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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1114555
異議申立番号 異議2003-72560  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-09-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-10-21 
確定日 2005-01-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3398081号「ディジタルカメラ」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3398081号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
1 特許第3398081号の請求項1ないし4に係る出願は,平成11年3月1日に出願され,平成15年2月14日にその発明について設定登録がなされ,その後,その特許について,異議申立人金子和弘から特許異議の申立てがなされ,取消理由通知の指定期間内である平成16年9月6日に訂正請求がなされたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の概要
平成16年9月6日付け訂正請求によって特許権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。

(1) 特許請求の範囲の請求項1の「前記M,Nは正の整数でM>Nを満足し,前記画像データは動画データであり,」を「前記M,Nは正の整数でM>Nを満足し,前記M種類の互換モードには,前記N種類の互換モードより上位の互換モードを含み,前記画像データは動画データであり,」と訂正する。

(2) 特許請求の範囲の請求項2の「前記M,Nは正の整数でM>Nを満足し,前記画像データにはディジタル音声データが付加され,」を「前記M,Nは正の整数でM>Nを満足し,前記M種類の互換モードには,前記N種類の互換モードより上位の互換モードを含み,前記画像データにはディジタル音声データが付加され,」と訂正する。

(3) 特許請求の範囲の請求項3の「前記入力処理手段から出力された第1信号を前記N種類の品質のいずれとも異なる品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と,」を「前記入力処理手段から出力された第1信号を前記N種類の品質のいずれとも異なり,かつ前記N種類の品質より高品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と,」と訂正し,
さらに,「前記N及びMはN<Mを満足する正の整数であり,前記M種類の品質は前記第2信号の品質を含み,前記画像データは動画データであり,前記互換モードとは,動画のフレームレートに関連すること」を「前記N及びMはN<Mを満足する正の整数であり,前記M種類の品質は前記第2信号の品質を含み,前記第1信号及び前記第2信号は動画データであり,前記品質とは,動画のフレームレートに関連すること」と訂正する。

(4) 特許請求の範囲の請求項4の「前記入力処理手段から出力された第1信号を前記N種類の品質のいずれとも異なる品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と,」を「前記入力処理手段から出力された第1信号を前記N種類の品質のいずれとも異なり,かつ前記N種類の品質より高品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と,」と訂正し,
さらに,「前記N及びMはN<Mを満足する正の整数であり,前記M種類の品質は前記第2信号の品質を含み,前記画像データにはディジタル音声データが付加され,前記互換モードとは,音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連すること」を「前記N及びMはN<Mを満足する正の整数であり,前記M種類の品質は前記第2信号の品質を含み,前記第1信号及び前記第2信号にはディジタル音声データが付加され,前記品質とは,音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連すること」に訂正する。

(5) 明細書の課題を解決するための手段について,「M,Nは正の整数でM>Nを満足し,画像データは動画データであり,」を「M,Nは正の整数でM>Nを満足し,M種類の互換モードには,N種類の互換モードより上位の互換モードを含み,画像データは動画データであり,」に訂正し,
さらに,「入力処理手段から出力された第1信号をN種類の品質のいずれとも異なる品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と,」を「入力処理手段から出力された第1信号をN種類の品質のいずれとも異なり,かつN種類の品質より高品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と,」に訂正し,
さらに,「画像データは動画データであり,互換モードとは,動画のフレームレートに関連することを特徴とする。また,画像データにはディジタル音声データが付加され,互換モードとは音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連するもの」を「第1信号及び第2信号は動画データであり,品質とは,動画のフレームレートに関連することを特徴とする。また,第1信号及び第2信号にはディジタル音声データが付加され,品質とは音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連するもの」に訂正する。

2 訂正事項について
上記1(1)ないし(4)の特許請求の範囲の訂正は,「上位の互換モード」又は「高品質」の限定事項を追加するもので,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,上記1(5)の明細書の訂正は,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためであり,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして,当該訂正は,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3 むすび
以上のとおりであるから,上記訂正は,特許法120条の4第2項の目的に該当し,同3項において準用する特許法126条2項及び3項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

第3 特許異議の申し立てについて
1 申立の理由の概要
特許異議申立人は,証拠として
(1)甲第1号証:特開平10-224728号公報
(2)甲第2号証:特開平10-327428号公報
(3)甲第3号証:特開平 7-226025号公報
を提出し,請求項1ないし4に係る発明は,特許法29条2項の規定に違反してなされたものであるから,特許を取り消すべき旨主張している。

2 本件発明
上記第2に記載したとおり,平成16年9月6日付け訂正請求書による訂正請求は認められるところとなったので,本件特許は,同訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】本体機器に対して着脱自在な記録媒体と,
入射光を撮像素子にて光電変換して画像データを作成する撮像手段と,
M(M:整数)種類の互換モードの中のN(N:整数)種類の互換モードのいずれかに合致した形態で,該撮像手段から得られる画像データを,互換モードを示す管理情報と共に前記記録媒体に記録する記録手段と,
前記記録媒体に記録された管理情報に基づいて,M種類のいずれかの互換モードで画像データを再生する再生手段とを備え,
前記M,Nは正の整数でM>Nを満足し,前記M種類の互換モードには,前記N種類の互換モードより上位の互換モードを含み,前記画像データは動画データであり,前記互換モードとは,動画のフレームレートに関連することを特徴とするディジタルカメラ。(以下,「本件発明1」という。以下同じ。)

