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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B28C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B28C
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B28C
審判 全部申し立て 2項進歩性  B28C
管理番号 1114601
異議申立番号 異議2003-70942  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-04-15 
確定日 2005-01-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3333443号「積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3333443号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第3333443号は、平成9年12月12日に特許出願され、平成14年7月26日に特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人雨山範子(以下「申立人A」という)及び吉田浩史(以下「申立人B」という)より、特許異議の申立てがなされ、取消通知がなされ、その指定期間内の平成16年8月2日付けで訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否

2-1.訂正の内容

本件訂正の内容は、本件特許明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、即ち、下記訂正事項に訂正しようとするものである。

訂正事項(a)
【特許請求の範囲】の【請求項1】を削除し、【請求項2】を【請求項1】に、【請求項3】を【請求項2】に繰り上げる訂正をする。
訂正事項(b)
段落【0030】の
「ボールミル分散機に入れられるメデイアは、0.3mm径のジルコニアビーズである。」
を、
「ボールミル分散機に入れられるメデイアは、3mm径のジルコニアビーズである。」
と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否

上記訂正事項(a)は、【請求項1】を削除し、【請求項2】を【請求項1】に、【請求項3】を【請求項2】に繰り上げるものであるから、上記訂正事項(a)は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
また、上記訂正事項(b)は、(第2の実施の形態)で使用するボールミル分散機のメディア径「0.3mm」が「3mm」の誤記であるから、これを訂正しようとするものであり、その根拠は、(第1の実施の形態)の比較例2(【0028】【表1】)と(第2の実施の形態)の比較例2(【0040】【表2】)を対比すると明らかなように、メディア径を除くと、実験条件と実験結果が同一であるところから、両者は一つの実験について記載したものと解される。したがって、上記訂正は、誤記の訂正に該当する。
そして、上記訂正事項(a)及び(b)は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

2-3.まとめ

以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、上記訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断

3-1.本件の請求項に係る発明

本件の請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1、2」という。)は、上記2.で示したように、上記訂正が認められるから、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(上記2-1.の訂正事項参照)
【請求項1】 セラミック材料粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法において、前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合にスラリー作成工程を終了させることにより、セラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御することを特徴とする積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法。
【請求項2】 セラミック材料粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法において、前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が、それ以前の所定時刻における変化率より大きくなった場合にスラリー作成工程を終了させることにより、セラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御することを特徴とする積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法。

3-2.特許異議の申立ての理由の概要

(a)申立人Aは、証拠として甲第1〜2号証を提示し、下記の理由により、訂正前の本件請求項1〜3に係る特許を取り消すべきと主張している。
【理由】訂正前の本件請求項1〜3に係る発明は、下記の刊行物1〜2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の本件請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

刊行物1:特開平4-263902号公報(甲第1号証)
刊行物2:「材料」第35巻、第388号、第54〜58頁、社団法人 日 本材料学会、昭和61年1月15日発行(甲第2号証)

(b)申立人Bは、証拠として甲第1〜6号証を提示し、下記の理由により、訂正前の本件請求項1〜3に係る特許を取り消すべきと主張している。
【理由】訂正前の本件請求項1〜3に係る発明は、下記の刊行物3〜8に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の本件請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものであり、また、同法第36条第4項若しくは第6項の規定に違反してなされたものである。

刊行物3:特開昭61-100412号公報(甲第1号証)
刊行物4:特開平7-315940号公報(甲第2号証)
刊行物5:特開平3-33046号公報(甲第3号証)
刊行物6:「第4版セラミック誘電体工学」株式会社学献社、1992年6 月1日発行、第57〜58頁(甲第4号証)
刊行物7:特開昭60-151006号公報(甲第5号証)
刊行物8:「第4版セラミック誘電体工学」株式会社学献社、1992年6 月1日発行、第78頁(甲第6号証)

