約による優先権主張 1996年11月27日(US)アメリカ合衆国)の出願であって、平成14年6月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年10月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに平成14年12月18日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成14年12月18日付けの手続補正について (2-1)補正後の本願に記載された発明 本件補正により、特許請求の範囲請求項1は、(C)の「前記第2制御オクテット#2」を「前記第1制御オクテット#2」と補正されており、これは誤記の訂正にあたるので、上記補正は、特許法第17条の2第4項第3号に適合する。 3.本願発明について (1)本願発明 平成14年12月18日付けの手続補正は誤記の訂正であり、特許法第17条の2第4項第3号に適合するので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年12月18日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 第1チャネル識別子に対応しM個(ただしMは自然数)のオクテットを含む第1パケット、及び第2チャネル識別子に対応しN個(ただしNは自然数)のオクテットを含む第1パケットを1つのセル情報フィールドに多重化する方法において、 (A) 前記第1チャネル識別子に基づく第1チャネルインジケータと、 Mに基づく第1長さインジケータと を含む第1制御オクテット#1及び第1制御オクテット#2を構築するステップと、 (B) 前記第2チャネル識別子に基づく第2チャネルインジケータと、 Nに基づく第2長さインジケータと を含む第2制御オクテット#1及び第2制御オクテット#2を構築するステップと、 (C)前記第1制御オクテット#1、前記第1制御オクテット#2、前記第1パケット、前記第2制御オクテット#1、前記第2制御オクテット#2、及び前記第2パケットを前記セル情報フィールドにパッキングするステップとを有することを特徴とする方法。」 (2)引用例に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-214009号公報(以下、「引用例」という。)には、次のような記載がある。 イ.「【0011】説明の便宜上、代表的な実施態様では、CDMAサイズのパケットをATMセルに封じ込めるものとする。しかし、言うまでもなく、本発明の他の実施態様では、あらゆる種類やサイズのパケットをその他の種類のセルに封じ込めることができる。 【0012】セクションIIでは、代表的な実施態様において、CDMAパケットをATMセルに封じ込めるのに用いる方法および装置について詳細に検討する。セクションIIIでは、代表的な実施態様において、ATMセル・ストリームからCDMAパケットを回復するのに用いる方法および装置について詳細に検討する。 【0013】本発明の幾つかの実施態様では、複数のCDMA「通信路」を1つのATM仮想回路上で多重化することができる。本明細書では、通信路は広帯域ネットワーク内(たとえばユーザ/サーバと交換機間、2つの交換機間、交換機と交差接続部間、または交差接続部間のATMインタフェース内)の2地点間1方向リンクと定義される。ATMおよびB-ISDNの状況では、通信路は、CCITT 勧告I.113で規定されているように、仮想通信路リンク(「VCL」)または仮想経路リンク(「VPL」)の概念に対応する。」(第3頁第4欄第14行〜第34行) ロ.「【0026】これに対して、本発明の代表的な実施態様は、大きいパケットを複数のセルに区分しようとせず、複数の「小さいパケット」(つまり通常はセルより小さいパケット)を効率的に詰め込んで1つのATMセルにしようとする。そのため、本発明の代表的な実施態様では、「集合および分解プロトコル」と呼べるものを介して通信する。」(第4頁第6欄第34行〜第40行) ハ.「【0049】本発明の代表的な実施態様では、ATMセルの情報フィールドは常に、制御オクテット#1で開始し、これはデータ構造の標識の役割を果たし、これによって受信機は情報を明瞭に解析することができる。多重化モード中にVCIがある場合は、制御オクテット#1の次のバイトは、常に制御オクテット#2である。 【0050】制御オクテット#1は、左から右に読むと、(1)1ビットの「追加制御オクテット」つまり「ACO」、(2)6ビットの「パケット長」すなわち「PL」、および(3)1ビットのパリティ・フィールドを備えることが好ましい。ACOビットがアクティブな場合は、情報フィールド中の次のバイトが制御オクテット#2であることを示す。 【0051】制御オクテット#2は多重化操作でのみ使用することが好ましいので、ACOビットは、ATMセルが多重化モードのパケットを保有しているか、受信機が検査するのに役立てることができる。しかし、呼び管理サーバ220によって、受信機は既にこれを知らされているはずなので、パケット長フィールドの長さを拡大したり、エラーの検出や修正を多くしたりするなど、このビットを別の目的に使用することができる。 【0052】パケット長フィールドは、制御オクテット#2の有無にかかわらず、制御オクテットに続くCDMAパケットの長さを指示する。この方法で、受信機はパケット長フィールドによって次の制御オクテット#1から即時CDMAパケットの終了を正確に解析することができる。パリティ・フィールドは、制御オクテット全体のパリティを表す1ビットを含み、エラー検出に使用される。 【0053】図7を参照する。左から右に読むと、制御オクテット#2は、(1)1ビットの「追加制御オクテット」すなわち「ACO」フィールド、(2)3ビットの「仮想通信路ID」フィールド、および(3)4ビットの「エラー修正および検出」すなわち「ECD」フィールドを備えることが好ましい。 【0054】ACOビットがアクティブな場合は、情報フィールドの次のバイトが制御オクテット#3であることを指示する。