【請求項2】本体機器に対して着脱自在な記録媒体と,
入射光を撮像素子にて光電変換して画像データを作成する撮像手段と,
M(M:整数)種類の互換モードの中のN(N:整数)種類の互換モードのいずれかに合致した形態で,該撮像手段から得られる画像データを,互換モードを示す管理情報と共に前記記録媒体に記録する記録手段と,
前記記録媒体に記録された管理情報に基づいて,M種類のいずれかの互換モードで画像データを再生する再生手段とを備え,
前記M,Nは正の整数でM>Nを満足し,前記M種類の互換モードには,前記N種類の互換モードより上位の互換モードを含み,前記画像データにはディジタル音声データが付加され,前記互換モードとは,音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連することを特徴とするディジタルカメラ。

【請求項3】外部から取り込まれた信号にN種類の品質のいずれか1つに対応する入力処理を施す入力処理手段と,
前記入力処理手段から出力された第1信号を前記N種類の品質のいずれとも異なり,かつ前記N種類の品質より高品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と,
前記記録媒体から前記第1信号及び前記第2信号のいずれか一方を再生する再生手段と,
前記再生手段による再生信号の品質を検出する品質検出手段と,
前記再生手段にM種類の品質の各々に対応するM個の出力処理のいずれかを施す出力処理手段と,
前記品質検出手段の検出結果に基づいて前記M個の出力処理のいずれかを能動化する選択手段とを備え,
前記N及びMはN<Mを満足する正の整数であり,前記M種類の品質は前記第2信号の品質を含み,前記第1信号及び前記第2信号は動画データであり,前記品質とは,動画のフレームレートに関連することを特徴とするディジタルカメラ。

【請求項4】外部から取り込まれた信号にN種類の品質のいずれか1つに対応する入力処理を施す入力処理手段と,
前記入力処理手段から出力された第1信号を前記N種類の品質のいずれとも異なり,かつ前記N種類の品質より高品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と,
前記記録媒体から前記第1信号及び前記第2信号のいずれか一方を再生する再生手段と,
前記再生手段による再生信号の品質を検出する品質検出手段と,
前記再生手段にM種類の品質の各々に対応するM個の出力処理のいずれかを施す出力処理手段と,
前記品質検出手段の検出結果に基づいて前記M個の出力処理のいずれかを能動化する選択手段とを備え,
前記N及びMはN<Mを満足する正の整数であり,前記M種類の品質は前記第2信号の品質を含み,前記第1信号及び前記第2信号にはディジタル音声データが付加され,前記品質とは,音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連することを特徴とするディジタルカメラ。

3 引用刊行物記載の発明
刊行物1(甲第1号証:特開平10一224728号公報)には,撮像した複数種類の動画フレームレートを選択して記録媒体に記録し,再生時には記録されたフレームレートに応じたフレームレートで画像を再生するビデオカメラが記載されている。
刊行物2(甲第2号証:特開平10-327428号公報)には,記録フォーマットよりも再生フォーマットの数が多いディジタルカメラが開示されている。
刊行物3(甲第3号証:特開平7-226025号公報)には,複数種類のサンプリングレート及び量子化ビット数の音声データを選択して記録でき,同種類のサンプリングレート及び量子化ビット数を有する音声データを再生できる技術が開示されている。

4 対比・判断
(1) 本件発明1について
上記甲第1号証の発明と本件発明1とをディジタルカメラにおける技術常識を勘案し対比すると,次の一致点を有し,後記の相違点が認められる。
【一致点】
本体機器に対して着脱自在な記録媒体と,入射光を撮像素子にて光電変換して画像データを作成する撮像手段と,M(M:整数)種類の互換モードの中のN(N:整数)種類の互換モードのいずれかに合致した形態で,該撮像手段から得られる画像データを,互換モードを示す管理情報と共に前記記録媒体に記録する記録手段と,前記記録媒体に記録された管理情報に基づいて,M種類のいずれかの互換モードで画像データを再生する再生手段とを備え,前記画像データは動画データであり,前記互換モードとは,動画のフレームレートに関連することを特徴とするディジタルカメラ。
【相違点】
M種類の再生の互換モードとN種類の記録の互換モードとの関係が,本件発明1では,M,Nは正の整数でM>Nを満足し,前記M種類の互換モードには,前記N種類の互換モードより上位の互換モードを含む,のに対し刊行物1では,M=Nの場合だけである点。