3-3.刊行物の記載

3-3-1.刊行物1には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】 セラミック粉末と、バインダーと、有機溶剤と、分散剤とを混合し、ビーズ撹拌型の分散機にて分散してスラリーを得、得られたスラリーを用いてセラミックグリーンシートを成形する各工程を備えることを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。」(特許請求の範囲)
(イ)「本発明では、上記のようにして得られたスラリーを用いてセラミックグリーンシートが成形される。セラミックグリーンシートの成形は、ドクターブレード法等の従来から公知の成形方法によりおこなわれる。」(【007】)
(ウ)「【発明の効果】本発明によれば、セラミック粉末、バインダー及び有機溶剤に加えて分散剤を含有させた材料を用い、かつビーズ攪拌型の分散機で分散するため、セラミック粉末及びバインダーが均一に分散されたセラミックスラリーが得られる。従って、薄いセラミックグリーンシートを作製した場合においても、セラミック粉末が緻密にかつ均一に分散されたシート体を得ることができ、複数枚の薄いセラミックグリーンシートを積層し、焼成することにより、マイクロポア等の生じ難い焼結体を得ることができる。」(【0013】)

3-3-2.刊行物2は、「回転ボールミルによるBaTiO3のサブミクロン粉砕」について記載したものであり、Fig5(第56頁)には、異なるボール径を有するボールを用いて、BaTiO3を粉砕したときの、粉砕時間に対する比表面積の単純増加の関係が図示されている。

3-3-3.刊行物3には、以下の事項が記載されている。
(ア)「超音波発振器によって振動せしめられる振動子が設けられたセラミック調製用ボールミルに原料粉末と媒体ボールと分散媒体とを投入し、ボールミルの回転と振動子の振動とを併用して原料粉末を混合することを特徴とするセラミック粉末の混合方法。」(特許請求の範囲)
(イ)「この発明は・・・粉末の粒径、表面性状等を変えることなく、原料粉末を効率的にほぐし、凝集のない原料粉末を得ることができるセラミック粉末の混合方法を提供することを目的とするものである。」(第2頁右上欄第13〜17行)
(ウ)「この発明では、第1図に示すセラミック調製用ボールミルのボールミル本体2に原料粉末たるセラミック粉末および必要な分散媒体と、媒体ボールとを投入する。媒体ボールとしては前述した様に有機ボール3の他に、金属ボールの表面を有機系材料でコーティングしたもの等を用いることができる。その様に有機ボール等を用いることによって、混合過程におけるセラミック粉末粒径の変化、表面性状の変化を抑制することができる。」(第2頁右下欄第2〜11行)

3-3-4.刊行物4には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】セラミック粉体を含むセラミックグリーンシートの成形材料を密閉容器内に攪拌部を有する混練機の混練槽に投入して混合を行う混合工程と、・・・溶媒を添加し混練物の粘度が・・・以上の状態で混練を一定時間続ける混練工程と、溶媒を・・・連続的に添加し粘度が・・・以下になるまで希釈を行う希釈工程を有する・・・セラミックグリーンシートの製造方法。」(特許請求の範囲)
(イ)「電子部品の高性能化、小型化に伴いセラミックグリーンシートの原材料粉体の微粒子化が進んでいるために、粉体を凝集塊のない高分散化したスラリーの作製が困難となってきている。」(【0005】の第1〜4行)
(ウ)「本発明は上記従来の欠点を除去し、短時間で高密度で表面性の優れたセラミックグリーンシートの製造方法を提供することを目的とするものである。」(【0006】)

3-3-5.刊行物5には、以下の事項が記載されている。
「本発明の目的は、分散性が良好な微粉体で、高密度の成形体が得られ、焼結性に優れ、しかも低温で高密度に焼成できる微粉体を提供することにある。」(第2頁右上欄第7〜10行)

3-3-6.刊行物6には、以下の事項が記載されている。
「ポットの中には調合原料と玉石と水とを適当量入れ、これを回転することにより粉砕と混合を行なうのであるが、粉砕効率は回転数、ボールの大きさ、量、原料の装てん量などによって変わってくる。」(第57頁下から2行〜第58頁第2行)