制御オクテット#3、制御オクテット#4など、追加的な制御オクテットが存在すると、8本を上回る通信路を1つの仮想回路に多重化するメカニズムが与えられる。追加的な制御オクテットは、制御オクテット#2と同じ形式であることが好ましい。」(第6頁第10欄第17行〜第7頁第11欄第8行) ニ.「【0089】V.多重化した会話の例証的具体例 この具体例は、セクションIVで提示した具体例と全く等しいが、AliceとBillとの間の呼び設定中に、ATM通信路管理プログラム230は、その通信路を多重化することに決定し、したがって、通信路を一意のCDIおよび「3」の仮想通信路IDに割り当てる。 【0090】また、ChuckとDaveとの間の呼び設定中に、ATM通信路管理プログラム230が、その通信路もAliceおよびBillと同じVCI上で多重化することに決定したことも、異なる。ATM通信路管理プログラム230は、ChuckおよびDaveの通信路を「7」の仮想通信路IDに割り当てる。 【0091】下記の表7に示すように、基地局211は、以下の順序でCDMAパケットを受信する。すなわちAliceからのCDMAパケット#1、ChuckからのCDMAパケット#1、AliceからのCDMAパケット#2、およびAliceからのCDMAパケット#3である。これらのパケットは同じVCIを共用しているので、送信のために1つのFIFO待ち行列に入れられる。 【0092】 【表7】 |-------------------------------| | Queue |Virtual | Packet | User-data | |Position|Channel ID| Length | | |-------------------------------| | 1 | 3 | 23 |The_fault,_dear_Bill,_i | | 2 | 7 | 13 |Et_tu,_Brute? | | 3 | 3 | 23 |s_not_in_our_stars,_but | | 4 | 3 | 14 |_in_ourselves. | |-------------------------------| 表7 送信待ち行列 【0093】同じVCI上には送信すべき他のCDMAパケットがないとすると、表8の送信待ち行列に示したCDMAパケットは、表8および9で示すように、連続する2つのATMセルに封じ込められる。この具体例ではすべて、ECDのCO2の下位ニブルにおいて、VCIDを繰り返している。 【0094】 【表8】 |---------------------------------| | 00 00 00 00 | four bytes of ATM cell header | | 55 AF 33 54 |one byte of ATM cell header;CO1;CO2;user-data"T" | 68 65 20 66 | user-data "he_f" | | 61 75 6C 74 | user-data "ault" | | 2C 20 64 65 | user-data ",_de" | | 61 72 20 42 | user-data "ar_B" | | 69 6C 6C 2C | user-data "ill," | | 20 69 9A 77 | user-data "_i";CO1;CO2 | | 45 74 20 74 | user-data "Et_t" | | 75 2C 20 42 | user-data "u,_B" | | 72 75 74 65 | user-data "rute" | | 3F 8D 33 73 |user-data"?";CO1;CO2;user-data "s" | | 20 6E 6F 74 | user-data "_not" | | 20 | user-data "_" | |-------------------------------| 表8 ATMセル#1 【0095】 【表9】 |--------------------------------| | 00 00 00 00 | four bytes of ATM cell header | | 55 A3 33 69 |one byte of ATM cell header;CO1;CO2;user-data"i" | 6E 20 6F 75 | user-data "n_ou" | | 72 20 73 74 | user-data "r_st" | | 61 72 73 2C | user-data "ars," | | 20 62 75 74 | user-data "_but" | | 9C 33 20 69 | CO1;CO2 user-data "_i" | | 6E 20 6F 75 | user-data "n_ou" | | 72 73 65 6C | user-data "rsel" | | 76 65 73 2E | user-data "ves." | | 00 00 00 00 | 4 padding bytes | | 00 00 00 00 | 4 padding bytes | | 00 00 00 00 | 4 padding bytes | | 00 | 1 padding byte | |---------------------------------| 表9 ATMセル#2 【0096】上記の具体例から、多重化が呼び出されない場合は3つのATMセルで送信するが、多重化によって、CDMAパケットを2つのATMセルで送信できることが明白となる。」(第10頁第17欄第28行〜第11頁第19欄第29行) ホ.第9頁の表2には、AliceのBillへのメッセージが、以下の通り記載されており、第9頁の表3には、ChunkのDaveへのメッセージが記載されている。 |----------------------------| |CDMA Packet #1(23bytes) |The_fault,_dear_Bill,_i | |CDMA Packet #2(23bytes) |s_not_in_our_stars,_but | |CDMA Packet #3(13bytes) |_in_ourselves. | |----------------------------| 表2 AliceのBillへのメッセージ |------------------------------| | CDMA Packet #1(13 bytes) | Et_tu,_Brute? | |------------------------------| 表3 ChuckのDaveへのメッセージ ヘ.前記ニ.に示される表8のATMセル#1は、表2、表3のメッセージを同じVCI上で情報フィールドに多重化し、ATMヘッダ、表2のメッセージのCDMA Packet#1に関するCO1、表2のメッセージのCDMA Packet#1に関するCO2、表2のメッセージのCDMA Packet#1、表3のメッセージのCDMA Packet#1メッセージに関するCO1、表3のメッセージのCDMA Packet#1に関するCO2、表3のメッセージのCDMA Packet#1を封じ込められたものである。ここで、CO1は、前記ハ.の記載から、追加制御オクテット、パケット長、パリティ・フィールドからなり、CO2は、前記ハ.の記載から、追加制御オクテット、仮想通話路IDフィールド、エラー修正および検出からなっている。 以上の記載を総合し、CO1は制御オクテット#1、CO2は制御オクテット#2であるから、引用例には、 「第1仮想通話路IDに対応した第1パケット、及び第2仮想通話路IDに対応した第2パケットを1つの情報フィールドに多重化する方法において、 前記第1仮想通話路IDに基づく第1仮想通話路IDフィールドと、 前記第1パケットに関する第1パケットのパケット長と を含む第1制御オクテット#1及び第1制御オクテット#2を構築するステップと、 前記第2仮想通話路IDに基づく第2仮想通話路IDフィールドと、 前記第2パケットに関する第2パケットのパケット長と を含む第2制御オクテット#1及び第2制御オクテット#2を構築するステップと、 前記第1制御オクテット#1、前記第1制御オクテット#2、前記第1パケット、前記第2制御オクテット#1、前記第2制御オクテット#2、及び前記第2パケットを前記情報フィールドに封じ込めるステップとを有する方法」の発明が記載されていると認められる。 (3)対比・判断 本願発明と引用例に記載された発明を対比する。 引用例に記載された発明も本願発明も、共に、異なる仮想通話路IDの2つのパケットを、1つのATMのセル情報フィールドに多重するものであるから、引用例に記載された発明の「第1仮想通話路ID」、「第2仮想通話路ID」は、本願発明の「第1チャネル識別子」、「第2チャネル識別子」に相当する。 引用例に記載された発明の「第1仮想通話路IDフィールド」は、本願発明の「第1チャネルインジケータ」と同じものであり、引用例に記載された発明の「第1パケットのパケット長」は、本願発明の「第1長さインジケータ」と同じものである。 同様に、引用例に記載された発明の「第2仮想通話路IDフィールド」、「第2パケットのパケット長」は、本願発明の「第2チャネルインジケータ」、「第2長さインジケータ」に、各々相当する。 また、引用例に記載された発明の「封じ込める」は、本願発明の「パッキングする」に相当する。 本願発明と引用例に記載された発明とは、 「第1チャネル識別子に対応した第1パケット、及び第2チャネル識別子に対応した第2パケットを1つのセル情報フィールドに多重化する方法において、 前記第1チャネル識別子に基づく第1チャネルインジケータと、 第1長さインジケータと を含む第1制御オクテット#1及び第1制御オクテット#2を構築するステップと、 前記第2チャネル識別子に基づく第2チャネルインジケータと、 第2長さインジケータと を含む第2制御オクテット#1及び第2制御オクテット#2を構築するステップと、 前記第1制御オクテット#1、前記第1制御オクテット#2、前記第1パケット、前記第2制御オクテット#1、前記第2制御オクテット#2、及び前記第2パケットを前記セル情報フィールドにパッキングするステップとを有する方法」の点で、一致し、以下の点で、相違する。 a.本願発明では、「第1パケット」が、M個(ただしMは自然数)のオクテットを含み、「第2パケット」が、N個(ただしNは自然数)のオクテットを含んでいるのに対して、引用例では、第1パケット、第2パケットが、いくつのオクテットを含むか明らかでない点。 b.本願発明では、「第1長さインジケータ」が「Mに基づ」き、「第2長さインジケータ」が、「Nに基づ」いているのに対して、引用例では、それについての記載がない点。 上記相違点について、検討する。 相違点a、bについて 第1パケット、第2パケットをいくつのオクテットで構成するかは、多重化するパケットに応じて、決まってくるもので、多重化するパケットの大きさに応じて、設定すべきことであり、引用例に記載された発明の制御オクテット#1の長さインジケータは、ATMセルにのせるべきパケットに応じて変わるもので、多重化するパケットに応じて決まることであるから、引用例に記載された発明において、第1パケットがM個のオクテットからなり、第2パケットがN個のオクテットからなり、それぞれの長さインジケータが、MまたはNに基づくことは、当業者が容易になし得ることと認められる。 そして、本願発明の作用効果も、引用例に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-11-01 |
結審通知日 | 2004-11-02 |
審決日 | 2004-11-15 |
出願番号 | 特願平9-326247 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04L)
P 1 8・ 56- Z (H04L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 隆之 |
特許庁審判長 |
武井 袈裟彦 |
特許庁審判官 |
野元 久道 望月 章俊 |
発明の名称 | 多重化する方法 |
代理人 | 三俣 弘文 |