そこで検討するに,M>Nの意味するところは,再生の互換モードの種類が記録の互換モードの種類より多いということであり,換言すれば,再生の互換モードの種類に対して記録の互換モードの種類の一部を省いたことに相当する。
ところで,機器やシステムを製作する際に一部の性能を省くことは,費用の観点から一般的に行われている事項であるから,動画を記録,再生するディジタルカメラにおいても,その対応する動画フレームレートの種類を少なくすることは,一部の性能を省くこととして特に困難なことではないものといえる。
甲第1号証では,複数種類の中から選択したフレームレートで記録し,記録されたフレームレート情報に基づいて再生を行うものであり,記録と再生はフレームレートに関しては対応するものとして扱われており,複数のフレームレートの種類で記録,再生が可能な甲第1号証の技術において,記録と再生が同じフレームレートの性能のものについて省くことは当業者が容易に推考できたことといえる。
本件発明1では,記録と再生が可能なディジタルカメラにおいて,その記録の性能のみを一部省いたものであり,甲第1号証において,記録と再生の両者をセットとして一部を省いた技術とは異なるものといわざるを得ない。
この点に関し異議申立人は,本件発明1は「複数の記録フレームレートに対して記録系と再生系の両方が対応しているものから,記録系の対応するフレームレートの一部を取り去ることによってコストダウンを図ったものである。従来より備わっていた1つの機能を取り去ることによってその取り去った分の構成が簡略化されるというものであり,技術的には何ら新規性かつ進歩性を有するものはなく,その結果,取り去ったフレームレートでは記録できないという欠点を生じているものであり,何ら技術的課題は存在せず,解決した技術的課題も存在しておらず,特許性を有していない。」旨,主張し,念のためとして,甲第2号証を挙げている。
甲第2号証には,記録フォーマットよりも再生フォーマットの数が多いディジタルカメラが開示され,異なる規格の画像ファイルフォーマットの画像データをも再生できることが可能な技術が示されている。
しかし,記録の種類より再生の種類を多くしたという点での上位概念では,本件発明1と甲第2号証との差異はないが,本件発明1では,「前記M種類の互換モードには,前記N種類の互換モードより上位の互換モードを含み,前記画像データは動画データであり,前記互換モードとは,動画のフレームレートに関連する」とあるように,動画のフレームレートに関連する上位の互換モードであり,ファイルフォーマットとは明らかに異なるものである。
加えて,甲第2号証には,その請求項2の後半に「この画像処理手段は,所定の画素数のディジタル画像データを記録及び再生する第1のモードと,前記第1のモードより少ない画素数のディジタル画像データについて再生する第2のモードとを備えたことを特徴とするディジタルカメラ。」とあるように,フレームレートでなく画素数についての互換モードで,かつ第2のモードでは画素数を少なくしていることから,下位互換であり本件発明1の上位互換とも異なるものである。
したがって,互換性を満足し,「記録系の画像や音声の取り込み手段として互換モードの全てを満足するための処理手段は不要となり,互換モードの少なくとも1つに適応できるように処理を簡略化しながらも,必要最小限の互換性を複数のカメラ間で維持することが可能になる。」という効果は,十分特許性を有している。

(2) 本件発明2について
本件発明2は,画像データにディジタル音声データを付加し,音声データの所定のサンプリングレートおよび量子化ビット数に関連する上位の互換モードを備えているものである。
甲第3号証には,複数種類のサンプリングレート及び量子化ビット数の音声データを選択して記録でき,同種類のサンプリングレート及び量子化ビット数を有する音声データを再生できる技術が開示されているが,本件発明1についての判断と同様の理由により,甲第2号証と甲第3号証の技術から当業者が容易に発明できたとはいえない。

(3) 本件発明3及び4について
本件発明3及び本件発明4は,それぞれ本件発明1及び本件発明2に対応するもので,主要な構成である互換モードを品質で表現したものに相当し,本件発明1及び本件発明2の判断と同様,甲第1号証ないし甲第3号証に開示された技術に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