3-3-7.刊行物7には、以下の事項が記載されている。
「酸化アルミニウムボールでは時間とともに粉砕が進み、比表面積が増加して樹脂との接触面積が増えたためと解される。」(第3頁右上欄第8〜10行)

3-3-8.刊行物8には、以下の事項が記載されている。
「デスクミルにかける時間が長くなるほど平均粒径が小さくなる傾向がでている。」(第78頁第6〜7行)

3-4.当審における判断

3-4-1.特許法第29条第2項について

3-4-1-1.本件発明1について

刊行物1の(ア)、(ウ)の記載によれば、刊行物1には「セラミック粉末と、バインダーと、有機溶剤と、分散剤とを混合し、ビーズ撹拌型の分散機にて分散してセラミック粉末が均一に分散されたセラミックスラリーを得、得られたスラリーを用いてセラミックグリーンシートを成形する各工程を備えることを特徴とするセラミック電子部品の製造方法」(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されている。
そこで、本件発明1と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1の「ビーズ攪拌型の分散機にて分散する」は、本件発明1の「メディアを加えて攪拌混合する」に対応し、刊行物1の「セラミック粉末が均一に分散されたセラミックスラリーを得」は、セラミック粉末が凝集した2次粒子を含有すると均一分散とは言えないので、1次粒子に分離されていると解するのが相当であり、本件発明1の「セラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する」に対応し、刊行物1の(イ)に記載の「セラミックグリーンシートの作製はドクターブレード法等の従来から公知の成形方法により行われる」は、本件発明1の「このスラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造」に対応するので、
両者は「セラミック材料粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法」である点で一致し、
本件発明1では、スラリー作成時にセラミック材料粉に加えるエネルギー量の制御として、「時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合にスラリー作成工程を終了させる」のに対し、刊行物1発明ではこの点については何も記載されておらず示唆もされていない点で相違している。

相違点について検討する。

上記の相違点「時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合にスラリー作成工程を終了させる」については、刊行物2〜8のいずれにも記載されておらず示唆もされていない。
そして、本件発明1は、「セラミック材料粉の一次粒子が破壊されるときのセラミック材料粉の比表面積の変化は、セラミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離したときの比表面積の変化より大きい」ことに着目し(【0012】)、「セラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合に分散工程を終了させることにより、セラミック材料粉の二次粒子のほとんどが一次粒子となり、しかも一次粒子のほとんどが破壊されていない状態のスラリーを作成する」こと(【0013】)に成功し、「このスラリーから、セラミック材料粉の分散が良好なセラミックグリーンシートを確実に製造することができる」(【0048】)ようになったものである。

したがって、本件発明1は、上記刊行物1〜8に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

3-4-1-2.本件発明2について

本件発明2は、本件発明1において、スラリー作成工程の終了時点を「時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合」の代わりに、「時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が、それ以前の所定時刻における変化率より大きくなった場合」とした点を除くと、発明の構成は本件発明1と同じであり、同様の効果がある。
そして、この変化率によりセラミック材料粉の分散を制御してスラリーを作成することについては、上記3-4-1-1.にみたように、刊行物1〜8には記載されておらず示唆もされていない。
したがって、本件発明2も、上記刊行物1〜8に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

3-4-2.特許法第36条第4項及び第6項について

申立人Bは、第1実施形態の実施例1と、第2実施形態の比較例2が異なる特性を示すことについて、明細書の記載不備を指摘しているが、上記2-2.訂正事項(b)でメディア径が訂正されたことにより、両者の前提条件が相違することとなったため、明細書の記載不備は解消した。

