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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1114623
異議申立番号 異議2003-72005  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-08-07 
確定日 2005-02-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3375338号「信号の傾斜決定を用いたエンドポイント検出技術」の請求項1ないし40に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3375338号の請求項1ないし16に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3375338号の請求項1〜40に係る発明は、1993年5月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1992年6月9日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成14年11月29日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人佐藤隆由により特許異議の申立てがなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成17年1月11日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の可否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は以下のa乃至dのとおりである。
1).訂正事項a
請求項1において「基板に形成されている層を除去するエッチング処理の過程が特定の段階に入ったことを検出する方法において」とあるのを、「複数の基板にそれぞれ形成されている層を、前記複数の基板を現像液に浸漬することにより、除去するエッチング処理の過程が特定の段階に入ったことを検出する方法において」と訂正する。

2).訂正事項b
請求項1において「(a)前記処理によってもたらされる前記層の変化に関連するアナログ信号を発生させるステップと」とあるのを、「(a)前記処理によってもたらされる前面に位置する基板の前記層の変化に関連するアナログ信号を発生させるステップと」と訂正する。

3).訂正事項c
請求項1において「(d)計算された信号変化の割合」とあるのを、「(d)計算された信号の変化の率」と訂正する。

4).訂正事項d
請求項2、18〜40を削除する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項a、bは、訂正前の請求項1の特許請求の範囲の減縮に該当し、また、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記訂正事項cは、用語を統一するためのものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記訂正事項dは、請求項を削除するものであって、 特許請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
特許異議申立人佐藤隆由は、請求項1〜17に係る発明は、甲第1号証(特開昭63-244847号公報)に記載された発明であり、また、請求項1、3〜17に係る発明は甲第2号証(特開昭61-53728号公報)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、また、請求項1〜40に係る発明は、甲第1、2号証、及び、甲第3号証(特開平2-137852号公報)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、請求項1〜40に係る発明は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許は取り消されるべきものである旨主張している。

(2)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1〜16に係る発明(以下、「本件発明1〜16」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜16に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】複数の基板にそれぞれ形成されている層を、前記複数の基板を現像液に浸漬することにより、除去するエッチング処理の過程が特定の段階に入ったことを検出する方法において:
(a)前記処理によってもたらされる前面に位置する基板の前記層の変化に関連するアナログ信号を発生させるステップと、
(b)前記アナログ信号を周期的にサンプリングして一連のデジタルサンプルを取得するステップと、
(c)前記予め定められた数の前記デジタルサンプルのグループについて、前記個々のグループのサンプルが少なくとも直近の先行するグループのいくつかのサンプルのものを含んでいるが、少なくとも先行する最先に取得されたものを外し、前のグループに属さない最近に取得されたサンプルを含めたグループについて信号の変化の率を順次繰り返して計算する計算ステップと、
(d)計算された信号の変化の率が、予め定められた範囲内にいつ入ったかを決定して、前記物質の層の処理が前記特定の段階に達したかを決定するステップと、から構成した前記層の処理の過程が特定の段階に入ったか否かを決定する方法。
【請求項2】請求項1記載の方法において、前記条件が予め定められた段階に達したことの決定に応答して、前記状態の変化を終了させる付加的なステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項3】請求項1記載の方法において、材料が処理の結果としてその条件が変わっていることがモニタされている材料を処理する付加的なステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項4】請求項3記載の方法において、前記信号のモニタと発生のステップは検出器を電磁放射信号であって、その変化が処理されている材料の特性の変化に対応するものの経路に配置されている条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項5】請求項4記載の方法において、前記信号のモニタと発生のステップは電磁放射を材料に向け、その結果が検出器に向けられるステップを含み、これによって前記検出器は前記材料の条件変化による変更された光ビームを受けるものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項6】請求項4記載の方法において、前記検出器を配置