第4 むすび
以上のとおりであるから,特許異議の申立ての理由及び証拠によっては,請求項1ないし4に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また,他に訂正された本件各発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
動画像記録装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】本体機器に対して着脱自在な記録媒体と、
入射光を撮像素子にて光電変換して画像データを作成する撮像手段と、
M(M:整数)種類の互換モードの中のN(N:整数)種類の互換モードのいずれかに合致した形態で、該撮像手段から得られる画像データを、互換モードを示す管理情報と共に前記記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体に記録された管理情報に基づいて、M種類のいずれかの互換モードで画像データを再生する再生手段とを備え、
前記M、Nは正の整数でM>Nを満足し、前記M種類の互換モードには、前記N種類の互換モードより上位の互換モードを含み、前記画像データは動画データであり、前記互換モードとは、動画のフレームレートに関連することを特徴とするディジタルカメラ。
【請求項2】本体機器に対して着脱自在な記録媒体と、
入射光を撮像素子にて光電変換して画像データを作成する撮像手段と、
M(M:整数)種類の互換モードの中のN(N:整数)種類の互換モードのいずれかに合致した形態で、該撮像手段から得られる画像データを、互換モードを示す管理情報と共に前記記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体に記録された管理情報に基づいて、M種類のいずれかの互換モードで画像データを再生する再生手段とを備え、
前記M、Nは正の整数でM>Nを満足し、前記M種類の互換モードには、前記N種類の互換モードより上位の互換モードを含み、前記画像データにはディジタル音声データが付加され、前記互換モードとは、音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連することを特徴とするディジタルカメラ。
【請求項3】外部から取り込まれた信号にN種類の品質のいずれか1つに対応する入力処理を施す入力処理手段と、
前記入力処理手段から出力された第1信号を前記N種類の品質のいずれとも異なり、かつ前記N種類の品質より高品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体から前記第1信号及び前記第2信号のいずれか一方を再生する再生手段と、
前記再生手段による再生信号の品質を検出する品質検出手段と、
前記再生手段にM種類の品質の各々に対応するM個の出力処理のいずれかを施す出力処理手段と、
前記品質検出手段の検出結果に基づいて前記M個の出力処理のいずれかを能動化する選択手段とを備え、
前記N及びMはN<Mを満足する正の整数であり、前記M種類の品質は前記第2信号の品質を含み、前記第1信号及び前記第2信号は動画データであり、前記品質とは、動画のフレームレートに関連することを特徴とするディジタルカメラ。
【請求項4】外部から取り込まれた信号にN種類の品質のいずれか1つに対応する入力処理を施す入力処理手段と、
前記入力処理手段から出力された第1信号を前記N種類の品質のいずれとも異なり、かつ前記N種類の品質より高品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体から前記第1信号及び前記第2信号のいずれか一方を再生する再生手段と、
前記再生手段による再生信号の品質を検出する品質検出手段と、
前記再生手段にM種類の品質の各々に対応するM個の出力処理のいずれかを施す出力処理手段と、
前記品質検出手段の検出結果に基づいて前記M個の出力処理のいずれかを能動化する選択手段とを備え、
前記N及びMはN<Mを満足する正の整数であり、前記M種類の品質は前記第2信号の品質を含み、前記第1信号及び前記第2信号にはディジタル音声データが付加され、前記品質とは、音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連することを特徴とするディジタルカメラ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静止画データ、動画データ及び音声データを記録データとしてメモリカードや光ディスク等の着脱自在の記録媒体に記録でき、更にこの記録媒体から記録データを再生可能なディジタルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、CCDイメージャ等の撮像素子にて被写体からの入射光を撮像して撮像信号に光電変換し、この撮像信号を撮像データにディジタル化し、更に所定の信号処理を行って画像データに変換し、この画像データを画像圧縮処理して圧縮画像データにして、メモリカードや光磁気ディスク等の記録媒体に画像ファイルとして記録するディジタルカメラが賞用され、更にカメラ本体にマイクを装着して集音した音声信号をディジタル化して得られる音声データをも併せて記録媒体に記録するタイプも開発されている。
【0003】このようなカメラでは、通常、記録媒体に記録されている圧縮画像データを記録媒体から読み出して画像伸長して、元の画像データに復元し、これをモニタに映出する画像の再生機能が搭載され、音声データについても記録媒体から読み出して所定の信号処理を実行して、カメラに装着されたスピーカもしくは外部出力端子に出力する音声の再生機能が搭載されている。
【0004】ところで、CCDイメージャには35万画素程度の比較的少ない画素数のものから数百万画素程度の比較的多い画素数のものまでの多様であり、これに伴いCCDイメージャから得られる画像データの画像サイズ、言い換えると解像度も多種類が存在する。
【0005】また、画像データが動画データを構成する場合には、上述の画素数に加えて、多種類のフレームレートが存在する。例えば、1秒間に15枚のフレーム画で動画を構成する15fpsの動画ファイルや更に滑らかな動画ができるように1秒間に30枚の画面で動画を構成する30fpsの動画ファイルが存在する。
【0006】また、音声データについても、音声信号を音声データにディジタル化する際のサンプリングレート、量子化ビット数等の点が多様である。