4.まとめ

以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 セラミック材料粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法において、
前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合にスラリー作成工程を終了させることにより、セラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御する
ことを特徴とする積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法。
【請求項2】 セラミック材料粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法において、
前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が、それ以前の所定時刻における変化率より大きくなった場合にスラリー作成工程を終了させることにより、セラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御する
ことを特徴とする積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層コンデンサ等の積層電子部品に用いられるセラミックグリーンシートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のセラミックグリーンシートの製造方法は、まず原料となるセラミック材料粉にバインダや溶剤を加えて、数時間ボールミル等でメディアと共に撹拌混合することにより適度な粘度をもったスラリーを作成する。この工程では、高比重のメディアを用いて所定時間撹拌混合することにより、セラミック材料粉が溶媒に均一に分散混合される。ここで、原料となるセラミック材料粉は、複数種の材料粉からなることもある。例えば、BaTiO3が90wt%でSiO2が10wt%というものである。この後に、スラリー中に残存するセラミック材料粉の乾燥凝集体やその他異物を取り除くため、このスラリーを所定径のフィルターによりろ過する。尚、ここでセラミック材料粉の乾燥凝集体とは、セラミック材料粉の製造過程において仮焼成によりセラミック材料粉が凝集してできた凝集体をいう。
【0003】
この後に、例えばドクターブレード法によりスラリーからセラミックグリーンシートを形成する。このドクターブレード法では、ベースフィルム上にスラリーを流し、その厚みをドクターブレードとの隙間で調整する。この後に、これを乾燥させて所定の厚みのセラミックグリーンシートを得る。
【0004】
積層電子部品、例えば積層コンデンサは、このセラミックグリーンシートを用いて以下のように製造されている。まず、セラミックグリーンシートに所定のパターンで内部電極を印刷したものを複数枚用意する。次に、これらセラミックグリーンシートを必要枚数だけ積層し、圧着してシート積層物を作成する。この後に、シート積層物を単位部品の大きさに裁断し、これを焼成して積層体を得る。最後に、この積層体に導電性ペーストを塗布し焼成して外部電極を形成する。ここで、セラミックグリーンシート一枚の厚みは約十〜数十μmであり、これに印刷される内部電極の厚みは数μmである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、部品の小型化やコンデンサの大容量化等の点から積層枚数を増加させたいという要望が強くなっている。このため、セラミックグリーンシートの薄膜化が課題としてあった。
【0006】
しかし、セラミックグリーンシートの膜厚が薄くなるほど、セラミック材料粉のムラが生じやすく、この分散ムラにより積層電子部品の各種特性にもバラツキが生じやすくなる。従って、これを防止するために、セラミック材料粉が均一に分散されるようにスラリーを十分に撹拌混合する必要がある。一方、スラリーの撹拌混合時間を長くすると、即ち分散時間を長くすると、セラミック材料粉の一次粒子が破壊される。この一次粒子に破壊が生じたスラリーを用いて作成したセラミックグリーンシートは、シート密度が大きくなりすぎてしまう。また、この破壊によりセラミックグリーンシートの特性が変化してまう場合もある。尚、ここで、一次粒子とはセラミック材料粉の乾燥凝集体(二次粒子)が分散工程により分離したものである。
【0007】