するステップは材料が処理されている部分から発生する電磁波の経路に前記検出器を配置するステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項7】請求項1記載の方法において、前記層の表面にわたるある材質の層の少なくとも一部の厚さを変更する付加的なステップを含み、そしてそこにおいて前記条件の変化は前記材料層の厚さによって発生させられる信号をモニタすることによって前記状態の変化がモニタされる条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項8】請求項7記載の方法において、前記厚みを変更するステップは前記材料層の厚さを増加させるステップを含むものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項9】請求項7記載の方法において、前記厚さを変化させるステップは前記材料の厚さを減少させるステップを含むものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項10】請求項9記載の方法において、前記材料層の厚みを変化させるステップは、前記材料層中のパターン化された部分のみを減少させるものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項11】請求項7記載の方法において、前記材料層の厚さがモニタされる層は半導体基板を含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項12】請求項7記載の方法において、前記信号モニタと発生のステップは電磁放射を材料層に向け、そしてそれから検出器に向けるステップを含み、これにより前記検出器は前記層の厚みの条件の変化によって変更されたビームを受けるものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項13】請求項7記載の方法において、前記検出器を配置するステップは前記材料層の厚みを変化させる過程のある部分から放出される電磁放射の経路中に配置されるステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項14】請求項7記載の方法において、前記厚さが変更される層はホトレジスト材料層である条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項15】請求項7記載の方法において、それはさらに厚さの条件の変更が前記特定のステージに達したことの決定に応答して前記厚さの層の変更を終了させる付加的なステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
【請求項16】請求項1記載の方法において、前記条件の変化の特定の段階は前記デジタル信号サンプルの大きさを参照信号レベルの絶対値と大きさの比較をすることなく検出される条件の変化の特定の段階を検出する方法。

(3)刊行物記載の発明
当審が通知した取消しの理由に引用された甲第1号証である刊行物(特開昭63-244847号公報)(以下、「刊行物1」という。)には次の事項が記載されている。
ア.「好ましい演算処理方法としては、ディジタル的な基礎データの所定個数に亙って、1次の最小2乗近似処理を行ない、かつ、その処理区間を、基礎データが新たに追加されるに従って追加の方向に移動させる処理を含むものがある。また、望ましい別の演算処理方法としては、前記基礎データ群の(時間についての)1次またはそれ以上の高次の微分値を、アナログまたはディジタル的方法にて求める処理を含むものがある。」(3頁右上欄4〜12行)

イ.「以下に述べるように、1次微分曲線Dは最小自乗法を用い、2次微分曲線Eは曲線Dの上に移動微分法を用いて求めた。即ち、曲線の様子より、近似処理区間を10sec(t-10からtまで)と定めて、その1次近似直線Y=aT+bを最小自乗法(1次)により求め、この直線の式のTの1次の係数aをその近似処理区間の最終点(tsec)の微分値atとする。そしてこのような演算を近似処理区間を1sec宛移動させながら行なっていくと、最終的には、発光強度の時間に関する1次微分atの曲線Dが得られた。近似処理区間を10secよりも更に大きくとればノイズは大いに低減出来るが、時間遅れを生じる、この例の場合は10secが適当であった。この曲線Dで終点検出はさらに容易になったが、一層検出を容易にするため微分区間をやはり10sec(tからt+10まで)として、移動微分法でα={f(t+r)-f(t)}/10を求め、αをその微分区間の最終点(t+10)の微分値α(t+10)とする。」(5頁左上欄14行〜右上欄下から6行)

ウ.「この実施例の場合は、エッチング終点検出の判断には、最小自乗法と移動微分法の両者を用いて得た2次微分値が殊に適し、この値がある時間負の値を示し、その後、ゼロを通過して正の値を示すようになるゼロクロスの点を終点と判断できる。この実施例の装置では、そのゼロクロス(終点)の点で、コンピューターが垂直のラインQをグラフ描くようにプログラムされており、第2図はラインQの引かれた状態を示している。総エッチング時間は93secであったのでその時間も図に記入されている。」(5頁左下欄11行〜右下欄1行)

また、同じく、甲第2号証である刊行物(特開昭61-53728号公報)(以下、「刊行物2」という。)には次の事項が記載されている。
エ.「本発明は、終点検出の精度を上げるため、発光強度のサンプリング周期をデジタル演算処理装置の能力の許す範囲で、極力短くし、サンプリング数を多くするとともに、これらを、サンプリング時間毎に移動させながら平均した値、即ち、移動平均値を新らたなサンプリング値とすることにより、実測値の雑音成分を取除き、これらの移動平均サンプリング値から求めた1次微分値(勾配)をさらに移動平均し、これらの差分を求め、その差分値のさらに移動平均値を以って、発光強度の2次微分値を求めることにより、エッチングの終点を精度よく検出できるようにしたものである。」(2頁左上欄12行〜右上欄3行)

オ.「第4図で示すような、雑音を含む発光強度のサンプリング値から、第8図に示すような、雑音成分のないきれいな2次微分値が得られることがわかる。これにより、終点判定値X又はYの比較を行うことにより、A点又はB点において、精度良く終点を判定することができる。」(3頁左上欄下から5行〜右上欄2行)

また、同じく甲第3号証である刊行物(特開平2-137852号公報)(以下、「刊行物3」という。)には次の事項が記載されている。
カ.「従来、この種の現像終点を光学的に検出する方法として、光干渉を利用した手段が例えば、特開昭62-63431号公報で知られている。第3図は、この手段の原理を示すものである。半導体ウエハなどの基板1に塗布された露光済みのフォトレジスト膜2に可干渉光(一般にレーザ光)Lを入射すると、フォトレジスト膜2の表面からの反射光Laと基板1の表面からの反射光Lbとが干渉する。反射光La、Lbの干渉光の光強度は、フォトレジスト膜2の膜厚dに応じて変化する。すなわち、現像の進行に伴ってフォトレジスト膜2のパターン開口部(現像によってフォトレジストが除去される部分)では、フォトレジスト膜2の膜厚dが減少するから、それに応じて干渉光の強度が変化し、フォトレジスト膜2がほぼ除去されて貫通すると、膜厚減少に起因する干渉光の強度変化がなくなる。」(1頁右下欄12行〜2頁左上欄8行)