【0007】従って、これらの各種の画像及び音声フォーマットを数種類の代表的なものに統一して規格化し、記録及び再生のいずれのモードにおいても、この規格を準拠するようにすれば、あるカメラで撮影して記録データを記録した記録媒体を別のカメラに装着して、この別のカメラで記録媒体から記録データを読み出して再生することが可能になる。例えば、画素数として640×480のVGAモード、1024×768のXGAモード、1280×960のSXGAモードの3種類の解像度を互換モードとして設定し、カメラの記録系にてこれらの3種類の解像度を任意に選択できるようにし、再生系にてもこれらの3種類の解像度の画像の再生が可能となるようにすれば、互換性を満足するカメラでは、記録媒体の交換が自在に可能になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、記録系及び再生系のいずれにおいても、互換性を完全に満足することができれば、使用者には最適であることは間違いないが、画素数面から考えると、比較的画素数の少ない、例えば35万画素程度のCCDイメージャを撮像素子として使用した場合に、VGAモードの画像データを得るのが限界であり、画質劣化を免れない補間処理等の特殊な処理なしには、XGAやSXGAモードの画像データは得られない。従って、記録系において互換モードの全てを満足させるには、互換モード中の最高水準の画素数の画像を取得できる高価なCCDイメージャが必要になると共に、撮影時に解像度を選択する手段や選択された解像度に適合するように信号処理を用意することが不可欠となり、処理系の複雑化は避けられない。
【0009】また、同様に画素数に限らず、動画のフレームレートや音声のサンプリングレート、量子化ビット数についても、規格化された中の最高水準のものを記録系で用意する必要があり、更にコストアップは避けられない。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、本体機器に対して着脱自在な記録媒体と、入射光を撮像素子にて光電変換して画像データを作成する撮像手段と、M(M:整数)種類の互換モードの中のN(N:整数)種類の互換モードのいずれか1つに合致した形態で、該撮像手段から得られる画像データを、互換モードを示す管理情報と共に記録媒体に記録する記録手段と、記録媒体に記録された管理情報に基づいて、M種類のいずれかの互換モードで画像データを再生する再生手段とを備え、M、Nは正の整数でM>Nを満足し、M種類の互換モードには、N種類の互換モードより上位の互換モードを含み、画像データは動画データであり、互換モードとは動画のフレームレートに関連することを特徴とする。また、画像データにはディジタル音声データが付加され、互換モードとは、音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連するものを使用しても良い。更に、本発明の別の手段として、外部から取り込まれた信号にN種類の品質のいずれか1つに対応する入力処理を施す入力処理手段と、入力処理手段から出力された第1信号をN種類の品質のいずれとも異なり、かつN種類の品質より高品質の第2信号が記録された着脱自在の記録媒体に記録する記録手段と、記録媒体から第1信号及び前記第2信号のいずれか一方を再生する再生手段と、再生手段による再生信号の品質を検出する品質検出手段と、再生手段にM種類の品質の各々に対応するM個の出力処理のいずれかを施す出力処理手段と、品質検出手段の検出結果に基づいてM個の出力処理のいずれかを能動化する選択手段とを備え、N及びMはN<Mを満足する正の整数であり、M種類の品質は第2信号の品質を含み、第1信号及び第2信号は動画データであり、品質とは、動画のフレームレートに関連することを特徴とする。また、第1信号及び第2信号にはディジタル音声データが付加され、品質とは音声データの所定のサンプリングレート及び量子化ビット数に関連するものを使用しても良い。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面に従い本発明の一実施例を説明する。本実施例では、記録媒体として特定の直径の光磁気ディスクを用い、このディスクを記録媒体として使用する場合のカメラ間での互換性を維持するために、図4に示すように解像度、フレームレート及び音声品位の各々に関して複数種類の互換モードが規定されている。
【0012】まず、解像度の互換モードについては、1280×960ピクセルのSXGAモードと、1024×768ピクセルのXGAモードと、640×480ピクセルのVGAモードの3種類のモードが用意されている。
【0013】また、動画時のフレームレートは、1秒間に30フレームの画像で構成される30fpsと15フレームで構成される15fpsの2種類が用意されている。
【0014】また、音声品位としては、高品位、標準、低品位の3種類が用意され、高品位モードとしては、ステレオ、サンプリングレートが44KHz、量子化ビット数が16bitと規定されており、標準モードとしては、モノラル、サンプリングレートが22KHz、量子化ビット数が16bitと規定され、更に低品位モードとしては、モノラル、サンプリングレートが8KHz、量子化ビット数が8bitと規定されている。
【0015】図1は本実施例に係わるディジタルカメラであり、記録系については解像度、フレームレート及び音声品位の各互換モードの中の最低レベルの1種類のみを満足するように設定されている。即ち、解像度として、640×480ピクセルの解像度のみが実現できる程度の画素数の少ない安価なCCDイメージャが採用されており、フレームレートは15fpsのみが実現できるように後述のディジタル信号処理回路はそれほど高速の処理を要しないものが採用され、音声品位は低品位モードのみが実現できるようにモノラルのマイクと低品位モード用のみの処理回路が採用されている。
【0016】まず、図1の各部について説明する。図1において、1はレンズ(図示省略)を経て入射される入射光を撮像信号に光電変換するCCDイメージャであり、前述のように640×480ピクセルで表示画面を構成するVGAを維持できる画素数が少ないものが使用されている。
【0017】このCCDイメージャ1から出力された撮像信号は、CDS/AGC回路2で周知のノイズ除去及びレベル調整が施され、その後A/D変換器3でディジタル信号である撮像データに変換される。
【0018】A/D変換器3の後段には、ディジタル信号処理回路4が配置され、色分離作業や輝度及び色差データへの変換(YUV変換)等の周知の信号処理が実行され、輝度Y及び両色差U、Vのデータで構成される画像データが画素毎に作成され、バス7を経由してメモリ制御回路22により、SDRAM5の画像データ格納エリア5aに一旦格納される。
【0019】ビデオエンコーダ6は、SDRAM5の画像データ格納エリア5aからバス7を経由して読み出された画像データを、NTSCフォーマットでエンコードして映像信号とし、カメラ本体に装着された後段のモニタ9に供給し、この画像データがモニタ9に映出される。
【0020】画像圧縮伸長回路11は、画像記録時にCPU12からの圧縮指令が受けた場合に、画像データ格納エリア5aに格納された画像データをバス7を経由して取り込み、JPEGフォーマットに準じて画像圧縮を実行する。ここで得られた圧縮画像データは、再びバス7を経由してSDRAM5の圧縮データ格納エリア5bに一旦格納され、その後に後述するように音声データと共に記録媒体であるディスク14に記録される。