従って、セラミックグリーンシートを適切なシート密度に形成するために、スラリーの作成工程におけるセラミック材料粉の分散状態が重要である。しかしながら、従来は、所定の高比重メディアを用いて所定時間の撹拌混合処理を行っていたため、適切な分散状態にするための制御が困難であった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、セラミック材料粉の分散が良好な積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、セラミック材料粉と分散媒との混合液にエネルギーを加えることによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法において、前記スラリー作成工程では、セラミック材料粉に加えるエネルギー量をセラミック材料粉の一次粒子の破壊が生じるエネルギー量以下となるように、セラミック材料粉の一次粒子の粒径に対して500倍以上4000倍以下の粒径のメディアを前記混合液に混合させて撹拌混合を行うことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、スラリー作成工程において、セラミック材料粉に加えるエネルギーによりセラミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離されるが、さらに一次粒子が破壊されることはない。従って、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。ここで、セラミック材料粉に加えるエネルギーは、メディアの持つエネルギーである。つまり、メディアの持つエネルギーによりセラミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離される。また、このメディアとしてはセラミック材料粉の一次粒子の粒径に対して500倍以上4000倍以下の粒径のものを用いる。この範囲内でメディアの粒径を適宜変更することで、セラミック材料粉に加えるエネルギーを制御し、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。
【0011】
また、請求項2の発明は、セラミック材料粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法において、前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合にスラリー作成工程を終了させることにより、セラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御することを特徴とする。
【0012】
ところで、セラミック材料粉の一次粒子が破壊されたときのセラミック材料粉の比表面積の変化は、セラミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離したときの比表面積の変化よりも大きい。また、セラミック材料粉の分散工程では、セラミック材料粉は、まず二次粒子となっているものが一次粒子に分離し、その後に一次粒子が破壊される。
【0013】
従って、本発明によれば、この比表面積の変化率に基づきセラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御することにより、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。具体的には、セラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合に分散工程を終了させることにより、セラミック材料粉の二次粒子のほとんどが一次粒子となり、しかも一次粒子のほとんどが破壊されていない状態のスラリーを作成することができる。
【0014】
さらに、請求項3の発明は、セラミック材料粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法において、前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミック材料粉の比表面積の変化率が、それ以前の所定時刻における変化率より大きくなった場合にスラリー作成工程を終了させることにより、セラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記請求項2の発明と同様に、この比表面積の変化率に基づきセラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御することにより、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。具体的には、本発明では、セラミック材料粉の一次粒子が破壊されはじめると、セラミック材料粉の比表面積が、二次粒子が一次粒子に分離する過程における比表面積よりも大きくなる。従って、このような場合にスラリー作成工程を終了させることにより、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。即ち、セラミック材料粉の二次粒子のほとんどが一次粒子となり、しかも一次粒子のほとんどが破壊されていない状態のスラリーを作成することができる。