キ.「第3図において説明したように、射出されたレーザ光Lは、フォトレジスト膜2の表面および基板1とフォトレジスト膜2との界面でそれぞれ反射される。反射されたレーザ光は相互に干渉し、その干渉光が光ファイバプローブ5に入射して受光用ファイバコード8を介して光電変換部9に伝送される。干渉光は、光電変換部9において電気信号に変換されて、データ処理部10に与えられる。データ処理部10は、第1図に示す手順で入力された電気信号を処理して、現像終点Dを決定する。以下、第1図および第4図を参照して、そのデータ処理手順について説明する。
N1、N2:現像が開始されると、微小時間Δt1(例えば0.1秒)ごとに干渉光強度の値が計測されて、そのデータがデータ処理部10内のメモリ(図示せず)に順に記憶される。
N3:実測されたデータは、そのバラツキを補正するために、平滑化処理され、実測点の平滑化データSの微小時間Δt2(例えば0.1秒)おきの1次差分S’および2次差分S’’を算出する。
N4:実測点の平滑化データSと、これより2秒前の平滑化データSとの差の絶対値|S-S|を算出する。
N5:この差の絶対値|S-S|を50個積算する。
N6:積算の和が予め定められた値以下になった時点を変動減少時点Fとする(第4図参照)。
N7:変動減少時点Fを始点として、時間の進行と逆の方向へS’およびS’’を検索し、S’の符号が正から負に変わり、しかも、その時点でのS’’の値が予め定められた値以上となる条件を満足する時点が初めて現れる時点を、変動減少時点Fの直前の極小値が発生した時点Cとして検出する(第4図参照)。
N8:時点CからTCを決定し、これを次式D=a・TC+bに代入して、現像終点Dを決定する。」(3頁右上欄11行〜右下欄8行)

ク.「N9、N10:現像開始からDに到達したかどうかを判断し、Dを経過したところで現像を停止する。なお、上記実施例では、現像終点D算出の基となる時点Cを変動減少時点Fの直前の極小値の発生時点としているが、F直前の極大値の発生時点とすることもできる。(ただし、この場合には、前記ステップN7において、変動減少時点Fを始点として時間の進行と逆の方向へS’およびS’’を検索し、S’の符号が負から正に変わり、しかも、その時点でのS’’の値が予め定められた値以上となる条件を満足する時点を時点Cとして検出することになる)。また、時点Cから現像終点Dを求めるための演算式は上述したものに限られず、適宜に設定された演算式を使用できることはいうまでもない。」(4頁左上欄末行〜右上欄15行)

(4)対比・判断
本件発明1〜16と刊行物1〜3に記載の発明とを対比すると、各刊行物に記載の発明は、本件発明1〜16を特定する事項である「複数の基板にそれぞれ形成されている層を、前記複数の基板を現像液に浸漬することにより、除去するエッチング処理の過程が特定の段階に入ったことを検出する方法」について開示も示唆もなく、また、「(d)計算された信号の変化の率が、予め定められた範囲内にいつ入ったかを決定して、前記物質の層の処理が前記特定の段階に達したかを決定するステップ」についても開示も示唆もない(ここで、「計算された信号の変化の率」とは、いわゆる1次微分値に相当するものであるが、刊行物1、2に記載された発明は2次微分値を用いて終点位置を決定しており、また、刊行物3に記載された発明は1次微分値を用いていない)。してみれば、「複数の基板にそれぞれ形成されている層を、前記複数の基板を現像液に浸漬することにより、除去するエッチング処理」自体は周知の技術であるとしても、当該周知のエッチング処理において、上記(d)のステップを採用することは、刊行物1〜3に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
信号の傾斜決定を用いたエンドポイント検出技術
【発明の詳細な説明】
発明の背景
本発明は、一般的には条件の変化の特定の段階に達したことを決定する信号処理技術、あるいは自動的に条件の変化に原因する事象を制御するものであって、たとえば、半導体処理技術でホトレジストの現像またはエッチング操作に関連してエンドポイントに達したことを決定するための電気信号のモニタに関連する。
電気信号が存在し、それが条件の変化に関連して変化するとき、その電気信号をモニタすることが求められる種々の状況が存在する。それらの状況のうちの1つのグループは材料の処理の過程において、それが特殊な処理を完了したことを決定したいときに、すなわち処理操作のエンドポイントを検出することである。エンドポイントの決定は、プロセスの進展、またはプロセスの制御をモニタするものであって、たとえばモニタされている特定の処理操作を終了させることである。
半導体産業は、そのようなプロセスのモニタを必要とする産業の1つの例である。半導体ウエハ上に回路を製造するいくつかの段階において、ホトレジスト材料のマスクが形成される。製造されたマスクは、マスクによって覆われた層の処理を制限して、領域をパターン化するために結果的に使用される。このマスクはホトレジスト層を望ましい形で露光して形成され、それに現像液を供給することによってホトレジスト層を現像する工程が続く。通常のホトレジスト材料では、露出された領域は下の層を露出するために現像の過程において除去される。ホトレジスト材料を除去することによって、下側の層が露出されたときが、“ブレークスルー”または“エンドポイント”といわれる。
現像のプロセスはブレークスルーが最初に検出された時点からある期間だけ続けることが許容され、その時間の終了の時点が現像処理の終了の時点であって、それが“プロセスエンド”といわれている。
半導体ウエハのバッチからバッチごとに存在する種々の処理、および環境の変化に原因して、いつブレークスルーが起こるかを決定するための現像プロセスのモニタが必要となる。有限の帯域幅の光ビームが、一括処理のウエハのうちの1つのホトレジスト層に向けられ、そして反射または透過した光信号が検出され、そして結果として電気信号がブレークスルーが起こったかどうかを決定するために処理される。1つの形態において、実質的に透明なホトレジスト層の表面、および底の面から反射されてきた光は、光検出器において干渉を起こす。現像の過程において、ホトレジスト層の部分が除去されるにしたがって、反射光の最大から最小の間の検出された光の強度は材料が除去されるにしたがって、相対的な2つの干渉するビーム間の相対的位相が変わる。しかしながらブレークスルーにおいては、この信号における変化が終了し、光検出器出力信号を解析することによって、1つの条件が検出される。現像はある決まった時間だけブレークスルーの検出から持続され、その時点において、現像液を洗浄することによるか、または他の手段によって現像が終了させられる。