【0021】尚、画像データ格納エリア5aと圧縮データ格納エリア5bは、SDRAM5内の全く別々の領域に設定されている。
【0022】ディスク14はカメラ本体に設けられたディスク装着部に着脱自在に装着され、バス7を介してSDRAM5またはCPU12とのデータの授受が可能になる。
【0023】15は、記録モードか再生モードかを選択するR/P選択スイッチであり、16は、記録モード時に静止画記録を実行する静止画記録モードか動画記録を実行する動画記録モードかを選択する記録モード選択スイッチであり、17は記録対象の撮影トリガを発するレリーズボタンであり、これらのスイッチ15、16及びボタン17からの各種選択及びトリガ信号は、シスコン18に入力される。
【0024】シスコン18は、選択スイッチ15、16から入力されるモード選択信号を受けて、カメラ各部を所望のモードに設定すると共に、レリーズボタン17から指示を受けて各モードの記録制御を実行する。
【0025】25は、図2に示すようにモノラルマイク26にて集音された音声信号をA/D変換器27にてディジタル音声データに変換し、後段のディジタル信号処理回路28にて周知の信号処理を実行する音声記録処理回路である。ここで、A/D変換器27は、音声信号をサンプリングレートを8KHzでサンプリングするサンプリング回路27aと、このサンプリングデータを量子化ビット数が8bitのディジタルデータに変換するディジタル化回路27bで構成される。この音声記録処理回路25にて作成されたディジタル音声データは、CPU12からの書き込み指令と共にメモリ制御回路22に入力され、SDRAM5内の格納エリア5a、5bとは異なる音声格納エリア5cに書き込まれる。
【0026】30は、ディスク14から読み出された音声データを再生してスピーカ部31に出力する音声再生処理回路であり、図3に示すように高品位用再生系41、標準用再生系44及び低品位再生系46の3種類の音声再生系で構成され、高品位モード用にはステレオのR側音声データに対してディジタル信号処理回路42aにて周知の音声信号用の信号処理を施して、この処理出力をD/A変換器42bにてアナログの音声信号として後段の選択回路48に出力する。ここで、D/A変換器42bは高品位モードの要件であるサンプリングレートが44KHz、量子化ビット数が16bitのデータを取り扱うように設計されている。同様に、ステレオのL側音声データはディジタル信号処理回路43aにて信号処理され、この出力がD/A変換器43bにて音声信号に変換される。ここで、D/A変換器43bもD/A変換器42bと同様に高品位モードの要件であるサンプリングレートが44KHz、量子化ビット数が16bitのデータを取り扱うように設計されている。
【0027】標準用再生系44では、音声データがディジタル信号処理回路45aにて周知の信号処理が施され、この信号処理出力が標準モードの要件であるサンプリングレートが22KHz、量子化ビット数が16bitのディジタルデータとして取り扱うD/A変換器45bに入力されてアナログの音声信号に変換されて選択回路48に入力される。
【0028】同様に、低品位用再生系46では、音声データがディジタル信号処理回路47aにて周知の信号処理が施され、この信号処理出力が低品位モードの要件であるサンプリングレートが8KHz、量子化ビット数が8bitのディジタルデータとして取り扱うD/A変換器47bに入力されてアナログの音声信号に変換されて選択回路48に入力される。
【0029】選択回路48は、CPU12からの選択指示に応じて、再生対象となる音声信号が高品位モードの音声であれば、高品位用再生系41のD/A変換器42bからの音声信号をR側音声信号として出力し、D/A変換器43bからの音声信号をL側音声信号として選択出力し、標準モードの音声であれば、標準用再生系44のD/A変換器45bから出力される音声信号をR及びL側音声信号として選択出力する。また、低品位モードの音声であれば、低品位用再生系46のD/A変換器47bから出力される音声信号をR及びL側音声信号として選択出力する。
【0030】選択回路42の後段にはR側及びL側スピーカ31a、31bが配置され、R側音声信号はR側スピーカ31aに出力され、L側音声信号はL側スピーカ31bに出力される。
【0031】以上のように構成されるディジタルカメラの各部の動作を記録時と再生時に分けて以下に説明する。まず、カメラの電源釦(図示省略)をONし、更にR/P選択スイッチ15の手動操作により記録モードが選択された状態でカメラを作動状態にすると、シスコン18はスルー画表示を各部に指示する。この際、使用者は手動により記録モード選択スイッチ16を操作して静止画記録モードか動画記録モードかを択一的に選択する。ここでは、まず静止画記録モードを選択した場合を説明する。
【0032】この静止画記録モードが選択されると、レリーズボタン17がON押圧されるまでは、シスコン18は各部にスルー画表示を指示し、CCDイメージャ1より出力される撮像信号はCDS/AGC回路2、A/D変換器3を介してディジタル信号処理回路50にて信号処理され、作成された1フレーム分の画像データが画像データ格納エリア5aに格納され、これ以後、順次得られる画像データにより画像データ格納エリア5aのデータは更新され、同時にこの画像データ格納エリア5a内のデータはビデオエンコーダ6を経由してモニタ9に表示されるので、モニタ9にはCCDイメージャ1が撮影した動画像が映出される。
【0033】スルー画表示が指示された状態では、CPU12から画像圧縮伸長回路11には圧縮指令は発せられず、画像圧縮伸長回路11は何ら動作を実行しないので、動画像はモニタ9に表示されるだけで、圧縮されてディスク14に記録されることはない。
【0034】この状態で、レリーズボタン17が押圧されると、シスコン12は静止画記録モードによる記録の指示を各部に発し、CCDイメージャ1からのVGAの解像度を有する撮像データを画像データに変換してSDRAM5の画像データ格納エリア5aに格納し、1画面、即ち1フレーム分の画像データの格納が完了すると、画像データ格納完了信号がメモリ制御回路22からCPU12に入力されて、CPU12はメモリ制御回路22に画像データの読み出しを指示すると共に画像圧縮伸長回路11に圧縮指令を発する。また、メモリ制御回路22は信号処理回路4から新たに得られる画像データのSDRAM5への入力を阻止する。