【0016】
【0017】
【0018】
尚、ここで一次粒子とは、多くの粒子が存在する状態(粉体)の中で、個々の粒子が他の粒子と凝集していないで、単独に存在している粒子の状態をいう。また、二次粒子とは、一次粒子が他の一次粒子と結合・凝集して、見掛け上さらに大きな粒子になっている粒子の状態をいう。本発明において、二次粒子としては、例えばセラミック材料粉の仮焼成時に生じる乾燥凝集体等がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態にかかるセラミックグリーンシートの製造方法について図1を参照して説明する。図1は、セラミックグリーンシートの製造工程を説明するフローチャートである。
【0020】
まず、セラミック材料粉とバインダと溶媒及びメディアをボールミル分散機に入れて所定時間撹拌混合を行う(ステップSa1)。メディアの持つエネルギーによりセラミック材料粉をスラリー中に十分に分散させるためである。この分散工程において、セラミック材料粉の乾燥凝集体が一次粒子に分離される。ここで所定時間としては、例えば約24時間である。
【0021】
セラミック材料粉とバインダと溶媒は、それぞれ100:15:100の割合で混合する。また、セラミック材料粉としては、例えば、BaTiO3が90wt%、SiO2が10wt%のセラミック粉体が用いられる。このセラミック粉体は、一次粒子の粒径は約0.5μmである。バインダとしては、例えばポリビニルブチラールが用いられる。溶媒としては、例えば、エタノールが用いられる。
【0022】
本発明が特徴とする点は、このスラリー作成工程の分散時に用いるメディアとして適切なものを選択することにより、良好な分散状態のスラリーを作成することである。本実施の形態では、メディアとしてはビーズ状のZrO2(以下「ジルコニアビーズ」という。)を用い、その粒径を、セラミック材料粉の一次粒子の粒径の500倍以上4000倍以下の範囲内で選択することとした。本実施の形態では、セラミック材料粉の一次粒子の粒径として0.5μmのものを用いたので、ジルコニアビーズの粒径は0.25mm〜2.0mmの範囲内で選択する。また、このジルコニアビーズをスラリー全体に対して約200wt%の割合でボールミル分散機に入れた。
【0023】
このようにして作成されたスラリーを、所定径のフィルターによりろ過してスラリー中に残存するセラミック材料粉の乾燥凝集体や混入した異物等を取り除く(ステップSa2)。本実施の形態では、このフィルターとして、3μm径のものを用いた。
【0024】
最後に、このスラリーをドクターブレード法によりシート状のセラミックグリーンシートに作成する(ステップSa3)。このドクターブレード法では、ベースフィルム上にスラリーを流し、その厚みをドクターブレードとの隙間で調整する。この後に、これを乾燥させて所定の厚みのセラミックグリーンシートを得る。ここでは、シート厚を約6μmとした。
【0025】
このようなセラミックグリーンシートの製造方法の評価として、表1に示すようなデータを得た。
【0026】
表1は、実施例1〜4として、ジルコニアビーズの粒子径を前記範囲内で変化させたものを測定した。即ち、実施例1では0.3mm径、実施例2では0.8mm径、実施例3では1.5mm径、実施例4では2.0mm径のジルコニアビーズを用いた。また、比較例としてジルコニアビーズの粒子径を前記範囲外としたものを測定した。即ち、比較例1では0.1mm径、比較例2では3.0mm径のものを用いた。
【0027】
また、表中のフィルター通過性とは、スラリー作成後にフィルターによりろ過する工程において、フィルターに目詰まりが生じるか否かを示すものである。一般的に、スラリー中にセラミック材料粉の乾燥凝集体が多量に残存する場合に目詰まりが生じる。また、耐湿負荷試験NG発生率とは、このセラミックグリーンシートを用いて積層電子部品を製造し、この積層電子部品に対して耐湿負荷試験を行った場合に、NGが発生する発生率である。ここで、耐湿負荷試験は、「JIS C 5102」の試験方法により行った。具体的には、電圧20V、温度40℃、湿度95%、時間500hのもとで試験した。また、ここで積層電子部品としては、その一例である積層コンデンサを製造し、その内部電極の膜厚は1.2μmとした。
【0028】
【表1】