湿式エッチング過程においては、ホトレジスト材料がエッチングで除去される他に実質的に透明な材料層が除去され、同様なブレークスルー検出過程が用いられる。乾式エッチングの過程においては、材料はプラズマ室内におけるボンバードメント衝撃によって除去され、プラズマ中の1つの成分である限られた波長帯域中の光の放射を検出することにより、エッチングされている層から除去されたものを検出することによってモニタされる。そのような利用における検出された信号は通常はブレークスルーの際にかなり降下するので、これが電子的に検出される。
本発明の1つの目的は、半導体ウエハの処理過程において、モニタされて検出された電気信号を処理するための改良された技術を提供することである。
本発明のさらに一般的な目的は、電気信号が存在するか、または電気信号がモニタされている条件の変化に関連して存在するか、または電気信号が得られるような広範囲の応用において、改良された信号処理技術を提供することである。
発明の要約
これらおよびさらに付加的な目的は、本発明によって達成されるのであるが、本発明において簡単に、かつ一般的に言うならば、電気信号の個々の変化の値が計算され、それは条件が特定の段階に達したことを決定するために条件をモニタする最中に行われる。
1つの形態において、信号の変化は、電気信号の傾斜としてモニタされる。本発明のある特殊な特徴によれば、デジタル化された電気信号が獲得され、そして連続するデジタル信号値のグループが1つの信号の傾斜の値を計算するために用いられる。引き続く傾斜の値は、引き続き連続するデジタルサンプルのグループから計算され、各々のグループは少なくとも直近の先行するグループの値のいくつかを利用するのであるが、少なくとも直近の先行するグループ中の最初に取得されたサンプルを除く。条件の変化の特定の希望する段階は、計算された傾斜の値があらかじめ定めた領域中に存在することが計算されたときに決定される。条件の中の変化がその特定な段階に達したときに決定に当たって、絶対的な電気振動の値が利用されるのではなく、むしろ傾き、または他の信号が変化する特性が用いられる。
添付の図面を参照して以下に説明される本発明の具体例は、本発明による改良された信号処理技術の応用を示すものであって、それはモニタに関連し、適宜半導体ウエハの処理の制御に用いられる。しかしながら、本発明の応用は、他の種々な分野にも存在することが理解されるであろう。他の応用は、化学的組成の中に含まれる成分の濃度に比例する電気化学信号のモニタにおけるものを含み、質量分光,電子スピン共鳴(ESR),核磁気共鳴(NMR),温度,圧力,音響信号,化学的または物理的パラメータの変化に対応する屈折指数の変化,流量計量,測色,ストレインゲージの信号,光分散,結晶の周波数変化,フルオロイムノアセイテクニーク(fluoro-immuno-assay-techniques),および溶液のペーハーのモニタリングであって、これらは多くの可能性の中の一部にすぎない。
図面の簡単な説明
図1は本発明が利用される半導体ウエハのホトレジスト層の現像プロセスを示し;
図2は本発明が利用される改良されたホトレジスト現像を図示し;
図3は図1または図2のホトレジスト現像のいずれかに関連して用いられるエンドポイント制御の電子ブロックダイアグラムであり;
図4は処理されるべき電気信号に至るホトレジスト層の光学的モニタリングを図解するものであり;
図5Aはホトレジストの現像の過程において得られる光検出器の出力信号の例を示し;
図5Bは図5Aの光検出器出力の演算により得られた派生波形を示し;
図6Aと図6Bはホトレジストの現像過程の2つの段階の拡大された断面図を示し;
図7Aと図7Bはエッチング過程における2つの段階の拡大された断面図を示し;
図8Aはモニタされるべき検出器出力のデジタルサンプルの例を示し、図8Bは図8Aのサンプルから計算された傾斜の値を示し;
図9はプラズマ放電を介して行われるドライエッチング過程を遂行するための装置を一般的に図解しており;
図10Aおよび図10Bは図9のプラズマシステムでモニタされる加工する信号のレベルとその計算された傾斜を示し;
図11Aと図11Bはそれぞれ図9のプラズマシステムにおいてモニタされた増大する信号とその計算された傾斜を示し;
図12はエンドポイントを得るための信号処理技術の流れ図を示し;
図13は本発明の1つの具体例における図12の流れ図の方法の1つのステップを拡大した流れ図を示し;および
図14は図12の流れ図にしたがう方法の同じステップを拡大した流れ図であって、本発明の他の実施形態を示す。
好適な実施例の記述
まず最初に図1を参照すると、そこには半導体ウエハ上に電子回路を形成するためのホトレジストの現像過程で一般的に用いられる装置が示されている。液体用の囲い11はその中に支持体13をもっていて、その支持体13は軸15によって支持され、囲い11の外側に設けられているモータ17によって回転させられる。回転支持体13上に位置されているものは、処理中の半導体ウエハ19である。処理過程のこの時点において、ウエハ構造上にはすでに、ホトレジスト層が設けられており、そしてホトレジストの現像の後に残されるべき希望する物理的パターンに対応する光のパターンに露出されている。この物理的なマスクパターンがエッチングの引き続くステップにおいて利用されるか、またはホトレジスト層のすぐ下の層を処理するために用いられる。
現像液は一般的には、ホトレジスト層にスプレーによって供給されるのであるが、他の技術も同様に利用できる。ノズル21はそのようなスプレーに容器23からの溶液を電気的に制御されているバルブ25を介して供給される。間歇的なスプレーまたは連続的なスプレーのための種々の特定な技術が、種々の異なる半導体製造過程において用いられる。一度、現像が終了させられると、バルブ25が閉じられ、それから他の電気的に制御されるバルブが開かれて、リンス溶液がコンテナ29から他のノズル31に供給される。
現像液とリンスのスプレーは通常、ウエハ19が均一の速度で回転されているときに行われる。電子的なプロセスコントローラ33は、回転モータ17,バルブ25および27、および他の処理装置を制御する。
現像の過程をモニタするために、電磁放射であって、可視または可視領域に近い光源35からビーム37が現像中のウエハ19上の現像中のホトレジスト層に向けられる。光検出器39がウエハ19からのビーム37の反射光を受け入れるために配置されている。
電子制御システム41は、放射源35を駆動し、そして回路40中の光検出器39から得られた信号を処理する。ブレークスルーの検出は、光の干渉の結果として得られるものであるから、以後、説明するようにある程度の光源35の可干渉性が一般的に用いられ、光放射ダイオード(LED)程度が十分に用いられる。電子システム41の出力で、回路43にあらわれたものは、発生したホトレジスト層のブレークスルーが発見されたことを示す。この信号は、しばしば単にオペレータにモニタ中のプロセス変化においてブレークスルーが発生したことを知らせることである。それとは異なって、回路43中のブレークスルー信号は、直接にプロセス制御33にブレークスルーが検出された後のある特定の時間経過後に現像を停止するためにプロセス制御33に伝えられる。