【0035】そして、圧縮指令を受けて画像圧縮伸長回路11は、画像データ格納エリア5aに格納されている画像データを画像圧縮し、CPU12からメモリ制御回路22へは、得られた圧縮画像データをSDRAM5の圧縮データ格納エリア5bに格納するように書き込みを指示する。こうして、1フレーム分の圧縮画像データのSDRAM5への格納が完了すると、CPU12は圧縮データを取り込んで、管理情報を有するヘッダ部を付加して、静止画ファイル即ちJPEGファイルとしてディスク14への書き込みを実行する。ここで、管理情報には、ファイルサイズや解像度といったデータが含まれており、解像度についてはVGAであることを示すデータが付与される。
【0036】こうして1フレーム分の記録が全て完了すると、シスコン18は再びスルー画表示を指示し、メモリ制御回路22は信号処理回路4からの新たな画像データの格納を許容し、画像圧縮伸長回路11は非作動状態となる。尚、静止画記録モードにおいて、画像データ格納エリア5aの画像データの更新が圧縮及び書き込みの間に阻止されるので、モニタ9には画像データ格納エリア5aでの画像データがフリーズ画として映出される。
【0037】このようにして、ディスク14にはレリーズボタン17の押圧直後に得られる1フレーム分のVGAの圧縮画像データが静止画ファイルとして格納されたことになる。
【0038】一方、音声記録処理回路25では、レリーズボタン17の押圧に伴ってモノラルマイク26で集音された所定時間分の音声信号が音声データに変換されて所定量ずつ格納エリア5cに格納され、画像圧縮データのディスク14への記録が完了すると、直ちにこの圧縮画像データに関連する音声データであるインデックス情報を付加してディスク14に記録される。
【0039】次に、記録モード選択スイッチ15bにより動画記録モードが選択されている場合を説明する。レリーズボタン17の押圧によりディジタル信号処理回路4から画像データが格納エリア5aに格納され、1フレーム分の画像データの格納が完了すると、この1フレーム分の画像データが画像圧縮伸長回路11にて画像圧縮され、圧縮画像データを圧縮データ格納エリア5bに格納し、これ以降、同様の処理を実行して、格納エリア5bには1秒間に15フレーム分の圧縮画像データを蓄積し、これと並行して格納エリア5cには音声データが順次格納される。
【0040】こうして1秒間の圧縮画像データ及び音声データがSDRAM5に格納されると、これらの圧縮画像データ及び音声データはCPU12に読み出され、ここで管理情報を含むヘッダ部を付加して記録用ディスク14にMOTION-JPEG規格に沿った動画ファイル(例えば、AVIファイルやQUIC K TIMEファイル)として記録される。ここで、管理情報には、解像度及びフレームレート、更には音声品位に関する情報が含まれている。
【0041】ここで、レリーズボタン17の押圧が継続されている限りは、同様の処理が継続され、ディスク14には、順次圧縮画像データ及び音声データが同一ファイル中に連続的に記録されることになる。
【0042】次にディスクに格納された画像及び音声ファイルの再生について説明するが、ディスクはカメラに対して着脱自在であるので、まず、本カメラで記録を実行したディスクをそのまま装着して再生する場合を説明する。まず、使用者がR/P選択スイッチ15aを操作して再生モードを選択し、ディスクに記録されている静止画ファイルの再生を指示すると、シスコン18からの制御信号に応答して、CPU12は再生を所望するJPEGファイル中のヘッダ部の所定位置に記録されている管理情報を読み出して互換モードがどのように選択されているか、即ち、解像度モード及び音声品位を認識する。
【0043】ここで、ディスク14は記録時から取り外されておらず、本カメラにより撮影された静止画データが格納されているので、解像度モードは必ずVGAであり、音声品位も必ず低品位モードである。
【0044】この認識が完了すると、該当する静止画ファイルの1フレーム分の圧縮画像データが記録用ディスクより読み出されてSDRAM5の圧縮データ格納エリア5bに読み出され、この読み出しが完了すると、この圧縮データが画像圧縮伸長回路11に入力されて、圧縮処理とは全く逆の処理にて画像伸長が実行され、伸長により得られた1フレーム分の画像データはSDRAM5の画像データ格納エリア5aに展開され、この画像データがビデオエンコーダ6を経由してモニタ9に表示される。
【0045】ここで、ビデオエンコーダ6では、格納エリア5a内の画像データをCPU12が認識している解像度モード、即ちVGAに適合した画像としてモニタに映出されるようにエンコードが為される。尚、この再生モードでは、CCDイメージャ1からディジタル信号処理回路50までの各部は非作動状態となる。
【0046】また、静止画再生に連動して再生を行う静止画ファイルに該当する音声ファイルのデータが格納エリア5cに読み出され、所定量づつ音声再生処理回路30に供給される。ここで、CPU12では、低品位モードを認識しているので、CPU12は選択回路48に対して低品位モードに適した出力選択を指示し、R側及びL側音声信号としてD/A変換器47bから出力される同一の音声信号が出力され、両スピーカー31a、31bからは低品位のモノラル音声が出力されることになる。
【0047】また、動画ファイルの再生を実行する際には、ヘッダ部より管理情報をCPU12がまず読み出して、互換モードとして規定される解像度、フレームレート及び音声品位を認識する。ここで、ディスク14の記録時からの交換が為されていないので、解像度はVGA,フレームレートは15fps、音声品位は低品位である。
【0048】次いで、動画ファイル中の圧縮画像データを格納エリア5bに読み出し、更に音声データを格納エリア5cに読み出す。格納エリア5bに読み出された圧縮画像データは1フレームづつ画像圧縮伸長回路11にて画像伸長されて画像データに戻され、解像度モードに適応した画像で格納エリア5aに展開される。ここで、フレームレートに応じて、格納エリア5bに格納されている1フレーム分の圧縮画像データの伸長動作に伴う格納エリア5aの画像データの更新は、1/15秒毎に実行するように、CPU12はメモリ制御回路22に画像圧縮伸長回路11へのSDRAM5の圧縮画像データの読み出しを制御させる。
【0049】この動画再生時には動画ファイル中の音声データも順次格納エリア5cに読み出され、静止画再生時と同様に低品位再生系46を用いて順次実行される。
【0050】次に、ディスク14をカメラ本体より取り外して、互換モードとしてはいずれも上位のレベルの別のカメラに装着して、解像度をSXGA、フレームレートを30fps、音声品位を高品位として撮影された静止画や動画を記録し、このディスクを再び本カメラに戻して、本カメラで再生を行なう場合を説明する。
【0051】まず、別のカメラで記録されたSXGAの静止画ファイルの再生を指定すると、CPU12は再生を所望するJPEGファイル中のヘッダ部の所定位置に記録されている管理情報を読み出して、互換モードがどのように選択されているか、即ち、解像度がXGAで音声品位が高品位であることを認識する。