この表が示すように、本実施の形態のセラミックグリーンシートの製造方法により製造された積層電子部品は、耐湿負荷試験NG発生率が低いものとなっている。即ち、スラリー作成工程において使用するメディアを、セラミック材料粉の一次粒子粒径の500倍以上4000倍以下とすることで、セラミックグリーンシートの分散状態及びシート密度を制御することができた。これにより、分散状態の良好なスラリーを製造することができるので、セラミック材料粉の分散が良好なセラミックグリーンシートを製造できる。従って、このセラミックグリーンシートから製造される各種製品の特性及び信頼性を向上させ、かつ、安定化させることができ、製造歩留まりも向上する。
【0029】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態にかかるセラミックグリーンシートの製造方法について、図2及び図3を参照して説明する。図2は本実施の形態にかかるセラミックグリーンシートの製造工程を説明するフローチャート、図3はスラリー作成工程におけるセラミック材料粉の比表面積の変化を示すグラフである。
【0030】
スラリーを作成するには、まず、セラミック材料粉とバインダと溶媒及びメディアをボールミル分散機に入れて撹拌混合を開始する(ステップSb1)。ここでは、セラミック材料粉等の各種材料は第1の実施の形態と同様である。また、ボールミル分散機に入れられるメディアは、3mm径のジルコニアビーズである。
【0031】
次に、スラリー中から試料を抜き出しスラリーの比表面積を測定する(ステップSb2)。
【0032】
次に、前回測定時から所定時間Tだけ経過するまで前記撹拌混合を行い、所定時間Tが経過した際に、再びスラリー中から試料を抜き出しスラリーの比表面積Sを測定する(ステップSb3,ステップSb4)。ここで、前回測定時からの所定時間Tとしては、例えば1時間である。
【0033】
次に、前回測定時と今回測定時の比表面積Sの差Sdから求められる所定時間Tに対する比表面積の差Sdの変化率R(=Sd/T)を算出する(ステップSb5)。そして、この変化率Rが所定値Rcを超えたかどうかを評価し、その結果、比表面積の変化率Rが所定値Rcを超えていない場合には、撹拌混合作業を継続するために処理を再びステップSb3に移す。比表面積の変化率Rが所定値Rcを超えた場合には、撹拌混合作業を終了させてスラリーが完成される(ステップSb6,ステップSb7)。
【0034】
この後に、第1の実施の形態と同様に、所定径のフィルターによりスラリーをろ過し(ステップSb8)、最後に、ろ過後のスラリーからドクターブレード法を用いてセラミックグリーンシートを形成する(ステップSb9)。
【0035】
このスラリー作成工程における時間に対するセラミック材料粉の比表面積Sの変化は、図3のグラフに示すようになっている。即ち、撹拌混合を開始してセラミック材料粉の分散が開始されると、まず、セラミック材料粉の乾燥凝集体が一次粒子に分離されはじめる。この時には、変化率Raで比表面積Sが増加する。やがて、スラリー中の乾燥凝集体のほとんどが一次粒子に分離すると、一次粒子の破壊が始まる。一次粒子の破壊が始まると、比表面積Sは変化率Raよりも大きい変化率Rbで増加するようになる。従って、前記所定値RcをRa<R<Rbとなるように予め設定しておけばよい。
【0036】
以上のステップS21〜S25により、スラリーが作成される。ここで、このスラリー中には、セラミック材料粉の乾燥凝集体はほとんど含まれず、しかも乾燥凝集体が分離した一次粒子は破壊されていない。即ち、セラミック材料粉の分散状態が良好なものとなっている。
【0037】
このセラミックグリーンシートの製造方法によれば、作成されたスラリーにはセラミック材料粉の乾燥凝集体がほとんど含まれず、しかも乾燥凝集体が分離した一次粒子はほとんど破壊されていない。従って、このスラリーを用いてセラミックグリーンシートを作成すると、セラミック材料粉の分散が良好なものとなる。
【0038】
このようなセラミックグリーンシートの製造方法の評価として、表2に示すようなデータを得た。表2では、比較例としてボールミル分散機による分散工程を、スラリーの比表面積変化とは無関係に所定時間行ったものを示す。具体的には、この比較例として、分散時間を12時間固定とした比較例1と、24時間固定とした比較例2とを示す。
【0039】
また、表中の耐湿負荷試験NG発生率は、第1の実施の形態と同様に、このセラミックグリーンシートを用いて積層電子部品を製造し、この積層電子部品に対して耐湿負荷試験を行った場合に、NGが発生する発生率である。
【0040】
【表2】