ホトレジスト層に現像液をスプレーすることとは異なって、タンク45を用いる現像装置があり、タンク45の中にはボート47が複数のウエハ、たとえばウエハ49を支持した形で現像液51中に浸漬されている。ウエハ49の前面の位置が現像の過程においてモニタされる。プロセスエンドが決定され、または起こったと信じられるときに、ボート47とそのウエハはタンク45から取り除かれて、リンス用のタンクでプロセスを終了するために浸けられる。1つのエンドポイントコントローラはコントローラ41と実質的に同じであり、それはユニット53と同時に使用される。
一般化されたコントローラ41のブロックダイアグラムが図3に示されている。システムバス55に種々の要素が一般的に、または特殊な目的のコンピュータが接続されている。マイクロプロセサ57はそのような要素の1つであって、システムダイナミックランダムアクセスメモリ(RAM)59と、リードオンリーメモリ(ROM)61が接続されている。1つの入出力回路63が制御およびディスプレイパネル、たとえばカソードレイチューブのディスプレイ、またはいくらかのキーボード入力端子をもつ回路65にインターフェースしている。第2の入出力回路67は回路40中の光検出器の出力アナログ信号を受け、そしてそれを図3のコントロールシステムによって処理するためにデジタル化する。3番目の入出力回路69は回路43にエンドポイントに到達したことを示すか、または処理のエンドタイムを計算するために信号を供給する。図3のコントローラを操作するためのコントロールソフトウェアはいつブレークスルーが起きたかを決定するためのものを含んでおり、それはROM61に蓄積されており、そしてマイクロプロセサ57によって実行される。
そのようなエンドポイントコントローラと光源、光検出器の組立は、サンタクララのラクストロンコーポレーションのキシニックディビジョンにおいて販売されている。そのモデル2200,2300,2400は、湿式処理のエンドポイント制御装置であって、この目的のために広く利用されている。ホトレジスト層のブレークスルーは、現在、これらの装置において、ウィンドートリガアルゴリズムによってのコンピュータプログラムによって行われている。この発明は一義的にはブレークスルーを検出するための改良された代替技術に関連するものである。本発明の改善された技術は現在のウィンドートリガアルゴリズムの代わりにキシニックコントローラメモリ中に新しい技術のソフトウェアをロードすることによって実施可能である。
この改良されたブレークスルー信号の処理技術を説明する前にホトレジスト現像過程についてさらに説明する。図4は説明的な目的で半導体構造71であって、ホトレジスト層7 3をその表面にもっているものを示している。照射ビーム37の光線37’(図1)が光線75’として示されるように、層73の表面層において部分的に反射される。層73の材料は実質的に透明であるから入射光線37’の部分は層73に進み、そして層とその下側の構造との間の境77で光線79として示されているように反射される。
光線75と79の経路に位置されている光検出器は入射光線37が十分な単色性と干渉性をもっていることを条件に、光線75と79の経路に配置されている光検出器は、干渉の結果の強度レベルの光を検出する。その強度は光線75と79が通過した光路の差に依存している。ホトレジストの現像の過程において層73の厚さが減少していくと、光線75の光路長が変化し、光検出器によって検出される干渉ビームの強度の強さが見られる。
光検出器(図1)の出力のそのような処理期間における出力の例を図5Aに示す。ホトレジスト層の領域が現像されて、除去されている露光のレベルにおいて信号の振動が発生している。層73のブレークスルーがあれば、しかしながら、さらに進む現像によっては光路長の変化は生じなくて、そして振動はおさまる。かくして89の示す点において、光検出器の出力の振動は止まり、それがブレークスルーが起きたことを示唆している。
本発明の技術は、そのようなブレークスルーが起こったことを決定するために利用される。
この特殊な処理は電気的な信号が非常にノイズの多い所で行われるものであるから、しかしながら、光検出器の出力信号は、不幸なことには図5Aに簡単に説明のために示されているもののように純粋ではない。
本発明による信号処理技術は、分析すべき信号が雑音成分を含んでいる可能性を十分に考慮している。
ここに記述されているブレークスルーを検出する技術は全体の材料層が除去されたときに有効なものではあるが、それは通常材料のパターン層が除去されている状況において適用される。図6Aは図4と同様な断面図であるが、これは現像の過程においてホトレジスト層73の露出されている領域に最初のブレークスルーが起こった状況を示している。図5Aの反射信号は図6Aに図解されているブレークスルーが最初に起こった時点89を示している。現像はさらに続けられ、通常はブレークスルーが検出されてから一定の固定期間行われ、その結果、図6Bに示されているように露出されたホトレジスト領域が完全に除去するまで行われる。
同様な工程がウェットエッチング操作においても行われる。図7Aを参照すると基板構造91はその上に連続的な実質的に透明な層93を連続して持っており、それは酸化シリコンまたはそのようなものであって、それがマスク95によって覆われている。
マスク95の開口部を介してエッチングが行われていると、図7Aに示されているようなブレークスルーが図5Aと同様に信号をモニタすることによって光検出器出力中の信号の振動が無くなったかによって決定される。ホトレジストの現像を以て前記エッチングはブレークスルーが検出された後から一定の時間、図7Bに示されているようにより大きな開口が完全に除去されるように続けられる。
本発明による改良された技術であって、光検出器の出力信号からブレークスルーを検出することができるものは図5Bの曲線に一般的に示されている。
光検出器信号出力は、図3のコントローラシステムによって図5Bの曲線のデータを経てそれが図5Aの光検出器出力信号から数学的に導き出されたものである。ブレークスルーは図5Bの導き出された信号によってのみ決定され、図5Aの絶対的な信号の値を直接的に用いることは不必要である。特定の実施形態において正の閾値レベル97がセットされる。現像の過程が始められたことが一度決定されると図5Bに示す派生的な信号がモニタされ、連続した一定の期間であって、それは信号中に発生するところのノイズレベルの期間よりも、かつ、またはおよび前記振動の期間よりも長い期間に設定された連続する閾値97以下に陥ったことにより決定される。そのような固定された期間は図5中の時点99に終わるような固定された期間であり、その点においてブレークスルーが時間89に起こったものと理解される。