【0052】この認識が完了すると、該当する静止画ファイルの1フレーム分の圧縮画像データがディスク14より読み出されてSDRAM5の圧縮データ格納エリア5bに格納され、この読み出しが完了すると、この圧縮データが画像圧縮伸長回路11に入力されて画像伸長が実行され、伸長により得られた画像データはSDRAM5の画像データ格納エリア5aに展開され、この画像データがビデオエンコーダ6を経由してモニタ9に表示される。
【0053】ここで、ビデオエンコーダ6では、格納エリア5a内の画像データをCPU12が認識している解像度、即ちSXGAに適合した画像としてモニタに表示されるようエンコードを実行する。
【0054】また、静止画再生に連動して再生を行う静止画ファイルに該当する音声ファイルのデータが格納エリア5cに読み出され、所定量づつ音声再生処理回路30に供給される。ここで、CPU12では高品位モードを認識しているので、CPU12は選択回路48に対して高品位モードに適した出力選択を指示し、R側音声信号としてD/A変換器42bから出力される音声信号が出力され、L側音声信号としてはD/A変換器43bから出力される音声信号が出力され、両スピーカーからは高品位モードに適応するステレオ音声が出力されることになる。
【0055】別のカメラで記録された動画ファイルの再生を実行する際には、ヘッダ部より管理情報をCPU12がまず読み出して、互換モードの解像度、フレームレート及び音声品位を認識する。解像度、フレームレート及び音声品位がいずれも最高レベルであるSVGA、30fps、高品位であることが認識されると、CPU12はメモリ制御回路22に対して30fpsの動画が可能となるように読み出し・書込み制御を実行する。
【0056】互換モードの認識が完了すると、ディスク14に格納された動画ファイルの中の複数フレーム分の圧縮画像データが格納エリア5bに転送され、これらの複数フレームに対応する音声データが格納エリア5cに転送される。これらの転送が完了すると、格納エリア5bに転送された圧縮画像データが画像圧縮伸長回路11に読み出されて伸長され、元の画像データに戻されて格納エリア5aに格納される。ここで、メモリ制御回路22はフレームレートを30fpsに適したメモリ制御を為し、1フレーム分の圧縮画像データの画像圧縮伸長回路11への読み出しは1/30秒に1回となるように読み出しを行い、これに伴って格納エリア5aに格納される1フレーム分の画像データの更新は1/30秒毎に実行される。こうして格納エリア5aに展開された画像データはビデオエンコーダ6を介して表示され、上述の動作を繰返すことによりXVGAの30fpsの動画として表示されることになる。動画時の音声についても、静止画再生時と同様に高品位の音声として再生が為される。
【0057】以上のように、本カメラでは、記録系を構成するCCDイメージャ1やマイク、信号処理回路に低品位なものを採用して、互換モードとしていずれも最低レベルでしか対応できなくとも、再生系では全ての互換モードを満足できるように構成することにより、互換性を有する別のカメラで画像若しくは音声を記録したディスクを再生する際に、例えば最高レベルの互換モードの画像または音声を再生することが可能になる。
【0058】前記実施例では、互換モードとして解像度、フレームレート及び音声品位に限って説明したが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、同様に静止画ファイルや動画ファイルもJPEGファイルや動画ファイルに限定されるものではない。
【0059】また、前記実施例では、解像度、フレームレートおよび音声品位の各々の互換モードを説明したが、これに限定されるものではなく、静止画ファイルの圧縮方式としてJPEG規格に沿った画像圧縮モードと全く圧縮を行なわない非圧縮モードの2種類を互換モードに規定する等の対応も可能である。
【0060】また、前記実施例では、本カメラ装置の互換モードをいずれも最低レベルのものに設定したが、これに限定されるものではなく、最低、中位、最高レベルの内の1種類または2種類の記録が可能になればよい。例えば、解像度においてVGAモードに加えてXGAモードの撮影が可能な画素数のCCDイメージャを採用して、最低および中位の2種類の解像度での記録を可能にしたり、音声品位として低品位と高品位の2種類の記録に適応させ、標準用の処理系を省くようにすることも可能である。
【0061】また、前記実施例では、記録媒体としてディスクを例に挙げて説明したが、カメラ本体に着脱自在なものであれば、メモリカード等の記録媒体であってもよいことは言うまでもない。
【0062】更に、前記実施例では、音声再生時の処理系を品位に応じて複数用意しているが、その都度処理のパラメータを変更することで1つの処理系でも対応可能である。
【0063】また、図1のブロック図で、バス7を介してのデータ転送には、通常はDMAで実行される。
【0064】また、モニタ9での画像データの表示は、カメラの電源ONと同時に必ず実行されるように説明したが、モニタON/OFFスイッチを配して、使用者の選択により実行するように構成してもよいことは言うまでもない。
【0065】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、記録系において互換モードの少なくとも1つを満足させ、再生系に関しては互換モードのいずれにも対応できるように構成しているので、互換性を維持するカメラ間で画像及び音声データをやりとりする場合に、一方のカメラで撮影された画像および音声は必ず他方のカメラで再生でき、逆の場合も必ず可能となる。つまり、記録系の画像や音声の取り込み手段として互換モードの全てを満足するための処理手段は不要となり、互換モードの少なくとも1つに適応できるように処理を簡略化しながらも、必要最小限の互換性を複数のカメラ間で維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のディジタルカメラのブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の記録系の要部ブロック図である。
【図3】本発明の一実施例の再生系の要部ブロック図である。
【図4】本発明の一実施例の互換モードの説明図である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-12-22 
出願番号 特願平11-52744
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 明  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 高瀬 勤
新宮佳典
登録日 2003-02-14 
登録番号 特許第3398081号(P3398081)
権利者 三洋電機株式会社
発明の名称 動画像記録装置  
代理人 芝野 正雅  
代理人 芝野 正雅  

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