この表が示すように、比較例1では、セラミック材料粉の乾燥凝集体が十分に一次粒子に分離される前にスラリー作成工程が終了してしまうので、このスラリーからセラミックグリーンシートを作成するとシート密度が低いものとなる。一方、比較例2では、セラミック材料粉の乾燥凝集体が一次粒子に分離され、さらに、一次粒子が破壊されてしまったので、このスラリーからセラミックグリーンシートを作成するとシート密度が高いものとなる。即ち、スラリーにおけるセラミック材料粉の分散状態が所望の状態となっていない。従って、これから製造された積層電子部品の耐湿負荷試験NG発生率が高いものとなる。
【0041】
本実施の形態のセラミックグリーンシートの製造方法では、スラリー作成工程の所要時間が比較例1と比較例2との間である18時間となった。この製造方法により製造された積層電子部品は、耐湿負荷試験NG発生率が低いものとなっている。即ち、セラミック材料粉の乾燥凝集体のほとんどが一次粒子に分離され、しかもほとんどの一次粒子が破壊されていないので、セラミックグリーンシートの分散状態及びシート密度が良好なものとなる。従って、このセラミックグリーンシートから製造される各種製品の特性及び信頼性を向上させ、かつ、安定化させることができ、製造歩留まりも向上する。
【0042】
尚、本実勢の形態では、所定時間Tとして1時間を設定し、この時間間隔で比表面積Sを測定し、比表面積の変化率Rを算出したが、他の時間間隔に設定してもよい。特に、所定時間Tを短くとれば比表面積の変化率Rとしてより高精度のものを算出できる。
【0043】
尚、本実施の形態では、スラリー作成工程中における時間に対するセラミック材料粉の比表面積Sの変化率Rが予め設定した所定値Rcとなった時点でこの工程を終了したが、以下のようにしてもよい。即ち、この工程開始から所定時間後(例えば、開始直後や数時間後)におけるセラミック材料粉の比表面積Sの変化率R0を測定する。次に、この変化率R0から所定値Rc’を算出する。そして、この所定値Rc’を用い、スラリー作成工程中における単位時間に対するセラミック材料粉の比表面積Sの変化率Rがこの所定値Rc’となった時点でこの工程を終了する。ここで、変化率R0から所定値Rc’への算出は、例えば、R0に所定定数(例えば2)を乗じたり所定定数を加えたりすることにより、R0<Rc’となる値を求める。尚、この所定値Rc’は、セラミック材料粉の一次粒子が破壊される過程における変化率Rbよりも小さい値となるように算出する。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、スラリー作成工程において、セラミック材料粉に加えるエネルギーによりセラミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離されるが、さらに一次粒子が破壊されることはない。従って、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。ここで、セラミック材料粉に加えるエネルギーは、メディアの持つエネルギーである。つまり、メディアの持つエネルギーによりセラミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離される。また、このメディアとしてはセラミック材料粉の一次粒子の粒径に対して500倍以上4000倍以下の粒径のものを用いる。この範囲内でメディアの粒径を適宜変更することで、セラミック材料粉に加えるエネルギーを制御し、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。
【0045】
さらに、請求項2の発明によれば、セラミック材料粉の比表面積の変化率に基づきセラミック材料粉に加えるエネルギー量を制御することにより、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。
【0046】
さらに、請求項3の発明によれば、セラミック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合に分散工程を終了させることにより、セラミック材料粉の二次粒子のほとんどが一次粒子となり、しかも一次粒子のほとんどが破壊されていない状態のスラリーを作成することができる。従って、良好な分散状態のスラリーを確実に作成することができる。
【0047】
さらに、請求項4の発明によれば、セラミック材料粉の一次粒子が破壊されはじめると、セラミック材料粉の比表面積が、二次粒子が一次粒子に分離する過程における比表面積よりも大きくなるので、かかる場合にスラリー作成工程を終了させることにより、良好な分散状態のスラリーを作成することができる。即ち、セラミック材料粉の二次粒子のほとんどが一次粒子となり、しかも一次粒子のほとんどが破壊されていない状態のスラリーを作成することができる。
【0048】
以上のように、本発明によれば、良好な分散状態のスラリーを作成することができるので、このスラリーから、セラミック材料粉の分散が良好なセラミックグリーンシートを確実に製造することができる。従って、このセラミックグリーンシートから、特性及び信頼性の高い各種製品を製造することができる。尚、ここで、各種製品とは、例えば積層電子部品等のセラミック製品であり、さらに具体的な例としては、積層コンデンサや積層インダクタや積層LCフィルタやセラッミク多層基板等である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
第1の実施の形態のセラミックグリーンシートの製造工程を説明するフローチャート
【図2】
第2の実施の形態のセラミックグリーンシートの製造工程を説明するフローチャート
【図3】
スラリー作成工程におけるセラミック材料粉の比表面積の変化を示すグラフ
【符号の説明】
Sa1〜Sa3、Sb1〜Sb9…セラミックグリーンシートの製造工程
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-01-11 
出願番号 特願平9-342546
審決分類 P 1 651・ 537- YA (B28C)
P 1 651・ 121- YA (B28C)
P 1 651・ 536- YA (B28C)
P 1 651・ 113- YA (B28C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 仁志  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 野田 直人
西村 和美
登録日 2002-07-26 
登録番号 特許第3333443号(P3333443)
権利者 太陽誘電株式会社
発明の名称 積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法  
代理人 吉田 精孝  
代理人 長内 行雄  
代理人 長内 行雄  
代理人 吉田 精孝  

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