前述したように、説明されている信号処理技術がブレークスルー点を捜し出すことができる前に、前記プロセスが現実に始まったことを決定しなければならない。そうするための1つの方法は振動が始まったということを検出することである。すなわち、頂点または谷が図5Bの派生された信号中に起こっているかということである。プロセスが実際に始まったかということを決定する他の方法は単に図5Bに示される派生信号が閾値97を一定の期間超えることである。
これによって、他のいかなるノイズ等による誤りのトリガーを避けることができる。
単に1つの閾値97を利用する代わりに、負の閾値101に対応するものの両方を利用することができる。この場合においてブレークスルーは図5Bの派生信号が閾値97と101の間にある特定の期間だけ存在したことによって決定される。同様にして現像処理のスタートは図5Bの派生信号が閾値97および101のある一定の決められた期間だけ超えたことによって知られる。
図8Aおよび図8Bは、図5Bに示す派生的な信号を図5Aに示されている光検出器のアナログ出力信号から計算するための好ましい技術を図示している。
すでに述べたように入出力回路67(図2)は、回路40中の光検出器のアナログ信号をデジタル化する。そのようなプロセスが実行されることを説明するためにそのようなデジタル信号のサンプル103〜109を図8Aに示す。
これらの値は、個々の信号の値111〜115であって、信号の変化させられた特性が計算され、すなわち、その傾斜が算出される。図8Bの点111〜115はすでに図5Bに関連して議論された派生信号の点である。
図8Bの傾斜の値111は傾斜のモデル方程式から決定されるものであり、この場合においては、線117であって、それは連続するデジタルサンプル点103,104および105に適合するものである。
同様にして、次の傾斜の値112は同じモデル方程式にしたがって算出され、この場合においては、他の直線118であって、それは連続するデジタルサンプル104,105および106に適合する。
同様にして、傾斜113は線119に対応するものであり、傾斜114は線120に、および傾斜115は線121に対応する。
最初の傾斜の値111は最初の連続するデジタルサンプル103,104および105のグループから算出されるものであることを記憶することができる。
次の傾斜である112はデジタルサンプルで、前記最初のサンプル103除き、それから最も新しく得られたサンプル106を加えたデジタルサンプルの群から計算される。かくして、図3のコントロールシステムによって得られた光検出器のアナログ信号の新しいデジタルサンプルが得られ、新しい傾斜値は曲線を新しく得られた1つを含めた組合せに適合するように算出され、そしてこれらは次の傾斜の計算に利用されるが、最初のデジタルサンプルはそのグループから除かれる。すなわち、各々の傾斜の計算は予め定められた数の連続するデジタルのサンプルであって、最も新しく得られたサンプルをグループ中の最も古いサンプルに置き換えることによって得られる。
図8Aに示されている各々のグループのサンプルの数は単に3個であるが、これは説明を簡単にするためのものであって、このグループは一般的にもっと大きくすることができる。任意の応用に用いられる正確なサンプルの数は一義的には計算によって形成される好ましい雑音免疫性の程度に依存されるであろう。
また、直線合わせが示されたがこれも説明の簡単のためであるが、ある応用においてはもっと複雑な多次のデジタル信号への適合も考えられる。この技術はよく知られているソビツキ-ゴレイの多次法の応用である。たとえば、エイ.ソビツキおよびエム.ジェイ.イー.ゴレイ、アナリティカルケミストリー、ボリューム36、1627〜1639頁(1964年)、またはピー.エイ.ゴーリー、アナリティカルケミストリー、ボリューム62、570〜573頁(1990年)を参照されたい。現実のデータに曲線を適合させる利点はプロセスのモデルを作ることによって前方へのプロセスコントロールを許容することができるからである。
同じような信号処理技術は多岐にわたる材料または組成の処理操作に応用を見出すことができる。
他の特定の半導体産業からの他の適当な応用例は図9に略図示されている。図7に示されているように材料層を化学用材によってエッチングにより除去するというよりは、むしろエッチングは真空室131内における乾式プラズマ過程においてしばしば成される。
よく知られているように半導体ウエハ133は室内のターゲット構造135の下に配置されている。
実施されるであろう特定の処理プロセスに依存するものではあるが、ターゲット135には直流電流または無線周波数電源137によってエネルギーが供給される。不活性ガスまたは活性ガスの供給源139は選択的にこれらのガスを室131の内部に接続する。
強い電界の影響下にガス分子の発生からプラズマ141が半導体ウエハ133の上に形成される。その結果、ウエハ133はイオンによって衝撃され、そしてそれが材料の半導体ウエハ133上の材料の上の層を除去するかまたはもしそのような除去がマスクされているならば、マスクによって規定されている部分のみが除去される。
このプラズマプロセスにおいても、ウエットエッチングプロセスと同様な目的が存在する。すなわち、いつブレークスルーが最初に発生したか、その結果エッチングのプロセスが適当な時点において、長すぎないように止められることを正確に決定するという要求がある。プラズマプロセスにおいては、プラズマ141の可視または可視に近い電磁放射を水晶の窓142を介する観察が通常成されている。光検出器143が、図9に示されているように室131の外側に近接して窓142を介して見ることができるプラズマ放射の経路に設けられている。1または多数の選択された狭い波長領域または線中のプラズマ141の放射強度が検出され、そして前記光検出器143の1つの電気信号がそれらの強度に比例するものとなる。ある限られた放射波長領域の検出器は通常狭い帯域幅の干渉または他のタイプのフィルタを光検出器143の前に配置することによって、それがその波長領域にあるものを受信するようにする。
モニタされるために選ばれる波長領域はその強度がモニタされているエッチングプロセスの進行に関連してその強度が変化するようなものである。
図10Aはモニタすることができるそのような狭い帯域信号を図示している。エッチングされている層のブレークスルーは時間tBに起こり、ここにおいて信号パターンの変化は急激に平坦になる。
同様にして図11Aにはプラズマ放射の帯域幅である一定の状況下にモニタされるものであって、そこではその強度がエッチングが進むにしたがって増加し、エンドポイントは時点tBによって示され、そこからは増加する信号がしだいに平坦化される。
好ましい信号処理技術であって、いつ時間tBが減少または増加する信号、図10または図11に起こったかを検出する好ましい技術は、それぞれすでに図8に関連して説明したものと同じである。
すなわち、光検出器のアナログ出力で図10Aに示されているものは、デジタル化され、そして一点ごとに図10Bに示される派生信号を得るように処理される。負の傾斜の閾値レベル145が適当なレベルにセットされる。プロセスはまず最初に図10Bの信号がある決められた時間だけ閾値145を超えたかを検出し、かくして、エッチングプロセスが始まったことが示される。プロセスの開始が検出された後に、図10Bの信号はそれがいつ閾値レベル145以下に一定時間降下したかによってブレークスルーが起こったことを示す。分けられた閾値レベルがプロセスの開始およびブレークスルーの発生のために利用できる。
同様にして図11Bに示されている派生的な信号は図11Aの光検出器出力から得られる。閾値147が派生信号と共に用いられる。図11Bに示されている派生信号が閾値147を一定の時間超えたときにプロセスが開始されたことが決定される。ブレークスルーは引き続いて、派生信号が前記閾値147以下になったときに決定される。
図12を参照すると、そこには図3のエンドポイントコントローラにおいて、図5Aまたは10Aまたは10Bの派生信号からブレークスルーを決定するために用いられる信号処理技術が示されている。
各々の場合、これらのアナログ信号は最初にデジタル化され、そしてその各々図5B,図10B,および図11Bに示されている派生信号は図8に示されている過程によって決定される。
図12の第1のステップ151の信号処理技術は、種々のパラメータをセットし、そして1または多数のカウンタが使用される。そのようなパラメータの1つを“N”と名付けられる。その連続するデータのポイントは1回に各々の傾斜を決定するために用いられる。図8に示されている実施例においては、N=3である。最終のユーザーにこのNを選択させることが好ましい。その理由はその値は特定の応用において必要とする雑音の免疫度の量によって一義的に決定されるからである。
前記Nのデータ点は通常重なり合う間隔をもってグループ化されており、それは図8Aに示されているが、その代わりに段階的な間隔にグループ化され、ここにおいては各傾斜の値は異なったデータ点から選ばれる。この技術は重なり合うケースが段階的場合において、同様に取り扱われるからである。
そのような初期化の後に、次のステップ153は、N-1個の引き続くデータ点であって、図8Aに図示されているものを取得し、蓄積する。異なるデータ点が、ステップ155によって取得され、示され、そこには充分なデータ点であって、1つの傾斜値を計算するのに充分なデータ点が図8に示される技術によって算出され、ステップ157で示される。いくつかのそのような計算された傾斜値が図8Bに示されている。
各々の計算の後で、次のステップの159が半導体プロセスが始まったかどうかを決定する。もちろん、このブレークスルーのための判断基準は、明らかにプロセスが始まったということが確認される前は適用されない。そうでなければ、ブレークスルーの決定が早すぎることになり、そして製造プロセスは始まる前に止められて終了させられてしまう。もしプロセスが、スタートされていなければ、より多くのデータ値が付加的な傾斜ポイントを得るために使用される。
プロセスが開始されたことが決定されたならば、しかしながら次のステップ161がもっとも最近に計算された傾斜値をターゲットエンド傾斜と比較する。
もしそれがターゲットエンド傾斜よりも低ければ、ステップ163に示されているように傾斜エンドカウンタが1加算される。これはステップ151で初期化されたカウンタのうちの1つであって、最初の0カウントをもっている。次のステップ165では新しい傾斜エンドカウンタの新しいカウントをターゲットエンドカウントと比較する。ターゲットエンドカウントは当初151においてセットされたパラメータのうちの1つとは異なるものであって、好ましくはユーザーが選択できるものである。すなわち、このセットは信号傾斜値がターゲット値以下にブレークスルーが起こる前に決定されないことに効果がある。この数なまた、特殊な用途における信号上のノイズの量に関連してセットされる。かくしてターゲットエンド傾斜は閾値を超さない値として動作する。
一度、傾斜エンドカウンタが現在のターゲットエンドカウントを超える値に加算されるために決定され、ブレークスルーが起こったことがステップ167で示される。プロセスエンドタイムはそれから過剰処理時間の付加だけ計算され、そしてプロセスはそのようなより長い期間ステップ168に示されているように行われる。もし、ターゲットカウントがもっとも最近の傾斜値であって、それがターゲットエンド傾斜より低いものに達しないときにはステップ165で決定されたようにそれから処理がステップ155に戻り、新しいデータ点を取得する。もし、ステップ161に示されているように傾斜値の直近の値がターゲットエンド傾斜を超えるときは、傾斜エンドカウンタはステップ169に示されているように0にリセットされる。
前記特殊な手続きがステップ159で半導体プロセスが開始されたか、または変化できないかを決定するために用いられ、そして分析されるために対応するタイプの信号が選ばれる。図13および図14はプロセスがスタートしたかしないかを決定するための他の方法を示している。
図13に示されている技術はスロープ値が予め定められた閾値を超えているかを見ており、そして図5A,図10Aおよび図11Aのアナログ信号の分析に利用できる。傾斜スタートカウンタは図12の傾斜エンドカウンタに付加して用いられる。ステップ171に示されているように傾斜におけるスタートカウンタは、ターゲットスタートカウンタと比較され、同様にユーザーが選択可能である。もし、前記傾斜スタートカウンタがターゲットスタートカウンタを超えるように予め加算されていれば、プロセスは図12のステップ161に続けられる。もしそうでなければ、他のステップ173(図13)が発生する。
ステップ173において、もっとも最近の傾斜値であって、図12のステップ157によって計算されたものが閾値ターゲットスタート傾斜と比較される。
もし、その傾斜値が閾値を超え、傾斜スタートカウンタが175に示されるように1を加算される。処理はそれから、(図12に示すように)ステップ155に戻り、ステップ157に続き、そしてそれからステップ159からステップ161に進む。しかしながら、もし、もっとも最新の傾斜値がターゲット傾斜より低いときには、傾斜スタートカウンタはステップ177に示されているように0にリセットされ、そして図12のプロセシングはステップ155および157に戻る。
図5Aに示されているような形の振動信号の場合には代わりの信号処理技術が好適に利用できる。
図14を参照すると、ステップ179は新しい傾斜値が図12の157によって計算された後に起こる。
このステップ179において、信号ピークが発生したか否かについての決定がなされる。もしそうであれば、それは半導体プロセスがスタートしたものであり、そして信号処理手段は図12の次のステップ161に進む。もし、ピークが見つからないことが決定されたならば、図14の次のステップ181で信号の谷を探す。もしそのような信号の谷が見つかればそれから次のステップである(図12の)161に進み、もしそうでなかったならば、図12の信号処理傾斜ステップ155と157に戻る。
図14の各々のステップ179と181において、最近に計算された傾斜値が、最近の先行する傾斜値とピーク,または谷が派生信号中に起こっているかどうかを決定するために用いられる。ステップ179においてナンバーPの傾斜値が用いられる。当初は増加していたある数のひき続く傾斜値のグループに実質的に0の傾斜値がしたがい、それが他の減少する予め定められた値が続くかどうかが決定される。
同様にしてステップ181はもっとも最近に計算された傾斜値をナンバーV傾斜値と谷が存在しているかどうかのために用いられる。谷が存在し、もし最初の傾斜点が減少させられ、他の数の実質的に0が引き続き、さらに他の数の増加する傾斜サンプルが続く。
信号処理技術が特定の半導体処理の例について行われてきたが、この技術は広い応用をもっていてアナログ信号、図5A,図10A,図11Aまたは同じような信号が存在する分野に広く応用できる。半導体基板以外の物品の処理にも多分同様にモニタのために利用でき、問題の電磁エネルギービームまたは同じように検出できる電磁的なエネルギーであって、材料からの処理の中で放出されるものを観察することによって可能である。化学反応のモニタにもこの技術が利用できる。これに加えて数々の利用が電気的アナログ信号ですでに存在しているもの、たとえばある操作の副製品の、たとえば分光光度計としても利用できる。
かくして、本発明はあらゆる特定の処理または、操作だけではなくて、添付の請求の範囲の全範囲内において保護されるべきものである。
(57)【特許請求の範囲】
1.複数の基板にそれぞれ形成されている層を、前記複数の基板を現像液に浸積することにより、除去するエッチング処理の過程が特定の段階に入ったことを検出する方法において:
(a)前記処理によってもたらされる前面に位置する基板の前記層の変化に関連するアナログ信号を発生させるステップと、
(b)前記アナログ信号を周期的にサンプリングして一連のデジタルサンプルを取得するステップと、
(c)前記予め定められた数の前記デジタルサンプルのグループについて、前記個々のグループのサンプルが少なくとも直近の先行するグループのいくつかのサンプルのものを含んでいるが、少なくとも先行する最先に取得されたものを外し、前のグループに属さない最近に取得されたサンプルを含めたグループについて信号の変化の率を順次繰り返して計算する計算ステップと、
(d)計算された信号の変化の率が、予め定められた範囲内にいつ入ったかを決定して、前記物質の層の処理が前記特定の段階に達したかを決定するステップと、
から構成した前記層の処理の過程が特定の段階に入ったか否かを決定する方法。
2.請求項1記載の方法において、前記条件が予め定められた段階に達したことの決定に応答して、前記状態の変化を終了させる付加的なステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
3.請求項1記載の方法において、材料が処理の結果としてその条件が変わっていることがモニタされている材料を処理する付加的なステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
4.請求項3記載の方法において、前記信号のモニタと発生のステップは検出器を電磁放射信号であって、その変化が処理されている材料の特性の変化に対応するものの経路に配置されている条件の変化の特定の段階を検出する方法。
5.請求項4記載の方法において、前記信号のモニタと発生のステップは電磁放射を材料に向け、その結果が検出器に向けられるステップを含み、これによって前記検出器は前記材料の条件変化による変更された光ビームを受けるものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
6.請求項4記載の方法において、前記検出器を配置するステップは材料が処理されている部分から発生する電磁波の経路に前記検出器を配置するステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
7.請求項1記載の方法において、前記層の表面にわたるある材質の層の少なくとも一部の厚さを変更する付加的なステップを含み、そしてそこにおいて前記条件の変化は前記材料層の厚さによって発生させられる信号をモニタすることによって前記状態の変化がモニタされる条件の変化の特定の段階を検出する方法。
8.請求項7記載の方法において、前記厚みを変更するステップは前記材料層の厚さを増加させるステップを含むものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
9.請求項7記載の方法において、前記厚さを変化させるステップは前記材料の厚さを減少させるステップを含むものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
10.請求項9記載の方法において、前記材料層の厚みを変化させるステップは、前記材料層中のパターン化された部分のみを減少させるものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
11.請求項7記載の方法において、前記材料層の厚さがモニタされる層は半導体基板を含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
12.請求項7記載の方法において、前記信号モニタと発生のステップは電磁放射を材料層に向け、そしてそれから検出器に向けるステップを含み、これにより前記検出器は前記層の厚みの条件の変化によって変更されたビームを受けるものである条件の変化の特定の段階を検出する方法。
13.請求項7記載の方法において、前記検出器を配置するステップは前記材料層の厚みを変化させる過程のある部分から放出される電磁放射の経路中に配置されるステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
14.請求項7記載の方法において、前記厚さが変更される層はホトレジスト材料層である条件の変化の特定の段階を検出する方法。
15.請求項7記載の方法において、それはさらに厚さの条件の変更が前記特定のステージに達したことの決定に応答して前記厚さの層の変更を終了させる付加的なステップを含む条件の変化の特定の段階を検出する方法。
16.請求項1記載の方法において、前記条件の変化の特定の段階は前記デジタル信号サンプルの大きさを参照信号レベルの絶対値と大きさの比較をすることなく検出される条件の変化の特定の段階を検出する方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-01-27 
出願番号 特願平6-501499
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 南 宏輔  
特許庁審判長 鹿股 俊雄
特許庁審判官 辻 徹二
瀬川 勝久
登録日 2002-11-29 
登録番号 特許第3375338号(P3375338)
権利者 ラクストロン コーポレイション
発明の名称 信号の傾斜決定を用いたエンドポイント検出技術  
代理人 井ノ口 壽  
代理人 井ノ口 壽  

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